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払h t拙祓t− 0れ  

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

熱ルミネッセンス法による布留遺跡並に服部遺跡出 土土器の年代測定

著者 市川 米太, 長友 恒人, 正司 富輝子

雑誌名 古文化財教育研究報告

3

ページ 1‑6

発行年 1974‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10105/362

(2)

熱ルミネッセンス法による布留遺跡並に  

服部遺跡出土土器の年代測定  

市 川 米 太・長 友 垣 人・正 司 富輝子  

(奈良教育大学 物理学教室)  

緒   呂  

熱ルミネッセンスとは、結晶が熟せられた時に超こる発光現象であり、この現象については、過   去数百年の間、Robert氏などによって研究されてきた。しかしこの現象が実際年代測定方法と  

して応用されはじめだしたのは、ほんの十数年前である。この熱ルミネッセンス年代測定方法(T   L測定方法)が研究され始めた背景には、Libbyによる放射性炭素法のような理学的測定方法に   おけるデータの信癌性の問題解決が含まれていた。一般に理学的年代測定方法は、数多くの仮説の   上に立っている為、誤差という問題が、一番重要視されるのである。この解決方法として、理学的   測定方法そのものの原理究明はもちろんのことだが、単一の測定方法では限りがあるため、根本的   に臭った原理の上に立つ年代測定方法を朗発し、単一資料を二つ以上の方法で測定することが一番   望ましいと考えられる。TL測定方法は、その為に研究され始めたものであるが、それ以上にTL   測定方法は、土器に含まれている結晶を試料とする為に、土器の年代を直接測定出来る利点を持っ   ている。TL測定方法はDanielsによって提案され、古代の土器の年代測定にはじめて応用した  

のは、Grogler,Kennedyであった。その後、この研究は、AitkeIITite,Ichikawa,  

Ralph,Fleming,Zirmlermanなどによってさらに推し進められた。その結果、このTL   測定方法では、一応±10%の誤差で年代を決定することが出来るようになった。今後、さらに±  

5労の誤差まで改良していくことが望ましいとされているが、これがこのTL測定方法での誤差の   限界であるとされている。今回の実験は、奈良県天理市の布留遺跡の縄文後期、古墳時代の土器9   片と、鳥取県倉吉市の服部追跡の古墳時代の土器6片について、TL年代測定を行った。   

原   理   

結晶が放射線による強い刺激を受けると、価電子帯にあった電子が励起し、伝導帯までジャンプ   した後、結晶中を移動し、その一部は結晶生成時の損傷や不純物原子の存在による格子欠陥に捕獲   される。こうした電子の捕獲状態は準安定状態であり、結晶が熟せられた時、熱的刺激を受けたこ  

−1−   

(3)

れらの電子は、捕獲状態から解放されて、再び伝導帯に励起された後に、光を放ってルミネッセ   ンスセンターと再結合する。この現象が放射熱ルミネッセンスと呼ぶものである。   

この現象においては、捕獲電子が充分安定な状態にあるものとすると、結晶を熱した時の熱発   光量Ⅰは、その原因である捕獲電子の数に比例し、捕獲電子の数は、その原因である放射線量D  

に比例する。すなわちⅠ=KDとなる。このことから、熱発光量を測定して、それよりその結晶  

が受けてきた放射線量を測定することが出来るわけである。   

土器は粘土の中に、長石・石英などの結晶を含んでおり、土器を加熱した時発光するのは、主   にこれらの結晶である。発光の原因である放射線の源は、周蹄の土及び土器の粘土中にある放射  

性物質(U・Th・K−40)と宇宙線である。結晶は結晶生成以来地質年代にわたってこれら   の放射線を受けてきているが、土器の焼成時に750℃以上の温度に加熱されるのでそれ以前の   放射線の効果は零と考えられるので、今日発掘された土器中の結晶には、土券が作られた暗から   たまりはじめた放射線が、蓄積されていると考えてよい。   

土器の1年あたりの吸収線量をRとすると、土器中の結晶の吸収した線量Dは、D=Rtで示   される。(tは焼成時以来の土器の年齢を示すものである)   

線量Dは土器中の結晶の熱発光量を測定し、そのあとさらに同じ結晶に既知の線量を鼎射して  

その熱発光量を求め、この両者の比較によって求めることが出来る。   

次に年間線量Rの評価であるが、これはTL年代測定において最も問題となるところであって、  

この測定法の精度を大きく左右するものである。図1はU8ppm,Th12Ppm,K−401   浄の濃度の土中に埋められた土器の1年間に受ける平均的な放射線量である。  

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(4)

この裏から考えてみると、年間線量の大部分はα線であると考れられる。しかしながら実際T   Lに寄与する効率は、α線はβ線、T線に比べて%〜宛程度しかないことが実験的に証明されて  

いる。  

又Ⅰ図からもわかるように、α線の透過   力は平均28/上m程の弱いもので、直径   

100〝m位の結晶では、α線は、ごく表   面にしか影響を与えていないわけである。  

それ故に、このTL寄与の少ないα線をカ    ットして、β線とγ線の寄与だけを考えて   実験を行う方法が研究されたのである。こ   れが今回、この研究室でも使用した、1argl.  

grain methodと言われるものである。   

この方法による年間線量は、熱ルミネッセ  

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旦   で 

久\  

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ソス線量計を用いて求めることが出来る。  

CaSO4・に希土類元素(Tm)を不純物として加え、非常に感度の良い線量計が松下電器、中   央研において開発された。この結晶を試料と同じ粒度に飾い分けして、土器から得た粘土及び土   器が埋っていた回りの土の中に埋め込み、約30〜50日間放置した後取り出して、その熱発光   量を測定しそれから年間線量を求めるものである。  

したがってTL年代は  

蓄積放射線量  

TL年代  

となる。  

年間線量  

なおα線カットの方法は実験の項で説明を行なう。   

実  験  

試料は天理市布留遺跡から出土した土器9片と鳥取県倉吉市の服部遺跡から出土した土器6片   の計15片である。考古学的年代区分は、縄文後期と古墳時代のものである。試料にはそれぞれ   番号を1.2.‥‥とつけておく。   

1)試 料 調 整   

①土器の表面を0・2〜0・3仰の厚さにわたって、剥離する。②万力によって土器中の石英  

−3−   

(5)

・長石を砕かないように注意しながら粉砕する。その後メノウの乳鉢で静かに粉砕する。 ④   28以上、200メッシュ以下の粒度を除去し、残りを熱発光量測定試料とする。 ④この試   料を水及びアルコールで洗浄する。 ㊥その後、HCl(10労)、HF(10%)で1分間、   

3分間、酸処理をする。 ㊥試料を乾燥した後、電磁分離機で無色の非磁性鉱物(石英・長石)   

と有色鉱物とに分離し、無色鉱物を試料とする。  

(HFで酸処理を行うことは、結晶の表面をエッチングして、表面付近にしか影響を与えてい    ないα線の寄与を除去したのである)  

2)蓄積放射線量の測定   

上記の調整を行  った各試料を2等分し、一方はそのまま熱発光量を測定し、他方は500R    あるいは1000RのCo−60によるγ線照射した後、熱発光量を測定した。以下その結果    の一部を図示しておく。  

/T\  

発 光 感 度  

発 光 強 度  

温   度   温   度  

A)天然試料 B)500R照射試料   A)天然試料 B)500R照射試料  

天 理  

発 光 強 度   発 光 強 度  

温   度(OC)   温   度(OC)  

(6)

発 光 強 度  

温   度(℃)  

A)天然試料 B)500R照射試料  

温   度(OC)  

A)天然試料 B)500R照射試料  

倉 吉(5)  

発 光 強 度   発 光 強 度  

温   度(℃)  

A)天然試料 B)1000R照射試料  

温   度(℃)  

A)天然試料 B)500R照射試料   

これらの発光曲線から蓄積線量を測定するわけだが、低温部はdecay effect が大きいの    で、各温度について、それぞれ天然試料の発光強度と、照射試料の発光強度の比をとって、安定部    を探し出し、その部分を使用した。   

8)年間線量の測定   

土器を粉砕したものの内、蓄積放射線量の測定に使用しなかったものを、すべて200メッシ    ュ以下に粉砕してビニール袋に入れ、CaSO4:Tmを300呼程同じようにビニール袋に入   れたものをその中に入れて、厚さ3珊〜5仰の鉛箱の中に50日間埋め込んでおく。CaSO4:   

Tmをビニール袋に入れることによって、α線をカットしているのであって、HFで結晶を エ    ッチングして蓄積線量を求めた場合に対応した土器内からの放射線の年間線量測定に、利用して   

いる。  

−5−   

(7)

次に回りの土からのγ線も、同じように、CaSO4:Tmをビニール袋に入れ、それを厚   さ2仰の銅板に包み、布留遺跡の土と、服部遺跡の土の中に、50日間埋め込んでおく、しか  

し半径7仰の土の球の中心においた試料では全γ線量の50珍しかγ線を受けないが、半径30   仰 の球では全線量の959らの11線を受ける。今回は得られた遺跡の土の量が少なかったので、  

回りをγ線の少ない砂で捕って実扱を行った。   

結果   

今回の実験の結果を表1並に表2に示す。  

表1布留遺跡出土土器のTL年代測定結果  

資  

料  蓄積線量R  土からの T線    土器内の β線  宇宙線  総年間線量  TL年代  年  代   

縄文式土器    49 2  0.12 7    0.0 4 9  0.016  0.19 2  2 5 6 3  B.C.589   

縄文式土器    48 7  0.12 7  0.0 70   0.016  0.213  22 86  B.C.312    土師器1    3 4− 2  0.12 7  0.071   0.016  0.214,  15 9 8  A.D.876   

土師器2    3 5 8  0.12 7  0.0 6 9   0.016  0.212  16 9 0  A.D.283    土師器3    3 51  0.12 7  0.0 71   0.016  0.214  16 4●2  A.D.331    土師器4    3 7 5  0.12 7  0.0 8 7   0.016  0.2 3 0  16 3 0  A.D.34.3    土師器5    3 8 7  0.12 ワ  0.0 8 8   0.016  0.2 31  16 7 5  A.D.298   

土師器6    3 5 0  0.12 7  0.0 8 2   0.016  0.22 5  15 5 6  A.D.417    土師器7    3 8 9  0.12 7  0.0 7 4   0.016  0.217  17 00  A.D.273   

表2 服部遺跡出土土器のTL年代測定結果  

資  

料  蓄積線量R  土からの γ線  土器内の β線  宇宙線  総年間線量  TL年代  年  代   

土師器皿    2 7 5  0.09 2  0.06 4■  0.016  0.17 2  15 9 8  A.D.375   

土師器カメ    3 01  0.0 9 2  0.0 8 9  0.016  0.19 7  15 2 7  A.D.447   

土師器ツボ    2 7 7  0.0 9 2  0.0 9 2  0.016  0.2 00  148 5  A.D.489   

土師器台    3 0 2  0.0 9 2  0.0 81  0.016  0.19 5  15 48  A.D.426   

土師器カメ   

27 8  0.0 92  0.0 64  0.016  0.17 2  1816  A.D.357   

土師器カメ    28 6  0.0 9 2  0.081  0.016  0.18 9  1513  A.D.461   

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