博士(工学)小川秀夫 学位論文題名
脆弱部除去による再生細骨材の品質改善法 学位論文内容の要旨
コ ン ク リ ー ト 構 造 物 の 解 体 に よ り 発 生 す る コ ン ク リ ー ト 廃 棄 物 は 年 間3、500万 ト ン に 達 し て い る 。 コ ン ク リ ー ト 廃 棄 物 は 、 建 設 リ サ イ ク ル 法 に お い て 再 資 源 化 を 推 進 す べ き 廃 棄 物 の ー っ と さ れ 、 現 在 、 約94%が 道 路 用 砕 石 や 埋 め 戻 し 材 と し て り サ イ ク ル さ れ て い る 。 し か し 、 近 年 で は 再 生 砕 石 の 需 要 量 が 滅 少 し て お り 、 余 剰 す る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る 。 こ の た め 、 国 内 で は 道 路 用 砕 石 や 埋 め 戻 し 材 と は 別 の 利 用 法 の 道 筋 を 付 け て お く 必 要 が あ る と の 認 識 が 高 ま り 、 コ ン ク リ ー ト 廃 棄 物 か ら 骨 材 を 回 収 し て コ ン ク リ ー ト 用 再 生 骨 材 と し て 使 用 す る 利 用 法 が 推 進 さ れ る よ う に を っ た 。
2005年 に 付 着 モ ル タ ル を 限 り 誼 く 除 去 し た コ ン ク リ ー ト 再 生 骨 材Hのns規 格 が 制 定 さ れ 、 限 定 的 で は あ る が 再 生 粗 骨 材 が 構 造 用 コ ン ク ー ト に 用 い ら れ て き て い る 。 し か し 、 ク ラ スHの よ う な 、 い わ ゆ る 高 品 質 と 言 わ れ る 再 生 骨 材 は 、 製 造 コ ス ト が 増 加 し 、 ま た 副 産 微 粉 の 利 用 や 処 分 に も 費 用 が か か る 。 一 方 、 破 砕 処 理 及 び 粒 度 調 整 だ け を 施 し た い わ ゆ る 低 品 質 ¨ 再 生 骨 材 は 、 上 記 の 欠 点 は 有 さ を い も の の 、 そ の 使 用 は 高 い 性 能 を 要 求 さ れ を い 構 造 物 に 限 定 さ れ て い る 。
著 者 ら は 、 こ の よ う を 現 状 を 鑑 み て 、 製 造 コ ス ト や 発 生 す る 副 産 微 粉 を 減 少 さ せ 、 か つ 普 通 骨 材 コ ン ク リ ー ト と 同 等 の 品 質 が 得 ら れ る 再 生 骨 材 の 製 造 法 の 確 立 を 目 指 し て い る 。 注 目 し た の は 、 再 生 骨 材 中 に は 空 隙 、 ク ラ ッ ク 、 気 泡 等 の 脆 弱 を 欠 陥 部 が 散 在 し て い る こ と で あ る 。 こ れ ら の 欠 陥 部 は コ ン ク リ ー ト 廃 棄 物 の 最 初 の 処 理 過 程 で 施 し て い る 破 砕 時 に 生 じ た と 考 え ら れ る 。 本 論 文 は 、 こ の 再 生 骨 材 中 の 主 に 旧 ベ ー ス ト 部 の 中 に あ る ク ラ ッ ク 、 空 隙 部 、 気 泡 等 の 脆 弱 を 欠 陥 部 を 選 択 的 に 除 去 す る 方 法(Defect Removal method、 以 下DR法 と 呼 ぶ ) に よ り 、 上 記 の 再 生 骨 材 の 製 造 方 法 を 構 築 す る こ と を 目 指 し た も の で あ る 。DR法 と 従 来 の 高 品 質 処 理 法 の 違 い は 、 前 者 が 脆 弱 部 を 選 択 的 に 除 去 す る の に 対 し 、 後 者 は 選 択 性 が を ぃ た め 健 全 を べ ー ス ト 部 ま で 除 去 す る こ と で あ る 。 そ の 結 果 、DR法 で は べ ー ス ト の 残 余 付 着 量 は 前 者 の ほ う が か を り 多 く 副 産 さ れ る 微 粉 量 を 最 小 限 に と ど め る こ と が で き 、 さ ら に 消 費 エ ネ ル ギ ー の 減 少 と い う 二 次 的 効 果 も 期 待 で き る 。 本 研 究 は 、a冫 欠 陥 部 を 選 択 的 に 分 離 す る 再 生 細 骨 材 の 製 造 法 に つ い て 研 究 し 、b) 再 生 細 骨 材 モ ル タ ル の 性 状 を 評 価 し て 欠 陥 部 を 選 択 的 に 除 去 す る 製 造 法 が 有 効 で あ る こ と を 検 証 し た 。 ま た 、 再 生 細 骨 材 は コ ン ク リ ー ト 用 骨 材 と し て 用 い て 普 及 す る こ と が 望 ま し い の
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で、 c )再生細骨材コンクリートを製造及び評価して、DR 法が有効であることを確認する と と も に 再 生 細 骨 材 の 二 二 二 L ン ク リ ー ト へ の 適 用 を 検 討 し た 。 第 1 章は緒言であり、本研究の背景及び既往研究について概観し、本研究の目的につい て述 べるとともに、本論文の構成を述べた。
第 2 章では、 破砕 及び 磨 砕 作用の異なる3 種類の破砕機を用い、試製した再生 細骨材のキャラクターを評価して、粉砕機の作用と再生細骨材の品質の関係を調べた。ま た 、 磨 砕 作 用 に よ り 、 骨 材 中 の 欠 陥 率 を 低 減 で き る こ と を 確 認 し た 。 第 3 章では再生細骨材を用いた モルタルの流動性及びカ学特性を実験で評価し、再生 細骨材のキャラクターと再生細骨材モルタルとの間の関係を多変量解析により調ベ、流動 性、力学特性にそれぞれ影響する骨材のキャラクターを特定した。また、再生モルタル中 の 骨材 及 び界 面の 破壊形態を観察し、再生骨材のキャラクターとの関 連を考察した。
第 4 章では、別のコンクリート 廃棄物から新たに再生細骨材を試製して、DR 法により 欠陥部が除去できること、及び再生細骨材モルタルの性状が改善されることを確認し、本 製造理論の再現性を検証した。また、再生細骨材がモルタルの耐久性へ及ばす影響を考慮 して、再生細骨材を用いるとことで低下すると報告されている塩化物イオン浸透性を評価 し、再生モルタルの微細組織との関連を考察した。さらに、再生細骨材の製造に伴う二酸 化炭素の発生量と、再生細骨材モルタルの品質改善の効果の関係より、環境負荷について 考察 を加えた。
第 5 章では、本研究で示した再生細骨材モルタルの結果をもとに、モルタルに利用する ため の再生細骨材の品質規案を示した。
第 6 章では、再生細骨材の天然骨材への置換率及び水セメント比を実験パラメータに加 えて 再生細骨材コンクリートを製造及び評価して、DR 法により製造した再生細骨材がコ ンク リート用骨材としても有効であることを確認した。
第 7 章は総括であり、本研究で 得られた成果を総括し、DR 法による再生細骨材の製造 及 び そ の 利 用 に つ い て 述 べ る と と も に 、 今 後 の 課 題 に つ い て 示 し た 。 以上のように、本研究では再生細骨材の微細組織を基礎的に調ベ、磨砕作用を活かして 欠陥部を選択的に除去する再生骨材の製造法のコンセプトを示した。このコンセプトは特 定の粉砕機に限定されるものではをく、既に実用が始まっている多くのタイプの骨材製造 機に対しても適用できるものである。本研究で示した骨材中の脆弱を欠陥部だけを選択的 に 分離 す るDR 法は 、再生骨材の製造コストを削減し、かつ微粉発生量 を抑制できるた め、我が国における再生骨材の普及に対し多いに貢献できる有益を技術であると考える。
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学位論 文審査の要旨 主査 副査
副査 副査
教授 教授 教授 准教授
名 和 豊 春 佐 藤 努 杉 山 隆 文 胡桃澤清文
学 位 論 文 題 名
脆弱部 除去によ る再生細 骨材の品質改善法
廃 コ ン ク リ ー ト 塊 の り サ イ ク リ ン グ の 研 究 開 発 は 古 く1973年 頃 か ら 始 ま り 、 現 在 再 利 用 率 は 96%以 上に 達 して いる が ,そ の用 途 のほ とん ど は舗 装用 路 盤材 や埋 戻 し・ 裏込 め 材で ある 。 しか し、
2020年 度 に は 廃 コ ン ク リ ー ト 塊 は 現 在 の 約1.5倍 の5、000万tと い う 膨 大 な 量 に 達 す る と 推 定 さ れ て お り 、 一 方 で 、 コ ンク リー ト 再生 路盤 材 の需 要に も 道路 整備 の 伸び が鈍 化 し始 めた た め、 一部 地 域 に お い て は 廃 コ ン クリ ート 塊 が余 剰す る 可能 性が 指 摘さ れて い る。 この た め、 国内 で は道 路用 砕 石 や 埋 め 戻 し 材 と は 別の 利用 法 の道 筋を 付 けて おく 必 要が ある と の認 識が 高 まり 、コ ン クリ ート 廃 棄 物 か ら 骨 材 を 回 収 して コン ク リー ト用 再 生骨 材と し て使 用す る 利用 法が 推 進さ れる よ うに 蘊っ た 。 こ の た め 、 再 生 コ ン ク リ ー ト の 利 用 促 進 を 図 る た め のns規 格 化 が 進 め ら れ た 。 す で に2005 年 に は 付 着 モ ル タ ル を 限 り を く 除 去 し 、 普 通 骨 材 と 同 等 を 品 質 を 有 す る再 生 骨材HのJIS規格 が制 定 さ れ 限 定 的 で は あ る が再 生粗 骨 材が 構造 用 コン クー ト に用 いら れ てき てい る 。続 いて2006、2007 年 に は 簡 易 コ ン ク リ ー ト 用 の 再 生 骨 材Lお よ び 再 生 骨 材HとLの 中 間 の 品 質 を 有 し 構 造 用 コ ン ク リ ー ト に 使 用 で き る 再 生 骨 材MのJIS規 格 が 制 定 さ れ た 。 し か し を が ら 、 現 在 ま で の 再 生 骨 材 の 研 究 の 中 心 を な し て き た の は5mm以 上 の 粗 骨 材 で あ り 、 コ ン ク リ ー ト 用 骨 材 の 半 数 を 占 め る 細骨 材 の 再 生 化 の 研 究 や 実 用化 はあ ま り進 展し て いな い。 真 の意 味で 再 生骨 材コ ン クリ ート の 技術 を完 成す る ため には 、 再生 細骨 材 の実 用化 技 術の 確立 が 求め られ て いる 。
理 想 的に はす べ ての べー ス ト分 を細 骨 材表 面か ら 除去 すれ ば 、′ ヾー ジ ン骨 材と遜色のないも のが 製 造 で き る が 、 コ ス ト 、製 造工 程 で発 生す る 微粉 の処 理 、消 費エ ネ ルギ ーを ど 実用 化へ の 障害 が生 じ る 。 本 研 究 は 、 こ の よう を現 状 を鑑 みて 、 製造 コス ト や発 生す る 副産 微粉 を 減少 させ 、 かつ 普通 骨 材 コ ン ク リ ー ト と 同 等の 品質 が 得ら れる 再 生骨 材の 製 造法 の確 立 を目 指し た もの であ る 。主 たる 成果 は 以下 に列 挙 され る。
第 一 の 成 果 と し て 、 再生 骨材 を 用い た再 生 コン クリ ー トの 性能 低 下は 再生 骨 材中 の欠 陥 部の 存在 率 に 依 存 す る と 考 え 、 欠陥 部を 選 択的 に分 離 でき る再 生 細骨 材の 製 造法 につ い て検 討を 行 いDefect Removal method(以 下DR法 と 呼 ぶ ) と い う 方 法 を 提 案 し た こ と が 挙 げ ら れ る 。DR法 は 選 択 性 が あ る た め 健 全 を べ ー ス ト部 まで 除 去さ れず 細 骨材 周り の べー スト の 残余 付着 量 が増 すた め 、削 産さ れ る 微 粉 量 を 最 小 限 に とど める こ とが でき 、 さら に消 費 エネ ルギ ー を削 減で き ると いう 二 次的 効果 も も た ら す 。 こ の よ う に、 廃コ ン クリ ート 塊 から 細骨 材 をり サイ ク ルす る実 用 的な 手法 を 確立 した
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疆潤 潤潤 濁潤 濶潤 潤潤 ww w〜
点 は 高く 評 価 さ れ る。
第 二 点 の 成 果 は 、 上 記 のDR法 の 製 造 方 法 を 確 立 す る た め に 、 再 生細 骨 材 の キ ャラ ク タ リ ゼ ー シ ョ ンに 関 し て 精 緻を 手 法 を 提 案 し、 こ れ を 用 いて 粉 砕 機 の 粉砕機 構の相 違や粉 砕回 数が再 生細骨 材 の 品質 に 及 ば す 影響 を 定 量 的 に 評価 し 、 摩 砕 作用 に よ り 骨 材中の 欠陥部 を選択 的に 除去で きるこ と を 明ら か に し て いる 点 で あ る 。 具体 的 に は 、 作用 の 異 を る3種 類 の 粉 砕 機で 各 種 再 生細骨 材を試 製 し 、再 生 細 骨 材 の品 質 を 示 す 各 種の 特 性 値 と 再生 モ ル タ ル の流動 性およ び強度 特性 の間の 関係を 多 変 量解 析 で 評 価 して い る 。 そ の 結果 、 従 来 の 再生 骨 材 の 品 質指標 として 提案さ れて いた吸 水率や 絶 乾 密度 は あ ま り 高い 相 関 を 示 さ ず、 流 動 性 は 再生 細 骨 材 の 実積率 が最も 影響し 、強 度では 骨材中 欠 陥 率 や 表 面 平 滑 度と 高 い 負 の 相関 が あ る こ とを 明 ら か に し 、欠 陥 部 の 除 去を 優 先 す るDR法 に よ る 再 生細 骨 材 の 製 造理 論 が 妥 当 で ある こ と を 実 験デ ー タ に 基 づき定 量的に 示して いる 。特に 、磨砕 処 理 を 繰 り 返 す と 、 再 生 骨 材 の 絶 乾 密 度 や 吸 水 率の 値 か ら は 高品 質 を 再 生 骨材Hの 規 格 内に で き る が 、モ ル タ ル 強 度の 改 善 に は 限 界が あ る こ と を示 し 、 過 度 の処理 は品質 改善に は貢 献しな いこと を 明 瞭 に 示 し た こ とは 、 再 生 骨 材の 処 理 と 性 能改 善 に 対 す る 基本 概 念 を 示 して お り 秀 逸 であ る 。 第三 の 成 果 は 、本 研 究 で 示 した 再 生 細 骨 材の 品 質 や モ ル タル .コン クリ ―トの 物性へ の影響 を検 討 し て、 再 生 細 骨 材の 品 質 基 準 お よび 環 境 を 考 慮し た 再 生 モ ルタル コン クリー トの 材料設 計の試 案 を 提示 し 、 再 生 細骨 材 の 実 用 化 に対 し て 大 い なる 貢 献 を し ている 点であ る。具 体的 には、 再生細 骨 材 の規 定 す べ き 品質 項 目 を 選 定 し、 推 奨 す る 品質 基 準 を 提 案する ととも に、再 生細 骨材の 製造に 伴 う 二酸 化 炭 素 の 発生 量 と 再 生 細 骨材 モ ル タ ル の品 質 改 善 の 効果の 関係よ り、環 境負 荷係数 という 新 た な指 標 を 創 出 し環 境 負 荷 低 減 を考 慮 し た 製 造設 計 の 考 え 方を示 してい る。ま た、 限られ た範矧 で は ある が 、 天 然 骨材 へ の 置 換 率 及び 水 セ メ ン ト比 を 実 験 パ ラメー タに加 えて再 生細 骨材を 使用し た 再 生 コ ン ク リ ー トの 検 討 も 行 い、DR法 に より 製 造 し た 再生 細 骨 材 が コン ク リ ー ト 用 骨材 と し て も 有 効で あ る こ と を明 ら か に し て おり 、 今 後 の 展開 が 期 待 さ れる 。
これ を 要 す る に、 著 者 は 廃 コン ク リ ー ト 塊の 再 生 細 骨 材 への 有効利 用を 促進す るため 、再生 細骨 材 の キャ ラ ク タ リ ゼー シ ョ ン 手 法 を開 発 す る と とも に 、 そ の 手法を 用いて 磨砕作 用に よる選 択的を 欠 陥 部除 去 を 可 能 とす る 再 生 細 骨 材の 製 造 法 を 構築 し た も の であり 、資源 工学お よび コンク リート 工 学 に貢 献 す る と ころ 大 を る も の があ る 。 よ っ て著 者 は 、 北 海道大 学博士 (工学 )の 学位を 授与さ れ る 資格 あ る も の と認 め る 。
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