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共生基盤学専攻 食品安全・機能性開発学講座 胃腸内圏微生物学 小山 遥

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2020年27

ラフィノース摂取による腸内細菌叢の改変を介した デオキシコール酸生成抑制効果の解明

共生基盤学専攻 食品安全・機能性開発学講座 胃腸内圏微生物学 小山 遥

1. 背景と目的

近年,高脂肪食摂取によるメタボリックシンドローム発症の要因のひとつとして,腸内細菌叢の 崩壊が注目されている。我々は高脂肪食摂取による菌叢崩壊の要因として,胆汁酸に着目して研究 を進めている。胆汁酸は肝臓でコレステロールから合成され,脂質の消化吸収に寄与する。消化管 に分泌された胆汁酸の一部は大腸に流入して,さまざまな腸内細菌による変換反応を受ける。ヒト の主要な一次胆汁酸であるコール酸 (CA) は,大腸に存在する

Clostridium

属の限られた菌種によっ て強い殺菌作用を持つデオキシコール酸 (DCA) へと変換され,

DCA

が示す高い殺菌活性や細胞毒 性が選択圧となり,腸内で菌叢変化が起こる機構が知られている。しかしながら,腸内細菌叢にお ける

DCA

生成の機構や他菌種との相互作用については未だ不明な点が多い。そこで本研究では,

ラットへ

CA

および機能性糖質の一つであるラフィノースを摂取させ,ラフィノースによる

DCA

生成の抑制効果を検証し,そのメカニズムを解明することを目的として実験を行った。

2. 方法

【飼育試験

1】3

週齢の

Wistar/Slc

雄性ラットを

2

週間の予備飼育後,基本飼料の

AIN-93G

を与え る

Control

群,

0.05%CA

添加食

(CA)

群,

3%ラフィノース添加食 (Raf)

群,

0.05%CA+3%ラフィノ

ース添加食 (CR) 群に分け,4 週間の本飼育試験を実施した。

【飼育試験

2】

飼育試験

1

と同様のラットを

6

日間の予備飼育後,

Control

群と

Raf

群の

2

群に分け,

2

週間飼育した。その後,各群を

CA

添加の有無によってさらに

2

群に分け,最終的に飼育試験

1

と同様に,Control 群,CA 群,Raf 群,CR 群の

4

群を設定し,4 週間の本飼育試験を実施した。

【解析項目】解剖時に盲腸内容物を採取し,pH を測定した。その後,盲腸内容物を

LC-ESI/MS

に よる胆汁酸組成分析,および

16S rRNA

遺伝子の

V3-V4

領域を標的とした

Illumina MiSeq

によるメ タ

16S

菌叢解析に供した。また有機酸分析を行い,ラフィノース摂取による盲腸内発酵への影響を 解析した。さらに本飼育期間中に採取した糞便を用いて,経時的な胆汁酸排出量の変化を測定した。

3.結果と考察

飼育試験

1,2

ともに,ラフィノースの摂取により盲腸内容物中

pH

が有意に低下したことから,

盲腸内発酵が亢進したと考えられた。またメタ

16S

菌叢解析では,盲腸内容物中の

Actinobacteria

門の増加,Firmicutes 門の減少が観察された。胆汁酸組成分析の結果,CA 群で

Control

群と比較し て

DCA

濃度が増加していた。しかしながら【飼育試験

1】では,ラフィノース摂取により盲腸内

容物

DCA

濃度は抑制されなかった。一方,

CA

負荷よりも先にラフィノースを与え,ラフィノース への飼料馴化期間を設けた【飼育試験

2】では,盲腸内容物・糞便ともに,ラフィノース摂取によ

DCA

濃度が抑制された。また糞便への胆汁酸排出量は増加していなかった。有機酸分析の結果,

ラフィノースの摂取により,盲腸内容物中のコハク酸や酢酸が特徴的に増加していた。

以上より,ラフィノースの摂取により,盲腸内での発酵促進と短鎖脂肪酸組成の変化,門レベル

での菌叢変化が生じることが明らかとなった。加えて,ラフィノースの先行摂取による盲腸内

DCA

濃度の低下は,糞便中への胆汁酸排出の促進によるものではなく,盲腸内での

DCA

生成菌の減少

あるいは

DCA

生成活性の低下などによるものであることが示唆された。

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