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軽 度 知 的 障 害 児 に お け る 潜 在 記 憶 の 検 討

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Academic year: 2021

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軽 度 知 的 障 害 児 に お け る 潜 在 記 憶 の 検 討 一 線 画 画 像 同 定 に 対 す る 知 覚 プ ラ イ ミ ン グ 効 果 一

障害児教育専攻 園 本 智 洋

1

章 序 論

潜在記憶とは,過去の経験を思い出している という意識をともなわない記憶である。人間の 思考や行動は,多くの部分が記憶に依存してい ることが考えられるため 常に多くの情報を意 識的に検索し,照合しながら行動を決定するこ とは,個体にかなりの負担を強いることになる。

潜在記憶には,検索と照合の努力を特に要しな いという意味において 認知的負荷を下げる利 点があるといわれている。

本実験では,潜在記憶の表れの

1

つである 知覚プライミング効果を,線画完成課題を用い,

知的障害児と大学生との間で比較することを試 みた。その際の線画の反復呈示の間隔(保持期 間)は,

5

分と

1

週間の

2

条件とした。さらに,

1

週間の保持期間とともに,線画の先行呈示回 数を

l

回と

2

回の

2

条件設定し,リハーサル量 の違いが線画の認知に及ぼす影響について検討 することとした。

第 2章 方 法

, .被験者および材料

養護学校に在籍する知的障害児 28名(知的 障害児群)と健常な大学生と大学院生 24名 (大学生群)を対象とした。実験には線画完成 課題と自由再生課題を用い,被験者は先行呈示

1

回条件と

2

四条件に振り分けた。

指 導 教 官 島 田 恭 仁

実験材料として日常的に見慣れた事物の線画

2 0

種類を使用した。各線画を加工し,事物の 不完全な線画刺激を作成した。不完全な線画と は,事物が

8

段階(レベル

1:

最も不完全な線 画,レベル

8:

完成画)にわたって徐々にその 輪郭を明確にする線画である。

2 .

手続き

(  1 

)原学習, ( 

) 直 後 テ ス ト (

5

分 後),

(3)  1

週間後のテスト,の

3 セッショ

ンとした。

( , )原学習

10種類の線画完成課題を行った。最も不完 全な線画(レベル

1

)から呈示し,事物の同定 が成功するまで徐々に鮮明度を増した線画を呈 示した。

(2 

)直後テスト

自由再生課題と線画完成課題を行った。線画 完成課題を行う前に,被験者に予告することな く,原学習でどのような絵が出てきたかを尋ね,

口頭で報告を求める自由再生課題を行った。そ の後,原学習で使用した線画(学習項目)

5

種 類に原学習で使用していない線画(妨害項目) 5種類を加えた 10種類について線画完成課題 を行った。

(  3) 

,週間後のテスト

自由再生課題と線画完成課題を行った。直後

p o  

‑ u

nL  

(2)

テストと同様に,最初に

1

週間前の実験の際に 見た線画についての自由再生課題を行った。そ の後の線画完成課題では,学習項目の先行呈示 回数を

l

回と

2

回の

2

条件設定した。

先行呈示

1

回 条 件 (

1

回 条 件 原 学 習 で 使 用し,直後テストでは使用していない学習項目

5種類に妨害項目 5種類を加えた 10種類につ いて線画完成課題を行った。

先行呈示 2四条件 (2回 条 件 原 学 習 で 使 用し,直後テストでも使用した学習項目

5

種類 に妨害項目5種類を加えた 10種類について線 画完成課題を行った。

最後にもう一度,自由再生課題を行い,実 験全体で呈示された線画の名称を口頭で報告す

ることを求めた。

3

章 結 果 ・ 第

4

章 考 察

線画完成課題において 線画を同定した段階 (刺激レベル)をもとに,同定得点 (9一同定 した刺激レベル数)に変換し,分析を行った。

各セッションにおける平均同定得点

原学習 直後テスト 一週間後のテスト 被 験 者 呈示条件 N

学習項目学習項目妨害項目学習項目妨害項目 1回条件 13  4.55  6.22  4.29  5.95  4.92  知的障害児

2回条件 14  4.60  6.74  4.56  6.73  4.80  1回条件 12  5.30  7.30  5.35  6.93  5.52  大学生

2回条件 12  5.53  7.32  5.63  7.50  5.47 

表に,各セッションにおける項目のタイプ 別(学習項目・妨害項目)の同定得点の平均値 を知的障害児群と大学生群の条件ごとに示した。

.原学習

分析の結果,被験者群の効果が有意であった (大学生群>知的障害児群)。本実験における 両群の初回の呈示時点において,画像の認知能 力に差があることが明らかとなった。

2 .

直後テスト

両群ともにどちらの条件においても妨害項目 の同定得点に比べ,学習項目の同定得点が有意

に高かった。学習項目の同定得点について,自 由再生課題の結果から,再生された学習項目 (再生項目)と再生されなかった学習項目(非 再生項目)に分類した結果も同様に,妨害項目 に比べ再生項目・非再生項目の同定得点が有意 に高かった。

3 .   1

週間後のテスト

直後テストの結果と同様に,妨害項目の同定 得点に比べ,学習項目の同定得点が有意に高か った。

1

週間の保持期間をおいても両群ともに 反復呈示によって同定に対する促進が生じてお り,知的障害児群においても原学習の経験が有 効に保持されていることが確認された。また,

学習項目においては,

1

回条件に比べ,

2

回条 件の同定得点が有意に高かった。学習項目を再 生項目と非再生項目に分類した結果も同様に,

妨害項目に比べ再生項目・非再生項目の同定得 点が有意に高かった。

4.

同定得点差(学習項目一妨害項目) 学習項目と妨害項目の同定得点の差(学習項 目‑妨害項目)としてフライミング効果を算出 した。分析の結果, 1週間の保持期間をおいて,

1

四条件ではプライミング効果の有意な減少を 示したが,

2

回条件では減少は見られなかった。

この複数回の反復呈示は保持期間の延長に対 する維持効果のような形で作用し,

2

回の呈示 が積極的な促進効果としては現われなかったが,

結果的には

1

回条件に比べ,有意な促進効果と して現われた。これらの効果に被験者群聞の差 はなく,また,同定得点差と知的障害児群の

I Q

の聞にはほとんど相関がなかったことから,

プライミング効果は両群に対して等質に作用し ていたと考えられる。

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参照

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