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巻 第

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Academic year: 2021

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論文内容要旨(乙)

中皮腫と反応性中皮の締胞学的鑑別

一細胞質内空胞含有細胞の出現率についてー 昭 和 医 学 会 雑 誌 第 72巻 第42012

病理学(臨床病理診断学分野) 磯 崎 岳 夫 内容要旨

中皮臆の多くはアスベスト曝露を原因としており、曝露から 30〜40年 を経て発生することが知られている。また、わが国でも 19702000年頃 までアスベストが消費されてきた経緯から、発症数が増加している疾患で ある。しかし、体腔液細胞診での中皮腫の診断率は,必ずしも高くはない。

その理由のーっとしては,体腔液中における中皮腫の細胞像が非常に多彩 であり、腺癌や反応性中皮との鑑別が悶難であることが挙げられる。

われわれは中皮腫と反応性中皮との鑑別に有用と考えられる細胞質内 空胞含有細胞の出現率について検討した。対象は上皮型中皮腫 17例と悪 性疾患を認、めない反応性中皮 10例の体腔液細胞診パパニコロウ染色標本

を用いた。

細胞質内空胞含有締胞を空胞の位置、占拠箇積により以下の3型に分類 した。①全周性辺縁空胞様細胞(peripheralvacuole‑like cell :以下 PV細胞)は細胞辺縁部がライトグリーンの染色性をほとんど示さず、空 胞様を呈し、それらが細胞半径の 1/2以上を占める細胞、②中心部空胞細 胞(centralvacuole cell:以下 CV細胞)は核周囲に単空胞あるいは小空 胞の集緩がみられ、それらが細胞半径の 1/2以上を占める細胞、③PV細 胞と CV細胞の条件を満たさない空胞含有細胞を空胞細胞(vacuolecell:  以下V細胞)とした。検討に際しては、 PV細胞、 CV細胞およびV細胞の出 現率を中皮腫群と反応性中皮群で比較検討し、さらに中皮腫群を出現形態 により球状集塊の出現を主体とする立体的集塊出現群(中皮腫A群)と平 面的集塊、孤在性の出現を主体とする立体的集塊非出現群(中皮腫 B群) に分類し、同様に比較検討した。なお、出現率の統計学的有意差は Mann‑WhitneyU検定を用い、 p<O.05をもって有意差ありと判定した。

その結果、反応性中皮群に比較して中皮腫群において有意に高い出現率 を認めたのは PV細胞であった。 CV細胞、 V細胞の出現率に有意差はみら れなかった。このことから中皮腫と反応性中皮の鑑別に際しては細胞質内

(2)

空胞の出現頻度のみならず、空胞の位置や占拠面積が重要であると考えら れた。中皮腫群を出現形態により中皮腫A群、中皮腫B群に分類し、反応 性中皮群を加え、 3群における PV細胞、 CV細胞およびV細胞の出現率を 比較してみると中皮腫A群に比して中皮腫B群でPV細胞、 CV細胞の出現 率が有意に高かった。また、中皮腫B群と反応性中皮群の比較においても 同様の有意差が認められた。このことから腺癌と鑑別を要する球状や乳頭 状集塊などの立体的集塊が多数出現する中皮』重症例の診断に際しては、 PV 細胞、 CV細胞の有用性は低いと考えられる。しかし、反応性中皮との鑑 別を要する平面的集塊、孤在性を示す中皮腫症例においては、有用な鑑別 所見になり得ると思われ、一見、反応性中皮に類似した細胞像を呈してい ても PV細胞、 CV細胞が認められた場合は、中皮腫の可能性を念頭に積極 的な臨床的精査を促す必要がある。また、このことが中皮腫全体の診断精 度の向上に繋がるものと思われた。

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