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学位論文題名Bone rvIarrow−Derived Cells Are Not the Origin of theCancer Stem Cells in Ultraviolet−Induced Skin Cancer・

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 安 藤 佐 土 美

     学位論文題名

Bone rvIarrow −Derived Cells Are Not the Origin of the Cancer Stem Cells in Ultraviolet −Induced Skin Cancer ・

(紫外線誘発皮膚癌の癌幹細胞は骨髄由来ではない)

学 位論文 内容の要旨

【背景と目的】

  生体 内の組織は組織幹細胞とそれらから生じた成熟組織細胞によって構成されると考え られており、癌においても癌幹細胞の存在が様々な癌組織で証明されている。通常、癌幹細 胞は癌 を生じ た組織の組織幹細胞もしくは前駆細胞が形質転換して生じると考えられてい た。しかし最近、ヘリコバクター感染による慢性炎症を基盤として発症する胃癌の癌細胞を 調 べた ところ 、骨髄由 来であ ったとい う報告が なされ た(HoughtonJ,2004)。炎 症によ り障害 をうけ た胃粘膜細胞を再生する際に骨髄細胞が動員され胃粘膜細胞の一部に分化す るが、このような過程を繰り返した結果生じた胃癌組織を調べたところ、ほば全ての癌細胞 が骨髄由来であったという報告である。これにより、癌組織の癌幹細胞が骨髄由来である可 能性が示唆された。

  以上のことから皮膚癌においても癌細胞が骨髄由来である可能性が考えられた。皮膚は外 傷や紫外線暴露により障害を受けやすい臓器であり、皮膚癌は非常に頻度の高い癌である。

特に紫外線暴露は皮膚癌を生じる上で、最も重要な外的因子であることが知られている。紫 外線暴露によって傷害された皮膚組織を再構築するために骨髄細胞が動員される。表皮細胞 に分化した骨髄細胞がやがては癌幹細胞となり、癌組織を形成する。この可能性について、

骨髄細胞を標識したマウスに紫外線誘発皮膚癌を生じさせ、生じた皮膚癌における骨髄細胞 の割合を調べることにより検討した。

【方法・結果】

  GFPーTgマウス 、もしく はROSA‑Tgマウス をdonorと した骨 髄移植を 施行し、 骨髄細 胞 を 標識 したマ ウスを作 成した 。このマ ウスに紫 外線(UVB)を断続 的に照 射し皮膚 癌を生 じさせた。採取したマウス皮膚を組織学的構造および個々の細胞の正常をもとに「正常」、

「過形成」、「上皮内癌」、「有棘細胞癌」に分類し、各々の組織内における骨髄マーカー陽性 細胞の 数を評 価した。ROSAーTgマウ スをdonorとし、 骨髄細 胞をB‑galactosidaseで標識 したマウスにおいて、紫外線を5ケ月照射した時点でのマウス皮膚には組織学的に「正常」、

「過形成」、「上皮内癌」の部位がみられ、各女の組織内にみられた骨髄マーカー陽性細胞の 割合は0.15土0.21%、0.58%+0.25%、0.25士0.20%であった。紫外線を10ケ月照射した 時点でのマウス皮膚には組織学的に「過形成」、「上皮内癌」、「有棘細胞癌」の部位がみられ、

各々の組織内にみられた骨髄マーカー陽性細胞の割合は、0.59土0.57%、0.15+0.22%、0.03 +0.06%であっ た。いず れの組 織におい ても、骨髄マーカー陽性細胞が集簇して存在し、

clonalな増 殖を示唆する所見は見られなかった。組織内の骨髄マーカー陽性細胞の割合は

「過形成」の部分で最も多く、組織学的悪性度が進行するにっれて減少する傾向がみられた が、これは紫外線照射によって障害をうけた皮膚組織を再構築するために骨髄由来細胞が動 員され、表皮細胞に分化するが、その後腫瘍性の増殖を示さないために、骨髄由来の表皮細 胞の割 合が相 対的に減 少した ためと考 えた。GFP‑Tgマウスをdonorとし、骨髄細胞をGFP で標識 したマ ウス皮膚 におい てはいず れの組織においても組織内にGFP陽性細胞は見られ     ―180―

(2)

なかっ たが、 これは長 期間に よる紫外線照射によってGFPが退色してしまった可能性が考 えられた。

  組織内にみられる骨髄マーカー陽性細胞が、表皮細胞に分化した骨髄細胞ではなく浸潤血 球細胞である可能性を考え免疫染色を行った。組織内における骨髄マーカー陽性細胞のうち、

血球マーカー陽性である細胞の割合は「過形成」、「上皮内癌」、「有棘細胞癌」の組織内にお いて各々10.1土15.3%、27.3土44.1%、78.7土27.4%であった。すなわち「有棘細胞癌」の 組織内に見られる骨髄マーカー陽性細胞のほとんどは浸潤血球細胞であり、紫外線誘発皮膚 癌の組 織内に 茄いて骨 髄マー カー陽性 の癌細 胞はほと んど存在しないことが分かった。

  さらに、ごく少数みられる表皮細胞になったと考えられる骨髄由来細胞が、細胞融合によ り生じ た可能性について検討した。オスマウスをdonor、メスマウスをrecipientとして骨 髄移植 を施行 し、骨髄 細胞をY染色体で標識したマウスにおける紫外線誘発皮膚癌の組織 をFISHをも ち い て 検討 し たが、 組織内にY染 色体陽性 かつニ つ以上のX染色 体陽性 の細 胞(すなわち細胞融合によって生じたと考えられる表皮細胞)はみられず、骨髄由来細胞が 既存の表皮細胞と細胞融合している可能性は低いと考えられた。また、骨髄マーカー陽性の 細胞が癌幹細胞であり、成熟癌細胞に分化する過程で、あるいは紫外線の影響で骨髄マーカ ーを消失した可能性についても検討した。皮膚有棘細胞癌の癌幹細胞マーカーは発見されて いないが、癌幹細胞は組織幹細胞マーカーが陽性となる報告が多いことより紫外線誘発皮膚 癌組織内における組織幹細胞マーカー(label retaining cellsおよぴa6integrin)と骨髄マ ーカーの多重染色を行ったが、組織幹細胞マーカー陽性かつ骨髄マーカー陽性細胞は見られ なかった。よって、紫外線による皮膚障害を契機に皮膚組織に動員され、表皮細胞に分化し た 骨 髄 細 胞 が 皮 膚 癌 の 癌 幹 細 胞 と な っ て い る 可 能 性 は 極 めて 低 い と 考え ら れ た。

【結論】

  近年間葉系幹細胞から肉腫が生じたという報告もあり、再生医学の現場で多能性骨髄幹細 胞を用いることに否定的な意見もあげられているが、本研究により少なくとも紫外線誘発皮 膚癌において、骨髄由来細胞が癌幹細胞となっている可能性は低く、ひいては紫外線誘発皮 膚癌の起源となっている可能性も低いと考えられた。

‑ 181

(3)

学位論 文審査の要旨

主 査   教 授   野 々 村 克 也

副 査    教授    藤堂 副 査    教授    清水

省 宏

     学位論文題名

Bone Marrow − Derived Cells Are Not the Origin of the Cancer Stem Cells in Ultraviolet ―Induced Skin Cancer .

( 紫 外 線 誘 発 皮 膚 癌 の 癌 幹 細 胞 は 骨 髄 由 来 で は な い )

  生体内の組織 は組織幹細胞とそれらから生じた成熟組織細胞によって構成されると考え られており、癌 においても癌幹細胞の存在が様々な癌で証明されている。通常、癌幹細胞 は癌を生じた組 織の組織幹細胞もしくは前駆細胞が形質転換して生じると考えられていた。

しかし最近、ヘ リコバクター感染による慢性炎症を基盤として発症する胃癌の癌細胞を調 べ たと ころ 、骨 髄由 来で あっ た とい う報 告が なさ れた(HoughtonJ,2004)。炎症により 障害をうけた胃 粘膜細胞を再生する際に骨髄細胞が動員され胃粘膜細胞の一部に分化する が、このような 過程を繰り返した結果生じた胃癌組織を調べたところ、ほば全ての癌細胞 が骨髄由来であ ったという報告である。これにより、癌組織の癌幹細胞が骨髄由来である 可能性が示唆された。

  以上のことか ら皮膚癌においても癌細胞が骨髄由来である可能性が考えられた。皮膚は 外傷や紫外線暴 露により障害を受けやすい臓器であり、特に紫外線暴露は皮膚癌を生じる 上で、最も重要 な外的因子である。紫外線暴露によって傷害された皮膚組織を再構築する ために骨髄細胞 が動員される。表皮細胞に分化した骨髄細胞がやがては癌幹細胞となり、

癌組織を形成す る。この可能性について、骨髄細胞を標識したマウスに紫外線誘発皮膚癌 を 生 じ さ せ 、 生 じ た 皮 膚 癌 に お け る 骨 髄 細 胞 の 割 合 を 調 べる こと によ り検 討し た。

  骨髄移植を施 行し、骨髄細胞を蛋白や酵素で標識したマウスを作成した。このマウスに 紫外線(UVB)を断続的に照射し皮膚癌を生じ させた。採取したマウス皮膚を組織学的に「正 常」「過形成」「上皮内癌」「有棘細胞癌」に分類し、各々の組織内における骨髄マーカー陽 性細胞の数を評価した。組織内の骨髄マーカー陽性細胞の割合は「過形成」の部分で約O.6% と最も多く、組 織学的悪性度が進行するにっれて減少し「有棘細胞癌」の組織においては 約0. 01%であ った。いずれの組織に韜いても、骨髄マーカー陽性細胞が集簇して存在し、

clonalな増殖を 示唆する所見は見られぬかった。組織内にみられる骨髄マーカー陽性細胞 が浸潤血球細胞 である可能性を考え免疫染色を行った。組織内における骨髄マーカー陽性 細胞のうち、血 球マーカー陽性である細胞の割合は「過形成」の組織では約10%であった が「有棘細胞癌 」の組織では約80%であった。これにより、紫外線誘発皮膚癌の組織内に おいて骨髄マー カー陽性の癌細胞はほとんど存在しなぃことが分かった。また、骨髄マー カー陽性の癌細 胞が癌幹細胞として存在する可能性について免疫染色をもちいて検討した。

癌幹細胞は組織 幹細胞マーカーが陽性となる報告が多いことより、紫外線誘発皮膚癌組織 内における組織 幹細胞マーカーと骨髄マーカーの多重染色を行ったが、組織幹細胞マーカ ー陽性かっ骨髄マーカー陽性細胞は見られなかった。

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(4)

  近年間葉系幹細胞から肉腫が生じたという報告もあり、再生医学の現場で多能性骨髄幹 細胞を用いることに否定的な意見もあげられているが、本研究により紫外線誘発皮膚癌に おいて、骨髄由来細胞が癌幹細胞となっている可能性は低く、ひいては紫外線誘発皮膚癌 の起源となっている可能性も低いと考えられた。

  藤堂教授から1.骨髄由来血管について、腫瘍血管は骨髄由来との報告があるが紫外線誘 発皮膚癌の血管が骨髄由来であったかどうか、2.骨髄由来の癌が生じる過程で固形癌と皮膚 癌の違いが骨髄由来の癌細胞の割合と関連する可能性はどうか、にっいての質問があった。

次いで野 々村教 授から1.膀胱上皮では dysplasia と SCCむsitu を同一の状態とし て扱うが、本研究では組織学的に異なるものとして扱っていた。皮膚科学的な観点からの

dysplasia と SCCむ釘オびの違いにつしヾて、2.一律に紫外線を照射したにもかかわら ず、 SCC と SCC ではない部位が生じる理由についての質問があった。次いで清水教授 から実験の結果が出るまでに長期間かかったこと、その結果がぃわゆるnegative dataであ ったこと、それを論文としてまとめあげたことに対する質問があった。いずれの質問に対し ても、申請者は実験を開始する契機となった胃癌の報告やその後報告された癌組織内に含ま れる骨髄細胞の割合に関する文献を引用し、また皮膚科領域における前がん病変における病 理学的診 断およ ぴ実際の 実験手技 の方法 の説明などを行い、おおむね適切に回答した。

  この論文は,紫外線発癌という自然界で生じうる発癌過程のマウスモデルを用いて骨髄 由来発癌を否定した点で高く評価され,今後、再生医療の場で骨髄細胞が幅広く用いられ ることが期待される。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども 併せ 申 請 者が博士 (医学 )の学位 を受け るのに充 分な資格 を有す るものと 判定し た。

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参照

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