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学級活動における児童の自発性を高めるための教師の働きかけに関する研究

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(1)学級活動における児童の自発性を高めるための 教師の働きカ、けに関する研究. 問 題 本研究の目的は,学級活動における児童の自 発性を高めるための教師の働きかけを特定し, その効果を吟味することである。. 専 攻. 学校教育専攻. コース. 教育経営コース. 氏 名. 岸 本 勝 義. する(過程へのフィードバック・個々の成長 や努力の重視)。. また本研究では,この教師の働きかけが自発 性に影響を与える過程に,教師の期待や態度に. 社会的な状況・発達課題・動機づけの各観点. 対する児童の認知,児童の有能感・自己決定感,. からみて,小学校の児童の自発性を高めること. 自発的な行動に対する学級の雰囲気が介在する. は意義あることである。そこで,教師がどのよ. と想定し,それらとの関係についても検討する。. うに行動することが児童の自発性を高めるのか. 方 法. を検討するために,まず児童の自発性を高める. 1 研究対象. と考えられる教師の働きかけを児童の自発的な. 岡山県の公立小学校(4校)の3年生から6. 行動が顕著に見られる学級の担任教師の行動か. 年生まで22学級の児童とその学級担任を研究. ら抽出した。具体的には,有田和正・鈴木恵子. 対象とした。そのうち14学級を実験学級,8. ・築地久子の行動を分析し,自発性を高めると. 学級を統制学級に割り当てた。. 考えられる教師行動として「自己決定・自己選 択の場の設定」「自己決定・自己選択に対する. 2 実験手続き. 22学級の全児童を対象にして,以下の測定. 支援」の2点をまとめた。そして,学級活動に. を行った。. おける教師の基本的な働きかけとして次のよう. (1)操作前の各変数の測定. な行動を設定した。. ①教師の働きかけに関する児童の認知. 〈活動前〉. ②児童の自己決定感・自己決定に対する認. ①教師から現状や問題,活動の趣旨について,. 子どもたちに伝える。また,児童からの提案 であれば,提案理由や活動内容を補足する。. ②それについて児童の考えや要求や意志を表明 させる。. 識,教師の期待や態度に関する児童の認 知. ③学級活動における児童の自発性 (2)教師の対する要請. 実験学級の教師に対し,学級活動の場面で特. ③児童に自分にあうものやふさわしいもの,ク. 定した教師の働きかけを計画的に行うように要. ラスにとってふさわしいと考えるものを決定. 請した。その際,活動場面として,清掃活動・. ・選択させる。. 話合い活動・学校行事への取り組み・係活動・. 〈活動後〉. 1日のめあてづくりでの働きかけを具体的に例. ○児童が自分で考えて行動したことに対し賞賛. 示し,要請した。なお,統制学級の教師にはこ.

(2) うした要請をいっさい行わなかった。. た機会を与えられた児童が自己決定・自己選択. (3)操作後の変数の測定. した場合,それをサポートするという教師の働. 実験期間終了後,22学級の全児童に対して,. きかけを行った。そしてこの教師の働きかけを. 操作前と同じ内容の測定を行った。. 向けられた実験学級の児童は,学級活動におけ. (4)実験期間. る自発性(学級集団への積極的な関与,集団自. 1999年6月中旬から7月中旬 結 果. 1 分析手続き 測定した各変数について,操作後の測定値を. 治への意欲と責任)と自己決定感・自己決定に 対する認識,教師の期待や態度に関する児童の 認知を肯定的な方向へ変化させていた。. 理論的には,教師の働きかけを受けて児童の. 従属変数,操作前の測定値を統制変数とした共. 自己決定感・自己決定に関する認識が変容し,. 分散分析によって吟味した。. 内発的動機づけが高まったため自発性を向上さ. 2 教師の働きかけに対する児童の変化. せたと推測される。または教師の働きかけを受. (1)教師の働きかけの程度に関する児童の評定. け,児童は教師の期待や態度を認知しそれに応. の変化. えようとする動機が高まり,自発性が促進され. 教師の働きかけとして特定された2次元(自. たと考えられる。. 己決定・自己選択に対する教師の支援,自己決. 特定した教師の働きかけは複数のすぐれた学. 定・自己選択の場の設定)のうち,自己決定・. 級担任の行動から抽出したものであるため,教. 自己選択に対する教師の支援に関する児童の認. 育現場に則した実行しやすいものであったと考. 知において,実験学級の方が有意に増加してい. えられる。そして教科という枠組みのない学級. た。自己決定・自己選択の場の設定に関する児. 活動の場が児童にとって比較的自由に活動でき. 童の認知においては実験学級と統制学級の問に. る場であったことも,児童の自発性を肯定的な. 程度の変化に対する有意な差は見られなかっ. 方向へ変化させた要因とも考えられる。しかし,. た。. 自己決定・自己選択の場を教師が設定する程度. (2) 児童の自己決定感・自己決定に対する認. の変化は有意な差をもって児童に認知されなか. 識,教師の期待や態度に関する児童の認知の. った。教師の支援は言語等により直接決定活動. 変化. に関わってくるため児童に認知しやすかった. 自己決定感・自己決定に対する認識,教師の. が,場の設定は行動として見えにくかったため. 期待や態度に関する児童の認知において,実験. 認知されなかったと推測される。. 学級は統制学級に比べ,有意に肯定的な方向に. 今後の課題として,次の点が挙げられる。. 変化していた。. ・児童の自発性を高めるための教師の働きかけ. (3)学級活動における児童の自発性の変化. のうち,どの支援行動がどんな自発性に効果. 学級集団活動への積極的な関与,自治活動へ. があるのかを明らかにするために,教師の働. の意欲と責任において,実験学級は統制学級に. きかけをより限定した研究を行う。. 比べ,有意に肯定的な方向へ変化していた。. ・自発性の長期的な変化を検討するため,年間. 考 察 本研究では,教師が児童に対し自己決定・自 己選択の場や機会を与えるだけでなく,そうし. を通しての教師の働きかけや自発性を測定す る。. 主任指導教官. 菊名外喜男.

(3) 平成11年度. 学位論文. 学級活動における児童の自発性を高めるための 教師の働きかけに関する研究. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育専攻 教育経営コース. 岸 本 勝 義. M98052.

(4) 目. 次. 1 問題一………一一一一一一一一一…一一一…一一……一一一…一……一…一…一l. II 方法…一一…一一一………一一……一一一一一……一一一……一一……一一一一一一一11. 1 実験の対象 2 実験の手続き (1)操作前の測定. (2)教師に対する実験の要請 (3)操作後の測定 (4)実験期間 皿 結果……一一………一一一一一一一…一…一一一…一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一20. 分析手続き. 教師の働きかけに対する児童の変化 IV 考察一一…一一一一一一……一一一一…………一一一一…一一一一一一一一一一…一一一……一30. 0. 引用文献 一一一一一一…………一一一…一一一一……一…一一一一一一一一…一一…一一…36. 0 付記 一…一一…一一……一一一一一…一一一一一一一一一…一一一一…一…一一一…一一一一一38. 0. 資料.

(5) 1. 問 題. 本研究の目的は,学級活動における児童の自発性を高めるための教師 の働きかけを特定し,その効果を吟味することである。. 平成14年度から実施される新学習指導要領では,「自ら学び,自ら 考える力の育成」が強調され,今まで以上に児童の自主的・自発的な学 習の促進や実践的な活動が重要視されている。学級活動においても,児 童の自発的・自治的な活動がより大切にされ,それに対する教師の適切 な指導が求められている。特に,学級集団においては,児童自身が発案 したり,自分たちで活動を工夫したりするなどの自発的な行動が促進さ れるように,教師が働きかけをすることが大切であると考える。. ところで,発達課題の観点から,Erikson(1950,195g)は心理社会的 発達の理論の中で,学童期の発達課題を勤勉性対劣等性としてとらえた。 鎗(1990)はEriksonの心理社会的発達の理論をもとに,児童期を外的・内. 的な力を統制しながら自分の要求を表現する時期ととらえ,自発性の獲 得が大変重要であると述べている。. また,deCharms(1976)は動機づけの観点から,「人間の最良の状態は. 能動的であるべきであり,受動的であってはならない。人は自分の行為. の主人であるべきで,権威によって指示されるものであってはならな い。」と述べている。. 以上のように,小学校の児童に対して自発性を高めるということの意 義は大変大きいと考える。. 自発性ということに関して,deCharms(1976)は「指し手一コマ」の感 覚が行動に大きく影響を与えると考えた。deCharms(1968)は「指し手」. 一1一.

(6) を自己の運命を支配しているのは自分自身であり,自分の行動の原因が 自分自身の中にあると感じている状態の人のことと定義し,「コマ」を 自己の運命の糸は他者に握られており,自分は操り人形に過ぎず,自分. の行動の原因が自分の外にあると感じている状態の人のことと定義し た。そして,「指し手」と感じている人は積極的で,自分には潜在能力 があると考え,たとえ外部からの力で束縛されてはいても,その中で自. 分の目標をはっきりつかもうとし,献身の結果であるその目標を達成し ようとするが,「コマ」と感じている人は消極的で,自分は無力である と考えていると説明している。. また,一人の人が「指し手」となることを助けるということは,彼の もつべき目標を決めてやることではなく,決断と目標を自己開発するこ とを助けることにあり,それによって彼が自分の目標をより効果的に達. 成することができるようにしてあげることであると考え,「指し手」を 育てる学習環境として,個人的な選択の機会を与え,そうした選択の範 囲を段階的に拡大していくことをあげている。. Deci(1975)は認知的評価理論を教室場面に適用し,子どもを統制しよ. うとする教師は,強化を統制的に与えることにより,当該活動への子ど もの自律的な関与感を減少させ,内発的動機iづけや自己概念を低めるの. に対し,子どもの自律性を支持しようとする教師は,強化を情報的に与. えることによって,子どもの有能感の形成を援助し,動機づけや自己概 念を高めると説明している。 以上のdeCharms(1968,1976)やDeci(1975)の研究から,子どもが「指し. 手」のように自発的に行動することに対し,行動や目標を児童が自分で 決められるように助けたり選択の機会を与えるといった教師の行動や子 どもの自律性を支持するといった教師の態度が影響を与えるということ. 一2一.

(7) が示された。. 実践的な研究として,落合(1994a)は児童の自発的な行動が顕著に見ら れる学級の担任教師である築地久子の行動を分析した。落合(1994a)は,. 築地学級の児童を対象に,教室の指し手一コマ雰囲気の評価テストを行 い,築地学級の児童は自分たちのクラスは自分たちのことを自分たちで. 決めるクラスであり,自分でやろうと思っていることができるクラスで あり,クラスの規則は私たちを助けるためのものであると認識している という結果を得ている。. また,上田(1996)は築地の行動から「励まし,見守り,ほめる」とい. う支援行動を抽出し,教師からの支援行動が低いと認知している児童を. 対象に教師の支援行動が児童の自己概念,学級適応に及ぼす影響につい て検討した。その結果,教師が支援行動をより積極的に行うことにより. 児童の自己決定感(学習・学級活動)や教師の期待や態度に対する認知 が肯定的に変化していることが認められた。. つまり,築地学級のように自発的な行動が顕著に見られる学級では,. 教師の支援行動が児童の自発性に影響を与える過程で児童の自己概念や 教師の行動・態度に関する認知が変容することが推測される。. ところで,二二(1995)は清掃活動や当番活動においての教師の指導行. 動に焦点を当てた実験研究を行った。実際には教師の生徒に対する評価 行動の頻度を低くし「待つ」という行動を増やすことにより,生徒の学 級活動に対する自己統制感や自発性がより肯定的になると仮定し,その 効果を検討した。しかしながら,結果は仮説とは反対の方向に変化した。. このことから,学級での生徒の自発性や積極性を高めるためには,教師 のある行動を減らす,あるいは「待つ」というような生徒から見て取り にくい行動を行うことでは十分な効果が期待できず,そこにそれを補完. 一3..

(8) するような何らかの教師の指導行動が必要であると考えられる。 こうした落合(1994a),上田(1996),明壁(1995)の研究は,教室内での. 教師行動が児童の自発性に影響を及ぼすこと,またその影響過程には児 童による教師の行動・態度の認知や自己決定感・有能感といった自己概 念が介在しているということを生態学的妥当性の高いデータに基づいて 実証していったという点で,実践的に意義のある研究であると言える。. しかし,児童の自発性を高めるということにおいて,実践的な意義を さらに深めるために,次の点についてより詳細に検討することが必要で あると考えた。. まず1点目は,教育現場に則した具体的な自発性や自発的行動を測定 することである。落合(1994a)・上田(1996)の研究の中で,学習場面での. 自発性と考えられる学習への意欲については測定されてはいるものの,. 学級活動における具体的な自発的な行動や集団への働きかけについては 検討がなされていない。したがって,学習場面・生活場面両面のある学. 校生活における自発性を検討する上で十分なものとはいえないと考え る。また,上田(1996)は児童の自発性に影響を及ぼすと想定される自己. 決定感については測定し肯定的な方向への変化が見られたという結果を 得ているものの,学級における実際の場面に基づいた児童の自発的な行 動との関係についてまでは検討がなされていない。つまり,学級活動に おける自発性ということについて,学級における実際の活動場面に注目 した研究を行うことは意義あることと考える。そこで,本研究では学級. 活動に焦点を当てた児童の自発性や自発的な行動について,検討してい く。. 次に2点目は,児童の自発性を高めると考えられる教師の働きかけを. 具体的な行動として取り上げ,その効果を吟味することである。落合. 一4一.

(9) (1994a)は築地学級の児童の有能感や指し手一コマ雰囲気の認知や対人関. 係の在り方が肯定的な方向へ変化していることを示しているが,築地の どの行動がこのような影響を及ぼしたのかということについて,具体的 な行動を特定していない。. また,落合(1994a)は児童に対する肯定的な影響の規定因として教授行. 動を推測し築地と同じ教授行動を他学級で追試したが,築地学級とは異 なったものになったという結果(追試された2学級の児童の有能感は肯 定的な方向へ変化しているが,築地学級ほど大きなものではない。また,. 指し手一コマ雰囲気の認知と対人関係の在り方については一定の変化が 示されていない。)を得た。その結果を受けて,上田(1996)は築地の教授. 行動を支える対人行動の内容が,肯定的影響の規定因を探るキーとなっ. ていると推察した。そして,授業逐語記録やビデオ記録をもとに,築地 の行動を分析し「励まし,見守り,ほめる」という支援行動を抽出した。. しかし,取り上げた場面が授業での教科,学級活動の場面などを限定 しなかったため,支援行動を向ける場面が広く,場面が統制できないこ とによる影響が生じたと推測される。学習への意欲といった学習場面(各. 教科・道徳)における自発性は,その教科の特質や指導内容に大きく影 響されると思われ,教師の働きかけ以外のものの効果を受けやすいと想 像される。そして,教育活動の現実から「励まし,見守り,ほめる」と いう行動が必ずしもこのような順序で行われるものではなく,混在して 行わざるをえないことが多いと考える。また,上田(1996)の研究は築地. のみの教師行動から一般化を図っていることから,妥当性があるかどう か,疑問が残るところである。. そこで,自発的な行動が顕著に見られる学級の複数の担任教師の行動 を分析し,自発性を高めると思われる教師の働きかけを特定することに. ,5一.

(10) した。. では,児童の自発性を高める働きかけとは,どのような場面のどのよ うな行動なのであろうか。 桜井(1996)はHavighurst,R.J.の自発性使用の原理を基に,子どもには元. 来自分にできそうなことを率先してやろうとする性質があり,子どもの 自発性を育てるためには,子どもに強制するのではなく自分からするよ うな状況を作ることが重要であると指摘している。そして,自発性の育 成に幼児期から自己決定のトレーニングとして,いくつかの選択肢の中. から選んだり制限がある中で自己決定したりすることが大切であり,そ れが自己責任にもつながると述べている。また,子どもゆえの配慮とし て,自己選択の前にアドバイスするとか,子どもの能力ではうまくでき そうにないことを自己決定してしまったら適切に配慮するなどの気遣い が必要であると説明している。. では桜井(1996)が示したことが,実際の教師のどのような行動で表れ. るのであろうか。学級活動場面で自発的な行動が顕著に見られる学級の 担任教師(有田和正・鈴木恵子・築地久子)の働きかけに着目し,そこ から具体的な働きかけを特定することにする。. 有田(1995)の学級では,子どもたちで工夫された学級活動や係活動が さかんである。子どもの願いを生かすために有田(1995)は「君の願いは,. どんなことですか」などと問い子どもの多様な願いをつかもうとする。. そして,子どもとの関わりの中で,「あなたはどう考えるのか」という ように子ども自身の考えをまず出すことを大切にしている。その後,有 田(1gg8)は「いいね」「なるほど」「そういう考えもあるな」など発言を. 認めたり,「本当にそうなの」「でも∼かもしれないよ」など考えをゆさ ぶったりして,児童の自発的な活動を促している。. 一6一.

(11) 鈴木(1gg4)は自分から行動する児童を育てるために,自己決定(自分. で行動を選択する)と相手との関わり(自分で決めたことが他の人たち にどう影響するか)が重要であると指摘する。鈴木(1998)は自分から進. んで環境に関わっていく過程で,自分の中にある力を自覚し,自信をも. ち,自分から進んで行動していこうとする意欲をもつようになると仮定 する。そして,自己決定の場や機会を与えるだけでなく,それを支える 支援(決めたことに対する励ましや承認)が大切であると述べている。. それに加え,活動に取り組む過程を重視し,結果に関わりなく過程に対 して適切な評価を積極的に行っている。. また,上田(1996)の研究にもあるように,築地の「励まし,見守り,. ほめる」という対人行動が,児童に対する肯定的な影響の規定因である ことが示されている。築地(1994b)は,学級活動において児童同士の話し. 合いを重視し,意図的に話し合いの場を作り出している。その際,児童 が活動を決定するときに肯定的なアドバイスをしたり,その決定の理由 を問いながら,適切な自己決定ができるように支援している。そして,. 自分が以前よりどう変わったかを問いかけ,児童自身に成長を自覚させ るような働きかけを行っている。 有田(1995,1998),鈴木(1994,1998),築地(1994a,1994b)の児童. への働きかけを検討する中で,児童の自発性を高めると思われる共通し た働きかけとして,次の2つの基本的な行動を取り上げた。. 1 自己決定・自己選択の場の設定 2 自己決定・自己選択に対する教師の支援 そして,自発性を高める基本的な教師の働きかけとして,次のような 行動を設定した。. 一7..

(12) 〈教師の基本的な働きかけ〉. ○,出動前 〈自己決定・自己選択させる〉. ①教師から現状や問題,活動の趣旨について,子どもたちに伝える。また,児 童力、らの提案であれば,提案理由や活動内容を補足する。. ・子どもが「∼ことしたいんだけど」とか「やってみたいな」という気持ちを もったときに,「いいね」「やってみたら」「先生も助けてあげるよ」などの 助言をして,自発的な行動を促す。. ・教師からの提案の場合は,その趣旨や問題の説明を中心にして,その後の行 動は児童ができるだけ決定できるようにする。 ②それについて子どもの考えや要求や意志を表明させる。 ・子どもが「… してもいいですか」と聞きに来たときなど,「あなたはど うしたいのか」を聞き返し,自分自身で判断し行動するように促す。 ・子どもからの意見が少なかったり,偏ったりした場合は「∼や∼も考えられ るよ」などのアドバイスをする。 ③自分にあうものやふさわしいもの,クラスにとってふさわしいと考えるもの を決定・選択させる。. ・決定・選択した理由を確認するなどして,よりよい自己決定が行えるように. する。その際,明らかに無理なときなどは「これは先生の考えなんだけど・ ・・」というように,命令的でないような助言を行う。 ・決定した後はその活動に対する意欲づけを行う。 ↓. 児童の,舌動 ↓. 05舌閉門. く評価する〉 自分で考えて行動したことに対する賞賛をする。. ・結果のみに注目するのではなく,それまでの過程をも考慮して,プラスの評 価を行う。. ・他者との比較ではなく,以前の自分との比較の中で,児童の成長や努力を自 覚できるように配慮する。. 一8一.

(13) また,これまでの研究から得られた知見を基に,この教師の働きかけ. が学級の児童に及ぼす影響過程をFig.1のように想定した。なお有田 (1gg5,1998),鈴木(1994,1998),築地(1gg4a,1gg4b)の働きかけは,学級. という公的な場で行われている。そのため,その働きかけの内容が学級 の児童の認知を通して学級規範のように価値付けられたりや方向付けら. れたりすることにより,自発的な行動に対する肯定的な学級の雰囲気が 作り出されることが予想される。したがって,自発的な行動に対する学 級の雰囲気も検討すべき変数として取り上げる必要があると考えた。. 教師の働きかけ. 児童による教師の. 自発的な行動に対. 児童の有能感. 期待や態度の認知. する学級の雰囲気. 児童の自己決定感. 児童の自発性. Fig.1. 教師の働きかけが児童の自発性に影響を与える過程のモデル. 一9一.

(14) 具体的には,小学校の3年生から6年生の児童に有田,鈴木,築地か ら得られた基本的な教師の働きかけを学級活動の場面で意図的に増や す。そして,そのことが学級活動における児童の自発性や有能感・自己 決定感,教師の期待や態度に対する認知,自発的な行動に対する学級の 雰囲気にどのような影響を及ぼすのかについて検討する。その際,学級 活動における自発性を教室で行われる児童の行動や活動という観点でと らえ,検証していくこととする。. 一10一.

(15) 皿. 方 法. 1 実験の対象 実験:の対象は岡山県の公立小学校4校の3年生(6学級)・4年生(6. 学級)・5年生(5学級)・6年生(5学級)の児童とその学級担任であ る。. そして実験学級・統制学級にはその中から14学級と8学級を割り当て た。各学級の児童数や学級担任の属性はTable 1のとおりである。 Table1 研究対象とした学級の児童数や学級担任の属性 条件. 学校. 学年 3 3. A校. 4 4 5 6 6 3. B校. 6. 5. 3 3 D校. 26 21 24 22 40 24 20 10. 女. 33 27 27 33 33 28 26 31 31 31 29. 3. 4. 統制学級. 学級担任の性. 11 16 12. 4 5. C校. 児童数. 4. 4 5 5 6 6. 一11。. 女 男. 女 男. 写 男. 女 女 男 男 男. 女 男. 女 女 男. 女 女 男. 女. 女.

(16) 実験学級は,3校14学級(3年生3学級・4年生4学級・5年生3学 級・6年生3学級)で,統制学級は1校8学級(3年生2学級・4年生 2学級・5年生2学級・6年生2学級)であった。また,クラスサイズ は実験学級が10∼40,統制学級が26∼33であった。. 2 実験の手続き (1)操作前の測定. 実験的操作を行う前に,22学級の全児童を対象にして,教師の働きか けの程度に関する児童の認知,学級活動における児童の自発性,教師の. 期待や態度に関する児童の認知,児童の有能感・自己決定感,自発的な 行動に対する学級の雰囲気について質問紙による測定を行った。. 測定においては,学級担任が教示者となり,学級ごとに集団調査形式 で実施した。. 回答の形式は「よくあてはまる」「すこしあてはまる」「あまりあては. まらない」「ぜんぜんあてはまらない」の4段階尺度を用い,自分の気 持ちに該当するものに印を付けさせた。回答に際しては回答内容の秘密 を守り評定の歪みをできるだけ減らすために,回答結果は実験を依頼し てきた大学の先生以外は誰も見ないこと,成績とは関係がないことを伝 えた。そして,回答し終えた質問紙は直ちに回収し,学級担任がその場 で回収用の封筒に入れ,封をした。. ①教師の働きかけの程度に関する児童の認知 児童の自発的行動が顕著に見られる学級の担任教師(有田・鈴木・築 地)から抽出した教師の行動を参考に,児童の自発性を高めると考えら れる教師の働きかけを11個精選し測定尺度を構成した後,児童に評定さ. 一12..

(17) せた。. <自己決定・自己選択の場の設定> 1 掃除の仕方や内容は,先生が決めます。 2 係活動の内容は先生が決めます。. 3 先生は係活動やお楽しみ会の計画など,自分で決められるところ は決めさせてくれます。. 〈自己決定・自己選択に対する教師の支援〉 ○自己決定・自己選択に対する賞賛. 1 係活動や学級活動の時間に,新しいアイデアを出したり工夫した りしたとき,先生はほめてくてます。. 2 掃除の時間に自分からやる仕事を見つけたり考えたりしたら,先 生はほめてくれます。. 3 係の仕事が前よりも工夫できたら, 先生はほめてくれます。. 4 私が昨日よりじょうずに掃除できたら,先生はほめてくれます。 ○自己決定・自己選択に対する励まし 1 学級活動や係活動の時間に,私がやってみたいことを提案したら, 先生は励ましてくれます。. 2 係活動や掃除の時間に私がうまくできなかったときでも,がんば っていたら先生は励ましてくれます。. ○自己決定・自己選択に対する助言. 1 先生は私が自分でめあてが決められるように,アドバイスしてく れます。. 2 私が何をしていいか思いつかないとき,先生は「こんな方法もあ るよ」などとアドバイスしてくれます。. .13一.

(18) ②教師の期待や態度に関する児童の認知 濱名・松本(1993),取釜(1994),上田(1996)の研究で使用された測. 定尺度を参考に,教師が自分に向ける期待や態度を測定する3項目を以 下のように作成し,児童に評定させた。 ○期待. 先生は,係や学級の仕事を「私もやればできる」と思っています。 ○態度. 1 先生は私たちにいろんなことを任せてくれます。. 2 先生は私に任せてくれるので,それに応えようと思います。. ③児童の有能感・自己決定感 桜井(1983),落合(1994a),上田(1996)の研究で使用された測定尺. 度を参考に児童の有能感,自己決定感を測定する5項目を以下のように 作成し,児童に評定させた。. ○有能感. 1 係や学級の仕事は,やる気をもってがんばれば,できるようにな ると思います。. 2 学級活動の時間には,「私もけっこうがんばれる」と思います。 ○自己決定感. 1 私は人から言われるから行動するのではありません。 2 自分ですることは,自分で決めて行動しています。 3 自分で決めて行動するとき,友達の目が気になります。. ④自発的な行動に対する学級の雰囲気 落合(1994a),上田(1996)の研究で使用された測定尺度を参考に,児童. 一14..

(19) の学級の自発的行動に対する認識を測定する5項目を以下のように作成 し,児童に評定させた。. 1 私たちの学級では,自分で行動することは大切なことだと思って います。. 2 自分たちの学級では,たとえ失敗してもがんばってみることが大 切だと思っています。. 3 私たちの学級には,自分たちでがんばろうという雰囲気がありま す。. 4 先生から言われてするより,うまくいかなくても自分から行動し てみることの方が大切だと思います。. 5 私たちの学級には,みんなでアイデアを出し合って話し合いなが らいい学級にしていこうという雰囲気があります。. ⑤学級活動における児童の自発性 落合(1994a),上田(1996)の研究で使用された測定尺度を参考に,. 児童の自発性を測定する13項目を以下のように作成し,児童に評定させ た。なお,ここで取り上げるものは学級活動に関するものであるが,学 級での活動の中にも個人で行う時間もあり,集団的なものだけでなくそ の部分も含めた設問を作成するようにした。. ○学級活動への意欲 1 学級の中での仕事は進んで引き受けようと思います。. 2 学級の友達が楽しめることを私たちで計画してみたいと思いま す。. 3 係活動や学級活動の時間に,私たちは新しいアイデアを出したり 工夫したりします。. 一15一.

(20) 4 掃除の時間には自分からがんばる仕事を見つけたり考えたりしま す。. ○学級集団への積極的な働きかけ. 1 こんなことをしたらいいなあと思ったら,先生や友達に言ってみ ようと思います。. 2 新しい遊びや楽しそうなことは学級の友達に紹介したいと思いま す。. 3 係活動の時間には,私たちがやってみたいことを提案します。 ○集団自治への意欲 1 できるだけ先生の力を借りないで,やってみようと思います。. 2 けんかやトラブルはできるだけ私たちで解決しようと思います。 3 友達と協力して,私たちの学級をいい学級にしたいと思います。 ○自己責任. 1 自分のことはまず自分でがんばろうと思います。. 2 友達と違っていても,自分で決めたことなら気にせずにやろうと 思います。. 3 私は自分でがんばるめあてを決めます。. (2)教師に対する要請. 実験学級の担任教師への自発性を高めるための教師の働きかけを変化 させるための要請は,職員研修による全体説明と個人面接によって行っ た。. 担任教師への要請の手順は以下の通りである。. ①職員研修の時間に,児童に自発性を高めることの意義を説明し,「こ. れから3週間の間,学級活動の場面において,これから提示する教師. 一16一.

(21) の働きかけを計画的に行ってください」と要請した。. ②教師の働きかけが具体的な学級活動の場面でどのようなものとなる かを示したマニュアル(資料1)を配布し,説明した。その際,具体 的な場面として,清掃活動,話合い活動,学校行事への取り組み,係 活動,1日のめあてづくりを取り上げ例示し,実践に結びつけやすく した。例えば清掃活動と係活動については以下のように説明した。. 例1)清掃活動 清掃活動は児童の生活に身近な活動にもかかわらず,児童による活 動の工夫や自発的な行動が比較的見られない活動であることを確認し た後,基本的な働きかけを清掃活動に適用した場合の流れを順次説明 していった。. まず,清掃活動の前に,班長や代表がそうじのめあてを決めること を確認した。. 次に各グループで「今日のきれいにしたいこと」などのめあてを発 表させることを知らせ,そのときに「特に汚れているところはないか な」「∼することもできそうだよ」などと助言したり,「どうしてその. 掃除をしょうと思ったのかな」などと聞き返し,意図や理由をはっき りさせるような行動を行ったりするよう要請した。. その次に発表されためあての中から「今日のめあて」を決定・選択 することを説明した。その際,「今日しておいた方がいいのはどれか な」などよりよい決定が行えるように助言したり,「きっと清掃が終 わったら気持ちよくなると思うよ」などと決定した活動に対する意欲 付けを行うように要請した。また,グループでの決定になるため自分 の発表したことが「今日のめあて」にならない児童が出ることが予想 されるが,自分(自分たち)で決めたという感覚が持てるよう配慮す. 一17一.

(22) るように話した。. そして,清掃後めあてに関する評価をすることを説明した。その際,. 「前よりやり方を自分で考えたところがすごいね」「前,気づかなか ったところに気づいてきれいにそうじできたね」など児童の努力を自. 覚できるようにほめたり「うまくいかなかったけど○○を工夫すれば うまくいきそうだよ」などと結果だけでなく清掃への取り組み方や過 程も考慮した励ましを行うように要請した。. 例2)係活動 係活動は児童の活動の工夫が比較的なされやすい活動であることを 確認した後,基本的な働きかけを係活動に適用した場合の流れを順次 説明していった。. まず,週の最初に係の活動計画をたてることを確認した。. 次に各係ごとに「今週の係活動はどんなことをするか」を決めるこ とを説明し,係のメンバーで話し合わせるように要請した。その際,. 「自分で仕事が見つけられるのはすばらしいことだよ」など自己決定. や自己選択の行動をほめたり「なるほど。これは楽しそうだね」など と活動に対する励ましを行うよう要請した。. その次に出された意見の中から,今週の活動を決定させることを説 明し,その際「この活動は大変だけど,とっても意味あることだと思 うよ」などと励ましたり,「今回は○○さんの意見ではなかったけど,. 今度できたらしてみるといいよ」などと自分の意見が反映されなかっ. た児童にも,自分(自分たち)で決めたという感覚がもてるように配 慮するように要請した。. そして活動後,今週の活動について振り返る場を設定し,評価する ことを説明した。その際,「先週より工夫した活動ができたね」など. 一18一.

(23) 児童の成長や努力を自覚できるように配慮したり,「みんなに楽しん でもらおうとがんばっていた姿がよかったよ」などと活動過程を評価 したりするように要請した。. ③説明後,行動の具体化に関する質問に答えた。可能な限り答えるよ うにし,各担任教師が児童への働きかけを具体的につかめるようにし た。. ④実験期間中は,一週間に2∼3回実験校を訪問し,実施上の不明点 を相談したり,児童の様子を聞いたりした。このことで,各担任教師 の側で要請した行動を意識的に行えるようにすることをねらった。. なお,統制学級の教師には,こうした要請はいっさい行わなかった。. (3)操作後の測定. 実験的効果を検討し結果を吟味するため,実験学級に3週間の実験的 な教師の働きかけを実施した後,実験学級と統制学級のすべての児童に 対して,操作前と同じ方法で以下の測定を行った。. ①教師の働きかけの程度に関する児童の認知 ②教師の期待や態度に関する児童の認知 ③児童の有能感・自己決定感 ④自発的な行動に対する学級の雰囲気 ⑤学級活動における児童の自発性. (4)実験期間. 1999年6月中旬から7月中旬. 一19一.

(24) 皿. 結 果. 1 分析手続き. まず,実験学級と統制学級の児童が教師の働きかけの程度に対する認. 知を評定した各項目の回答(4段階)に1点から4点の得点を与えた。 そして,操作前の測定値を統制変数,操作後の測定値を従属変数とした 共分散分析を行い,実験条件間における教師の働きかけの変化の違いを 吟味した。. 次に,教師の期待や態度に関する児童の認知や児童の有能感・自己決 定感や自発的な行動に対する学級の雰囲気や学級活動における児童の自. 発性を測定する各項目の回答に関しても同様ピ,共分散分析によって両 条件で教師に働きかけの変化に伴う効果が異なるかどうかを吟味した。. また,本研究のデザインは実験条件に14学級,統制条件に8学級が組 み入れられ,さらに各児童がそれぞれに学級に組み入れられているとい う形をとっている。その際,実験条件と統制条件の児童の間の平均値の. 差には無作為変数である学級という要因の効果が交淫している。このこ とから,各条二三での学級間の変動が各条心内での児童間の変動に比べ て有意に大きい場合などには,分散分析で実験的操作の効果を検定する. 際の誤差項として,各条件内での個々の児童間の変動ではなく各条比内 での学級間の変動を用いる必要がある。以上のことを考慮し,本研究で は各条件内での学級間の変動が各条件内での児童間の変動に比べて有意 に大きくない場合でも,各条件内での学級間の変動を誤差項とした検定 を行った。. .20一.

(25) なお,本研究では統計的検定における有意水準をすべて5%に設定し た。. 2 教師の働きかけに対する児童の変化 (D教師の働きかけの程度に関する児童の認知の変化. まず,操作前に測定した教師の働きかけの程度に関する22学級の全児 童の回答に対して,11の項目それぞれにつき,「よくあてはまる」に4 点,「すこしあてはまる」に3点,「あまりあてはまらない」に2点,「ぜ んぜんあてはまらない」に1点を与え,得点化した(高得点であるほど, その程度が高いことを示す)。. そして,こうして得られた教師の働きかけが,児童から見ても筆者が 考えていたものと一致するかどうかを確認するため,11項目に対する回 答の項目間相関に基づき,因子数:(主成分)を2から3に変化させて,. 主成分分析→バリマックス回転を行った。そして,因子抽出における固 有値の変動の様子や回転後の因子パターンの解釈可能性の観点から,2 因子解を採択した(Table 2)。. 一21..

(26) Tab}e』2 教師の働きかけに対する児童の認知(11項目)の主成分分析の結果. F1. F2. 0.78. 一〇.03. 0.71. 一〇.01. 3係の仕事が前より工夫できたら,先生はほめてくれます。. 0。70. 0.07. 4学級活動や係活動の時間に,私がやってみたいことを提案し. 0.70. −0.07. 0。69. 一〇.03. 0.66. 0.01. 項. 目. 1係活動や学級活動の時間に,新しいアイデアを出したり工夫し たとき,先生はほめてくれます。. 2私が昨日よりじょうずに掃除できたら,先生はほめてくれま す。. たら,先生は励ましてくれます。. 5係活動や掃除の時間に私がうまくできなかったときでも,が んばっていたら先生は励ましてくれます。. 6掃除の時間に自分からやる仕事を見つけたり考えたりしたら, 先生はほめてくれます。. 7先生は私が自分でめあてが決められるように,アドバイスし. 0.64. 一〇.14、. てくれます。. 8私が何をしていいか思いつかないとき,先生は「こんな方法. 0.53. 0.03. 一〇.03. 0.77. 0。02. 0。73. 0.30. 0.10. もあるよ」などとアドバイスしてくれます。. ☆ 9係活動の内容は先生が決めます。. ☆10掃除の仕方や内容は先生が決めます。 ↑1先生は係活動やお楽しみ会の計画など,自分で決められると ころは決めさせてくれます。. 注1)☆印を付けた項目は,逆転項目である。 注2)各因子の分散説明率はそれぞれ34.4,10.6であった。. 次に特定の因子に.50以上の負荷量を示し,同時に他の因子に.20以 下の負荷量しか示さないことを条件に各因子に含まれる項目の内容を検. 討して,第1因子(8項目)を「自己決定・自己選択に対する教師の支 援」,第2因子(2項目)を「自己決定・自己選択の場の設定」と命名 した。そして,児童ごとの各回子別の得点(各因子に高く負荷した諸項. 目に関する1項目当たりの平均点)を操作前と操作後のデータに関して 算出した。. 一22一.

(27) このようにして得たデータを基に,操作前と操作後の変動を実験学級 の児童と統制学級の児童との問で吟味した(Table 3)。. Table3 教師の働きかけに対する児童の認知の変化. 操 作 項. 前. 操 作. 後. 検. 定. 目. 自己決定・自己選択に. 実験学級. 統制学級. 実験学級. 統制学級. 2.75. 2.85. 3.18. 2.68. 2.69. 2.45. 2.67. 2.49. F値 76.62*. ホする教師の支援 自己決定・自己選択の. 3.59. 黷フ設定 注1)操作後の得点は,操作前の得点の値を統制した調整後の平均である。 注2)*印は,有意差があったことを示す。. その結果,自己決定・自己選択に対する教師の支援に関する児童の評 定得点(操作前の値を統制した調整後の平均得点)が実験学級は統制学 級に比べ,有意に増加する方向へ変化していた。自己決定・自己選択の 場の設定に関する児童の評定得点については実験学級と統制学級の間に 有意な差は見られなかった。. (2) 教師の期待や態度に関する児童の認知,児童の有能感・自己決定. 感,自発的な行動に対する学級の雰囲気の変化 まず,操作前に測定した教師の働きかけによって引き起こされる認識 として想定した教師の期待や態度に関する児童の認知,児童の有能感・ 自己決定感,自発的な行動に対する学級の雰囲気に対する全児童の回答. 一23一.

(28) に関して,教師の働きかけに対する卑童の認知と同様に,13の項目ごと. に1点から4点の得点を与えた(高得点であるほど,その程度が高いこ とを示す)。. そして,こうして得られた回答内容が,児童から見ても筆者が考えて いたものと一致するかどうかを確認するため,13項目に対する回答の項. 目間相関に基づき,因子数(主成分)を2から3に変化させて,主成分 分析→バリマックス回転を行った。そして,因子抽出における固有値の. 変動の様子や回転後の因子パターンの解釈可能性の観点から,2因子解 を採択した(Table 4)。. 一24一.

(29) Table4 教師の働きかけによって引き起こされる認識(13項目)の主成分 分析の結果. F1. F2. 0.68. 0.09. 2自分ですることは,自分で決めて行動しています。. 0.66. 0ユ7. 3私たちの学級では,たとえ失敗してもがんばってみることが大切. 0.57. 036. 0.56. 0.31. 5私は人から言われるから行動するのではありません。. 0。54. 一〇.15. 6私たちの学級では,自分で行動することは大切なことだと思って. 0.48. 0.25. 7先生は私たちにいろんなことを任せてくれます。. .0.04. 0.69. 8先生は,係や学級の仕事を「私もやればできる」と思っています。. 0.24. 0.62. 9先生は私に任せてくれるので,それに応えようと思います。. 0,21. 0.61. 0.37. 0.50. 0.35. 0.49. 12学級活動の時間には,「私もけっこうがんばれる」と思います. 0。44. 0.42. 13自分で決めて行動するとき,友達の目が気になります。. 0.27. −0.36. 項. 目. 1先生から言われてするより,うまくいかなくても自分から行動し てみることの方が大切だと思います。. だと思っています。 4係や学級の仕事は,やる気をもってがんばれば,できるようにな ると思います。. います。. 10私たちの学級には,自分たちでがんばろうという雰囲気がありま す。. 11私たちの学級にはみんなでアイデアを出し合って話し合いながら いい学級にしていこうという雰囲気があります。. 注)各因子の分散説明率はそれぞれ20.7,18.3であった。. 次に特定の因子に.45以上の負荷量を示し,同時に.40以下の負荷量 しか示さないことを条件に各因子に含まれる項目の内容を検討して,第. 1因子(6項目)を「児童の自己決定感・自己決定に対する認識」,第 2因子(5項目)を「教師の期待や態度に関する児童の認知」と命名し た。当初,自発的な行動に対する学級の雰囲気という変数を想定してい. .25一.

(30) たが,因子としてまとまった形での抽出はできなかった。. そして,児童ごとの各因子別の得点(各因子に高く負荷した諸項目に. 関する1項目当たりの平均点)を操作前と操作後のデータに関して算出 した。. こうして得たデータを基に,教師の働きかけの変化に伴い児童の自己 決定感・自己決定に対する認識,教師の期待や態度に関する児童の認知 がどのように変化したかを吟味するため,実験学級の児童と統制学級の. 児童との間で操作後の値を従属変数,操作前の値を統制変数とした共分 散分析を行った。その際,先の分析手続きの項で述べた理由から各条件 内の学級間の変動を誤差項として検定を行った(Table 5)。. Table5 児童の自己決定感・自己決定に対する認識と教師の期待や態度 に関する認知の変化. 前. 操 作 項. 操. 作 後. 検. 定. 目. 自己決定感・自己決定. 実験学級. 統制学級. 3.20. 3.25. 3.35. 3.12. 27.51*. 2.93. 3.03. 3.20. 2.82. 49.34*. 実験学級. 統制学級. F値. ノ対する認識 教師の期待や態度に関. キる認知 注1)操作後の得点は,操作前の得点の値を統制した調整後の平均である。 注2)*印は,有意差があったことを示す。. Table 5より,児童の自己決定感・自己決定に対する認識と教師の期待. や態度に関する児童の認知の次元において,実験学級の児童の方が統制 一26一.

(31) 学級の方の児童よりも有意に肯定的な方向へ変化していた。. (3) 学級活動における児童の自発性の変化. 学級活動における児童の自発性の変化について検討するため,操作前 に測定した学級活動における自発性についての全児童の回答に関して,. 教師の働きかけに対する児童の認知と同様に,13の項目ごとに1点から 4点の得点を与えた(高得点であるほど,その程度が高いことを示す)。. そして,こうして得られた回答内容が,児童から見ても当初筆者が想 定していたものと一致するかどうかを確認するため,13項目に対する回 答の項目間相関に基づき,因子数(主成分)を2から3に変化させて, 主成分分析→バリマックス回転を行った。そして,因子抽出における固. 有値の変動の様子や回転後の因子パターンの解釈可能性の観点から,2 因子解を採択した(Table 6)。. 一27一.

(32) 丁able6 学級活動における児童の自発性の変化(13項目)の主成分分析の結果. F1. F2. 0.68. 0.22. 0。65. 0.08. 3学級の友達が楽しめることを私たちで計画してみたいと思います。. 0.64. 0.24. 4こんなことをしたらいいなあと思ったら,先生や友達に言ってみ. 0.60. 0.18. 0。59. 0.13. 0.58. 0.18. 7学級の中での仕事は進んで引き受けようと思います。. 0.50. 0.41. 8できるだけ先生の力を借りないで,やってみようと思います。. 0.11. 0.79. 9自分のことはまず自分でがんばろうと思います。. 0。15. 0.74. 10けんかやトラブルはできるだけ私たちで解決しようと思います。. 0.20. 0.55. 11友達と協力して,私たちの学級をいい学級にしたいと思います。. 0.42. 0.52. 12友達と違っていても,自分で決めたことなら気にせずにやろうと. 0.12. 0.51. 0.39. 0.45. 項. 目. 1新しい遊びや楽しそうなことは学級の友達に紹介したいと思いま す。. 2係活動や学級活動の時間に,私たちは新しいアイデアを出したり 工夫したりします。. ようと思います。 5学級活動や係活動の時間には私たちがやってみたいことを提案し ます。. 6掃除の時間には自分からがんばれる仕事を見つけたり考えたりし ます。. 思います。 13私は自分でがんばるめあてを決めます。. 注)各因子の分散説明率はそれぞれ24.7,19,8であった。. 次に特定の因子に.50以上の負荷量を示し,同時に.45以下の負荷量 しか示さないことを条件に各因子に含まれる項目の内容を検討して,第. 1因子(7項目)を「学級集団活動への積極的な関与」,第2因子(5 項目)を「自治活動への意欲と責任」と命名した。. そして,児童ごとの各因子別の得点(各因子に高く負荷した諸項目に. 関する1項目当たりの平均点)を操作前と操作後のデータに関して算出. 一28一.

(33) した。. こうして得たデータを基に,教師の働きかけの変化に伴い児童の学級 活動における自発性がどのように変化したかを吟味するため,実験学級 の児童と統制学級の児童との間で操作後の値を従属変数,操作前の値を 統制変数とした共分散分析(誤差項は各条件内の学級間の変動)を行っ た(Table 7)。. Table7 学級活動における児童の自発性の変化 操 作 項. 前. 操. 作 後. 検. 定. 目. 学級集団活動への積極的. 実験学級. 統制学級. 2.78. 2.78. 2.98. 2.76. 15,16*. 3.26. 3.34. 3.39. 3.13. 41.62*. 実験学級. 統制学級. F値. ネ関与 集団自治への意欲と責任. 注1)操作後の得点は,操作前の得点の値を統制した調整後の平均である。 注2)*印は,有意差があったことを示す。. Table 7より,学級活動における児童の自発性は,学級集団活動への積. 極的な関与や集団自治への意欲と責任という次元で,実験学級の児童の 方が統制学級の児童よりも有意に肯定的な方向へ変化していた。. 一29,.

(34) 考 察. 本研究は,学級活動における児童の自発性を高めるための教師の働き かけを特定し,その効果を吟味することであった。そのため,学級活動 において自発的な行動が顕著に見られる学級担任3名(有田・鈴木・築 地)の行動から教師の働きかけを特定し,教育現場においてその頻度を 実験的に操作することにより,その効果と児童に及ぼす影響について検 討していった。. まず,教師の働きかけを向けられた実験学級の児童は,学級活動にお ける自発性(学級集団への積極的な関与,集団自治への意欲と責任)を 肯定的な方向へ変化させていた。学級集団への積極的な関与は,実際に 学級で行われている活動や学級集団そのものに積極的に関わっていこう. とする意欲を測定したものである。集団自治への意欲と責任は,児童が 自分たちで学級を運営し自分たちの責任で活動していこうという意欲を. 測定したものである。これらのことと自発性に影響を与える過程に介在 すると想定した変数と関連づけながら,以下述べていくこととする。. 本研究では教師の働きかけが学級活動における児童の自発性に影響を 与える過程に,児童の自己決定感・自己決定に対する認識や教師の期待 や態度に関する児童の認知が介在していると考えた。. まず自己決定感・自己決定に関する認識と自発性との関連であるが,. 今回の実験ではともに肯定的な方向に変化していることが示された。こ のことは,「やってみたら。先生も助けてあげるよ。」「いいアイデアだ ね。」「先週より工夫した活動ができたね。」などの教師の働きかけによ. り,児童の側では自分で決めることの大切さを認識したり行動の主体が. 一30一.

(35) 自分であることを自覚することにより,学級の様々な活動に積極的に参 加しようという気持ちや何か自分たちで提案してみようという意欲や自 信をもって自分たちでがんばっていこうという気持ちなどが高まってい ったのではないかと考える。つまり,桜井(1995)が指摘するように,. 教師の働きかけを受けて児童の自己決定感・自己決定に対する認識が変 容し,内発的動機づけが高まったため,自発性に影響を与えていったと 推察できる。また斜壁が(1995)示しているように,自己決定感・自己. 決定に関する認識と自発性は同じ方向に機能する変数であると考えら れ,自己決定感や自己決定に対する認識が高まると自発性が向上すると ともに,逆に自発性が高まることにより自己決定感や自己決定に対する 認識も影響されることも想像される。. また教師の期待や態度に関する児童の認知と自発性の関連であるが,. 今回の実験ではともに肯定的な方向に変化していることが示された。こ のことは,桜井(1995)が示した学習意欲と外的報酬のメカニズムと合 致するものである。つまり,教師の働きかけを受けた児童は心的エネル ギーの充足により,外発的な状態(「先生は私に任せてくれる。それに 応えよう。」「私たちの学級は先生が任せてくれるので,それに応えるよ. う自分たちでがんばろう。」という気持ち等)へ移行し,自発性が促進 されたと推察される。桜井(1995)はそのあとのさらなる自発性と目標性. の促進により,内発的な状態へと移行すると述べているが,本研究では それを検証するデータは得られていない。. 次に特定した教師の働きかけについて述べる。本研究で特定した教師 の働きかけは複数のすぐれた学級担任から抽出したものである。このこ とは,担任教師の具体的な行動から得たものであることから,教育現場 に則した実行しやすいものであったことが考えられる。結果的にこの教. 一31一.

(36) 師の働きかけには様々な行動が入り,独立変数としてしぼったものには ならなかったが,教育現場の実際に基づく一連の教師の働きかけが児童. の自発性への変化をもたらしたと推察できたことは意味あることであ る。. また,教授内容が明確に規定されている教科学習の場面に比べ,教科 という枠組みのない学級活動の場が,児童にとって比較的自由に取り組 める場であったことも児童の自発性を肯定的な方向へ変化させた要因と も考えられる。. ところで,当初基本的な教師の働きかけとして,自己決定・自己選択 の場の設定と自己決定・自己選択に対する教師の支援をあげて実験学級 の担任教師に実行させたが,自己決定・自己選択の場の設定については 児童に有意な差をもって認知されなかった。つまり,教師が決めるか,. 児童が決めるかということは,児童に認知されにくかったといえる。こ のことについて次のようなことが考えられる。学級活動において児童に 活動を決めさせる場合,言語活動を通して行われることが多い。その活 動の中で,自分たちが決めるということを認識し,教師の支援を受けな がら決定を進めていくというのが通常であろう。その際,教師の支援は 言語等により直接決定活動に関わってくるため,児童に認知しやすかっ たが,場の設定という働きかけは行動として見えにくかったため,認知 されにくかったのではないかと推測する。. 以上,実験結果に基づき,学級活動における児童の自発性を高めると 考えた教師の働きかけの効果について検討してきたが,以下本研究にお ける問題点と今後の課題について検討する。. まず,独立変数である教師の働きかけの特定を学級活動において自発 的な行動が顕著に見られる学級担任からの抽出という方法で行ったこと. 一32..

(37) についてであるが,具体的で実践的な行動が得られた反面,様々な教師. 行動が含まれてしまい特定した働きかけが幅広くなりすぎたことがあげ られる。本研究で特定した教師の働きかけをさらに吟味し,内容をより. 絞ったものとして明らかにする必要があると考える。つまり,賞賛的な 行動が効果があるのか,助言的な行動が効果があるのか,激励的な行動 が効果があるのか,または自己決定・自己選択をする前の働きかけが効 果があるのか自己決定・自己選択した後の働きかけが効果があるのかな ど,今回の研究では明確にすることはできない。さらに,一連の教師の. 働きかけを実践に則した流れとしてとらえたため,決定という行為も個 人で行われる場と集団で行われる場が混在し,曖昧になったところもあ る。これらのことは教師の働きかけをより限定した研究をすることによ り,明らかになっていくと思われる。また,川井(1998)がネガティブな. 事象に対する自己否定的な認知様式を改善するために児童に直接授業を 行ったような手法を用いて,自発性を高めるような授業プランをたて児 童に授業を行って直接的に自発性を高めるような方法をとることも考え られる。. また,学級活動という場に統制した実験を行ったが,清掃活動のよう に比較的児童の自由にできる部分が少ない活動と係活動のように自由に できる部分が多い活動とでは教師の支援の内容のウエイトが違ってくる のではないかと考える。しかし,今回の実験では実験学級の担任教師に. 教師の働きかけを行った場面を報告させたものの,一人一人の教師の詳 細な働きかけの記録が残っているわけではない。したがってどういう活 動のどういう働きかけがどういう効果をもたらしていたのかにまで目を 向けた詳細なデータは得られていない。同じような働きかけでも活動内 容によって若干異なってくることが予想される。また,児童の年齢や特. 一33一.

(38) 性によっても異なってくるであろう。それらをていねいに整理検討して いく必要があると考えられる。また,この教師の働きかけが自発的な行 動をとりやすい児童に効果的な影響があるのか,とりにくい児童に影響 があるのかという点についても明らかにしていく必要があるだろう。. さらに,本実験では教師の働きかけの変化は児童の認知を通して測定 するにとどまり,客観的な行動変化としてとらえることができなかった。 より客観的・多元的にその変化をとらえるためにも,児童同士での評定,. 児童以外の第3者である学級担任以外の教師などによる評定や教師の詳 細な行動記録等を加えることも大切なことであるかもしれない。. そして,実験の始めに実験学級には自発性を高める意義や大切さにつ いて説明することができたが,統制学級には説明を行うことができなか ったため,ホーソン効果による影響が生じた可能性があり,改善策を講 じる必要があるであろう。. 最後に自発性というものの特性から,長期的な研究による実証が必要. であると考える。落合(1994a,1994b)は築地の学級を1年間通して調 査し,その変化を吟味している。自発的な行動がまだ表れにくいと思わ. れる1学期の自発性や児童の自己決定感・自己決定に対する認識や教師 の期待や態度に関する児童の認知とある程度学級が安定し活動が活発に. なると思われる2・3学期と比較しながら,その変化を検討していくこ とは,教師の働きかけとの関わりにおいて重要なことと思われる。した がって,今後長期的な取り組みの中で自発性を高めるための教師の働き かけを検討することは,教育実践をよりよいものにしていく上で,非常 に大切なことであると考える。. 以上のように本研究での問題点や課題を考慮した上でさらに検討を重 ね,教育現場への有益な情報として提供されることが今後望まれるであ. 一34一.

(39) ろう。. 一35.

(40) 引 用 文 三. 明壁啓純 1995 学級活動への生徒の積極性に対する教師の「待つ」. 指導行動の効果 兵庫教育大学学校教育研究科修士論文(未公 刊). 有田和正 1995 追究の鬼を育てる学級づくり 明治図書 有田和正 1998 自ら追究する子どもを育てる方法 兵庫県佐用町で の講演会より deCharms, R. l968. Pθr50η∂1 0az13∂∫10η’ Tカθ 1η∫θrηa1 ∂∫fθo’1yθ. dθ’θr加1ηaη’3 0f ∂θカavゴor. Academic Press. deCharms, R. l976. Eηカaη01η91ηo∫jva∫10η’0カ∂、09θ 1η 1カθ. 01a∬roo加. Irvington Publishers.佐伯絆(訳) 1980 やる. 気を育てる教室一内発的動機づけ理論の実践一 金子書房 Deci, E.L. 1975 ∫η’r1η310塑。∫1y∂’10η. Plenum Press. 安藤延. 男(訳) 1980 内発的動機づけ一実験社会心理学的アプロー チ 誠信書房 Erikson, E,H. 1950 C加1面ood aηd 30c∫θ∫y. 仁科弥生(訳). 1997 幼児期と社会1 みすず書房 Erikson, E.H. 1959 1dθη’〃y aηゴ∫加1〃θoyo1θ. 小比木啓吾. (訳編)1973 自我同一性一アイデンティティーとライフサイ クルー 誠信書房 濱名外喜男・松本昌弘 1993 学級における教師行動の変化が児童の 学級適応に与える影響 実験社会心理学研究,33,101−110.. 川井栄治 1998 児童を対象としたネガティブな事象に対する自己否 定的な認知様式を改善するための授業の実践 兵庫教育大学大 一36一.

(41) 学院学校教育研究科修士論文(未公刊). 落合幸子・築地久子 1994a 築地久子の授業と学級づくり 明治図 書. 落合幸子・築地久子 1994b 自立した子を育てる年間指導 明治図 書. 桜井茂男 1983 認知されたコンビテンス測定尺度(日本語版)の作 成 教育心理学研究,31,245−249.. 桜井茂男 1996 学習意欲の心理学 誠信書房 鈴木恵子 1994 1工 生徒指導と心づくり 藤枝市立高洲南小学校. 1994 生徒指導の機能が生きる感動ある学習の創造一授業・生 活・集会・交流の中で一 文教書院,40−47.. 鈴木恵子 1998 子どもの活動意欲を引き出す教師の関わり方につい て 鈴木への聞き取り調査より. 鐘 幹八郎 1990 アイデンティティーの心理学 講談社 取釜康之 1994 教師の指導行動の実験的変化が児童の学級適応に及 ぼす影響 兵庫教育大学大学院学校教育研究科修士論文(未公 刊). 上田淑子 1995 教師の支援行動が児童の自己概念,学級適応に及ぼ. す効果一励まし,見守り,ほめる教師行動を通して一 兵庫教 育大学大学院学校教育研究科修士論文(未公刊). 一37一.

(42) 付. 言己. 本研究を進めるにあたり,多くの方々のお力添えをいただきましたこ と,厚く御礼申し上げます。. 遅々とした私の研究に終始変わらず温かく適切なご指導を賜りました 主任指導教官 濱名外喜男教授には,心より感謝申し上げます。また,. 示唆に富んだご指導,ご助言を賜りました吉田寿夫助教授,山中一英助 手をはじめ,教育経営コースの先生方にも厚く感謝申し上げます。. また,実験研究実施の際には,お忙しい中にもかかわらず,ご協力く. ださいました各小学校の諸先生方,ならびに児童の皆様にも,厚く御礼 申し上げます。. そして,質問紙作成等で多大な協力をしていただきました教育経営コ ースの院生の方々にも厚く御礼申し上げます。. 最後になりましたが,本学での貴重な研鑛の機会を与えてくださいま した岡山県教育委員会をはじめ関係諸機関の方々に心より感謝申し上げ ます。. 本研究の成果を今後の教育実践の場で生かしていけるよう努力してい きたいと思います。. 1999年12月. 一38一.

(43) rノ」 π −置!8 ノ」一’」「ノ8−置’」「”一ノ」一−−「 ”}−置 −置 −π!」一−一7−」7!置1. l l. l l. 1<資料・>. 1. 1 自発性を高めるための教師の働きかけについて l l 1 l l. l〈資料2>. l l 亀 l l. へ. i. 1獅の働きかけを行った具体的醐面 l 1 籍 l. l l l. l. i. l 唾 1 l. へ. 職〈資料3> l. l. l. 亀. 「学級活動についての調査」の用紙 l. 1. l. l. 」■7ノ」■「!」国7−冨ノ」國「ノ」■7〆」閣一「!」國「−」■7ノ」■rノ」■7!」願7−」一ノ」鰯7!」■71」■7ノ」■7−」■7ノ」■r!」■rノ」■■「−」■7ノ」■7ノ」■7!」r!」■r−L.

(44) 自発性を高めるための教師の働きかけについて 1研究の目的 本研究の目的は,学級活動における児童の自発性を高めるための教師の働きかけについ て,検討することです。. Oなぜ,自発性を高めることが大切なのカ、?. 社会的な要請から 新学習指導要領では, 「自ら学び,自ら考える力の育成」が強調され,今まで以上. に児童の自主的・自発的な学習の促進や実践的な活動が重要視されています。特に学 級での活動においては児童自身が発案したり,自分で活動を工夫したりするなどの自 発的な行動が求められています。. 人間の発達課題の観点から エリクソンらの研究によると,児童期は内的・外的な力を統制しながら,自分の要 求を表現する時期と考えられ,この時期に自発性を身につけることがこれからの発達 の上で重要であるといわれています。. 動機づけとの関わりから ド・シャームスらの研究によると,人間の最良の状態としては能動的であるべきで あるとし,指し手意識(自分の行動は自分自身の選択により,決定したと感じている こと)が行動に大きな影響を与えると考えられています。. ○なぜ,教師の働きかけに注目するのか? 児童が自発的な行動がとれない,自発1生が発揮できない原因として,「教師が児童に自 分の行動について考えさせる場を与えていない,与えていても適切な支援を行っていない」. 「学級集団が自分から行動することを抑制する雰囲気をもっている」ということがあげら れます。つまり,教師の働きかけにより児童の自発1生は大きな影響を受けると考えられま す。. そこで,教師が働きかけを:工夫することで,児童の自発性を高めることができるのでは ないかと考えました。児童は,教師からの働きかけを受けて,自分の中にある力を自覚し,. 自信をもち,自分から進んで行動していこうとする意欲をもっていくと考えられます。そ の中で,児童の価値観も変容し,学級の雰囲気も自発的な行動を肯定的にとらえるように なると想定されます。. ○なぜ,学級活動か?. 児童が学校生活の中で自発性を発揮しやすい場として,特別活動があげられます。各教 科・道徳はその教科の特質や指導内容に大きく影響され,また先生方の指導法も幅広いた め,教師の働きかけ以外のものの影響を受けやすいと考えられます。そこで,今回の研究 では,特別活動,特に学級を基盤とする学級活動の場に絞って行います。. 資料1.

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