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Academic year: 2021

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はじめに

本報告書は平成31(令和元)年度滋賀大学データサイエンス学部社会調査実践演習Ⅰ・ Ⅱで行った分析結果をまとめたものである。分析には、大津市からの受託研究で行った「大 津市男女共同参画及び女性活躍に関する調査」を用いている。 本報告書には12編の論文が収められている。まず第1章に調査の概要について示した。 続く第2章から第13章は学生たちの各論文であり、最後に資料として調査票を付してい る。 第2章の江口論文は、妻による夫への家事負担願望について分析をしている。夫が高収 入であれば夫への家事負担願望が低いこと、また妻に一定の収入があれば、夫への負担願 望が高いことを明らかにしている。 第3章の宮川論文は、性役割意識と学歴の関連について年代別に分析している 。40 代で は学歴と性役割意識の関連は見られないものの、30 代では大学以上の人々は性役割意識が 弱いことを明らかにしている。 第4章の吉岡論文は、平日と休日の家事時間について、有職の男女別に規定要因を分析 している。主な結果として、概ね本人年収は家事時間が短くなること、女性では労働時間 が長いと平日の家事時間が短くなることなどを明らかにしている。 第5章の芝論文は、女性の育児時間について、個人レベルの要因と、地域のマクロレベ ルの要因に分けて分析をしている。主な結果として、地域レベルの育児時間の分散が、地 域の発展度の違いで説明できる可能性を示唆している。 第6章の岡本論文は教育費のために働く人はどのような人かという問いのもと、男女別 に規定要因を探っている。男性では大卒であれば、教育費のために働きやすい、さらに配 偶者に収入があれば、教育費のために働きにくい。女性では専門・短大・高専卒であれば 教育費のために働きやすいことが明らかになった。 第7章の井本論文は、夫婦の満足度について男女別 に分析を行っている。男女とも配偶 者が悩みを聞いてくれる場合に満足度が高まるが、女性ではそれに加えて夫の年収が満足 度に関連していた。また、その関連は経済的な要因よりも情緒的な要因のほうが強く関連 していることが明らかになった。 第8章の斎藤論文は、専業主婦/主夫願望についての規定要因を男女別に行っている。 分析の結果、女性では年齢が高くなると専業主夫願望が弱まること、男性では子どもがい ない場合に比べると子どもが1名、あるいは2名の場合は専業主夫願望が強まることが明 らかになった。 第9章の北村論文は男性の職場満足度について分析をしている。主な結果として、公務 に比べて建設業、小売業、飲食業は満足度が低いこと、不動産業は高いことが明らかとな った。さらに労働時間が長いと満足度が下がり、個人年収が高いと満足度が上がることも 明らかとなった。職場の満足度と職場領域の関連の一部は労働時間と年収によって媒介さ れていることが示唆されたが、依然として、その業界そのものの特徴が満足度に影響して

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2 いることも明らかとなった。 第10章の三輪・松田・藤山論文は女性の第二子出生意欲について、第一子を産んだ年 齢を 30 歳以下と 31 歳以上に分割して検討した。その結果として子どもを 30 歳以下で産 んだグループでは経済的なゆとり感が出生意欲に影響していることが明らかとなった。 第11章の榎論文は、子どもの世話時間の要因について主に労働時間に焦点を当てて男 女別の分析を行った。その結果、男性では配偶者の家事時間が長くなれば、子どもの世話 時間が増えること、女性では本人の通勤時間が長くなれば子どもの世話時間が減ることが 明らかになった。 第12章の等々力論文は、男性のソーシャルサポートについて分析をしている。男性は 女性に比べてソーシャルサポートが少ないという特徴があるが、 その規定要因について分 析したところ、労働環境よりも、高学歴の人、高収入の人でソーシャルサポートが少ない という結果を得ている。 以上の報告の中には、分析方法や結論について、さらなるブラッシュアップが必要なも のも含まれているため、政策に応用するにはさらに検討が必要であることには注意された い。しかし、いずれの分析結果も男女の働き方や家庭内での役割の見直しが求められてい る現代社会において欠かすことのできない論点が含まれていることには違いない。この分 析を軸にして、さらに政策への応用可能性を検討することができるだろう。 この報告書をもって、受講生は質問票の検討、実査、データクリーニング、データの分 析、そして報告書の作成までのすべての行程を一通り経験し、社会調査(特に郵送調査) の基礎的なトレーニングを受けたことになる。今後、さらなる社会調査の経験を積み、社 会調査士としてその能力を社会に還元してもらいたいと願っている。 データサイエンス学部 講師 伊達平和

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