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曳 船 ご 衝 突 責 任 保 瞼
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久木久一 ︑噸
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曳船の行われる場合曳船契約の性質
曳船を続る衝突責任
船舶の衝突と海上保瞼
曳船列各保瞼者の責任
闘 O
船舶が航海をする場合帆船であると汽船であるとを問わす翠猫に航行するのが普通の歌態であるが︑事情に訂つて
は他の船舶を曳行し︑または曳行せられて航海することがある︒そしてまた船舶によりては曳航を︑專業とするものも
あ る ︒ 曳 船 ( 日 o 萄 拶 σq o ℃ 聖 B o お 影 σq ρ 酸 ︒ 巨 o 娼 甥 9 一h 旨 ぼ 酔 ) と は ︑ か く の 如 く ︑ 船 舶 が そ の 動 力 を も つ て 他 の 船 舶 の
/航行を助けまたは他の船﹁舶をけん引する場合をいうのである︒
曳船と衝突費任保瞼
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一178一
・ ・(2)
曳船と衝突貸任保瞼
歴史的に見て︑曳船の最初の形態は海難救助であつたといわれる︒即ち當時においては曳船は海難にょり蓮航不能
ユ に陥つた船舶をして航海をなさしむるために救助の手をさしのべたものに過ぎなかつたのである︒しかし曳船を業と
する曳船事業は近世汽船の焚明せられるに及んで現われたもので帆舶時代には未だ存在しなかつたもののようであ
る︒勿論帆船時代に於ても曳航が行われなかつたというのではない︒即ち帆船が港湾への出入に際しては替力により
曳綱を以て︑あるいは小舟により港内の一定の場所へ曳行したものであり︑また外海で帆船が航進のため風力を利用
し得るに至るまで︑同様な方法による曳航の事實は存在したりである︒とくに船舶を曳行する目的を以て動力を有す
ハ る小船が建造せられ︑これを一の裏業として経螢されるようになつたのは汽船の嚢明以後に膓する︒そして曳船が專
業化して以來︑曳船事業は河川の航行においてもまだ港薄や外海上に於けると同様またはそれ以上に利用されている
のである︒本稿で問題とするのは河川に於ける曳船ではない︒港湾内又はその他の海上に於ける曳船についてである︒
いま曵船が如何なる場合に行われるか︑次にこれをあげてみょう︒
1船舶が海難に遭遇し曳航によりその危瞼より睨出せんとする場合
ロリ2海難に遭遇した船舶が航行の自由を奪われたため︑曳船により修繕港または修繕場所に曳航せられる場合
3船舶が亘艦のため鋏小な場所に於ける操作の不自由より︑曳船を以て離着岸をなしまたは狭隙な通路を航行す
るに曳船を利用する場合
4港濁内碇泊船舶より貨物の積卸しのため︑貨物積載の艀船團を曳航する場合
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5滑岸航海に於て艀船に貨物積載のままこれを曳航して︑本船えの積換費用と手敏を省き積卸しを簡易化せんたあに行われる場合︑
ら
6海流の急な箇所を遡航しまたは危瞼匠域を離脱するために︑特に船舶の速力を増進する目的で補助推進の機能O
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一179一
(3)
を果す爲の曳航の場合.‑
等である︒而してこれ等の場合に於て︑曳船被曳船間に曳船契約が締結される場合と然らざる場合とがある︒ここに
問題となるのは救助のために行われる曳船である︒既に述べたように曳船の初期に於ける曵船行爲は救助のためにな
ノ
されたものであるかち︑後に曳船契約が行われるようになつても︑それは海難救助であるか果たまた曳船契約の履行であるかについて孚いを生じ︑この匠別を明確にする必要があつた︒殊に公海上に於いて海難に遭遇せる船舶の救助
/ノ お の一般的形態は︑その船舶を修繕し得る避難港への曳船であるから︒
明白な契約なくして遭難船舶が曳航された場合に︑それが海難救助となるかまたは輩なる曳船行爲となるかについ
ては︑菊なΦ害氏は︑裁判所はその曳航が曳船に何等の危瞼を齎らさない限り︑遭難船の曳航を海難救助と認めるこ
とを哺般に拒絶しているが︑それは曳船がこの場合には事實その本來の職務を執行したに過ぎないからであるとしてぞ タいる︒然しながら︑曳航の當時被曳船舶が危瞼歌態にあつたことを少ぐとも必要とする限りに於いて︑海難救助である
へ と考えて差し支えなく︑曳船必しも危瞼歌態にあることを必要としないとのO鎚ぐ霞氏の読は要當であろう︒
弱首霞昌氏は孜の二つの場合は海難救助であるとしている︒即ち︑第一に曳航中坐礁した被曳船舶の引き卸し及び
焚生する火災の消火に際しての救援であり︑第二は曳航が曳船に危瞼を胃かさせて行わるる場合である︒まことにそ
の通りであつて︑只第二の場合に偶々曳航中荒天に遭遇したために異常の帥労力や費用を要したからといつて︑これを
以て直ちに海難救助と認むることは出來ないと思われる︒要するに︑いわゆる曳船と海遭救助との麗別の要鮎は︑前
者は曳航そのことが曳船の目的であるに反し︑後者は遭難船舶の救出が目的で曳航はそのための手段たるに過ぎない
というととである︒また学者は爾者置別の要鮎どして曳船行爲は契約に基くものであるが海難救助は然らすとなす
も︑海難救助もまた契約により行わるること即ちω呂≦σQΦ8暮峯9が行われ︑男oo霞ρ謬o娼曙で救助料を特約
曳船と衝突費任保瞼
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一180一
曳船と衝,突費任保険・
されるごとがある︒したがつて必すしもこうした基準によることは出來ないけれども︑所謂曳船にして契約に基かナ
して行われるこ乏なくまた海難救助は契約に基かすして行われることが多いということができる︒
斯くて所謂曳船と救助との匿別の實釜は︑この爾者は法律上それぞれ異りたる關係にあり︑その報酬の職に於ても
ハき
著 し き 差 異 が あ る の で あ る が ︑ 本 稿 の 目 的 よ り す れ ば ︑ 所 謂 曳 船 と 救 助 の 爲 の 曳 船 と を 一 括 し て 曳 船 行 爲 と し て 論 す
る 要 が あ る の で ︑ そ の 腿 別 の 實 釜 は 曳 船 行 爲 の 性 質 が 曳 船 及 び 被 曳 船 と の 間 の 關 係 に 至 大 の 影 響 が あ り ︑ ひ い て は 保
瞼 者 の 責 任 に 影 響 し て く る か ら で あ る ︒
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6小町谷操三博士︑海商法研究六巻︒海難救助の要件一〇一頁︒
7同第一巻︑挽船契約論六三頁︒
8山戸嘉一博士︑船舶衝突論一八七頁︒
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(4)
事實上の曳船行爲は︑法律的にはこれを曳船契約と海難救助の二つにわけて考えることができる︒この置別は︑既
に述べた如く︑船舶の曳航中に獲生した衝突に封する責任餓属に關して重要な意義をもつものであるとと'もに︑曳船
契約が法律上いかなる性質のものであるかを検討することはh同様に曳船被曳船間の關係を決定して衝突責任の錦趨
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̲181一
(5)
を定めるものであり︑また曳船列が第三船と衝突せる際の責任の騰島についても︑第三船にとつては曳船契約は曳船
當事者間の問題にしてその契約を以て第三者に封抗し得ざるものであるから︑第三者にとつては何等關係のな噸もの
であるとして︑第三者たる他船々主の周知し得ざるところと簡輩に片付けることは田來ないのヤある︒第三船の船主
といえども曳船契約により曳船被曳船間に創造せられた事實上の關係はこれを認あざるを得ないのである︒というの
は曳船契約によつて定まりたる指揮監督ならびに服從の關係は︑契約當事者たる曳船被曳船の行動の上に當然に影響
りゆし︑この關係が爾者間の責任關係を定めるものであるからである︒したがつて今日曳船被曳船間並に曳船列と他の第
三船との衝突の際に於ける不法行爲上の責任の錦属については︑この指揮監督椹の所在を明かにすることが必要とな
つてくるのである︒今左に曳船契約は法律上如何なる性質であるかについて︑一鷹の槍討を加えて見る必要がある︒
曳船契約の性質については諸読がある.第一に曳船契約を以て蓮邊契約であると見る論である︒即ち曳船は被曳船
を指揮するものであり︑その曳航せられる船舶は曳船の操作に從う無生の船膿に過ぎない︒船舶による蓮逡に於て
は︑蓮逡の目的物は必しも船舶内にあることを必要としないからである︒勿論曳航せられる船舶が何等の自己推進を
行うための動力をも有せす︑その固有の船員をも有たないものであるならばこの読は成り立つと思う︒例えば海上に
ある破船の曳行の場合の如きである︒また艀船曳船の場合のように︑被曳船自盟に多少の濁立性はあつても︑曳船者
にこれを委ね一地鮎から他の地鮎にこれを届ける場合には︑その曳船契約は蓮邊契約たるの性質を失わない︒破曳船
が自らの舵によりその前進を規正し固有の船員を有するということは契約の性質を愛えるものであるというが︑陸上
蓮逡にも同様なことがある︒例えば︑襲逡人がその自己の有する貨車に動物を積込み輸逡する場合その動物を世話す
ハ るために自已の使用人を乗込ましているようなもので︑それは依然として蓮逡契約たるを妨げないのである︒かくて
曳船契約が蓮逡契約たる場合に於ける曳船指揮権の所在は曳船にあるのであつて︑即ち蓮邊の場合は運逡の目的物が
,曳船と衝突費任保瞼ダ
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一182 ,一一
(6)
曳 船 と 衝 突 費 任 保 険
ら運逡人に引渡され保管監督の下に蓮途せられるものだからである︒然しながら︑曳船が普通の形態の場合に於ては︑
必すしも被曳船が曳船に引渡され蓮航されるものではない︒寧ろこうした場合が多いのである︒その場合には曳船契
約を以て蓮逡契約なりとはいうことは出來ぬ︒そこで吹に雇傭契約読が生れる︒
第二に曳船契約を以て雇傭契約であるとするのは︑被曳船は輩に動力のみを雇入れるのであつて︑被曳船それ自艦
には舵もあり︑少くともこれを操作する船員は持つている︒只被曳船に欠けているのは推進力丈であり︑被曳船が推
進機械を買入れる代りに︑之を雇入れるのであり︑その機械が船舶内にあろうとまた他の船舶上にあろうと問題では
バリこない︒故に曳船は無生の動産の輸逡ではない︑動力の借入れであり動力の附加である︒また被曳船は完全にそ.の個性
(H昌動才峯部箪羅①)を失つたというのは正しくない︒確かに被曳船の地位は從馬的であるが︑それは二隻の船舶にりい
て一方が他方に封する關係に於てである︒しかし自己推進を行わぬからといつて︑その爲の一切の行動を有しないと
いうのではない︒船員もあれば舵もあり蓮航の機能を備えている︒被曳船が曳航に結びつけられているので蓮航の自
由はないとはい乏︑これを曳航する船舶から猫立せる行動はとり得る︒この黙に於て被曳船は運逡の目的物ではない
ハヨ
の で あ る ︒ 曳 船 は 被 曳 船 に 雇 わ れ て い る の で あ り 3 コ︒ o 昌 の 霞 く ざ o ) ︑ 曳 船 の 船 長 は 被 曳 船 の 使 用 人 ( b 臣 b o q︒ o ) で あ
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る と し て ︑ 從 つ て 曳 船 契 約 を 以 て 雇 傭 契 約 ( 8 0 § 鴨 自 o ︒︒ ︒ 暑 ざ 霧 ) な り と す る の で あ る ︒ か く て 曳 船 契 約 を 雇 傭 契
ぞげ約と見るならば︑曳船列の指揮監督権は當然被曳船にあらねばならぬ︒
第三に曳船契約を以て軍純な講負契約であるとする読である︒即ち︑曳船契約の目的は軍なる動力の供給勢務の提
供にあるのではなくて︑被曳船舶を一地窯から他の地鮎に迄曳行することであつて︑その目的の完成に封し報酬が支佛
われるれるので︑提供される動力や勢務そのものに封して報酬が支彿われる雇傭契約とは︑これを置別せんとするので
ある︒曳船業者は他の船舶即ち被曳船の爲に定められた一定の業務を行う爲に猫立して作業するところの被用者であ 喫
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