ドライアイは、わが国における推定患者数が 800 万人といわれる頻度の高い 疾患であるにもかかわらず、その症状が多岐にわたること、またつい近年まで その検査法や診断法が各施設において統一されていなかったため、確実な診断 が困難でした。このようなドライアイの診断に伴う混乱を解決するために、1995 年にドライアイ研究斑によって、ドライアイの定義と診断基準が提唱されまし た。その後約10 年経過しましたが、この間にドライアイの研究には非常に多く の進歩が見られました。新しい診断機器の導入、涙腺、涙液、オキュラーサー フェス(眼表面)に関する基礎的・臨床的研究の進歩、ドライアイの内科的・ 外科的治療の開発など、多方面で新しい知見が得られ、ドライアイに対する概 念の進歩にはめざましいものがあります。また、一般の人々の間でもドライア イの認知は大幅に進みました。最近では自分がドライアイではないか、といっ て来院される方も珍しくなくなりました。
さらに、VDT (Visual display terminals) 作業者の増加、コンタクトレンズ 装用者の増加、屈折矯正手術者の増加など、ライフスタイルや生活環境の変化 により、近年ドライアイの患者数はますます増加しています。皆様にも、コン ピューター作業などを長時間行った後に、生理的疲労(眼疲労)を感じた経験 があるのではないかと思います。この疲労が蓄積すると休息によっても容易に 回復しない病的疲労(眼精疲労)が引き起こることがあり、ドライアイはその 発生機序に強く関わっています。ドライアイは眼の不快症状に留まらず、視機 能異常や心身不調にまで及ぶこともあることから決して軽視できない眼疾患で す。 ドライアイに対する概念の進歩に関する話題と、環境による眼の乾きのメカ ニズム、及びその対策について考えてみたいと思います。