博士(医学)永坂 敦 学位論文題名
Changes in hepatitis C virus quasispecies and density populations in patients before and after interferon therapy
(インターフェロン治療前後のC型肝炎ウイルスの擬種性および浮遊密度の変化)
学 位 論 文 内 容 の 要旨
I緒言
C型 慢性 肝炎 に対 する イン ターフ ェロ ン( 以下IFN)治療の有効率は約30%と 十分で はな い。 効果 判定 上、肝機能が正常を持続する症例はほとんどの例でウ イルス も消 失し 著効 を意 味するが、一部の例で、肝機能が正常を持続しながら もウ イ ル スが 存在 する 解離 例( 以下IR)が 存在 する 。し たが って 、IFN治療 に 限界が あり 、他 に有 効な 効ウイルス薬が未だない現状では、ウイルスと個体が いわば 共存 して いるIRは 、治療目標のーっとなりえる可能性が考えられる。こ の病態に関して最近、考藤らは血中ウイルスの浮遊密度が、IFN治療後も肝機能 障害が 持続 する 無効 例、 (以下NR)に比ベI:Rでは高いことを指摘している。血 中ウイ ルス は、 フリ ーの ピリオン、免疫複合体などで存在していると考えられ る。 一 方 、C型肝 炎ウ イルス は変 異が 多く 、特 にエ ンベ ロー プ領 域のE2の5 末端 に 集 中し てい る。 この 部位 は超 可変 領域 (以 下HVR)と言 われ 、中 和抗 体 のエピ トー プが 存在 し、 この部位の変異により、ウイルスは中和抗体より逃避 し、持 続感 染に っな がる と考えられている。また同一個体内にも、さまざまな 変異をもったウイルスが存在し、この状態をquasispecies(擬種性)と呼ぶ。し た が っ て 、 血 中 ウ イ ル ス の 免 疫 複 合 体 形 成 に は 特 に ウ イ ル ス のHVRの quasispeciesが深く関わっていると考えられる。そこで今回、IRのウイルス動態 を 明 ら か に す る た め に 、IFN治 療 前 後 の ウ イ ル ス の 浮 遊 密 度 お よ びHVRの quasispeciesの変化をNRと比較検討した。
u対象と方法
IFN治 療 を 行 い12ケ 月 以 上 経過 観 察 で き たC型 慢 性 肝 炎 患者12例 を 対象 と した。6例 はIFN終了 後ウ イルス血症が持続しながらalaninean血otransfもrase
(」゜凹)が6ケ月以上正常を持続する瓜群で、残りの6例は治療終了後も異常値 を示し た無 効(NR) 群で ある 。治 療前 、お よび 治療 後最低3ポイントの血清を
用 いて 以 下 の測 定 を行 った。 ウイルス の浮遊密 度は血清50山を比重1.063g/dl のNaCl溶液8mlにまぜ超 遠心を行 い、上層 部(top)lml、底部(bottom)lmlを採取 し 、そ れ ぞ れの 分 画か らRNAを抽 出、reverse transcriptaseによ りDNAに変換 後、10倍 ごと段階 希釈し、C型肝炎ウ イルスの5 非翻訳 領域のプラ イマーを用 いて、polymerase chamreamon(PCIやを行い、endpointdnution法にて、各分画の 比を決定し、T毋と表現した。Qu孤iSpeciesはnon‐iSOtopiCSingleStrandconfoITn矧0n polymo叩msm法 でHVRを ター ゲ ッ トと し て 行っ た 。他 にウイル ス量はbranched DNA弧sりで 測定した 。統計学 的検討は フイッシ ャーの直 接確率計算 法を用い、
危険率5%以下を有意差ありとした。
III結果
1.IFN治 療 前 後 の 検 討 :T毋 は 治 療 前 は 爪 群 は6例 中4例 は1で あ る の に 対 し てNRは 全 例O.1とb触om優 位で あ った 。 治 療後 は 瓜、NR群と もO.1以 下 を 示 し て い た 。Quas.ispeciesは瓜 群 では6例 中5例 が ,NR群で は6例 中4 例がIFN前後でpopulalionに変化を認めた。
2.IFN投 与 後 の 検 討 : 投 与 後 の 観 察 期 間 は 瓜 群1244ケ 月 ( 中 央 値24ケ 月 )、NR群18・32ケ 月(中 央値23ケ月 )で両群 に差を認 めなかっ た。T毋は 両 群 と も1未 満 で 推 移 す る こ と が 多 い が 、NR群 で2例 、 瓜 群 で も1例 にmJが 上昇す る前に一過性の上昇を認めた。(いasispeCiesは瓜群ではAI汀が正常を持 続 す る 期 間 では6例 中4例 はpopul甜0nに変 化 を 認め な い のに 対 して 、NR群 で は観察 期間中に 全例populationに変 化を認めた。経過観察中、AIJが上昇する直 前 に1ロ が 上 昇 し 、quasispeCiesの 変 動 を 認 め た 例 を2例 経 験 し た 。 W考案
最 近 、C型 肝炎 で はAI汀 値が高く 推移する ほど肝細 胞癌発症 の危険が 増える ことが 指摘され ており、 肝炎のコ ントロー ルの重要 性が再認識 されつっある。
こ のこ と か らもIRの病 態 を理 解 す るこ と は臨 床 上 重要であ ると考え 、今回瓜 症 例の ウ イ ルス の 浮遊 密度に 加えてHVRのquasispeciesも検討し た。瓜例 では 治療前 の浮遊密 度は比較 的軽いウ イルスが 多く、治 療後は重い ウイルスに変化 する傾 向を認め た。浮遊 密度は個 体の免疫 とかかわっており、IFN投与により生 じ た免 疫 反 応の 変 化が 、瓜の 原因であ る可能性 が考えら れる。IFN投 与後の瓜 は浮遊 密度もquaSispeciesも変化が少なかった。これはウイルスが変異に関して 安定し た状態で 存在して いると解 釈される 。さらに 肝障害出現 前に浮遊密度が 軽 いウ イ ル スの 増 加と 、HVRの新 し い クロ ー ンが 出 現した例 を2例経験 した。
こ のこ と よ り肝 障 害の 発現にHVRが重要な 領域であ る可能性 が示唆さ れた。.
V結語
1. 瓜 の 病 態 に は 浮 遊 密 度 の 変 化 が か か わ っ て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た。
2.HVRは中 和 抗 体の エ ピト ー プ 領域 と 考え ら れ てい るが、肝 細胞障害 の発現 にも重要な領域であると考えられた。
学位 論文審査の要旨
学位論文題名
Changes in hepatitis C virus quasispecies and density populations in patients before and after interferon therapy
(インターフェロン治療前後のC型肝炎ウイルスの擬種性および浮遊密度の変化)
C型 鬪 蝴 千 怨 ヨ ヰ す る イ ン タ ー フ ェ ロ ン 倒 、 F IFN勧 駒 姥J ttま 約30% と 十 分 で は な し ゝo効 男 詳 牡 E〒機お劼汪常 を持続する症恥まほとん黝!lでウイ,レスも消失し著効 を意宋するがヽ1§f蹄『ゑ 肝講i助ミ 正 常 を 揃 続 し な が ら も ウ イ ル ス カ 卑 謝 る 簡 雛 例 ( 以 下IR)カ 茸 耐 る 。 こ の 労 懲 に 関 し て 最 愚 血 中 ウ イ ル ス の 浮 遊 密 度 カ ミ1FN治 療 後 も 肝 髑i髀 瞎 が 持 続 す る 無 効 例 似 下NR)に 比 べIRで は 高 い こ と を 指 摘 し て いる。血中ウ イルスは、フリーのピリオ ン、免疫複合体などで存在し ていると考えられる。一カ ・丶C型肝 炎 ウ イ ル ス はj1 9く 、 特 に エ ジ ベ ロ ー プ 領 囀 めE2の5 末 端に 集 中し てい る。 こ の音 随は 超可 変譲 曦(L 下HVR)と 言わ れ、 中斤 [断 謝 めエ ピト ーフpカ 瀧し 、この部位の変異 により、ウイルスは中和ガ淋 より逃避 し、捐商議黼こっなカぎると考えら;れてしゝる。また両卜・イ固儲rAにも、さまさまな変巽|をもったウイルスカ純 し、こ¢機をquasispecies(務謹幽と呼ぶoしたカミらて、血中ウイルC弧り免癌睦舞合f朝彡成に|封寺にウイル ス のHVRのquasispeciesが 深く 関わ っ てい ると 考え ら れる 。こ の様 な椀 兄 を背 景に 、学 位申 請 者は 、Iの ウ イル ス 動態 を明 らか にす る ため に、1FN治療 前後 のウ イ ルス の浮 遊密 度お よびHVRのquasispeciesの変化 をNRと比鞍オ蔓討し、その成果をまとめたのが羽鍵鴛である。
IFN治 療 を 行 い12ケ 月 以 ヒ 絡 磁 駕 馭 き たC型 倒 幽 影 濾 者12例 を 対 象 と し て い る(IR6例 、NR6侈 め 。 治 療前.、およ び治療後最睡3ポイントの血 清を用いて以下の測定を行 った。ウイルスの浮遊密度は 血清50山 を 比 重1.063g/dlのNaCl溶 液8mlに ま ぜ 超 遠 心 を 行 い 、 上 層%Ktop)lml、 底 Kbo伽m)1mを 採取 し、 そ れ そ 湘 の 分 画 か ら 恥 治 を 抽 出 、rever叟transd出Seに よ りDNA| 鏐 封 奐 焦10倍 ご と 閲 噺 騎 釈 し 、C型 肝 炎 ウイ ル スの5 非 翻 訳領 域の プラ イ マー を用 いて 、脚ymelIaSed面nreamon(陀R冫を行い、endpoimml血on 法 に て 、 各 分 画 の 比 を 決 定 し 、T/電 と 表 現 し た 。Qユa虹 叩 鹹esはnoni軸to西c虹n餌es恤d00nformaaon 圃 卿0吶iSn1法 でHvRを タ ー ゲ ッ ト と し で 行 っ た 他 こ ウ イ レ ス 昌 まmnd刊I)NAas町 で 預 睫 し た 統 計 学 的 検 討 は 騒 ぬ1tt.testお よ びMannWMtnヴt蝋 を 用 し 丶 危 険 率5% 以 下 を 有 意 差 あ り と し た 。 mN治 療 肓 爽 の 検 討 で はT/B| よ 治 療 前 は 瓜 群 は6例 中4例 は1で あ る の に 対 し てNRは 全 例011と
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学 位 論 文 発表 に あ たって 、免砌 嚇臨醜 轄陪閉 ヨの岸 助諺授 からPCR法 の特異 陸とそ の確認冨 睦静) 皆川 彰授か ら、mNに より卿e艶に効 く症歩 氷ルウ イルス ¢琿カ 笠賊T/Bケ)変fヒの意昧、Tt)丶b〕tめmのウイ
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審 査 貝 一 同は 、 こ れ らの 成 果 を 高く 評 価 し、 申請昔 カ囀士 ぽ)の 学位を受 けるの に充分 な資格 を有す るものと判定した。