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蛍光抗体間接法による伝染性軟属腫患者血清中の抗ウイルス抗体の検出

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( 東 女 医 大 誌 第54巻 第8

号)

頁 706-712 昭和59年8月J

蛍光抗体間接法による

伝染性軟属腫患者血清中の抗ウイルス抗体の検出

川 上

東京女子医科大学皮膚科学教室(主任:肥田野信教授〉

コ 子

げ 理

( 受 付 昭 和59年6月 7日〉

Detection and Titeration of Virus-Specific-Antibodies in Serum of Patients with Molluscum Contagiosum

by Means of Indirect Immunofluorescent Study Michiko K A W AKAMI

Department of Dermatology (Director: Prof. Akira HIDANO) Tokyo Wom巴n'sMedical College

Molluscum contagiousm (MC) is a common viral dermatosis among children, but little is known about its immunity. About 10 percent of cases develop an eczematous reaction surrounding the MC lesions and this is supposed to be the clinical expression of immunity. And recently several cases of spontaneous remission of MC lesions are reported and in these cases also immunity is suggested.

In order to study the humoral immunity of MC, sera of ten children suffering from MC were examined by means of indirect immunofluorescent study. The titer of the antibodies was compared with the clinical parameters of MC such as severity and inflammation. As control, ten children with no histry of MC were examined by the same method.

The results were as follows.

1. In all MC patients, the serum antibodies were detected: IgG was positive in 9 cases (90%), IgM 6 (60%), IgA 1 (10%) and IgE 1 (10%), whereas IgD was detected in none. In contrast, the control group showed no positive reactions. No correlation was found with the age of the patients and extent of skin involvement. 2. Three patients with clinically inflammed MC showed high M C virus-specific-antibody titers as compared with patients having MC without inflammation. 3. The positive reaction to virus-specific-IgM was found in patients with a history of M C less than 3 months duration. 緒 言 Molluscum contagiosum (以下MCと略〉は M Cウイルス感染によっておこる皮膚の良性ウイ ルス性疾患で,主として幼児が擢患しそのピーク は4-5歳にみられる. M Cウ イ ル ス は ボ ッ ク ス ウ イ ル ス 群 に 属 す る DNAウイルスで,成熟すると亜鈴型のコアを有 し, 300

x

200

x

100nmのレンガ型を呈するヒトに 感染する最大のウイルスである.現在のところの このウイルスはヒト以外の動物に感染させること は難しく,組織培養中で増殖させることにも成功 していない.感染様式はヒトーヒトの直接感染に よるものが大部分で,恐らくウイルスは毛孔また は傷口より侵入し,表皮基底細胞に感染すると考 えられる.即ち,電顕的観察によればその感染様 式は他のボックスウイノレス群とほぼ同様で, pinocytosisに よ り 細 胞 内 に と り こ ま れ た ウ イ ル ス粒子は宿主細胞の消化酵素によって外皮を脱ぎ 一706

(2)

(五rststage of uncoating), コアが露出される. 露出されたコアの中で,コアが保有するDNA依 存RNA合 成 酵 素 に よ り 初 期 メ ッ セ ン ジ ャ ー RNA (mRNA)の合成が開始され,合成された mRNAはコアの外に遊出して初期蛋白の合成が 関 始 さ れ る . そ の 後 コ ア 膜 も 分 解 さ れ (second stage of uncoating), DNAが細抱質中に放出さ れ,本格的に初期mRNA合成,初期蛋白合成と DNA合成が開始される.DNA合成が進行するに ともない後期mRNAお よ び 後 期 蛋 白 が 合 成 さ れ, ウイルス粒子が組み立てられてし、く.組織培 養においてはヒ卜表皮細胞, Vero細 胞 な ど で first stage of uncoatingまで観察できるが,その 増殖までは成功していない. M Cの免疫に関してはPinkusらの接種実験以 来,遅延型アレルギ一反応の関与が推論されてき た.近年M Cの自然消槌現象を観察した報告がし、 くつかあり, この際にも細胞性免疫の関与が主張 されている. 一方,液性免疫にしても患者血清中にウイルス 特異抗体を認めた報告はあるが,特異抗体と皮診 の状態との関連につき詳細に検討した研究はな い.そこで液性抗体と皮疹との関係を調べる目的 で,蛍光抗体間接法を用いて患者血清中の抗ウイ ルス抗体の検出と抗体価の測定を行なった. 実験および方法 1.実験材料 対象としたのは東京女子医科大学病院皮膚科外 来を昭和59年2~ 3月の聞に受診した 6歳以下の 小児で, MC感染児10名(男6名,女4名〉及び同 年齢層のMCの既往のない児10名(男 7名,女 3 名〉である.採血は受診時に行ない,血液一般検 査と免疫グロプリン定量(IgG,IgA, IgM,以上は レーザーネフロイムノ法, IgEはRIST法にて測 定〉を行ない,一方,蛍光抗体用として分離した 血清は使用まで-800 C凍結保存した.この血清は 使用直前に室温にて融解後, 560 C30分間恒温槽中 で加温し非働化して用いた. 基 質 と し て 多 発 性M C患者皮膚よりトラコー マ摂子で、採取したM Cを各数コずつOCT com-poundで包埋し, -80o C凍結保存したものを使用 した

抗血清はFITC標識抗ヒト IgG,IgA, IgM, IgD

血清(免疫動物ウサギ〉はいずれも DAKO社製 (molar F /P ratio2.3)を,同抗ヒト IgE血清(免 疫動物ヒツジ〉はCappel社製 (F/P ratio4.30 mg/g)を用い,いずれも使用に際しては10倍希釈 液を用いた. 2. 方法 まずクリオスタットで-20o

C

の低温下で基質の 4μ凍結切片を作製し,卵白アルブミンを塗布した 無蛍光スライドグラスに貼布した.これをphos -phate bu任eredsaline(以下PBSと略〉で10分間 ずつ3回,毎回PBSをかえて振量洗浄した.次に 被検血清の原液と10倍, 20倍, 40倍, 80倍, 160倍, 3201倍, 640倍PBS希釈液を基質上にかけ,湿箱内 で3TC 30分間インキュベートした後,再びPBS で10分 間 ず つ 3分 間 振 量 洗 浄 し た . 基 質 上 に FITC標識抗血清をかけ,再び湿箱内で3TC30分 間インキュベートした.最後にPBSで10分間ず つ3回振量洗浄した後,緩衝グリセリン液で、封入 し,直ちにオリンパス社製落射型蛍光顕微鏡にて UVフィルターを使用して観察した. 結 果 1.対照児における蛍光抗体所見 まずコントロール児 (4 カ月 ~4 歳) 10名では 全例陰性で,免疫グロプリンIgG,Ig,AIgM, IgD,

IgE共沈着を認めなかった(表1).

2

.

MC児における蛍光抗体所見

次にMC児10例中で陽性を示したのはIgG9 例, IgM 6例, IgA 1例, IgE 1例であった.IgD

は全例陰性であった.

蛍光抗体所見をIgG,IgM, IgA, IgEで比較し てみると, IgGが最も著明で蛍光も強く密な粒子 状に認められるが, lgMでは筒状, IgAではレー ス状で蛍光も弱く, IgE もごく~~\,、蛍光で網目状 に認められた(写真1,2, 3).

3

.

皮疹の程度と抗体価との関連 MCの皮疹の程度と抗体価との関連について検 討するため,まず皮疹の数により MCの程度を3 段階に分け, 1 ~19 コを十, 20~49 コを斗十, 50コ 以上多発したものを+仲とした.皮疹+の

4

例につ 707ー

(3)

表1 コントローノレ群の抗体価 抗体価 症例 年 齢 性別 病 名 IgG M A DIE 1 1 4ヵ月 男 乳児湿疹 2 1 7ヵ月 男 乳児湿疹 3 1歳 女 乳児湿疹 4 3歳 男 脱 毛 症 5 4歳 男 アトピ 性皮膚炎 6 4歳 男 アトピー性皮膚炎 7 4歳 男 7トピー性皮膚炎 8 4歳 男 血 管 腫 9 4歳 女 尋常性魚鱗癖 10 4歳 女 アナフィラド紫斑病Fトイ 写真1 症 例9の 蛍 光 抗 体 間 接 法 に よ るIgG陽 性 所 見.軟属腫小体に一致して明らかな蛍光を認める. (x 200) 写真2 症例9のIgA陽性所見.軟属腫小体の表面に レース状に蛍光をみる.(x 200) 写真 3 症 例10のIgM陽 性 所 見 軟 属 腫 小 体 に一致し て淡い筒状蛍光を認める.(x 200) いてみると陽性はIgGは全例, IgMでは2例 で あった.そして IgG抗体価は症例

3

の1例のみ

8

0

倍と高値を呈し,他の

3

例は

1-10

倍であった. 高抗体価を示した症例3は臨床的には炎症症状を 伴なっていた.皮疹十十の2例はし、ずれも炎症も伴 わず,陽性所見はIgGのみで抗体価は

2

0

倍であっ た.皮疹十件の 4例ではIgGが3例, IgMは全例,

IgAとIgEがl例陽性であった.IgG抗体価は症

8

3

2

0

倍,症例

9

1

6

0

倍と高値を示したが, 臨床的にみるとこの

2

例共炎症症状を伴ったM C であった (表

2

)

.

4.炎症の有無と IgG抗体価 以上より M CのIgG抗体価は皮疹の程度では なくむしろ炎症の有無と関連するのではないかと 表2 M C群の抗体価 抗 体 価 症例年齢 性別 現病歴 皮疹炎症 IgG M A D E 1 1 4歳 男 1ヵ月

+

X1 X1 214歳 女 2-3ヵ月

+

X10 315歳 女 5ヵ月

+

+

X80 416歳 女 2-3ヵ月

+

X10X1 515歳 男 7ヵ月 十十 x20 615歳 男 2-3ヵ月 +十 x20 711歳 女 3ヵ月 -ttt x1 x1 814歳 男 3ヵ月 +朴

+

x320 x1 915歳 男 2ヵ月 +件

+

x 160x1 x1 x1 10 6歳 男 2ヵ月 判+ x1 708ー

(4)

抗 体 価 現 病 歴 IgG IgM 1M X1 X1 2M X160 X1 λF X1 2-3M x 10 11 X20 11 X10 X1 3乱f x320 x1 ゲ x1 x1 5M x80 7M x20 M Cの濯患期間と抗体価 表4 炎症(+)群と炎症〔ー〉群の抗体価の比較 抗 体 価 症例年 齢性別 現病歴 皮疹 IgG M A D E 315歳 女 5ヵ月 + x80 814歳 男 3ヵ月 +朴 x320 x1 91 5歳 男 2ヵ月 十廿 X160 x1 x1 〉く1 一一一」一一一一 一一一一一よ一一一一 表3 炎症(十〕群 認められたが, IgMは皮疹出現後3カ月までの症 例で揚性であった(表4).なお症例8では擢患3 カ月後と 3カ月半後に抗体価を測定したが 3カ 月半後ではIgM抗体は消失していた.

6

.

アトピー性皮膚炎との関係 今回対象としたM C児をアトピー性皮膚炎の 有無で分けてみると,アトピー性皮膚炎児にM C の皮疹+仲のものが多く, しかも擢患期聞が2-3 カ月で炎症症状を生じていることがわかった.ま た予測されるごとくアトピー性皮膚炎児では血中 好酸球数,血清IgE値の高値がみられた(表5). 次に今回検査したアトピー性皮膚炎児について 抗 体 価 症例年 齢 性別 現病歴 皮疹 IgG M A D E 114歳 男 1ヵ月

+

x1 x1 214歳 女 2-3ヵ月

+

x10 416歳 女 2-3ヵ月 十 x10 x1 515歳 男 7ヵ月 十十 X20 615歳 男 3ヵ月 十十 x1 x1 7 1 1歳 女 2ヵ月 十件 x1 10 6歳 男 2-3ヵ月 十汁 x20 炎症(ー)群 予想されたため,症例を炎症の有無で分類してみ る と , 果 し て 炎 症 ( + ) 群 で はIgG抗 体 価 は 80-320倍と高いのに対し,炎症(一〉群ではIgG 抗体価は1-40倍と,明らかに前者の方が後者に 比し, IgG抗体価の上昇を認めた〔表3). 5. M C擢患期間との関係 次にM Cの擢患期間と IgG,IgM抗体との関係 をみると, IgG抗体はM Cの躍恵期間に関係なく アトピー性皮膚炎(+)群と(-)群の比較 抗体価 EOS (mIgg/Gdl〕 A M E 症例 年 齢 性別 皮疹 現病歴 炎症 WBC % (mg/dJ)(mg/dJ)(IU/mO IgG IIgM 4 6歳 女 十 2-3M x 10 x1 7.600 6 960 104 142 1.087 7 1歳 女 十件 3M x1 x1 9.600

1.042 138 23 44 8 4歳 男 十朴 3M + x320 x1 7.500 6 702 112 90 129 9 5歳 男 十件 2M + x 160 4.900 7 971 131 122 1.775 10 6歳 男 +什 2M x1 7.900 13.5 1.258 98 91 1.255 表5 AD(十〉群 918 207 128 379 AD(ー〕群 -709 唱 iη41υFhdpo

(5)

MC(+)群 表6 アトピー性皮膚炎児の MC(十)群と(-)群の比較 症 例 年齢 性別 M C WBC Eos % (mI立E/Gdl〕(mg/d]) (mg/dIA M )CIU/E mj) 4 6歳 女 十 7.600 6 960 104 142 1.087 8 4歳 男 +仲 7.500 6 702 112 90 129 9 5歳 男 十仲 4.900 7 971 131 122 1. 775 10 6歳 男 十仲 7.900 13.5 1.258 98 91 1.255 MCCー)群 剛 剛 剛 ・ 圃E守 -1) 2) 3) ︼ 戸 qtuq 合 υ v i ハ H U ハ H U -ょ 1 よ

MC

(+)群と

MC

(-)群につき血液検査及び免 疫グロプリン値を比較してみると,

MC(+)

児が

MC(-)

児に比し,血中好酸球数,血清

I

g

G

値及 び

I

g

E

値の上昇傾向を認めた(表

6)

.

考 察

MC

の液性免疫に関しては

1

9

3

7

B

r

a

i

n

1 )は患 者血清中に抗体を証明することはできなかったと し,

MC

病変部より作製したワクチン注射は無効 であったと報告した.1凹95臼3年にいたつて

Mi

t

c

h

陀凶

e

1

1

1

1

l ら 陽性でで、あつたとし, この3例はいす守れも外陰部に 多発した

MC

で,躯幹に多発したものでは抗体は 陰性であったと報告している.また

MC

の補体結 合抗体は可溶性で,56'Cで

1

時間加熱すると破壊 消失し, 4

'

c

で保存すると徐々に消失し 6週で 大部分、消失する性質があるとした.

MC

病変部抽 出液の遠心上清を無菌的に週一回を 4週にわたり (初回

0.5ml

,以後1

m

l)接種したところ,局所的 ならびに全身性の反応は認められなかったが,補 体結合抗体価の上昇が認められた.しかし抗体価 は

4-8

倍と低かった.一方

MC

の補体結合抗体 を有する患者血清を痘癒,牛痘及びニワトリ痘抗 原と交又補体結合反応を施行したが,これらの ボックスウイルスとの交又反応は認められなかっ た

1

9

6

1

E

p

s

t

e

i

n

ら3)は

MC

病変部より作製した 組抗原を用いてゲル内沈降反応

(

O

u

c

h

t

e

r

l

o

n

y

法〉 を行ない,

MC

患者

2

1

例中

9

(

4

3

%

)

に沈降線を 生じたが,正常児11例では沈降線を生じたものは 1例もなかったと報告し,中でも皮疹数の多いほ ど沈降線は著明であるとした.また成人例

7

3

例で、 は8例 (11%)に陽性がみられたが, この中には 内臓悪性腫虜,多発性骨髄腫,肝炎などで γグロ プリン高値の患者が含まれ

f

a

l

s

ep

o

s

i

t

i

v

e

の反応 と考えられた.本邦では

1

9

6

8

年,

1

9

6

9

年 に 谷 垣 ら州が同様にゲル内沈降反応、で

MC

患者

1

2

例中

3

(25%)

に血中抗体を証明しているが,抗体 価は2- 4倍と低かった.赤血球凝集反応に関し てはまだ陽性の成績が得られていないが,中和抗 体に関しては

1

9

6

1

Chang

&

W

e

i

n

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t

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i

n

6)

MC

患者

4

例中

3

(75%)

に陽性であったとしたが,

1

9

6

2

Neva

ら7)の4例における追試では中和抗 体は検出されなかったとしている. 蛍光抗体間接法による血中抗体の検出は,

1

9

6

2

E

p

s

t

e

i

n

ら8)によるものが最初で,

MC

患者

1

8

例 中

1

6

(

8

9

%

)

に陽性で,非擢患者はすべて陰性 であり,特異蛍光は

MC

小体を含む有練層 頼粒 層に認められるが,時に角層においてケラチンに 対する非特異蛍光がみられることを報告した.そ してその結果を

O

u

c

h

t

e

r

l

o

n

y

法 と 比 較 し 後 者 で は

MC

患者

4

0

例中

1

5

(

3

8

%

)

と陽性率も低く,

f

a

l

s

e

p

o

s

i

t

i

v

e

反応があるに比し,前者では特異度 も鋭敏度もすぐれ,抗体検出法として最適である と述べている.この特異抗体は

MC

患者との接触 者で上昇することはなく,皮疹が出現して始めて 上昇する.しかしその抗体価は低く, しかも皮疹 治癒後に急速に消失すると述べている.

1

9

7

7

S

h

i

r

o

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a

r

i

a

ら9)は

MC

患 者

6

7

名 に つ い -710ー

(6)

て 蛍 光 抗 体 間 接 法 に て 患 者 血 清 中 のIgG,IgA, IgM抗体の検出を行ない,その結果検出率は69% で, うち IgGは39例(58%),IgMは20例(30%), IgAは7例(10%)であったとしている.これら の抗体はM Cの曜患期聞が短い新鮮例ほど(こと に6カ月以下〉認められた.また蛍光抗体法によっ ても M Cウイルスと他のボックスウイルスー痘 清, ウサギ痘,マウス痘ウイノレスーとの交又がな いことを認めた.IgG, IgMの蛍光抗体所見を比較 すると IgGが最も著明に認められ,封入体内に密 な粒子の集合としてみられるのに対し, IgMは筒 状にみられ,この染色性の違いはM Cウイルスの 異なった抗原に対する反応として考えられるとし た. しかし, Epsteinらも Shirodariaらも血中抗体 が陽性か陰性かの判定のみで,抗体価の測定まで は行なっておらず,また皮疹との関連につき検討 を加えたのは自験例が最初である. 自家成績と上記2者のデータを比較すると,ま ず陽性率に関して自験例では100%でShirodaria らの69%をはかるに上まわっており,この中, IgG は90%とShirodariaらの58%を上まわり, IgM も60%と後者の30%を上まわっているが, IgAは 10%と同率であった.なおIgD,IgE に関しては Shirodariaらは行なっていないので比較できな い.これらIgG,IgMの陽性率の違いは使用した 抗血清の違いや対象とした患者の年齢及び擢患期 間 の 差 に よ る の で は な い か と 考 え ら れ る . ま た Epsteinらの陽性率89%は自験例IgGの90%にほ ぼ一致する. 次に抗体価と皮疹との関連について従来の研究 では言及されていないが,今回データで皮疹の程 度(数〉との関連は認めず,むしろ皮疹に炎症を伴 なう症例にIgG抗体価の上昇を証明し得た.炎症 を伴なう M CにおいてはM C小 体 を 含 む 表 皮 構 造の破壊が認められ,それに伴う周囲のリンパ球 を主体とする強い細胞浸潤を認め,肉芽腫様を呈 するものもある10)1九 こ の よ う な 炎 症 反 応 は 表 皮 破壊に伴って表皮の成分であるケラチン,皮表脂 質などの他, M Cウイルス自体が真皮内に入るこ とにより惹起された現象で、あり,その結果として ウイルス特異抗体の産生されることは当然予想さ れる.それが今回蛍光抗体間接法によって証明さ れたことになる. 一 般 に ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 児 にM C感染の多い ことはひろく知られており,その原因として免疫 学 的 素 因 が 重 要 な 役 割 を 演 ず る と い わ れ , 血 清 IgE値の高値,血中のIgG

FcR陽性T細胞の減 少, リンパ球のmitogenに対する反応の低下,頼 粒球,単球のchemotaxisの低下に加え,

K

リン パ球に関連したADCC(antibody-dependent cel -lular cytotoxicity)能の低下が皮膚におけるウイ ルス,真菌などの感染をおこしやすくしている可 能性が指摘されている12) 今回対象としたアト ピー性皮膚炎児でもM Cの多発傾向が認められ, またMC(+)とMC(-)群の比較では, MC( +) 群で血中好酸球の増加を認め, MC( -)群に比し, IgG, IgE値の高い傾向のみられたことは疫学的 見地からも興味深い. 結 盟関口 蛍光抗体間接法を用いて M C患 者 血 清 中 の 抗 ウイルス抗体の検出を行ない,以下の結果を得た. 1)陽性率は100%で, M C患者10例中IgGは9 例(90%),IgMは6例(60%),IgAは1例(1%), IgDはO例 (0%), IgEは1例(10%)に陽性所 見を得た.なおMC(一〉のコントロール児で、はす べて陰性であった. 2)M C児10例中,臨床的に炎症所見のみられた 3例においては著明なIgG抗 体 価 の 上 昇 を 認 め た 3) IgM抗体陽性は皮疹出現後3カ月までの新 鮮例でみられた. 以上より M Cの 蛍 光 抗 体 間 接 法 は す ぐ れ た 抗 ウイルス抗体検出法であり, M C における炎症反 応によって抗体の上昇することが証明された. 稿を終るにあたり,御指導,御校聞を賜わりました 肥田野信教授に深謝致します. (本論文の要旨は日本皮膚科学会第610回東京地方 会で発表した.) 文 献 1)Brain, R.T.: The treatment of virus diseases

(7)

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表 1 コントローノレ群の抗体価 抗体価 症例 年 齢 性別 病 名
表 6 アトピー性皮膚炎児の MC( 十)群と(‑)群の比較

参照

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