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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

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Academic year: 2021

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

指導教員 小林克弘 18852524 向吉正樹

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

論文構成

序 章 研 究 の 背 景 と 目 的       … p.03 第 2 章 隙 間 の 概 念       … p.05

2-1 一般的な隙間の定義

2-2 隙間の特色

 2-2-1 隙間の可能性  2-2-2 隙間の隙間性  2-2-3 隙間の機能  2-2-4 隙間の発生 2-3 章結

第3章 建築における隙間      … p.19

3-1 建築における隙間の定義

 3-1-1 建築条件  3-1-2 用途条件  3-1-3 人的条件  3-1-4 隙間的距離  3-1-5 定義のまとめ

3-2 コンバージョン建築における隙間の定義 3-3 章結

第4章

 

コンバージョン建築事例の作品分析     … p.30

4-1 対象事例と抽出方法 

4-2 隙間の相関  4-2-1 隙間の種類  4-2-2 機能と種類  4-2-3 発生との相関 4-3 用途による傾向 4-4 隙間構築手法 4-5 章結

第 5 章 設 計 提 案      … p.54

5-1 設計プロセス

5-2 設計提案

結章 総括      … p.77

論文梗概       

… p.79

謝辞       

…p.86

付録       

… p.88

参考資料       

…p.143

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

Paramount House Hotel ‘Kanaal’ in Wijnegem

建築コンバージョンは 20 世紀末から欧米を中心として実践されは じめ、

近年では日本を含めアジアでもコンバージョンへの関心が高 まっている。

しかし、未だ欧米諸国に比べ、制約の多さなどからコ ンバージョン建築に 対する関心が低く、一般的な建築の手法として 定着しているとは言い難い。

その中、これまでの小林研究室による 海外コンバージョン調査事例を概観 すると、建築コンバージョンに おける操作によって生まれる空間には多く の「隙間空間」があるこ とがわかった。新旧間の隙間や、複数棟間の隙間、

既存建築内に存 在する隙間を活用している事例など、隙間空間をうまく活 用するこ とによって独自の空間が創出されている。このような隙間に関す る 建築設計・構成手法に関する研究では、コンバージョン建築のみを 対象 とした先行研究はない。しかし、隙間空間に関する研究は、独 自の空間を 持つコンバージョン建築において、重要な役割を果たす と考えられる。本 論文では、建築コンバージョンにおける隙間空間 の設計手法を分析し、コ ンバージョン建築に有効に機能する隙間空 間の具体的な設計提案の作成を 通して新たな手法の可能性を提示す ることを目的とする。

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2-2 隙間の特色    

2-3 章結       

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

2-1 一般的な隙間の定義

 建築における隙間空間の考察に入る前に、一般的な意味での隙間 につい て整理しておく。新村出版の『「広辞苑」第七版 岩波書店 2018』より広義 的な意味での隙間は「物と物との間の少しあいてい る所。」と定義されてい る。様々な隙間についての考察はこの定義を 元にして行っていく。

表 一般的な隙間の定義

すき - ま【隙間・透き間】

①物と物との間の少しあいている所。すき。あい。

②あいている時間。ひま。てすき。いとま。

③乗ずべき機会。油断。てぬかり。

意味

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

空間を隙間化していくことで原っぱ的なものに近づけることができるということはい えるかもしれません。隙間というのは、つくろうとしてできているわけではなく、あ るものとあるものをつくった結果、生まれるものです。住宅をつくってそれが全部隙 間である、あるいは美術館をつくってそれがすべて隙間である、ということは本来へ んな矛盾したことです。しかし、意図した結果の空間であると、かえって息が詰まる というが、そこで何かをしたいという意欲がなくなるということを考えますと、隙間 みたいなもの、つまりある構成の副差物として生まれてしまうものに、ある可能性が あるのではないかと考えています。

2-2 隙間の特色 2-2-1 隙間の可能性

 隙間の可能性に対する青木淳の言説の中において、隙間は作ろうとしてで きたものではないと述べているが空間を隙間化していくことに興味を示して いる。そして、原っぱ的な建築とは、人と空間が対等であるものだと青木淳 は述べている。また同様に、意図して作られたわけではなく、ある種の副産 物のように生み出された隙間空間にも原っぱ的空間となる可能性を秘めてい ると青木淳は考察している。

青木淳「最近の仕事」- 隙間の可能性 -

(東西アスファルト事業協同組合講演会) より一部抜粋

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

遊園地的

自由度が低く、意図され た行為あるいは意図され た感覚から逆算してでき た空間

あるものとあるものを作っ た結果、意図していなかっ たにも関わらず現れる空間

隙間空間

隙間空間

原っぱ的

自由度の高い空間において 人がアクションを起こすこ とにより形づくられていく 空間

空間の自由度高い

空間の自由度低い

人と対等でない 人と対等

隙間化

自由度のある空間へ

図 空間における自由度と人との関係

2-2-1 隙間の可能性

 ここで原っぱ的空間と隙間空間の違いを考察してみると、両者は人と対等 な空間であるという点では共通しているが、空間の自由度という点において 隙間空間は原っぱ的空間に比べ圧倒的に自由度が低いことが伺える。つまり、

自由度の高い隙間空間を作ることができれば、隙間空間の可能性はより広が ると言える。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

Office Conversion in Cascais

Veliche Hotel

光を取り入れる機能を持つ隙間

動線としての機能を持つ隙間

2-2-2 隙間の隙間性

 隙間空間には、様々な役割が存在する。光や風を通す役割。細い路地など の役割。隙間空間があることによって並び合うものの存在を際立たせる存在。

緩衝帯としての役割など、多くの役割がある。本節では、それらについて1 つ1つ紐解いていく。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

しかしそうは言っても、空間構成のレトリックの範囲で隙間を再現できるとすること 自体は、隙間を見出す契機となった、廃墟を見る眼差しに不忠実なのではないか?と いうのが、隙間の取り扱いで問題にしたいことなのである。この問いに答えるために は、隙間の隙間性をいかに維持するかである。隙間の隙間性というのは、先の鈴木了 二の言葉を借りるならば「空間なき空間」であり、それは下手に近づこうとすればす るほど逃げてゆく、厄介な代物である。ここで隣接する建物の設計者が同じ事例を見 てみよう。この条件なら、空間構成のレトリックを要するまでもなく、隙間を自らの 領域内部に持つことができる。

塚本由晴+西沢大良「現代住宅研究」LIXIL 出版 2004 より一部抜粋

2-2-2 隙間の隙間性

 本節と 2-2-3「隙間の機能」について塚本由晴+西沢大良(2004)「現代 住宅研究」LIXIL 出版より考察を行う。

 塚本由晴は、都市における隙間の見方を廃墟を見る眼差しに似ていると述 べた上で隙間を空間構成のレトリックの範囲で再現することは廃墟をみる眼 差しに不忠実なのではないか、と考察している。この問いに対して、隙間の 隙間性を保つことによって解決を試みている。ここで述べている隙間の隙間 性とは、廃墟を見る眼差しとして隙間の魅力を見出すことであると解釈した。

つまり、一度空間として淀んだような空間の面影を残しつつも、できるだけ 手を触れることなく魅力を見出すことだと考察した。このような考えは、コ ンバージョン建築に適していると考えられる。コンバージョン建築は、一度 済んでしまった建築を転用することから、廃墟をみる眼差しを持ちながら隙 間空間を創出することが可能である。本節では、隙間の隙間性と建築コンバー ジョンとの繋がりを明らかとした。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

単に便利さを追求するならば、この道路側の扉からひょいと入れば済んでしまうわけ で、この隙間を通るアプローチ自体が無用になってしまうのだが、それでもこのよう なアプローチを仕込むのは、それによって得られる表と裏が繋がる感覚を求めてのこ とだろう。西側は細い道路に接しているようだから、このアプローチを隙間に導入す ることにより、建物は四周を道路に囲まれることになる。これにより、打ち捨てられ、

空気が淀み、何も定義されていないといった、一般に隙間が担う性格がどこにも成立 しなくなる。敷地全体が無駄なく生活によって活性化された場所となる。

塚本由晴+西沢大良「現代住宅研究」LIXIL 出版 2004 1| 隙間を歩く(P417〜P418) より一部抜粋

102 The Mill

2-2-3 隙間の機能

 隙間空間には様々な機能が存在する。風や光を通す機能や人が近道をする ために使用する細い隙間など、一見あるものとあるものの間に偶然できた何 も定義されていない空間のように見えるがそのような隙間にも機能を有して いるものが存在する。本節ではそれらを塚本由晴の言説から抽出し、隙間の 機能を確立した。

○動線機能

 下線部より、隙間には動線としての役割を担う可能性を秘めていることが 把握できる。その隙間を動線として使用するかどうかは使用者や設計者に委 ねられるが、隙間の役割の一種であると言える。つまり、隙間は動線機能を 有すると考察できる。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

この頂部の抉られた場所は、実際は 1.5 メートルの屋上テラスで、3階の寝室と水回 りをわかち、さらにガラス越しに吹き抜けを介して2階に光を届けている。この場所 が隙間という読みを誘う 2 つの理由をここではあげてみよう。一つは敷地の東側に取 られた隣地との隙間が、ほとんど同じ幅で取られているということ。3階の平断面を 作成するならば、似たような場所が隣の建物と水回りの間、水回りと寝室の間で反復 されていることがわかるだろう。

塚本由晴+西沢大良「現代住宅研究」LIXIL 出版 2004 2| 隙間を開ける(P419〜P420) より一部抜粋

2-2-3 隙間の機能

○反復機能

 下線部より、ヴォリュームや用途の反復がなされているその間の空間を隙 間として認識できると述べている。逆に言うと、隙間は反復機能を有すると 考察できる。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

機能上は壁一枚で済ますこともできた寝室と水回りとの間に、空間を挿入する余地が 見つけられ、ここが隙間として押し広げられているということ。この余地の発見はさ らに3階の床と外壁の接合にも引き継がれ、このテラスを人がすっぽり収まってしま うほどの大きなハイサイドライトへと変容させている。この場合は、実際の都市の隙 間が直接素材として扱われているわけではなく、隙間の見出されるある独特の密度の 構成を住宅の内部に持ち込もうとしている。

塚本由晴+西沢大良「現代住宅研究」LIXIL 出版 2004 2| 隙間を開ける(P419〜P420) より一部抜粋

Neutrabuilding

2-2-3 隙間の機能

○緩衝機能

 ここから、あるヴォリュームやある用途の間に存在する、必ずしも必要と は言えないような空間に隙間を見いだすことができること言える。つまり、

隙間は緩衝機能を有すると考察できる。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

その隙間は、診療所のヴォリュームからステンレススパンドレルで覆われた角柱が斜 めに突き出すことによって、既存の母屋との間に生じた場所である。ステンレスの角 柱は、その先端の下側の一辺を、既存の母屋の高さにちょうど合うように傾けられて いて、立体の稜線を追うと、そこの虚のヴォリュームの抽象的なフレームが現れるよ うになっている。しかしそのフレームの形は、一言では形容し難い偶然の産物のよう でもある。また、この隙間は駐車場として利用されているものの、駐車場として作ら れてはいない。そのことはステンレスの角柱が、雨を遮る屋根の役を十分には果たせ ていないことから明らかだろう。これが雨を遮るためのキャノピーだったなら、そこ には駐車場という意味の中心が定着されることになるだろうが、そうなった時点で隙 間はその隙間性を失ってしまう。

《コモンシティ星田》(坂本一成 /1992)もまた、戸建て住宅団地という条件の中で、

隣接する建物の隙間について否応無く再定義を迫られているものであった。ここでは 隣接する住戸の隙間、あるいは敷地境界と建物の隙間は、共用の緑のネットワークの 一部に位置付けられるか、隣の住戸の庭の一部に視覚的な広がりの一部として供出さ れるかのどちらかである。ここでは隙間の使用法や定義をその隣接する環境に応じて、

臨機応変に変容させることによって、領域としての連続性が良好な住宅地の質として 追求されている。その結果として、隙間はそうした領域の連続性のなかにインテグレー トされて見えなくなっている。

塚本由晴+西沢大良「現代住宅研究」LIXIL 出版 2004 3| 隙間を生む / 消す(P421〜P423)より一部抜粋

2-2-3 隙間の機能

○仮用途機能

 下線部1より、用途のない隙間空間に手を加えないまま用途を与えること ではその隙間性は失われないことがわかる。つまり、隙間は 仮用途機能を 有していると考察できる。

また、下線部2より隙間には役割を臨機応変に変化させること可能であると 考察できる。つまり、隙間空間が有する役割は1つではなく、複数の役割を 持つことが可能であると言える。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

この住宅では大胆にも隣の建物との隙間に、開口をとっている。開口には 2 つの種類 があり、一つは壁に開けられた開口、もう一つはヴォールト天井の懐でスリット状に 取られたトップライトである。壁に開けられた開口は、外付けの片引きサッシの生じ 部分が外壁の背後に滑り込むことで、開けてしまえばアルミの枠だけになるもので、

隣の建物の細々とした壁面を一つの静止画のごとく切り取っている。トップライトの 方は断面で見ると、砂に潜った貝が砂の上に口を突き出したような形になっていて、

隙間に差し込むわずかな光を室内に滑り込ませる。その下にある壁面はわずかに外側 に傾いていて、ラワン合板素地仕上げの表面の微妙なけば立ちを、滑り込んだ光によっ て輝かせる。

塚本由晴+西沢大良「現代住宅研究」LIXIL 出版 2004 4| 隙間の隙間性 p423〜P425 より一部抜粋

Interior Rehabilitation Of The Revellín Cube

2-2-3 隙間の機能

○環境機能

 この文章では、隣り合うビルとビルの間の空間を隙間としてその隙間の扱 いについて述べている。下線部より、隙間に手を加えることはしていなくて も、建築に開口部を開けることによって隙間が認識されている状態を作り出 している。そして、開口部を開けることで光を取り込むことや景色を切り取っ ていることからその隙間は環境機能を有していると考察できる。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

機能 内容

動線機能 反復機能 緩衝機能 環境機能 仮用途機能

対比機能

隙間において、動線的な役割を担う空間での機能

複数の同じ幅の空間において、挟んでいるものは異なるが、空間 が視覚的に連続していると捉えられる空間での機能

必ずしも必要ではないような隙間を、意図的に作り出した際に担 われる機能

その隙間において、採光を確保することや、換気の機能を有する こと、景観を切り取るなどの機能

ある用途のために作られた空間でない空間において、その空間に 手を加えることなくある用途として使用する際に担う機能 あるものとあるものの間に隙間を開けることによってその両方を 対比させる機能

Shoreham Street

表 隙間の機能

2-2-3 隙間の機能

○対比機能

 今回参考にした資料からは抽出されなかったが、コンバージョン建築の特 徴として新旧の対比を示す隙間が多く見られることから、隙間は対比機能を 有すると考察し、隙間の機能に追加する。

 以上より、隙間の有する機能を抽出し、以下に整理した。今回抽出した隙 間の機能を分析軸の1つとして今後の分析を行う。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

隙間の発生 特徴

機能的発生

斥力的発生

両側面発生

あるヴォリューム同士またはそれに類似するものを配置する際に、隙 間空間を活用するために積極的に発生する発生方法

ヴォリューム自体の独立性や機能を保つために空間を空ける際に発生 する発生方法

機能的発生と斥力的発生の両側面を併せ持つ発生方法。隙間空間を活 用しつつヴォリューム自体の独立性や機能を保つことができる発生方

「関係性の不在。とはいえ、機能的関係からみたエアポケットのような空間としての 隙間と、例えば、満員電車内での互いの距離のような空間、つまり斥力から生じる隙 間とは区別しておく方が良いでしょう。ちなみに建物と建物との微妙な隙間などには、

この両側面が含まれているように見えます。 水谷千加古 , 『10+1 No.22 2000』,INAX 出版 ,2000 P52 「スキマ学の始まり」 より一部抜粋

表 隙間の発生分類とその特徴

2-2-4 隙間の発生

 一概に隙間空間と言っても、その空間の発生には多少の違いが存在する。

山田深は「スキマとは?」という問いに対して、関係性の不在と述べた上で、

機能的関係からみたエアポケットと斥力から生じる隙間についての区別を推 奨している。また、建築間の隙間には機能的関係と斥力の両側面が含まれて いると述べている。これらから、隙間の発生として、「機能的発生」「斥力的 発生」「両側面的発生」の3種類の発生方法を抽出した。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

2-5 章結

 青木淳の言説より隙間空間の位置付けを行った。さらには塚本由晴より建 築コンバージョンと隙間の繋がり、隙間の機能、山田深より隙間の発生とい う分析軸を得た。

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3-2 コンバージョン建築における隙間の定義

3-3 章結        

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案 H:D=1:3

H:D=1:6

H:D<1:1

くつろげる空間と感じる比率

また、H:D=1:4 を越えれば、空間は閉じた感じが無くなる

公共的空間と感じる比率

快適でないと感じる比率

また、H:D=1:1 の場合、完全に閉じた空間と感じる

3-1 建築における隙間の定義 3-1-1 建築条件

 青木淳は、隙間をあるものとあるものを作った結果、意図していなかった にもかかわらず現れる空間であると述べているが、本論文では具体的な隙間 の設計を行うために、隙間の具体的な定義を行う。

 3次元展開における隙間の考え方として、どれくらい囲われているかそれ によって人は空間をどのように感じるか、という視点を用いて垂直方向に2 方向以上囲われている際にその H/D から隙間を定義することを考えた。建築 資料集成より、以下のように分類される。

上図の分類より

③(H:D≦1:1)の場合を隙間とする条件の一つとする。・・・❶

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

3-1-1 建築条件

 前ページにおいて垂直方向のみの隙間について考えた。

ここでは、水平方向において囲われているかの場合を考えたい。

・2方向(上下)以上で囲われている場合

上図のように5方向(2方向以上)から囲われている場合、垂直方向のみの 囲いの場合の逆の比率を考える。

つまり H:D≧1:1 の場合を隙間とみなす。

ここで、上下2方向以上囲われている場合の隙間について考えたが、例えば、

上図の高さを高くしてみる

隙間ではないように感じるが、これは H:D≦1:1 に当てはまるので隙間と捉 えられる。

つまり、水平方向が成す空間は全て隙間であると言える・・・❷

また、上下方向のみで構成される空間の場合 H:D≧1:1を隙間とみなす。

しかし、このままではほとんどが隙間とみなすことができてしまう。これら の建築条件に加え、用途などの詳細なな条件を付け加えることで定義を示し ていく。

(22)

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

❸ ・人の滞在を促すことが目的として含まれる用途は除く(隙間が滞在空間になければ良い)

  ・用途を含むピロティ空間は除く(カフェの外部空間・駐車場など)

  ・意図せずに通路や道路として使用されている空間は認めるが、もとより通路や道路とし   て作られた空間は隙間空間とは認めない

3-1-2 用途条件

 本節では、隙間を定義するにあたって、その用途による条件を定義する。

前章において、青木淳氏は「隙間というのは、つくろうとしてできているわ けではなく、あるものとあるものをつくった結果、生まれるものです。」と 述べており、用途に関しては言及していない。しかし、「あるものとあるも のを作った結果生まれるもの」という文言には意図して作られた空間でない ことが伺える。また、塚本由晴氏は一般的な隙間の性格として「打ち捨てられ、

空気か淀み、何も定義されていない」と述べている。ここから、一般的には 隙間空間は人が心地よく滞在することが主とされた空間ではないことが考え られる。以上から本論文での建築における隙間の用途条件を示す。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

3-1-3 人的条件

 隙間空間において人の侵入が可能かどうかに分けて定義する。また、閉じ た空間となっていてはならないという条件を加える。

人的条件

侵入可能 侵入不可

❶❷および❸を満たしていなければならな い。また6方向を全方向とした時、2方向 以上で囲まれている且、1 方向以上は抜け ていなければならない

建築条件の❶または❷を満たし、且つ、

6方向を全方向とした時に1方向以上が 空いている状態で2方向以上が囲まれて いる場合のことを隙間とする

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

3-1-4 隙間的距離

 隙間的距離として、エドワード・ホールによるパーソナルスペースの分類 を参考にする。建築を施設ごとに分類し、それに対応するパーソナルスペー スの距離を当てはめることで、施設による人の適正距離をつかむことが可能 である。隙間空間とは狭い空間であることが多いことから、施設ごとの適正 距離以下の幅の空間は人が快適でないと感じやすく、隙間空間の距離の大ま かな具体的数値として適していると言える。

 まず、エドワード・ホール著 日高敏隆・佐藤信行訳『かくれた次元』よ り施設ごとの適正距離を整理する。

○密生距離(0〜45cm)

密接な距離では、他の人間の存在がはっきりと捉えられ、感覚入力の電圧が極めて高いため 圧倒的なものとなることがある。視覚(しばしば歪められた)嗅覚、相手の体温、息の音、匂い、

感じなどの全てが結合して、他人の身体と密接に関係しているというはっきりとした信号と なる。

家族・恋人などのごく親しい人だけが接近を許される近い距離で、相手の身体に容易に触れ ることができる距離であるため、知らない相手が密接距離に入ってくると恐怖感・不快感を 強く感じる。

・密接距離−--- 近接相(0 ~ 15cm)

……相手をすぐに抱きしめられるような最も近い距離。

・密接距離−--- 遠方相 (15 ~ 45cm)

……身体が直接に触れ合うことはないが手で触れようと思えば触れられる相当に近い距離。

○個体距離(45〜120cm)

「個体距離とは」、へーディガーが非接触性の種のメンバーを恒常的に分かつ距離を示すのに 用いた用語である。これは小さな防御領域、つまり生物が自分と他者の間に保つあわと考え ていい。

親しい友人・恋人・家族などと普通に会話する時に取る距離で、相手の表情が良くわかるよ うな距離である。

・個体距離−--- 近接相(45 ~ 75cm)

……少し場所を動けば相手に簡単に触れられるような相手を信用しきった距離。

・個体距離−--- 遠方相(75 ~ 120cm)

……お互いが手を伸ばすと、指先が触れあう程度の親密さの感じられる距離。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

3-1-4 隙間的距離

 以上がエドワード・ホールによるパーソナルスペースの分類である。この 分類は人々がどのような気持ちを持っているかということが重要になってく る。そこで、ある感情になることが多い建築での距離を考えることに活用す る。つまり、自宅のような小規模な建築では社会距離や公衆距離をとる機会 が少ないと考えられることから、個人距離、密接距離を大まかな隙間の寸法 とする、という考えである。

次のページにおいて、建築の規模別に距離をまとめていく。

○社会距離(120〜350cm)

個体距離の遠方相と社会距離の近接相の境界は、ある被験者の言葉を借りると、「支配の限界」

を示す。顔の細かいディティールは見て取ることができないし、特別な努力をせずには相手 に触れたり触れようとしたりできない。アメリカ人の場合、声は正常の水準にある。近接相 と遠方相の間には大した違いはなく、会話は 20 フィート以内の距離からなら洩れなく聞く ことができる。私の観察では、この距離でのアメリカ人の声は全体として、アラブ人、スペ イン人、南アジアのインド人およびロシア人よりは低く、上級階級のイギリス人、東南アジ ア人、日本人よりは幾分高い。

知らない相手や公的な改まった場面(ビジネスの関係など)で相手と会話する距離で、相手 の身体に手で触れることができない程度の安心できる距離。

・社会距離−--- 近接相(1.2m ~ 2.0m)

……知らない人同士で会話をしたり、社会的・ビジネス的な場面で用いられる距離 。

・社会距離−--- 遠方相(2.0m ~ 3.5m)

……テーブルを挟むなどして、公式な改まった商談や交渉の場面で用いられる距離。

○公衆距離(350cm〜)

個体および社会距離から公衆距離へ移ると、いくつかの重要な感覚的変化が起こる。公衆距 離はインヴォルヴメントの範囲の十分外側にあるからである。

講演会や公式なレセプションなど、自分と相手との関係が『個人的な関係』ではない『公的 な関係』である時に用いられる距離。

・公衆距離−--- 近接相(3.5m ~ 7.0m)

……二者関係が個人的なものではなくて、講演会における講演者‐聴衆という関係にある場 合に取られる形式上の距離。

・公衆距離−--- 遠方相(7.0m 以上)

……一般人が社会的な要職・地位にある人物と正式な会合・イベントで面会するような場合 に取られる畏まった距離。

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

設計資料集成より、空間の広がりが 25m 程度までなら、くつろげる空間と感じ、

25m〜140m までなら、巨大な都市的広場と感じる。これより、大規模建築によ る隙間は 25m 以内の空間とする。

例)ホテル、マンションなど

例)住宅など 例)商業施設、公共施設、工場など 例)商業施設、公共施設、工場など

密接距離(0〜45cm)

個体距離(45〜120cm) 社会距離(120〜350cm)

個体距離(45〜120cm)

社会距離(120〜350cm) 公衆距離(350cm〜700cm)

約 0〜350cm が隙間距離 約 0〜700cm が隙間距離

約 0〜350cm が隙間距離 約 0〜120cm が隙間距離

隙間とみなす寸法

都市的な規模に よる隙間

建築的な規模

(大規模建築)

による隙間

建築的な規模

(小規模建築)

による隙間

25m 25m〜140m

分類 プライベート パブリック

3-1-4 隙間的距離

 前ページまでのエドワード・ホールによるパーソナルスペースの分類に対 して、建築の規模を大小2種類、その建築においてプライベート・パブリッ ク空間の2種類にわけ、全4種類の建築空間に分類した。それぞれにエドワー ド・ホールによるパーソナルスペースの距離を当てはめていく。また、建築 設計資料集成より、都市的な規模による空間の広がりに対して人がどのよう に感じるかについてをまとめた。以下に隙間適距離についてまとめた表を示 す。

表 隙間的距離

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コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

3-1-5 定義のまとめ

 建築における隙間について、建築条件・用途条件・人的条件・距離条件を まとめることで定義を確立した。距離条件は前ページにてまとめたので、建 築条件・用途条件・人的条件についてまとめた建築における定義の表を以下 に示す。

表 建築における隙間の定義

建築における隙間の定義

建築条件用途条件人的条件

侵入可能 侵入不可

❶3次元展開において、垂直方向に 2 方向以上囲まれている空間において  その空間がどのような規模であっても H:D≦1:1 の場合。

❷水平方向(上下)によって囲われてできる空間  また、上下方向のみでの空間の場合 H:D≧1:1 とする。

❸ ・人の滞在を促すことが目的として含まれる用途は除く   (隙間が滞在空間になければ良い)

  ・用途を含むピロティ空間は除く(カフェの外部空間・駐車場など)

  ・意図せずに通路や道路として使用されている空間は認めるが、もとより通路や道路と   して作られた空間は隙間空間とは認めない

❶❷および❸を満たしていなければならない。

また6方向を全方向とした時、2方向以上で 囲まれている且、1 方向以上は抜けていなけ ればならない

建築条件の❶または❷を満たし、且つ、6方 向を全方向とした時に1方向以上が空いてい る状態で2方向以上が囲まれている場合のこ とを隙間とする

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28

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案 表 コンバージョン建築における隙間の定義

建築における隙間の定義に加え以下の項目を追加する

・コンバージョンの操作により創出された空間であれば、通路としてくるれた空間やピロティ なども認める

用途条件

3-2 コンバージョン建築における隙間の定義

  建築コンバージョンでは、新旧の対比や調和を表現するために、様々な 手法が使用される。それによって表れた魅力的な隙間を分析するため、コン バージョン建築においてはその特徴が見られる通路やピロティ空間などを隙 間として認める。

 建築における隙間の定義にコンバージョン特有の用途条件を追加すること でコンバージョン建築における隙間の定義を行う。追加の用途条件をいかに 示す。

(29)

29

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

3-3 章結

  空間による人の感じ方をもとに囲われかたや用途による規制を行いなが ら本論における建築の隙間空間を定義するとともにコンバージョン建築にお ける定義を行った。

(30)

4-2 隙間の相関    

4-3 用途による傾向  

4-4 隙間構成手法   

4-5 章結       

(31)

31

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

4-1 対象事例と抽出方法

 第4章では、コンバージョン建築の隙間空間に着目し、種類・機能・発生・

用途の4つの観点を統合した分析を行った後、隙間の種類を元に隙間の構成 手法を抽出する。

 隙間空間やコンバージョン操作を把握することができる 53 事例を、小 林研究室海外コンバージョン調査報告書、建築雑誌や Web 等から収集した。ま た、様々な用途における事例の隙間を分析するために、事例を用途で「公共系 施設」「居住系施設」「オフィス系・商業系施設」「産業系施設」「複合施設」の5 つに分類を行なった。

(32)

32

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案 1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53

Kontich City Hall

Office Conversion in Cascais Tesa 105 Conversion Shoreham Street

Miniature Beijing: the Conversion of No. 28 Dayuan Hu Tong Studio in Arzignano

Veliche Hotel Weekend House Straume Elbphilharmonie Hamburg Paramount House Hotel Tsingpu Yangzhou Retreat 102 The Mill

Interior Rehabilitation Of The Revellín Cube Tai Kwun Centre for Heritage and Art Ashton Old Baths

Antwerp Port House Fukuchiyo Sake Bakery Sjakket Youth Club Neutrabuilding

Gabriela Mistral Cultural Center

Technopole for Industrial Research Shed #19

‘Kanaal’ in Wijnegem Renovation of an old barn The Waterdog

Restoration and adaptation of a 16th century Chapel in Brihuega White House

The Forge Offices and Exhibition Space GP practice

The Mill Sarimanah Office

Roskilde Festival Folk High School

Louviers Music School Rehabilitation and Extension The former school house now houses new apartments EKC

De Producent

The old Seegmuller warehouse Kulturezentrum Haus Witten Arabiakeskus

Ministere de la culture et de la communication Sinebrychoffin panimorakennukset

Musee de l'Orangerie

Bibiliotheek Bijzondere Collectie Universiteit Caixa Forum Madrid

M-Museum Leuven Kraanspoor

Asiatique The Riverfront Convent de Sant Francesc Containers Shop

Centro de Monitorização e Interpretação Ambiental CarriageWorks Contemporary Performing Arts Center The Dairy House

Silos Apartments Jigsaw

2019 2014 2012 2012 2017 2018 2017 2016 2016 2018 2017 2018 2007 2018 2016 2016 2014 2007 2014 2008 2000 年代 2015 2012 2016 2012 2017 2017 2013 2014 2016 2019 2012 2017 2016 2017 2014 1996 1999 2004 1999 2006 2006 2008 2009 2007 2012 2011 2014 2006 2007 2008 2005 2005 町役場

別荘 工業用格納庫 工場 住宅 工場 倉庫 倉庫 倉庫 倉庫 倉庫群 倉庫 要塞

警察署、刑務所 市営浴場 消防署 精米所(倉庫)

工場 工業ビル 防衛省 工場 サイロ、工場 納屋 礼拝堂 礼拝堂 住宅群 製鉄所 納屋 工場 住居

コンクリート工場 修道院 校舎 納屋 チーズ工場 倉庫 邸館 食器工場 百貨店倉庫 ビール醸造所 温室 集合住宅 発電所 大学施設、住居 クレーンレーン 倉庫群 修道院 古民家 穀物貯蔵庫 鉄道工場 牛舎 サイロ 倉庫

サービスハウス オフィス オフィス等 レストラン等 集合住宅、カフェ AMAA のスタジオ ホテル 別荘 文化センター ホテル ホテル 住居 パビリオン 公共スペース等 オフィス 港湾局 ギャラリー

コミュニティーセンター オフィス

複合施設 公共スペース等 博物館スペース等 レストラン オフィス

イベント用多目的スペース コミュニティースペース オフィス、展示スペース オフィス

別荘

デザインスタジオ 学校

音楽学校 集合住宅 住宅 集合住宅 集合住宅

カルチャーセンター ギャラリー等 官庁舎 オフィス 美術館 図書館 文化センター 美術館等 オフィス 商業施設 文化施設 衣料品店 文化施設 アートセンター 別荘

集合住宅 デザインオフィス

No. 事例名 前用途 後用途 転用年

表 分析対象事例

4-1 対象事例と抽出方法

 以下に対象事例を示す。

(33)

33

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案 図 隙間の種類のモデル

No.39

No.1

No.15 No.7

No.48

No.19 No.34

No.9

No.43 膜型

外膜型

挿入型 近接型

積層型 内膜型

溢出型 内部型

削除型

内包型 分化型

近接型 隣接型

4-2 隙間の相関 4-2-1 隙間の種類

 対象事例をコンバージョン操作後の隙間の形成別に種類分けを行なった。

その結果 [ 外膜型 ][ 内膜型 ][ 隣接型 ][ 積層型 ][ 溢出型 ][ 内部型 ][ 内包型 ] [ 分化型 ][ 削除型 ] の9種類へと分類することが可能であった。

(34)

34

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

Ministere de la culture et de la communication

Weekend House Straume

外膜型内膜型

4-2-1 隙間の種類

○膜型

新たな素材や工法により、既存建築を覆うように外壁が配置されている ことや、化粧材が付け加えられていることによって隙間を形成している ものを指す。既存の外壁を保存しつつ新旧の対比を表現するために使用 されることが多い。

新たな素材や工法により、既存建築の内部に新たな壁ないし化粧材が付け 加えられていることによって隙間を形成しているものを指す。既存の外壁 を保存しつつ新旧の対比を表現するために使用されることが多い。

(35)

35

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

Tai Kwun Centre for Heritage and Art

隣接型

Antwerp Port House

積層型

建築ヴォリュームにおいて、既存建築に増築された場合や建築を分 割した場合、隣接棟を渡り廊下によって繋ぐことなどによってそれ らの間に隙間ができる形態を指す。

4-2-1 隙間の種類

○近接型

既存ヴォリュームの上部に増築を行うなどの操作によって隙間を形 成している形態を指す。素材の違いなどで新旧の対比を表現してい る。新旧の間に隙間があることでよりその対比を強調している。

(36)

36

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案 The Waterdog

溢出型

Restoration and adaptation of a 16th century Chapel in Brihuega

内部型

既存ヴォリュームに新規ヴォリュームを挿入する際に隙間を形成する内、

既存ヴォリュームの外部に新規ヴォリュームが溢出している形態を指す。

既存ヴォリュームに新規ヴォリュームを挿入する際に隙間を形成する内、

既存建築内の一部箇所に構造体とともに挿入されているものをさす。

4-2-1 隙間の種類

○挿入型

(37)

37

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

CarriageWorks Contemporary Performing Arts Center

内包型

既存建築の内部に新規ヴォリュームを建築し、その建築自体が独立してい るものを指す。内包型では、既存建築の内壁や床面などと新規のヴォリュー ムの間に隙間を形成することが特徴であり、その隙間空間では回遊性をも つ割合が高い。

4-2-1 隙間の種類

○内包型

(38)

38

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案 De Producent

内包型

既存建築内において、新規の壁を挿入することや吹き抜けを作り出し空間 を分化することで隙間を形成する形態を指す。大空間を分節して空間を形 成する際などに見られることが多い。

4-2-1 隙間の種類

○分化型

(39)

39

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案 De Producent

削除型

既存建築の一部を削り取ることなどにより隙間が形成されている形態を指 す。削除した部分は、そのまま隙間としての空間となる場合や、新たな要 素を入れ込むなどの手法を用いる。

4-2-1 隙間の種類

○削除型

(40)

40

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

大分類 種類 環境機能 緩衝機能 対比機能 動線機能 総計

外膜型 内膜型 積層型 隣接型 溢出型 内部型 膜型

近接型 挿入型

内包型 分化型 削除型 総計

1

1

21 21 39 32 113

1

1 2

2 8

8 6

6 6

7 9

11 13

13 18 38

20 2

2 2

2

3 3

3 3

3 3 3

4 4 4

4 5 5

0

0 0

0 0

0

0 0

0 表 種類と機能

4-2-2 機能と種類

 2-2-3 で抽出した隙間の機能6種類と 4-2-1 にて分類した隙間の種類との 関係性についての分析を行った。以下に種類と機能についての表を作成した。

分析においては、複数の種類や機能をもつ事例があることから、1事例を多 重にカウントしているものがある。

(41)

41

コンバージョン建築の隙間空間に関する分析および設計提案

緩衝機能

膜型 近接型

挿入型

内包型 19%

14%

29%

9%

29%

図 機能と種類の円グラフ

外膜型 内膜型 積層型 隣接型 溢出型 内部型 内包型 分化型 削除型

4-2-2 機能と種類

○緩衝機能と種類

 緩衝機能での特徴としては、そ の機能を担う隙間の種類が少ない ということである。あえて隙間を 開けるという操作を行うことがそ の理由であると考えられる。その ことから、積層型、内包型、隣接 型など、あえて隙間を開けている 種類が高い割合を占めている。

(42)

42

環境機能

分化型 38%

膜型

近接型 挿入型

削除型

14%

19%

5%

10%

9%

5%

外膜型 内膜型 積層型 隣接型 溢出型 内部型 内包型 分化型 削除型

図 機能と種類の円グラフ

4-2-2 機能と種類

○環境機能と種類

 環境機能での特徴としては、隣接 型が高い割合を占めていることであ る。隙間に開口を開けることでより 多くの採光を得ることや換気を行う ことができることが理由の1つであ ろう。その他の種類での満遍なくこ の機能を担っている。

(43)

43 近接型

対比機能

膜型 挿入型

内包型 削除型

28%

15% 23%

8%

8%

5% 3%

10%

外膜型 内膜型 積層型 隣接型 溢出型 内部型 内包型 分化型 削除型

図 機能と種類の円グラフ

4-2-2 機能と種類

○対比機能と種類

 対比機能の特徴としては、最も 多くの種類がこの機能を担ってい ることである。コンバージョンに おいて、新旧の対比は大きな特徴 の1つでありその特徴をより強調 させていることが理由として考え られる。

(44)

44

動線機能

膜型

近接型 挿入型

内包型 分化型

削除型

41%

10%

25%

9%

6%

6% 3%

外膜型 内膜型 積層型 隣接型 溢出型 内部型 内包型 分化型 削除型

図 機能と種類の円グラフ

4-2-2 機能と種類

○動線機能と種類

 動線機能の特徴としては、隣接 型や分化型など、抜けている隙間 が多いことと、内包型や積層型な ど、回遊性があるものなどが高い 割合を占めている。

(45)

45 大分類 種類 機能的 斥力的 両側面 総計

外膜型 内膜型 積層型 隣接型 溢出型 内部型 膜型

近接型 挿入型

内包型 分化型 削除型 総計

0

4

22 37 54 113 0

0

2 2

15 4

14

7 10

22

13 17 38

20 5

3

3 7

3 2 0

6 5 2

4 6 5

0

1 0 1

2

0 3

表 発生と種類

4-2-3 発生との相関

 2-2-4 で抽出した隙間の発生の分析軸と隙間の種類、機能についての分析 を行った。以下には隙間の種類との表を作成した。分析においては、複数の 種類や機能をもつ事例があることから、1事例を多重にカウントしているも のがある。

(46)

46 外膜型 内膜型

積層型 隣接型 溢出型 内部型 内包型 分化型 削除型

近接型 膜型 挿入型

内包型

削除型 分化型

機能的発生

27%

18% 23%

9%

9%

5%

9%

図 発生と種類の円グラフ

4-2-3 発生との相関

○機能的発生と種類

 機能的発生の特徴は、他の発生 と比較して分化型と削除型が多い ことである。これは、それらによっ て作られた隙間が階段やピロティ など、動線的な機能を担うことが 多いからだと推測される。実際、

機能的発生において動線機能が もっとも多いことからも考察でき る。

(47)

47 外膜型 内膜型

積層型 隣接型 溢出型 内部型 内包型 分化型 削除型

膜型

近接型 挿入型

内包型 分化型

斥力的発生

38%

13%

19%

8%

8%

11%

3%

図 発生と種類の円グラフ

4-2-3 発生との相関

○斥力的発生と種類

 斥力的発生では、唯一外膜型が 存在する。これは、既存外壁を保 存し、新規外壁との対比を行なっ ているからであると考察できる。

その他、ヴォリュームの独立性を 示すために近接型に置いても斥力 的発生が高い割合を占めることが 判明した。

(48)

48 外膜型 内膜型

積層型 隣接型 溢出型 内部型 内包型 分化型 削除型

膜型

近接型 挿入型

内包型

両側面発生

41%

18%

28%

5% 4% 4%

図 発生と種類の円グラフ

4-2-3 発生との相関

○両側面発生と種類

両側面発生では、他の発生に比 べて内包型が多いことが特徴であ る。これは、内包型が既存外壁と 新規ヴォリュームを独立させなが ら隙間を有効に機能させているか らである。

(49)

49 環境機能

機能的 斥力的 両側面 総計

緩衝機能 対比機能 動線機能

総計

7 2 5 8 22

8 6 16

7 37

6 13 18 17 54

21 21 39 32 113

4-2-3 発生との相関

○発生と機能

 下表は、隙間の発生と機能についての表である。特徴として、機能的に発 生した隙間は、緩衝機能を持ちにくいということである。理由として、必要 性は低いが良い空間をあえて作り出した隙間であることから、機能的な発生 と相反する考えであることが言えるからである。次に、斥力的に発生した隙 間は対比機能を有することが多いということである。これは、ヴォリューム 自体の独立性を保つという斥力的発生と対比機能がうまく噛み合っているこ とからこのような結果となると言える。

(50)

50

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

図 用途前後関係の棒グラフ 11

11 2

3 2

3

4 5

7

1 1

2 1

産業系施設 公共系施設 居住系施設 オフィス

・商業系施設 用途前後関係

前用途大分類

後用途大分類

複合施設

公共系施設

居住系施設

オフィス・商業系施設

4-3 用途による傾向

 本節では、コンバージョンによる前後の用途についての関係について分析 を行う。以下のグラフより、コンバージョン後の用途はオフィス・商業系施 設が高い割合を占めるが、全体的にバランス良く転用されていることが伺え る。前用途の内訳として、総じて産業系施設が高い割合を占め、産業系施設 の転用に関する汎用性の高さが明らかとなった。

(51)

51

膜型 近接型

挿入型(内部型)

削除型

内包型 分化型 2%

3%

15%

27%

15%

29%

2%

7%

図 産業系施設と隙間の種類の円グラフ

4-3 用途による傾向

 前ページにて前用途として高い汎用性を有することが明らかとなった産業 系施設に着目した。特徴として、内包型が高い割合を占める。これは、産業 系施設の特徴である大空間があることからこのような結果が出たと推測でき る。反対に、大空間が故に、内部空間と同規模のヴォリュームを挿入する挿 入型の割合が低いことが判明した。

(52)

52

図 隙間構成手法

No.2 No.4

No.29

No.16

No.41

No.18

No.31

No.21

No.7

No.47

異なる素材間によって隙間を形成する手法。

異なる素材を使用することによって隙間を際 立たせることが可能となる

既存外壁の外側または内側を囲むように壁な どの要素を配置することによって隙間を形成 する手法

要素をずらすことによって隙間を形成する手 法。新旧や内外での対比を生むことに適して いる

既存建築上部に増築する際などに増築部分を 持ち上げることによって隙間を形成する手 法。隙間は多様な空間となる

既存同士や新築部分などと接続することで隙 間を形成する手法。単一な隙間空間にリズム を生む

既存建築に近接するヴォリュームを配置する 際に、既存と異なる形状のヴォリュームを配 置することで隙間を形成する手法

内部において、小さいまたは複雑な形状のヴォ リュームを配置することで隙間を形成する手法。

内部に多様な一連の空間を生み出す

内部において、既存外壁などを強調するため に新規ヴォリュームとの間に反発力が生まれ ることによって隙間を形成する手法 内部において、新規壁やヴォリュームを配置 することで空間を細かく分割することによっ て隙間を形成する手法

主に既存建築の一部を取り除くことによって 隙間を形成する手法。新たな動線や中間領域 を生み出すことに適している

素材変化

包囲

ずれ

持ち上げ

接続

形状変化

拡散

反発力

分割

切削

手法名 ダイアグラム 事例 詳細

4-4 隙間構成手法

 隙間の種類を元に、10 の隙間構成手法の抽出を行った。これらの手法は、

隙間の種類によって使用頻度の偏りはあるが、様々な種類において構成手法 を活用することが可能である。

(53)

53

4-5 章結

 以上より、隙間の種類・機能・発生・用途の4つの観点から隙間空間にお ける分析を行い、設計手法を抽出することにより隙間空間の傾向とその設計 手法を明らかにした。

(54)

5-2 設計提案  

参照

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