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低線量放射線影響の機構解明

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Academic year: 2021

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(1)2 主要な研究成果 プロジェクト課題 - リスクの最適マネジメントの確立. 低線量放射線影響の機構解明. 背景・目的. 主な成果. 現 行 の 放 射 線 防 護 体 系 は 、しき い 値 なし. れば、防護 基 準を科 学 的 な 裏 付 けに基 づ い. 直線(LNT)モデルに基づいて構築されてい. た 合 理 的 な も のにすることや 、社 会 の 放 射. る。L N Tモデ ルは、デ ータの 少ない 低 線 量・. 線に対する不 安を低 減することにつな がる. 低線量率放射線の健康リスクを、高線量・高. と期待される。. 線量率における疫学データから、便宜的に直. 本 課 題では、放 射 線 防 護 基 準 の 適 正 化 の. 線 外 挿したものである。しかし近 年 、自然 放. ため の 科 学 的 デ ー タ 取 得 を目 的として 、高. 射線の10倍程度以下の低線量率では、LNT. 自然 放 射 線 地 域におけるヒトの 疫 学 調 査を. モデルによる推定値よりもリスクが小さいこ. 実 施し、低 線 量 率 放 射 線 では 健 康リスクが. とを示すデータが得られてきている。低線量. 高まらないことを示すとともに、その機構を. 率被ばくによる健康リスクを正しく評価でき. 生物学的研究により明らかにする。. 1. 中 国 高自然 放 射 線 地 域 の 疫 学 調 査. 中国広東省陽江地区の高自然放射線地域. スクを評価して、両集団間で放射線によるが. (HBRA)住民の疫学調査において、30〜74. ん死亡(図1)、白血病死亡、非がん死亡のリス. 歳の住民約32,000人を対象とし、評価精度. クはいずれも有意に上昇しないことを明らか. 向上のため観察期間を延長して20年とした調. にした (表1) 。この結果は、インドでの調査結果. 査結果をとりまとめた。HBRAと対照地域*1の. (図1) と同様に、低線量率放射線の長期被ば. 対象住民の観察期間までの平均累積被ばく. くのリスクがLNTモデルによる推定より小さ. 線量は、それぞれ84.8mGy、21.6mGy*2で. くなる可能性を示すものである。. ある。対照地域を基準とした相対的な健康リ. 2. X 線 誘 発バイスタンダ ー 応 答による自然 発 生 突 然 変 異 の 抑 制. 放射線を受けたとき、放射線が当たった細. 細胞のうちの5細胞に対してX線を照射し、細. 胞の周囲の健全な細胞も影響を受ける現象. 胞集団全体の生存率(図2A) と突然変異を持. (バイスタンダー応答)が知られており、放射. つ細胞の割合(図2B)を測定した結果、いず. 線が当たる細胞と当たらない細胞が混在す. れも1Gy近傍で低下することが明らかとなっ. る低線量・低線量率の場合には、実際に放射. た。両指標の傾向が一致したことは、遺伝子. 線を受けた細胞より多くの細胞に影響が生じ. に傷を持つ細胞が細胞死により選択的に組. る可能 性 が 指 摘されている。そこで、X 線マ. 織から排除される可能性を示すものであり、. イクロビ ー ムを 用 い て 、バ イスタンダ ー 応. 低 線 量 域でバイスタンダ ー 応 答により実 際. 答により発がんの原因とされる突然変異(遺. に受けた線量以上にがんの原因となる影響. 伝 子 の 傷 )が 生じる頻 度を調 べ た 。約 1 0 万. が生じることはないことを示唆している。. *1 調査地域近傍で放射線レベルは低いが生活様式が類似した地域。 *2 吸収線量の単位。本調査ではγ線による外部被ばくが中心なので、1mGy=1mSvと考えることができる。. 14. その他の報告書 Tao et al, Health Physics, 2012; Maeda et al, J. Radiat. Res., 2012.

(2) ERR: 過 剰 相 対リスク。対 象とする集 団に対 する相 対 的. な健康リスク (相対リスク)から1を引いた値。ERR/. Gyは単位線量あたりのリスクの増加を示す値で、 図1の傾きに相当する。. 95%信頼区間の下限(左の数値) と上限(右の数値)がい. ずれも正または負であれば、放射線による有意な影響が. あったと判 断できる。表 中 の いず れの 指 標につ いても、 有意な影響は観察されなかった。. 図1・表1 中国の高自然放射線地域住民疫学調査結果 対照地域と比較して、線量の増加に伴うリスクの上昇は認められなかった。これは、インドHBRAの結果と同様な 結果であり、線量にほぼ比例してリスクの上昇が見られる原爆被爆者のデータとは明らかに異なる傾向である。 図1の中国の積算線量は、25mGy幅で設定された各線量群の中間値を用いた。. ࣂ࢖ࢫࢱࣥࢲ࣮ᛂ⟅࡟ࡼࡾ ⣽⬊Ṛࡀቑ኱ࡍࡿ⥺㔞ᇦ࡛ࠊ ✺↛ኚ␗ㄏⓎ㢖ᗘࡀపୗ. (B) 1. 0.9 0.8 0.7. 0. 1. 2. 3. 4. ⣽⬊᰾࡟࠾ࡅࡿ⥺㔞㸦㹅\㸧. ✺↛ኚ␗ࢆᣢࡘ⣽⬊ࡢ๭ྜ. ⣽⬊ࡢ⏕Ꮡ⋡. (A).  .  .  . 0. 1. 2. 3. 4. ⣽⬊᰾࡟࠾ࡅࡿ⥺㔞㸦㹅\㸧. 図2 X線誘発バイスタンダー応答による自然発生突然変異の抑制. (A)X線によるバイスタンダー応答がチャイニーズハムスター細胞の生存率に及ぼす影響。横軸は照射した各細胞 の核における線量。1Gy付近でバイスタンダー応答により細胞死が増加し、線量が高くなると回復する。. (B)同じ試料を用いて突然変異を持つ細胞の割合を測定した結果。細胞の生存率が低下した線量において突然変異. を持つ細胞の割合が非照射(0Gy) レベルより低下し、線量が高くなっても非照射レベル以上に増加しないことが 明らかとなった。. 15.

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