158 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(18) ア ベ コウ ジ安部康二(昭和3
博士(医学) 二巴227号平成5年3月19日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者)
再燃を繰り返すB型慢性肝炎におけるHBV precore・core領域の解析
(主査)教授 小幡 裕 (副査)教授 内山 竹彦,相川 英三論 文 内 容 の 要 旨
目的 B型慢性肝炎における肝細胞破壊は,cytotoxic T lymphocytes(CTL)が,肝細胞の表面にあるウイル ス関連抗原を認識して攻撃することによるとされてい る. このCTLの標的抗原はB型肝炎ウイルス(HBV) のcore peptideと考えられており,その変異が,肝炎 の増悪に関係していると推定される.今回,この precore・core領域の点突然変異を明らかにし,再燃の メカニズムを解析することを目的とした. 対象および方法 再燃を繰り返すB型慢性肝炎4例の増悪期,および正常期の血清より各々HBV-DNAを抽出して,
polymerase chain reaction(PCR)法を用いprecore・ core領域のDNAを増幅し,ダイデオキシ法にて塩基 配列の決定を行った. 結果 1.増悪期のprecore領域は4例ともコドン28に停 止コドンを認め,全例precore変異株であった. Core 領域は4例ともブミノ酸変異を伴う点突然変異が2 ~4ヵ所に認められ,とくにコドン97のイソロイシン からロイシンへの変化は,4例に共通して認められた.2.正常期のprecore領域は4例中1例のみが
precore変異株であった. Core領域は全例点突然変異 を認めなかった. 考察耳BV・DNAのprecore領域から翻訳されるcore
peptideは, CTLの標的抗原であると推定されてい る.その点突然変異と肝炎の増悪との関係を明らかに することは,肝=炎の再燃の機構を解明する上できわめ て重要である.B型肝炎におけるcore領域の点突然変 異は,いくつか報告されているが,このように同一症 例を時期をおって観察したものはなく,本研究により 増悪期で全例に認められたコドン97をはじめとする core領域の変異とprecore変異株が,肝炎再燃に関与 している可能性が示唆された. 結論 肝炎増悪期にはprecore変異株が高頻度に存在し, またcore領域にもコドン97をはじめとする点突然変 異が認められ,これらの変異が,B型慢性肝炎の増悪 に関与していることが推測された. 一792一159