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博士論文審査報告書

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Academic year: 2022

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早稲田大学大学院理工学研究科

博士論文審査報告書

論   文   題   目

Low Cost Test Methodologies for System-on-Chip Design Using Test Data Compression and Built-In Self-Test

テストデータ圧縮およびチップ組込みテスト手法を用 いたシステムオンチップ設計に対する低コストテスト 手法の研究

申    請    者

Youhua Shi 史  又華 氏    名

電子・情報通信学専攻  設計解析システム研究 専攻・研究指導

(課程内のみ)

2005 年   3 月

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近 年 の LSI の 高 集 積 化 に よ り 、情 報 シ ス テ ム の 機 能 を 1 チ ッ プ に 集 積 す る シ ス テ ム オ ン チ ッ プ (System on Chip, SoC) の 実 現 が 可 能 と な っ た 。SoC で は 、 機 能 モ ジ ュ ー ル を 複 数 集 積 す る の で 、 設 計 の 複 雑 化 は も と よ り 、 故 障 箇 所 の 増 加 に 伴 い 、 製 造 後 の チ ッ プ の 故 障 テ ス ト が 複 雑 に な り 、 テ ス ト の た め の 時 間 も 大 き く な る 。 製 造 故 障 テ ス ト は す べ て の チ ッ プ に 対 し て 行 わ れ る の で 、1 回 で 終 わ る 設 計 に 比 較 し て 、 テ ス ト の 複 雑 化 の 及 ぼ す 影 響 は 大 き く 、 テ ス ト デ ー タ の サ イ ズ お よ び テ ス ト 時 間 の 削 減 に 対 す る 要 求 が 強 い 。そ こ で 本 研 究 で は 、SoC の テ ス ト の 問 題 、 と く に テ ス ト デ ー タ の サ イ ズ や テ ス ト 時 間 な ど の テ ス ト コ ス ト の 削 減 に 取 り 組 み 、 外 部 テ ス ト 装 置 、 組 込 み ハ ー ド ウ ェ ア 、 テ ス ト 手 法 を 全 体 的 に 最 適 化 す る こ と を 目 的 と し て い る 。 本 論 文 は 、 テ ス ト コ ス ト の 削 減 の た め に 、 テ ス ト デ ー タ 圧 縮 法 と 組 込 み テ ス ト (Built-In-Self-Test, BIST) 手 法 お よ び こ れ ら を 組 合 せ た SoC に 対 す る テ ス ト の た め の 設 計 手 法 (Design-for-Test, DFT) に 関 す る 著 者 の こ れ ま で の 研 究 成 果 を ま と め た も の で あ る 。

第 1 章 “Introduction” で は 、 製 造 故 障 テ ス ト に 関 す る 基 礎 的 な 事 項 の 導 入 を 行 い 、 テ ス ト の コ ス ト を 上 昇 さ せ る さ ま ざ ま な 要 因 を 解 析 し 、 本 研 究 を 行 う 背 景 と 動 機 に つ い て 述 べ 、 本 研 究 の 目 的 と 位 置 づ け を 明 ら か に し て い る 。

第 2 章 “Test Data Reduction through Compression” で は 、 シ ス テ ム 設 計 の 観 点 か ら 、SoC の テ ス ト に お い て 本 質 的 問 題 で あ る 膨 大 な テ ス ト デ ー タ 量 を 削 減 す る こ と を 目 的 と し た 、SoC の テ ス ト の た め の 設 計 手 法 (DFT 手 法) に つ い て 述 べ る 。 提 案 手 法 は 、 回 路 内 部 の レ ジ ス タ を 外 部 か ら 制 御 ( 観 測 ) 可 に す る ス キ ャ ン パ ス 法 に 基 づ い て い る 。 ま ず シ ン グ ル ス キ ャ ン パ ス に つ い て は 、 ス キ ャ ン の 順 序 を 最 適 化 し て 、 な る べ く 同 じ 値 が 連 続 す る よ う に す る 。 こ れ に よ り 、 デ ー タ と し て は 、 最 初 の 値 と 連 続 す る 長 さ だ け を 記 憶 す れ ば よ い 。 あ る 故 障 を テ ス ト す る 入 力 パ タ ー ン は 、 デ ー タ 値 0, 1 と 0 で も 1 で も 良 い 不 定 値 X を 含 む が 、 実 際 に 印 加 す る パ タ ー ン で は 、X は 0, 1 の ど ち ら か に 決 め ら れ る 。ス キ ャ ン 順 序 の 最 適 化 時 に は 、 連 続 す る 値 が 最 大 に な る よ う に X を 0, 1 に 変 換 す る 。 提 案 手 法 で は 、 こ の ス キ ャ ン 順 序 の 最 適 化 を 制 約 グ ラ フ の カ ラ ー リ ン グ 問 題 に 帰 着 し て 、 節 点 数 の 3 乗 と テ ス ト パ タ ー ン の 数 の 積 に 比 例 し た ヒ ュ ー リ ス テ ィ ッ ク ア ル ゴ リ ズ ム を 適 用 し て い る 。 本 手 法 を ベ ン チ マ ー ク 回 路 に 適 用 し 、57.6% −88.1% の 圧 縮 率 が 得 ら れ る こ と を 示 し て い る 。

つ ぎ に マ ル チ ス キ ャ ン に 関 し て は 、テ ス ト パ タ ー ン 中 の 0, 1 の 出 現 確 率 の 低 い ビ ッ ト デ ー タ に 着 目 し 、 高 い 方 の 値 を 初 期 値 と し て 、 低 い 方 の ビ ッ ト デ ー タ の 位 置 を 符 号 デ ー タ と し て 用 い る LSLC (Low Specified Low Coding) 符 号 化 法 と 、 チ ッ プ 内 に 埋 め 込 む こ と が 可 能 な 小 型 復 号 回 路 ( ス キ ャ ン チ ェ イ ン 毎 に XOR ゲ ー ト 一 つ と 選 択 回 路 (Multiplexor, MUX)一 つ ) に 基 づ く テ ス ト デ ー タ 圧 縮 法 を

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提 案 し て い る 。 こ れ ま で の 圧 縮 法 が す べ て の ビ ッ ト デ ー タ を 符 号 化 す る の に 対 し て 、LSLC で は 必 要 な 部 分 の ビ ッ ト デ ー タ し か 符 号 化 し な い の で 効 率 が 良 い 。 手 法 の 評 価 で は 、 ま ず テ ス ト パ タ ー ン 中 の X, 0, 1 の 割 合 の 異 な る テ ス ト セ ッ ト に 対 し て LSLC を 適 用 し 、 圧 縮 率 の 解 析 を 行 っ て い る 。 つ ぎ に 、 テ ス ト 用 ベ ン チ マ ー ク 回 路 へ 本 手 法 を 適 用 し 、 他 の 手 法 と の 比 較 を 行 っ て い る 。 さ ら に 、 本 手 法 を 企 業 等 で 設 計 さ れ て い る よ り 大 規 模 な 回 路 に 適 用 し て 評 価 を 行 っ て い る 。 大 規 模 回 路 へ の 適 用 で は 、テ ス ト パ タ ー ン 中 の 不 定 値 の 割 合 が 大 き く な る た め 、LSLC 法 が 有 効 に 働 き 、 通 常 の 10 倍 程 度 の 圧 縮 率 が 得 ら れ る こ と を 示 し て い る 。

第 3 章 “Test Data Reduction in BIST” で は 、圧 縮 法 単 体 で は な く 、チ ッ プ の テ ス ト で 用 い ら れ る 外 部 テ ス ト 装 置 (Attached Test Equipment, ATE) を 考 慮 し た テ ス ト デ ー タ の 圧 縮 法 を 提 案 し て い る 。 テ ス ト デ ー タ の 圧 縮 法 は 、 テ ス ト の コ ス ト を 下 げ る の に 有 益 で あ る が 、 圧 縮 法 の 適 用 可 能 性 は 、 ATE の 性 能 に 大 き く 依 存 す る 。 そ こ で 、ATE へ の 依 存 を 下 げ 、 低 機 能 の ATE で も 適 用 で き る よ う に 、 テ ス ト デ ー タ の 圧 縮 法 と チ ッ プ 内 組 込 み テ ス ト 手 法 (BIST) の 融 合 に 関 す る 研 究 を 行 い 、 新 し い 融 合 手 法 を 提 案 し て い る 。 本 手 法 は 、ATE で 記 憶 す る 必 要 が あ る テ ス ト パ タ ー ン の 数 を 削 減 す る た め に 、 テ ス ト パ タ ー ン の 一 部 を 線 形 フ ィ ー ド バ ッ ク シ フ ト レ ジ ス タ (Linear Feedback Shift-Register, LFSR) を 用 い て 内 部 で 自 動 生 成 す る も の で あ る 。 と く に 、LFSR で 生 成 さ れ る パ タ ー ン を 途 中 で ス キ ッ プ す る リ シ ー デ ィ ン グ 手 法 に よ り 効 率 化 を 行 っ て い る 。 リ シ ー デ ィ ン グ の 最 適 化 に は シ ミ ュ レ ー テ ィ ッ ド ア ニ ー リ ン グ 法 を 適 用 し て い る 。本 手 法 に よ り 、ATE の 使 用 メ モ リ 量 、ATE か ら チ ッ プ へ の デ ー タ 転 送 時 間 、デ ー タ チ ャ ネ ル 幅 の 削 減 を 達 成 し て い る 。 本 提 案 手 法 で は 、 パ タ ー ン 数 の 削 減 だ け で な く 、LFSR の 機 能 に よ り 、オ リ ジ ナ ル の パ タ ー ン 以 外 の パ タ ー ン が 回 路 に 入 力 さ れ る 場 合 が 発 生 し 、 多 く の 回 路 で 故 障 検 出 能 力 の 向 上 が 見 ら れ る 。ま た 、ATE か ら パ タ ー ン を 与 え る の に 比 較 し て 、BIST で は よ り 高 速 に パ タ ー ン を 印 加 で き る の で 、 テ ス ト パ タ ー ン 数 の 増 加 は 影 響 が 少 な く 、BIST と の 融 合 で 、 テ ス ト 時 間 を 大 幅 に 削 減 可 能 で あ る 。 種 々 の 規 模 の 回 路 デ ー タ に 対 す る 適 用 に よ り 、 本 手 法 に よ る テ ス ト 時 間 の 削 減 率 や テ ス ト パ タ ー ン の 圧 縮 率 、 ハ ー ド ウ ェ ア 量 の 評 価 し て い る 。 と く に テ ス ト デ ー タ 量 は 、 提 案 手 法 に よ り 30 – 84 % の 削 減 効 果 を 得 て い る 。

第 4 章 “Entropy Analysis for Test Data Compression” で は 、 テ ス ト パ タ ー ン の 圧 縮 法 の 理 論 的 な 解 析 を 行 う た め に 、 圧 縮 率 の エ ン ト ロ ピ ー に 基 づ く 解 析 手 法 を 提 案 し 、 そ れ を 用 い て 種 々 の テ ス ト デ ー タ 圧 縮 法 の デ ー タ 圧 縮 率 を 比 較 し て い る 。 本 手 法 は 、 不 定 値 X を 含 ま な い テ ス ト パ タ ー ン に 対 し て 、 そ れ を 適 当 な 長 さ で 分 割 し て 符 号 化 を 考 え 、 そ の 符 号 語 の 生 起 確 立 で エ ン ト ロ ピ ー を 定 義 す る も の で あ る 。 実 際 の テ ス ト パ タ ー ン は 不 定 値 X を 含 む の で 、 符 号 の 生 起 確 率 が な

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る べ く 不 均 一 に な る よ う な X の 0, 1 へ の 変 換 を 行 う 。そ の 後 、エ ン ト ロ ピ ー の 解 析 を 行 う 。 こ の エ ン ト ロ ピ ー は 、 通 信 で 用 い ら れ る エ ン ト ロ ピ ー と 同 様 、 デ ー タ 集 合 が 持 つ 情 報 量 を 表 す 。 ど の よ う な 圧 縮 法 を 考 え て も 、 含 ま れ る 情 報 量 以 下 に は 圧 縮 す る こ と は で き な い の で 、 提 案 手 法 で 求 め た エ ン ト ロ ピ ー は 達 成 可 能 な 圧 縮 法 の 理 論 的 な 限 界 値 を 示 し て い る 。 こ こ で は 、 提 案 手 法 で 得 ら れ た エ ン ト ロ ピ ー 解 析 に 基 づ く 圧 縮 率 と 、 こ れ ま で に 提 案 さ れ て い る 圧 縮 法 の 圧 縮 率 の 比 較 評 価 を 行 っ て い る 。 こ の エ ン ト ロ ピ ー 解 析 は 、 テ ス ト パ タ ー ン を あ る 長 さ で 分 割 し て 符 号 化 す る 手 法 を 仮 定 し て い る の で 、 異 な る 符 号 化 法 に 基 づ く 手 法 と の 直 接 的 な 比 較 は 困 難 で は あ る も の の 、 圧 縮 ア ル ゴ リ ズ ム の 評 価 指 標 の 一 つ と し て 用 い る こ と が で き 、 本 論 文 に お い て 提 案 し た 解 析 手 法 は 今 後 の 圧 縮 ア ル ゴ リ ズ ム の 構 築 に お い て 有 益 で あ る と 考 え ら れ る 。

第 5 章 “Conclusions and Future Works” で は 、本 論 文 の 成 果 を ま と め る と 同 時 に 今 後 の 研 究 課 題 に つ い て の 考 察 を 行 っ て い る 。

以 上 が 本 論 文 の 概 要 で あ る が 、 本 論 文 で は 複 数 の 機 能 モ ジ ュ ー ル を 集 積 す る こ と で 大 規 模 な シ ス テ ム を 実 現 し て い る SoC の テ ス ト の コ ス ト 削 減 と い う 問 題 に 対 し 、 外 部 テ ス ト 装 置 、 テ ス ト の た め の 組 み 込 み ハ ー ド ウ ェ ア 、 テ ス ト 方 式 の 全 体 を 協 調 し て 最 適 化 す る 手 法 を 提 案 し た 。 こ れ に よ り 、 個 別 技 術 の 相 乗 的 な テ ス ト コ ス ト 削 減 の 効 果 が 得 ら れ て い る 。 と く に コ ス ト に 大 き く 影 響 す る テ ス ト デ ー タ の サ イ ズ 削 減 に つ い て 、 最 簡 に 近 い 組 込 み ハ ー ド ウ ェ ア を 用 い た デ ー タ 圧 縮 法 を 提 案 し て い る 点 、お よ び 外 部 か ら 与 え る デ ー タ と SoC 内 部 で 自 動 的 に 生 成 す る デ ー タ を 融 合 し て 効 率 の 良 い テ ス ト デ ー タ を 生 成 す る 新 た な 手 法 を 提 案 し て い る 点 は 高 く 評 価 で き る 。さ ら に 、理 論 的 な テ ス ト コ ス ト 削 減 手 法 の 提 案 に 留 ま ら ず 、 実 用 的 な 回 路 デ ー タ に 対 し て 提 案 手 法 で 10 倍 程 度 の コ ス ト 削 減 効 果 を 確 認 す る な ど 、本 論 文 の 成 果 は 、今 後 の SoC の テ ス ト 手 法 の 発 展 に 大 き く 寄 与 す る と い う こ と が で き る 。 よ っ て 、 本 論 文 は 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 論 文 と し て 価 値 あ る も の と 認 め る 。

2005 年 2 月

審 査 員 (主 査) 早稲田大学 教授 工学博士(早稲田大学)     柳澤政生

早稲田大学 教授 工学博士(早稲田大学)     大附辰夫

早稲田大学 教授 工学博士(早稲田大学)

Ph. D.( ス タ ン フ ォ ー ト ゙ 大 学 ) 松山泰男 早稲田大学 教授 工学博士(京都大学)     木村晋二 北九州市立大学 助教授 博士(工学)早稲田大学     戸川  望

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