釈学習の原理 : 米国アマーストプロジェクト単元
「 ヒロシマ」 を手かがりとして
著者
寺尾 健夫
雑誌名
福井大学教育実践研究
巻
40
ページ
25-36
発行年
2016-02-12
URL
http://hdl.handle.net/10098/9904
福 井 大 学 教 育 実 践 研 究2015,第40号,pp2536 実践論文
時 代 の 政 治 思 想 や 倫 理 的 判 断 に 焦 点 を 当 て た 歴 史 解 釈 学 習 の 原 理
一 米 国アマース トプ ロジェク ト単元 「ヒロシマ」 を手かが りとして 一
福井大学教育地域科学部
寺
尾
健
夫
本 稿 の 日的 は,政 治 思想 や 倫 理 的判 断 と関 係 す る社 会 問 題 に焦 点 を 当 て て 時 代 像 の 解 釈 を行 い,時 代 の 特 色 を 理解 す る歴 史 学 習 の 原 理 を 一般 化 す る こ と,そ して こ の原 理 に基 づ い て,時 代 の特 色 を 学 習 者 に理 解 させ,構 成 させ る方 法 を解 明す る こ と で あ る。 この 目的 を 達 成 す る方 法 と して,1960年 代 の 米 国 で 新 社 会 科 と して 開 発 され た ア マ ー ス トプ ロ ジ ェ ク トの 単 元 「ヒ ロシ マ 」 の分 析 を 通 して,政 治 思 想 や 倫 理 的判 断 に 焦 点 を 当 て て 時 代 の特 色 を 理 解 す る歴 史 学 習 の 原 理 と方 法 の 抽 出 を試 み た 。 そ の結 果,3 つ の学 習 原 理 とそ れ ぞれ の 原 理 に準 拠 した 学 習 方 法 が 明 らか と な っ た。 さ ら に,ア マ ー ス ト単 元 「ヒ ロ シマ 」 で の,政 治 思 想 や 倫 理 的判 断 に 焦 点 を 当 て た歴 史 学 習 は,構 築 主 義 歴 史 学 習 と して は認 知構 築 主 義 に基 づ く もの とな っ て い る こ と,お よび 学 習 者 の さ らな る主 体 的歴 史 理 解 を促 進 す る に は社 会構築 主 義 の 考 え方 か ら得 られ る学 習 原 理 を追 加 した 単 元 を新 た に 開発 す る必 要 性 が 示 唆 され た 。 キ ー ワー ド:歴 史 学 習 社 会 問題 構 築 主 義 平 和 学 習 倫 理 的 判 断 1問 題 設 定 本 稿 の 目的 は,政 治 思 想 や 倫 理 的 判 断 と 関係 す る社 会 問題 に焦 点 を 当て て 時 代 像 の 解 釈 を行 い,時 代 の 特 色 を 理 解 す る歴 史 学 習 の 原 理 を一 般 化 す る こ と,そ して 時 代 の 特 色 を学 習 者 に理 解 させ,構 成 させ る方 法 を解 明す る こ とで あ る。 時 代 の 特 色 につ い て の 学 習 者 の 理 解 は複 合 的 な構 造 に な って い る。 ま ず ① 歴 史 上 の 人 物 と 出来 事 の 関係(出 来 事 は人 物 に よ って 作 り出 され て い る)の 理 解 が な され, そ して 次 に② 人 物 の 学 習 を含 ん だ 形 で 出来 事 が 理 解 され る。 さ らに③ 当該 時 代 に影 響 を与 えた 他 の 出来 事 の 理 解 も な され る。 これ ら① ② ③ の 理 解 の 上 に,学 習 者 は時 代 の 特 色 を理 解 す る とい う構 造 に な って い る。 時 代 の 特 色 を この よ うに複 合 的,階 層 的 に理 解 す る方 法 と して,学 習 者 自身 が 現 在 の 社 会 の 解 釈 の 在 り方 を 問 題 と し,文 書(テ キ ス ト)を 手 掛 か りと して 歴 史 を読 み 解 き,出 来 事 の 解 釈 を主 張 と して 作 り上 げて い く とい う 方 法 を と る。 この よ うな考 え方 は 「歴 史 は作 られ る」 と い う歴 史 構 築 主 義 の 考 え方 と重 な る もの で あ る。 歴 史 構 築 主 義 に基 づ く歴 史 学 習 は,一 人 ひ と りの 学 習 者(認 知 主 体)が 既 有 の 知 識 や 経 験 を基 に過 去 の 出来 事 を意 味 づ け,歴 史 像 を 自分 な りに再 構 成 す る こ とで 歴 史 理 解 を 自律 的 に発 展 させ る こ とが で き る とす る考 え方 で あ り,米 国で 先 進 的 に展 開 して きた 。 構 築 主 義 に は① 認 知 構 築 主 義 と② 社 会 構 築 主 義 の2つ の タイ プ が あ る。 ① 認 知 構 築 主 義 は,知 識 は客 観 的 な もの で は な く,認 知 主 体 に よ って 選 択 的,多 面的 に構 成 され る こ と,そ して 意 味 構 成 に基 づ い て 知 識 が 構 成 され る こ と を強 調 す る考 え 方 で あ る。 ま た ② 社 会 構 築 主 義 は,認 知 構 築 主 義 の 考 え 方 を基 礎 と しっ っ,知 識 は社 会 的 に構 築 され る と して, 知 識 形 成 にお け る言 語 や 文 化 的 な コ ンテ ク ス トの 役 割, 対 話 的 ・共 同的 なイ ン タ ラ ク シ ョン に よ る探 求 活 動 を重 視 す る考 え方 で あ る1)。 本 稿 で は,冒 頭 に示 した 研 究 目的 を達 成 す るた め に, 米 国 にお い て1960年 代 か ら70年 代 にか けて 開発 され た 新 社 会 科 の ひ とつ,ア マ ー ス トプ ロ ジ ェ ク トの 単 元 「ヒ ロ シマ ー戦 争 の 科 学,政 治 学,倫 理 学 につ い て の 研 究 一」 を分 析 す る こ と に よ って 時 代 像(時 代 の 特 色)の 解 釈 学 習 の 学習 原 理 を析 出 し,そ の意 義 と課 題 を 明 らか にす る。 単 元 「ヒ ロ シマ 」 は,社 会 構 築 主 義 に基 づ く時 代 像 学 習 で あ る。 現 在 の 歴 史 学 習 の 課 題 は,人 物 と 出来 事 の 関係 を どの よ うに理 解 させ るか,そ して 出来 事 と 出来 事 との 関係 の 解 釈 で あ る時 代 の 特 色(時 代 像)を どの よ うに理 解 させ るか で あ る。 本 単 元 は これ らの 課 題 につ い て,政 治 思 想 や 倫 理 的 判 断 と 関係 す る社 会 問題 の 理 解 や,社 会 問題 の 解 決 の た め に どの よ うな意 思 決 定 が 行 わ れ た か を 理 解 させ,こ れ らの 理 解 を媒 介 と して 時 代 の 特 色 を理 解 させ る とい う方 法 を用 い た 時 代 像 学 習 の 原 理 を示 して い る と考 え られ る。 2ア マ ー ス トプ ロ ジ ェ ク ト単 元 「ヒ ロ シ マ 」 の 構 成 単 元 目標 アマ ー ス トプ ロ ジ ェ ク トの 歴 史 カ リキ ュ ラ ム で は基 本 的 に,(a)歴 史研 究 の方 法 の理 解,(b)歴 史 研 究 の 方 法(能 力 ・技 能)の 習 得,(c)歴 史 研 究 や 歴 史 の 意 義 の理 解,の3つ が 中心 目標 と して設 定 され て い る2)。 これ らの 目標 を達 成 す る方 法 と して,学 習 者 が 既 有 の 知 識 や 経 験 を基 に して 歴 史 の 事 実 につ い て 問い を立 て,自 分 自身 の 結 論 を導 き 出 して い く探 求 的 な学 習 を組 織 し, 特 に史 料 の 活 用 を基 礎 に した 研 究 型 の 学 習 方 法 を と って い る。この よ うな特 徴 に沿 って,単 元 「ヒ ロ シマ 」 で は基 本 的 な 目標 と して,意 思 決 定 の 過 程 の 複 雑 さ に気 づ か せ, よ り普 遍 的 な意 思 決 定 の モ デ ル を獲 得 す る とい う 目標 が 設 定 され て い る。 また 学 習 す る 内容 と して は 「リー ダー シ ップ と意 思 決 定 」,「民 主 主 義 と外 交 」,「大 統 領 の 職 務 」 の3つ の 枠 組 み が考 え られ て い る(Brown&Traverso,1970)。 具 体 的 に は,原 爆 の 使 用 は軍 事 的 に必 要 な行 為 で あ り多 くの アメ リカ 人 の生命 を救 うとい う理 由 で使 用 を命 じた トル ー マ ン大 統 領 や,こ の 決 定 に 関わ った 彼 の 政 策 ス タ ッ フが 取 り上 げ られ る。 そ して これ らの 意 思 決 定 者 の 決 定 方 法 が 様 々 な観 点 か ら吟 味 され る。 例 え ば,① 意 思 決 定 者 が 無 意 識 の うち に決 定 の 基 準 と して い る歴 史 的 コ ンテ クス ト,② 基 準 と な って い る情 報 の ソー ス ・信 頼 性 ・有 用 性,③ 科 学 者 と意 思 決 定 者 の 関 係,④ 意 思 決 定 の プ ロセ ス に影 響 を及 ぼす と思 わ れ る道 徳 性 の 観 念,な どが 吟 味 され る。 そ して,政 策 決 定 者 が 何 を倫 理 的 基 準 と して 政 策 決 定 を行 った の か,さ らにそ の 決 定 が 合 理 的 な もの で あ った か につ い て 追 究 す る よ うに な っ て い る(Brown,1996)。 ま た これ らの 学 習 内容 は,社 会 生 活 の 中で 学 習 者 に活 用 され る こ とが 意 図 され て い る。 学 習 者 は原 爆 使 用 の 是 非 を検 討 す る 中で,愛 国心 や 政 治 的 意 思 決 定 の 方 法,科 学 革 命 の 時 代 にお け る科 学 者 や 科 学 研 究 の 成 果 と社 会 との 関係,人 命 の 救 済 とい った 人 道 主 義 的 な感 情 な ど につ い て の,真 実 と誤 謬 を も った 仮 定 条 件 の 基 で 意 思 決 定 が 行 わ れ て い た こ と を理 解 す る。 そ して これ らを 自分 な りに意 味 づ け,学 習 者 が 社 会 生 活 にお い て 上 記 の 意 思 決 定 の 問題 点 を克 服 して,よ り合 理 的 な意 思 決 定 を行 って い く必 要 性 を 自覚 し,実 践 して い く よ うに な る こ とが この 単 元 で は 目ざ され て い る。 授 業 過 程 単 元 の 概 要 は以 ドの よ うで あ る(表1参 照)。 この 単 元 で は,中 心 発 問 と して 「原 爆 は なぜ 投 下 され た の か?」 とい う問い が 設 定 され て い る。 この 中心 発 問 は さ らに,「原 爆使 用 の決 定 は合理 的 な決 定 で あ った の か?」 と 「原 爆 の 使 用 は道 徳 的 に正 しか った の か?」 の2つ の 下 位 発 問 に分 け られ る。 そ して,こ れ らを基 に して,史 料(記 録 文 書 や 回 想 録,イ ン タ ビ ュー 記 録 な ど)の 解 釈 を通 して 原 爆 投 下 の 理 由 を追 究 す る こ と に な る。 こ こで は,史 料 に基 づ く 「歴 史理解 の方 法 」 の 理解 も な され る。 学 習 者 は これ らの 中心 的 な 問い に答 えて い く こ とで,単 元 で 設 定 され て い る 目標 を達 成 して い く よ うに な って い るの で あ る。 学 習 過 程 で は,被 爆 者 の 手 記,雑 誌 の 記 事,報 告 書, 回 想 録,イ ン タ ビ ュー の 記 録 な どの 文 書 を利 用 し,史 料 解 釈 を 中心 と した 歴 史 学 の 方 法 に基 づ い て 単 元 の 中核 と な る 問い を追 求 し,歴 史 理 解 を発 展 させ て い る。 本 単 元 は表1に 示 す よ うな6つ の パ ー トで 構 成 され て い る。 表 の 縦 軸 に は各 パ ー トを時 系 列 に沿 って 示 し,横 軸 に は各 パ ー トにお け る歴 史 理 解 の 構 造 を示 す た め に5 つ の欄 を 設 定 して い る。 横 軸 で は 表 の 右 か ら順 に,「 理 解 の 対 象 」 の 欄,各 パ ー トで 教 師 が 行 う 「主 な 問い と指 示 」 の欄 を設 けた。 そ して そ の左 に は 「歴 史理 解 の 内 容 」 の 欄 を2つ 設 け,事 実 理 解 の レベ ル を経 て 本 質 的 な レベ ル に 至 る2段 階(「 歴 史 理 解 の 内容 レベ ル1」,「 歴 史 理 解 の 内容 レベ ル2」)に 区 分 して示 した 。 最 も左 に あ る 「認 識 過 程 」 の 欄 で は ,右 隣の2段 階の 「歴 史 理 解 の 内 容 」 を踏 ま えて,原 子 爆 弾 が 投 下 され た 当時 の 時 代 の 特 色(時 代 像)に つ い て 学 習 者 が どの 様 に理 解 して い くか を示 した 。 パ ー ト1のAで は,広 島へ の 原 爆 投 下 につ い て,被 爆 当事 者 で あ る子 ど もや そ の 家 族 が どの 様 に考 えて い るか が 問わ れ る。 そ して,原 爆 の 使 用 に は賛 否 両 論 が あ り, 現 在 も人 々が そ の 是 非 を論 争 して い る社 会 問題 で あ る こ と が 自覚 され る。 続 い て,文 集 『原 爆 の子 』(長 田新 監 修)に あ る 当時 の 子 ど もの 被 爆 体 験 の 手 記 や 被 爆 に 関す る 医学 報 告 書,被 爆 者 の 現 状 につ い て の ニ ュー ヨー ク タ イ ム ズの 特 集 記 事 な ど を読 み,ヒ ロ シマ の 問題 が 人 道 主 義 的 理 念 と政 策 ・戦 略 との 間の 「解 決 す べ き ジ レンマ 」 で あ り,ま た 核 と人 々の 関わ りにつ い て の 「現 代 的 社 会 問題 」 と して 自覚 され る。 続 い てBで は,な ぜ 広 島へ 原 爆 が 投 ドされ た の か が 問 わ れ る。 これ に対 して は,大 統 領 原 子 力 政 策 顧 問で あ っ た ス テ ィ ム ソ ンの 声 明か ら,公 式 に は原 爆 の 投 下 は 口本 の 早 期 降 伏 と米 軍 犠 牲 者 の 最 小 化 とい うメ リッ トを論 拠 と し,日 本 の 軍 事 力 は なお 強 大 で 本 土 侵 攻 作 戦 で は米 兵 の 甚 大 な被 害 が 出 る とい う推 測 的 事 実(デ ィ メ リッ ト) を論 拠 に して 原 爆 が 投 下 され た こ と を理 解 す る。 続 い て 学 習 者 は この 声 明 を分 析 し,正 当化 の 論 拠 と な って い る 推 測 的 事 実 が 疑 わ しい もの で あ る こ と,米 国の 人 道 主 義 的 な伝 統 か ら見 る と米 軍 の 犠 牲 の 最 小 化 と広 島の 人 々の 某 大 な被 害 との 問 に は矛 盾 が あ り,原 爆 投 ドの 正 当化 に は大 き な疑 問点 が あ る こ と に気 づ く。 続 い て,こ の 疑 問 を解 くた め に は原 爆 投 下 の 是 非 を軍 事 的,政 治 的,科 学 的,外 交 的,倫 理 的 観 点 か らよ り多 角 的 に評 価 す る必 要 が あ る こ と を教 師 が 提 起 し,そ れ ぞ れ の 観 点 を基 に,原 爆 の 投 下 に 関わ った 人 々の 証 言 や 手 紙,回 想 録 とい っ た史 料 を手掛 か りに した検 討 へ と進 む。 パ ー ト2で は,原 爆 投 下 の 是 非 が 軍 事 的 観 点 か ら検 討 され る。 ま ずAで は,ス テ ィ ム ソ ンの 声 明の 正 当性 につ い て そ の 基 礎 と な って い る事 実 が 確 認 され る。 史 料 か ら 太 平 洋 で の 米 軍 の 大 き な被 害 状 況 が 確 認 され,当 時 の 軍 の 指 導 者 た ちが 戦 局 に苦 慮 して い た 時 代 的 背 景 が 理 解 さ れ る。 続 くBで は,側 近 の 回 想 録 や 歴 史 家 の 著 作 か ら軍 の 最 高 司令 官 と して の 大 統 領 の 執 務 状 況 が 確 認 され,就 任 間 もな い トル ー マ ン大 統領 が 政策 決 定 を政府 ス タ ッフに頼 っ て い た こ と,原 爆 開発 計 画 につ い て も就 任 直 後 に初 めて 知 り,原 爆 の 知 識 が ほ とん ど無 か った こ とが確 認 され る。 そ して 原 爆 投 ドの 正 当化 にお け る大 統 領 自身 の 立 論 の 主
時 代 の政治 思想 や倫 理的 判 断に焦 点 を当 てた歴 史解 釈学 習 の原 理 体 性 や 主 張 の 基 礎 と な って い る事 実 や 論 拠 に 問題 が あ る こ とが 明 らか に され る。 さ らにCで は,軍 人 達 の 証 言 史 料 か ら,日 本 侵 攻 作 戦 の 立 案 過 程 にお け る原 爆 使 用 の 提 案 の 曖 昧 さが 明 らか に され る。 作 戦 会 議 で は 当初 は空 爆 と海上 封 鎖 に よ る作 戦 が 決 定 され 大 統 領 も承 認 して い た が,そ の 後 陸 軍 の 強 い 主 張 で 日本 本 土 侵 攻 作 戦 に変 更 され 大 統 領 も この 変 更 を 承 認 した 。 しか し,戦 局 の 最 終 段 階 で は,米 軍 犠 牲 者 の 最 小 化 を論 拠 に して 原 爆 の 使 用 が 突 然 決 定 され た 事 実 が 理 解 され る。 ま た 海 軍 と空 軍 の 指 導 者 の 回 想 録 か らは, 彼 らは原 爆 を使 用 す る必 要 を認 めて い なか った こ と,作 戦 の 決 定 に は軍 部 内部 で の 陸 軍 に よ る覇 権 競 争 が 作 用 し て い た こ とが 明 らか に され る。 そ して,作 戦 会 議 で は複 数 の 作 戦 相 互 の 比 較 検 討 も な く,原 爆 の 使 用 は規 定 の 前 提 と な って お り,作 戦 決 定 にお い て は原 爆 使 用 の 是 非 そ の もの が論 題 とな らな か った とい う問題 点 が理 解 され る。 Dで は,ト ル ー マ ンの 回 想 録 を基 に,ポ ツ ダ ム会 談 時 に米 国が 核 実 験 に成 功 した 後 の 意 思 決 定 の 過 程 が 検 討 さ れ る。 そ の 結 果,作 戦 会 議 で は,大 統 領 は 目本 本 土 侵 攻 作 戦 で の 米 軍 の 被 害 を確 認 した 後,す ぐ に原 爆 の 投 下 候 補 都 市 を尋 ね,広 島 と長 崎 が 候 補 に挙 げ られ た こ と,原 爆 の 使 用 の 是 非 はま った く議 論 され なか った こ とが 確 認 され る。 さ らに核 実 験 成 功 後 にお い て も使 用 の 是 非 は論 題 と な らなか った こ と,原 爆 投 下 は決 定 者 不 在 の 非 合 理 な作 戦 で あ った 可 能 性 が あ る こ と を理 解 す る。 そ して 最 後 のEで は,戦 後 の 日本 軍 人 へ の 尋 問報 告 書 や 民 間人 の 回 想 録 を通 して 日本 の 軍 事 力 が 実 際 に は壊 滅 状 態 で あ った 事 実 が 明 らか に され る。 そ してA,B,C, D,Eで 得 られ た 理 解 を統 合 す る こ とで,軍 事 的 に は原 爆 の 使 用 方 法 の み が 検 討 され,使 用 の 是 非 や 別 の 作 戦 の 選 択 はま った く論 題 と して 据 え られ なか った こ と,原 爆 の 使 用 の 正 当化 の 論 拠 と な って い た 日本 の 軍 事 力 につ い て の 推 測 的 事 実 は 間違 い で あ り,正 当化 の 主 張 自体 が 成 り立 た な い もの で あ っ た こ とが 明 らか に され る。 そ して, 大 統 領 を 中心 と した 軍 事 的 意 思 決 定 の 機 能 が 不 完 全 な状 態 に あ った とい う当時 の 状 況 の 特 色 が 理 解 され る。 次 の パ ー ト3で は,原 爆 の 使 用 の 是 非 が 「科 学 と政 治 の 社 会 的 関係 」 の 観 点 か ら検 討 され る。 こ こで は,科 学 者 達 の 回 想 録 を も と に,ド イ ツが 実 際 に は核 開発 を して い なか った とい う事 実 を知 った 核 物 理 学 者 達 は,原 爆 を 使 わ ない 別 の 示 威 的 方 法 を提 案 した こ と,し か しこの 提 案 が 専 門性 を生 か した 科 学 者 の 社 会 的 貢 献 の 試 み で あ っ た に も拘 わ らず,科 学 者 間で の 意 見 の 不 一 致 が あ った こ とや 原 爆 使 用 検 討 委 員 会(暫 定 委 員 会)の 答 申 に十 分 に 反 映 され なか った こ とが 原 因 で,結 果 と して 政 治 指 導 者 の 意 思 決 定 の 要 素 と は な らなか った こ とが 明 らか に され る。 そ して,科 学 者 の 専 門的 知 識 や 考 え方 を論 拠 と した 意 思 決 定 は行 わ れ なか った とい う問題 点,さ らに科 学 技 術 の発 展 が著 しか った 当時 におい て は,専 門的知 識 を持 っ た 科 学 者 が 政 治 的 意 思 決 定 の 過 程 に参 画 で き る機 会 が あ り得 た とい う,当 時 の 時 代 的 特 色 が 理 解 され る。 続 くパ ー ト4で は,国 際 関係 の 観 点 か ら原 爆 の 使 用 の 是 非 が 検 討 され る。 ま ずAで は,大 統 領 の 側 近 や 日本 の 外 務 大 臣の 回 想 録 や 報 告,イ ン タ ビ ュー,米 国の 対 日外 交 交 渉 の 条 件 と して の 天 皇 の 在 位 保 証 の 有 無 が 口本 の 降 伏 を早 期 化 させ た か ど うか が 検 討 され る。 そ の 結 果,米 国政 府 情 報 部 の 専 門家,陸 軍 や 海 軍 の 大 臣,大 統 領 も天 皇 の 在 位 保 証 を基 本 的 に認 めて い た こ と,天 皇 の 在 位 保 証 は 目本 政 府 に と って も降 伏 の 必 須 条 件 と な って お り, この 保 証 に よ って 原 爆 の 使 用 を回 避 して 目本 の 早 期 降 伏 を実 現 す る可 能 性 が あ った こ と,し か しこの よ うな指 導 者 達 の 意 思 や 状 況 に も拘 わ らず,外 交 に よ る 日本 の 降 伏 が 選 択 肢 と して 検 討 され る こ と な く原 爆 の 使 用 が 決 定 さ れ た とい う問題 点 が 明 らか に され る。 また 東 郷 茂 徳 外 務 大 臣の 回 想 録(東 郷,2007)な どか ら,口 本 側 も ポ ツ ダ ム宣 言 を受 諾 しよ うと して い た 事 実 が 明 らか と な り,原 爆 の 使 用 の 決 定 に疑 問が 投 げか け られ る。 そ して,こ の よ うな米 国外 交 の 問題 点 の 検 討 を通 して,戦 後 米 国が 軍 事 的 強 硬 外 交 か ら協 調 外 交 に転 換 した とい う時 代 的 特 色 につ い て も学 習 者 は理 解 す る こ と に な る。 次 のBで は,原 爆 使 用 の 決 定 と対 ソ外 交 の 関係 に焦 点 が 当て られ る。 国際 情 勢 の 変 化 に よ り,ソ 連 の 勢 力 拡 大 へ の 車 制 とい う別 の 理 由が 原 爆 使 用 の 決 定 に影 響 して い た こ と,そ の た め原 爆 使 用 はス テ ィ ム ソ ンの 声 明 に あ る 正 当化 の 理 由 と は別 の,対 ソ政 策 とい う理 由 に よ って 歪 め られ て い る こ とが 明 らか と な る。 ま た,こ の よ うな外 交 的 背 景 の 理 解 を基 に して,米 ソ冷 戦 へ と移 行 す る 当時 の 時 代 的 特 色 が 理 解 され る よ うに な って い る。 パ ー ト5で は,原 爆 の 使 用 の 是 非 が 倫 理 的 観 点 か ら検 討 され る。Aで 検 討 され るの は,時 代 と共 に変 化 す る人 命 の 尊 重 に対 す る道 徳 的 理 念 で あ る。 こ こで は,原 爆 投 ド以 前 の10年 間 にわ た る空 爆 とそ の 犠 牲 者 につ い て の 新 聞 の 見 出 し表 現 の 変 化 が 検 討 され る。 そ の 結 果,新 聞 の 見 出 しの表 現 か らは,非 戦 闘員 の無 差 別殺 鐵 が常 態 化 し, 人 命 の 尊 重 に対 す る意 識 が 薄 れ て きて しま った とい う時 代 的 風 潮 が 明 らか と な る。 ま た 原 爆 投 下 直 前 の 世 論 調 査 で は,原 爆 の 使 用 を容 認 す る傾 向が あ り,良 心 の 呵 責 を 感 じる 国民 が わ ず か で あ った こ と,一 方,対 目復 讐 心 が 先 鋭 化 した 世 論 に押 され て,政 治 家 も これ に対 処 す る政 策 を迫 られ て お り,こ こで も原 爆 投 ドの 是 非 に 関す る意 思 決 定 に は 日本 の 早 期 降 伏 や 米 軍 の 被 害 の 最 小 化 とい っ た 基 準 とは別 の 要 素 が影 響 して い た事 実 が 明 らか にな り, 原 爆 投 下 の 正 当化 は難 しい こ とが 理 解 され て い る。 そ の 一 方 で ,原 爆 使 用 の 是 非 の 検 討 で は,ロ ー マ 教 皇 の 声 明 が 示 して い る よ うに,原 爆 は犯 罪 兵 器 で あ り,人 間の 尊 厳,信 頼,威 信 を奪 って しま うも ので あ る とい う普 遍 的, 人 道 主 義 的 な理 念 が,原 爆 使 用 の 是 非 を検 討 す る上 で の 最 も重 要 な基 準 と な る こ と を理 解 す る。 そ して 次 のBで は,科 学 者 達 が 科 学 と政 治 との 新 しい 関係 と して,ア イ シ ュ タイ ンが 行 って い る よ うな平 和 運
表1単 元 「ヒ ロ シ マ 」 の 構 成 段 階 認識過程 歴 史理 解 の 内容 レベ ル2 歴 史 理解 の 内容 レベル1 主 要 な 問 い と 指 示(◎ 中 心 発 問,0発 問,・ 補 助 発 問,◆ 指 示) 理 解 の 対 象 パ ー ト ー ・ヒ ロシマ へ の原 爆 投 下 の 是 非 は 現 在 も未 解 決 の 社 会 問題 で あ り, 自分 自身 や 社 会 的 決 定 の 在 り方 の 理 解 に つ な が る。 ・原爆 使 用 の政 治 的 理 由 と 米 国 の 人 道 主 義 の 考 え 方 と が 矛 盾 す る か ど う か は 判 断 が ど の 様 に 行 わ れ て い る か を 様 々 な 視 点 か ら 検 討 す る こ と に よ っ て 明 ら か に な る。 ヒロシマへの原 爆 投 下 は 人 類 史 上 極 め て 重 大 な 出 来 事 で あ り現 在 も継 続 中 の 社 会 問題 であ る。 ・原爆 投 下 が決 定 され た理 山は,こ れ に 関 係 し た 人 物 の 文 書 や 言 明 の 特 質 と 妥 当 性 の 吟 味 を 通 して 追 究 で き る。 A ・米 国 には原 爆 投 下 に反 対 す る人 と, 必 要 な 軍 事 行 動 と して賛 成 の 人 が い て 意見 が 対 、ヒして い る。 ・原 爆 投 下決 定 の是 非 の理 解 は ,社 会 にお け るわ れ われ 自身 の 意 思 決 定 の 在 り方 の 理解 につ なが る。 ・広 島の 人 々は原 爆 に よって 物理 的 , 肉体的,精 神 的,遺 伝 的被 害 を受 け, そ の被 害 は現 在 も続 い て い る。 ・ヒバ クシ ャは原 爆 投 下 時 に肉体 的 被 害 を受 けた だ けで な く現在 も遺伝 的, 精神 的 被 害 を受 け,そ の苦 しみ は現 在 もなお 続 い てい る。 ・原 爆 投 下 の是 非 につ い ての 問題 は現 在 も解 決 を迫 られ て い る社 会 的 意 思 決 定 の在 り方の 問題 とな っ てい る。 A Oあ な た や あ な た の家 族 は広 島 へ の 原 爆 投下 を どの様 に考 えて きた の か? 0人 々の 考 え方 は なぜ 異 な って い るの か? 0目 本 人 と米 国人 の どち らの 生 命 が 重 要 か? ◎ 原 爆 は 広 島 に どの様 な被 害 を 与 え た の か?ど の様 な犠 牲 者 を 出 し,人 々 の生 命 に どの様 に作 用 した の か? 0子 ど も達 は原 爆 投 下 直 後 に どの 様 な 経 験 を した のか? 0科 学 者 は原 爆 の 医学 的影 響 を どの 様 に 報 告 してい るか? 0医 師 は 被 爆 者 の苫 悩 を どの 様 に 報 告 し てい るか? 0現 在 の 新 聞 や 定 期 刊 行 物 は原 爆 の 物 理 的,肉 体 的,精 神 的被 害 を現 在 の 問題 と して どの様 に知 らせ て い るか? 時 代 の 特 色 理 解 の た め の 基 本 指 標 の 形 成 指 導 者 の 意 思 決 定 の 方 法 的 問 題 の 確 認 B ・原爆 の使 用 は 日 本 の 早 期 降 伏 と 米 軍 犠 牲 者 の 最 小 化 を 理 由 と し て行 われ た。 しか し 方 で,現 在 も 日本 人 に 多 大 な 被 害 を も た ら し てお り,大 虐 殺 の 事 実 と原 爆 投 ド の 理 由 の 間 に は 解 決 す べ き ジ レ ンマ が あ る。 ・原爆 投 ドの 問題 は 政 治 的,軍 事 的,外 交 的,倫 理 的 観 点 か ら多 角 的 に 評 価 され る 必 要 が あ る。 B ・大統 領 の原 子 力政 策 顧 問ス テ ィ ム ソ ンの声 明 は,日 本 の早 期 降伏 と米 軍 犠 牲 者 の 最 小 化 を論 拠 と して原 爆 投 ド を正 当化 した。 ・原 爆 投 ドは,日 本になお十分な戦争 継 続力 が あ り,降 伏 は早 く とも1946 年 末 にな り,日 本 本 ±侵 攻 で は米 軍 に 多 大 な 死 傷 者 が 出 る とい う予 測 を 某 に,戦 争 を短 期 に終 わ らせ て 甚大 な人 的損 失 を避 け る理 由で 決 定 され た。 ・ステ ィム ソ ンの声 明 は米 国 の人 道 主 義 的 伝 統 と矛 盾 す る ジ レン マ を含 ん で い た。 ・原 爆 投 ドの賛否 につ い て の評価 は, 原爆 が軍 事 的,政 治 的,科 学 的,外 交 的,倫 理 的観 点 か らどの様 に決 め られ た の か につ い て の検 討 を 通 して行 わ れ る必 要 が あ る。 B ◎原 爆 は なぜ 投 ドされ た のか? ○ 原 爆 投 ドの 決 定 に は どの様 な 要 素 が 働 いて い た のか? ○原 爆 は どの様 な効 果 を生 ん だ のか? ○ ス テ ィ ム ソ ン が示 した原 爆 投 ドの 理 由 は どの様 な もの だ った のか? ○ 大 虐 殺 の事 実 と原 爆 投 ドの 理 由 と を ど の様 に両立 させ る こ とがで き るか? ○ ス テ ィ ム ソ ン の言 明 は どの様 な 事 実 に 依 拠 してい るか? ○ ス テ ィ ム ソ ン の判 断や 根 拠 と して い る 事実 は どれ 程 正確 な の か? ○ 声 明 は 原 爆 投 ドと人 類 の 関係 に つ い て 何 を提 起 して い るの か? ◎ 政 治 指 導 者 達 が 挙 げ た原 爆 投 ドの 理 由 は,米 国が 現在 もな お誇 り とす る人 道 主 義 の伝 統 とどの様 に両 立す るのか? パ ー ト 2 ・原爆 使 用 の決 定 は,人 間が 真 実で あ る と考 え て い た 誤 っ た 事 実 に 基 づ い て 行 わ れ た 不 十 分 な 意 思 決 定 で あ った。そ の た め 政 策 決 定 は よ り緻 密 な 事 実 の 吟 味 と判 断 の トに 構 築 され る必 要 が あっ た。 ・原爆 使 用 の是 非 の検 討 は,十 分 な 社 会 的 決 定 の 過 程 を 経 る こ と な く行 わ れ た 可能 性 が あ り,政 策 決 定 に は 社 会 的 吟 味 の 過 程 が 不F・∫ 欠 で あ る。 A ・原爆 使 用 の決 定 は,日 本 の 軍事 力 に つ い て の 予 測 的 事 実 を 中 心 的 な 基 礎 と し て 行 われ た が,そ の事 実 に は 誤 り が あ り,原 爆 使 用 の決 定 は 誤 っ た 前 提 に 基 づ く 不 十 分 な判 断 であ っ た。 A ・米軍 は 太平 洋戦 域 で 島渡 り作戦 を展 開 して前進 して い たが,硫 黄 島 の激 戦 や カ ミカ ゼ 攻 撃 な どで甚 大 な被 害 を 出 し,戦 略 に苦 慮 して い た。 ・原 爆 使 用 の決 定 では 軍 の指 導者 が 示 した 日本 の 国力 判 断 と本 十侵 攻 作 戦 にお け る損 害 予 測 が最 大 の 基礎 に な っ て いた。 ・一部 の 軍事 指 導者 は1945年1月 の 早い 段 階 で 既 に原 爆 の使 用 を 示 唆 し て い た。 A ◎ 原 爆 の 使 用 を決 定 した 最 大 の 理 由 は 何 で あっ た のか? 0原 爆 投 下 は ど の様 な過 程 で 決 定 され た のか? 0太 平 洋 戦 域 で は 日本 軍 は どの様 な 戦 い 方 を して いた か? 0米 軍の被 害 は どの程度 だっ た か? 0米 軍 の 指 導 者 達 は原 爆 使 用 の 最 終 的 決 定 に どの様 に関 わ った のか? 0海 軍大 臣 フ ォ レス タル は女性 市 民 の 嘆 願 に どの様 に回答 した か? 軍 事 的 戦 略 璽 変 化 に つ い て の 時 代 の 特 色 の 理 解 論 題 ● 論 拠 ● 事 実 を 視 点 に し た 意 思 決 定 の 方 法 の 検 討 B ・原爆 の投 下命 令 は 大 統 領 が 出 し たが,決 定 の判 断 は 大 統 領 自身 に よ る も の か は 疑 わ しく,大 統領 の 責 任 あ る ト分 な 判 断 を 経 た 決 定 で は な か っ た 可 能 性 が あ る。 B ・大統 領 は軍 の最 高 司令官 と して軍 事 作 戦 の最 高決 定権 を もっ てい る。 ・トル ー マ ンは1944年 に副 大統 領 に な る まで 無 名の 上 院議 員 で,そ れ 以 後 も重要 な 政策 決 定 の経 験 が無 か った 。 ・彼 は原爆 の開発 計 画 を就 任 直後 に初 めて知 り,1945年4月 時 点 で は原爆 に関す る知識 が ほ とん ど無 か っ た。 ・彼 は大 統領 就任 当初 は些 細 な こ と も 前大 統 領 の ス タ ッフ の 意 見 を 参 考 に して政 策 決 定 を してい た。 B O大 統 領 は軍 事 的 には どの様 な地 位 に あ るか? 0ト ル ー マ ン大 統領 は どの様 な経 歴 や性 格 を もった 人 か? 0ト ル ー マ ン大 統領 は原 爆 の 開発 計 画 を いつ 知 った の か。 0大 統 領就 任 後 の彼 の 執務 状 況 は ど うで あ った か? 0政 策 決 定 は彼 自身 が行 って い た と 言え る のか? C ・就任 間 もな い ト ル ー マ ン 大 統 領 は 軍 部 に 作 戦 案 を提 出 させ た が, 承 認 した 作 戦 は 軍 内 部 で の 覇 権 の 推 移 に よ っ て 変 化 した。7月 の 会 議 で 突 然 提 案 さ れ た 原 爆 の 使 用 に つ いて も,会 議 で 十 分 な 議 論 が 無 い ま ま 作 戦 C ・統合 参 謀本 部 で の 日本侵 略 作戦 の 立 案 過程 で は,陸 軍 は1945年 の春 に九 州 か らの 日本 本 土侵 攻 作戦 を主 張 し, 海 軍 と空 軍 は海 上 封 鎖 と空爆 の み で 降伏 を待 つ作 戦 を 主張 して,米 軍 内部 の 意見 は 致 して いな か った 。 ・そ の後 ,空 と海 の封鎖の継続 と増強 に よ って 日本 を崩 壊 させ る 作 戦 案 が 統合 参 謀本 部 の 致 意 見 とな り,大 統 領 も この 作戦 案 を承 認 してい た。 ・さ らに 陸軍 に よる 日本本 ±侵 攻 作 戦 の 強 い 主 張 の た め に6月 ド旬 の 会 議 で は 海 軍 が 不 本 意 な が ら陸 軍 の 意 見 C O陸 軍 と海 軍,空 軍 は 日本 を 降伏 させ るた め に どの様 な 作戦 を考 えて い た のか? ○ 軍 事 指 導 者 達 の意 見 の違 い に は どの 様 な特 徴 が あ るか? ○ 陸,海,空 軍 の最 高 司令 官 た ちの 間 には なぜ 意 見 の不 致 が 生 じて い た のか? ○意 見 の 不 致 は どの様 に して解 消 され た のか?
時 代 の政治 思想 や倫 理的 判 断に焦 点 を当 てた歴 史解 釈学 習 の原 理 が決 定 され た。 ・トル ー マ ン大 統 領 は 基 本 的 に 侵 攻 作 戦 で の 犠 牲 者 の 最 小 化 を 基 に 原 爆 の 使 用 を 決 定 したが,そ の 決 定 に は陸,海, 空 軍 の 覇 権 の 思 惑 が 複 雑 に 作 川 して い た。 に従 った こ と で 九州 か らの 目本 本 上 侵 攻 作 戦 が 米 軍 の統 一 意 見 へ と変 わ り,就 任後 わず か2ヶ 月 の大 統領 は こ の 作戦 案 を承 認 した。 ・作戦 の 決定 基 準 は最 少 の犠 牲 で 目本 に勝 利 す る こ とで あ り,原 爆 は これ を 満 たす 方 法 と して突 然 に登 場 した。 ・大統 領 は原 爆 の使 用 を嫌 った が,戦 争 の 短 期 化 と犠 牲 の最 小 化 を 理 由 に 原爆 の使 川 を強 く助 言 され た 。 ・海 軍 司令官 は,海 上封鎖 と空爆の効 果 の み で 目本 の 降伏 は確 実 で あ り原 爆 に特 別 な効 果 は ない と助 言 した。 ・空軍 司令官 は,原 爆でなく従来型高 性 能 爆 弾 に よ る空 爆 の増 強 の み で 目 本 の 降伏 は確 実 に な る と考 えて いた 。 ・目本 本 上侵 攻 作戦 を実施 しな いで 目 本 に勝 利 す る こ とは,米 国 「海 軍 」の 勝利 を意 味 して い た。 0軍 事 指 導 者 達 は どの様 な仮 定 条 件 を選 択 し,目 本本 上侵 攻 作戦 を決 めた の か? 0実 際 の 状況 に 照 らす と,彼 らの選択 は合 理 的(論 理 的)な もの だ った のか? 0こ の論争 か らは,政 府 の 中 で政 策決 定 が 行 わ れ る方 法 につ い て どの様 な 洞 察 が 得 られ るか? D ・原爆 の使 用 は, そ の 開 発 に 投 じ た 巨 費 の 回 収 と い う 暗 黙 の 前 提 の上 に,マ ンハ ッ タ ン 計 画 開 始 時 点 か ら事 実 上 不 ・∫避 な も の と し て 決 定 さ れ て い た。 ・そ のた め原 爆 の 使 用 は,原 爆 使 用 の 是 非 そ の も の の 検 討 を 経 る こ とな く,原 爆 の使 用 方 法 の み を 決 定 し た 不 十 分 な 意 思 決 定 で あ っ ㌔ たがって源 爆 の 使 用 の 是 非 は少 な く と も,そ の使 用 の 是 非 に つ い て の 指 導 者 達 の 間 で の 合 理 的 な 意 思 決 定 過 程 を通 して 審 議 され,最 終 的 に大 統 領 自身 の 意 思 決 定 を 経 て 最 終 決 定 され る 必 要 があ っ た。 D ・ポ ツダ ム会 談 の最 中に核 実 験成 功 の 情 報 が伝 わ り,大 統領,国 務長 官,軍 事 指 導 者 達 の作 戦 会 議 で原 爆 使 用 の ・∫能性 が検 討 され た。 ・情 報 部 は既 定 の 日本 本 土侵 攻作 戦 で は 最低25万 人,最 大100万 人 の米 軍 の犠 牲 が 出 る と予測 した。 ・大統 領 は ,既 定の侵攻作戦による犠 牲 者 数 を 聞 く とす ぐに原 爆 投 ドの 口 標 とな る 日本 の 軍事 都 市 を尋 ね,広 島 と長 崎 が 挙 げ られ た。 ・原 爆 使 用 の決 定 では 日本 本 土侵 攻 作 戦 で の 犠 牲 の規 模 の確 認 の後 で す ぐ に投 ド目標 都 市 が決 定 され,原 爆 使 用 の 是非 に関す る議論 は 無 か った。 ・作戦 会 議 の参加 者 に は 巨費 を投 じた 原 爆 の 使 用 に反 対 す る決 定 は 思 い も よ らな い こ と で あ り原 爆 を使 用 しな い 選択 肢 の検 討 は考 え も しなか っ た。 ・チ ャー チル は当時 ,米 国の原爆の使 用 を 当然 と考 えて お り,核 実 験 の前 に 米 国 にそ の使 用 の承 諾 を伝 えて いた 。 ・ポ ツダ ム会 談 で も原爆 の使 用 につ い て は 米 英 間で 暗 黙 の 了解 とな っ て お り,使 用 の是 非 につ い て の議 論 はま っ た く無 か っ た。 ・大統 領 は ポツ ダ ムか らの帰 途 に 日本 の2つ の都 市 へ の原 爆 投 ドを命 じた 。 ・辞 書 的定 義 で は,歴 史的 「決定」や 優 れ た 討 議 と は少 数 意 見 を 生 か しな が ら意 見 の 致 を生 み 出 す こ とで あ り,「決 定 」 とは何 らか の 選択 肢 が 真 剣 で 平 等 な熟 考 を通 して 選択 され る とい う意 味 で あ る。 ・最 終 決 定者 は大統 領 で あ った が,原 爆 の使 用 は既 定 の もの に な って お り, 彼 に は事 実上 決 定 力が 無 か った。 D ◎ 原 爆 使 用 の 明確 な決 定 は本 当 に あ っ た のか? ○原 爆 の使 用 は どの様 に して 決 定 され た のか? ○ 原 爆 使 用 の 決 定 は 実 際 に は い っ 決 め ら れて い た のか? ○ 誰が 真 実 を語 っ てい る のか? ○歴 史 の コ ンテ ク ス トで は 「決 定」 とは何 か? ○ 国民 や 人 々は,複 雑 な決 定過 程 を十 分 に 理 解 せ ず に決 定 を行 うのか? ○ そ の様 な歴 史 的状 況 の某 で は,真 の意 思 決定 が行 われ た と言 え るの か? ○ こ こで 明 ら か に され て い る コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 失 敗 は意 思 決 定 の プ ロセ ス に どの様 に影 響す る ・∫能 性 が あ るか? ○ 原 爆 の 使 用 につ い て トル ー マ ン大 統 領 に は本 当 に決 定力 が あ った の か? ◎原 爆 投 ドの 「決 定」 は実 際 に存 在 したの か? E ・戦後 に明 か とな った事 実 か らは, 原 爆 使 用 の 決 定 は 指 導 者 達 の 誤 っ た 事 実 判 断 を 前 提 に行 われ,そ の 決 定 の 承 認 の Lに な さ れ た 大 統 領 の 決 定 も 不 十 分 で 誤 っ た も ので あ った。 E ・米軍 の 作戦 で は 口本 本 十侵 攻 に よる 甚 大 な被 害 が予 測 され て い たが,実 際 には 口本 は海E封 鎖 と空爆 で 深 刻 な 経 済 的 困 難 に あ り 日本 の 降伏 は 間 近 で あ った。 ・連 合 国 の指 導者 達 は 日本 の 軍事 力 を か な り過 大評 価 してい た。 ・米 国人 は 「す べ て の事 実 を知 る」機 会 を 与え られ ず,そ の 軍事 的 決定 に反 対 す る こ ともで きず,不 完 全 な知 識 を も とに して判 断せ ざ るを得 なか った 。 E ◎原 爆 投 下後 に判 明 した事 実 は どの様 な も のだ っ たか? 0実 際 に は米 軍 は 日本 に どれ程 の被 害 を 出 させ て いた の か? 0米 国が持 って い た情 報 は正確 だ った の か? 0連 合 国 の指 導者 達 が行 って い た 口本 の 戦力 評価 は支持 で きる もの か? 0こ の様 な決 定 は,あ らゆ る時 と場 所, 公 的 な仕 事 と私 的な仕 事 にお いて 意思 決 定 と して 正 しい もの と言 え るか? パ ー ト 3 ・原爆 の使 川 の決 定 で は,核 につ い て の 専 門 的 知 識 に よ る 検 討 が 不 十 分 で あ っ た の で,決 定が 歪 め ら れ た 。 ・科 学革 命 の 時代 で は 科 学 的 研 究 成 果 や 科 学 者 は 政 治 や 個 人 の 生 A ・科学 革 命 の進 む 現 代 に あっ て は, 核 物 理 学 者 は 専 門 的 知 識 を 基 に して政 治 的,倫 理 的 判 断 を 行 う と と もに,そ れ らの 判 断 を 政 治 的 意 思 決 定 の 場 に 反 映 す る 手 穀 を 確 立 しな けれ ば,固 馬 胸 タン計画 は,亡 骸 物理学 者 達 が ドイ ツ が 先 に原 爆 を 作 る こ と を危 惧 し,こ の 開発 をルー ズ ベル ト大 統領 に進 言 した こ とで 始 ま った。 ・降伏 した ドイ ツ の調 査 で この 国が 実 際 に は原 爆 を ま っ た く開発 して い な か っ た こ とが判 明 した の で,何 人 か の 科 学者 は 良 心の 呵 責 に悩 んだ 。 ・何 人 か の核 物 理学 者 は ,日 本が原爆 につい て警 告 を受 け,危 害 の な い示威 的 な方 法 で原 爆 の威 力 を示 し,そ の 後 A ◎原 爆 投 下 の決 定 が行 われ た 文脈 には ど の様 な 事実 が 関係 して いた の か? ◎公 共 政策 を形成 す る上 で科 学者 達 の 固有 の役 割 は何 か? ○ マ ンハ ッタ ン計画 は なぜ,ど の様 に して 始 まっ た のか? ○核 物 理 学者 シラー ドた ちは原 爆 の使 用 につ い て陸 軍 大 臣ス テ ィム ソン に どの 様 な請願 を した のか? ○ こ の提案 はなぜ 実 行 され な か った の か? 科 学 と 政 治 ● 社 会 と の 関 係 社 会 関 係 を 視 点 に し た 意 思
活 と密 接 に 関 わ 有 の 社 会 的 役 割 で 降伏 の機 会 を与 え られ る こ と,こ の ○社 会 が科 学 者 の発 見 を利 用 す る場 合 の, の 決 り合 っ て お り,科 を 果 た す こ とは 後,日 本 が 降伏 を拒 否 した時 に のみ使 科 学 者 の権 利 と責 任 とは何 か?そ れ は 変 定 学 と政 治,社 会 の 出 来 な い 。 用 す べ き こ と を 提 案 し て い た 。 どの様 な 限界 を持 って い るか? 化 の 間 を つ な ぐ 意 思 ・原 爆 の使 用 に つ いて 科学 者 の 間 には ○ 軍 の指 導者 や 政治 指 導者 は科 学 者 の考 の 方 決 定 の 方 法 を 確 意 見 の 不 致 が あ っ た た め 明確 な 反 え方 を どの程度 考 慮 したか? 時 法 立 す る こ と が 必 対論 をま とめ る こ とが で きず,政 治 家 ○ それ らの判 断 を行 う際 の科 学者 の 責任 代 の 要 で あ る 。 の 政 策 を変 え る ま で に は 至 らな か っ は どの様 な もの か? 的 検 ・そ の た め に 科 学 た 。 ○ 人道 主 義 に満 ち た科 学者 達 の提 案 は ど 特 討 者 は 政治 家 や市 ・一部 の 科学 者 は ,反 対の提案を個人 うす れ ば実 行性 の あ るもの に な って い 色 民 と 共 に 科 学 の 的 ル ー トで も政 治 指 導者 に伝 え よ う た のか? 進 歩 と 関 わ り合 と し て い た 。 0提 供 された 資料 や あな た 自身 の知 識 か う よ う な 公 的 な ・科 学 者 達 の提 案 は科 学 の問題 を越 え ら,科 学 と政 治,国 際 問 題,戦 争 の 問 の 決 定 過 程 に 参 加 て,原 爆 の 軍 事 的,政 治 的,外 交 的 な 関係 に つい て どの様 な結 論 が導 き出 さ す る 必 要 が あ る 。 効 果 につ い て の平 和 的 判 断や 予 測 を れ るか? した もの で あ った が,そ の提 案 は軍 事 0原 爆 の 開発 か ら生 じる 問題 につ い て, 的 政策 には反 映 され な か った 。 第二 次 世界 大 戦以 後 に加 速 した科 学 発展 を考慮 す る と,現 在 の 民主 主義 的 な 社 会 の 良識 ある市 民 に は どの様 な新 し い義 務 が生 じて い るの か? A A A ・原爆 の使 用 の是 ・天皇 の在位 保 証 ・天 皇 の 在 位 保 証 の提 案 は知 口派 の ◎原 爆 投 下 の決 定 は外 交 的大 失敗 の 結果 非 の決 定で は,別 を 支 持 す る 多 く 人 々 が支持 し,情 報 部 の 専門 家,陸 軍 かそ れ とも外 交 的打 算 の結果 か? の 解 決 方 法 の 検 の 人 が い た に も 大 臣,海 軍大 臣,大 統領 も基 本 的 に認 ◎ 「無条 件 降伏 」政 策 が 日本 の 早期 降伏 を 討 も 必 要 で あ る 。 拘 わ らず 無 条 件 めて いた が,実 行 は延 期 され,最 終 段 妨 げて いた の か? 原 爆 使 用 の 決 定 降伏 の 要 求 が 決 階 で ポ ツダ ム宣 言 か ら除 かれ た。 ○ 天皇 の在 位 保 障 は どの様 に して放 棄 さ で は,米 国 の ナ シ 定 され,日 本 が そ ・ポ ツダ ム 宣言 の表 現 は 日本 の 降伏 に れた の か? ヨ ナ リ ズ ム や 反 れ を拒 否 し,原 爆 よ る民 主 主 義 実 現 の 明確 な メ ッセ ー ○ 天皇 の在 位 保 証 の提案 は期待 され た効 共 的 外 交 政 策 な が 投 ドさ れ た の ジで あ った が,連 合 国 の戦 意 高揚 を意 果 を もつ こ とが で きた のか? どの 背 景 的 文 脈 は 外 交 政 策 の 意 図 した 戦 時 プ ロパ ガ ン ダ の よ うで あ ○提 案 は なぜ 放棄 され て しま っ たの か? の 影 響 を 受 け て 思 決 定 の 方 法 が っ た 。 ○ 天皇 の在 位 保 証 は果 た して 日本 の 降伏 い た 。 そ の た め, 不 十 分 で あ っ た ・大統 領周 辺 の指 導 者 に は天 皇 の在位 を促 進 で きた か? 意 思 決 定 は,歪 め た め で あ る。 保 証 につ い て賛否 両論 が あ った。 ○ 条件 降伏 を探 る 日本 の秘 密外 交 へ の米 られ た も の と な ・民族 主 義 的 な 日 ・天 皇 の 地位 の保 証 は 日本 の すべ て の 国 の応答 拒 否 は米 国 が平 和 交渉 を排 除 っ た 。 本 に 対 して は 天 指 導者 が 求 めて い る もの で,降 伏 の 不 した こ と に な る の か? ・こ の 原 爆 使 用 の 皇 の 在 位 を 保 証 ・∫欠 の 条 件 で あ っ た 。 ○ 日本 の 対 ソ秘密 交 渉 は 降伏 の 実際 的 申 是 非 の 決定 で は, す る条 件 降 伏 の ・無条 件 降伏 の 要求 は 日本 に国家 主 権 し出で あ った の か? 外 交 政 策 に よ る 外 交 政 策 に よ っ の破 壊 を確 信 させ,抵 抗へ の 意志 を固 ○ 秘密 交 渉 を進 め てい た 日本 政府 内の 解 決 の方 が,民 主 て よ り早 期 の 降 め させ た 。 人 々は 戦争 終結 を確約 す る実 際的 な力 主 義 の 原 理 の 実 伏 を受 諾 させ,多 ・日本 陸 軍 は降伏 に強 く反 対 し続 け, を持 ってい た の か? 外 国 現 を 某 準 に し て く の 生 命 の 救 済 平 和 交 渉 を探 る政 府 を転 覆 させ る力 ○ ポ ツダ ム宣 言 の表 現 は 日本 に 降伏 を促 ⊥ 際 判 断 す る 場 合 よ と 民 主 主 義 の 実 を保 持 して いた が,そ の状 況 の 中で 在 す こ とを真 剣 に意 図 してい た も ので あ 父 政 関 り も よ り合 理 的 現 が 達 成 で き た 位 保 証 の 言 明 は平 和 交渉 を 支 持 す る っ た か? 係 な 解 決 に た ど り ・∫能 性 が あ る 。 人 々 の 勢 力 を 強 め た ・∫能 性 が あ る 。 ○ 東郷 外務 大 臣 の証 言 は,ポ ツ ダ ム宣言 策 を 着 く こ と が 出 来 ・そ の よ うな 外 交 ・天 皇 の在 位 保証 は強硬 な軍 を見 方 に が天 皇 の在 位保 証 を提 案 して いた な ら の 変 視 る 。 政 策 の 検 討 を 含 引 き 入 れ る ・∫能 性 も あ っ た 。 ば 日本 は実 際 とは異 な る応答 を して い 化 点 め た 意 思 決 定 が ・天 皇 の在 位 保証 の記 述 が なか った ポ た ・∫能性 の証拠 とな り得 るか? に パ 行 わ れ て い れ ば ツ ダ ム宣 言 で さ え も 軍部 を 除 い た 日 ○ 天皇 の在 位 保 証 につ い ての 明確 な言 明 に 関 し 1 原 爆 の 使 用 が 回 本 の指 導者 の殆 どが支 持 して い た。 は 日本 の軍 部 を説 得 し,降 伏 に賛成 させ た ト 避 され た ・∫能 性 たか? す る 意 4 が 高 い 。 時 思 B B B 決 ・原爆 の使 用 は米 ・米 国の指 導 者 の 多 くは戦 争 末期 に ソ ◎米 国の 対 ソ連 外 交は原 爆 の使 用 に どの 代 的 定 軍 の 犠 牲 を 最 小 連 に用 心 深 くな り深 い 疑念 を もった 。 様 に作 用 した か? 特 の 化 す る だ け で な ・そ のた め米 国 の指 導者 は ソ連 の極 東 0米 国が新 兵 器 を保 有 した こ とを ソ連 に 色 方 く 日本 の 降 伏 を へ の前 進 阻止 を考 えて い た。 見せ つ けた い とい う願 望 が原 爆 投 下 の の 法 よ り 早期 に 実 現 ・軍務 大 臣 ステ ィ ム ソン は原爆 の保 有 決 定 に影 響 した のか? 理 の し,極 東 に お け る と使 用 に よ っ て ソ連 の政 治 的 意 図 を 0戦 争 末期 にお け る米 国 の指 導者 達 の ソ 解 検 ソ 連 の 勢 力 拡 大 変 化 させ る こ とや ソ連 の 参戦 に 対 抗 連 に対す る態度 は どの様 で あ った か? 討 を 牽 制 す る 外 交 す る こ と を 期 待 し て い た 。 0原 爆 の 本 当の標 的は ソ連 だ っ た とい う 政 策 で あ っ た 。 ・最 近 の 研 究 で は1945年 に ソ連 に 対 こ とが た とえ部分 的 な真 実 で あ った と ・原爆 の使 用 は第 して 増 大 して い た疑 念 が原 爆 の使 用 して も,ソ 連 の前 進 阻止 が 本 当で あ る 二 次 世 界 大 戦 の の 決 定 の 動 機 づ け に な っ て い た こ と と仮 定 す る と,ヒ ロ シ マ に 原 爆 を 使 うべ 終 結 で はな く,米 が 共 通 理 解 に な っ て い る。 き だ っ た の か? ソ の 新 た な 冷 戦 ・しか し ソ連 が原 爆 の 本 当 の 日標 で あ 0ヒ ロ シマ は第 二 次世 界大 戦 で受 けた最 に お け る 外 交 政 っ た とい う言 説 は ほ とん ど共 通 理 解 後 の 一 撃 で は な く て,む し ろ1945年 以 後 策 の 一 環 で あ っ に は な っ て い な い 。 に強 弱 を変 化 させ な が ら推移 して い っ た 。 ・広 島へ の原 爆 投 下は 第 二次 世界 大 戦 た米 国 とソ連 の 冷戦 の最 初 の一 撃 で あ ・歴史 的 な 出来 事 の 最 後 の 一 撃 で は な く,米 ソ の 冷 戦 の っ た の か? に は 多 様 な 因 果 最 初 の 一 撃 で あ っ た 。 0米 国の 外交 政 策 は1945年 に は どの 様 な 関係 が 影 響 して も ので あ るべ き で あっ たの か?ど の様 お り,外 交 に お け な もの で あ るべ きで は なか っ た のか? る 意 思 決 定 に っ 0原 爆 の 本 当の標 的は ソ連 だ っ た とい う い て の 極 度 に 単 こ とを文書(証 拠)は 証 明 す るか? 純 化 され た 考 え 0最 も筋道 の通 っ た結論 とは,占 代 の ス コ に は 慎 重 で な け ッ トラ ン ドの 評 決,「 証 明 され て い な い 」 れ ば な らな い 。 か ぎ り 有 罪 で も 無 罪 で も な い,と い う こ となの か?
時 代 の政治 思想 や倫 理的 判 断に焦、点 を当 てた歴 史解 釈学 習 の原 理 ・道 徳 的,倫 理 的 A A A な 判 断 は 時 々 の ・指導 者 達 は原 爆 ・ヒ ロ シ マ に 先 立 つ 約10年 間 に わ た ◎ 広 島 へ の原 爆 投 下 は道 徳 的 に擁護 で き 時期(時 代)の 社 の使 用 を 日本 の っ て 都 市へ の空 爆 が 容赦 な く強 め ら る行 為 だ った の か? 会 的,歴 史的 文脈 国際 的犯 罪行 為 れ て きて お り,非 戦 闘 員 の無 差別 殺 鐵 ◎ 原 爆 投 下 の 決 定 は 賢 明 で 倫 理 に か な っ に よ っ て 異 な っ へ の 復 讐 や 懲 罰 が 徐 々 に 一 般 化 し て き て い た 。 た決 定 で あ った の か? た り変 化 し た り を 根 拠 と し て 正 ・1945年 の 肚 論 調 査 で は 回 答 者 の ほ ○ ヒロ シマ以 前 の約10年 の倫 理 的基 準 の す る 。 当 化 し た 。 とん どが原 爆 の使 用 を容認 し,道 徳 的 変 化 は原爆 投 下 に どの様 に影響 した か? ・社 会 問題 は 善や ・そ れ ら の 根 拠 は 良 心 の 呵 責 を示 した米 国 人 は わ ず か ○歴 史的 な状 況 の変 化 は倫 理 的基 準 の変 信 頼,威 信 と い っ こ の 時 代 の 流 れ で あ っ た 。 化 を正 当化 す る か? た よ り一 般 的 な (文 脈)の 中 で ・米 国の政 治 家 は 世論 調査 の 結果 や 歌 ○ 「戦 争 を 短 縮 し,多 く の 人 命 を 救 う」 と 基 準 を 基 に し て, 人 々 が 形 成 して で 表 現 され た 国 民 の厳 しい対 日復 讐 い うよ り大 きな 目的 が原 爆 投 下 の道徳 道 徳 的,倫 理 的 に い た 道 徳 的 な 思 心 へ の対応 を迫 られ て い た。 的正 当化 の理 由 にな り うるか? 判 断 され る 必 要 潮 で あ り,政 治 指 ・原 爆 使用 の決 定 は政 治 的文 脈 よ りも ○ よ りよい 目的 の達 成 の た めに,非 道 徳 な が あ る。 導 者 達 は そ の 思 勝 利 を得 る とい う 目的 を最 優 先 して 行 為 をす る こ とは正 当化 され るか? 潮 に 影 響 され て 一 連 の 軍 事 的 決 定 の 文脈 の も とで 決 ○ 肚論 調 査 や 流 行 歌 に表 され て い る米 国 原 爆 投 下 の 意 思 定 され た 。 民 の復讐 や 懲罰 の感 情 が,政 治 家 の決 定 決 定 を 行 っ た 。 ・ロー マ 教 皇 は,原 爆 は 根 本 的 に 犯 罪 を擁 護す る根拠 とな り得 るか? 道 ・宗教 指 導者 は人 的 兵 器 で あ り,人 間 の 名 誉,信 頼,威 ○ ヒ ロ シ マ に つ い て の 教 皇 パ ウ ロ11肚 の 徳 間 の 名 誉,信 頼, 信 を 奪 うも の と し て 非 難 した 。 声 明は どの様 な倫 理 的 な見 方 を示 して 的 倫 熟 慮,威 信 を判 断 ・原 爆 の使 用 で は,日 本 の犯 罪 的行 為 い るか? 倫 理 の 基 準 と し,こ れ を罰 す る とい うこ とが 大 き な 理 由 と ○原 爆 の使 用 が犯 罪 的 戦争 行 為へ の 復讐 理 的 ら を破 壊 す る も な っ て い た 。 や 懲 罰 と して行 われ るこ とは道 徳 的 に 的 原 の と して 原 爆 投 許 され るか? 意 理を 下 を 非 難 し た 。 ○復 讐 とい った 情緒 的 な態 度 は外 交 政策 識 に どの様 な役割 を果 たす の か? の 視占 B B B 変 ハ 、、 パ 科 学 者 達 は 自分 ・アイ シ ュ タイ ン は原 爆投 下 前 にそ の 0科 学 者 た ち は後 に原 子 爆 弾 の使 用 の 倫 化 に し 1 の 長 所 を 生 か し 使 用 に反 対 し,投 下後 は原 爆 を平 和 な 理 性 につ い て ど の よ うに反 省 して い た の に た ト て研 究 す る だ け 世 界秩 序構 築 の 素材 に して運 動 した 。 か? つ 音 5 で な く,社 会 の 公 ・オ ッ ペ ン ハ イ マ ー は 原 爆 の 使 川 は 問 い 富 共 的 な 問 題 との 違 い で あっ たが,原 爆 の 開発 は戦 争 の て
藻
関係 に つ い て 自 抑止 力 を生 み,人 類 に 希望 を与 えた と の 定 ら の 判 断 に 基 づ 考 え た 。 時 の い て 自分 の 行 為 ・原 爆 の 開発 に参 加 した理 論 物理 学 者 代 方 の 道 徳 性 や 意 義 ア ル バ レ ス は,原 爆 は 目本 へ の 勝 利, の 法 を 評 仙 して い る 。 多 大 な人 命 の救 済,第 三次 世 界大 戦 の 特 の 抑止 に貞 献 して き た と考 え た。 色 検 C C C の 討 ・軍 人 一人 ひ と り ・ア イ ゼ ン ハ ワ ー 将 軍 は,恐 ろ しい 破 ○原 爆 投 ドに関係 した 軍 人,兵 士 達 はそ の 理 は 道 徳 的 な 某 準 壊 兵 器 の 米 国 に よ る指 導 的導 入 を 懸 倫 理 性 につ い て どの様 に考 え てい た の 解 を某 に判 断,評 価 念 して原爆 の使 用 に反 対 した 。 か? して 原 爆 の 使 用 ・マ ン ハ ッ タ ン 計 画 の 指 導 者 グ ロ ー ブ に 反 対 し て い た ズ 将 軍 は 犯 罪 的 で反 道 徳 的 な この 方 が,現 実 に は不 完 法 を用 い るべ きで ない と感 じ,勝 利 を 全 な社 会 的決 定 得 るた め に は原 爆 は不 必 要 と考 え た が優 位 に働 い て が,結 局 は米 国 人 の生命 を救 うた めに 原 爆 投 ドが 決 定 使 用 が必 要 と考 え た。 され 実行 され た。 ・レー ヒー海 軍 大将 は 原爆 の威 力 や 放 ・社 会(公 共)的 射 能 の 害 の野 蛮 性 を理 由 に原 爆 の使 決 定 や 判 断 の 上 用 に 強 く反 対 し た 。 では,個 人 的判 断 ・空軍 の情 報 紙 は市 民 を含 む すべ て の と 社 会 的 判 断 の 日本 人 を攻撃 日標 として いた 。 二 重 構 造 を 方 法 ・B-29エ ノ ラ ・ゲ イ の 放 射 線 技 師 は 的 に 一元 化 す べ 自分 た ち は仕 事 をや っ た だ け で あ る き で あ る 。 が,こ の 仕 事 に 誇 り は な く,繰 り返 さ れ て は な ら な い と考 え た 。 ・第 二次 肚界 大戦 ・ヒ ロ シ マ へ の 原 ・原 爆 投 下 は単 な る出 来事 で は な く, ◎原 爆 投 下 はなぜ 決 定 され た の か? の 末 期 は 社 会 的 子 爆 弾 の 投 下 は 第 二 次 肚界 大 戦 全 体 の流 の 中 で の 因 ◎ 人 は 判 断 の 道 徳 性 を どの よ うに 考 察 す 指 意 思 決定 が 十分 軍 事 的,科 学 的, 果 的帰 結 と して 生 じて い た。 る の か 。 現 導 に 機 能 しな か っ 外 交 的,倫 理 的 な ・原 爆 の使 用 の 問題 は 人類 と核 の 関係 ◎ 人 は 公 共 政 策 と関係 す る判 断 や そ の 道 在 者 た 時 期 で あ っ た 、 視 点 か ら 社 会 的 の 問 題 と して 現 在 も続 く解 決 す べ き 徳性 の判 断 を どの様 な 方法 で行 うの か? の の ・社 会 的意 思決 定 に 決 定 さ れ た も 大 き な 問 題 で あ る。 社 意 パ は,事 実 に基づ い の で あ っ た 。 会 思 た多 様 な視 点(論 ・そ こ に は そ れ ぞ 生 決 ー ト 拠)か らの 多様 な れ 判 断 の 基 準 や 活 定 主 張 に つ い て の 方 法 が あ り,そ れ と の 6 合 理 的 な検 討(批 そ れ が 合 理 的 に の 普 判)に 基 づ い て行 機 能 しな か っ た 結 遍 わ れ る 必 要 が あ こ と,全 体 と して び 的 る 、 統 合 され な か っ つ 方 た た め に 誤 っ た け 法 社 会 的決 定 が生 原 じ た 。 理HarrisJ.(1970a).1ノ}}05ゐ ∫1η∂ノノ48'zloレ1五5窃b四 〇e」%万 孟∫o易2刀01訪 θE孟ゐjo30!陥r伽 ∂oゐθ!言ノレ1盈刀z1∂2λHarrisJ.(1970b). 伍}05ゐ ∫切aノ ・456α め7.加5窃b四 〇eアbガ 赫o易 ∂η(1訪 θE訪fo30!陥 ∬ β 甜 ゴθ盟施 漁 ηα81り よ り筆 者 作 成.
動 に よ って 政 治 に意 思 を反 映 して い く方 法 が あ る こ とが 理 解 され る。 Cで は,回 想 録 を通 して,原 爆 の 使 用 に 関す る軍 人 の 個 人 的 な考 え方 が 検 討 され,そ の 結 果,陸 軍,海 軍 の 指 導 者 ばか りで な く,マ ンハ ッ タ ン計 画 に 関わ った 将 軍 や エ ノ ラ ・ゲ イ の 搭 乗 員 も道 徳 的 に は共 通 して 原 爆 を使 用 す べ きで ない と考 えて い た こ とが 明 らか に され て い る。 最 後 の パ ー ト6で は,パ ー ト1で 提 出 され た 中心 発 問 「原 爆 は なぜ 投 下 され た の か?」 が も う一 度 問 わ れ,パ ー ト2∼ パ ー ト5で の 学 習 が ま と め られ る。 広 島へ の 原 爆 の 投 下 は,公 式 に は ステ ィ ム ソ ンの 声 明 に あ る よ うに,日 本 の 軍 事 力 につ い て の 推 測 的 事 実 に基 づ き,日 本 の 降 伏 の 早 期 化 と米 軍 の 犠 牲 の 最 小 化 を論 拠 と して 正 当化 され た もの で あ った 。 しか し,パ ー ト2∼5の 学 習 にお け る軍 事 的,科 学 的, 外 交 的,倫 理 的 な観 点 に よ る検 討 で 明 らか と な った よ う に,1)根 拠 と な る推 測 的 事 実 に誤 りが あ る,2)原 爆 の 使 用 が アプ リオ リ(自 明的)な 前 提 と な って お り原 爆 の 不 使 用 を含 めた 原 爆 の 使 用 の 是 非 自体 が 論 題 と され て い ない,3)大 統 領 自身 の 主 体 的 意 思 決 定 が 希 薄 で あ る (パ ー ト2),4)意 思 決 定 に科 学 者 の 専 門的 意 見 が 反 映 され て い な い(パ ー ト3),5)条 件 降 伏 を含 む 早 期 降 伏 へ の 他 の 外 交 政 策 の 検 討 が ない,6)正 当化 の 論 拠 に 対 ソ戦 略(冷 戦)の 要 素 が 隠 され て い る(パ ー ト4), 7)世 論 に表 れ た ナ シ ョナ リズ ム的 人 命 尊 重 主 義 が 影 響 して お り普 遍 的 な倫 理 的(人 道 主 義 的)観 念 を基 準 と し た 意 思 決 定 が ない(パ ー ト5)こ とが 理 解 され る。 さ ら に,指 導 者 が 意 思 決 定 す る際 に は上 記 の 欠 点 を克 服 す る 必 要 が あ る こ と を理 解 す る こ と に な る。 そ して,パ ー ト1で 提 起 され た 原 爆 の 使 用 の 是 非 と (学 習 者 が生 活 して い る)現 在 の わ れ わ れ の 核 兵 器 との 関わ り方 につ い て,意 義 の あ る方 法 と して 学 習 者 が 理 解 す るの は,指 導 者 の 意 思 決 定 が よ り合 理 的 に な る よ うな 社 会 的 条 件 の 整 備,科 学 者 と政 治 との 新 た な社 会 関係 の 構 築,ナ シ ョナ リズ ムか らの 脱 却,協 調 外 交 へ の 転 換, 普 遍 的 ・人 道 主 義 的 理 念 を基 軸 と した 政 策 決 定 の 推 進 に 民 主 的 に 関わ って い く とい う方 法 で あ る。 3時 代 の 政 治 思 想 や 倫 理 性 に焦 点 を 当て た 歴 史 解 釈 学 習 の 原 理 と方 法 単 元 「ヒ ロ シマ 」 にお け る歴 史 理 解 の 構 造 を分 析 す る と,こ の 単 元 は 出来 事 学 習 につ い て の 以 下 の よ うな3つ の 学 習 原 理 を備 えて い る こ とが 明 らか と な る(図1を 参 照)。 第 一 の 原 理 は,歴 史 の 事 実 を現 在 の 視 点 で 解 釈 す る こ と に よ って 出来 事 を構 成 ・研 究 させ,出 来 事 を理 解 させ る こ とで あ る。 この原 理 は単 元 の初 発 の 部 分(パ ー ト1) と終 結 の 部 分(パ ー ト6)に 表 れ て い る。 単 元 で は原 爆 の 投 ドの 是 非 につ い て の 問題 を,原 爆(核 兵 器)の 使 用 とい う現 代 に も共 通 す る重 要 な社 会 問題 と して 学 習 者 に と らえ させ,こ の 問題 を検 討 させ る こ とで,現 代 に も適 用 で き る意 思 決 定 の 方 法 原 理 につ い て 理 解 と意 義 づ け を させ て い る。 パ ー ト1で は,学 習 者 は原 爆 投 下 の 是 非 につ い て 自 問 した り自分 の 家 族 の 考 え を尋 ね た り,そ の 聴 取 結 果 を学 級 で話 し合 った りす る こ とで,現 在 で も賛否 両論 が あ り, 意 見 が 対 立 して い る こ と を理 解 す る。 ま た,広 島で 被 爆 した 当時 の 子 ど もの 手記 や 医学 報 告書,現 在 の マ ス コ ミ の 記 事 な ど を読 ん で,現 在 も論 争 中の 未 解 決 な社 会 問題 と な って い る こ と を知 る。 パ ー ト2∼5ま で の 学 習 は,こ の 社 会 問題 につ い て の 追 究 と して 組 織 され て お り,パ ー ト6で はパ ー ト2∼5 の 学 習 で 解 明 され た 答 えが ま と め られ て い る。 そ れ は政 治 指 導 者 に求 め られ て い る意 思 決 定 の 方 法 と原 爆 が 投 下 され た 時 代 的 特 色 の 理 解 で あ る。 こ こで 明 らか と な った 意 思 決 定 の 方 法 は現 在 の 学 習 者 に も求 め られ,利 用 す べ き方 法 で あ る。 ま た 原 爆 が 使 用 され た 当時 の 時 代 的 特 色 は,現 在 の 社 会 状 況 を判 断 し,時 代 を位 置 づ け る基 準 と な る もの で あ り,学 習 者 自身 が そ の 意 味 と現 代 的 意 義 を 理 解 す るま で に な って い る。 この よ うに第 一 の 原 理 は,歴 史 の 事 実 を現 在 の 視 点 で 解 釈 す る こ と に よ って 出来 事 を構 成 ・研 究 させ,出 来 事 を理 解 させ る こ とで あ る。 第 二 の原 理 は,科 学 者 や 政 治家 な どの 時代 階層 の 判 断, 歴 史 的 人 物 の 動 機 や 考 え方 を学 習 者 に見 つ け させ る こ と で,人 物 の 行 為 と 出来 事 の 関係 を理 解 させ,出 来 事 と 出 来 事 の 関係 を 明 らか に させ て 時 代 の 特 徴 を理 解 させ る こ とで あ る。 本 単 元 で の 時 代 の 特 色 の 理 解 の 構 造 は,後 掲 の 図1の 横 軸 に示 して い る よ うに,① 論 題,② 背 景 や 状 況,③ 時 代 階層 の判 断,④ 歴 史 的人 物 の 判 断,⑤ 行為,⑥ 出来 事, ⑦ 時 代 の 特 色,の7つ の 要 素 と,こ れ ら一 連 の 要 素 の 因 果 的 連 鎖 を単 位 とす る時 代 の 特 色 理 解 の モ デ ル を基 に し て 表 す こ とが で き る(行 為 と 出来 事 に よ る時 代 像 の 構 築 性)。 単 元 「ヒ ロ シマ 」 で は,こ の 図1が 理 解 モ デ ル と して 使 わ れ る。 図1の 横 軸 に示 す よ うに,人 物 の 動 機 や 判 断 を含 む7つ の 要 素 と,こ れ ら一 連 の 要 素 の 因 果 的 連 鎖 を 単 位 とす る理 解 モ デ ル を基 に して,時 代 階 層 や 歴 史 的 人 物 と行 為 と 出来 事 の 関係 の 理 解 が な され て い る。 具 体 的 に は,ま ず 時 代 階 層 や 歴 史 的 人 物 と 出来 事 の 間 に は時 々 に焦 点 と な って い た 論 題 が あ った こ とが 理 解 さ れ る。 次 に,ど の 様 な背 景 や 状 況 が そ の 論 題 を生 み 出 し て い た の か が 分 析 され る。 そ して 背 景 や 状 況 を踏 ま えた 上 で,論 題 に対 して 時 代 階 層 や 歴 史 的 人 物 が どの 様 な判 断 や 行 為 を と った か が 分 析 され,明 らか と な った 事 実 や 因 果 関係 を基 に,結 果 と して の 出来 事 が 説 明 され る よ う に な って い る。 例 え ば,パ ー ト2で は,「 原 爆 の使 用 の 是 非 が 軍 事 作