第 86 回獣医学会講演要旨
多数存在する難治性疾患の中の一つに耳血腫があ る。過去から現在に至るまで約 200 年間,耳血腫の 原因は,耳介への外傷に起因する血腫であるとする 外傷性病因論に基づいて,多種多彩の外科的治療法 が開発されてきた。しかしながら,いずれにも有効 性に乏しく,治癒に 1 ヶ月以上を要し,カリフラワ ーイヤーと称する醜い耳介の変形を後遺する。演者 の観察では,医療で治したというより,自然治癒し たとしか考えられなかった。
耳介に外傷が加わったことによる血腫という単純 な疾病が,これほどに難治性を示すのは,誤った病
因論に基づいて,誤った治療が行われている可能性 が高いと考えられた。
そこで,演者が提唱した内因性病因論,すなわち 自己免疫反応に基づいて,本症の治療法をデザインし た。自己免疫疾患に対する第一選択薬は corticosteroids である。耳血腫の患者(犬 228 頭,猫 56 頭)に対し,
prednisolone の免疫抑制量(0.22-0.66 mg/kg/day, sid)
を皮下注射または内服で,犬は朝,猫は夜に投与し た。その結果,犬 80.6 %,猫 87.2 %が 6-8 日間で治 癒した。
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