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学位論文題名Bone Marrow Stromal Cells Act as Feeder Cells for Tendon Fibroblasts through Soluble Factors

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 下 出 和 美

    

学位論文題名

Bone Marrow Stromal Cells Act as Feeder Cells for     Tendon Fibroblasts through Soluble Factors

(腱線維芽細胞に対する骨髄間葉系細胞のfeeder 作用)

学位論文内容の要旨

  骨髄間葉系細胞(以下BMSC)はその多分化能を利用して、種カの組織再生の細胞源として注目されて いるとともに、ある種の細胞に対しfeeder作用を持っていることが近年明らかになってきた。また腱・靱 帯損傷は比較的頻度の多い外傷で多くは自然治癒する。腱・靭帯損傷の治癒過程は出血期、炎症期、増殖 期、成熟期の4期に分類されており、このうち炎症期において線維芽細胞、血小板、白血球、BMSCを含む さまざまな細胞の侵入が起こることが分かっており、なかでもBMSCはその治癒に幹細胞として重要な働き をしていると言われているが、その詳細なメカニズムは依然不明のままである。BMSCの損傷腱・靱帯治癒 における役割としてはニっの可能性が考えられ、一っはBMSC自体が損傷部位で線維芽細胞に分化する事で あり、二つ目は線維芽細胞に働きかけその生理機能を高める事である。BMSCはこれまで細胞接着による心 筋細胞や肝細胞の治癒促進、また分泌する液性因子により神経幹細胞の分化促進がこれまで報告されてい る。 し かし なが ら、 腱線 維 芽細胞とBMSCの細胞間相互作用について は、未だ明らかではない。

  本研究では、BMSCの液性因子の線維芽細胞の生理機能に対する影響に着目し、BMSCが液性因子を介して 腱線維芽細胞に対してfeeder作用を有することを仮説とした。この仮説を証明すべく、ラット由来の線維 芽細胞をBMSCと細胞間接触のない多孔膜を介した共培養を行った。本研究の目的は細胞増殖、細胞外マト リックス産生能、細胞遊走能、細胞接着能に関してBMSCの液性因子の影響を明らかにし、その上でその特 異的な液性因子を同定することである。これらを明らかにすることにより、ティッシュエンジニアリング の手 法 を用 いた 腱・ 靱帯 再 生お よび 同損 傷 の細 胞治 療に 有益 な 情報 を提 供し 得ると考える。

  BMSCと共培養することにより、腱由来線維芽細胞は細胞増殖能、細胞遊走能、細胞接着能が高まった。

また細胞外マトリックス産生能には変化がなかった。次に共培養の培養上澄による腱由来線維芽細胞の培 養を行ったところ、同様に細胞増殖能が高まることが分かった。以上よりBMSCは何らかの液性因子を介し て、これらの作用をもたらしていることが明らかとなった。さらにこれらの腱由来線維芽細胞の挙動に変 化を及ばした液性因子を同定すべく二次元電気泳動を用いた共培養の培養上清の蛋白解析を行った。二次 元電気泳動による蛋白分離と質量解析によって数種類の蛋白が同定された。このうち腱線維芽細胞の挙動 に変化を与える可能性のあるものはプラスミノーゲンのみであった。またプラスミノーゲンはBMSCと共培 養することにより、そのタンパク量は減少していた。次にプラスミノーゲンの腱線維芽細胞の挙動に対す る影響を確認するため、プラスミノーゲンを培養液に加えた細胞増殖試験を行った。その結果プラスミノ ーゲンは用量依存性に腱線維芽細胞に対して増殖抑制効果があることが明らかとなった。以上よりBMSCは

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何らか の機 序によ り培養 液中の プラ スミノ ーゲン量を減少させることにより腱線維芽細胞に対してfeeder 作 用をも たらし てい る可能 性が示 唆され た。

  こ れまでBMSCはさ まざ まな細 胞に対 して増 殖や分 化に影響を与えることが報告されているが、腱由来線 維 芽細胞 に関し ては 報告が 無かっ た。そ の様式 に関 しては細胞接着によるものと液性因子を介するニっの 様 式がこ れまで 言わ れてい るが、 腱由来 線維芽 細胞 に関しては液性因子を介することが分かった。また本 研 究で同 定され たプ ラスミ ノーゲ ン自体 は活性 のな い蛋白として知られているがその分解産物であるアン ギ オスタ チンとkringle―5はある 種の細 胞に 関して アポトーシスを誘導することが明らかとなっている。

ま た腱・ 靭帯由 来の 線維芽 細胞は プラス ミノー ゲン 活性化酵素を発現していることが報告されており。こ れ らの分 子が影 響し ている 可能性 が考え られた 。以 上の結果より腱・靱帯の治癒過程の幹細胞としての役 割 は既存 の線維 芽細 胞に対 してこ れらの 液性因 子を 介しての制御に関わる可能性が示唆された。またティ シ ュエン ジニア リン グの手 法を用 いて組 織再生 を行 う場合、事前に効率的に細胞数を増やす際に現在様々 な 増殖因 子の添 加が 一般的 である が、臨 床応用 を考 えた場合、増殖因子の使用は非常に高額であることや 発 癌性な どの安 全性 の確認 が必要 である などま だ問 題も多い。自家細胞で共培養の手技を用いてこの変わ り にする ことが 出来 るのは これら の欠点 をおぎ なえ る可能性があり、選択肢のーっとして考えうると思わ れ た。

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学位論文審査の要旨

    

学位論文題名

Bone Marrow Stromal Cells Act as Feeder Cells for     Tendon Fibroblasts through Soluble Factors

(腱線維芽細胞に対する骨髄間葉系細胞のfeeder 作用)

  

学位論文は骨髄問葉系細胞(以下

BMSC)

による腱線維芽細胞に対するfeeder 作用に関 するものである,BMSC はその多分化能を利用して,種カの組織再生の細胞源として注目さ れているとともに,ある種の細胞に対しfeeder 作用を持っていることが近年明らかになっ てきた.また腱・靱帯損傷は比較的頻度の多い外傷で多くは自然治癒する.腱・靱帯損傷の 治癒過程は出血期,炎症期,増殖期,成熟期の4 期に分類されており,このうち炎症期におい て線維芽細胞,血小板,自血球,BMSC を含むさまざまな細胞の侵入が起こることが分かって おり,なかでもBMSC はその治癒に幹細胞として重要な働きをしていると言われているが,

その詳細なメカニズムは依然不明のままである. BMSC の損傷腱・靱帯治癒における役割と してはニっの可能性が考えられ,一っはBMSC 自体が損傷部位で線維芽細胞に分化する事で あり,ニつ目は線維芽細胞に働きかけその生理機能を高める事である. BMSC はこれまで細 胞接着による心筋細胞や肝細胞の治癒促進,また分泌する液性因子により神経幹細胞の分 化促進がこれまで報告されている.しかしながら,腱線維芽細胞とBMSC の細胞間相互作用 については,未だ明らかではない.

  BMSC

と共培養することにより,腱由来線維芽細胞は細胞増殖能,細胞遊走能,細胞接着能 が高まった.また細胞外マトリックス産生能には変化がなかった.次に共培養の培養上澄に よる腱由来線維芽細胞の培養を行ったところ,同様に細胞増殖能が高まることが分かった.

以上よりBMSC は何らかの液性因子を介して,これらの作用をもたらしていることが明らか となった.さらにこれらの腱由来線維芽細胞の挙動に変化を及ばした液性因子を同定すべ く二次元電気泳動を用いた共培養の培養上清の蛋白解析を行った.二次元電気泳動による

    

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宏 則

     

和 明

水 田

清 安

授 授

教 教

査 査

主 副

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蛋白分離と質量解析によって数種類の蛋白が同定された.このうち腱線維芽細胞の挙動に 変化を与える可能性のあるものはプラスミノーゲンのみであった.またプラスミノーゲン はBMSC と共培養することにより,そのタンパク量は減少していた.次にプラスミノーゲン の腱線維芽細胞の挙動に対する影響を確認するため,プラスミノーゲンを培養液に加えた 細胞増殖試験を行った.その結果プラスミノーゲンは用量依存性に腱線維芽細胞に対して 増殖抑制効果があることが明らかとなった.以上よりBMSC は何らかの機序により培養液中 のプ ラスミ ノーゲン 量を減少させることにより腱線維芽細胞に対してfeeder 作用をもた らしている可能性が示唆された,

  

学位論文公開発表では、副査の安田和則教授から腱線維芽細胞に対するBMSC の作用因子 でプラスミノーゲン以外のものの存在の可能性、またプラスミノーゲンを抑制した場合の 腱線維芽細胞の挙動についての質問があり,申請者は他の蛋白の存在の可能性および今後 の研究の方向性を述べた.・次いで主査の清水宏教授より接着因子の変化についての質問が あり,申請者はその必要性に関して述べた.最後に副査の三浪明男教授より腱線維芽細胞 以外でのBMSC の作用、および接着性があがる事に対するメカニズムについて質問があり,

申請者は過去の報告を引用して他の細胞での挙動の変化を述べ,メカニズムに関しては増 殖性が上がることとの関連性を述べた.

  

この論文は,ティッシュエンジニアリングの手法を用いる上で細胞の挙動を知ることは 大変重要であり,腱線維芽細胞を用いた再生医療への応用にっながる重要な研究である点 で高く評価され,今後さらなる研究が期待される.

  

審査員一同は,これらの成果を高く評価し,大学院課程における研鑽や取得単位なども 併せ 申請者 が博士( 医学) の学位を 受ける のに充分 な資格を 有する ものと判定した.

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