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博 士 ( 理 学 ) 太 田 完 爾

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 太 田 完 爾

学 位 論 文 題 名

Collapse of Magnetized Rotating     Molecular Cloud Core

      i'       ‑e s

( 回 転 し て い る 星 間 分 子 雲 コ ア の 重 力 崩 壊 過 程 に お け る 磁 場 の 影 響 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  星 間 分 子 雲 の 中 で 、 ど の よ う な 質 量 の 星 が ど れ く ら い 形 成 さ れ る の か は 非 常 に 興 味 深 い 問 題 で あ る 。 こ の 問 題 は 星形 成過 程と 深く 関連 して い ると 考え られ て いる 。

  星 は 星 間 分 子 雲 の 密 度 の 高 い コ ア にお いて 形成 され てい るこ と が最 近の 赤外 線 観 測 か ら 明 ら か に さ れ て い る 。 こ の こと から 、高 密度 の分 子雲 コ アが 自己 重カ に よ っ て 収 縮 し 、 星 形 成 が お こ る と 考 えら れて いる 。し かし 、そ の 重力 収縮 過程 は 単 純 で は な い 。 そ の 理 由 は 、 重 力 収 縮を 妨げ る磁 場と 回転 が見 っ かっ てい るか ら で あ る 。Zeeman splittingや 偏 光 の 観測 によ って 分子 雲に は磁 場 が存 在す るこ と が 示 さ れ て い る 。 ま た 、 近 年 に な っ て回 転し てい る原 始惑 星系 ガ ス円 盤が 発見 さ れ 、 こ の 円 盤 の べ ア レ ン ト 分 子 雲 も 回転 して いる と期 待さ れて い る。 従っ て、 星 形 成 過 程 を明 らか にす るIた めに は回 転と 磁場 のあ る分 子雲 コア の 自己 重力 収縮 過 程を 明ら かと する こと が必 要で ある 。

  こ れ ま で 、 分 子 雲 の 回 転 の み を 考 慮し た自 己重 力収 縮過 程、 あ るい は磁 場の み を 考 慮 し た 自 己 重 力 収 縮 過 程 に つ い て主 に研 究さ れて きた 。磁 場 と回 転の 両方 を 考 慮 し た 自 己 重 力 収 縮 過 程 の 研 究 は 少な く、 これ まで 十分 には 行 われ てい なか っ た。 回転 のあ る分 子雲 の自 己重 力収 縮過 程の 研究 から は 自己 重力 収縮によってdisk が 形 成 さ れ 、 い く っ か の 高 密 度 なclumpにfragmentす る 条 件 が 明 ら か に さ れ て い る ( 例 えば 、Miyama et al. 1984)。ま た、 磁場 のあ る分 子雲 の 自己 重力 収縮 過 程 の 研 究 か ら は 磁 場 の あ る 分 子 雲 は 磁場 に沿 った 向き に収 縮し てdisk状と なり 、 こ のdiskが 分 裂 す る 条 件 が 示 さ れ て い る(Nakano and Nakamura 1978)。 回 転 と 磁 場 の 両 者 を 考 慮 し た 分 子 雲 収 縮 過 程 の 研 究 と し て はDorfi (1982)が3次 元の 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 い 、 自 己 重 力収 縮に よっ てdisk状 にな る こと を示 して い る 。 し か し 、 形 成 さ れ たdiskがfragmentす る か ど う か に つ い て は 明 ら か に で き な か っ た 。 こ れ は 彼 の 計 算 が こ のdiskを レゾ ルブ でき るほ どの 空 間精 度を 持っ て い な か っ た た め で あ る 。 さ ら に 彼 の 計算 では 磁束 の保 存が 破れ て いた り、 角運 動 量の 人工 的な 輸送 が起 きて いる など の問 題点 もあ った 。

  そ こ で 、 我 々 は 磁 場 と 回 転 の 両 者 を考 慮し た分 子雲 の自 己重 力 収縮 過程 を高 い 精 度 の 数 値 電 磁 流 体(MHD)シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 調 ぺ る こ と にし た。 空間 精

(2)

度を高めるために軸対称性を仮定した。座標系は円筒座標系を用いた。初期の分子 雲は、一様な密度・温度の球状で、剛体回転しているとした。この分子雲の周囲に は分子雲と圧カが等しい希薄なガスをおき、初期に静止しているとした。磁場は 初期には一様で分子雲の回転軸方向を向いているとした。このような初期条件の も とで 流体 につ いては一種のLagrange法である軸対称SPH (Smoothed Particle Hydrodynamics)コード、磁場についてはメッシュ法である2次精度の風上差分法 で、自己重カについてはSLOR (Successive Line Over relaxation)法を用いた。こ れらは、いずれもスーパーコンピューターにおける高ベクトル計算用に独自に開 発したものである。

  回転 と磁 場を もつcloudの場 合(a=0.6、p〓0.3、7――0.3)について計算 した。比較のために回転しているが磁場のないcloudの場合(Q〓0.6、p=0.3、 7 0.0)についても計算した。後者のパラメータではcloudはfragmentせずに、

重 力崩 壊が 起こ るこ とがMiyamaら(1984)によ って示されている。ここで、Q、 p、プはそれぞれ、熱エネルギー、回転エネルギー、磁場のエネルギーを重カエネ ルギーで無次元化したmodelパラメーターである。

  磁場 のな い回 転cloudの 場合 の計 算結 果は 、中心にdiskが形成され中心密度 が時間とともに増大することが明らかとなった。これは、Miyamaら(1984)の結 果とよぃ一致を示している。また、この一致から、我々のコードは角運動量の保 存が非常によく成り立っていることも明らかとなった。

  っぎに、回転と磁場の両方をもつcloudの場合には、磁場によって角運動量が 効果的に輸送され、ガスが中心部に集中する様子が明らかとなった。このガス集 中の結果、磁場のない回転cloudの場合と比較して、より高密度で扁平なdiskが cloudの中 心部に 形成 され た。 このdiskのfragment不安定性を評価してみると fragmentが起こる条件を満たしていることが明らかとなった。っまり、磁場がな い場合fragmentせずに重力崩壊するcloudが磁場が存在することによって角運動 量 が輸 送さ れfragmentが起こりうるdiskが形成されることが明らかになった。

  以上 の結 果、 磁場と回転をもつcloudは磁場をもたない回転cloudよりも高密 度で薄いdiskが中心部に形成されることが明らかとなった。このdiskはfragment の条件を満たしていることを示した。このことは、このような磁場と回転をもつ cloudが自 己重力 収縮する場合、cloud中心にdiskが形成されそれがfragmentし て、より質量の小さな分子雲コアヘ分裂することを意味している。以上の結果は、

磁場と回転をもつcloudでは形成される星の質量が磁場のなぃ時に比べて非常に 減少することを示唆している。

(3)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    石 川 健三 副査   助教授   羽部朝男 副査   助教授   兼古   昇      学 位 論 文 題 名

Collapse of へ圧agnetized Rotating      へ 圧 olecular Cloud Cores

(回転している星間分子雲コアの重力崩壊過程における磁場の影響)

  

近年、星形成に関する研究が盛んに行われている。星形成は分子雲において主に起こっ ていることが分かってきた。星形成にいたる基本的な物理過程のーっとして星間分子雲の 密度の高い領域の自己重力収縮過程がある。星の質量は、星形成過程で起こる分子雲の自 己重力収縮過程によって決定されると期待されるため、この過程の研究が盛んである。最 近の観測によって、分子雲は一般に回転しており又磁場も持っていることが明らかになっ てきた。しかしながら、従来の分子雲の自己重力収縮過程の研究の多くは、分子雲の回転 のみ、あるいは磁場の効果のみを考慮しており、これらニっを同時に考慮した研究は、十 分なされていなかった。その理由は、分子雲の収縮過程で密度や回転速度分布などが大き く変化するさい、磁場がこれらの物理量の変化に大きく影響し、その物理過程を複雑にす ることにあった。

  

本研究は、このような現況にある分子雲の自己重力収縮過程に関して、分子雲の回転と 磁場の両方を考慮して、分子雲の自己重力収縮過程における磁場による角運動量輸送過程 に注目して行われた。この研究のため、著者は精度が高く角運動量輸送についても正確に 取り扱える数値電磁流体力学計算コードを新しく開発した。本研究で用いたこの数値電磁 流体計算コードは、スーパーコンピュータで効率よく計算が可能であるよう工夫されてい る。このことによって高精度の計算を高速で行うことを可能とし、それによって従来明ら かではなかった分子雲の自己重力収縮過程における磁場による角運動量輸送過程の特徴が 明らかになった。それをまとめると、

1

)分子雲が回転しながら収縮するにっれて磁場をねじり上げ、分子雲の角運動量は磁場

のテンションによって周りのガスに輸送される。

(4)

2

)角運動量が輸送された結果、分子雲は、角運動量が輸送されない場合と比較して、よ り 高 密 度 状 態 へ 収 縮 し 分 子 雲の 中 心 に 密 度 が 高 く 薄 い ガ ス円 盤 が 形 成 さ れ る 。

3

)形成された高密度円盤の自己重力不安定性を検討すると、この円雛は分裂しながら収 縮する条件にあることが明らかになった。

以上から、分子雲の磁場のエネルギーが分子雲の自己重カエネルギーと同程度であれば角 運動量を効率よく輸送することが出来、その結果単調に自己重力収縮するはずの分子雲 が分裂可能な分子雲へと進化することが明らかになった。このように、分裂可能な分子雲 へと進化することは、磁場による角運動量輸送の影響によって分子雲がより小質量星の形 成を可能とする状態ヘ進化することを示唆する。また、この結果は、かなりの星は連星系 と し て 形 成 さ れ る と 言 う 観 測 事 実 を 説 明 す る 可 能 性 を あ た え て い る 。

  

これを要するに、著者は宇宙物理学における星形成の基本過程である、角運動量を持つ 星間分子雲の自己重力収縮過程における角運動量輸送過程に関する磁場の影響について新 しい知見を得たものであり、宇宙物理学における星形成の研究に対して貢献するところだ いなるものがある。

  

よって審査員一同は、著者が北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるもの

と認める。

参照

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