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附属小学校平山文夫

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Academic year: 2021

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(1)

附属小学校における教育実習の

       現状と問題点

附属小学校平山文夫

       1.はじめに

 学校教育は質的に大きな転換がはかられている。それにともなって,教師にもまた大きな期待がよせ られてきた。したがって、教員養成の問題もたいへん重要な意味をもってきている。年々,教員養成に ついての関心はたかまっており,内容も充実してきた。教員養成の望ましいあり方については、その一 端をになう附属小学校としても大きな課題となっており,常に検討が加えられ実践されてきた。

 附属小学校における教育実習については,とくに多くの問題が山積している。教育実習の係が中心と なって全職員がこの重要な教員養成の仕事の一端を荷うべく努力しているわけである。教育実習期間は もとより,年間をとおしての見とおしをもって取り組み,短時日の教育実習を効率あるものにする努力

をしている。

 附属小学校での教育実習は,実習生にとってたいへん印象深いものである。教育者としての方向が決 定的になるということで責任のあるところということができる。未来の有能な教師を育てるためにとい

うことで,全校あげて共通理解を深め,積極的に取り組んでいる。

       2. 現状と問題

 教育実習生は,学部で習得したことがらを実地に体験し,小学校の教師としての指導力と使命観を身 につけることを実習のねらいとしている。したがって,附属小学校としても,その効果を十分にあげ得 るように努力しなければならないわけである。

 現状においては,教育実習の体制は適切さを欠かざるを得ないものになっている。附属小学校2週間,

公立小学校2週間とこまぎれにならざるを得ない状態である。本来なら,附属小学校で4週間全てを行 なうことが望ましいわけである。附属小学校としても,条件を整え,そうすべきであることを理想とし

ている。

 (1) 期間について

 教育実習生の総数およそ250名は,どう配置しても,回数は現状の年4回より上まわることはむず かしい。そうなれば1回における実習の日取りは2週間を限度とせざるを得ないわけである。昭和52 年度より日数としては2日増となっているが,期間としては2週間としても実質は最低20日間は確保 したいところである。もし,実質2週間ということであれば,実習計画の上からいって内容の充実をは かるためにも月曜日を実習開始日にあて,土曜日を終了Nにあてたい。そうすることによって,学校はも

ちろん児童の生活リズムに教育実習生の生活リズムをはやくのせることができるからである。

(2)

 (2)期日について

 期日の決定については,なんといっても学部の教育計画が優先するので,その調整はむずかしい。ま た,公立学校の協力を得ている現状を考えると,附属小学校としての主張もしずらい点がでてくる。し かし,児童を主体に考えた時には,やはり年間をとおして平均化したいという希望はでてくる。年4回 の教育実習期間として6月・9月・11月・1月あたりは適切な時期ではないかと考えられる。

 ただし,9月の期間については,現状の2学期の始業式を教育実習の開始日にあてていることは,児 童にとっても,教育実習生にとってもプラスの要因は少ないといわざるを得ない。児童の生活指導上も 学習指導上も一番たいせつな時期であるし,教育実習生にとっても開始日が実習のスタートで一番たい せつな時期であるという理由から,そういえるわけである。要は,児童にとっても,教育実習生にとっ てもマイナスの要因の少ない期Hの決定をしたいということである。

 (3)配当人数と担当教官の指導時数

 教育実習生のクラス配当は,低・高学年で異なる。低学年は週の授業時数が少ないことから,教育実 習生の人数が限られてくるわけである。1年生は各クラス2名配当,2年生は各クラス3名配当となる。

3〜6年生(含複式)は各クラス4名配当ということで一応配当人数の平均化をはかっている。

 しかし,配当人数は,単に人数をふりわけという数字上の操作だけで解決できるものではないことは 周知のことである。教育実習生の実習内容とも大きなかかわりをもっているわけである。とくに,教育 実習生の主たる研究教科を生かすことのできるようにとの配慮から,教育実習係の悩みの多いところで ある。研究教科からみた教育実習生の人数が4回の実習期間にうまく配当されることを期待している。

 この主たる研究教科からみた配当人数ということは,担当教官の指導時数にも大きく影響してくるの である。ちなみに各学年での指導の対象となった教育実習生の人数を調べると,1年生の担任の場合は,

学級配当2名と担任の出授業関係1名で計3名が1回の指導の対象となっている。2年生になると,担 任の出授業関係がふえるため指導の対象となる教育実習生の人数は多くなってくる。家庭科担当の学級 担任者の例でみると,学級配当人数3名のほかに,1回(7名)2回(8名)3回(7名)4回(5名)

の家庭科実習生の指導にあたっている。したがって,実質的には教育実習生の指導は,1回(10名)

2回(11名)3回(10名)4回(8名)ということになる。また,体育科担当者の学級担任者は,

学級配当者4名のほかに,i回(5名) 2回(4名)3回(5名)4回(6名)の体育科実習生の指導 にあたっている。結局,1回(9名)2回(8名)3回(9名)・4回(10名)と家庭科担当者とほぼ 素数の実習生の指導にあたっていることになる。附属小学校の場合,一一部教科担任制をしいているために,

学級担任としての配当人数に出授業としての教科の配当人数がプラスされてくることになる。

 全教官がそれぞれ教科・領域の専門をもっているので,各回ごとに大なり小なり学級配当人数にプラ スの人数を指導することになっている。したがって,2週間の教育実習期間での実習効率ということに なると,たいへん実習生に時間的制約がおおいかぶさってくることになる。精神的にも負担は否めない 現状といわざるを得ない。時によっては,一日の勤務の終りが午後7時,8時ということになり,それ でもなお教材研究が終わらないで継続するということは止むを得ないものと考える。指導教官ともども 教育実習生が実習に対して意欲的であることが,せめてもの救いである。

 (4)指導内容にっ いて

  ⑦ 教育実習オリエンテーション

(3)

 いっでも,実習期間2週間ということが,教育実習全体に制約を与える。指導内容についても計り で,児童とともに生活する実際の活動に入るまでに講話の時間が3fi間つつくことになる。すると残 るのは土曜日を含めて11日間となる。この教育実習開始の3日間はたいへん貴重な時日である。

 このように考えてみると,十分な授業に対する準備ができないという教育実習生の姿もやむを得な いと考える。実習期間中での教育実習オリエンテーションにかかわる講話は,2週聞を実質的な教育 実習の場とする意味でも,大学の講座の申におりこんでいくべきと考える。年間をみとおして計画的 に考えれば可能な内容であろう。教育実習前1か月位の間に附属小学校教官による特講として位置づ けることによって解決策がうまれてはくるのではないだろうか。

 学校の実態,児童の観察方法,指導案のワークショップ,模擬授業など具体的内容がたくさん位置 づけられると思う。これらの内容は教育実習がはじまれば,すぐに教育実習の活動として役立てるこ とのできる内容である。教育実習開始の日から新鮮な感覚によって,実習生がみとおしをもって実習 のしごとを自主的にすすめることができれば,教育実習の効果はさらに高まるものと考えられる。

 ④ 面接について

 面接は,教育実習オリエンテーションの一連の内容としておさえられる。方法的には従来とられて きたものでさしつかえないが,内容的にはなかみの充実をはかっていければと考えている。したがっ て面接に必要な資料として何が必要かのあらいだしをし,あらためて検討を加えなければならない。

 教育実習生ひとりひとりの研究課題,所属サークルなどはたいせつにとりあげ,研究的態度づけを 効果的に行いたいと考えている。現在は配当学年・配当学級において全体としての指導を行なってい るが,教育実習オリエンテーションの特講の形をとることができれば,個人指導も可能である。また 教育実習に入る前に教育実習生と個別に実習について十分懇談できれば,実習期間中のひとりひとり の生活は,さらに充実が期待できる。個別に面接を行なうことによって得られる効果としては,具体 的なものとしては,教育実習中の担当希望教科などが事前に把握できることである。事前に授業の構 えについて話し合うことによって理科・図工・家庭科などの実験や作業をともなう教科については,

授業の準備に対する実習生の意識がかわってくる。実習に入って,急に担当を希望して困惑すること は 準備についての予備知識がなく 十分野準備なしに授業に入るための混乱からきているのである。

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 いままでは,これらあ点を少しでも是正できればと,学部での授業の中に附属小学校での授業観察 の時間を入れていただくように各講座ごとに話し合い,実施してきたわけである。今後は教育実習オ

リエンテーションの特講として位置づけられればと考えている。

 ⑰ 予算について

 教育実習生馬としては,備品・設備については年々配慮されてきており,少しずつ整備されてきて

いる。また,消耗品についても一部,更紙・ファックス原紙などの配当はあるが,教材関係について

は学級で負担されていることが現状である。教育実習用として学級単位に予算化できればと考えてい

る。また,教育実習生用の参考図書などの整備も,実習が充実し教育実習生の態度が研究的になるに

したがって,必要となってきている。教育実習生の場合,とくに指導教官とは異なって予備実験などに

基本的なことからのくり返しが多くなり,どうしても予算がかさんでくることになる。実習という意

味を含んでいるための予備実験の費用は,指導教官がする場合の費用とは比較できない程のものとな

る。当然,実験・作業をともなう教科の場合は別枠での予算化が必要となってくることになる。ちな

(4)

 みに第4回教育実習生の使用した実験用品の主なものをみると,理科の例で,のり(400円)箱代  (6,000円)ビニール代(1,600円)アルミホイル代(2,000円)ペンキ代(2,800円)画  用紙代(5, 5GO円)などがあげられる。教育実習生がとくに研究的に実習として仕組む授業となる  と,ふだんの指導教官の場合とはまた異なる一面がでてくることがある。教育実習にかかわる材料費  などの予算化は今後の課題として残る。

 (5)教育実習生の状況について

○ 教育実習生の勤務のようすについての教官の声

・熱心でまじめである ・まじめだが積極性に欠ける ・気づかないのか,自分のことしか考えられな いのか,自らすすんでしょうとしない ・探究意欲乏しい ・内容がわからないというより熱意不足

・意欲的な実習生が多いが,所定の時間の中での活動がむずかしい(毎日,午後9時すぎまで予備実験 がくり返される)・実習生の退勤時刻がおそい(むだな時間が多い)・教職観の相違によって,勤務意 欲に個人差がめだつ ・なんとか実習をすれば単位はもらえるという風潮が実習生の一部にみられる

(実習の意義を確認させ,勤務へのきびしい体験をさせたい)

○ 教育実習生の指導のようすについての教官の声

・・

S名の教育実習生が1クラスの中にいるため。お互いが遠慮し合って,児童の生活指導面でうまくい かないところがめだっている。それぞれの実習生が,それぞれに責任を転嫁する態度や児童によく思わ れようと,児童に媚びる態度が生活指導の徹底を欠く結果となっている。

・指導教官を意識するがために,実習生としての施策を思いきってうちだせない嫌いがある。

・児童のまずい点は指摘するが,どうずればよいかといった指導にまでふみこめないでいる実習生が多 い。学部で培われた指導力・使命観・専門性・責任感などが教育実習校でどう具体化され,生かされる べきかの発展的な内容のおさえをしっかりさせたいと考えている。

・授業実習が教育実習のすべてだと思いがちな面がみられ,児童の生活指導に目をむけることのたいせ つさを忘れることが多い。授業実習がはじまると,児童との遊びなどにはほとんど加わらなくなる。指 導案と首っ引きといったところが大多数の実習生の姿となる。学部での教材論の充実が望まれる次第で

ある。

・教科指導では,基本的な器具の操作に対して不明な点が多く,とくに理科の化学的教材においてはた びたび授業の混乱をみてきこ。ふだんの学部での生活を研究的にすすめる努力を奨励していきたいもの である。指導内容が児童の申に定着されないことが多い一面としては,教育実習生のものの考え方の君 さがここにでてくるためと考えられる。

・いずれにしても個人差があるので一概にきめつけることはできない。熱意ある実習生は2週間でも充 分向上の姿がみられる。積極的に現状の把握にっとめようとする意識の乏しいものは,形式におわれ,

教官の指導の浸透も弱い。

・教育実習生に対する指導時間の確保がむずかしい。低学年はよいとして,中・高学年になると午後4 時ao分以降ということになって,ひとりひとりの実習生に対する指導や実習生自身の研修時間がもて

なくなる。

・2週間の実習では,どうしても要求水準が高くなりがちで形式的になる憂いがある。実習生の立場で

いえばいいかげんにならなければという危惧をもっている。児童たちは正直で実習生の授業には,敏感

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に反応をする。実習生の教材研究不足があらわれると,よくわからないということで嫌う傾向がみられ

る。

・指導書や表面的な観察にのみたよる場合には,とくに顕著に児童は授業に嫌悪感をもっことになる。

学習指導について,実習生の中にはきめられた時数以上の授業をすればよいという安易な態度があるの で,教育実習についての規定的なものは,その意図を十分理解してもらわねばと考えている。

○ 教育実習生の心得から

 附属小学校で実習するということは,附属小学校に勤務することであるという意識と自覚をもたせる ことがなかなかむずかしい。やはり,教育実習オリエンテーションの充実以外に考えられない問題であ る。積極的な行動と探究心,謙虚と誠実な態度などは言葉として与えても意味はない。やはり学部との 連携による広い教養と豊かな人間性の育成が基底になければならない。

 教官,児童との明るいふれあい,朝・夕の礼儀などごく些細なことでも,やはり社会人としての基本 的な生活態度といわなければならない。学部と附属小学校との連絡調整の上にたって,きめ細かな指導 の手をと考えてきた。今後は当然,専任の教育実習教官が学部・附属小学校にあって,その任にあ準る ことができれば,さらに内容的な充実をみることができよう。

 ⑥ 教育実習生の反省から

 実習生活をかえりみての総合的感想の中にも,附属小学校における教育実習の現状の一端があらわれ ているので原文のまま記してみたい。

 「学生」であり「教師」であるという二面的な立場をもつことがうまくできなかったのではないかと 思います。学生として先生方から教えをこうのに積極的でなかったと思うし,児童に対して先生である ことも時折り忘れたのではと思えてきました。自分で授業をしている時に,遊んでいる時の延長のよう なものを持ち込んでしまっていたような気がします。それが学生で,まだ実習中だからと自分を甘やか

した気持ちを私がどこかにもつていたことのあらわれだと思います。

 授業をやってみた感想は難しかったのか教材研究不足ともう一つ,児童の実態をつかむのに時間がかか ったことだと思っています。児童が何を考え何をしたがっているのか適格に把握できていれば,また違 った授業ができたのではないかと考えました。しかし,14日間という短い期間においては,それもな かなかできないことだと患います。その意味でもっともっと実習期間が長かったらと思います。また,

私なりにっかんだ児童の実態を私が充分にいかすだけの柔軟性を私がもちあわせていなかったことも反 省しなければなりません。

 教材研究についてはどのようにしたらよいのか,わからないことだらけでした。でも,自分なりに研 究はしても,それでまだ不足だと自分で思うのは,これまでの私の勉強について反省しなければならな いと思いました。何といっても読書量の少なさ,また,自分の考え,意見,感想など文字に表わすこと が少なかったことです。実習を終わって感じたことが,そのまま今までの私の勉!蚕のしかたへの反省に

なります。自分をみつめなおすための一つの大きな機会になりました。

 児童との遊びは楽しかったです。児童を知るのに大きな役に立ちましたが,遊びそのものも楽しみま

した。クラスの子全員と遊ぶことができたのもうれしかったことのひとつです。

(6)

      3. お わ り に

 学部の教育実習担当教官と連絡を密にして,その成果や問題点について,学部の担当教官と附属小学 校教官としみじみ語り合う機会1まほとんどなかった。教科研究部や個人にまかされていた面がつよかっ たという印象をもつ。やはり,実習の成果や問題点については定期的に検討し合うことがたいせつであ

る。

 附属小学校の指導計画は適切であったか,実習生の学習に対して十分に指導の効果をみることができたか などを常にあらいだし,望ましい教育実習のあり方を求めていくことは,附属小学校の使命でもある。

また,附属小学校の教育実習は,学部における教員養成のなかの重要な位置をしめていることも十分認

識しなければならないと考えている。

参照

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