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知的障害児・発達障害児の支援に関する実践的研究 : 大学生による余暇活動の企画運営より 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)知的障害児・発達障害児の支援に関する実践的研究 -大学生による余暇活動の企画運営より- Sachiko NAKAZAWA. 中 澤. 幸 子*. Ⅰ.はじめに 広辞苑によると「余暇」の意味は「自分の自由に使える,あまった時間。暇。」とされている。 一般的にも空いた時間のことを意味することが多い印象がある。しかし,一番ケ瀬・薗田・牧野 (1994)によると,余暇という言葉の発生はレジャー(Leisure)の訳であり,語源はラテン語 の「オティム:何もしないこと,消極的行為」とギリシャ語の「スコーレ:自己の教養を高める 積極的行為」の両方の語源をもつものであるといわれている。障害者基本法第25条では「国及び 地方公共団体は,障害者の文化的意欲を満たし,若しくは障害者に文化的意欲を起こさせ,又は 障害者が自主的かつ積極的にレクリエーションの活動をし,若しくはスポーツを行うことができ るようにするため,施設,設備その他の諸条件の整備,文化,スポーツ等に関する活動の助成そ の他必要な施策を講じなければならない。」と規定されている。このように法律でも積極的行為 としての障害者の余暇の支援が保障されている。そして近年は,障害児への支援の一つとして, 学校以外の地域の場において余暇活動支援事業として展開され始めており,障害のある当事者や その家族を中心とした地域においても数多くの取り組みの立ち上げが期待されている(黒山・高 島・豊島,2011)。また,平成22年の児童福祉法改正によって開始された放課後等デイサービス のガイドライン(厚生労働省,2015)の中で余暇活動の充実が明記されており,各事業所でも余 暇活動の支援の機会が増えてきている。しかし,現状としてはその活動の場がまだまだ不足して いることも指摘されている(つくし会,2012)。その対策の一つとして,大学の企画や協力によ る支援活動が考えられる。このような背景から,BNPO法人とA大学における筆者のゼミナールと の共催として,A大学3年10名の学生が平成28年4月より平成29年3月までの1年間,全10回の知的 障害児・発達障害児の余暇活動を企画し,運営する機会を設定した。本稿ではその活動及び成果 について報告し,大学による今後の障害児の余暇支援のあり方について示唆を得ることを目的と する。. Ⅱ.活動の概要 1.参加児童生徒及び企画運営学生について 参加児童生徒が所属するBNPO法人は,E市内に在住する発達に心配のある子どもたちの保護者 が中心となって設立した団体である。現在では障害児・者及びその家族の相談支援事業,余暇活 動支援事業,啓発活動等を行っている。企画運営するA大学3年生は筆者のゼミナールに所属し. *. 浜松学院大学. - 82/129 -.

(2) 山梨障害児教育学研究紀要. 第12号(平成30年2月1日). ている学生であり,全員が特別支援学校教諭1種免許状を取得予定としている。. 2.役割分担 BNPO法人とA大学3年10名のゼミナール学生が協働で障害児の余暇活動支援事業を実施する。 役割分担を以下のようにする。 BNPO法人:参加児童生徒の募集と実施場所の確保,学生の移動補助(駅から現地までの交通 手段がないためその間の送迎とその他の交通費) A大学3年生:各回の活動内容の企画と運営を担当。各回の内容を2名の学生で企画する。 3.活動日 毎月第4日曜日。9時30分~11時(ただし5月・9月は除く)。 4.活動場所 C特別支援学校体育館,プレイルーム及びD公民館 5.活動の企画運営方法 (1)準備 ①年度当初に決めている各回2名の活動企画担当学生が,活動日の10日ほど前までに活動の概 案を計画し,提案する。 ②提案された活動概案を学生全員で検討し,詳細の活動内容を決定する。 ③活動内容決定後,当日に向けて準備をする。. (2)活動の振り返り 実施後は,活動全体を通して「良かった点」「改善点」について学生全員で討論する。さらに 参加児童生徒全員について個別に各活動内容の様子について話し合い共有する。また,活動後は 各学生が活動時の様子を記録し,それについても学生全員で共有を図る。最後に全体のまとめと して活動を計画した学生が活動全体を振り返った記録を作成する。. Ⅲ.活動の実際. 1.参加登録児童生徒及びボランティア・スタッフ ①参加登録児童生徒は,小学1年生1名(女子),小学2年生2名(男子),小学4年生3名(男子), 小学5年生1名(男子),小学6年生1名(女子),中学1年生1名(女子),中学3年生1名(女子), 高校2年生1名(女子)の合計11名であった。参加児童生徒の属性として特別支援学校在籍者 1名,特別支援学級在籍者2名,通常学級在籍者8名であり,知的障害,発達障害のいずれか の障害もしくは併せ持つ子どもたちである。保護者からは,人間関係の不器用さ,コミュニ ケーションの苦手さが伝えられている。 ②ボランティア・スタッフとしての参加登録は,4月当初は2名(女子1名,男子1名)であった。 5月から1名(男子1名)が加わり,合計3名が参加登録された。3名のボランティアの内2名は. - 83/129 -.

(3) 社会人,1名は高校生である。その内1名は知的障害,2名は発達障害の診断を受けている。. 2.実施日,場所,参加人数,内容等 活動実施日,場所,参加児童生徒数,参加ボランティア・スタッフ数及び活動内容はTable 1 の通りである。 Table 1.実施日,場所,参加人数,内容 実施日. 場所. 参加児童生徒数. ボランティア. 第1回. C特別支援学校. 9名. 2名. 平成28年4月24日. 体育館. 第2回. C特別支援学校. 平成28年6月26日. 体育館. 第3回. D公民館. 活動内容 名札作成,じゃんけん列車, ボールポイントランナー(*1). 10名. 3名. ボールポイントランナー,ドッチビー, だるまさんがころんだ,うちわづくり. 9名. 3名. 平成28年7月24日. 夏休み宿題支援 震源地は誰だゲーム. 第4回. C特別支援学校. 平成28年8月21日. 体育館. 第5回. C特別支援学校. 平成28年10月23日. 玄関前及び校庭. 第6回. C特別支援学校. 平成28年11月20日. 4名. 3名. 大型すごろく. 8名. 3名. スライムづくりと遊び,手つなぎ鬼. 6名. 3名. 海賊ゲーム(*3). 体育館. 第7回. C特別支援学校. 平成28年12月25日. 体育館. 第8回. C特別支援学校. 平成29年1月22日. 体育館. 第9回. C特別支援学校. 平成29年2月26日. 体育館. 第10回. C特別支援学校. 平成29年3月26日. プレイルーム. どんぐりゴマづくりと遊び 7名. 2名. リースづくり,キックボーリング ペープサート鑑賞. 8名. 3名. ボール投げ,ドッヂボール. 8名. 3名. キックボーリング いもむしキックベース(*2). 7名. 3名. 紙飛行機作りと遊び,大根抜きゲーム なんでもバスケット. <活動内容の説明(自作ゲーム)> (*1)①3チームにわかれる。各チームの決められた色のボールを時間内にとってくる。②ボールを1番多くとったチー ムが勝ち。制限時間は30秒。 (*2)①先攻後攻を決める。②攻撃:ボールを蹴ったらコーンを周りホームに戻る。③守備:ボールを取った人を先頭 に後ろ一列に並ぶ。④蹴った人がホームに戻るか先に並ぶ(イモムシ)ことができるかのスピードを競う。⑤攻撃 側が先にホームに戻ったら得点が入る。全員が蹴ったら攻守交代する。 (*3)①赤海賊は青メダルを赤に,青海賊は赤メダルを青にする。②メダル赤25枚,青25枚。③30秒間内でメダルを獲 得できた数を競う。④3回戦行う。. 3.活動時の様子 各回の活動企画担当学生による振り返りの記録を,Table 2 に示す。下線(実線 童生徒の変化,波線. は参加児. は学生の気づき)は,分析のために筆者が付記したものである。. - 84/129 -.

(4) 山梨障害児教育学研究紀要. 第12号(平成30年2月1日). Table 2.学生による振り返りによる活動の記録 (学生が書いた記録の原文を転記) 回. 活動時の様子. 第 1 回. 初めての活動だったが,児童生徒は楽しそうに活動に取り組んでいたように感じた。またこちら が伝えたルールを守って活動に取り組むことができていた。緊張のせいか自分から積極的に活動を 行ったり,話しかけたりする姿は見受けられなかった。とはいえ活動が始まると集中して取り組め ていた。児童生徒に最初に何をやるのか全く伝えていなかったため,不安そうな様子や落ち着きが なく,そわそわしてしまう児童生徒の姿が見受けられた。そのため見通しをもたせてから活動に入 ることが重要であると感じた。インタビューやゲームの際に注目されると話せなくなってしまうこ とがあった。学生が話しかけても答えることができない児童生徒の姿が何人か見受けられた。その ためみんなの前で発言できるような環境づくりや話しやすい雰囲気を作り出す必要があると感じ た。ポイントボールランナーでは学生がボールを数える予定だったが,児童生徒が率先して数を数 えてくれた。最後の掃除では,モップの取り合いになってしまい,泣いてしまう児童が出てしまっ た。そのため次から掃除はどのように行っていくかこちらで決めておき,スムーズに行えるように する工夫が必要だと感じた。第1回の活動がどうだったか児童生徒に聞いた際にほとんどの児童生 徒が楽しかったと答えてくれた。. 第 2 回. 子どもと学生の距離が感じられた。一緒に階段を上がっていても学生ばかりが話しかけ,質問し ていた。 「ポイントボールランナー」のルールは,理解できている子といない子との差が見られた。 チーム戦だったが,一人一人が黙々とゲームをこなすという雰囲気があった。合計点の計算は,1 人が言う答えにあっている,間違っているということのみの会話であった。協力して何か活動をす ることが難しいように感じた。ドッジビーはみんなルールを理解し,積極的に参加している子ども の様子が見られた。途中から,フリスビーの種類や個数を増やすと,フリスビーを投げるタイミン グを迷う子どももいたが,全体的に活動的になり,盛り上がっていた。うちわ作りでは,学生と1 対1で行った。一人黙々と集中している子どももいれば,折り紙でハートの折り方を学生に教え, 少しずつ親しくなっている子どももいた。. 第 3 回. 活動の始めは少し緊張気味の児童生徒が多かったが,学生が声掛けをしていくうちに「ここがわ からない。」「できた!!」という声が聞こえてきた。休憩時間にうちわを見せ合う時は,前回より も児童生徒達同士で話すようになっていた。ただ,まだ学生が一緒にいないと話しかけることがで きない児童が多いように感じた。再び宿題を始めると,自分から学生にわからないところを聞き, 一緒に問題を解く子どももいた。積極的に宿題に取り組んでいる児童生徒がいる中で,集中力がき れて学生と楽しく話している児童や保護者の方に行ってしまう児童も出てきた。宿題が終わった後 の“震源地は誰だ”というゲームは児童生徒がとても楽しみにしているようだった。ゲームの説明 をしている時は,静かに話を聞いていた。ゲームを始めるとルールを理解できていない児童生徒は, 誰かの真似をしているだけになってしまった。公園でアイスを食べた時は,児童生徒から積極的に 学生に話しかけている姿が見られた。宿題をした解放感からかとても楽しそうに話したり遊んだり していた。全員が食べ終わったのを見計らって次の活動について話すと,話し手に注目してベンチ に座って聞くことができていた。. 第 4 回. 大きなサイコロや,体育館全体を広く活用した内容に楽しい雰囲気を感じている児童が多く,す ごろくという活動を中心として,どの児童も楽しみを見つけて取り組むことができていた。「サイ コロを振りたい」「クイズを解きたい」などの意欲が見られ,「早く自分の番が回ってきてほしい」 といった言葉が多く聞かれた。活動中に大きな役割を果たした「クイズマン」の登場は,児童生徒 たちは楽しそうに大きな声でクイズマンを呼んだり,クイズにも楽しそうに答えたりしていた。会 場が広く,また子どもたちの数も少なかったため,声が通りにくく,一人の子どもがクイズに取り 組んでいるときに,他の子どもは,どういったクイズなのか気になり,クイズマンのほうへ向かう ことが多くあった。クイズマンの他にも,他の子どもが,どのようなマスにとまるのか,サイコロ はいくつの目を出したのか,注目する場面が多くみられた。. 第 5 回. スライム作りでは,感触を確かめながら混ぜたり,色付けでどんな風に色が付くのだろうと,期 待しながら作っていたりする様子があった。「誰かまぜてくれるひと?」と聞くとほとんどの子が 手を上げたり,自分から水を汲みに行ったりするなど,積極的に行動し意欲が感じられた。スライ ムを伸ばすとき,ちぎる,伸ばすなどそれぞれの方法で楽しそうに活動をしていた。鬼同士のチー ムワークをとりながら逃げる人を捕まえようと考えていた。今回は,スライム作りではグループの 大きいスライムを作る,手つなぎ鬼では,鬼同士手をつないでいる状態で逃げる人を捕まえる,な. - 85/129 -.

(5) ど,二つとも他の児童生徒との協力が必要な活動であった。手つなぎ鬼の際の鬼同士のチームワー クなどを見ると,予想以上に子ども同士が協力して活動をしていた。しかし,中には他の子と同じ ペースで活動をするのが難しい子もいるので配慮が必要だということも感じた。 第 6 回. 海賊ゲームやどんぐりコマ大会の活動の説明をしている際,気持ちの先走りがなく,最後まで説 明を聞いていることができていた。説明が終わると,活動の意気込みや楽しみな気持ちを伝えたり しながら自分の気持ちを前面に表している姿が見受けられた。活動中も子ども同士が協力し,お互 いを尊重し合っている姿も見られた。人と競うことに重点を置いた活動であり,勝ち負けにこだわ ることや,自分の気持ちを素直に出せるような活動になったといえる。勝った際は子ども同士や学 生と喜びを共有し,負けた子どもからは「次は勝ちたい」という発言が多くでた。活動の説明で絵 やイラストなどを用いたことで理解につながり,モチベーションアップにもつながったのではない かと感じる。ボランティアもうまく入ってくれたおかげでスムーズに進めることができた。密に関 わることができた活動だったため,より関係性を深めることができた。. 第 7 回. クリスマスをイメージして行った活動であり,ほとんどの活動で積極的に参加している様子が見 られた。リース作りでは,試行錯誤しながら作品作りに熱中し,なかなか終われない子がいたり, ペープサートで作った絵を気に入り,持ち帰りたいという子がいたりするなど,参加する児童生徒 それぞれ楽しみ方をしていたように思えた。キックボーリングでも,ボールを蹴りたいという気持 ちやピンを倒したいという気持ちがあったようで,何度も挑戦する意欲を見せる子どももいた。制 作活動のように個人活動になると,集中する子,自分の作品が完成するとそれでおしまいという子 などそれぞれの個性が見られた。しかし,キックボーリングはチーム戦であったため,相手に負け たくないという気持ちが出てくる。それが,何度でもやりたいという意欲につながったと考える。 ペープサートは,楽しんで見てくれていた。しかし,歌活動となると,途端にうつむく子が何人か 見られた。やはり,歌のような自分を表現するような活動は,恥ずかしさがあると思われる。児童 生徒が周りを気にせず,歌えるような環境を作ることも大切だと思えた。. 第 8 回. 投げるということを繰り返し行った。活動全体を通して積極的な様子が見られていたように思 う。その要因に,最初に測定した投球距離を伸ばしたいという気持ちが表れていたからかなとも思 う。とはいえ,途中で少し飽きてしまった子どもが多く,また,距離を伸ばしたいという思いだけ で練習をつないでいたため,活動の中に楽しさが欠けてしまったりしていたこともあったことが子 どもの様子から感じられた。また,ちょっとした声かけをすることで,子どもの体の動かし方や気 持ちが大きく変わり,楽しむことや,やる気が見られるなど,一旦やる気が減退していた様子に大 きな変化が見られる様子もあった。全体として距離を伸ばしたいという気持ちを持っている子ども が多く,ポイントを伝えると,それを意識して一生懸命取り組んでいた印象が見られた。しかし, 指導の仕方の事前準備に不十分さがあり,再測定で記録が伸びない子どももいた。一つのことを指 導するためには,しっかりとした知識と技能を指導者が身に付け,指導のための準備を十分に行う 必要性を今回の指導から学ばせていただいた。. 第 9 回. 前回の投げる活動の反省点を生かし,蹴る活動について学生間の理解を深めたが,それでも指導 については全体で理解ができていないことにより,手際の悪さが多く見られた。それでも子どもた ちはよく待っていてくれた。説明を聞くときには,説明者の方を見る児童生徒も増えてきているよ うに感じられた。2回目の測定の時には,1回目と比べて自信をもってボールを蹴っている様子も見 られた。ボールに触れる時間を比較的長くとったため,記録が伸びるのは当たり前のことであるか もしれない。しかし記録が伸びた子どもはとても嬉しそうであり,蹴ることについて自信を持てる ようになったのではないかと思う。全体のイモムシキックベースでは,自ら考え,試合を進めるこ とができ,また楽しそうに雰囲気よく活動を進めることができた。保護者の方々にもお手伝いいた だいたおかげで,子どもたちもより一層,楽しそうにゲームに取り組んでいた。. 第 10 回. 普段と場所が異なるプレイルームであったが,児童生徒は普段と変わらない様子で,楽しんで 活動に参加する様子が見られた。なんでもバスケットをする前にマットの準備を手伝ってほしいと 伝えると,集まってきてくれて学生の手伝いを積極的にしている姿が見られた。準備を含めてゲー ムへスムーズに移ることができていた。休憩の時間には,「次は何かを作るの。」という質問が聞か れ,体を動かす遊びだけでなく,制作活動も楽しみにしてくれている姿がみられた。全体を通して, 笑い声や笑顔が多くあり,楽しい雰囲気で活動に取り組むことができていたように感じた。また, 全体で集まって担当者の説明を聞いたり,活動を理解して積極的に取り組んだりなど,一年間の成 長の様子を感じることができた。. - 86/129 -.

(6) 山梨障害児教育学研究紀要. 第12号(平成30年2月1日). 4.保護者のアンケート結果 第10回目の活動が終了したときに1年間の活動の振り返りとして,子どもの成長,学生の成長, その他という項目について参加児童生徒の保護者を対象に,アンケートを実施した。. (1)参加児童生徒の成長について 「活動を通して,お子様の成長はありましたか?」という質問の提示後, 「①とても成長した」 「②まあまあ成長した」「③特に変わりなし」「④後退した」からの選択とした後に,自由記述 欄を設けたアンケートを実施した。その結果をFig.1に表す。自由記述については特徴のあった 回答のみ抜粋して本稿に記載する。. Fig.1 -自由記述(抜粋)-. お子様の成長について. (下線は筆者). ・いろいろな人とかかわることができるようになった。 ・周りの状況を確認できるようになった。 ・できたことを学生さん達にほめられて,すごく自信がもてたように思う。 ・指導者の話を聞くようになってきた。 ・休日が充実した。. (2)学生の成長について 「活動を通して,学生の成長はありましたか?」という質問の提示後,「①とても成長した」 「②まあまあ成長した」「③特に変わりなし」「④後退した」からの選択とし,その後に,自由 記述欄を設けたアンケートを実施した。その結果がFig.2である。自由記述については特徴のあ った回答のみ抜粋して本稿に記載する。. Fig.2. 学生の成長について. - 87/129 -.

(7) -自由記述(抜粋)-. (下線は筆者). ・指導の仕方や進め方が子どもに分かりやすく説明してくれるようになった。 ・一人一人の性格やタイプに合せて接し方を変えて対応したり言葉のかけ方を考えたりしてくれている。 ・毎回,学生さん同士の連携が取れるようになってきて成長を感じた。. (3)全体を通しての感想. -自由記述のみ(抜粋)-. (下線は筆者). ・体を動かす内容が多く,毎回楽しみにしていたので,参加できてよかった。 ・なかなか家ではできないような活動もやってもらい楽しかった。 ・4月の時には「?」と思ったが,現在はとても頼もしいお兄さんお姉さんになってくれたと思う。. Ⅳ.活動の成果 1.参加児童生徒について 13名中10名の保護者のアンケート結果より,子どもが「とても成長した」または「成長した」 という回答が得られた。その具体的な成長として,「いろいろな人とかかわれるようになった」 「周囲の状況を確認できるようになった」「話しをきけるようになった」「自信がもてるように なった」「休日が充実した」などが自由記述の中に記載されていた。また,活動の企画を担当し た学生の振り返りの記録の中に,最初のころは「緊張気味」「距離を感じる」といった児童生徒 の様子に関する記述が見られた。しかし,その後「少しずつ子どもたちが説明を聞くようになっ ていること」「協力して活動するようになってきていること」「自ら考え活動できる,学生の手 伝いをする」などが散見されるようになった。学生と児童生徒たちとの関係が親しくなるにつれ, 学生が見本となる態度を見せたり,間に入って児童生徒同士をつないだりする役割をすることが 人間関係や社会性が育つことにつながることが推測される。円滑な対人関係を形成し,豊かな社 会生活を送れるようにするためには,いろいろな経験を通して興味関心を広めること,社会性を 養うこと,好ましい人間関係を育てるというような他者との交流の機会が必要である。本事業は そのような機会の場を提供できたのではないかと考える。 2.学生について 保護者から見た学生の成長は,13名中12名から「①とても成長した」「②まあまあ成長した」 という回答が得られた。具体的な成長として自由記述より,「子どもにわかりやすい指導の仕方 や進め方」「一人一人の子どもを理解したかかわり方ができるようになったこと」等が評価され ている。学生の記録の中でも例えば,「見通しを持たせること」「環境設定」「一人一人の子ども の違い」など,児童生徒とのかかわりからの気づきを振り返ることができていた。このような振 り返りが学生の成長につながったと考える。これらは大学の授業で学んでいることではあるが, 実際に子どもの支援を考え,実施するという経験は学生にとってもこれまでの学びを深める機会 となるのである。. 3.子どもを支援するために必要なこととは. -振り返りと分析-. 全10回の活動終了後,学生全員でTable 2を用いて,活動全体について振り返りを行った。そ. - 88/129 -.

(8) 山梨障害児教育学研究紀要. 第12号(平成30年2月1日). の後,以下の方法で「子どもを支援するために必要なこと」について,次のような手続きで,振 り返りと分析を行った。 ①「子どもを支援するために必要なこと」について各個人で可能な限り思いつくことを付箋 に書く。 ②全学生が書いた全ての内容を机上に並べ,小分類→中分類という順で,類似内容ごとに分 類する。 ③分類された内容ごとに分類名をつける。 ④分類された内容間の関係性について図解化及び文章化する。 ⑤②~④については,筆者と学生が協働で実施する。 以上の結果,10名の学生により全49の内容が付箋に書かれ,7項目に分類された。その項目は 「子どもを尊重する(6)」 「コミュニケーション(11)」 「計画(5)」 「実態把握(10)」 「知識(2)」 「情報共有(2)」「支援の工夫(13)」という分類名とした。( )内は,内容数である。 その後,それらの関係について検討し,図解化した結果をFig.3に表す。. Fig.3. 子どもを支援するために必要なこと. 図解化した内容について,次のように文章化された。 子どもへの支援の中で最も基本となるのは「①子どもを尊重する」ことであり,その具体的な内容 として「同じ目線に立つ」「子どもの思いや考えを尊重する」ことなどがあげられる。そして「一人 一人の言葉に耳を傾ける」「子どもの表情,動き,言葉などをよく見たり聞いたりする」ことをしな がら「②コミュニケーション」を図り,信頼関係を築くことも必要とする。その上で「子どもをよく 観察」して「③実態把握」をすることと,実態を把握するためには学生同士の「④情報の共有」や発 達段階等の「⑤知識」をもっていることが必要である。それらをもとに活動の「⑥計画」を立てるこ. - 89/129 -.

(9) と,さらに実際の支援にあたっては「言葉だけでなく視覚的にわかるようにする」 「支援しすぎない, 手伝い過ぎない」「キャラクターなど好きなものを用意する」と言った「⑦支援の工夫」を取り入れ ながら行っていくことが大切である。. 今回の実践を通して,以上のように活動を客観的に振り返り,子どもの支援に必要なことを考 え,分析することができるようになったことは,学生の大きな成長の一つである。 Ⅴ.まとめ. 今回行った大学生による知的障害児・発達障害児の余暇活動の企画と運営は,参加児童生徒, 学生,双方に成長の見られた結果であったといえる。大学独自で障害児の余暇活動支援の機会を 設定することは,参加児童生徒の募集や活動場所の確保などの面で困難さがある。しかしこのよ うに地域の障害児・者の当事者団体と協力して実施することによって開催することは可能であ り,当事者だけでなく企画運営する学生にもよい影響をもたらすことが確認された。また同じ児 童生徒達と定期的に活動し,その児童生徒達の実態を知り,実態に合わせた活動を考えることは, 教育現場での子どもの授業内容や支援方法を考えることと類似している。つまり,将来教員にな ることを目指している学生にとって実践的な力を身に付ける機会にもなる貴重な機会であると考 える。 文献 1)一番ヶ瀬庸子・薗田碩哉・牧野暢男(1994)余暇生活論.有斐閣.3-5. 2)厚生労働省(2015)放課後等デイサービスガイドラインについて.障害児通所支援に関する ガイドライン策定検討会報告書. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000082831.html(2016年5月1日取得). 3)黒山竜太・高島恭子・豊島律(2011)自閉症児の余暇活動における保護者の支援ニーズに関 する研究.長崎国際大学論叢,11,67-73. 4)社会福祉法人若狭つくし会(2012)平成23年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業 障害者 の社会参加活動の支援に関する調査. http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/cyousajigyou/sougoufukushi/dl/h23_seikabutsu-02.pdf (2016年4月1日取得). - 90/129 -.

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