中国の集合住宅における緑地についての研究 Study on Green Spaces of Chinese Collecive Housings
環境科学研究科 環境計画学専攻 環境意匠研究部門 金栄
滋賀県立大学大学院
目次
序章
0.1 中国における集合住宅……… 1
0.2 集合住宅における緑地の現状と課題……… 1
0.3 既往研究に対する研究の位置づけ……… 2
0.4 本研究の目的……… 3
0.5 研究対象……… 3
0.6 調査概要……… 10
0.7 論文の構成……… 10
補注.引用文献 第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴 について 1.1 目的……… 12
1.2 方法……… 12
1.2.1 調査対象の選定……… 12
1.2.2 緑地の種類……… 14
1.2.3 調査及び分析方法……… 16
1.3 結果……… 17
1.3.1 配置図作成の結果……… 17
1.3.2 4 種類緑地の有無……… 18
1.3.3 住棟に隣接する緑地……… 18
1.3.4 住棟エントランスと公共緑地との距離……… 22
1.4 小結 ……… 27
補注.引用文献 第2章 緑地における樹木の特徴について 2.1 目的……… 28
2.2 方法……… 28
2.2.1 対象事例の選定及び調査方法……… 28
2.2.2 分析方法……… 29
2.3 結果……… 29
2.3.1 樹種……… 29
2.3.2 4 種類の緑地における樹木……… 31
2.3.3 住棟緑地における樹木構成例……… 32
2.4 小結 ……… 36
補注.引用文献 第3章 緑地が住宅価格に及ぼす影響 3.1 目的……… 37
3.2 方法……… 37
3.2.1 目的変数の設定……… 37
3.2.2 説明変数の設定……… 39
3.2.3 モデルの作成方法……… 40
3.2.4 不動産会社へのヒアリング調査……… 40
3.3 結果……… 41
3.3.1 分析対象の設定……… 41
3.3.2 モデルの推定結果……… 42
3.3.3 緑地率が価格におよぼす影響……… 43
3.3.4 住棟緑地と公共緑地の価格への影響の関連性……… 45
3.3.5 緑地の管理が価格におよぼす影響……… 45
3.4 不動産会社へのヒアリング調査結果 ……… 46
3.4.1 値付けする際の緑地に対する考慮について……… 46
3.4.2 不動産会社による物件の紹介内容について……… 46
3.5 小結……… 48
補注.引用文献 第4章 居住者の緑地に対する評価について 4.1 目的……… 49
4.2 方法……… 49
4.3 結果……… 51
4.4 緑地の評価と各項目との相関性……… 52
4.5 小結……… 54
結章 ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ……… ………… ……… ……… ……… ……… 55
4 3 5 6 6 7 8 8 9 9
4 7 図·表一欄
序章
図0-1 対象都市の位置
図0-2 対象都市の人口変化(1981~2013年)
図0-3 対象都市市民の世帯あたりの年平均収入変化(1980~2012年)
図0-4 対象都市の住宅竣工面積と販売した面積の変化(1990~2013年)
図0-5 対象都市市民の平均居住面積の変化(1993~2013年)
図0-6 2010年に対する2014年の住宅価格の上昇割合
図0-7 北京市における対象地の位置
図0-8 対象地1における集合住宅の分布概要
図0-9 呼和浩特市における対象地の位置
図0-10 対象地2における集合住宅の分布概要
表0-1 対象都市の月平均気候概要(2001~2010年平均値)
表0-2 対象都市の年間PM2.5値(2013~2014年の平均値)
表0-3 対象地1、2における集合住宅の竣工年 表0-4 隣地調査概要
第1章
図1-1 対象集合住宅の分布
図1-2 集合住宅における4種類の緑地(事例No.11)
図1-3 住棟表層面に隣接する緑地の特定方法
図1-4 住棟と公共緑地の位置関係の分析の説明図(事例No.11)
図1-5 対象集合住宅の緑地率(竣工年別)
図1-6 事例No.5の平面図(対象地1) 図1-7 事例No.33の平面図(対象地1)
図1-8 事例No.14の平面図(対象地1)
図1-9 事例No.25の平面図(対象地1)
図1-10 事例No.10の平面図(対象地2) 図1-11 事例No.3の平面図(対象地2)
図1-12 事例No.1の平面図(対象地2)
図1-13 事例No.2の平面図(対象地2)
図1-14 住棟と公共緑地の位置関係(事例No.10とNo.37)
図1-15 住棟と公共緑地の位置関係(事例No.12とNo.30)
図1-16 住棟と公共緑地の位置関係(事例No.5とNo.15)
図1-17 住棟と公共緑地の位置関係(事例No.17とNo.22)
表1-1 対象事例の概要
表1-2 対象事例における4種類緑地の有無の概要 表1-3 凡例
表1-4 住棟の4面に隣接した内訳(No.5)
表1-5 住棟の4面に隣接した内訳(No.33)
表1-6 住棟の4面に隣接した内訳(No.14)
表1-7 住棟の4面に隣接した内訳(No.25)
表1-8 住棟の4面に隣接した内訳(No.10)
表1-9 住棟の4面に隣接した内訳(No.3)
表1-10 住棟の4面に隣接した内訳(No.1)
表1-11 住棟の4面に隣接した内訳(No.2)
表1-12 住棟エントランスから最寄り公共緑地の距離概要
表1-13 凡例
表1-14 事例No.10、No.37の敷地概要 表1-15 事例No.12、No.30の敷地概要 表1-16 事例No.5 、No.15の敷地概要
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7 10
13 14 16 17 18 19 20 20 20 21 21 22 22 23 24 25 26
17 18 19 19 20 20 20 21 21 22 22 23 23 23 24 25
表1-17 事例No.17、No.22の敷地概要
第2章
図2-1 対象集合住宅の分布(対象地1)
図2-2 植栽された高木の鑑賞部による内訳 図2-3 植栽された低木の鑑賞部による内訳
図2-4 4種類の緑地に植栽された高木種の鑑賞部の分類 図2-5 4種類の緑地に植栽された低木種の鑑賞部の分類 図2-6 No.9⑦の樹木配置図
図2-7 No.36④の樹木配置図 図2-8 No.24⑥の樹木配置図 図2-9 No.1⑤の樹木配置図 図2-10 No.32⑥の樹木配置図 図2-11 No.9③の樹木配置図 図2-12 No.7㉛の樹木配置図 図2-13 No.5㉑の樹木配置図
表2-1 1集合住宅あたりの樹種の数と密度 表2-2 樹種配置や樹木断面図の凡例
第3章
図3-1 価格に入手できた集合住宅の分布
図3-2 入手できた物件の分布会社やヒアリング回答者の属社の内訳
図3-3 緑地と価格との関係
図3-4 住棟緑地、公共緑地との価格の関係(対象地1)
図3-5 緑地に占める住棟、公共緑地の面積の割合と単価との関係(対象地1)
図3-6 緑地管理状況と標準残差の関係
図3-7 ヒアリング調査結果
表3-1 価格の入手できた集合住宅数及び住戸数
表3-2 使用した説明変数の記述統計量報
表3-3 集合住宅における緑地管理について(対象地)
表3-4 ヒアリング調査内容
表3-5 変数間の相関係数(対象地1)
表3-6 変数間の相関係数(対象地2)
表3-7 説明変数のVIF値 表3-8 モデルの推定結果
表3-9 緑地率が5%増加すると上昇する金額
表3-10 不動産会社による物件の紹介内容
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26
28 30 30 31 31 32 33 33 34 34 35 35 35 30 32
38 41 44 44 45 46 46
37 39 40 40 41 41 42 43 45 47
第4章
図4-1 回答者の分布 図4-2 回答者の属性
図4-3 緑地についての評価(対象地1)
) 図4-4 緑地についての評価(対象地2
表4-1 アンケート内容 表4-2 意見の内容
表4-3 緑地の特性値と居住者の評価との相関係数
結章
図5-1 案例の変更前、後の平面図(No.12)
図5-2 案例の変更前、後の平面図(No.15)
表5-1 案例の敷地概要及び変更概要
表5-2 住棟と最寄り公共緑地の距離(変更前、後)
付録資料·図と表
附図1 対象地1における対象集合住宅の平面図 附図2 対象地2における対象集合住宅の平面図
附表1 対事例における住棟の4面に隣接する表層の内訳や住棟エントランスと最寄り公共 緑地との距離(対象地1、2)
附表2 対象集合住宅に植栽された樹木種の中国語、日本語、学名の対応
附表3 対象事例に植栽された樹種及び本数構成(対象地1、2)
附表4 対象事例の4種類緑地別に植栽された樹木と本数(対象地1、2)
附表5 住棟緑地に植栽された高木、亜高木、低木本数(対象地1、2)
………
……
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…
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51 51 51
49 52 53
58 59
56 57 50
序章 -1-
0序章
本論文の目的は、中国の集合住宅における緑地の改善に資する知見を得ることである。
0.1中国における集合住宅
中国では土地の所有が認められないため、居住用の土地使用の権利は70年の定期借地権 として設定されている。このため個人の戸建住宅の建設は行われず、政府が計画的に限定 した地区に、不動産開発会社が集合住宅を建設する。集合住宅の管理方式については、第 三者管理方式により法人格を持つ管理会社が共用部分を維持管理し、区分所有者である居 住者と管理者の義務と責任が法律で定められている0-1)。
19世紀後半から20世紀前半にかけて、上海や天津といった租界都市を中心にアパートメ ント形式のものや里弄(リロウ)住宅と呼ばれる集合住宅建設が始まった。1949 年建国以 降、国は「住宅投資から利益を得るべきではなく、形式的に収めるべきである」という理 念により、都市部で「統一投資」「統一設計」「統一施工」「統一分配」「統一管理」の方針 をうちだした。このような「国による一元的に投資、建設、分配」の体制下、無償に近い 低家賃で市民に供給された結果、国家財政は逼迫し、長期間にわたり、住宅の維持管理は 十分なものではなかった。特に文化大革命の後 1978 年に半数以上の都市住宅が老朽化し、
都市部の居住水準は建国当初の4.5㎡/人から 3.6㎡/人に低下した。全国128都市におけ る総世帯数の37.7%に相当する689万世帯が住宅問題を抱え、当時最も大きな都市社会問 題の一つであった0-2)。
1980 年代初め、個人の住宅購入資金など多種多様なルートで住宅建設資金を集める手段 として不動産業者が初めて出現発展した。政府の計画によって造成される住宅地の使用権 を不動産会社は契約で購入でき、住宅をつくり売買することが可能となった。また、1998 年6月中旬に北京で開かれた「全国城鎭住房制度改革与住宅建設工作会議」(=全国の都市 部における住宅制度改革と住宅建設に関する会議)において、従来の住宅分配体制が廃止 されたことにより、住宅商品化が本格的に始まった0-3)。
近年、中国の経済発展に伴い、人々の暮らしも急激に豊かになった。住宅投資に対する 要求が高まり、居室のみならず緑地を含む共用空間への関心も高まっている。このような 中国の居住環境に応じた集合住宅が進むとともに、一般的な所得層を購買対象に建築され た住宅と豊かになった資本家層を購買対象に建設された住宅など、様々な形式の住宅が建 設されている0-4)。
0.2集合住宅における緑地の現状と課題
中国では 1980 年代まで緑地を含む屋外環境について規定がなかった。政府は 1993 年に 住環境の質を高めることを目的として「城市居住区規画設計規範」を公布し、集合住宅の 土地利用の基準及び緑化についての基準をはじめて示した。この規定によれば新築で30%、
旧居住区の建替えでは25%以上の緑地率(緑地率とは、敷地面積に対する緑地面積の割合、
序章 -2-
ただし屋上の緑地とベランダの緑地を含まない)を満たすべきとされた。また、規定では、
公共緑地、住棟周囲緑地、公共施設の緑地と道路周囲の緑地の 4 種類の緑地が定義されて いる(内容は第1章で叙述)。
集合住宅における緑地をめぐる問題としては以下の2点が挙げられる。
(1)緑地の設計計画の方法について:
集合住宅の緑地の設計計画は居住者の要求に応じて行ってない。中国では住宅売買契約 の際に緑地が未完成の場合が多く、購入者は緑地状況を実際に確認できず、設計図面や口 頭説明により把握することが普通である。
(2)居住後の緑地の維持管理について:
緑地の効果を居住者はあまり意識せず、緑地を管理する費用の拠出が困難であり、緑地 の管理状況が悪化している中古集合住宅がよく見られる。
0.3既往研究に対する位置づけ
既往研究について、上記の問題点から整理していきたい
。
(1)緑地の設計計画の方法について
中国の集合住宅における緑地設計の方法に関する研究は、環境改善効果や居住者の利用 の視点からのものである。環境改善効果については、最近の中国の環境問題を背景とし、
CO2吸収、殺菌、ほこりの吸着、気候の緩和といった効果が期待される 0-5)0-6)0-7)。また、
緑地の利用については居住者の利用実態0-8)、子どもの遊び 0-9)の視点から緑地の設計方法 について述べられている。一方、日本の集合住宅における緑地設計の方法については、緑 地の環境改善効果0-10)から、居住者の満足評価0-11)0-12) 、緑地の価値評価0-13)など広い範囲 で研究報告がされている。
しかし、中国の集合住宅の緑地については居住者の意識に対して研究報告がなされてい ない。居住者は、どのような緑地を求めているか、緑地に対してどの程度の効果を認識し ているか不明である。居住者の緑地に対する意識を明らかにすることは、設計者が居住者 の意識を取り入れ、今後の緑地設計の改善に結びついていくことに繋がると考えられる。
また、居住者のニーズにあう緑地の設計計画は、居住者の緑地に関する意識の向上につな がり、居住後の緑地の維持管理に感心が高まると考えられる。
(2)緑地の維持管理について
緑地の維持管理については石塚ら(2009)0-14)は緑地率が低くても管理が行き届いた緑地 を有する場合、予測式から求めた価格より高く設定される可能性を示唆している。ただし、
中国では緑地の管理状況や住宅価格におよぼす影響を検証した研究例は見られない。本研 究では、日本の例を参考とし、中国の集合住宅の緑地の管理状況が住宅価格に及ぼす影響 を把握する。その影響がわかれば、市民の緑地に対する意識の向上と、良好な維持管理に 繋がると考えられる。
序章 -3-
0.4本研究の目的
そこで、本論文では、中国の集合住宅を対象に、居住者の緑地について意識を明らかに し、居住者の満足度が高い緑地計画や維持管理の改善に資する知見を得ること目的とする。
図0-1 対象都市の位置
0.5研究対象
対象を北京(ベキン)、呼和浩特(フフホト)という2大都市の集合住宅とする。選定理 由としては、北京市は中国の首府として特別な存在であり、2008 年のオリンピックの会場 であり、最大の経済都市である。呼和浩特市は地域の首府として存在し、経済発展が比較 的遅く一般的な都市である。
(1)自然地理概要
北京市は北緯39º28′~41º05′、東軽115º25′~117º30′に位置し、西部と北部、東北 部の三方を山に囲まれており、東南部には緩やかに渤海に向かって傾斜する平原がある。
2012年末に北京市区面積は約735㎢、人口2,069.3万人である。北京市の気候は、明確な 四季があり、夏は暑く、冬は寒い。平均最高気温は38.8℃、平均最低気温は-13.4℃であり、
年降水量の合計が448.0㎜である(表0-1)。降水が6~8月に集中し、7月が最も多く105.9
㎜であり、1月が最も少なく1.81㎜である(表0-1)。
序章 -4-
呼和浩特市は内モンゴル自治区の中部にあり、北緯110°46′~112°18′、東経39°35′
~41°23′に位置する。2012年末の統計により市区面積が209.6㎢、人口が192.3万人で ある。呼和浩特市の気候は、冬が長く寒く、平均最低気温が-15.3℃、夏は短く涼しく、平 均最高気温が31.6℃である。年降水量の合計が405.3㎜、降水が6~8月に集中し、7月が 最も多く109.2㎜で、12月が最も少なく1.6㎜である(表0-1)。
表0-1 対象都市の月平均気候概要(2001~2010年平均値)
(注:「2014北京統計年鑑」112頁、内モンゴル気候局情報センタより作表)
(2)人口変化について
改革開放により都市に多くの人が流入し、人口が急速に増加した。2013 年に北京市の人 口が2,000万人を超過した。成年77.1%、未成年11.6%、老人11.3%である。また、人口 の38%が省外(中国の北京以外の他省)人である。呼和浩特市の人口は2013年末に約200 万人になった(図0-2)。人口構造は、2013年末まで成年69.5%、未成年14.9%、老人15.6%
である。人口のうち99%が内モンゴル地域の人である。
図0-2対象都市の人口変化(1981~2013年)
(注:「2014北京統計年鑑」59頁、「呼和浩特市経済統計年監2014」の8頁より作表)
(3)社会経済について
北京市の1980年末の世帯平均年収入が599.4元(図0-3)(2015年8月の換算レート:1 元=20円、日本円で換算すると11,988 円)であったが 2012年末に41,103 元(日本円で 822,060円)になり1980年の約70倍に増加している。一方、急速な経済発展に伴い北京市
対象地 項目 月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 北京市 1.81 3.97 13.5 24.5 44.8 73.2 106 80.8 58.2 31 8 2.61 呼和浩特市 2.3 5.3 10.4 13.6 28.6 48.2 109 108 51.3 20.6 6.3 1.6 北京市 -2.1 1.1 7.7 15.2 20.9 24.9 26.8 26 21.4 13.9 5.6 -1 呼和浩特市 -13 -8.4 -0.2 8.5 15.9 20.4 22.2 20.2 14.1 6.8 -2.5 6.2
平均降水量(㎜)
平均気温(℃)
500 1000 1500 2000
1980 1983 1986 1989 1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013 年
人口(万人) 北京市
50 100 150 200
1980 1983 1986 1989 1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013
人口(万人) 呼和浩特市
年
序章 -5-
の環境問題が顕在化し、最も関心の高い課題となっている。2001 年に北京がオリンピック 開催地に決定し北京市政府は「緑地オリンピック、緑地北京」という理念を揚げ、2004 年
「北京市緑化規画」を策定し、2020年までに都市緑地率0-15)を55%にすることを目標とし ている。このような政府の決断により北京市の公共緑地 0-16)の面積が急速に増加し、2012 年末には公共緑地率0-17)が46.2%になり、15.5㎡/人0-18)に増加した。
呼和浩特市の市民の世帯あたりの収入は 2012年末に 32,646 元/世帯·年(日本円で換算 すると652,920円 )になり、1980年の約 80倍に増加している(図0-3)。一方、呼和浩 特市周辺地域は過放牧及び過耕地による人為的な植物生態構造の変化によって生態バラン スが悪化し、砂漠化が拡大した。市内にも黄砂が増加しつつある。呼和浩特市の緑地につ いては1993年の公共緑地率が26.4%であったが、2012年末に36.1%に増加し、1人あた りの平均公共緑地の面積は1993年の2.6㎡/人が2012年末に15.1㎡/人に増加0-19)してい る。
図0-3 対象都市市民の世帯あたりの年平均収入変化(1980~2012年)
(注:「2014北京統計年鑑」188頁、「2013呼和浩特統計年鑑」163頁より作表」
(4)集合住宅について
北京市に多くの人が流入したことにより大規模な住宅開発が進み、1998年から2005年ま で集合住宅の竣工面積(延床面積)は急速に増加し、2005年に最大値2,841.4万㎡になって いる(図0-4)。また、集合住宅の販売面積も竣工面積の増加により上昇し、2012年末には 市民の平均居住面積が29.26㎡/人になっている(図0-5)。
一方、呼和浩特市の1990~2013年までの集合住宅竣工面積(延床面積)や集合住宅の販 売した面積の変化を図 0-4 に示す。呼和浩特市の集合住宅の販売面積が 1998 年から 2012 年まで急激に上昇していることがわかる。市民の平均居住面積が1993年に7.14㎡/人であ ったが2012年末には35.3㎡/人上昇している(図0-5)。
0 15000 30000 45000
1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 2008 2012
年収入(元/世帯)
年 北京市
0 15000 30000 45000
1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 2008 2012
年収入(元/世帯)
年 呼和浩特市
序章 -6-
図0-4 対象都市の住宅竣工面積と販売した面積の変化(1990~2013年)
(注:「2014北京統計年監」140~141頁、「呼和浩特経済統計年鑑2014」より作表)
図0-5 対象都市市民の平均居住面積の変化(1993~2013年)
(注:「2014北京統計年監」256頁、「呼和浩特経済統計年監2013」187頁、「呼和浩特経済統計年監2012」189頁、
「呼和浩特経済統計年監2004」198頁、「呼和浩特経済統計年監2003」361頁、「呼和浩特経済統計年監2002」376頁、
「呼和浩特経済統計年監2000」77頁、「呼和浩特経済統計年監1998」336頁、「呼和浩特経済統計年監1997」70頁、「呼 和浩特経済統計年監1995」38頁より作表)
2010年の住宅価格に対する2014年の価格の上昇割合を40都市0-20)について、得たも のが図0-6である。40の都市において2010年の価格より増加したのが26都市であり、変 わらないのが6都市、減少したのが8都市である。北京市の住宅の増加率は15%と中国全 都市の中で比較的高い。呼和浩特の増価率が3%であり、相対的に低い。
0 500 1000 1500 2000 2500 3000
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012
竣工面積
年 面積(㎡/年) 北京市
5 10 15 20 25 30 35 40
1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013
人均居住面積(㎡/人)
年 北京市
5 10 15 20 25 30 35 40
1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013
人均居住面積(㎡/人)
年 呼和浩特市
0 100 200 300 400 500 600
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012
販売した面積
年 面積(㎡/年)
呼和浩特市
序章 -7-
図0-6 2010年に対する2014年の住宅価格の上昇割合
(5)大気汚染PM2.5について
2010~2014年のPM2.5の年平均値は、北京市が100.3µg/㎥、呼和浩特市が45.2µg/㎥で あり、中国の平均値(中国のPM2.5の年平均値PM35µg/㎥)を超過している。PM2.5数値の 年間日数の内訳は表0-2のとおりである
。
表0-2 対象都市の年間PM2.5値(2013~2014年の平均値)
(注:引用数は内モンゴル気候局情報センタより)
(6)調査対象地について
対象地は北京市の望京区(以下略称:対象地 1)、呼和浩特市の新城区(以下略称:対象
地2)とする。望京区は交通の便がよく、オリンピック会場の東隣3kmに位置(図0-7)す
る。北京市により 21世紀最大のプロジェクトと位置づけられ 1998 年より開発が進められ てきた総面積16km2、人口53万人、世帯数約13万戸の地区である。2012年までに73の集 合住宅が建設された(表0-3、図0-8)。低所得者向けの物件から高所得者向けの物件まで、
様々なタイプの集合住宅がある。
新城区は呼和浩特市の東北に位置し(図0-9)、市区面積約56km2、人口約319,308人、総 世帯数が約11万である。呼和浩特市の開発により都市計画は東方面に拡大し、1990年代以 降建設された集合住宅の40%以上が新城区に集中している(図0-10)。新城区には1994年 以前は集合住宅が建設されておらず、1994年から2012年までに97の集合住宅が建設され た(表0-3、図0-10)。
表0-3 対象地1、2における集合住宅の竣工年
0 1 2 3 4 5 6 7
-6 -5 -4 -3 -2 0 1 2 3 6 7 8 9 12 15 16 17 22 増価金 額割合
(%)
(都市)
北京市 呼和浩特市
50以下 51~100 101~200 201~300 301以上 最大値 最小値
北京市 163 96 84 18 4 384(1日) 17(1日)
呼和浩特市 302 48 15 176(1日) 5(2日)
(㎍/㎥) PM
ー
1985 1988 1992 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012合計 対象地1 2 1 1 1 2 ー 2 1 4 9 10 4 6 5 3 4 5 6 2 2 1 2 73
対象地2 1 2 2 6 ー 7 6 3 7 10 9 6 6 4 4 8 12 2 2 97
集合住 宅数
(区)
竣工年
ー
序章 -8-
図0-7 北京市における対象地の位置
図0-8 対象地1における集合住宅の分布概要 凡例 集合住宅
公園
川 D 地下鉄駅
1
200m
0 1000m
D
D 4 環路
3 環路 2 環路
0 2km
6km
北京 中心
5 環路 6 環路
望京 朝陽区 オリンピック開場
N N
序章 -9-
図0-9 呼和浩特市における対象地の位置
図0-10 対象地2における集合住宅の分布概要
新城区
0 0
1000m 1km
2km
200m N N
凡例 集合住宅
公園 競馬場
序章 -10-
0.6調査概要
本論文の基礎になった調査は表0-4の5ケ調査である。
表0-4 臨地調査概要
0.7論文の構成
本論文は、序章に続く4章と結章から成っている。
序章では、研究の目的、背景を明らかにし、既往研究を整理するとともに本研究の位置 づけを述べて、対象地の概要を紹介している。
第 1 章では、まず、集合住宅における 4 種類の緑地の配置を把握し、緑地に接する住棟 の面数、住棟エントランスから公共緑地までの平均距離、標準偏差により住棟との近接性 について分析し、問題点を明らかにしている。
第 2 章では、緑地に植栽された樹種を鑑賞部で分類し、特徴を把握した。また、住棟緑 地における樹木の断面構成について具体例を取り上げ、問題点について検討している。
第 3 章では、緑地が住宅価格に及ぼす影響を統計分析や不動産業者へのヒアリング調査 により明らかにしている。
第 4 章では、居住者にアンケート調査を行い、緑地に対する各項目の満足意識を明らか にし、緑地の特徴と合わせて考察している。
結章では、第1~4章の結果にもとづき、集合住宅における緑地の改善に資する知見を述
べている。
補注·引用文献
0-1) 何昕·花里俊(2013)「日中比較による現代中国の集合住宅における区分所有権及び住宅管理法制度
の考察」《日本建築学会計画系論文集》No687,pp968-978
0-2) 国務院住宅房制度改革小組(1994)「城鎮住房制度改革」改革出版社
0-3) 白英華·西山徳明(1999)「中国都市部における住宅制度改革に関する研究」《日本建築学会計画系
論文集》No521,pp253-260
0-4) 上北恭史·谷村秀彦·渡辺俊(2003)「中国の集合住宅における食事空間の考察」«日本建築学会計
北京市 呼和浩特市
1 不動産会社や集合住宅の管理会社に訪ね集合住
宅について資料を手入、対象集合住宅の現地調査 2012/5/1~5/20 2012/5/23~6/5
2 対象集合住宅の緑地における樹木の種類や本数
の現地調査 2012/8/6~9/15 2012/8/20~10/1
3 対象集合住宅の住棟、施設建物、道路、4種類緑
地の現地調査 2013/10/1~10/25 2014/4/1~4/15
4 対象集合住宅の緑地に対する居住者の意識のア
ンケート調査 2015/4/1~4/28 2015/4/8~5/18
5 対象地における不動産会社販売者に対するヒァリ
ング調査 2015/8/6~9/6 2015/8/6~9/18
調査内容
序章 -11- 画系論文集»569,pp15-21
0-5) 陳自新(1998)「都市の緑地における環境改善効果の評価により緑地における樹木配置の提案」《中
国園林》pp4-6
0-6) 馬永吉(2004)「吉林市緑地における樹木の選定規則について研究」《東北林業大學論文集》
26,pp261-269
0-7) 秦文翠·胡髯·李元征·郭振(2015)「ENVI-met による北京市の集合住宅の緑地による気候変化につ
いて」《気候と環境学報》No3,pp56-62
0-8) 章俊華(1996)「北京二聾閘住宅緑地における年齢層別利用実態とその特徴及び予測について」《ラ
ンドスケープ研究》No59,pp237-260
0-9) 沈瑶·木下勇(2011)「北京高層住宅団地における子供の戸外遊び空間の変遷からみた特徴に関する
研究」《ランドスケープ研究》Vo1.4,pp48-52
0-10) 山田 宏之 ·佐藤 忠継 · 澤田 正樹 [他] ·岩崎 哲也 , 角田 里美 ·養父 志乃夫(1999) [環境 共生住宅団地の緑化による微気象緩和効果について]《ランドスケープ研究 》62(5), 635-638,
0-11) 佐野こずえ·柏原士郎·吉村英祐·横田隆司·阪田弘一(2002)「環境公共集合住宅の居住者による居
住環境の評価―環境共生型集合住宅の設計手法に関する研究その2-」《日本建築学会計画系論文 集》No554,pp181‒188
0-12) 内藤志帆·高橋新平·近藤三雄(2003)「維持管理からみた集合住宅内緑地植栽の経済的価値評価に ついて」《ランドスケープ研究》No66,pp783‒788
0-13) 渡部昌之·輿水肇(2012)「線形緑地の存在が住宅地の地価に与える影響」《ランドスケープ研究》
No75,pp703-706
0-14) 石塚周子·平田富士男(2009)「集合住宅の緑地がその住宅価格形成に与える影響と緑の管理状況に
ついて」《ランドスケープ研究》No75,pp767‒770
0-15) 都市緑地率:都市における公共緑地、生産緑地、防護緑地、附属緑地、その他の緑地の合計面積 の都市敷地面積の割合。「城址緑地分類標準」(2002)
0-16) 公共緑地とは都市における公共に供し、レクリエーション施設が設置されている緑地(その敷地 内に水域も含まれる)。「城市用地分類及び計画用地標準」(1990)
0-17) 公共緑地率とは0-14)に述べた公共緑地面積の都市に対する割合。「城市用地分類及び計画用地標
準」(1990)
0-18) 「2014北京統計年鑑」132頁より
0-19) 「呼和浩特経済統計年鑑2013」187頁より
0-20) 2014 不動産市場年鑑 40都市とは:深圳,广州,貴陽,北京,上海,厦門,鄭州,太原,昆明,
洛陽,銀川,平頂山,沈陽,湛江,惠州,武漢,南京,呼和浩,大連,南昌,蚌埠,韶关,南宁,
唐山,重庆,九江,西安,成都,吉林,掦州,福州,哈尓濱,兰州,秦皇島,安,徐州,锦州,
漳州,三亚である。「中国不動産市場年鑑2014」287頁より
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -12-
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について
1.1目的
本章では、集合住宅内の緑地の配置及び住棟と緑地の位置関係の特徴を明らかにする。
1.2方法
1.2.1調査対象の選定
本章では、対象地1の45(図1-1上の1~45)、対象地2の24(図1-1下の1~24)の 集合住宅を対象とする。選定の条件を①1998 年の住宅商品化以降2012 年までに竣工し、
②敷地内に住棟が 3棟以上あり、③緑地率が 30%以上あるものとした。①の理由は樹木 の成長時間を考慮して、入居してから3年間の時間を経た集合住宅を対象にすることが適 切と考えたことによる。②の理由は集合住宅に2棟以下の場合は住棟と緑地の近接性の比 較ができないことによる③の理由は中国では集合住宅内の緑地率を 30%以上することが 求められているためである
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -13-
図1-1 対象集合住宅の分布
1 2
3 4
5 6 7 8
9
0
0 200m
1000m 200m
N 対象地 1
対象地 2
対象集合住宅 集合住宅番号 公園
川 1 ~ 45
地下鉄 1000m 凡例
10 11 12
13 14
15
16 17
30
29 21 37
18
19
D
D
23 22 24 26
27 28 42
45 20
44 43
40 39
41
38
36 35 34 32 33 31
1
2 3
4 5
競馬場
6
8
9 10
7
11
12 14
17 13
15 16
18 20
19
21 22
23
24
N
D
34
25
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -14-
1.2.2緑地の種類
中国では、前述の 0.1.2 の設計規範によって、住棟周囲にある緑地、敷地内の公共緑 地、敷地内の公共施設に付属する緑地、敷地内の道路に付属する緑地(以下、住棟緑地、
公共緑地、施設緑地、道路緑地とそれぞれ記述)の 4 種類の緑地が定義されている(図 1-2、写真 1-1、2、3、4)。住棟緑地とは、写真1-1 に示すように住棟周囲に配置された 緑地で、園路や広場などはなく、緑地内部の空間利用は想定されてない。住棟に隣接する ものと住棟との間に道路があり離れているものとがある(前者をaタイプ、後者をbタイ プとする)。公共緑地とは、写真1-2に示すように居住者の遊戯、休憩などのレクリエ―
ションの用に供する緑地である。施設緑地とは、写真1-3に示すように敷地内の公共施設 の周囲に配置された緑地である。道路緑地とは、写真1-4に示すような敷地内の道路の中 央や両側に配置された緑地である。
図1-2 集合住宅における4種類の緑地(事例No.11)
34
B B
A7
A6
A1
A2 A5
A4
A3
P P
P
P
P
P
P 24
22 25
23
21
8
6 7
3
5
4
2
1 9
14
17 18 19 20
10
12 13
15 16
11 29 33
28
27
36
35
37 31
32
30 36
入り口 車道
住棟緑地 公共緑地 施設緑地
駐車場 (P)
道路緑地 ~ 敷地内の住棟建物
: 食料品店 A6、 A7
A1ー A5: 小学校の建物
1 37
05m 50m N
B: 機械棟 P
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -15-
写真1-1 住棟緑地の具体例
写真1-2 公共緑地の具体例
写真1-3 施設緑地の具体例
写真1-4 道路緑地の具体例
緑地 緑地
a aタイプ bタイプ
住棟 住棟
住棟
緑地 道路 道路 緑地
緑地 緑地
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -16-
1.2.3調査及び分析方法
現地踏査により対象事例の現状を確認するとともに、地図や図面資料にもとづき敷地境 界、住棟、その他の建築、緑地、道路、駐車場などの配置図を作成した。対象地 1の 45 区の集合住宅については高徳航行写真1-1)、soso街景観写真1-2)、E都市1-3)(中国の大都 市の立面模型)、百度航行写真 1-4)などを参照した。対象地 2では現在使われている衛星 航行写真では集合住宅の空間構成を読み取れない状況にある。そのため、GPSの簡易測量 と資料数値の照合による敷地平面図を作成した。
一方、航行写真のトレース+資料値(対象地1)とGPS測位機による簡易測量+資料数値
(対象地2)は、トレースする人やGPS測位機持つ人の操作による誤差がある場合もある。
ただし、今研究では、測量した数値の絶対値を検証するのではなく、同じ視点での比較分 析を行うため、測定操作による誤差は本研究の結果には影響しないと考える。
住棟の居室内から緑地が見えるやすいこと及び住棟から緑地にアクセスしやすいこと が居住者の満足度を高めるのではないかと考え、その前提となる住棟と緑地の近接性を把 握した。まず、作成した配置図を用いて、住棟の4面に緑地が隣接しているかどうかを図 1-3に示すにように住棟表層面から5m 範囲に隣接している緑地や非緑地の内訳をまとめ た。分析では、住棟表層面の長さの1/2以上と隣接する場合を隣接することにとした。次 に、住棟 エントランスと最寄りの公共緑地までの歩行距離を分析した。分析結果にもと づき、住棟と緑地の位置関係について傾向や差異、問題点について考察した。分析例を図 1-4に示す。
図1-3 住棟表層面に隣接する緑地の特定方法
住棟表層面 5m 範囲
住棟
緑地
住棟の 4 面に隣接する内訳 緑地
緑地 緑地西
西 : 緑地 北
北 : 非緑地 南
南 : 緑地 東
東 : 非緑地
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -17-
図1-4 住棟と公共緑地の位置関係の分析の説明図(事例No.11)
1.3結果
1.3.1配置図作成の結果
対象地1の45例、対象地2の24例の 配置図を附図1、2に示す。全体の概要を表1-1 に示す。また、対象地1、2の集合住宅の緑地率を図1-5に示す。
表1-1 対象事例の概要
項目
値 最大値 最小値 平均値 最大値 最小値 平均値 最大値 最小値 平均値
対象地1 228,178 12,954 69,839 91,271 3,886 25,226 37 3 12
対象地2 427,461 36,640 124,321 149,611 10,992 42,225 50 7 20
敷地面積(㎡) 緑地面積(㎡) 住棟数(棟数)
34
B B
A7
A6
A1
A2 A5
A4
A3
P P
P
P
P
P
P 24
22 25
23
21
8
6 7
3
5
4
2
1 9
14
17 18 19 20
10
12 13
15 16
11 29 33
28
27
36
35
37 31
32
30 36
入り口 車道
住棟緑地
住棟エントランスから公共緑地との距離 公共緑地
施設緑地
駐車場 (P)
道路緑地 ~ 敷地内の住棟建物
: 食料品店 A6、 A7
A1 ー A5: 小学校の建物
1 37
0
50m N 5m
B: 機械棟 P
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -18-
図1-5 対象集合住宅の緑地率(竣工年別)
1.3.2 4種類の緑地の有無
対象地における集合住宅の4 種類の緑地の有無を表1-2に示す。集合住宅の緑地には 住棟緑地や公共緑地がほとんどの事例にはあるのに対して、施設緑地や道路緑地はない事 例の方が多い。
表1-2 対象事例における4種類緑地の有無の概要
1.3.3 住棟に隣接する緑地
対象地1の住棟550、対象地2の住棟488の東南西北の4面に隣接する表層内訳を附表 1に示す。対象地1、2の割合は、対象地1:緑地が917面(41.7%)、非緑地面が1,283 面(58.3%)、対象地2:緑地が537面(27.5%)、非緑地面が1427(72.5%)である(写 真1-5)。
ここでは、附表1を参照しながら住棟に隣接する緑地面数の割合が多い事例や少ない事 例を特定する。図面の凡例を表 1-3に示す。緑地と隣接する面が多い例では対象地 1で No.5:80%、No.33:71.4%であり、対象地2でNo.3:51.1%、No.10:61.1%である。少 ない事例では、対象地1でNo.14:5%、No.25:0であり、対象地2でNo.1:15%、No.2:13.3%
である。
有 無 有 無 有 無 有 無
1 45 40 5 43 2 16 29 18 27
2 24 20 0 22 2 6 18 3 21
施設緑地(区) 道路緑地(区)
対象地 集合住宅 (区)
住棟緑地(区 公共緑地(区)
30 30 40
30
40 50 50
(年) (年)
緑地率 (%)
対象地 1 対象地 2
0 0 緑地率 (%)
10
1998 2000 2004 2008 2012 1998 2000 2004 2008 2012
20
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -19-
写真1-5 住棟に隣接する緑地以外の具体例
表1-3 凡例
(1)事例No.5(対象地1)
事例No.5の平面図を図1-6に示 す。住棟と隣接する表層の内訳を表
1-4に示す。
住棟は敷地に斜めに2列に配置 され、施設建物は敷地の境界の付近 にある。敷地の中に自動車が侵入し ないよう車道がない。また、駐車場 のほとんどは、地下にある。(図 1-6)
。
一方、緑地は住棟緑地と公共緑地 の構成であり、各住棟の3~4面に 住棟緑地と隣接している(図1-6)。 表1-4 住棟の4面に隣接する表層の内訳(No.5)
住棟緑地 公共緑地
10 40 30 2 8
住棟に隣接する緑地
舗装地面 住棟数 住棟面数
車道(No.12)(対象地1) 施設建物(No.9)(対象地1) 舗装地面(No.1)(対象地1)
境界(No.8)(対象地1) 駐車場(No.7)(対象地2) 住棟(No.11)(対象地1)
住棟
教育室
住棟
集合住宅外車道
住棟
駐車場
住棟
住棟 住棟 住棟
車道
舗装地面
A 公共緑地
施設緑地
道路緑地 施設建物 入り口
住棟緑地 住棟表層面と隣接する緑地面
住棟
車道 駐車場
噴水 1 ~10
1 階商店、 2 階以上住棟 C
図1-6 事例 No.5の平面図
P
2
3 5
4
6 7
8 9
1
10
A A A A
A
0 50m
10m N
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -20-
(2)事例:No.33(対象地1)
事例No.33の平面図を図1-7に示す。住棟の4面に隣接 する表層の内訳を表1-5に示す。住棟は敷地に斜めに3列 並行で配置され、施設建物や車道がなく、駐車場が敷地の 境界付近に住棟より離れて配置されている(図1-7)。
(3)事例:No.14(対象地1)
表1-6 緑地と隣接する表層の内訳(No.14)
事例No.14の平面図を図1-8に示す。住棟の4面に隣接 する表層の内訳を表1-6に示す。住棟と施設建物は一列に 敷地境界に沿って公共緑地を囲むように、配置されている。
車道は敷地境界線に沿って配置され、車道と住棟の間に駐車場が配置されている。
緑地は公共緑地のみで、敷地の中央にて住棟に囲まれている。住棟の一面は公共緑地の 直近に配置されているが、実際には車道や駐車場利用されている。
(4)事例:No.25(対象地1)
表1-7 緑地と隣接する表層の内訳(No.25)
事例No.25の平面図を図1-9に示す。住棟の4面に隣接 する表層の内訳を表1-7に示す。住棟は車道や駐車場に囲 まれ配置されている。敷地に施設建物が無い。
一方、緑地は公共緑地のみで、敷地の中央に位置し、車道に囲まれている(図1-9)。
以上により、公共緑地を敷地全体に広がりや住棟と緑地の間に車道、駐車場、施設建物 を配置しないことが住棟と隣接する緑地面数を多くすると言える。
公共緑地 駐車場 車道 施設建物 舗装地面
5 20 1 5 1 1 12
住棟数 住棟面数 住棟に隣接する内訳
駐車場 道路 住棟 舗装地面
4 16 6 2 2 6
住棟数 住棟面数 住棟に隣接する内訳
表1-5 緑地と隣接する表層の内訳(No.33)
住棟緑地 公共緑地 住棟 舗装地面
7 28 13 7 2 6
住棟数 住棟面数 住棟に隣接する緑地
N
N
N
図1-7 事例No.33の平面図
0 50m
10m 1 2
3 5 4
6 C
P
P P
図1-8 事例No.14の平面図
P P
P A
A A
A
50m 10m 0
1 2
3 4
5
図1-9 事例No.25の平面図
P
P P
P
0 50m
10m 2 1
3 4
P
P P
P
第1章 集合住宅における緑地の配置の特徴について -21-
(5)事例No.10(対象地2)
事例No.10の平面図を図1-10に示す。
住棟の 4 面に隣接する表層の内訳を表 1-8に示す。住棟は6列に平行配置され、
施設建物は敷地の南東部にまとめて配 置されている。駐車場は敷地の境界の 付近に配置されている。
一方、緑地は住棟緑地、公共緑地、施設緑地の3種類の構成である。bタイプの住棟緑 地は2ヶ所あり、6棟(➀、②、③、④、⑤、⑥)の間に配置されている。(図1-10)。
図1-11 事例No.3の平面図 図1-10 事例No.10の平面図
(6)事例No.3(対象地2) 事 例 No.3 の 平 面 図 を 図 1-11に示す。 住棟の4面に 隣接する表層の内訳を表 1-9 に示す。住棟では①~⑫、㉓ は平行に配置され、①~⑩の 間にbタイプの住棟緑地があ る。住棟⑪、⑫、㉓の隣接面 に駐車場や境界があり、緑地 がない。
一方、住棟⑬~㉒ごとの 3
~4 面に緑地と隣接し、住棟 は公共緑地を囲んで配置され ている。駐車場や車道は住棟 と緑地の外側に配置されてい る(図1-11)。
表1-8 緑地と隣接する表層の内訳(No.10)
住棟緑地 道路 境界 舗装地面
18 72 42 4 2 24
住棟数 住棟面数 住棟に隣接する内訳
表1-9 緑地と隣接する表層の内訳(No.3)
住棟緑地 道路 駐車場 境界 舗装地面
23 92 46 6 5 5 30
住棟に隣接する内訳 住棟数 住棟面数
N N
7 8
5 6
3 4
9
1 2
14 15
18
13 17 12
16 10
11
A
1
A
A
A
A A A A
A
A A
0 50m
10m
P
P P
6 7 8 9 5
2 3 4
1
14 15
13
11 10
12
20 21 22
23
18 19
17 16
A
P
P
P
0 50m
10m
P P
P