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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

Constitutive androstane receptor and pregnane X receptor cooperatively ameliorate DSS-induced colitis

(核内受容体CAR/PXRは協同的にDSS腸炎モデルを改善させる)

要旨

【背景】近年、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease, IBD)の患者数は急増している。しかし、その病態は免疫異常や腸内細菌叢の異常などが想定され ているが、明らかになっていない。そのため、現在は免疫抑制療法が広く用いられているが、副 作用の問題や治療効果が不十分であることから、IBDの病態解明と新たな治療法の開発が必要とさ れている。一方で、aryl hydrocarbon receptor (AhR)やpregnane X receptor (PXR)など一部の 核内受容体では、炎症性腸疾患に対して保護的に作用するという報告があり、病態の解明と治療 への応用が期待されている。今回、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性炎症性腸疾患モデル マウスにおいて、PXRと同じサブファミリーに属する核内受容体constitutive androstane recept or (CAR)の役割を検討した。

【方法】C57BL/6マウスを基に作成されたCAR欠損マウス、PXR欠損マウス、CAR/PXR欠損マウス及 び野生型の6-8週齢マウスを用いた。また、PXRアゴニストとしてpregnenolone 16α-carbonitril e (PCN)、CARアゴニストとして1, 4-bis [2-(3, 5-dichloropyridyloxy)] benzene (TCPOBOP)、

コントロールとしてdimethylsulfoxide solution (DSMO)を用い、マウスに投与する薬剤は25 mg/

mlエタノールに体重当たり20 mg/kgとなるよう調整したものを使用した。マウスは各欠損群及び 野生型マウスを各群6匹以上で3群に分け、各群で第1日よりPCNもしくはTCPOBOPもしくはDMSOを腹 腔内投与した。第4日より炎症性腸疾患モデル作成のため、DSS 2.5%溶液を連日経口投与した。

腸炎の評価として体重と下痢、直腸出血、血便を観察し、既報のスケールを用いて各項目0-4点で 評価した。第10日に全マウスを解剖し、腸管長を測定したのち、病理学的に検討した。形態的変 化の評価にヘマトキシリン・エオジン染色、炎症細胞の評価にF4/80抗体染色、アポトーシス評価 にTerminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labeling (TUNEL)を行った。さらに、

In vitroでCARを恒常的に発現させたHepG2細胞(Ym17 cell)に対して、10 mM Rifampicinまたは 250 nM TCPOBOPを追加後24時間培養し、サイトカインのmRNA発現とCAR/PXR標的遺伝子をreal-tim e PCRにて評価した。

【結果】DSS投与マウスは、いずれも下痢、直腸出血を認めた。PCN投与野生型マウスで、体重減 少、下痢及び出血スコアの有意な改善を認め、腸全長の短縮抑制もみられた。しかし、PXR欠損マ ウス及びCAR/PXR欠損マウスでは、同様の効果はみられなかった。また、TCPOBOP投与でも腸全長 は有意な短縮抑制効果を認めた。下痢及び出血スコアは改善傾向がみられたが、有意差は認めな かった。また、CAR欠損及びPXR欠損マウスでは同様の効果はみられなかった。組織学的にも野生

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博士課程用(甲)

型マウスのみで、PCN及びTCPOBOP投与により、有意に上皮障害の軽減と炎症性細胞の浸潤抑制が 認められた。PXRまたはCAR欠損マウスへのそれぞれのリガンド投与では保護効果を認めなかった。

TUNEL染色では、TCPOBOP投与野生型マウスでのみ、有意にアポトーシス細胞の減少を認め、その 他の群では効果を認めなかった。既報にて、PXRはNF-κBの発現抑制を介しDSS腸炎に保護的に作 用することが示されている。本研究でもreal-time PCRを用いて、IL-1b及びCCR2は、PCN及びTCPO BOP投与野生型マウスのみで有意に阻害されていることが示された。TNF-α発現はPCN投与野生型 マウスのみで有意に阻害されていた。CAR標的遺伝子Gadd45b発現については、TCPOBOP投与野生型 マウスのみで、有意な上昇を認めた。

【考察】著者は、CARとPXRがDSS誘発大腸炎に協同的に作用することを示した。CARとPXRは同じサ ブファミリーであるが、PXRはNF-κB標的遺伝子抑制を通して、CARはアポトーシスの抑制を介し てDSS誘発大腸炎に保護的に作用した。PXRリガンド投与はCAR欠損マウスで炎症抑制作用を認めず、

CARリガンド投与はPXR欠損マウスで炎症抑制作用を認めなかった。最近、クローン病や潰瘍性大 腸炎患者の大腸粘膜ではCAR発現が低下しており、本研究と実験モデルは異なるが、CAR活性化は 炎症からの腸上皮治癒を促進し、潰瘍性大腸炎に抑制的に働くという著者の仮説を示唆する報告 もある。CARリガンドはTNF-α発現を抑制しないが、Gadd45b発現を増加し、アポトーシスを抑制 していることを認めた。腸管粘膜の修復に協同的に作用していることが示されが、その経路につ いてはさらなる検証が望まれる。

【結論】核内受容体CARとPXRは、異なる作用メカニズムによって、腸炎による粘膜障害の修復に 協同的に保護的効果を示すことが同定された。

参照

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