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c) 

論文内容要旨(乙)

臨床看護師の倫理観と疲労との関係

一道徳的発達段階・倫理的感受性と蓄積的疲労との比較一 昭 和 医 学 会 雑 誌 第

73

巻 第

3(2013

年)掲載予定

社会医学系法医学 米 海 弘 恵 今日の臨床看護現場では

2003

年の診療報酬改定に伴う包括払い制度の 導入により入退院が増加して看護師は常に多数の重症患者の医療処置と 看護を強制されることになり、過重な労働から蓄積的疲労を高めている。

看護師の疲労が強ければ強いほど患者を気遣う余裕がなくなり、看護師の 倫理観の低下に繋がることが予測される。しかし、看護師の倫理観と疲労 との関係を調査した報告は見られない。そこで、本研究では道徳的発達段 階・倫理的感受性と蓄積的疲労との関係について総合病院に勤務する看護 師

894

名を対象としてアンケート調査を実施死、

607

名から全問回答した アンケートを回収し(有効回答率:

67.9%

)その内容を解析することによ

り看護師の倫理観と疲労との関係を検討した。道徳的発達段階を調べるに は葛藤価値定義づけテスト(

DefiningIssues Test : DIT

)日本語版を用 いた。

DIT

は道徳的発達理論に基づいた倫理水準の測定法であり、

DIT

得点が高いほど道徳的発達段階が高いとされている。倫理的感受性を調べ

るには道徳的感受性テスト(

MoralSensitivity Test : MST

)日本語版を 用いた。

MST

得点が高いほど倫理的感受性が高いと判断される。蓄積的 疲労を調べるには蓄積的疲労徴候インデックス(

CumulativeFatigue  Symptoms Index : CFSI) 7 4

項目の

CFSI

質問紙を用いた。

CFSI

得点、が 高いほど蓄積的疲労が強いことを示している。

CFSI

得点の中央値は

19

点で、中央値以下は低群、中央値を越えるのは高群として 2群間比較を行 なった。その結果、年齢が若く、経験年数の短い人ほど蓄積的疲労が強く、

主任以上の職位が高い人より一般スタッフで蓄積的疲労が強かった。また、

短大卒以上の人より専門学校卒の人で蓄積的疲労が強かった。看護教育を 十分に受け、経験を積んで、看護に関する知識と技能に富む人ほど蓄積的疲 労が少なかった。

CFSI

特性項目別に

20

年前の報告と比較すると、不安 感が

1.6

倍、気力の減退が

1.4

倍、労働意欲の低下が

1.3

倍、慢性疲労、

一般的疲労感、抑うつ感が

1.2

倍に増加していた。

CFSI

高群と低群で

DIT

得点に有意差は認められなかったことから蓄積的疲労は道徳性の発達に

(2)

関与していないと推察される。

CFSI

高群と低群の間で

MST

得点に有意 差があり、蓄積的疲労の強い

CFSI

高群の方が疲労の軽い低群より

MST

得点が高く、倫理的感受性が高かった。蓄積的疲労が強い郡の方で倫理的 感受性が高かったことは倫理的問題の認知能力が高い人ほど看護上の葛 藤が増加し、それに積極的に対応しようとすればするほど蓄積的疲労が強 くなるものと推察される。看護は病人を気遣い、世話をする実践であるこ とが裏付けられた。卒後の臨床看護研究によって病人を気遣い、世話をす る実践能力を研鎖することにより蓄積的疲労を貯めずに倫理的感受性を 高めることができるものと思われる。

参照

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