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博 士 ( 医 学 ) 岡 本 宗 則

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 岡 本 宗 則

学 位 論 文 題 名

リ ス テ リ ア 経 口 感 染 に お け る 腸 管 感 染 防 御 と 内 在 性 イ ン 夕 一 フ ェ ロ ン ― ア

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  【 目 的】 ,

  リ ス テ リ ア (Listeria  monocytogenes) は 、 野 菜 や 乳 製 品 な ど の 食 品 を 介 レ て immunocompromized hostt,こ髄膜炎、敗血症などをひ きおこす。細胞内寄生性細菌である り ス テ リ アに 対 する 宿主 の感 染防 御反 応は1細胞 依存 性で 抗体 の関 与は みら れず 、静 注 感 染 の 場 合、 脾 臓、 肝臓 など の感 染局 所に 誘導 され るイ ンタ ーフ ェロ ン(IFN)‐Yが 、 感染 防 御に 重要 な役 割を 果た して いる こと が明 らか とな って い る。 しかし、リステリア の自 然 感染 経路 にあ たる 腸管 局所 にお ける 防御 反応 につ いて は よく 知られていない。腸 管 に お い ては 、 パイ エル 板と なら び腸 管上 皮内 リン パ球(IEL)が感 染防 御に 重要 ナょ 働 きを 有 する とい われ てい る。 そこ で、 本研 究で は、 リス テリ ア 経口 感染における腸管局 所、 特 に、IELでの 感染 防御 反応 に つい て検 討し た。

  【材料および方法】

  1) リス テリ ア 感染:5X 108CFUのListeria monocytogenes lb‑1684株を、金属ゾンデを 用いて4〜6週齢のddY、あるいは、C57BL/6マウスに胃内投与した。

  2) 菌の 検出 : 臓器 中の 菌数 は、 臓器 をhomogenize後、 脾臓 、腸 間膜 リンパ節(MLN) tよト リプ ティ ケ ース ・ソ イ寒 天培 地、 パイ エル板、糞便は パルカム培地で培養して算出 し た 。 さ ら に 、 腸 管 の グ ラ ム 染 色 を お こ な い 、 組 織 中 の り ス テ リ ア を 検 出 し た 。   3) 抗 体 投 与 :抗 マウ スIFNーY単ク ロー ン抗 体(mAb) は感 染2時 間前 に腹 腔内 投与 し た 。 抗TCR‐QpmAb、 抗CD8mAb、 抗 CD4mAbは 感 染7日 前 に 、 抗Thy1.2mAb、 抗 NK111mAbは 感 染3日 前に 静脈 内投 与し た。 なお 、対 照と し て正 常ラ ット グ口 ブリ ンを 投 与した。

  4) 内 在 性IFN1の 検 出 : 血 清 お よ び 臓 器 抽 出 液 中 のIFN‐YはEuSA法 によ り測 定し 、 腸管組織中のIFN・Yは免疫組織染色法により検出した。

  5)IELの 調 製 と 解 析 : 摘 出 腸 管 よ り 、EDTAを 用 い て 分 離 し たmLは 、 ナ イ ロ ン ウ ー ル カ ラ ム お よ び パ ー コ ー ル 比 重 遠 心 法 で 精 製 し た 。 採 取 し たmLを 用 い、FACScanに よ り 表 面 マ ー カ ―を 解析 し、ELISASPOT(EuSPOT)法 によ り 感染 前・ 後のIFN‐Y産 生細 胞 を算出した。さらに、reVerSetranSCriptionーpolymeraSe¢hainreaCtionanalySiS(RT‐PCR)法 により、IEL中のIFN−YmRNAを検出した。

(2)

    【結果】

    1)経口感染後の脾臓、MLN中の菌数は、脾臓では移行が遅れたものの、その後は同 様の値で推移し、感染3日目にピークを示した。一方、パイエル板、糞便中の菌数は共に 感染1日目に最大となり、感染5日目以降は消失した。感染1日目の腸管のグラム染色では、

腸 管 粘 膜 上 皮 、 特 に 陰 窩 部 を 中 心 に 多 数の り ステ リ ア のコ ロ ニー が 存 在し た 。   2)臓器中のIFN‑yは、脾臓、MLNでは、臓器内菌数と同様の経過で産生されたが、パ イ,エル板では、感染による誘導は認められなかった。一方、感染1日目の腸管の免疫組織 染 色 で は 、 粘 膜 上 皮 や 固 有 層 内 に IFN‑y陽 性 細 胞 が 散 在 し て い た 。   3)抗IFN‑ym噛 投与により、脾臓、MLN、糞便中の菌数は、感染翌日から有意に増加 したが、パイエル板の菌数は変動しなかった。

  4)感染前には、CD3゛1細胞はIEL中の約75%を占め、大部分はCD8゛T細胞であった。

TCR‐Y6+1細胞は1細胞中の約44%を占め、残りの大部分はT・cR‐Qp+T細胞と考えられた。

感染1日目には、CI)3+細胞、CD8゛細胞の割合が増加したが、IEL総細胞数の減少が認め られた。

  5)ELISPOT法では、非感染マウスでも、凪L中に、非特異刺激に応答してIFN・Yを産 生する細胞が存在し、一部は、非刺激でもIFN−Yを産生した。一方、感染1日目では、こ れらのIFN‐Y産生細胞数が減少していた。

  6)RTIPCR法で は、感染により、IELでIFN‐YmRNAの発現が誘導された。さらに、抗 Thy‐1.2m噛、抗CD8肌噛の投与により、著明なIFN_YmRNA発現の抑制が認められたが、

抗TCR ̄Qpm噛 、抗C叫肌 圸、抗NK111mAb投与 では、IFN‐YmRNAの発現は抑制されなか った。

  7)抗1℃R.Qpm的および抗CD8m噛投与により、感染1日目の糞便中の菌数は著明に増 加したが、抗CD4mAb投与では変化が認められなかった。

  【考察】

  1)臓器 内菌数の 経時的変化から、パイエル板を通過したりステリアは、MLN、脾臓 で増殖することが示された。さらに、グラム染色から腸管粘膜内でりステリアの増殖し ていることが示され、感染初期において、腸管粘膜内に存在する細胞による感染防御の 可能性が考えられた。

  2)脾臓、MLNでは感染の程度と一致して内在性IFN‐Yが産生され、抗IFN.Ym劬投与 によってこれらの臓器における防御反応が抑制されたが、パイエル板では、感染による IFN‐Yの誘導は認められず、IFN‐YInAb投与の効果も認められなかった。一方、リステリ ア感染後、腸管粘膜内の細胞には免疫組織染色でIFNーYが検出され、腸管粘膜内ではりス テリア感染後にIFN.Y応答の惹起されていることが示された。

(3)

  3) ELISPOT法 によ る検 討で は、IELに は種 々の 抗原 刺激 に対 レてIFN‐Yを 産生する細 胞 の存 在す るこ とが 示さ れた 。感 染1日 目に は、IFN‑y産生 細胞 数の 減少 がみ られたが、

同 時 にIELの 減 少 、T細胞 サブ セッ トの 変動 も認 めら れ、 経 ロ感 染後 、TC R‑Y6+T細胞 を 中心としてアポトー シスを起こしている可能性が考えられた。

  4) RT‑PCR法 によ る解 析で は、 経口 感 染後 にIELでIFNーymRNAカヾ検出され、感染によ り IFN ‑Y産生の誘導される可能性が示唆された 。レかし、ELISP O'I法によ るIFN‑y産生細 胞 の動 きと は一 致せ ず、 感染 によ り個 々 の産 生細 胞で は、IFN‐Yが 著し く産 生されてい る可能性が考えられ た。

  5) 感 染 前 に 各 種m噛 を 投 与 し た 結 果 、IEL中 のIFN_YmRNAの 発 現 は 、 抗CD8mAbお よ び 抗Thy1.2mAbの 投 与 に よ り 著 明 な 低 下 が 認 め ら れ た が 、 抗TCR‐QpmAbお よ び 抗 CD4mAb投 与 で は 抑 制 は認 めら れな かっ た。 これ らの 結果 か ら、 リス テリ ア感 染後 に正L で誘導されるIFN‐Yの産生は、主に111y‐1+CD8+TCR‐Y6+1細胞に担われていることが示唆 された。

  6) 抗IFN‐Ym鮎あ るい は抗CD81必Lbの 投与 によ って 、腸 管粘 膜上 皮内 での りステリア 増 殖が 亢進 し、 糞便 中へ の排 泄が 促進 す るこ とか ら、IELで産生される内在性IFN‐Yが、

腸 管 粘 膜 内 で の り ス テ リ ア に 対 す る 感 染 防 御 に 関 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。   7) 抗TCR‐QpmAb投 与 マ ウ ス で は 、IEL中 のIFN‐YmRNAの抑 制は みら れな かっ たが 、 腸 管感 染防 御Iま 抑制 され てい た。 この 結果 から 、CD8十TCR‐Qp+T細胞 は、CD8+TCR‐ Y6゛T細胞 と は異 なり 、IFN・Y産生 以外 の機 構に より 、腸管感染防御に関与している可能 性が示唆された。

  【結 語】

  以 上 の 結 果 か ら 、 リ ス テ リ ア 経 口 感 染 に お け る 腸 管 局 所 で の 感 染 防 御 に は 、 CD8+TCR一Y6十T細 胞 がIFN‐Y産 生 を 介 し て 働 い て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 一 方 、 CD8゛TCR‐QB゛11細胞は、IFNーY産生を介さない機構により 腸管感染防御に関与している 可 能性 が示 唆さ れた 。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

    リステリア経口感染における腸管感染防御と     内在性インターフェロンーア

    【目的】

    リステリア(Listeria monocytogenes)は、乳製品などを介して経口感染する細胞内寄 生´陸細菌で、宿主の感染防御反応はT細胞依存性におこなわれ、抗体の関与はみられず、

静 注感染実 験では 、脾臓、肝臓などの感染局所に誘導されるインターフェロン(IFN).Y が 、感染防 御に重 要な役割 を果た している ことが明 らかと なってい る。一方、リステリ ア の自然感 染経路 にあたる 腸管局 所では、 常に抗原 刺激に さらされ ている腸管上皮内リ ン バ 球(IEL)が 感 染 防御 に 重 要と 考 え ら れる た め 、本 研 究 では 、 リステ リア経 ロ感染 に お け る 腸 管 局 所 、 特 に 、 IELで の 感 染 防 御 反 応 に つ い て 検 討 し た 。     【材料および方法】

  1)リス テリア 感染:5X l08CFUのListeria monocytogenes  lb‑1684株を、4〜6週齢の ddY、あるいは、C57BL/6マウスに胃内投与した。

  2)菌 の 検出 :臓器 中の菌数 は、臓器 をhomogenize後 、脾臓、 腸間膜リ ンパ節 (MLN) は トリプテ イケー ス・ソイ 寒天培 地、パイ エル板、 糞便は パルカム 培地で培養して算出 し た 。 さ ら に 、 腸 管 の グ ラ ム 染 色 を お こ な い 、 組 織 中 の り ス テ リ ア を検 出 し た。

  3)抗体 投与: 抗マウスIFN ‑^ 単クロー ン抗体 (mAb) を感染2時間 前に腹腔内投与し た 。 抗TCR‐ apmAb、 抗CD8mAb、 抗 CD4mAbは 感 染7日 前 に 、 抗Thyl.2mAb、 抗 NK1.1mAbは 感染3日前に静 脈内投 与した。 なお、 対照とし て正常ラ ットグ口ブリンを投 与した。

  4)IFN. の 検 出 : 腸 管 組 織 中 のIFN‐Yは 免 疫 組 織 染 色 法 に よ り 検 出 し た 。   5)IELの調製 と解析: 摘出腸 管より、ED叮Aを 用いて 分離した 正Lを、ナイロンウール カ ラムおよ びパー コール比 重遠心 法で精製 した。採 取したIELを用 い、FACScanにより表 面マーカーを解析し、reverSetranSCnpdon‐polymeraseChainreaCdonanmySiS(RT―PCR)法に より、正L中のIFN‐竹凪NAを検出した。

    【結果】

  1)経 口 感 染後 の 脾 臓、MLN中 の 菌 数は 、脾臓で は移行 が遅れた ものの、 その後 は同 様 の 値 で推 移し 、感染3日目 にピーク を示し た。一方 、パイ エル板、 糞便中の 菌数は 共

22,4 ‑

   

   

崎 木

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

に感 染1日 目に 最大 とな り、 感染5日目 以降 は消 失した。感染1日目の腸管のグラム染色 では 、腸 管 粘膜 上皮 、特 に陰 窩部 を中 心に 多数 のり ステ リア のコ 口 ニー が存在した。

  2) 腸管の免疫組織染色では、粘膜上皮や固有層内にIFN‑./t性細胞が散在していた。

  3) 抗IFN‑yrnAb投 与 に よ り 、 糞 便 中 の 菌 数 は 、 感 染 翌 日 か ら 有 意 に 増 加 し た 。   4) 感染前には、IEL中の約75ワ 。がCD3十T細胞で、その大部分はCD8十T細胞であった。

TCR‐ 市十T細胞はT細胞中の約44ワ。を占め、残りのT細胞はTCR‐dp十T細胞と考えられた。

感染1日目には、CD3十細胞、CD8十細胞の割合が増加していた 。

  5)RTIPCR法では、感染により、IELでmN‐ーrrn王ボAの発現が誘導された。さらに、抗 1hy‐1.2mAb、 抗CD8mAbの投与により、著明なIFN‐卩州A発現の抑制が認められたが、

抗TCR‐apmAb、 抗CIXmAb、 抗NKl11mAb投 与 では 、IFN→珊RNAの 発現 は抑 制さ れな か った。

  6) 抗TくニR・ap皿噛およぴ抗CD8mAb投与により、感染1日目の糞便中の菌数は著明に増 加したが、抗C馴mAb投与では変化 が認められなかった。

    【考察】

  1) 脾臓 、MLNの菌 数は 静注 感染 とほ ぽ同 様に 変化 し 、容 易に 全身 感染 に移行 するこ と が示 され た。 グラ ム染 色では、腸管粘膜でのりステリアの増殖が示され、感染 初期に は 、 腸 管 粘 膜 内 に 存 在 す る 細 胞 に よ る 感 染 防 御 の 可 能 性 が 考 え ら れ た 。   2) リス テリ ア感 染後 、腸管の免疫組織染色でIFN‑'陽性細胞が検出され、腸管 粘膜内 で は り ス テ リ ア 感 染 後 にIFN‑‑[C答 の 惹 起 さ れ て い る こ と が 示 さ れ た 。   3)RT‑PCR法 によ る解 析 では 、経 □感 染後 にIELでIFN‑'{mRNAが検 出さ れ、感 染によ りIFN,億生の誘導される可能性が示唆された。

  4) 抗CD8mAbおよ ぴ抗111y1.2mAbの 投与 によ りIEL中の 正N‐mRNAの発 現は著 明に抑 制されたが、抗TCR‐a師仏bおよび抗く:IXmAb投与では抑制されなかった。これらの結果 から、リステリア感染後にIELで誘導されるIFN‐Yの産生は、主に111y‐1十CD8十TCR。市゛T細 胞に担われていることが示唆された。

  5) 抗IFN−弭Abあ るい は抗CD8mAbの 投与 によ って 、 腸管 粘膜 上皮 内で のりス テリア 増殖が亢進し、糞便中への 排泄が促進することから、IELで産生される内在性IFN一個ミ、

腸 管 粘 膜 内 で の り ス テ リ ア に 対 す る 感 染 防 御 に 関 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。   6)抗TCR‐aDmAb投与マウスでは、IEL中のIFN‐ーrn水NAの抑制はみられなかったが、

腸管感染防御は抑制されて いた。この結果から、CD8゛TCR.ap十T細胞は、IFN.Y産生以外 の機構により腸管感染防御に関与している可能性が示唆された。

    【結語】

  リ ステ リ ア経口感染により、IFN‐Yは腸管局所で誘 導され、感染防御に働くことが示 された。さらに、IELでのIF N‑y産生は、主としてThy‑l十CD8十TCR→W十T細胞に担われ、

CD8十TCR‑.18+T細胞はIFN‑‑/i生 を介して腸管感染防御に働いていることが示唆された。

以上により、本研究は博 士(医学)の学位論文として妥当なものと判断される。

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参照

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