ふ り が な
氏 名
いどがき じゅん
井戸垣 潤
学 位 の 種 類 博士(歯学)
学 位 記 番 号 甲 第 842 号 学 位 授 与 の 日 付 平成 31 年 3 月 8 日
学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当
学 位 論 文 題 目 Lung Cancer Risk in Passive Smokers using Salivary Exosome-Derived MicroRNAs
(唾液中エクソソーム由来マイクロ RNA を用いた受動喫煙者 の肺がんリスク調査)
学 位 論 文 掲 載 誌 Nano Biomedicine 第 10 巻 第 2 号 平成 30 年 12 月 30 日
論 文 調 査 委 員 主 査 髙橋 一也 教授 副 査 岡崎 定司 教授 副 査 今井 弘一 教授
論文内容要旨
喫煙は循環器疾患の主要な危険因子であり,非喫煙者への健康影響も肺がんを中心に報告されてい る.マイクロ
RNA(miRNA)はmRNAと結合してタンパク質への翻訳を停止する働きと
mRNAを分 解することでタンパク質生成を抑制する働きを持つ.エクソソームは,血液や唾液などの体液中に存 在する膜小胞で,miRNA の運搬役と考えられている.本研究は,受動喫煙者の上清唾液から分離した エクソソームの肺がん関連
miRNAの発現挙動を検討することを目的とした.
本学歯科大生を対象に喫煙の有無と,社会的ニコチン依存を定量化する簡易質問である加濃式社会 的ニコチン依存度調査票(以下:KTSND)を用いた聞き取り調査を行った.喫煙の有無の聞き取り調査を 基に非喫煙者に対してスモーカライザーによる呼気中一酸化炭素濃度測定を実施した.これは禁煙プ ログラムや一酸化炭素中毒の指標として使用する測定器で,喫煙者と非喫煙者を区別する値は
6ppmと報告されていることから,本研究では
7ppm以上のものを受動喫煙者とした.マウスピースを装着 し,
15秒間息を止めた後ゆっくりと息を吹き込ませることで測定した.安静時唾液は,
11名の成人受 動喫煙者(男性:7 名,女性:4 名,平均年齢:23.7 歳) および比較対象群として
7名の非喫煙者(女性:7 名,
平均年齢:22.3 歳)から食後4時間経過した同じ時間帯に回収した.唾液から不純物を取り除くため遠心 分離し上清を解析に使用した.Total Exosome Isolation Kit を用いて遠心法によってエクソソームを 単離した.エクソソームの有無は,動的光散乱法による粒子径測定により確認を行った.エクソソー ムから抽出したトータル
RNAから
miRNAを抽出し逆転写酵素によって
cDNAを合成した.デジタ ルポリメラーゼ連鎖反応(
dPCR)を
miR-22,
miR-150および
miR-155を用いて行い,ハウスキー ピング
miRNAに
miR-191を用い,相対発現定量を行った.
全唾液サンプルから
30~200 nmの大きさであるエクソソームの存在を確認した.また,dPCR の
結果から受動喫煙者において相対値が
1.5を超えるものは,miR-22 で
6検体,miR-150 で
3検体,
miR-155
で
6検体であった.miR-22 と
miR-155で相対値が
1.5を超えたサンプルは,同一者から得 られたサンプルであった.
以上の結果から肺がんで発現が亢進しているものとして報告されている
miR-22,miR-150および
miR-155は,本研究でも発現が高かったことから,KTSND とスモーカライザーによって決定した受 動喫煙者が,肺がんのリスクが高い可能性のあることが唾液エクソソーム由来
miRNAを調査するこ とによって明らかとなった.
論文審査結果要旨
喫煙は循環器疾患の主要な危険因子であり,非喫煙者への健康影響も肺がんを中心に報告されてい る。著者らは、受動喫煙者の上清唾液から分離したエクソソームの肺がん関連
miRNAの発現挙動の 検討を行った。
その結果、肺がんで発現が亢進しているものとして報告されている
miR-22,miR-150 および
miR-155