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高脂肪食またはコール酸摂取マウス腸内における

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,202027

高脂肪食またはコール酸摂取マウス腸内における

胆汁酸組成および細菌叢構成の比較解析による胆汁酸仮説の検証

共生基盤学専攻 食品安全・機能性開発学講座 胃腸内圏微生物学 坂本 佳奈子

1.背景と目的

近年,高脂肪食の過剰摂取が腸内細菌叢の構成バランスを崩壊させ,このことが肥満やメタボ リックシンドロームの発症に寄与すると考えられているが,高脂肪食による細菌叢構成の崩壊機 構には不明な点が多い。我々はこの機構に関わる因子として,脂質の消化・吸収を補助し,かつ 高い抗菌活性を有する胆汁酸に着目し,胆汁酸が高脂肪食摂取時における細菌叢変化の要因の一 つであるとする「胆汁酸仮説」を提唱した。これまでに,高脂肪食またはヒトの主要な胆汁酸で あるコール酸 (CA) を摂取させたラットにおいて,総胆汁酸濃度および抗菌活性の高いデオキシ コール酸 (DCA) 濃度の増加と,Firmicutes門の増加やBacteroidetes門の減少といった細菌叢構成 の変化を観察し,胆汁酸仮説を支持する結果を得ている。しかしながら,ラットはヒトやマウス と異なり,胆汁の貯蔵および濃縮を担う胆嚢を持たないため,胆汁酸分泌の挙動が異なる可能性 がある。そこで本研究では,マウスを用いて同様に高脂肪食またはコール酸を摂取させ,盲腸内 の胆汁酸濃度および細菌叢構成を比較することで,マウスでの胆汁酸仮説の検証を目的とした。

2.方法

8週齢のC57BL/6J雄性マウスを2週間予備飼育した後,通常食(ResearchDietD12450J, 脂質 10 kcal%)と純水を与えるControl群,高脂肪食(同社D12492,脂質60 kcal%)と純水を与えるHF 群,通常食と0.1% (w/v) CA添加水を与える0.1% CA群,通常食と0.2% (w/v) CA添加水を与える 0.2% CA群の計4群に分け,8週間飼育した(各群n = 12)。解剖時に盲腸内容物を採取し,LC/ESI- MSによる胆汁酸組成分析,および16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を標的としたIllumina MiSeq よるメタ 16S菌叢解析に供した。さらに,97%の配列類似度に従ってOTU (Operational Taxonomic

Unit) に分類し,総胆汁酸濃度と各OTUの存在比との相関解析を行った。

3.結果と考察

HF群では,Control群と比較して総胆汁酸濃度およびDCA濃度が増加した。また,Firmicutes 門の増加やActinobacteria門の減少といった細菌叢構成の変化が観察された。同様に,0.1%および

0.2% CA群においても,胆汁酸濃度の増加と細菌叢構成の変化が観察され,特に0.1% CA群で

は,HF群と同程度の胆汁酸濃度の増加を示した。さらに,盲腸内細菌叢で高脂肪食摂取により増 加した胆汁酸の影響を受けた細菌種の占める割合を調べるため,HF群と0.1% CA群について比較 解析を行った。その結果,HF群において有意に増減または総胆汁酸濃度と有意に相関したOTU の存在比は合計74.9%,そのうち0.1% CA群においても増減または相関したOTUは合計28.4%で あった。有意な増加または総胆汁酸濃度と正の相関を示したOTUはいずれもFirmicutes門に属す る細菌で,有意な減少または総胆汁酸濃度と負の相関を示したOTUにはFirmicutes門に加え,

Actinobacteria門やBacteroidetes門に属する細菌が含まれていた。

以上より,高脂肪食摂取マウスとコール酸摂取マウスの両マウス盲腸内において,胆汁酸濃度 の増加と細菌叢構成の変化が観察された。また,高脂肪食摂取の影響を受けた約70%の腸内細菌 のうち,その4割である約30%が高脂肪食摂取により増加する胆汁酸の影響を受け,腸内細菌叢 中で増加・減少を示したと考えられた。したがって,マウスにおいても,胆汁酸が高脂肪食摂取 時における細菌叢変化の要因の一つであるとする胆汁酸仮説が成立することが明らかになった。

参照

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