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低線量率・低線量放射線影響 特集によせて

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Academic year: 2021

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低線量率・低線量放射線影響 特集によせて

2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は、東京電力福島第一原子力発電所の事故をともな い、その結果、環境中に甚大な量の放射性物質が放出されることになった。これにより、近隣の 住民をはじめ数多くの国民が放射線被ばくによる健康影響に不安を抱いている。とりわけ、自然 放射線のレベルをやや上回るような低レベル放射線による慢性被ばくのリスクについては、科学 的に明確な結論が得られるほど十分な情報が蓄積されているとは言い難く、このことが、放射線 被ばくによる健康影響への不安を増大させる原因の一端となっているといっても過言ではない。

もとより、特に医療分野での放射線の利用が近年急速に拡大し、生活の様々な面で放射線の存 在がより身近になっている現在、低線量率・低線量放射線の影響の理解は、以前にも増してその 必要性を高めているところでもある。このような背景から、編集を担当するにあたり、副編集委 員長の甲斐倫明先生、ならびに大津山彰先生と相談し、低線量率・低線量放射線の影響に関わる 総説をまとめようと計画するに至った。幸い、原稿をお願いした全ての先生方から快い承諾の返 事を頂戴し、ここに、『低線量率・低線量放射線影響』の特集を、本号および次号の 2 号にわた ってお手元にお届けできることとなった。

低線量率・低線量放射線の影響の理解には、放射線エネルギー賦与の時空間的解明から、低レ ベル DNA 損傷に対する遺伝子発現変化や細胞応答の特異性、放射線レベルの違いによる放射線発 がん分子メカニズムの特異性など、多次元の視点からの解明が必要である。さらに、高自然放射 線地域における疫学調査結果や胎児や小児における放射線感受性の理解などは、機構研究と疫学 研究を橋渡しする重要な情報として、欠くことができない。そして何よりも、これらの理解を踏 まえた上で LNT モデルについての議論が必要不可欠である。本特集では、これらそれぞれのテー マについて、互いの関連を持たせつつ、可能な限り広い視野で議論が深化するように配慮した。

是非、本号および次号に掲載される総説を合わせてお読み頂きたい。最後に、この特集が、低線 量率・低線量放射線被ばくによる健康影響の理解の一助となれば幸いである。

赤本副編集委員長地区責任者 鈴木啓司

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