博士学位
平成25年度
内容
お
審1ξ査Ξ糸吉
近畿大学大学院 産業技術研究科
要旨
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生年月日 名
学位論文審査結果の報告書
本籍(国条割
学位の種類
学位記番号
学位授与の条件
(博士の学位) 文題目
昭和 58年8月
YiLichan
博
湾
産弔 40 学位規程第5条該当
3
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GO0曾le Earthおよび3DGISを用いた
審査委員
⑳ 洪水情報監視システムの構築
(主査)
(副主査) (副主査) (副査) (副査)
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地球温暖化の影響により台風が強力化し頻発している。集中豪雨も頻発するようになってき た。地方では森林伐採が進み土壌の保水力が低下している。河川改修により河川が短路化して鉄 砲水が発生しやすくなった。都市部では透水性が下がり地盤沈下しているところではゲリラ豪雨 による冠水が頻発している。近年は従来とことなる原因の大規模な水害が発生し、洪水対策に関 する問題が重要視されている。
日本における洪水の防災体制は伊勢湾台風をきっかけに近代的な歩みを始めた。阪神淡路大震 災a995)や東海豪雨(200ωを経験し災害予防・事前対策、災害応急対策および災害復旧・復興対 策の手段を確立してきた。
災害予防・事前対策に関するガイドラインでは、河川に関して、「危険水位の設定要領、中小 河川の特別警戒水位の設定要領」、「河川カルテの作成要領(改定)」など、防災に関して、
「浸水想定区域図データ電子化ガイドライン」、「洪水ハザードマップ作成の手引き(改訂 版)」、「中小河川浸水想定区域図作成の手引き」などがあげられる。情報・技術に関しては、
「洪水等に関する防災情報体系の見直し実施要領について」、「河川基幹データベースシステム 標準仕様(案)第2.1版:河川GISについて」などがあげられる。
前述した伊勢湾台風の教訓から、国は水防関連情報の住民ヘの伝達手段の高度化を努力し、ラ ジオ・テレビにおけるメディアからの情報伝達手段を確立してきた。さらに近年では、インター ネットや携帯機器等に代表されるⅡ社会ヘの移行を考慮して、公共機関の情報伝達にホームペー ジや携帯アプリケーションの手段も導入している。
国士交通省は「川の防災情報」としてホームページを設置し、防災・災害情報を発信してい る。国士交通省の災害情報システムは、レーダ雨量、テレメータ雨量、水位、水質、積雪、ダム 情報、洪水予報等、水防警報、ダム放流通知などを国内全観測所データとして掲載している。し かし、地図中の観察点が不明瞭であり、操作が繁雑で分かりにくい。さらに、アイテム間の地図 が連携していないなどの欠点や不完全性を持っている。また、すべての公共機関ホームページに 共通して、情報が受動的に受信される伝達手段となっている。
本研究は洪水防災情報に関する公共機関からの情報伝達が持っている不完全性を補完し、さら に従来の受動的な情報入手の方法を能動的に変革するシステムを構築することを目的とした。
研究のシステムでは、公共機関から発信される水位データ・警報レベルなどについてりアルタイ ムで情報を公開し、避難判断に必要な情報降水量、冠水予測、ハザードマップおよび任意の場所 における地理情報、現在地情報、地形情報、道路などを用意する。特に、 GoogleEarth上で 3DGISを用いて地図情報の視覚化と洪水関連情報の連携を中心にコンポーネンツを用意した。ま た、能動的な洪水情報受信が可能となるように公共機関の発令した警報を携帯機器に配信しイ メージ化することも試みた。
本システムは、公共機関からの洪水関連情報と地理情報等を統合する洪水関連情報の処理シス テムとホームページおよび配信システムで構成されている。本システムの特徴は、地図情報、'"
川ダム情報、地域情報、水管理(水門・ポンプ)情報、公的データ(気象庁・河川局)の表示などを 地図上に重ね描きしデータを統合して表示することができることである。必要な情報に関しては リアルタイムでデータが表示できる。任意の河川における堤防管理区間の3D洪水シミュレーショ ンを表示できる。さらに、携帯機器ヘのデータ酉酎言ができる。
本システムの構築にはいくつかの技術的な解決が必要であった。以下に、本システムを構成す るコンテンツの作成法について述ベる。
Googlo E0此hはGIS専用ソフトではないので地図の位置に誤差が生じている。 Google Earth画 像とオルソ画像について2次元相関係数(RNSSD)を算出し、パターンマッチングを行って位置を 修正した。
洪水関連情報と地図のイメージを連携しやすくするため地表の3Dモデルを作成した。これは GoogloE町th上に立体の地形を表示するためと正確な地図データによる等高線を作成し災害シ
ミュレーションを行うために必要である。使用データの2mDSMはNO.1910、 19Hを用いた。 ArcMap およびArcsoeneを使用し、 2mDSMをTINファイノレへ変換、等高線を作成し、 3Dモデルを表示するこ
とができる。
国土交通省ホームページには水文解析がない。洪水のイメージに直接関係する図は地方自治体 のハザードマップしかないのが現状である。そこで3D洪水シミュレーションの表示を試みた。
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文内
,」マ の ^水文角羣析はArcMaPのSpatial Analyst TO0ISを使用した。 2mDEMを基にArcToolboXのFi11 (サー フェスの平1骨)、 FIOW Direction (グリット毎に7kが流れる方向を言十算)、 FIOW Accumulation (累積流量を計算)、 con (流域を抽出したい河川の規模にあった条件式で抽出)、 stre釦 to Featuro (水系網の作成)、 stream order (河川次数ラスタの作成)を行った。洪水シミュレー
ションにおける水位は国士交通省のガイドラインから5段階とした(レベル5:氾濫発生、レベル 4:住民の避難が完了されている状態の水位、レベル3:市町村が避難勧告の発令を判断、住民が 避難を判断する水位、レベル2:市町村が避難準備情報の発令を判断、水防団が出動する水位、
レベル1:河川が増水したため、水防団が待機し始める水位)。
国士交通省ホームページは地域情報が不足している。単純な地図(略図程度)しかないため空間 的な認知が難しくなっている。また文字データと地図がイメージ的に分離しているため観測点位 置が分かり難くなっている。地域住民以外の者(訪問者、転入者や旅行者、夜間など)では理解し にくぃと思われる。このため、利用者が任意に情報を統合して観ることができるように、地域情 報、河川ダム情報、市町村名情報、国士交通省河川データ、ハザードマップ、3D地形図を重ね描
き(文字+イメージ)できるようにした。
あらかじめ登録した河川における警報が発令された場合に本システムから警報メッセージが配 信されるサブシステムを用意した。論文では例としてiphone4SからGoogle Earthヘの表示をあげ た。携帯ヘ酉引言するメリットは位置情報サービスで自分の居場所を確認できることである。能動 的情報発信にっいて、携帯ヘの洪水情報酉酎言では、公共機関の洪フk情報を酉酎言し、複合イメージ を表示できた。さらに複合イメージ上に現在地を表示することで、対象地域に慣れていなくて も、洪水の危険に対してある程度対処できる情報が取得できると考えられる。
国土交通省の洪水情報をりアルタイムで取得することができた。高精度のイメージで洪水シ ミュレーションを作成し、文字とイメージの統合表現が可能となった。とれらは2mDSMおよび則L ファイルを有効に利用できた結果であるといえる。
洪7K情報に関する国士交通省ホームページからの情報を使用して、文字情報と地理情報を連携 させるイメージ化を試みた結果、洪水災害情報監視システムを試作することができた。結論をま とめて以下に示す。
①洪水情報監視システムの構築
(2)KMLファイル利用によりイメージの更新・修正が容易となった (3)2mDSMの使用で画像の明瞭化・流路算出
④3Dシミュレーションによる洪水の視覚化 (5)りアルタイムの洪水情報取得
⑥携帯ヘの警報配信で能動的洪水情報取得
3
これまで、日本においては、水災害としては梅雨期末期の集中豪雨、台風シーズンにおける集 中豪雨が定期的に多大な被害を与えてきた。これらの水被害に対する、防災システムも政府レベ ルから自治体レベルまで、年々整備されてきたが、それを上回るかのような災害が毎年発生して おり、当地の九州においても、平成24年においては、北部九州豪雨水害が発生し、甚大な被害 をもたらしている。防災システムの住民を対象としたものとしては、ハザードマップ、防災無 線、各種ホームページによる防災情報が改善され、提供されてきたが、いずれも効果的に地域住 民に伝わっているとは言えない状況が続いている。
このような状況のなかで、本論文は、主に河川氾濫時の洪水状況を解析し、国士交通省河川事 務所などから発せられる各種の警報・警告を携帯端末、タブレット端末などを通して効果的に地 域住民に伝達させるシステムの制作を試みている。技術的には、地理情報システム(GIS
Ge0牙raphiclnformationsystem)を使い、洪水解析に必要となる 3次元モデノレの作成のため に、数値標高情報(2mDSM : Di曾italsurfaceModeD を使用している。
第一章においては、我が国における水災害の歴史を解説し、各種防災対策が講じられたにもか かわらず、依然として今日まで被害が減少していない状況を説明している。特に最近において は、温暖化の影響と思われるゲリラ豪雨や集中豪雨が多発しており、従来型の防災対策では限界 があるのではないかとの考察を行っている。
第二章においては、洪水災害情報システムの概要を述ベている。現在、公的な災害警報は気象 庁と国士交通省河川事務所などから、自治体やマスコミを通じて発せられている。しかしなが
ら、現在の警報システムにおいては、地域住民に効果的に伝達されているとは言いがたい状況に なっている。このような状況において、本研究は最近普及が急速に進んだ携帯端末、特にスマー トホンやタプレット端末を通じて、河川事務所などから発せられる各種警報、警告を端末のGPS 機能を効果的に使用し、端末ユーザーの現在地点での警報レベルを確認することができる。さら
に、降雨量が増えると、その後の河川水位レベルから次の警報レベルを確認するととができる。
次の段階では、とれらの水位レベルから、内氾濫の場合について、洪水地域の領域をGO0部e Earth上で確認することができる。
第三章においては、システムの作成手法について述ベている。地図を作成・加工する場合、通 常国士地理院の数値基盤情報を利用するが、そのままではGoogleEarth上で重畳して表示するこ とができない。そとでGIS上で、数値基盤情報をKMLファイルという特殊ファイルに変換し、座 標系を設定し、 GO0今leEarth上で表示すことができるようになる。
河川水位情報としては、今回地元である遠賀水系河川を管轄している国士交通省遠賀河川事務 所のWEBサイトから引用し、これをGIS上で加工し、各種表示を行っている。具体的には事務所 のWEBサイトはJavaサーブレットで書かれているが、このままでは使いにくいので、 phPシス テムで読み込み、 km1ファイルへ書き出している。
第四章においては、提供する洪水情報WEBサイトの詳細について述ベている。本サイトの基 本的事項は、スマートホンやタブレット端末において、すでにGoogleEarthを設定済みであるこ
とが前提となっている。その上で、本サイトにおいては、各種km肋Shapeファイノレがダウン ロード可能になっており、たとえぱ河川水位情報に基づき、浸水領域をユーザーの利用地での GO0曾le Earth画像で表示することができる。
また、水害情報として重要となるのは水流であるが、これらを解析する水文解析手法として は、 2mDSMを使い、 3Dモデノレにより、地域の水流を推定している。
第五章においては、最終的な考察を行っている。各種洪水情報データとしては、2mDSM、数 値基盤情報、河川事務所の警報レベル及び、観測地点水位レベルなどである。このうち2mDSM は、平成24年3月から国士交通省が新規格で提供を始めたもので、最終的には全国において提 供されることになっている。従って今回のシステムが、各自治体で採用されるととになった場
全く同様の2mDSMを用いて、システムを構築することができることになる。
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同様に数値基盤情報も最新のものが、地理院のWEBサイトから入手できる。また、一級河川に おいては、同様の河川事務所の警報レベル及び、観測地点水位レベルが地元の事務所WEBサイ
トから提供されており、全く問題がない。
自治体で、今回のようなGISシステムを構築する場合、最も問題となるのはコスト上の問題で あるといわれているが、今回使用した商用ソフトArcGISなどが入手・維持が困難な場合は、フ
リーGISソフトであるGrassGIS、またはQuantumGISなどがあり、一部機能は限定されるもの の、本研究とほぼ同様のシステムを構築することができる。
先の東日本大震災による災害において、被害情報、警報情報の速やかな伝達がいかに重要かが 再認識されることとなった。自宅や、会社などで従来型のパソコンを見ている暇はなく、携帯端 末がさらに重要となってきている。従って、本研究のように、ほぽりアルタイムで警報・警告情 報を携帯機器で表示できれぱ、防災に大いに寄与できるものと判断される。
以上のように、本論文は、洪水災害に対して、今後重要なシステムとなることが判断され、そ の寄与が期待されるものである。これらの成果は、査読付き学術論文(2編)、国際会議プロ シーディングス(2編)、国内学会(5件)で公表されており、研究業績としても十分と言え る。従って、本論文は博士(工学)の学位論文に値すると判断されるととろである。
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