4 第 2 章 Z34C ペプチドを用いた IgG 抗体修飾法(CCAP-Z34C 法
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(2) 親和性ペプチドを用いた部位特異的 IgG 抗体修飾法による免疫測定法の開発 Development of Immunoassay by Site-specific Chemical Conjugation of IgG Antibodies Using Affinity Peptide. 2020 年 9 月 鹿児島大学大学院理工学研究科 博士後期課程総合理工学専攻. 森 怜香.
(3)
(4) 目次 要旨 ......................................................................................................................................... 1 第 1 章 研究背景................................................................................................................... 4 第 2 章 Z34C ペプチドを用いた IgG 抗体修飾法(CCAP-Z34C 法).............................. 15 2-1. 緒言 ........................................................................................................................... 15 2-2. 実験方法.................................................................................................................... 18 2-3. 実験結果.................................................................................................................... 21 2-4. まとめと考察 ............................................................................................................ 38 第 3 章 Z34C ペプチドの Z33 型への改変(CCAP-Z33 法) ........................................... 40 3-1. 緒言 ........................................................................................................................... 40 3-2. 実験方法.................................................................................................................... 41 3-3. 実験結果.................................................................................................................... 44 3-4. まとめと考察 ............................................................................................................ 64 第 4 章 CCAP 法の免疫測定法への応用 ............................................................................ 66 4-1. 緒言 ........................................................................................................................... 66 4-2. 実験方法.................................................................................................................... 67 4-3. 実験結果 .................................................................................................................. 69 4-4. まとめと考察 ............................................................................................................ 90 第 5 章 総括・今後の展望 .................................................................................................. 93 参考文献 ............................................................................................................................... 95 謝辞 ....................................................................................................................................... 99.
(5) 要旨 免疫測定法は抗原抗体反応を利用して、抗原あるいは抗体を検出・定量する方法の総称 である。抗原と抗体の反応は、特異的で結合の親和力が大きいため、免疫測定法を用いる ことでごく微量の目的物質をきわめて特異的に、容易に測定することができる。この特徴 から、免疫測定法は体外診断用医薬品(以下、体外診断薬)等に活用され、疾病の診断等 に用いられている。体外診断薬の感度を上昇させることができれば、より早期な疾病の発 見につながる他、より侵襲性の低い検体採取方法に切り替えが可能となる場合もあり、医 療の発展や人々の QOL 向上につながると考えられる。. 当研究室では、先行研究として、ヒト IgG に対して部位特異的に結合するペプチド (IgG-BP) を介した抗体修飾法である CCAP 法 (chemical conjugation by affinity peptide) を報告した。本研究では、免疫測定法における抗体の固定化に CCAP 法を活用し、免疫測 定法の高感度化を目指した。 免疫測定法にはマウスやウサギ、ラット等を宿主とする抗体が用いられることが多いが、 先行研究で用いた IgG-BP はマウスやラットの抗体には結合能を持たないため、これらの抗 体の修飾に用いることはできなかった。そこで、本研究ではまず、マウス抗体の部位特異 的修飾法の開発に取り組んだ。先行研究である IgG-BP を用いた CCAP 法を基に、ヒトだ けでなくマウス抗体にも結合能を持つ protein A の B-domain 由来のペプチド Z34C を用い た抗体修飾法を検討した。 その結果、 Z34C の改変型である 3 種のペプチド(αZ34C、 εZ34C、 α-1Z34C)を介して、ヒト IgG およびマウス IgG の部位特異的修飾が可能であることを確 認した。この方法は、先行研究と同じく、室温下かつ水溶液中で進行する反応であり、非 天然アミノ酸導入等の抗体工学的操作も必要なく、様々な IgG に対して利用可能な反応方 法である。 次に、産業利用を念頭に置き、修飾に用いるペプチドの改良を行った。本研究で作製し た 3 種の Z34C ペプチドには、2 つの Cys と 1 つのアジ基が含まれており、合成ペプチド の収率が低下する傾向があった。さらに、試薬調製の際、分子内に含まれる 2 つの Cys の 間にジスルフィド結合を形成してペプチドを環状構造にする工程が必要であった。これら の課題を改善したペプチド Z33 を構築し、IgG への修飾率が Z34C を用いた場合と同等で あることを確かめた。Z33 にて修飾を行った抗体の抗原親和性を ELISA 法または SPR 法 1.
(6) にて測定した。その結果、抗体修飾法に従来法を用いた場合に比べて CCAP 法を用いた場 合、抗原親和性の低下が小さくなる傾向がみられた。 Z33 ペプチドを介した CCAP 法を用いて、免疫測定法への応用を試みた。本研究では、 免疫測定法の中で最も一般的に使用される ELISA 法(enzyme-linked immunosorbent assay)と、体外診断薬の試薬形態として一般的に用いられるラテックス凝集系の 2 種類の 免疫測定法を用いて、従来法であるランダムアミンカップリング法と CCAP 法の比較を行 った。特にラテックス凝集系において、従来法を用いた場合に比べて CCAP 法を用いた場 方が、高い感度で測定を行うことができた。以上の結果より、①抗体修飾時の抗原親和性 の維持、②固定化抗体の配向性の向上 の 2 点の理由から、CCAP 法を用いた場合に免疫 測定法の高感度化が可能になったと考えられる。. 以上より、本研究において、抗体の修飾方法および固定化方法の改良を行うことで、免 疫測定法の高感度化に成功し、CCAP 法が優れた分子修飾法であることが示された。CCAP 法を用いることで、現行の抗体固定化法に比べ、抗体の性能を活かした固定化を行うこと ができると考えられる。本研究にて得た知見をさらに発展させることで、抗体分子の産業 利用の幅が広がり、医療の発展や人々の QOL 向上につながることが期待される。. 2.
(7) 第1章 研究背景. 3.
(8) 第1章. 研究背景. 1-1. 抗体について 抗体(免疫グロブリン)は身体の感染防御を担う免疫系を構成する分子のひとつである。 抗体には IgM、IgD、IgG、IgE、IgA など、いくつかのイソタイプが存在し、このうち血 清中に最も多量に存在するのが IgG である。 IgG にはさらにいくつかのサブクラスがあり、 ヒトの場合は IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、マウスの場合は IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3 がある。IgG は H 鎖(Heavy chain)と L 鎖(Light chain)から構成されており、抗原認 識部位(VH、VL)と定常領域(CH1、CH2、CH3、CL)に分けられる。分子量はおよそ 150 kDa である(図 1-1) 。抗体は、抗原認識部位の多様性が高く、様々な抗原に高い特異 性および高い親和性で結合することが可能である 1。 ハイブリドーマ技術の確立により抗体を多量に生産することが可能になる 2 と、特異的か つ高い親和力で抗原を認識することができる抗体は、医薬品や研究用試薬など、様々な用 途に利用されていった。. 図 1-1. IgG の基本構造. 4.
(9) 1-2. 体外診断薬に用いられる免疫測定法とその課題 体外診断用医薬品(以下、体外診断薬)とは、疾病の診断に使用されることを目的とし、 身体に直接使用はされず、ヒトに由来する試料を検体として、検体中の物質を検出したり 測定するものである。健康診断におけるスクリーニング検査や確定診断の他、病気の進行 度の確認や診療方針の選択等にも用いられる。体外診断薬の感度を高めることで、より少 量の検体からの診断や、より早期の診断が可能になると考えられる。体外診断薬には、抗 体を用いた様々な免疫測定法が利用されている 3。図 1-2 に体外診断薬に用いられる免疫測 定法の代表例を示す。これらの免疫測定法の感度を高めることが、体外診断薬の高感度化 につながる。 このような免疫測定法では、材料表面に抗体分子を固定化して使用するケースがよくみ られる 4。抗体固定化の方法として、物理吸着もしくはアミンカップリングによる共有結合 形成(化学結合)が用いられることが多い。これらは長年一般的に用いられてきた方法で あるが、これらの方法を用いると、材料表面とタンパク質との疎水的相互作用により、固 定化されたタンパク質の変性が引き起こされることも少なくない 5。また、いずれの方法で も固定化された分子の配向性を制御することは困難であり、固定化したタンパク質に期待 する効果を得にくいこともある。たとえば、抗体を材料表面に固定化する場合、固定化に よる変性や配向性の乱れにより、抗原結合能の低下または喪失を引き起こし、さらに非特 異吸着を招く可能性がある(図 1-3) 。このように、従来の抗体固定方法では、抗体本来の 性能を活かしきることが難しいため、免疫測定法の感度上昇に取り組むうえで、抗体固定 化方法の改善が必要であると考えられる。. 5.
(10) 図 1-2. 体外診断薬に用いる免疫測定法の代表例(模式図). 図 1-3. 一般的な抗体固定化方法(模式図). 6.
(11) 1-3. 抗体修飾法とその利用 これまで、抗体医薬品の一種である Antibody-drug conjugate(ADCs)の発展と共に様々 な抗体修飾法が開発されてきた 6,7。 以前から最も一般的に用いられている抗体修飾法は、抗体に含まれる Lys などの第一級 アミンと反応させるランダムアミンカップリング法と、システインのチオール基特異的な 反応試薬であるマレイミド等を用いる方法の 2 つがある 8。しかし、ランダムアミンカップ リング法では、修飾部位や個数を制御することが難しく、意図しない部位への標識によっ て抗体の性能が低下する可能性が指摘される。一方、システインのチオール基を用いて修 飾する方法においては、元々抗体分子が有しているジスルフィド結合を切断して修飾を行 うため、抗体の性能が低下するケースがある。 上述のように、ランダムアミンカップリング法やシステインを用いた修飾方法は、修飾 部位や個数の制御が困難であったり、抗体の安定性が損なわれてしまうため、次第に部位 特異的な抗体修飾方法が開発されるようになった。これまでに、人工的に導入した非天然 アミノ酸に修飾を行う方法や、抗体が持つ糖鎖の一部分を改変して修飾基を導入するなど、 様々な方法が報告されている(表 1-1、図 1-4) 。しかしその多くが抗体工学を必要とするも のであり、非天然物や本来抗体に含まれない配列の導入によって、生産時の抗体の発現量 低下が問題となる場合もあり、実用化にはいくつかの障壁が想定される 9。 これらのような抗体工学的分子改変を伴う方法に比べると少数ではあるが、近年、抗体 工学的分子改変を行わずに、抗体に機能ドメインを付加する方法もいくつか報告されてい る。たとえば、Protein A の B domain の改変型である Z domain10,11 を用いた抗体の固定化 についても報告されているが 12–14、これらの方法ではいずれも抗体と Z domain の間に共有 結合は形成されていない。免疫測定法における抗体の固定化に修飾抗体を使用する場合、 反応溶液中の界面活性剤や pH 変化による抗体の解離を防ぐために、抗体と機能ドメインの 間に共有結合を形成する、もしくは強固な相互作用を生じる修飾方法が望まれる。. 7.
(12) 8. Yamada, K.; Ito, Y. ChemBioChem 2019, 20 (21), 2729–2737. (参考文献(9))より引用. 表 1-1. Site-specific conjugation technologies..
(13) 9. Yamada, K.; Ito, Y. ChemBioChem 2019, 20 (21), 2729–2737. (参考文献(9))より引用. 図 1-4. Site-specific conjugation technologies..
(14) 1-4.CCAP 法について 我々の研究室ではこれまでに、ファージディスプレイ法を用いて、Human IgG の Fc に 特異的に結合するペプチド(IgG-BP)を単離し、このペプチドを用いて、Human IgG に 部位特異的な修飾を行う chemical conjugation by affinity peptide(CCAP)法を開発した (図 1-5) 。この方法は抗体工学的分子改変を必要とせず、水溶液中で、穏和な条件下で進 行する反応である。IgG-BP を用いて、反応対象とする Human IgG H 鎖の Lys248 の周辺 のみ、反応相手となる官能基の局所濃度を上げることで、特異的に修飾を行うことが可能 となる。また、CCAP 法を用いて Antibody-drug conjugates (ADCs)の作製や二重特異 性抗体の作製が可能であることも示した 15,16。さらに、ADC 作製方法として CCAP 法の改 変法も確立し、報告している 17,18。 CCAP 法は、抗体工学的な遺伝子改変を伴わずに、部位特異的な修飾を行うことができ る方法であるため、上述のような ADC の作製以外に、免疫測定法にも有用なのではないか と考えた。たとえば、免疫測定法における固定化抗体に CCAP 法を利用することで、抗体 の変性や固定化時の配向性低下を軽減することができ、免疫測定法の高感度化に寄与する ことができるのではないかと考えた。. 図 1-5. IgG-BP を用いた CCAP 法による Human IgG の部位特異的な修飾. 10.
(15) 1-5. IgE の測定について アレルギーの反応は、免疫反応による組織障害の機序から分類した Gell と Coombs の分 類が用いられることが多い。本分類ではⅠ型反応~Ⅳ型反応に分類され、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は 血清抗体が関与する体液性免疫、Ⅳ型は遅延型細胞性免疫である。このうちⅠ型反応(即 時型、アナフィラキシー型)に IgE が関与し、その代表疾患はアナフィラキシーショック、 アレルギー性鼻炎、気管支喘息、結膜炎、蕁麻疹などがある。 IgE は分子量約 190 kDa の糖タンパクで、他の免疫グロブリンと同様に、2 本の H 鎖と 2 本の L 鎖からなるが、その H 鎖中に ε 鎖と呼ばれる特有な抗原構造があることが特徴で ある 19。健常人血清中に 10~250 ng/mL 程度含まれている。 現在、臨床で測定されている IgE には、特定のアレルゲンに対し抗体活性をもつ特異 IgE と、抗体活性が明確ではない総 IgE がある。特異 IgE はアレルギーを引き起こす原因物質 を特定するための検査である。花粉症や食物アレルギーでは原因となるアレルゲンを特定 する目的で特異 IgE が測定される。一方、総 IgE は問診からアレルゲンが推定できない場 合のアレルギー疾患か否かの診断や経過観察等に用いられる。気管支喘息やアトピー性皮 膚炎、IgE 骨髄腫などのアレルギー疾患で総 IgE が高値となる場合が多い 20–22。血清中 IgE の臨床的カットオフ値は 408 ng / mL(170 U / mL)とされている。 本研究では、CCAP 法を用いた免疫測定系への応用の一例として、IgE の H 鎖を認識す る抗体を用いて、IgE 測定系を構築した。第 4 章にその内容を記した。. 11.
(16) 1-6. CA19-9 の測定について CA19-9 は腫瘍マーカーのひとつである。腫瘍マーカーはその診断感度と診断特異度の問 題から、早期がんの発見には適さず、診察や画像検査結果から悪性腫瘍が強く疑われるケ ースに使用される。腫瘍マーカー陽性時には 1)癌の病期決定,2)癌の組織型,3)手術や化学 療法の完成度,4)再発癌の早期発見に大きな威力を発揮しており,癌の臨床には不可欠の武 器となっている。 CA19-9 はシアリルスイスグループの糖鎖抗原で、血中ではムチン型糖タンパク質として 存在する。モノクローナル抗体を用いて開発された最初の腫瘍マーカーである。異なる分 子上に結合している糖鎖のシアリル Lea だけを認識し検出する。この抗体はムチン上のシア リル Lea も脂質に結合したシアリル Lea も検出するため、反応する分子は多様で分子量分布 もブロードとなる 4。 CA19-9 は特に膵がんの診断と治療モニターに広く使われている。CA19-9 の発見以前は 膵がんに有効なマーカーがなかったため、膵がん特異マーカーとして注目を集めた。CA19-9 の膵臓癌での陽性率は 90%,胆道系癌で 40~80%,胃癌・大腸癌で約 40%,消化器系癌 を中心に有用性が高い 23–25。主な腫瘍マーカーとそのカットオフ値、主な対象腫瘍に対す るおおよその陽性率(感度)を表 1-2 に示した。血清中 CA19-9 の臨床的カットオフ値は 37.0 U / mL とされている。 本研究では CCAP 法を用いた免疫測定系への応用の一例として、糖鎖認識の 2 種類の抗 体を用いて CA19-9 測定系を構築した。第 4 章にその内容を記した。. 12.
(17) 表 1-2. 主な腫瘍マーカー 日本臨床検査医学会 臨床検査のガイドライン 2015(参考文献(25))より 腫瘍マーカー. カットオフ値. おもな対象の癌. 陽性率. 上昇しうるおもな疾患など. PSA. 4 ng/mL. 前立腺癌. 70%. 前立腺肥大、前立腺炎. AFP. 20 ng/mL. 肝細胞癌. 75%. 肝炎、肝硬変. 大腸癌. 65%. 肺腺癌. 55%. 甲状腺髄様癌. 80%. 膵癌. 90%. 胆道癌. 80%. 大腸癌. 40%. 卵巣癌. 80%. 子宮体癌. 30%. 再発乳癌. 45%. 肺扁平上皮癌. 75%. 肺腺癌. 55%. 肺扁平上皮癌. 60%. 子宮頸癌. 70%. 肺小細胞癌. 70%. 神経芽細胞腫. 90%. 肝細胞癌. 60%. 食道癌. 30%. 大腸癌. 20%. 乳癌. 20%. CEA. CA19-9. 5.0 ng/mL. 37 U/mL. CA125. 35 U/mL. CA15-3. 25 U/mL. CYFRA. 3.5 ng/mL. SCC抗原. 1.5 ng/mL. NSE. 10 ng/mL. PIVKAⅡ. 40 mAU/mL. 抗p53抗体. sIL-2R 尿中NMP22. 1.3 U/mL. 炎症性陽疾患、肝炎、肝硬変、膵炎、加齢、 喫煙 閉塞性黄疸、胆管炎、膵炎、胆石症、(注: Lewis抗原陰性者の膵癌では偽陰性) 子宮内膜症、妊娠、月経、腹膜炎、胸膜炎 肝硬変 慢性肝炎、肝硬変、肺の炎症性疾患 皮膚疾患、肺炎、気管支炎 脳血管障害、脳炎、溶血 ビタミンK不足、肝硬変 健常人の陽性率 5%. 122~496 U/mL 悪性リンパ腫. ‐. ウイルス感染、膠原病、血球貪食症候群、腎. (基準範囲). 成人T細胞白血病. ‐. 機能低下. 12 U/mL. 膀胱癌. 60%. 尿路感染症、尿路結石. 13.
(18) 第2章 Z34C ペプチドを用いた IgG 抗体修飾法(CCAP-Z34C 法). 14.
(19) 第2章. Z34C ペプチドを用いた IgG 抗体修飾法(CCAP-Z34C 法). 2-1. 緒言 1-4.において述べたように、CCAP 法が部位特異的な抗体修飾法であることから、免疫測 定法における抗体の固定化に有用なのではないかと考えた(図 2-1) 。この方法を用いるこ とで、1) 修飾基導入時の抗体の構造変化を軽減、2) 固定化抗体の配向性の向上、3) 材料 表面との相互作用による抗体の変性を軽減、という効果が期待できるため、免疫測定法の 感度上昇に寄与するのではないかと考えた。. 図 2-1. CCAP 法を用いた抗体固定化のイメージ図. 当研究室で開発された CCAP 法は Human IgG を対象としており、抗体の修飾に用いる IgG-BP が Human IgG 特異的に結合能を持つペプチドであるため、Mouse 等のげっ歯類を 宿主とする IgG に修飾を行うことは難しかった。免疫測定法には Mouse や Rabbit を宿主 とする抗体が用いられることが多いため、これらの IgG に修飾を行うことができるように、 CCAP 法を改良することが望まれた。そこで、免疫測定法への応用を目指し、まずは Mouse IgG の Fc に対して部位特異的に共有結合を形成させる修飾法を開発することとした。 まず、Mouse IgG に修飾を行う為のペプチドの選定を行った。既存法の CCAP 法で用い. 15.
(20) ている IgG-BP は 17 残基からなるペプチドである。実用化を見据えて、ペプチド合成の際 に困難とならない残基数であり、さらに Mouse IgG の Fc に親和性を持つペプチドを選定 する必要があった。そこで、Z34C ペプチドを用いることとした。Z34C は protein A のド メインの一つである B-domain の改変型ペプチド 26,27 で、Human IgG の Fc と結合した場 合の結晶構造が報告されている(1OQO.pdb, 5U52.pdb) 。1OQO.pdb にて報告されている Z34C の配列を図 2-2 に示す。Protein A は黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus 由来の タンパク質であり 28、3 つの α-helix 構造からなる 5 つの相同なドメイン(N 末端から順に E、D、A、B、C)から構成される。それぞれのドメインは主に各種の IgG クラス抗体の Fc 領域と結合することが知られている。種によってやや結合が弱いものがあるが、多くの IgG に対し高い結合能(Kd:~10 nM)を持つ。幅広い抗体に対する結合能を持つため、 protein A は免疫沈降反応、抗体精製カラムのリガンドとして幅広く用いられている。 Protein A の IgG との結合様式は、X 線結晶構造解析により解明されており、IgG の Fc 領 域の CH2 と CH3 の間にあるくぼみ(ホットスポット)に結合する 4,29。既報の X 線結晶構 造解析結果である 1OQO.pdb、5U52.pdb によると、Z34C も IgG Fc の CH2 と CH3 の間 のホットスポットに結合することが示されており、これは当研究室で発見した IgG-BP の結 合部位と一致している 15。 以上より、 我々は Z34C を基本構造として、 CCAP 法を Mouse IgG に適用するよう、ペプチドの改変を行うことにした。Z34C ペプチドを用いた際の CCAP 法による抗体修飾反応の概略図を図 2-3 に示す。IgG 抗体の Fc に特異的に結合する Z34C ペプチドを用いて、Fc 上の Lys248 の側鎖のεアミノ基に共有結合(アミド結合)にてコ ンジュゲートできる系を開発した。Fc 領域は、対称性を持つため、Z34C は、Fc 上に2つ の結合部位を持つことになり、そのためコンジュゲート生成物として、1 価(上)と 2 価(下) の 2 種類の生成物が生じる。このようなコンジュゲーション手法の開発について、以下に 述べる。. 16.
(21) 図 2-2. Human IgG Fc と Z34C 結合時の X 線結晶構造(1OQO.pdb) 中の2つの Cys は、分子内 SS 結合を形成している。. 図 2-3. Z34C を用いた CCAP 法の概略図. 17. 配列.
(22) 2-2. 実験方法 2-2-1. ペプチドの合成 合成ペプチド(αZ34C, εZ34C, α-1Z34C)は、ユーロフィン社にて Fmoc 法で合成された。 (C 末端はアミド化) 。保護基を除去した後、逆相 HPLC を用いてペプチドを精製した。合 成を依頼した配列を以下に示す(表 2-1) 。. 表 2-1. Z34C ペプチドの合成アミノ酸配列. 2-2-2. Z34C 分子内ジスルフィド結合の形成 3 種類の Z34C 試薬(αZ34C、εZ34C、α-1Z34C)について以下を実施した。DMSO 中に 10 mM となるように溶解したペプチド溶液と、0.2 M Tris-HCl(pH8.3)を等量混合し、 室温で 2 時間インキュベートした。その後、1.6 µL の 100% トリフルオロ酢酸(TFA)を 加えて反応を中和した。0.1% TFA で平衡化した Sep-Pak tC18 逆相カラム(Waters)にア プライし、0.1% TFA で洗浄した後、0.1% TFA を含む 60%アセトニトリル溶液でペプチド を溶出した(塩および未反応物の除去) 。エバポレーターを用いて溶出液からアセトニトリ ルを除去し、20 時間の凍結乾燥を行った。凍結乾燥物を 10mM となるように DMSO に溶 解した。. 2-2-3. Z34C 分子への DSG の結合 DMSO で溶解した 10 mM のジスルフィド結合形成済みペプチド溶液と、アセトニトリ ルで溶解した 500 mM の disuccinimidyl glutarate(DSG)溶液をモル比が peptide:DSG = 1:30 となるように混合し、終濃度 0.5 %となるようにピリジンを加え、50 ℃で 3 時間 18.
(23) インキュベートした。LC-forte(YMC)を用い、InertSustain C18 逆相カラム(5 μm, 7.6 × 250 mm)にてフラクションを分取し、目的のフラクションについて 20 時間の凍結乾燥 を行った。. 2-2-4. 調製ペプチドの分析 調製を行ったペプチドは LCMS-8030(SHIMADZU)および ACQUITY UPLC(Waters) で分析を行った。測定条件は、A buffer(0.1% Formic acid + 1% Acetonitrile) 、B buffer (0.1% Formic acid + 99% Acetonitrile) 、Gradient: 4%-60%、Flow rate: 0.200 mL/min。 UPLC は ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm, 2.1×100mm, Waters)カラムを用いて行っ た。. 2-2-5. ペプチド構造のモデリング Fc と結合ペプチドの複合体のモデリングは、報告されている Human IgG-Fc とペプチド の複合体の結晶構造(1OQO.pdb)に基づいて、ソフトウェア MOE(Molecular Operating Environment、CCG)を用いて行った。. 19.
(24) 2-2-6. IgG と Z34C ペプチド試薬の結合反応 Phosphate-buffered saline (PBS; 137 mM NaCl, 2.7 mM KCl, 10 mM Phosphate Buffer, pH 7.4)または Acetate buffer (100 mM, pH 5.5)で希釈した 1 μM IgG と DMSO で 0.5 mM または 1 mM となるように希釈したペプチド試薬を、 モル比が IgG : peptide = 1 : 5 または 1 : 10 となるように混合した(DMSO 終濃度 1 %)。各反応温度(25 ℃、37 ℃、 50 ℃)で 1 時間または一晩(約 16 時間)インキュベートした。使用抗体の一覧を表 2-2 に示す。. 表 2-2. αZ34C, εZ34C, α-1Z34C 修飾検討に使用した抗体一覧. 2-2-7. SDS-PAGE 450 μL の 4×Laemmli Sample Buffer(Bio-rad)と 50 μL の DTT 溶液(1 M DTT、1 mM EDTA)を混合し、4×Sample buffer-reduce を作製した。サンプル溶液と 4×Sample buffer-reduce を混合し、95 ℃、10 分間インキュベートした。Mini Protean TGX precast Gels Any kD(Bio-rad)に 1-2 μg/ well アプライし、電気泳動を行った。泳動後のゲルを Bio-safe comassie G-250 stain(Bio-rad)で染色し、水で脱色後、撮影を行った。. 20.
(25) 2-3. 実験結果 2-3-1. Z34C ペプチドのデザイン 2-2-5.に記載のように、既報の Human IgG-Fc と Z34C ペプチド複合体の結晶構造 (1OQO.pdb)を参考に、3 種類の Z34C ペプチドの設計を行った。まず、Z34C を介して IgG に修飾物をクリック反応にて連結させる目的で、Z34C の 7 番目のアミノ酸をアジド化 Lys(Azide-K)に置換した。また、IgG に対して Z34C の N 末端領域のみに存在するアミ ノ基を標的に、架橋剤を導入できるよう、Z34C のアミノ酸配列のうち、もともと含まれて いた Lys(K)は Arg(R)にすべて置換し、これを αZ34C とした(図 2-4) 。. 図 2-4. Z34C と αZ34C の模式図. αZ34C と Human IgG-Fc についてシミュレーションを行ったところ、αZ34C の N 末端 と Human IgG-Fc の Lys248 が最も接近することがわかり、その距離は 8.82Åであった(図 2-5) 。αZ34C の N 末端アミノ基と Human IgG Lys248 を架橋する試薬として、 disuccinimidyl glutarate (DSG、Spacer arm length:7.7Å)を想定していたため、Spacer arm length に比べ、αZ34C のαアミノ基と Lys248 の側鎖のεアミノ基の距離が長いこと がわかった。そこで、αZ34C の N 末端のアミノ酸を Phe(F)から Lys(K)に変更した εZ34C と、αZ34C の N 末端に Gly(G)を追加した α-1Z34C を考案した。シミュレーションを行 ってみると、εZ34C の Lys1 の側鎖のεアミノ基と Human IgG-Fc Lys248 側鎖との距離 21.
(26) は 6.78Å、α-1Z34C の N 末端アミノ基と Human IgG-Fc Lys248 との距離は 7.54Åとな り、Spacer arm length:7.7Åよりも短い距離にすることができた(図 2-6、図 2-7) 。. 図 2-5. αZ34C と Human IgG-Fc との結合シミュレーション図 DSG の構造を示す。. 22. 右下には、.
(27) 図 2-6. εZ34C と Human IgG-Fc との結合シミュレーション図. 図 2-7. α-1Z34C と Human IgG-Fc との結合シミュレーション図. 23.
(28) 2-3-2. ペプチドの調製 2-2-2.および 2-2-3.で示したペプチド試薬調製の際に得られた分析結果を示す。一例とし て、αZ34C 試薬の構造および、S-S 結合の形成と DSG 修飾によるペプチド試薬調製の概略 を図 2-8 に示す。また、αZ34C に関する逆相 HPLC 並びに各生成物の質量分析データを図 2-9 から図 2-12 に示す。図 2-10 より、ジスルフィド結合を形成させた Oxidized peptide とみられるピーク 2(P-2)の分子量実測値(Experimental mass)は、還元型(P-1: 4235.8 Da)より、2.3 Da 小さくなって、4233.53 Da(理論値 4235.67 Da)となっており、ジス ルフィド結合が形成されたことが確認された。また、図 2-9 の DSG と反応後の主要成分で あるピーク 6(P-6)の分子量実測値は 4445.11 Da(理論値 4446.84 Da)で、N-Succinimidyl glutarate 基分の質量の増加がみられることから、DSG 修飾が進んでいることを確認した。 分取精製後サンプルについて分析を行ったところ、図 2-12 に示すように、分子量実測値は 4445.02 Da(理論値 4446.84 Da)であり、図 2-10 ピーク 6 の分子量実測値ともほぼ一致 していることから、目的物を調製できたことを確認した。. 図 2-8. αZ34C 試薬調製の概略 24.
(29) Reduced peptide. Oxidized peptide. Peptide modified with DSG. 図 2-9. αZ34C の調製における生成物の逆相 UPLC での分析. 25.
(30) Reduced peptide. Oxidized peptide. Peptide modified with DSG. 図 2-10. 図 2-9 各ピーク(P-1, P-2, P-6)の MS スペクトル. 26.
(31) 図 2-11. DSG 化後のペプチドの LC-forte にて分取精製後の逆相 UPLC 上での分析. 27.
(32) 図 2-12. 図 2-11 におけるピーク 2(P-2)の MS スペクトル. 28.
(33) 2-3-3. Human IgG と αZ34C、εZ34C、α-1Z34C の結合条件検討 設計した 3 種類の Z34C(αZ34C、εZ34C、α-1Z34C)について、Human IgG1 と反応を 行い、H 鎖特異的な修飾が可能であるかを確かめた。pH(5.5 or 7.4)および反応時間(1 時間 or 一晩)の異なる組み合わせで、それぞれ修飾の状態を確認した。一例として αZ34 の結合結果を図 2-13 に示す。予想通り、IgG の L 鎖には反応せず、H 鎖特異的に Z34C ペ プチドが修飾され、バンドのシフトアップが起きていることを確認した。. 図 2-13. αZ34C と Human IgG1 の反応. Trastuzumab (Human. IgG1)と αZ34C を、反応液の pH (pH=5.5 or pH=7.4)および 反応時間 (1hour or overnight)を変えて反応させた。その後、 SDS-PAGE を行った。. 29.
(34) 次に、3 種の Z34C ペプチド(Z34C, εZ34C, α-1Z34C)と IgG の反応結果のうち、H 鎖 の部分を抜粋し比較を行った結果を図 2-14 に示す。SDS-PAGE における H 鎖のバンドに ついて、Band density を測定し、各 Z34C ペプチドの修飾率(Modification rate)を求め た。結果として、反応溶液 pH の違いによる修飾効率への影響が大きく、反応時間の影響は 小さいことがわかった。3 種の Z34C のいずれにおいても、pH=7.4 に比べて pH=5.5 でよ り高い修飾率となることが分かった。. 図 2-14. αZ34C, εZ34C, α-1Z34C ペプチドと Human IgG1 抗体の 修飾条件検討(pH, 反応時間). Trastuzumab(Human IgG1). とペプチドの反応性における、pH および反応時間の影響を調べた。 修飾反応後、SDS-PAGE を行い、バンド強度より修飾率の算出を行 った。H 鎖の部分を抜き出し上図に示した。. 30.
(35) さらに、反応温度を変え、Trastuzumab(Human IgG1)と 3 種の Z34C ペプチド(αZ34C, εZ34C, α-1Z34C)の反応性への影響を調べた。溶液の pH(pH=5.5, pH=7.4)および反応 温度(37 ℃、50 ℃)が異なる条件で修飾反応を行い、その後、SDS-PAGE を行った。 SDS-PAGE における H 鎖のバンドについて、Band density から各 Z34C ペプチドの修飾 率(Modification rate)を求めた(図 2-15)。結果として、反応温度の変化の影響は小さい ことがわかった。. 図 2-15. αZ34C, εZ34C, α-1Z34C ペプチドと Human IgG1 抗体の 修飾条件検討(pH, 反応温度). Trastuzumab(Human IgG1). とペプチドの反応性における、pH および反応温度の影響を調べた。 修飾反応後、SDS-PAGE を行い、バンド強度より修飾率の算出を行 った。H 鎖の部分を抜き出し上図に示した。. 31.
(36) 2-3-4. Human 抗体と Mouse 抗体配列の比較 2-3-3 の検討により、Human IgG に Z34C を用いた修飾が可能であることがわかった。 Mouse への修飾可能性について検討するにあたり、Human、Mouse の各 IgG の Fc 領域の アミノ酸配列比較を行った。2-3-1 におけるペプチドデザインの際に行った結合シミュレー ションより、 Human IgG-Fc 領域の Lys248 付近に Z34C が最も近づくことがわかったため、 Human、 Mouse IgG-Fc 領域の Lys248 付近の構造に注目して相同性を確かめた(図 2-16) 。 図 2-16 において、Fc の配列は、Kabat 則によって番号付けがされており、赤色は、修飾の 対象残基である Lys248 を、緑色は、Fc-ペプチド複合体構造(1OQO.pdb)において Z34C ペプチドから 4.5Å 以内に位置する残基を表している。配列の下部にあるアスタリスクとド ットは、それぞれ配列内の完全に保存された残基と、高度に(> 60%)保存された残基を 示している。それぞれの配列を確認すると、修飾対象残基である Lys248(赤色)および緑 色で示した Z34C ペプチドから 4.5Å 以内に位置する残基は相同性が高いことがわかる。よ って、Z34C は Human IgG だけでなく Mouse IgG の修飾も可能である可能性が高いと考 えた。. 32.
(37) Human IgG1 Human IgG2 Human IgG3 Human IgG4 Mouse IgG1 Mouse IgG2a Mouse IgG2b Mouse IgG2c Mouse IgG3 Rabbit IgG Rat IgG1 Rat IgG2a Rat IgG2b Rat IgG2c. Human IgG1 Human IgG2 Human IgG3 Human IgG4 Mouse IgG1 Mouse IgG2a Mouse IgG2b Mouse IgG2c Mouse IgG3 Rabbit IgG Rat IgG1 Rat IgG2a Rat IgG2b Rat IgG2c. Human IgG1 Human IgG2 Human IgG3 Human IgG4 Mouse IgG1 Mouse IgG2a Mouse IgG2b Mouse IgG2c Mouse IgG3 Rabbit IgG Rat IgG1 Rat IgG2a Rat IgG2b Rat IgG2c. 240 260 280 300 LGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWL VAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWL LGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFKWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTFRVVSVLTVLHQDWL LGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWL PEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWL LGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWM EGGPSVFIFPPNIKDVLMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTIRVVSTLPIQHQDWM LGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPMVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWM LGGPSVFIFPPKPKDALMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVHVSWFVDNKEVHTAWTQPREAQYNSTFRVVSALPIQHQDWM LGGPSVFIFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSEDDPEVQFTWYINNEQVRTARPPLREQQFNSTIRVVSTLPIAHEDWL SEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISQDDPEVHFSWFVDDVEVHTAQTRPPEEQFNSTFRSVSELPILHQDWL SEVSSVFIFPPKTKDVLTITLTPKVTCVVVDISQNDPEVRFSWFIDDVEVHTAQTHAPEKQSNSTLRSVSELPIVHRDWL LGGPSVFIFPPKPKDILLISQNAKVTCVVVDVSEEEPDVQFSWFVNNVEVHTAQTQPREEQYNSTFRVVSALPIQHQDWM LGRPSVFIFPPKPKDILMITLTPKVTCVVVDVSEEEPDVQFSWFVDNVRVFTAQTQPHEEQLNGTFRVVSTLHIQHQDWM ....***.***..** *.*.... *******.* .*.*...*... ..*..*.. ..... *.* *.** *.. *.**. 320 340 360 380 NGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTT NGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTT NGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTT NGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTT NGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNT SGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNT SGKEFKCKVNNKDLPSPIERTISKIKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNT SGKEFKCKVNNRALPSPIEKTISKPRGPVRAPQVYVLPPPAEEMTKKEFSLTCMITGFLPAEIAVDWTSNGRTEQNYKNT RGKEFKCKVNNKALPAPIERTISKPKGRAQTPQVYTIPPPREQMSKKKVSLTCLVTNFFSEAISVEWERNGELEQDYKNT RGKEFKCKVHNKALPAPIEKTISKARGQPLEPKVYTMGPPREELSSRSVSLTCMINGFYPSDISVEWEKNGKAEDNYKTT NGRTFRCKVTSAAFPSPIEKTISKPEGRTQVPHVYTMSPTKEEMTQNEVSITCMVKGFYPPDIYVEWQMNGQPQENYKNT NGKTFKCKVNSGAFPAPIEKSISKPEGTPRGPQVYTMAPPKEEMTQSQVSITCMVKGFYPPDIYTEWKMNGQPQENYKNT SGKEFKCKVNNKALPSPIEKTISKPKGLVRKPQVYVMGPPTEQLTEQTVSLTCLTSGFLPNDIGVEWTSNGHIEKNYKNT SGKEFKCKVNNKDLPSPIEKTISKPRGKARTPQVYTIPPPREQMSKNKVSLTCMVTSFYPASISVEWERNGELEQDYKNT *....*.*.....*..**..*** .* . *.**. .*. ..... ...**.. .*.. .* ..* .* . .*..* 400 420 440 PPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSP PPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSP PPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSP PPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSL QPIMNTNGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSP EPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTP EPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTP ATVLDSDGSYFMYSKLRVQKSTWERGSLFACSVVHEVLHNHLTTKTISRSL PPILDSDGTYFLYSKLTVDTDSWLQGEIFTCSVVHEALHNHHTQKNLSRSP PAVLDSDGSYFLYSKLSVPTSEWQRGDVFTCSVMHEALHNHYTQKSISRSP PPTMDTDGSYFLYSKLNVKKEKWQQGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSP PPTMDTDGSYFLYSKLNVKKETWQQGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSP EPVMDSDGSFFMYSKLNVERSRWDSRAPFVCSVVHEGLHNHHVEKSISRPP LPVLDSDESYFLYSKLSVDTDSWMRGDIYTCSVVHEALHNHHTQKNLSRSP ..........*.**.* * .. * .. . *** ** ***... *..* ... 図 2-16. IgG の Fc 領域の配列比較(Human, Mouse, Rat, Rabbit). 33.
(38) 2-3-5. IgG と Z34C ペプチドの親和性の確認 Human および Mouse IgG への Z34C ペプチドの親和性を Biacore にて測定した。測定か ら得られた解離定数を表 2-3 に示す。Human IgG1 に反応させた場合に比べ、Mouse IgG に反応させた場合の Z34C の親和性は低下していたが、いずれのサブクラスにも親和性を持 つことがわかった。2-3-4 の結果も併せ、Z34C は Mouse IgG の修飾にも使用できる可能性 が高いと考えた。. 表 2-3. Human IgG, Mouse IgG に対する Z34C ペプチドの親和性. Biacore T-200. を用いて 25℃で測定を行った。各抗体をセンサーチップ CM-5 に結合させ、異なる 濃度(1〜100 nM)のペプチドを添加した。Biacore ソフトウェアによる解析から得 られた解離定数 Kd (nM)を示した。. αZ34C. εZ34C. α-1Z34C. Human IgG1. 17.2. 27.3. 32.7. Mouse IgG1. 172. 479. 183. Mouse IgG2b. 1131. 7054. 2708. Mouse IgG3. 214. 458. 158. Antibody. 34.
(39) 2-3-6. Mouse IgG と αZ34C、εZ34C、α-1Z34C の結合条件検討 2-3-5 より、Mouse IgG と 3 種の Z34C(αZ34C、εZ34C、α-1Z34C)が親和性を持つこ とが確認された。これらの Z34C を用いて、Mouse IgG についても Human IgG1 と同様に 修飾を行うことができるかどうか確かめた。まず、Mouse IgG2a と Z34C ペプチドの反応 における、pH および反応時間の影響を調べた。pH(pH=5.5, pH=7.4)および反応時間(1 時間または一晩)の異なる条件で修飾反応を行い、その後、SDS-PAGE を行った。 SDS-PAGE における H 鎖のバンドについて、Band density から各 Z34C ペプチドの修飾 率(Modification rate)を求めた(図 2-17) 。結果として、Human IgG1 と同様に反応溶 液の pH の違いによる修飾効率への影響が大きく、反応時間の影響は小さいことがわかった。 3 種の Z34C のいずれにおいても、pH=7.4 に比べて pH=5.5 でより高い修飾率となること が分かった。. 図 2-17. αZ34C, εZ34C, α-1Z34C ペプチドと Mouse IgG2a 抗体の 修飾条件検討(pH, 反応時間). InVivoMAb(Mouse IgG2a)と Z34C ペプチ. ドの反応における、pH および反応時間の影響を調べた。修飾反応後、SDS-PAGE を行い、バンド強度より修飾率の算出を行った。H 鎖の部分を抜き出し上図に 示した。. 35.
(40) 次に、同じく Mouse IgG2a と 3 種の Z34C ペプチド(Z34C, εZ34C, α-1Z34C)の反応に おける、 pH および反応温度の影響を調べた。 pH (pH=5.5, pH=7.4)および反応温度 (37 ℃、 50 ℃)が異なる条件で修飾反応を行い、その後、SDS-PAGE を行った。SDS-PAGE にお ける H 鎖のバンドについて、Band density から各 Z34C ペプチドの修飾率(Modification rate)を求めた(図 2-18) 。結果として、反応温度の違いによる影響は小さいことがわかっ た。. 図 2-18. αZ34C, εZ34C, α-1Z34C ペプチドと Mouse IgG2a 抗体の修飾条件 検討(pH, 反応温度). InVivoMAb(Mouse IgG2a)と Z34C ペプチドの. 反応における、pH および反応温度の影響を調べた。修飾反応後、SDS-PAGE を行い、バンド強度より修飾率の算出を行った。H 鎖の部分を抜き出し上図 に示した。. 36.
(41) さらに、Mouse IgG1 と 3 種の Z34C ペプチド(Z34C, εZ34C, α-1Z34C)の反応におけ る、pH および反応温度の影響を調べた。pH(pH=5.5, pH=7.4)および反応温度(37 ℃、 50 ℃)が異なる条件で修飾反応を行い、その後、SDS-PAGE を行った。SDS-PAGE にお ける H 鎖のバンドについて、Band density から各 Z34C ペプチドの修飾率(Modification rate)を求めた(図 2-19) 。結果として、Mouse IgG2a の場合と同様に、反応溶液の pH の 違いによる修飾効率への影響が大きく、反応時間の影響は小さかった。Human IgG1 や Mouse IgG2a と同様に、3 種の Z34C のいずれにおいても、pH=7.4 に比べて pH=5.5 の方 が高い修飾率となることが分かった。また、反応量比の影響も小さいことがわかり、反応 系に添加するモル比を IgG : Z34C = 1 : 5 から 1 : 10 に変化させても、顕著な修飾効率の変 化はみられなかった。. 図 2-19. αZ34C, εZ34C, α-1Z34C ペプチドと Mouse IgG1 抗体の修飾条件検 討(pH, 反応温度). Mouse IgG1, kappa Isotype control と αZ34C ペプ. チドの反応における、pH、反応時間および反応量比の影響を調べた。修飾 反応後、SDS-PAGE を行い、バンド強度より修飾率の算出を行った。H 鎖 の部分を抜き出し上図に示した。. 37.
(42) 2-4. まとめと考察 モデリング結果から予想されたように、Z34C ペプチドを用いて、Human IgG1 および Mouse IgG1、Mouse IgG2a に対して H 鎖特異的に修飾を行うことができた。反応溶液の pH は中性(pH=7.4)よりも酸性(pH=5.5)で修飾率が高くなることがわかり、反応温度 を上げても変化が小さいため、室温(25℃)で修飾率の低下なく反応を行うことができる ことがわかった。また、反応時間は 1 時間~一晩(16 時間程度)まで可能であり、修飾率 に大きな変化は生じないことがわかった。また、反応モル比の検討を行い、IgG : Z34C = 1 : 5 と 1 : 10 に大きな差がみられなかったことから、IgG : Z34C = 1 : 5 で十分量と判断し、 以後の実験は IgG : Z34C = 1 : 5 で行うこととした。また、修飾率は高いものでも 50%前後 であることから、多くが 1 価修飾体になっているのではないかと考えられる。 また、モデリング結果から DSG の Spacer arm length よりも反応基間の距離が短い εZ34C と α-1Z34C の修飾率が高くなるのではないかと予想していたが、実際は αZ34C も 同程度の修飾率を得た。この理由として、実際には IgG やペプチドの動きに柔軟性があり、 共有結合の形成のし易さに大きな違いが生じなかったのではないかと考えている。. 38.
(43) 第3章 Z34C ペプチドの Z33 型への改変 (CCAP-Z33 法). 39.
(44) 第3章. Z34C ペプチドの Z33 型への改変(CCAP-Z33 法). 3-1. 緒言 3 種類の Z34C(αZ34C、εZ34C、α-1Z34C)には 2 つの Cys と 1 つのアジ基が含まれて おり、合成ペプチドの収率が低下する傾向があった。さらに、DSG を結合させた Z34C 試 薬を調製する過程で、分子内の 2 つの Cys の間にジスルフィド結合を形成して環状構造の ペプチドにする工程が必要であった。CCAP 法の実用化を考え、分子内に Cys を含まない Z33 型に改変することで、ペプチド合成プロセスをより容易にかつ安価にし、さらに、ペプ チド試薬の調製ステップの削減を目指した。Z33 型に変更することによる想定される問題点 は、ジスルフィド結合がなくなることにより、分子構造の剛直さが低下し、IgG への結合力 に影響を与えかねない点である。Z34C の場合は 7K にアジ基を導入して修飾物の結合部位 としたが、 Z33 型に改変するにあたって、分子内の α-helix 構造内に位置する 7K ではなく、 よりペプチドの構造変化を起こしにくい α-helix 構造外の 38 位に修飾物導入部位を設定し、 Z33-38azide とすることにした(図 3-1) 。Z33-38azide に、-azide と-DBCO によるクリッ ク反応 30–32 を用いて修飾物(Biotin)を導入し、これを Z33-38Biotin とした。Z33-38Biotin を用い、Z34C と同様に簡便に IgG を修飾することが可能か確かめた。 さらに、CCAP 法および従来法であるランダムアミンカップリング法を用いて Biotin 修 飾を行った抗体の力価を 2 つの方法(ELISA、Biacore)で測定し、修飾法による違いが生 じるか確認した。. 図 3-1. αZ34C と Z33-38azide の構造比較 40.
(45) 3-2. 実験方法 3-2-1. ペプチドの合成 合成ペプチド(Z33-38azide)は、ユーロフィン社にて Fmoc 法で合成された。C 末端はア ミド化されている。保護基を除去した後、逆相 HPLC を用いてペプチドを精製した。合成 を依頼した配列を以下に示す(表 3-1) 。. 表 3-1. Z33-38azide の合成アミノ酸配列. 3-2-2. Z33-38azide への biotin と DSG の結合 DMSO で溶解した 40 mM の Z33-38azide と、DMSO で溶解した 100 mM の DBCO-PEG4-Biotin(Thermo Fisher Scientific)と、アセトニトリルで溶解した 500 mM の disuccinimidyl glutarate(DSG)溶液をモル比が peptide: DBCO-PEG4-Biotin: DSG = 1: 1: 20 となるように混合し、終濃度 5 %となるようにピリジンを加え、50 ℃で 2 時間イ ンキュベートした。LC-forte(YMC)を用い、InertSustain C18 逆相カラム(5 μm, 7.6 × 250 mm)にてフラクションを分取し、目的のフラクションについて 20 時間の凍結乾燥を 行った。. 3-2-3. 調製ペプチドの分析 調製を行ったペプチドは LCMS-8030(SHIMADZU)および ACQUITY UPLC(Waters) で分析を行った。測定条件は、A buffer(0.1% Formic acid + 1% Acetonitrile) 、B buffer (0.1% Formic acid + 99% Acetonitrile) 、Acetonitrile gradient: 4%-60%、Flow rate: 0.2 mL/min。UPLC は ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm, 2.1×100mm, Waters)カラムを 用いて行った。. 41.
(46) 3-2-4. IgG と Z33-38Biotin 試薬の結合反応 Phosphate-buffered saline (PBS; 137 mM NaCl, 2.7 mM KCl, 10 mM Phosphate Buffer, pH 7.4)または Acetate buffer (100 mM, pH 5.5)で希釈した 10 μM IgG と DMSO で 2 mM となるように希釈したペプチド試薬を、モル比が IgG : peptide = 1 : 5 となるよう に混合した(DMSO 終濃度 2.4 %) 。25 ℃で一晩(約 16 時間)インキュベートした。その 後、1 M Tris/HCl (pH 8.0)を液量の 10 %加え、未反応のペプチド試薬のクエンチを行った。 使用抗体の一覧を表 3-2 に示す。. 表 3-2. Z33-38Biotin の修飾検討に使用した抗体一覧. 3-2-5. SDS-PAGE 450 μL の 4×Laemmli Sample Buffer(Bio-rad)と 50 μL の DTT 溶液(1 M DTT、1 mM EDTA)を混合し、4×Sample buffer-reduce を作製した。サンプル溶液と 4×Sample buffer-reduce を混合し、95 ℃、10 分間インキュベートした。Mini Protean TGX precast Gels Any kD(Bio-rad)に 1-2 μg/ well アプライし、電気泳動を行った。泳動後のゲルを Bio-safe comassie G-250 stain(Bio-rad)で染色し、水で脱色後、撮影を行った。. 3-2-6. LC-MS を用いた Z33-38azide 結合 IgG の分析 BioAccord LC-MS(Waters)に ACQUITYUPLC®Protein BEH C4 カラム(2.1×50 mm、 Waters)を接続して分析を行った。測定条件は、カラムオーブン 80 ℃、A buffer(0.1% Formic acid + 1% Acetonitrile) 、B buffer(0.1% Formic acid + 99% Acetonitrile) 、 42.
(47) Acetonitrile gradient: 4%-40%とした。全長抗体の分析の場合は、Trastuzumab または Trastuzumab -Z33-38azide 溶液(H 鎖の修飾率 35 %、濃度 0.4 mg / mL)1 µL を分析に 使用した。還元条件下によるフラグメント分析の場合は、15 μM Trastuzumab(in PBS) を 37 ℃、5 mM DTT、1 時間還元後、6 倍に希釈し(濃度 0.4 mg / mL) 、 この希釈溶液 1 µL を分析に使用した。データ分析には UNIFI 1.9.0(Waters)を使用した。. 3-2-7. 抗体の力価測定(ELISA) ELISA プレート(Nunc-Immuno Module plate Maxisorp; Thermo Fisher Scientific) に 50 mM 炭酸バッファーで希釈した Human CA19-9(BBI solutions)または Human IgE (abcam)を 30 ng/well 添加し、4℃、一晩静置した。1×TBS でプレート洗浄後、plate blocking buffer(100 mM Tris-HCl, 86 mM NaCl, 0.05 % Tween , 0.5 % BSA, pH 7.6)で 4℃、一晩ブロッキングを行った。抗体の Biotin 化(従来法:-Random)は Biotin Labeling kit –NH2(同仁化学研究所)を用いて、製品添付プロトコル通り作製した。 プレート洗浄後、Biotin 化抗体(-Random or -CCAP)を各濃度に希釈して添加し、37 ℃、 1 時間インキュベートした。プレートを洗浄し、Streptavidin-HRP を 100 ng/well 添加し、 37 ℃、1 時間インキュベートした。プレート洗浄後、TMB 基質を加え(50 µL/well)25℃、 30 分インキュベートした。0.3 M の H2SO4 を 50 µL/ well を加え、発色反応を停止させた 後、プレートリーダーを用いて 450 nm および 630 nm の吸光度を測定した。. 3-2-8. 抗体の力価測定(Biacore) Biacore X100(GE Healthcare)を用いて 25℃で測定を行った。抗原となる Human CA19-9(BBI solutions)または Human IgE(abcam)を、製品添付プロトコルに従って アミンカップリングで CM5 sensor chip (GE Healthcare)上に固定した。analysis. buffer (120 mM NaCl, 7.1 mM Na2PO4, 2.36 mM KCl, 1.29 mM KH2PO4, 118 mM Tris, 0.05% Tween 20, pH8.0) によって 5 段階の濃度希釈を行った IgG を用いて single cycle kinetics mode で解析を行った。結合過程では各濃度の IgG を用いて 2 分間(flow rate 30 μL/min) 、 解離過程は analysis buffer を用いて 30 分間(flow rate 30 μL/min) 測定した。 43.
(48) 3-3. 実験結果 3-3-1. ペプチドの調製 3-2-4.で示したペプチド試薬調製の際に得られた分析結果を示す(図 3-2 から図 3-5)。 Z33-38azide に DBCO-Biotin および DSG を加え、反応を行ったサンプルの逆相 UPLC 分 析(図 3-2 下段)および、各ピーク(P-1 から P-5)の MS 分析により、ピーク 3 の分子量 実測値は 5927.44 Da であり、DSG 化されたビオチン化 Z33 の理論質量数 5928.60 Da と ほぼ一致したことから、ピーク 3 が目的物であると考えた(図 3-3)。さらに、分取精製を 行い、各ピークについて MS 分析を行ったところ、図 3-5 に示すようにピーク 2(P-2)の 分子量実測値は 5928.85 Da と、理論質量数と一致したことから、目的物を調製できたこと を確認した。. 図 3-2. 逆相 UPLC による Z33-38Biotin の調製に関する反応追跡. 44.
(49) 図 3-3. 図 3-2 におけるピーク 3(P-3)の MS スペクトル. 図 3-4. LC-forte にて分取精製後の Z33-38Biotin の分析結果(UPLC). 45.
(50) 図 3-5. 図 3-4 におけるピーク 2(P-2)の MS スペクトル. 46.
(51) 3-3-2. 各 IgG と Z33-38Biotin の結合確認 3-3-1 で作製した Z33-38Biotin が Z34C と同等に、IgG に対して修飾を行うことができ るか確かめるため、まずは Trastuzumab(Human IgG1)との反応を確認した(図 3-6)。 修飾率の点から、Z34C に遜色なく修飾が可能であることがわかった。また、Z34C を用い た場合は修飾率が pH=5.5 > pH=7.4 であったが、Z33-38Biotin を用いた場合は pH=5.5 < pH=7.4 となる点は異なることがわかった。. 図 3-6. Z33-38Biotin と Human IgG1 の反応確認 Trastuzumab(Human IgG1)と Z33-38Biotin を、 反応液の pH (pH=5.5 or pH=7.4)を変えて反応さ せた。その後、SDS-PAGE を行った。. 47.
(52) 次に、 Z34C と同じく Mouse IgG2a と Z33-38Biotin との反応を確かめた(図 3-7) 。 Mouse IgG2a の抗体に対しても、Z34C と遜色なく修飾が可能であった。修飾率が pH=5.5 < pH=7.4 となる点も Human IgG1 の場合と同様であった。. 図 3-7. Z33-38Biotin と Mouse IgG2a 抗体の反応確認 InVivoMAb(mouse IgG2a)と Z33-38Biotin を、反応液の pH (pH=5.5 or pH=7.4)を変えて反応させ後、SDS-PAGE を行った。. 48.
(53) さらに、免疫測定法に応用することを目標としているため、これまで反応確認に用いて いたコントロール抗体の他に、抗 Human CA19-9 抗体および、抗 Human IgE 抗体に対し ても、同様に反応確認を行った(図 3-8) 。結果として、コントロール抗体とほぼ変わりな く修飾が可能であった。. 図 3-8. Z33-38Biotin と IgG の反応確認. 免疫測定系への応用段階で使用予. 定である anti CA19-9 antibody G6C8 (Mouse IgG1)、 anti CA19-9 atibody H7D1 (Mouse IgG1)、anti IgE Ab 5D4 (Mouse IgG2a)と Z33-38Biotin を、 反応液の pH =7.4 として反応させた。その後、SDS-PAGE を行った。. 49.
(54) 3-3-3. LC-MS を用いた Z33-38azide 結合 IgG の分析 これまで、IgG とペプチドの修飾反応の確認を SDS-PAGE によって行っていたが、さら に LC-MS を用いて分子量の観点から確認を行い、H 鎖のみに特異的な修飾がされているこ とを確認した。未修飾の Trastuzumab および Trastuzumab に Z33-azide を修飾したもの を用いて、非還元、還元状態それぞれの条件で分析を行った。非還元条件下で分析を行っ た、図 3-9(a) 、 (b)を比べると、LC による各メインピークの MS 分析により得られた分 子量は(a)148056 Da、 (b)153120 Da であり、その差はほぼ Z33-38azide-SG 1 分子 分に相当する。よって、ほぼ 1 価修飾体の IgG が得られていることがわかる。また、還元 条件下で分析を行った(c) 、 (d)を比べると、L 鎖の分子量は両者で変わりがなく、H 鎖 の分子量は(c)50595 Da、 (d)55658 Da または 50594 Da であり、 (d)には Z33-38azide が 1 分子修飾されたもの(フラクション F)と未修飾のもの(フラクション G)が混在し ていることがわかる。以上より、LC-MS によって、予想通り IgG の H 鎖特異的に修飾が 生じたことを確認することができた。. 50.
(55) (a) Fraction A. Intensity (counts). Intensity (counts). (b) Fraction B. Retention time (min) Retention time (min). Fraction B: 153120 Da (Z33-38azide-trastuzumab). Intensity (c ounts ). Intensity (counts). Fraction A: 148056 Da (Trastuzumab). Mass (Da). Mass (Da). (d) Fraction D. Intensity (counts). Intensity (counts). (c). Fraction C. Fraction E Fraction G Fraction F Retention time (min). Fraction C: 23437 Da (L chain of trastuzumab). Intensity (c ounts ). Intensity (counts). Retention time (min). Fraction E: 23436 Da (L chain of trastuzumab). Mass (Da). Intens ity (counts). Mass (Da). Fraction D: 50595 Da (H chain of trastuzumab). Fraction F: 55658 Da (Z33-38azide-H chain of trastuzumab). Mass (Da) Mass (Da). Fraction G: 50594 Da (H chain of trastuzumab). 図 3-9. LC-MS を用いた Z33-38azide 結合 IgG の分析結果. UPLC の 逆相カ. ラムによる溶出ピーク(上図) 、MS スペクトル(下図)を示す。 (a)未修飾 Trastuzumab、非還元(b)Z33-38azide 修飾 Trastuzumab、非還元 (c)未修飾 Trastuzumab、還元(d)33-38azide 修飾 Trastuzumab、還元. 51.
(56) 3-3-4. 抗体力価の測定(ELISA) 一般的な抗体修飾方法として汎用的に利用されている方法であるランダムアミンカップ リング法(-Random と記載)は、タンパク質分子の Lys 残基にランダム修飾される方法で あり、抗体の抗原結合部位やその近辺に修飾基が結合する可能性がある。そのため、修飾 前の抗体が持つ抗原結合力を低下させてしまう可能性がある。一方、CCAP 法は抗体(IgG) の Fc 特異的に修飾を行う方法であり、ランダムアミンカップリング法と比較して、抗原結 合部位に影響を及ぼしにくいと考えられる。 この効果を確かめるため、ELISA 法を用いて、Biotin 修飾を行った抗体の抗原への結合 力を比較した。ここでは、第 4 章「CCAP 法の免疫測定法への応用」にて用いる抗体であ る、抗 IgE 抗体および抗 CA19-9 抗体について検討を行った。 まず、各抗原を ELISA プレートに固定化しておき、各濃度(計 8 段階)に希釈した Biotin 化抗体を加えて、Streptavidin-HRP を用いてシグナルを検出した。その後、各濃度のシグ ナル値をプロットし、4-parameter logistic fitting curve を描き、EC50 を求めた。各抗体 の EC50 値を比較することで、抗体の抗原結合力(力価)の比較を行った。 第 4 章「CCAP 法の免疫測定法への応用」では IgE の測定に 1 種類のモノクローナル抗 体を用い、CA19-9 の測定には 2 種類のモノクローナル抗体を用いる(3-2-4 参照) 。以下に ELISA 法による各抗体力価の測定結果および EC50 の値を示す(図 3-10 から図 3-12、表 3-3) 。結果として、抗 IgE (5D4) 抗体では 28.3 倍、CCAP 法で Biotin 化した抗体の方が 力価が高く、抗 CA19-9 (G6C8)抗体では 3.2 倍、抗 CA19-9 (H7D1) 抗体では 1.5 倍、 -Random 法で Biotin 化を行った抗体の力価が高かった。. 52.
(57) 図 3-10. ランダムアミンカップリング(Random-)および CCAP 法で Biotin 化を行った抗 IgE 5D4 抗体の力価評価. IgE 抗原固定化プレー. トに各濃度(8 段階)に希釈した抗体を添加し、抗原への結合力価を ELISA 法にて評価した。各濃度で得られたシグナルをプロットし、 4-parameter logistic fitting curve を描き、EC50 を求めた。. 53.
(58) 図 3-11. ランダムアミンカップリング(Random-)および CCAP 法で Biotin 化を行った抗 CA19-9 G6C8 抗体の力価評価. CA19-9 抗原固定化プレ. ートを用いて、各濃度(8 段階)に希釈した抗体を添加し、抗原への結合力価を ELISA 法にて評価した。各濃度で得られたシグナルをプロットし、4-parameter logistic fitting curve を描き、EC50 を求めた。. 54.
(59) 図 3-12. ランダムアミンカップリング(Random-)および CCAP 法で Biotin 化 を行った抗 CA19-9 H7D1 抗体の力価評価. CA19-9 抗原を固定化したプレー. トを用い、 各濃度 (8 段階) に希釈した抗体を添加して、抗原への結合力価を ELISA 法にて評価した。各濃度で得られたシグナルをプロットし、4-parameter logistic fitting curve を描き、EC50 を求めた。. 55.
(60) 表 3-3. ELISA 法により求めた各 Biotin 化 IgG の EC50 値. 56.
(61) 3-3-5. 抗体力価の測定(Biacore) 3-3-4 における ELISA を用いた抗体力価測定に続き、抗体の力価評価を行った。修飾前 (unlabeled)と比べて抗体の力価に差が生じるかを調べる目的で、Biacore を用いた抗原 親和性の測定を行った。Biacore とは表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance: SPR)法を用いて物質間の相互作用を測定する方法である。 本検討では、センサーチップに抗原である IgE または CA19-9 をアミンカップリングに て固定化し、その抗原に対する抗体の親和性を調べた。表 3-4 に IgE 抗原に対する各抗 IgE 抗体の Kd 値一覧を、図 3-13 から図 3-15 にこれらのセンサーグラムを示した。表 3-5 に CA19-9 抗原に対する各抗 CA19-9 抗体の Kd 値一覧を、図 3-16 から図 3-21 にこれらのセ ンサーグラムを示した。2 種類の抗 CA19-9 抗体クローンについて測定を行った。 IgE 抗原の場合の結果は、従来法(-Random)法を用いて修飾した場合、未修飾の抗体 に比べ、約 1/1000 に結合活性が低下していた。一方、CCAP 法を用いて修飾した場合は、 未就職の場合と比較して、結合活性の低下はほぼみられなかった。 CA19-9 抗原の場合、G6C8 抗体においては、未修飾に比べ、従来法(-Random)法、CCAP 法いずれにおいても 1/100 程度に親和性が低下していた。H7D1 抗体においては、未修飾に 比べ、従来法(-Random)法の親和性は低下していたが、CCAP 法の親和性低下はみられ なかった。. Antibody. ka. kd. -1 -1. (M s ) Anti-IgE mAb 5D4 (unlabeled). 3.1 ×10. Random-anti-IgE(5D4)-biotin. 4.0 ×10. CCAP-anti-IgE(5D4)-biotin. 3.3 ×10. 4. 2. 4. Kd. -1. (nM). (s ) 4.8 ×10 5.0 ×10 4.5 ×10. -4. -3. -4. 16 12400 14. 表 3-4. SPR 法により求めた抗 IgE 抗体(5D4)の抗原親和性測定結果(Kd 値)一覧. 57.
(62) 図 3-13. 抗 IgE 抗体(未修飾)の Biacore センサーグラム. 図 3-14. 抗 IgE 抗体(-Random)の Biacore センサーグラム. 58.
(63) 図 3-15. 抗 IgE 抗体(-CCAP)の Biacore センサーグラム. 59.
(64) 表 3-5. SPR 法により求めた抗 CA19-9 抗体(G6C8、H7D1)の抗原親和性測定結果(Kd 値) 一覧. Antibody. ka. kd. -1 -1. (M s ) Anti-CA19-9-G6C8 mAb (unlabeled). 2.7 ×10. Random-anti-CA19-9-G6C8-biotin. 8.6 ×10. CCAP-anti-CA19-9-G6C8-biotin. 1.5 ×10. Anti-CA19-9-H7D1 mAb (unlabeled). 1.5 ×10. Random-anti-CA19-9-H7D1-biotin. 8.6 ×10. CCAP-anti-CA19-9-H7D1-biotin. 9.3 ×10. 4. 3. 4. 4. 3. 3. Kd. -1. (nM). (s ) 1.3 ×10 5.0 ×10 5.8 ×10 8.9 ×10 8.8 ×10 2.3 ×10. -4. -3. -3. -3. -3. -3. 図 3-16. 抗 CA19-9 抗体 G6C8(未修飾)の Biacore センサーグラム. 60. 5 576 395 607 1023 247.
(65) 図 3-17. 抗 CA19-9 抗体 G6C8(-Random)の Biacore センサーグラム. 図 3-18. 抗 CA19-9 抗体 G6C8(-CCAP)の Biacore センサーグラム. 61.
(66) 図 3-19. 抗 CA19-9 抗体 H7D1(未修飾)の Biacore センサーグラム. 図 3-20. 抗 CA19-9 抗体 H7D1(-Random)の Biacore センサーグラム. 62.
(67) 図 3-21. 抗 CA19-9 抗体 H7D1(-CCAP)の Biacore センサーグラム. 63.
(68) 3-4. まとめと考察 CCAP 法に用いるペプチドの実用性を高める目的で Z34C ペプチドの改変を行った。 Z34C 改変型として作製した Z33 は、分子内にシステインを含まないため、ペプチド合成が より簡便になり、さらに、ペプチド試薬の調製における環状構造形成工程が不要になった ことで、ジスルフィド結合形成と分取精製の過程を省くことができるようになった。以上 より、CCAP 法をより簡便な方法に改良することができた。 クリック反応を用いて Z33 に Biotin を付加した Z33-38Biotin と IgG の反応性を確かめ たところ、Z34C と同程度に修飾を行うことができた。よって、今後の免疫測定法における CCAP 法の有用性検討においては、本章の検討によって得られた Z33-38Biotin によって修 飾を行った抗体を用いることにした。 IgG に修飾を行う際、Z34C と Z33-38Biotin の間で最も違いが生じた点は、ペプチドの 修飾効率と反応溶液の pH の関係である。第 2 章に記した Z34C を用いた検討における修飾 率は pH=5.5 > pH=7.4 であったが、本章で行った Z33-38Biotin を用いた際の修飾率は pH=5.5 < pH=7.4 であり、いずれも場合も pH の違いにより顕著に修飾率の差が生じてい る。Z34C または Z33 の修飾における最適 pH が異なる理由として、両者は基本骨格は変わ らないものの、ジスルフィド結合の有無による立体構造の違いが考えられる。. 64.
(69) 第4章 CCAP 法の免疫測定法への応用. 65.
(70) 第4章. CCAP 法の免疫測定法への応用. 4-1. 緒言 本章では、第 3 章において作製した Biotin 化抗体を用いて、疾病の診断等に一般的に用 いられる ELISA 法および、ラテックス凝集法の 2 種の方法をプラットフォームとして免疫 測定法への応用検討を行った。ELISA 法では sandwich-ELISA 法 33,34 を用い、ラテックス 凝集法では RPLA 法(Reversed Passive Latex Agglutination:逆受身ラテックス凝集反応) 35–37 を用いた。それぞれの系において、従来法であるランダムアミンカップリング法また. は CCAP 法を用いて Biotin 修飾を行った抗体を、Streptavidin を介して材料表面に固定化 し、各 2 項目の測定を行った。 測定項目として、1-5.および 1-6.に示した、主にアレルギー疾患の診断に用いられる IgE と、がんマーカーの一種である CA19-9 を用いた。IgE は H 鎖、L 鎖が各 2 本ずつ組み合 わさった構造をしている。今回は IgE の H 鎖に結合するモノクローナル IgG(anti IgE antibody 5D4)を用い、1 分子の IgE を 2 分子のモノクローナル抗体で挟む形で検出を行 う。一方、CA19-9 抗原は特定の糖鎖構造を持った糖鎖抗原であるため、CA19-9 上の異な る糖鎖構造を認識する 2 種類のモノクローナル抗体を用いて、1 分子の CA19-9 を挟む形で 検出を行う。 Sandwich-ELISA、RPLA のそれぞれにおいて測定を行い、部位特異的な抗体修飾法で ある CCAP 法を用いることで感度を上昇させることが可能かどうか検証した。Biotin と Streptavidin の結合は非共有結合ではあるが、Ka ≅ 1013 M-1 程の非常に強い結合を示す 38– 41。第. 3 章において CCAP 法を用いた Biotin 修飾が可能であることを確かめたが、本章で. は Biotin と Streptavidin の結合を用いて、免疫測定法に用いる材料表面に抗体を固定化し、 測定に用いる。. 66.
(71) 4-2. 実験方法. 4-2-1. Sandwich-ELISA ELISA プレート(Nunc-Immuno Module plate Maxisorp; Thermo Fisher Scientific) に炭酸バッファー(50 mM, pH 9.6)で希釈した Streptavidin を 300 ng/well 添加し、4℃、 一晩静置した。1×TBS でプレート洗浄後、plate blocking buffer(100 mM Tris-HCl, 86 mM NaCl, 0.05 % Tween , 0.5 % BSA, pH 7.6) で 4℃、一晩静置しブロッキングを行った。 Biotin 化抗体(-Random or -CCAP)を 150 µg/well 添加し、37 ℃、1 時間インキュベー トした。プレート洗浄後、Human IgE または Human CA19-9 を各濃度で加え、37 ℃、1 時間インキュベートした。プレート洗浄後、HRP 標識抗体を 30 µg/well 添加し、37 ℃、1 時間インキュベートした。プレート洗浄後、TMB 基質を加え(50 µL/well)25℃、30 分間 インキュベートした。0.3 M H2SO4 を 50 µL/ well を加え、発色反応を停止させた後、プレ ートリーダーを用いて 450 nm および 630 nm の吸光度を測定した。 Biotin 化抗体(-Random)は Biotin Labeling kit –NH2(同仁化学研究所)を用い、添 付プロトコルに従って作製した。HRP 標識抗体は Peroxidase Labeling kit-NH2(同仁化 学研究所)を用い、添付プロトコルに従って作製した。. 4-2-2. RPLA 反応用抗体結合ビーズの調製 Streptavidin コートビーズ(Streptavidin Coated Microspheres 1.0 µm; Polysciences) のスラリー60 µL に 1 mL の PBS を加え混合し、スピンダウンした。上清を除去し、PBS で希釈した Biotin 化抗体(20 µg/mL)600 µL を加えてほぐし、2 時間、25℃でローテー トした。 スピンダウン後上清を除き、600 µL の Blocking buffer(0.5 % BSA in PBS, pH 7.4) を加え、 1 時間、 25℃でローテートした。 スピンダウン後上清を除き、1 mL の Blocking buffer を添加しサスペンドした後、再びスピンダウンして上清を除く操作を計 2 回行った。2100 µL の Storage buffer (0.5 % BSA in PBS, 0.08 % NaN3, pH 7.4)を加えサスペンドした後、 sonication を行った。 Biotin 化抗体(-Random)は Biotin Labeling kit –NH2(同仁化学研究所)を用いて、 添付プロトコルに従って作製した。コントロール抗体として、Mouse IgG1 Isotype control (MBL)、InVivoMAb anti-human/rat HER2(Biocell)を同様に Biotin 修飾して用いた。 67.
(72) 4-2-3. RPLA 反応 V 底 96well micro plate に Blocking buffer(0.5 % BSA in PBS, pH 7.4)を加えた(25 µL/well) 。Dilution buffer(0.1 % BSA in PBS, pH 7.4)で希釈した Human CA19-9 また は Human IgE を well に添加し、その後 2 倍ずつ計 7 段階の希釈を行った。各 well に抗体 結合ビーズスラリーを 25 µL ずつ添加した。シェイカーで 1 分間混和した後、25℃、一晩 インキュベートし、凝集像を観察した。. 68.
(73) 4-3.. 実験結果. 4-3-1. Sandwich-ELISA による IgE の測定 ELISA プレートに Streptavidin をコートし、その上に CCAP 法またはランダムアミン カップリング法(-Random)にて Biotin 修飾を行った抗体を添加し、Streptavidin と Biotin の相互作用を利用してプレートに抗体を固定化した。その後、段階希釈を行った計 8 点の 濃度の抗原(IgE)を添加し、HRP 標識抗体を用いて検出した。今回の検討に用いた系の 模式図を図 4-1 に示す。. 図 4-1. Sandwich-ELISA を用いた IgE 測定系の模式図. 69.
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