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知的障害児のダンス学習

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(1)

知 的障害児 のダ ンス学習

保健体育

佐 分 不

U

Lcarning Creativ Dance of Mentally Retarded Child

Ikuyo SABURI

は じめに

障害児の発達心理学的な とらえなお しは

,障

害児教育 に

,一

人一人 の子 どもの発達保障

,発

達 に よる障害 の克服 とい う方向性 を示 した。 昭和62年 に出された文部省 の「精神薄弱教育 における体育指導の手引1ち

,知

的障害児の運動 に ついて,『指導者の動 きを模倣 させ

,繰

り返 し運動 をさせなが ら

,動

きの基本形 を身 につ けさせ る。 そのためには

,具

体的な目標 を設定 し

,そ

の目標 を達成す るような身体運動 を行 わせ る』 としてい る。子 どもの現在 の発達段階の所見 をもとに

,そ

の子 の今 ある力で取 り組 め

,

しか も次 に獲得 され るべ き内容 を含む運動課題 を組 み立て

,繰

り返 し練習 させ ることで着実 な成果 を期待 している。 M.フロスティッグのムーブメン ト教育分の理論 を取 り入れ,「喜び と自主性 の重視」「創造性の重視」 等 を原則 として子 ども主体 のムープメン ト教育 を

,新

しい障害児教育 として進 めている小林 らも子 どもが身 につけるべ き運動がある としている3ち「運動 の基本形 (スキップ

,ホ

ップ

,ジ

ャンプ

,走

等)」 の重視や「・・創造的運動 を強調するために

,運

動の属性 (敏捷性

,柔

軟性 など

)を

中心 とし た基礎運動の練習 を」除外 して はな らない,「・・ 運動 は復習あるいは反復 されなければな らない」 等である。 しか し

,障

害児の身体機能 の発達が障害 を持 たない子 どものそれ と原則的 に同一 の筋道 をた どる との考 えは一方で は

,子

どもを一般的な発達パ ター ンの枠内で評価 し目標 を定 めるとい う

,視

野の 狭い障害児教育の実践 を導いているようにも思 える。 また

,個

々の目標 としての運動課題へ取 り組 む学習で は

,子

どもの現在が次 の発達段階への過程 としてしか存在で きないので はないか との疑問 も持つ。「楽 しかつたですか」との自己評価 は,「頑張 りましたか」「次 はもっ とで きるようにまた頑 張 りましょう」 とさらに先の日標 につなが り

,い

つ まで も次の発達段階に向か って頑張 らされ続 け る。運動課題 と次の目標 に比べて子 どもの今 の活動への評価 は低 いように思 えてな らない。 茂木がタテ とヨコの二つの方向の発達 の可能性 を述べているが。,タテ とヨコの交差す る現在 の子 Department of Physical Education,Faculty of Education,TOttOri University

(2)

佐分利育代 :知 的障害児のダンス学習 どもの発達の断面 はもっ と広が りのあるものに違 いない。現在 の子 どもが内包す る力 を発揮するこ とで発見 し

,自

己の もの として確か に身 につけさせ るような指導が考 えられ るべ きである。 運動 を課題 に設定す る限 り子 どもの現在 の運動 は否定 あるいは矯正 され る。 そ して

,障

害 の実態 に応 じた運動課題の設定 と

,そ

れ に応 じた教材教具 の工夫 は

,子

どもが挑戦で きる運動 の種類や程 度 を限定することと裏腹 であるばか りでな く

,障

害 の程度の異なる仲間 との交流の機会 も子 どもか ら少な くして しまう恐れ もある。障害 を克服す るための発達 を保障 し

,か

つ現在 の子 どもの存在 そ の ものを充実 した もの として

,仲

間の中で個 を活かせ る障害児体育 のために

,

どの様 に課題 を準備 し

,子

どもの運動 をどう評価 し

,指

導す るか重要な問題である。 ダンス学習で は

,そ

れぞれの子 どもが最高の力 を発揮 しなが ら同 じ課題で一緒 に活動す ることが で きる。 それ はダンス学習が もともと

,運

動やイメージの課題 を自己表現の手がか り

,す

なわち通 過点 として とらえられる活動であ り

,個

性 の発揮 を目標 に

,よ

り広が りのある運動学習が期待で き る活動であるか らである。今回

,運

動課題 はあ くまで も手がか りとして与 え

,そ

れ を通 して

,一

人 一人 の子 どもが見つけた ことを評価す るダンス学習指導の実践 を

,T養

護学校 中学部 に提案 した。 ダンス学習への導入 として佐分利が

4回

,そ

の後

T養

護学校 の

D教

諭が担当した。

D教

諭担当の第 1回目の学習で は

,一

運動課題 に多 くの運動が試 され る等

,子

どもの自主的

,創

造的な活動が見 ら れたので報告 したい。

2.学

習 の 概 要

T養

護学校 中学部で は養護訓練 として,「生徒 のか らだづ くり」 をね らい とし

,平

均台上 の歩行, 片足 ジャンプ

,両

足 ジャンプ

,前

方回転

,腹

ばいでの前進

,肋

木登 はん

,腹

筋 。背筋 の運動課題か らなる「サーキ ッ ト運動」を音楽 をか けなが ら行 い,「リズムサーキッ ト」と名付 けている。各課題 も

,回

る回数 も力に合わせた目標 をたててある。 この,「リズムサーキッ ト」 にあて られた養・訓の 時間の一部 (週1回

)を

,「リズム表現」 と名付 けてダンス学習 に当てた。 生徒がか らだ と心で

,何

と出会 い

,何

を発見 したか を評価 し

,そ

の体験 を広 げるための手がか り としてのテーマ

,運

動課題

,道

,環

境 を準備 して,「みんなでい ろい ろな動 きを楽 しむ」ことを目 標 にダンス学習指導 を計画

,実

施 した。「 リズム」の名称 は計画 した時間が,「リズムサーキ ッ ト」 に当て られた時間であつた ことか ら親 しみやす さでつけられた。生徒 は「運動課題への挑戦」と「運 動での自己表現」 とい う異 なる方向か らの運動学習 に取 り組 む ことになった。 ダンス学習 は1991年6月 か ら7月 にか けて

4回

佐分利が

, 2学

期 に入 って

T養

護学校 の

D教

諭が 立案か ら指導 まで行 った(10月か ら12月16回)。 佐分利担当の授業で は

,ま

ず出会 い

,見

つけ

,体

験 して欲 しい こと「か らだの動 きと心のつなが り

,友

だちの動 き

,身

の回 りのい ろい ろな ものの動 き, いろいろな リズム と動 き」を中心 に立案 した。

D教

諭の指導ではさらに進 め,「体 のいろい ろな部位 と動 き

,い

ろいろな ものを使 った動 き

,い

ろい ろな ものの動 き

,動

きを工夫 しての表現

,い

ろいろ な曲相 にあった動 き」等 を目標 に学習が行われた。 学習者 は

T養

護学校 の中学部

1学

年か ら

3学

年の生徒全員

,12人

(男子

5人

,女

7人

)で ,障

害 はダウン症候群

,CP後

遺症

,プ

ラタウィリー症候群

,て

んかん

,情

緒不安定

,言

語障害

,自

閉 的傾向 と様々であ り

,肥

,過

緊張

,若

年性関節 リュウマチ等 を伴 う生徒 もい る。 学習 を通 して生徒たちが見せた力 は

,指

導者側が想像 した以上の もので

,介

助無 しで は運動で き なかった

K男

が一人で踊 った り

,友

達への働 きかけをす るようになった ことや

,常

に発作 に見舞わ

(3)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第35巻 第

2号

(1993) 351

れ身体 の硬 さの あ る

T男

,ゆ

つた りした呼吸 の中で柔軟 に伸 び伸 び した踊 りを続 ける等

,個

々 の 生徒 に変化 が見 られた。

3.ダ

ンス 学 習 へ の 導 入 佐分利担当の学習 と

,指

導 しなが らの観察 を以下 に示 した。

T養

護学校中学部 の教諭 は補助 とし て学習 に参カロした。

(1)第 1次

の学習 表

1

第 1次

(6月

14日

)の

学習内容

「ダンスヘの導入 心とからだは一緒に動 く」 容 内 学 習 活 動 全身で動 く 呼吸 と一緒 に伸 び る 言葉 とか らだや運動 の対応 ・ 生徒が どの程度対応 して動 けるか知 る 。大 きさを どう捉 えているか知 る 極 限 まで動 く 体 のい ろい ろな部分 を知 る 場 を広 げ

,友

だち と出会 う 友 だち と動 く 友 だちの呼吸や

,力

の変化 を感 じる い ろい ろな動 きをみつ ける 友 だちの動 きを真似 す る みんな と近 づ く離れ る 床 を叩 く ボール にな る い ろい ろなジャンプ をす る ボール の ジャンプ を真似 す る タイ コを叩 く (フロア・ タム) い ろい ろ叩いてみ る 整理 床 を叩 く い ろい ろな リズムの音楽で踊 る 両手 をあげ

,天

丼 に届 くくらい

,お

なかが痛い くらい伸びる 息 を吸いなが ら伸 びる か らだの片方 を仲ばす

,反

対 も 小 さ くなる もっ と小 さ くな る 脚 も伸 ばす 反対 の脚 も伸 ばす 伸 ば した脚 か ら

,ス

ローモー シ ョンで歩 く 誰 か と出会 った ら

,そ

のか らだ にタ ッチす る 手 をつ な ぎ

,円

になって座 る みんなで手 をあげて伸 び る 横 に揺 れ る 前後 に も揺 れて後 ろに倒 れ る 手 をつな ぎ円 にな って座 った ままで

,友

だちが見 つ けた動 きを や ってみ る お し りで前後 に進 み

,円

の中央 に近 づた り離 れた りす る 友 だちの音 を聞 く い ろい ろな叩 き方を見つ ける 伸 びた ままで跳ぶ 小 さ くな って跳 ぶ はずむ 段々月ヽさ くはずむ ぺ っち ゃん このボール 1人ずつ フロアの中央 に置 いた1個のタイ コを叩 く 3個のタイ コを巡 って叩 いてみ る

(全

員一斉) タ ンバ リン も床 に置 き

,好

きな ところを巡 って叩 く 床 に寝 て伸 び る 床 の冷 たさをか らだで感 じる タイコや タ ンバ リンを叩いた時 の自分 の叩 き方 を紹介 す る 音楽 がかか つてい る中で 自由 に踊 る

(4)

佐分利育代 :知 的障害児のダンス学習 「か らだ全部で動 く」「友 だち と動 く」内容で は

,呼

吸 と共 に大 きく動 けた。 「ボールになる」内容で は

,ジ

ャンプ とボールの動 きを結 び付 けて とらえるのが困難 な生徒 もあ った。 しか しボールの動 きには興味深 く見入 り

,半

数 ほ どの生徒が課題 の終わ りにはそれぞれの動 きでボールを とらえていた。 「タイコを叩 く」の「

1人

ずつフロアの中央 に置いた

1個

のタイコを走 って叩いて通 り過 ぎる」 では,す ぐには動 き出せない生徒 もいたが,その友 だちを誘 って一緒 に叩いてあげる活動 もあった。 「3個のタイコを巡 って叩いてみる

(全

員一斉)」 で は

,指

導補助や

,気

の合 う友だち と一緒 に, いろいろな大 きさの音や音色 を楽 しんでいた。 「床 を叩 く タイコやタンバ リンを叩いた ときのい ろいろな叩 き方 を紹介す る」では

,指

を開い た り

,握

った りして違 う叩 き方がで きた。 「い ろいろな リズムの音楽で踊 る」で は

,疲

れ る と自分か ら休憩 して調節す ることの多い

U男

が 寝て足 を動か していた。「寝 て もで きるねえ」と声 をか けると

,大

き く足 を開閉 して リズムに合わせ 踊った。 しば ら くする とそれが立 ち上がっての動 きに変わ り

,続

いて [走って 。ジャンプ

]の

構成 を持つ

,し

か もダイナ ミックな動 きになった。 リズムに合わせて両足 ジャンプや

,駆

け足 をしなが ら手 は友 だち とつないだ り叩 き合 う動 きが多 かった。生徒 たちは初 めて一緒 に授業 した指導者 にも手 を出 して くれた。介助無 しで動 くことの困 難な

K男

,非

常 にゆっ くりとそっ とではあるが

,指

導者 の手 を両手で押 してそれを繰 り返 した。

(2)第 2次

の学習 表

2

第2次

(6月

21日

)の

学習内容

rぃ

ろいろな動き 友だちをまねる」 容 内 学 習 活 動 タオル を持 って動 く 全身で

,呼

吸 と一緒 に動 く タオル を動 か しなが ら自由に動 く 友 だちの動 か し方 をまね る 座 ってタオル を自由に動 かす みんなで揺 れ る タイ コを叩 く い ろい ろな叩 き方 をみつ ける い ろい ろな打楽器 を自由に叩 く 発表 タオル を もって伸 び る 揺 れ る タオル を揺 らす 振 る 回す なびかせ て回 る 円になって友 だちの動 か し方 を まね る 座 って

,い

ままでや った動 か し方 や, 自分 で好 きな よ うにタオル を動 かす 隣 の人 とタオル を持 って円 をつな ぎ, じ合 って動 く 友 だちの動 か し方 な ど, 引 っ張 った り揺 れ た り感 タオル を頭 や首 に巻 いてタイ コを叩 くための衣装 にす る 離 して置 いた 3つ の タイ コを自由 に巡 りなが らい ろい ろに叩 い て遊 ぶ タイ コの裏 も叩いてみ る 速 くや小 さ くも叩 く タイ コ

,タ

ンパ リン

,シ

ンバ ルが置かれた場所 に行 き叩いて遊 ぶ 気 に入 った楽器 で気 に入 った叩 き方 をみんなに発表 す る

(5)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

2号 (1993) 353

授業 の始 まりには大歓迎 をして くれた。 「タオルを持 って動 く」内容 で は

,一

人一人が呼吸 と合わせてのびのび と動 けていた。座 って動 いた ときも

,手

だけでな く

,か

らだ全体が動いていた。

Y男

はタオルを振 って回す動 きで は

,そ

の リズムを長 く味わっていた。 「気 に入 った楽器で気 に入 った叩 き方 をみんなに発表する」活動では

,手

をあげて自分か ら立ち 上がって発表 した。 それぞれが異 なる楽器 を選 ぴ

,異

なるリズムの叩 き方で発表 した。

U男

はタン バ リンを叩いてお しりも振 って見せ

,Y子

は踊 りを発表 した。

13)第 3次

の学習 表

3

第3次 (7月3日

)の

学習内容 「いろいろな動き 友だちと一緒に動 く」 容 内 学 習 ウォー ミングア ップ 全身 で

,呼

吸 と一緒 に動 く 床 の ライ ンに沿 って動 く みんなで船 にな る 座 って手 をつないで揺 れ る 船 になって揺 れ る タイ コを叩 く 移動 の動 きも考 えて叩 く い ろい ろな楽器で遊ぶ 楽器 で友 だち と話 す 発表 い ろい ろな リズムの音楽 で踊 る ゆっ くり大 きな呼吸をしなが ら全身で伸びる縮むを行 う 背中を床 につけ

,あ

げた脚 を速 く振 る 声 も出す はう 速 く歩 く スローモーションで動 く ラインか らライ ヘ跳び移 る 円 をつ くり座 って手 をつ ないでみん なで伸 びた り揺れた りい ろ い ろな動 きを出 し合 う みんなで作 ってい る円を船 に見立 てて揺れ る 波で様 々 に揺 れ る船 になって遊 ぶ 手 をつないだ円の まま立 って船 の動 きを続 ける 後 向 きに進 んで タイ コを打 つ 次 の タイ コヘ の移動 の仕方 を変 えてみ る 楽器 と楽器 で相手 の リズム を感 じて

,な

らし合 い をす る 友 だちの楽器 での話 しにみんなで答 える 好 きな動 きで 自由に踊 った り

,友

だち を まね た りす る 「円をつ くり座 って手 をつないでみんなで伸 びた り揺れた り

,い

ろい ろな動 きを出 し合 う」活動 で は

,生

徒か らいろい ろな動 きの提案が された。 「みんなで船 になる」内容 は

,年

後 に鳥取港へ船 の見学が予定 されてお り

,船

の模型 を作 る活動 もしていることか ら生徒の興味が高 く

,選

択 した。 「楽器で友だち と話す」内容 は

,女

子生徒がな らし合いをして遊 んでいたのを取 り入れた。「友だ ちの楽器での話 しにみんなで答 える」活動で は

,友

だちの活動 をよ く見てみんなで楽 しんだ。学習 後,「うれ しくて しかたがないんです」 と

H子

,「楽 しい」 と

Y男

が伝 えて きた。

(6)

354 佐分利育代 :知 的障害児のダンス学習

14)第 4次

の学習 表

4

第4次 (7月 5日

)の

学習内容 「いろいろな動き 友だちとみつけて動 く」 容 内 学 習 活 動 ウォー ミングアップ 新聞紙 に描かれた人形 の動 きを真似 して動 く 友だちの動かす新聞になって動 く いろいろみつける 体 の動 きで対象をとらえる 楽器で遊ぶ

(4回

のまとめ) タイコ

,タ

ンバ リン

,シ

ンバル

,す

ずの リズム楽器で遊ぶ い ろいろな リズムの音楽で踊 る 指導者 が動 かす新聞紙 を見 て

,そ

こに描 いてある人形が動 くの と同 じ動 きを試 み る 一人ずつみんなの前 に出て

,新

聞紙 をい ろい ろ動 かす 新 聞 の動 きを見 て真似 す る 体育館 いつぱい に広 げて置 いた楽器 を自由 にな らした り

,友

だ ち と楽器 のお話 をした りして遊 ぶ 音楽 の持 つ リズムや メロデ ィー を楽 しんで

,自

由 に踊 った り, 友 だち と合 わせ て踊 った りす る 「新聞紙 に描かれた人形 の動 きを真似 して動 く」内容で は

,真

似 して動 くことが良 くで き

,新

聞 と自分の動 きに集中で きた。 「友だちの動かす新聞 になって動 く」内容で も対応 して動 くことがで き

,い

ろい ろな形 を自分 の か らだの動 きで とらえることがで きていた。新聞紙 を動かす方にも興味 を示 し

,次

々 と手 をあげて, 動かす側 になった。 特 に

,み

んな と一緒 の活動 に参加 しない ことの多い

,自

閉的傾向 を持つ

U子

は新聞紙 を動か しな が ら,「飛行機 になってみて」「 スーパーマ ン」「忍者」と

,自

分が動かす新聞紙 の動 きか ら連想す る イメージを言葉 にして

,対

応す る友 だちの動 きを楽 しんでいた。新聞紙 も自分 のい うイメージのよ うにさらに工夫 して動か した。新聞紙 を動かす順番が終わってか らも

,イ

メージを次々 にぶ くらま せていた。自閉的傾向のある子 ども特有の障害の性質 として,「複雑 に変化す る視覚情報への臨機応 変の反応 をす ることはで きない自閉症児が多い」町目手の動作 に対応 して反応 した り

,ル

ールを含む 課題 に対応す ることが不得意」があげられている。が

,こ

れ らに対 して も可能性 の見 いだせ る事例 と いえる。 「新聞紙」 と「楽器」の間に,「船 になって遊 ぼう」の内容 を入れ ようとしたが,「一人一人 で船 になる」 ことはで きなかった。「旗 をたてて」でのポーズはで きた。 「い ろい ろな リズムの音楽で踊 る」で は,〈ポ ップコー ンJET‐2127〉 〈白い恋人 たちK17504〉 に 加 え,〈きなんせ節 4卜50〉 も流 した。(きなんせ節〉 は以前か ら

,傘

踊 りの練習で使 つている曲で はあるが

,傘

踊 りの動 きとは異 なる動 きで踊れていた。 自由な踊 りで は

,各

音楽の リズム を受 け取 つて友 だち と手 を とった り

,向

かい合 った りして

,関

わ り合いなが ら

,音

楽のなっている間中踊 り続 けることがで きた。

4回

の授業の終わ りで最後 の挨拶 をしたが

,一

人一人が握手 な どして くれた。なかで も

U子

は両 手で抱擁 して くれた。

U子

が他者 をこのように受 け入れ ることは珍 しい との ことを

D教

諭 より聞か

(7)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第35巻 第

2号

(1993) 355

され た。 生徒 の内的欲 求 に基 づ いた活動 を目指 して

,学

習 に際 して指 導補助 の教師 には

,生

徒 の前 に立 つ た り

,手

を貸 した りして動 きを強要 しない こと

,生

徒 が 自分 で動 き出す の を待 つ ことを申 し合 わせ たが

,自

由 に動 いて よい学 習 へ は

,生

徒 たち は抵抗 もな くとけ込 み楽 しんで活動 した と思 わ れ る。

4.学

習 での 自主 的 な運 動探 求

D教

諭による 1回 目の学習の中の「傘を使 っていろいろな動 きをする」では

,そ

れまでで きなか った運動がで きたり

,指

導者の提示 した課題が発展 した りの活動内容が得 られた。 表

5 D教

諭担 当の 1回 目の学習 容 内 学 習 活 動 ウォー ミングアップ 音楽 にのって自由に踊 る 傘を使 っていろいろな動 きをする 傘 を持 っていろいろな輸 きをする 友 だちや指導者 と一緒 に踊 る 指導者 の動 きを まね た り

,友

だちの動 きをまねた りす る 開 く 回す 閉 じる 挙 げ る 床 に円 を描 く 両手 で挙 げて体 を反 らせ る 。側屈・ 前屈 遠 くに届 かせ る 仰 臥で脚 に傘 を乗 せてバ ランスを とる 1傘 を跳び越す

1 1つ

の傘を跳び越す

1

連続跳 び 床 に置 いた傘 を縦 方 向 に両足 で跳 び越 す

両足横 跳 び越 しを連続 して行 う

みんなの傘 を床 に並べて置 き

,連

続 して跳 び越 す

追 い足 で跳 ぶ

い ろい ろな跳 び方で連続 して跳ぶ

傘 を くぐる 腹 ばいで くぐる 傘踊 りをす る きなんせ節 を踊 る 開いて置いた傘の下 を腹 ばいで くぐり抜 ける い ろいろな くぐり方で くぐる きなんせ節 に合わせて傘踊 りを踊る 指導者 をまねた り

,自

由に踊 った りする 学習 は体育館 の舞台上 に

,で

きるだけ広 い範囲が写 るように固定 した8 1nlllビデオカメラで撮影 し た。(昭和63年度入学鳥取大学教育学部養護教員養成課程藤川恭子の卒業論文データとして撮影 した。) 学習の内

,表

5で

点線で囲つた部分 を指導者の活動 と生徒 の運動 を中心にビデオテープよ り取 り 出 した ものが図

1及

2で

ある。 図の最上段 には指導内容

,下

は各生徒の活動 を表 した。生徒 は学年の順 に記入 した。

Y男

H子

1年

,K男

M子

2年 ,以

3年

生である。

(U男

は欠席

,表

1の

Y子

U子

はビデオに写 って いない。)

(8)

指導者 ND Y男 T男 H子 S男 床 に置いた傘 を縦方に 両足で跳び越す(示範 しなが ら3回) 16'20'' O着地 は開脚 傘の前で上への 両足跳び 頭上で拍手 しなが ら 跳び越す (太鼓の合図. 3回) 横跳び越 し の連続 (1度示範) 次の課 題へ 17'25'' 〇着地 は開脚 ∞ 枷 ⇔ 「先生すごい」 片足で跳んで 他の足 を揃 える 左→右 は1度で 右→左 は3度目 に跳び越すを連続で 腕 は振 るが 足 を揃 え

2回 座 っ て い る 傘の前で 横跳び 右左 「で きない」 太鼓 に合わせ 跳べるが、 左前へ 両足で前に 若地時に 右へ跳べた

で哲

揚写捩

窃勤

舟を

入れた

が 切

ゆつ くり

作を

「跳べる。

跳ん

あるが連続

作は

拍手する 左 は傘に引っかけた 右左右左右左 A先生1 左右左あるが連続 に 右左 れ 入 右

動雛

語手チ返 猛藤系iと罰ぢ示iテ発 看差岩た右左

A完

=I°

丞暑差 甫導 蟄 刺 弗 ︻ 当 番 稲 咄 消 ⑤ ヽ く 瀑 報 囃 K男

↑ 拍手 を受ける

踏切動作 を入れ なが らで きる 左前 に跳ぶ 傘を手に持 って 跳ぶ 傘 を持 って立っている 片足で跳んで他の足 を揃 える 傘の前で 跳ぶ 傘の前で 連続横跳 びを試みる R子 立 っ た ま ま 図

1

床 に置いた傘 を両足で跳び越す

(9)

Y男 並べた傘をギャロップで越す rこんなのでもいいで」横向きで追い足 (2ケ所設定ab) 18′30″ │ 横向 き両足跳び連続―横向き追い足を試みる-3回練習_ 前向 き両足 前向 きまたぎ越 し a 2つ 跳び越 し連続 _____――― 「 十

T

横向き追い足 4回 目で検向き 大きく T男 横向 き両足跳び連絡 勁いた傘を並べ直す を試みる 追いたぞ言返

lb

― ― ― ―

T

ダイナミックな ジャージの裾を 両 足 前 跳 び 2 ような両足横跳び II 左脚 を曲げ 伸ばして挙 げた左脚の 膝 を曲げて横に挙げ 首 を と持 つて 足 首 を前 に持 って 後で持 っ 指導者 ND A子 H子 Y子 前向 き両足跳び連続 前向 きまたいで揃 えるの連統 2つ またぎ越 し 大 き くまた ぎ越 し 間 隔 の狭 い所 3 で ケンパヘ の挑戦 T男後 ろ跳 び a 郡 聟 > 鵜 鱗 珊 報 襲 ヨ 沸 鵡 眸   蝉 研 摯 髯   秘 ∞ω 鰈   秘 ヽ︺ 中   ︵8 萬 ︶ て

越 き つ 向 2 前 2 K男 b ↓ 失敗 成功 ス ピー ドに挑 戦 (軍 に ス 追い足に近い跳び越 し ス ﹂ ・b 〓 I I I   コ 前向 き両足跳び連続 横向 き追い足 を試みる 、l a 前方 2つ またぎ跳び越 し連続 ダイナミックなま た

2

S男 N子 芭向きまたぎ越しの連続

前向き追い足のリズムで跳べる R子

またぎ載 し 前向き 片足跳ぴ越し連続 U子 ∞ 伽 ﹃ bコ ースで後向 パ SA 、 害 間 為 本 障 と え 2 て 積 変 を え 面 を 傘 納 の 隔 傘 を持 って立ったまま見ている 前向 き両足跳びで 間隔に対応 して 連続で しっか り跳ぶ をaコースに 図

2

並べた傘 をいろいろに跳び越す

(10)

佐分利育代 :知 的障害児のダンス学習 同一運動が継続 しているもの は下線で

,特

に成功 した運動 は太線示 した。図の

O印

は課題 の成功 を表す。影響 を与 えた生徒や補助者の活動か らそれ を受 けた生徒へ は矢印でその様子 を入れた。 時間表示 は

,学

習開始時か らの経過時間である。

(1)H子

の「傘 を跳び越す」運動 図

1か

らは

H子

(脳性 マ ヒ

)の

「傘 を跳び越す」運動への

2分

間での挑戦 と成功が

,H子

が持 っ ていた力 を発揮で きで きた例 として特出で きる。 その過程 は以下のようである。 [床に置 いた傘 を両足で跳 び越す] 指導補助者

S.Aは

,両

足跳 びで前方には傘 を跳び越せず左前 に跳ぶ

H子

のす ぐ隣で

,指

導者 の出 した内容ではな く

,横

方向の傘 の跳ぴ越 しをして見せた。

H子

はそれ を真似 て

,傘

を跳ぴ越 してで はなかったが

,傘

の手前で右左 と

2度

のジャンプを試行 した。 指導補助者

S.Tは

,傘

を左前 に跳ぶ

H子

の様子 を見て

,H子

の傘 を横置 きにした。横置 きにした 傘 の幅 は

H子

にも跳び越せ

,前

方へ まっす ぐに跳べた。前方へ跳 び越せた ことが

,太

鼓 の合図で拍 手 しなが ら跳び越す内容 に向かわせた。

H子

は前へ両足で跳ぶ ことの成功 をこの日初 めて体験 した。 [横跳ぴ越 しの連続] 指導者

Dは

,「床 に置 いた傘 をい ろいろに跳び越す」課題 への導入の 2と して

,床

に置いた傘 を横 に連続 して跳ぶ ことを提示 した。

H子

,S.Aを

真似 てすでに挑戦 していた この内容 に対 して,まず 右方向に跳べた。続 いての左へのジャンプは失敗 したが

,そ

の後 も踏切動作 を入れなが らゆっ くり 挑戦 し

,で

きた。

S.Aに

で きた ことを告 げたが

,気

が付いて もらえず再び自分で練習 して,さ らにス ピー ド感 を持 ってで きた。指導者

Dが

次の課題 の提示 を始 め

,H子

の成功 は評価 されずに

H子

だけ の ものに終わ りそうであった。 指導補助者

S.Tの

,「横跳 びやってみなさい」に

H子

,そ

れ までの試行 よ りも1回多 く跳ぶ演技 を見せ拍手 を受 けることになった。 以上のように

H子

の「傘 を飛 び越す」運動への挑戦 には

,指

導者 の提示 した運動 に挑戦 しようと す る

H子

の意欲 に加 えて,それ をさせ ることに固執 しなかった指導補助者

S,Aと S.Tの

発想 の転換 とタイ ミングのよい援助があった。

H子

はその日まで両足跳びので きない生徒であったが

, 2分

の 間に両足跳びで前 と横 に跳び

,障

害物 を越 える力 を自分で身 につけた。

(2)「

並べた傘 をいろいろに跳 ぴ越す」課題での学習 図

2は

「並べた傘 をギャロップやゆっ くりの横 向 き追い足で連続 して飛 び越 してい く」運動 を手 がか りに,「いろい ろに跳 び越 す」課題 に対す るお よそ

5分

間の活動である。手がか りとして与 えら れた運動課題の成功か ら各生徒 な りの次の跳び越 し方の課題が考案 され

,失

敗 に対 しては繰 り返 し の練習や

,課

題 を少 し変化 させての挑戦がみ られ る。 [自分 な りの課題設定 と探求]

(A子

の学習

)A子

(ダウン症候群

)は

,「並べた傘 をギャロップで越 す」課題 に対 して,「左足 を左 に出 してジャンプ し

,そ

の足 に右足 を打 ちつけて右方向に進 む」 ことはで きで も左 は

2度

挑 戦するがで きない。右方向に

2度

目を跳んだ後

,再

び左方向に挑戦す るが失敗す る。

2度

目も失 敗 した ことに「・ … だ もんね え」 と大声 と

,体

を傾 けた大 きな動作で何か言い訳 をしてやめた。 指導補助

S,Kが

,A子

と同 じコースを片足跳びで進む。これを真似 て

A子

も片足跳び越 しに挑 戦 し

,成

功する。

A子

は片足跳 びの成功 を機 に

,片

足での新 しい跳び方 を考案 して挑戦す る。

(11)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

2号

(1993) 359

「左膝 を曲げ

,足

首 を後 ろで持 って跳び越 す」 に成功す る。 脚 を体前で も持 って跳ぶ ことを思いつ き

,試

みる。「前 に伸 ばしてあげた左脚 の足首 を左手で支 持 して」の始 めの試み は

,持

つだけで も体が前かがみになって

,傘

を続 けて跳ぶ ことはで きなか つた。「膝 を曲げて反対 の手で足首 を持つ」ことに切 り替 えて「体 の前で足首 を持 って」の

A子

自 身がたてた課題 は成功 した。 この成功 に対 しては

,指

導補助S,Aと

S.Tが

真似 して試 みることで評価 した。 [友だちの運動への挑戦] 友達 の成功 は挑戦への大 きな刺激 になる。

A子

と同 じコースで練習 していた

N子

(自閉的傾向) は

A子

の後 について「片足跳び」 に挑戦 し成功 している。

(N子

の学習

)N子

A子

を真似 し

,片

足跳びに成功 した。「足首 を持 って」まで は挑戦 しなかっ た。

N子

はこの他

,M子

の成功 した「 また ぎ跳び越 し」

,H子

の「前向 き追い足」

,T男

が持 ち込 んだ

,他

のコースでの課題「両足跳び」 に も挑戦 している。 [友だちの運動への挑戦か ら

,自

分の課題へ] 友 だち と同 じ課題 の成功 は次の自分 な りの発展 につなげているし

,失

敗 は自分 にで きる形での挑 戦へ とつなげている。

S男

(軽度 の脳性マ ヒ後遺症

,言

語障害)と

Y男

(ダウン症候群

),Y子

M

子の活動

, aと bの

コースを動 き回っている

T男

(てんかん

)に

もみられる。

(S男

Y男

の学習

)S男

「前向 き両足2つ跳び越 し連続」 に成功する。

Y男

が挑戦す る。

S男

「前方2つまた ぎ越 し連続」 に成功す る。

Y男

はまず一つづつの「またぎ越 し」 を試み, 次に「2つまた ぎ越 し」 に成功す る。

S男

はさらにダイナ ミックなまたぎ越 しをしか もコース往復 で行 う。 このダイナ ミックな運動 をす ぐに取 り入れたのは

T男

,Y男

はしば ら く間 を置いた後

,ス

ピー ド感 はないが大 きなまた ぎ越 しで真似 した。 それ まで活動 に参加 していなかった

U子

(自閉的傾向

)が

自分 の傘 をコース置いたため

,並

べ た傘 と傘の間隔の狭 い部分がで きた。 これに対 し

,S男

が3つ越 しをはじめる。

Y男

,S男

が3つ越 しをしている傘 と傘 の間隔の広い場所で はな く

,U子

が並べた間隔の狭 い場所 で

, 3つ

越 しに挑戦 し成功 した。 その後

,間

隔の狭 い箇所 を増や して続 けた。

(Y子

M子

の学習

)U子

が作 つた間隔の狭 い場所で

,間

隔に対応 した

,

リズムに変化 のある連 続跳びの練習が

Y子

M子

の間で起 こった。

Y子

が「間隔に対応 して前向 きで またぎ越す」 と

,M子

は「間隔に対応 して前向 き両足跳び」 で同 じリズムを作 り出す。その後 も

,Y子

の提案 した運動 に対 して

,少

し運動 を変 えなが らも主 に リズムを真似 しなが ら3回の試行があ り

,M子

4回

目で

Y子

の3回日と同 じ運動 も真似 した。 傘 を持 ってたった まま友だちの活動 を見 ていた

R子

(ダウン症候群

)が

突然 自分 の傘 をコース に置 いた。

Y子

はその傘 を前か らあった傘 につ けて置 き

,障

害物 の面積 と

,間

隔を変 えた。

R子

の傘で新 たに作 られた障害物 に対 して

M子

,Y子

の運動で はな く

,他

のコースで

A子

が 試 している,「後 ろ跳び」で挑戦 した。

(T男

の学習

)T男

S男

が行 っていた「両足 の2つ跳 び越 し」 の刺激 を受 け

,そ

れ まで

4回

も 繰 り返 し練習 していて自分の ものになった「横 向 き追い足」 を

,よ

り大 きく跳び上が りなが らの 運動 にした。

S男

の「ダイナ ミックなまたぎ跳び越 し」 によってさらに「ダイナ ミックな横向 き両足跳び」 「弾 むような両足横跳 び」へ と発展 させた。 その運動 を持 って他のコースに行 き

,N子

の「両足

(12)

佐分利育代 :知 的障害児のダンス学習

跳び」 を出現 させた。

[運動条件 をつ くりだす]

運動 を探求 してい くうちに障害物 を自らつ くりか えて,またその状態 を確かめての挑戦 もあった。

T男

,Y男 ,Y子,U子

( )で

示 した活動である。

U子

はそれ まで課題 の学習 に参加 してい

なかった (自分 の世界での活動)力

S,急

に思い立 って障害物 を変化 させ

,自

分 も参加 した。 [運動 を実施 しない生徒の存在]

R子

のように運動の実施 には参加で きていない生徒 も

,活

動 を見 るうちに自分 の持 っていた傘 を置 くことで

Y子

M子

T男

の活動 を発展 させている。 座 りっぱな しの

K男

も確実 に自分の意志で友達 の活動 に対 して動 き始 めている。 [補助者の学習補助] 補助者 は生徒 の一人 と同 じように位置 し

,発

見への手がか りになるようなアイディアを少 し出 した り

,図

には現れていないが

,生

徒が出 したか弱 い動 きを真似 することでその動 きを確実 に存 在感 のあるものにした り,「す ごい」「上手」 とほめることは多 く行 った。

13)「

並べた傘 をいろいろに跳ぴ越す』課題 を手がか りに自主的に探求 された運動 この課題での約

5分

間に生徒が発見 し成功 した連続 ジャンプはクラス全体で31種類で

,以

下 のよ うな内容であった。 ギャロップ 追い足 (ター ンタの リズムがある

)一

横 向 き

,前

向 き, また ぎ越 し一横向 き

,前

向 き

,高

,遠

(2つ

越 し, 化 両足一横 向 き

,前

向 き

,後

向 き

,遠

,ダ

イナ ミックな

,弾

むような

,速

さの変化

,

リズム を 変 えて (確実な

2回

跳びで) 片足―前向 き

,足

首 を持 って (身体 の前で

,後

ろで

),

リズムを変 えて 組 み合せ―片足

5回

・ 両足 片足1回・ 追い足

3回

・ 両足 また

,生

徒が何種類 のジャンプに挑戦 したか

,ど

の様 な活動が行われたかをみると

,表

6の

よう にまとめることがで きる。 生徒一人一人の活動 を

,①

ジャンプの種類

,②

自主的な練習や工夫

,新

しいジャンプヘの挑戦, ③障害物 (傘

)の

置 き方に関わる行動 (置き換 えた り直 した り

),④

友だちへ発信 した (友だちが真 似 した り

,そ

れに刺激 されて友だちが活動を発展させた

)ジ

ャンプや気持

,⑤

友だちか ら受信 した (友だちを真似 した り

,そ

れに刺激されて自分の活動を発展させた

)ジ

ャンプや気持ち

,⑥

指導補 助者 より取 り入れたジャンプに分けてその出現数を記 した。単位 はジャンプは種類

,そ

の他 は回数 である。

K男

R子

の欄の

Oは

ジャンプではな く

,ま

た回数 としては数えられないが確かに影響 を 与え

,受

けていると思われる行動があったことを示す。 この表か ら

,5分

余 りの活動時間に

K男

R子

,U子

を除 く生徒が

5種

類以上のジャンプを試み, 自分なりの練習や工夫

,新

しい技への挑戦を行っていたことがわかる。そしてその活動が どの生徒 も友だちとの何 らかの関わ りの中で行われていることも見 ることがで きる。 遠 く

,高

,速

,速

さの変化 3つ越 し

),ダ

イナ ミックな

,速

さの変

(13)

鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 35巻 第

2号

(1993)

5.終

わ りに 生徒 は何 よ りも自由に動 く気分が好 きなようであった。リズ ミカルな音楽 にも,ゆっ くりとし た静かな音楽 に も全身で とけ込むように踊 る。踊 りなが ら友だちや

,指

導者 に心 を向けてゆ く。 はじめて出会 った生徒が,こち らに目を向けて くれた り

,出

した手 を押 して くれた時

,ど

んなに 大 きなジャンプにも負 けないほどの心の動 きを感 じる。「 こころが動 くか らか らだが動 く」 こと を実感す る。 この楽 しい気分 の中で生徒 は多 くの力 を見せて くれた。 生徒 の内発的な興味 と意欲 によって外 に現れた活動内容 には,生徒 の発達の現状が内包す る広 が りと深 まりを見 ることがで きた。一時間の学習の

,小

さな手がか りにで も生徒 は今 の力 を発揮 し

,新

しい力 を自分の ものにしていた。仲間 と関わ り合 い

,場

をも取 り込 んで

,新

しい運動課題 を見つけ

,挑

戦 し

,解

決 してい く姿

,活

動 を創造 してい く姿 もみ られた。座 ったままの

K男

も自 らの意志で次の試技者 を見 た。見 ることで

,友

だちを発憤 させた。自らのか らだ とか らだの動 き を通 しての表現であ り,イ メージを目標 にで きるダンスの側か らの運動探求 は

,課

題 を見つ ける ことが生徒 の側か ら自主的に行 える機会であった といえる。 生徒 の この可能性 をどれだけ把握 して評価 し

,次

の目標 を立てるのか

,生

徒の可能性 をどれだ け引 き出せ るかが指導の大 きな問題である。 障害児の運動 の評価がチ ェックリス トや,並べ られた運動項 目の通過率でなされることが多い が,どれだけ多 くの運動領域が取 り上 げられて も,子ども一人一人 をカバーすることはで きない。 障害別 の運動課題 を目標 として設定 し,その獲得 に向けて様々な教材教具 を準備す る指導 に加 え 表

6.[並

べた傘 をいろいろに跳び越す

]で

の各生徒の活動 ジャ ンプの種類 自主的練習や 工夫 新 しい ジ ャンプヘ の 挑戦 障害物(傘)の 置 き方 に関わ る行 動 友 だちへ発信 したジ ャンプ や気持 友 だちか ら受 信 したジャン プや気持 補助者 より取 り入れたジャ ンプ

Y男

7 2 1 ユ 2

T男

2 2 1 1

A子

6 3 3 2 H子 5 2 1 1

K男

○ ○

Y子

2 1 3 2

M子

7 2 4 S男 N子 1 R子 1 ○

O

U子 1 ユ 1 1

(14)

佐分利育代:知的障害児 のダ ンス学習 て

,一

つの教材 で多 くの運動 を子 どもか ら引 き出す指導

,ど

れだけ発達 し次 はどこへ発達 させ る

かの評価 に加 え,個々の子 どもの今 を認めその個性が生み出す内発的な運動の評価 を提案 したい。 日標 とする運動課題 を設定 しなければ,生徒か ら出て きた運動 はどれ も高い評価 を受 けられ るも のに違いない。 久保 は

,体

育 の授業 について,「子 どもを

,教

師か らの間 に答 える存在か ら

,自

ら間 を立てて それ を解 きなが ら,スポーツや人間やそれを取 り巻 く世界 の真相 を探求す る存在へ と引 き上 げて い く架 け橋 として位置づ くものである」としているが

0,障

害児体育 において もそのような授業 づ くりが考 えられ るべ きである。

1)「 精神薄弱教育における体育指導の手引」文部省 2版 1990 2)マ リアンヌ・ フロスティッグ ムーブメン ト教育―理論 と実際一 日本文化科学社 1978

3)小

口勝美,ガ ヽ林芳文,高山忠雄編 障害児のムーブメン ト教育―原理 と指導の実際― フレーベル館 1981

4)茂

木俊彦 障害児の発達 と保育 青木教育業書 1982

5)同

3) 6)久保健 子 どもを主人公にする体育の授業づ くり(2)―「問への解答」か ら「間の設定」ヘー 体育科教育 第 39巻第 3号 P,681991 (1993年8月31日受理)

参照

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