• 検索結果がありません。

2013 年 6 月改訂 ( 第 4 版 ) 日本標準商品分類番号 レセプト電算コード 新医薬品の 使用上の注意 の解説 - 医薬品の適正使用に欠かせない情報です 必ずお読み下さい - 禁忌 ( 次の患者には投与しないこと ) 1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴の

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2013 年 6 月改訂 ( 第 4 版 ) 日本標準商品分類番号 レセプト電算コード 新医薬品の 使用上の注意 の解説 - 医薬品の適正使用に欠かせない情報です 必ずお読み下さい - 禁忌 ( 次の患者には投与しないこと ) 1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴の"

Copied!
90
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

新医薬品の「使用上の注意」の解説

-医薬品の適正使用に欠かせない情報です。必ずお読み下さい。-

【 禁 忌

(次の患者には投与しないこと)

1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 2. モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者 (「相互作用」の項参照) 3. ピモジドを投与中の患者(「相互作用」の項参照) 4. QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)[心室頻拍(torsades de pointesを 含む)、心電図QT間隔の過度な延長を起こすことがある。]

(2)

はじめに

 レクサプロ(一般名:エスシタロプラムシュウ酸塩)はルンドベック社(デンマーク)が開発した選択的セロ

トニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor:SSRI)で、

ラセミ体であるシタロ

プラムの活性本体として光学分割されたS-エナンチオマーです。本剤は、2001年にスウェーデンで初め

て大うつ病性障害およびパニック障害の適応症で承認された後、相互認証手続によって、デンマークを

含むヨーロッパ全土で承認され、2011年3月現在、米国、英国、カナダ、オーストラリアなど世界96の国と

地域で承認されています。また、本剤は、

ヨーロッパを含むほとんどの国で、大うつ病性障害、パニック障

害、社会不安障害、全般性不安障害、強迫性障害の適応症で承認されています。米国では、大うつ病

性障害と全般性不安障害の適応症で承認されており、2010年8月末までに、全世界で約2億3千万人

以上に対して本剤が投与されたと推定されています。

 大うつ病性障害患者の薬物治療においては、国内外を問わず、第一選択薬として、SSRI、SNRI

(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬, Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor)が

広く用いられています

1, 2)

 本剤のセロトニン再取り込み阻害作用は、既存のSSRIに比べて選択性が高く、本剤はセロトニン以

外の神経伝達系への影響はほとんどないと考えられています

3)

 持田製薬は、本邦のうつ病患者の治療において、新たな選択肢を提供できるとともにSSRIの中でも

第一選択になり得ると考え、2001年よりレクサプロの開発を開始し、2011年4月に「うつ病・うつ状態」の

効能・効果で製造販売承認を取得しました。

 本冊子では、本剤のご使用に際しての注意事項を各項ごとに解説いたしました。本剤の適正使用の

一助となれば幸甚に存じます。

(3)

効能 ・ 効果

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1

用法 ・ 用量

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1

禁忌(次の患者には投与しないこと)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2

効能 ・ 効果に関連する使用上の注意

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6

用法 ・ 用量に関連する使用上の注意

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12

使用上の注意

 1.

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

26

 2.

重要な基本的注意

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

38

 3.

相互作用

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

42

 4.

副作用

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

54

 5.

高齢者への投与

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

66

 6.

妊婦 ・ 産婦 ・ 授乳婦等への投与

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

68

 7.

小児等への投与

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

70

 8.

過量投与

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

72

 9.

適用上の注意

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

74

10.

その他の注意

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

76

別紙 副作用発現頻度一覧

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

80

文献

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

84

(4)
(5)

うつ病・うつ状態

<効能・効果に関連する使用上の注意>

1. 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加すると

の報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。

(「そ

の他の注意」の項参照)

2. 海外で実施された6 ~ 17歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照臨床試験に

おいて、6 ~ 11歳の患者で有効性が確認できなかったとの報告がある。本剤を12歳未満

の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。

(「小児等への投与」

の項参照)

「効能・効果に関連する使用上の注意」の解説は6頁をご参照下さい。

【用法・用量】

 通常、成人にはエスシタロプラムとして10mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、年齢・

症状により適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgを

超えないこととする。

<用法・用量に関連する使用上の注意>

1. 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら投与すること。

2. 肝機能障害患者、高齢者、遺伝的にCYP2C19の活性が欠損していることが判明している

患者(Poor Metabolizer)では、本剤の血中濃度が上昇し、QT延長等の副作用が発現しや

すいおそれがあるため、10mgを上限とすることが望ましい。また、投与に際しては患者

の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。

(「慎重投与」

「高齢者への投与」及び「薬物

動態」の項参照)

「用法・用量に関連する使用上の注意」の解説は12頁をご参照下さい。

(6)

2

【禁 忌

(次の患者には投与しないこと)

1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2. モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者(「相互

作用」の項参照)

3. ピモジドを投与中の患者(「相互作用」の項参照)

4. QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)

[心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心

電図QT間隔の過度な延長を起こすことがある。]

(7)

1. 医薬品全般に対する一般的な注意事項です。 本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある患者に投与した場合、重篤な過敏症があらわれるおそれ があります。 <本剤の成分>  本剤には、有効成分及び添加物として以下の成分が含まれています。 レクサプロ錠10mg 成分・含量 1錠中 エスシタロプラムシュウ酸塩12.77mg(エスシタロプラムとして10mg) 添加物 タルク、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース・軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール400、酸化チタン 2. モノアミン酸化酵素阻害剤(MAO阻害剤)はセロトニンの分解を阻害して、脳内のセロトニン濃度 を上昇させるため、本剤との併用により作用が増強されると考えられます。 また、SSRI投与中にMAO阻害剤を併用した患者、SSRIの投与中止直後にMAO阻害剤を投与した 患者において、SSRIとMAO阻害剤との相互作用と考えられる重篤な副作用(セロトニン症候群等) が報告されています。したがって、MAO阻害剤を投与中の患者に本剤の投与は避けてください。 また、MAO阻害剤の投与中止後に本剤を投与する場合、あるいは本剤の投与中止後にMAO阻害剤 を投与する場合は14日間以上の間隔をあけてください(本解説書42頁「3.相互作用(1)」の項参照)。 3. ピモジドはQT延長、心室性不整脈等の重篤な心血管系の副作用を発現させるおそれがあることで 知られています。他のSSRIとピモジドを併用したところ、ピモジドの血中濃度上昇が認められ、 これらの重篤な副作用が発現するおそれがあることから、併用禁忌とされています。一方、本剤と ピモジドの併用については、海外の薬物動態試験において、本剤のラセミ体であるシタロプラムと ピモジドの併用により、ピモジドの血中濃度に影響は認められませんでしたが、ピモジドとシタロ プラム併用時のQTc間隔の変化について、ピモジド単独投与時と比較して有意な延長が認められま した。したがって、作用機序は不明ですが、本剤においても併用禁忌に設定しました(本解説書42 頁「3.相互作用(1)」の項参照)。 4. 2012年6月5日付の厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知(指示)に基づき記載しました。 海外で実施された本剤のラセミ体であるシタロプラムのThorough QT試験aの結果に基づいて、欧州 医薬品庁(EMA)は2011年10月にシタロプラム含有医薬品のQT延長に関する措置を実施しました。 そのことを受け、EMAではエスシタロプラムのQT延長に関して再評価を行い、QT延長のリスクを 最小化するため、2011年12月にエスシタロプラムについてもシタロプラムと同様の措置を実施しま した。

(8)
(9)

の記載の見直しが行われ、EMAと同様に禁忌に設定することとなりました。 a: 通常は、健康成人を対象に実施され、医薬品開発の後期に、目標とする患者集団において、QT/QTc間隔の延長作用を入 念に調べる必要があるか否かを決定するために用いられる試験です。薬剤に催不整脈性があることを示すことを目的とし た試験ではありません。Thorough QT試験では、QT/QTc間隔の延長の検出力の信頼性を高めるために、陽性対照として、 規制当局が関心をもつ基準値であるQT/QTc間隔の平均値を5 msec変化させる効果を有する薬剤を用い、シタロプラムの Thorough QT試験では陽性対照として、モキシフロキサシンを用いました。

(10)

6

<効能・効果に関連する使用上の注意>

1. 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加すると

の報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。

(「そ

の他の注意」の項参照)

(11)

1. 抗うつ剤共通の注意事項です。 2007年5月、米国食品医薬品局(以下、FDA)による海外で実施された本剤を含む抗うつ剤のプラセ ボ対照臨床試験の検討結果により、抗うつ剤の投与により24歳以下の患者での自殺念慮や自殺企図の 発現リスクの増加が報告されました。これにより、全ての抗うつ剤製造会社に対し、本剤を含む抗う つ剤による24歳以下の患者での自殺念慮と自殺企図に対する警告を添付文書に追記する旨の措置が行 われました。 なお、18歳未満の患者に対しては、既に2004年10月、FDAの措置により抗うつ剤の投与による自 殺念慮および自殺企図の発現リスクの増加について、警告にて注意喚起するよう指示がなされていま した。その後の成人患者に対する調査の結果から、24歳以下の患者においてもリスクの増加が認めら れたため、追加改訂されました。 国内においても2007年10月に厚生労働省から全ての抗うつ剤製造会社に対し、改訂指示が出され、 「効能・効果に関連する使用上の注意」の項の記載が抗うつ剤共通の記載になりました* *厚生労働省医薬食品局安全対策課 事務連絡(平成19年10月31日付)

(12)

8

<効能・効果に関連する使用上の注意>(続き)

2. 海外で実施された6 ~ 17歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照臨床試験に

おいて、6 ~ 11歳の患者で有効性が確認できなかったとの報告がある。本剤を12歳未満

の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。

(「小児等への投与」

の項参照)

(13)

2. 2013年3月29日付けの厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知に基づき記載しました。 本剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)(塩酸セルトラリンを除く)、セロトニン・ ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)及びノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性 抗うつ薬(NaSSA)の小児等への投与の項においては、これまで、パロキセチン塩酸塩水和物の海外で 実施された7 ~ 18歳における大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照の臨床試験において有効 性が確認できなかった旨をこれらの製剤で「小児等への投与」の項に画一的に記載しておりました。 厚生労働省において、これらの製剤について「使用上の注意」の記載の全体的な見直しが行われ、「効 能・効果に関連する使用上の注意」及び「小児等への投与」の項に各製剤の海外で実施された18歳未満 の大うつ病性障害患者を対象とした臨床試験の結果を記載し、小児等への投与に関する注意喚起を行 うよう改訂指示がなされました。 本剤では、海外において6 ~ 17歳の大うつ病性障害(DSM-IVにおける分類)患者を対象としたプラ セボ対照試験が実施されましたが、有効性は確認できませんでした。有効性が認められなかった原因 として、6 ~ 11歳でプラセボ効果が顕著であることが推察されています4) 【海外において6 ~ 17歳の大うつ病性障害患者を対象とした臨床試験結果(一部改変)】 <結論> 6 ~ 17歳の患者では、有効性は確認できなかった。その原因として、6 ~ 11歳の患者において、プ ラセボ効果が顕著であることから、有効性が認められなかったためと推察された。 表1 有効性 [CDRS-R合計点の変化量(8週時、LOCF※)] 年齢 本剤群 プラセボ群 p値 例数 平均値 例数 平均値 6 ~ 17歳 129 -21.9 132 -20.2 0.310 12 ~ 17歳 77 -20.1 80 -17.5 0.233 6 ~ 11歳 52 -24.0 52 -23.5 0.87

※LOCF:Last Obsevation Carried Forward:欠測値が発生した場合、発生時点以前の最終の測定値を欠測値に代入して解析を行うこと

表2 有効性 [CDRS-R合計点の変化量(8週時、OC※※)] 年齢 本剤群 プラセボ群 p値 例数 平均値 例数 平均値 6 ~ 17歳 104 -23.9 116 -20.8 0.084 12 ~ 17歳 -22.3 -17.8 0.047 6 ~ 11歳 -25.4 -24.5 0.74 ※※OC:Observed Cases:欠測値を他の値で補うことなく実測の値のみを用いて解析を行うこと

(14)
(15)

なお、海外で別途実施された12 ~ 17歳の大うつ病性障害(DSM-IVにおける分類)患者を対象とし たプラセボ対照の臨床試験では本剤の有効性が確認されており、米国では、2009年3月に12 ~ 17歳の 大うつ病性障害に対しての適応が承認されました5) 【海外において12 ~ 17歳の大うつ病性障害患者を対象とした臨床試験結果(一部改変)】 <結論> 12 ~ 17歳の患者では、エスシタロプラム群のCDRS-R合計点の変化量(8週時、LOCF)において、 統計学的に有意差が認められ、有効性が確認された。 表3 有効性 [CDRS-R合計点の変化量(8週時、LOCF※)] 年齢 本剤群 プラセボ群 p値 例数 平均値±標準誤差 例数 平均値±標準誤差 12 ~ 17歳 154 -22.1±1.22 157 -18.8±1.27 0.022

(16)

12

<用法・用量に関連する使用上の注意>

(17)

1. 本剤は個々の患者の状態を観察しながら投与量を調節することが必要です。患者の状態に応じた必 要最小限を投与するようにしてください。

(18)

14

<用法・用量に関連する使用上の注意>(続き)

2. 肝機能障害患者、高齢者、遺伝的にCYP2C19の活性が欠損していることが判明している

患者(Poor Metabolizer)では、本剤の血中濃度が上昇し、QT延長等の副作用が発現しや

すいおそれがあるため、10mgを上限とすることが望ましい。また、投与に際しては患者

の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。

(「慎重投与」

「高齢者への投与」及び「薬物

動態」の項参照)

(19)

2.  これらの患者の全般的な安全性については、海外の軽度~中等度の肝機能障害患者を対象とし た臨床試験において、本剤20mg単回経口投与時の忍容性が良好であることが示されました。また、 高齢者については、国内外の高齢者臨床試験において、本剤10~20mg投与時の安全性に特別な懸 念は認められませんでした。そして、本剤の主要代謝酵素であるCYP2C19の活性が欠損している 患者a(Poor Metabolizer)(以下、CYP2C19遺伝子型PM)については、国内用量反応2試験併合成績、

国内長期投与試験において、本剤10mg/日、20mg/日、または10~20mg/日投与時の安全性に特別 な懸念は認められませんでした。

 QT延長については、国内用量反応2試験併合成績、国内長期投与試験において、CYP2C19遺伝

子型別のQTcFb間隔の変化量、アウトライヤーの割合をICH-E14ガイドラインcを参考に検討した

結果、CYP2C19の活性が欠損していない患者a(Extensive Metabolizer)(以下、CYP2C19遺伝子型

EM)に比しCYP2C19遺伝子型PMはQT延長のリスクが高いと考えられましたが、CYP2C19遺伝 子型PMのQTcFb間隔の変化量の平均値は、国内用量反応2試験併合成績では、本剤10mg群で1.1~ 2.9msecと10msec未満、本剤20mg群で10.3~10.5msecと10msecをやや上回る程度でした。国内長期 投与試験においても2.6~15.4msecで国内用量反応2試験併合成績の変化量の平均値を大きく上回り ませんでした。  また、国内用量反応2試験併合成績、国内長期投与試験、国内高齢者長期投与試験のいずれにお いても、CYP2C19遺伝子型PM(それぞれ78例、18例、4例)において、臨床的に問題となるQTcFb 間隔の測定値が500msecを超える、あるいは変化量が60msecを超える症例は認められませんでした。 一方、国内臨床試験(4試験)において、550例中5例(0.9%)にQT延長の副作用が報告されております が、いずれもCYP2C19遺伝子型EMであり、QTcFb間隔の測定値が500msecを超えた、あるいは変 化量が60msecを超えたものではありませんでした。  さらに、海外の市販後データベースを用いて「QT間隔延長」あるいは「torsades de pointes」の有害 事象を検索し、これらの有害事象の発現状況を分析した結果、本剤は治療用量、過量投与を問わず QT間隔延長あるいはtorsades de pointesのリスクを増大させないと結論付けられました。  以上、本剤投与時のQT延長の程度は臨床上、許容範囲であると考えられました。  しかしながら、国内外の臨床薬物動態試験の成績では、CYP2C19遺伝子型PM、高齢者、軽度~ 中等度の肝機能障害患者では血中濃度が上昇したことから、肝機能障害患者、高齢者、遺伝的に CYP2C19の活性が欠損していることが判明している患者a(Poor Metabolizer)では10mgを上限とす

ることが望ましいと考え設定しました。

 また、国内臨床試験において、CYP2C19遺伝子型PM、高齢者において、臨床的に問題となるQT 延長(測定値で500msecまたは変化量で60msecを超える延長)およびQT延長の副作用は認められ

ておりませんが、本剤の血漿中濃度とQT延長の程度には相関が認められていることdから、注意喚

(20)
(21)

以下に、国内薬物動態試験(CYP2C19遺伝子型別の薬物動態)、国内用量反応2試験併合成績、国内 長期投与試験のCYP2C19遺伝子型別のQTcFb間隔の成績、海外の市販後データベースを用いた「QT 間隔延長」あるいは「torsades de pointes」の有害事象の発現状況の分析結果を示しました。肝機能障害 患者、高齢者の薬物動態試験の成績については、それぞれ、本解説書の30頁「1.慎重投与(2)」項、66頁 「5.高齢者への投与」項をご参照ください。 a: 本剤は主に肝代謝酵素CYP2C19で代謝されます。CYP2C19には遺伝多型が存在し、遺伝学的にCYP2C19遺伝子型PMの割 合は、日本人で18~23%、欧米人で1~4%であると報告されています。 また、CYP2C19遺伝子については、現在、30種類を超える変異型アリルの存在が知られていますが、日本人のCYP2C19PM の変異型アリルは、CYP2C19*2およびCYP2C193がほぼ100%を占め、その他の変異型アリルの発現頻度は0.2~0.6%と極 めて低いことが報告されています。 本剤のCYP2C19遺伝子型別の安全性評価は、変異型アリルをホモまたは複合ヘテロ接合体(*2/2、2/3および3/3)と して有する被験者をPM、それ以外の被験者をEM(*1/1、1/2および1/3)と定義して解析しています。 b: QT間隔(心電図のQ波の開始点からT波の終了点までの間隔)は、心拍数によって変動するため、心拍数の影響を抑えた値に 補正して評価します。補正としてはBazett法やFridericia法の補正式が汎用されていますが、本剤の臨床試験成績を検討し たところ、QTcB間隔に比しQTcF間隔の方が心拍数の指標(RR間隔)の影響が小さく、本剤のQT間隔の評価には、QTcF間 隔*が適切と考えられました。 *:QTcF間隔は実測QT間隔をRR間隔の三乗根で除した補正QT間隔です(Fridericiaの式 QTc=実測QT間隔/RR間隔0.33)。 c: ICHガイドライン(E14:非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価) d: 海外で実施された本剤のQT間隔に及ぼす影響について検討した綿密なQT試験(海外Thorough QT試験)において、本剤の血 漿中濃度とQTc間隔の変化量の関係は飽和曲線型で、プラトーに達した際の本剤の最大効果は16.6msecと推察されました。 <ICH-E14では、QT/QTc間隔について以下のように記載されています(抜粋)> QT/QTc間隔の平均値の変化について ・ 平均QT/QTc間隔の延長が5msec前後、あるいはそれ未満の薬剤は、torsades de pointesを引き起 こさないようである。それは薬物のリスクが増大しないためなのか、あるいはリスクは増大する が非常に小さくて検出できないためなのかは不明である。 ・ QT/QTc間隔の平均への延長作用が5msec程度から20msec未満までの薬剤については結論は出て いないが、中には催不整脈リスクとの関連を示しているものもある。 ・ QT/QTc間隔の平均値への延長作用が20msecを超える薬剤は、催不整脈リスクがある可能性が実 質的に高く、医薬品開発期間中に不整脈の事象が臨床的に認められる可能性がある。 QT/QTc間隔の測定値について ・ QT/QTc間隔データのカテゴリカル解析については、臨床試験では、治療期間中の500msecを超 えるQTcの延長は特に懸念すべき基準値とされている。 ・ QT/QTc間隔の500msecを超える延長もしくはベースラインからの60msecを超える延長が、試験 中止を検討するための一般的な基準として用いられる。

(22)
(23)

<国内薬物動態試験(CYP2C19遺伝子型別の薬物動態)>

国内の健康成人男性(CYP2C19遺伝子型EM(Extensive Metabolizer)、PM(Poor Metabolizer))に本 剤5mg、10mgおよび20mgを単回経口投与、ならびに10mgを1日1回21日間反復経口投与したときの薬 物動態を検討した結果、CYP2C19遺伝子型PMにおけるAUCおよびt1/2は、CYP2C19遺伝子型EMと 比較して約2倍高値でした。 本剤単回経口投与時における血漿中エスシタロプラム薬物動態パラメータ(国内健康被験者) CYP2C19 遺伝子型 投与量 (mg) Cmax (ng/mL) tmax (hr) AUC0-∞ (ng・hr/mL) t1/2 (hr) CL/Fa (L/hr) Vz/Fb (L) EM 5 5.7±0.8 3.8±1.3 183±70 24.6±9.9 29.8±8.1 970±147 10 10.8±2.1 3.8±0.4 418±153 27.7±7.5 25.9±6.8 985±178 20 23.0±4.3 4.3±1.4 807±282 27.4±7.2 26.9±7.3 1001±135 PM 5 5.5±0.6 4.2±1.5 384±109 55.8±16.4 14.1±4.9 1053±110 10 12.9±2.3 4.8±1.8 885±384 51.2±16.9 13.5±6.4 872±121 20 24.7±4.7 5.2±1.8 1595±356 55.3±8.7 13.1±2.8 1017±116 平均値±標準偏差(6例)を示した a:経口投与時の全身クリアランス b:経口投与時の最終相分布容積 本剤10mg単回および反復経口投与時(投与21日目)における 血漿中エスシタロプラム薬物動態パラメータ(国内健康被験者)

単回/反復 CYP2C19遺伝子型 (ng/mL)Cmax (hr)tmax (ng・hr/mL)AUCa (hr)t1/2 (L/hr)CL/Fb (L)Vz/Fc

単回投与 EM 11.2±2.2 3.8±0.4 437±163 28.9±7.6 24.9±7.0 991±198 PM 13.2±2.4 5.0±2.0 898±428 51.7±18.9 13.8±7.1 875±135 反復投与 EM (16.1±5.4)26.8±6.1d 3.0±1.0 506±132 37.7±7.5 20.8±5.0 1102±213 PM (37.4±10.5)53.9±12.9d 6.4±3.3 1094±266 57.8±14.7 9.7±2.8 774±154 平均値±標準偏差(5例)を示した 単回投与時の薬物動態パラメータは、反復投与試験の対象となったEM、PM各5例の被験者における単回投与時の薬物動態パラメータを示した a:単回経口投与時はAUC0-∞、反復経口投与時はAUC0-24を示した。 b:経口投与時の全身クリアランス c:経口投与時の最終相分布容積 d:Css、minを示した。

(24)
(25)

<国内用量反応2試験併合成績(CYP2C19遺伝子型別のQTcF間隔)> QTcF間隔の各観察時期における開始時からの変化量の平均値は、CYP2C19遺伝子型PMでは本剤 10mg群、20mg群で、それぞれ1.1~2.9msec、10.3~10.5msecであり、本剤10mg群では10msec未満、 20mg群では10msecをやや上回る程度でした。また、QTcF間隔の測定値が500msecを超えた症例、あ るいは変化量が60msecを超えた症例は認められませんでした。 国内用量反応2試験併合成績におけるCYP2C19遺伝子型a別の QTcF間隔の測定値(msec)、変化量(msec)および閾値bを超えた症例 CYP2C19遺伝子型a PM EM プラセボ群 10mg群本剤 20mg群本剤 プラセボ群 10mg群本剤 20mg群本剤 開始時 396.7±30.0 401.6±28.1 395.1±22.5 397.1±24.8 400.1±23.1 398.5±23.7 2週時c 393.9±28.8 405.3±27.1 405.2±24.3 395.4±23.6 400.5±22.5 402.3±22.1 8週時 394.2±24.8 403.6±27.5 403.2±21.4 397.4±24.5 401.9±22.2 403.3±24.3 観察期終了時 395.5±25.2 404.2±27.6 405.7±23.1 396.5±24.8 402.1±22.2 403.3±24.1 変化量 2週時c -1.4±13.4 1.8±18.4 10.3±16.0 -1.3±15.5 0.7±16.4 4.4±15.4 8週時 -0.8±16.4 1.1±18.9 10.5±13.3 -0.4±15.4 1.7±16.1 4.9±14.3 観察期終了時d -0.9±16.2 2.9±19.4 10.5±13.3 -0.6±15.3 2.2±15.7 5.0±14.3 プラセボ群 との変化量 の差 2週時c 3.2 11.7 2.0 5.7 8週時 2.0 11.3 2.1 5.3 観察期終了時d 3.7 11.4 2.9 5.6 測定値450msecを超えた症例 の割合 2.3(1) 3.0(1) 6.7(3) 1.1(2) 1.7(3) 2.9(5) 測定値480msecを超えた症例 の割合 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.6(1) 測定値500msecを超えた症例 の割合 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 変化量30msecを超えた症例 の割合 9.1(4) 15.2(5) 17.8(8) 5.1(9) 4.4(8) 5.8(10) 変化量60msecを超えた症例 の割合 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 0.0(0) 発現率(%)(発現例数) a: 変異型アリルをホモまたは複合ヘテロ接合体(*2/2、2/3および3/3)として有する被験者をPM、それ以外の被験者をEM(1/1、1/2および 1/3)とした。 b: ICHガイドライン(E14)に記載されている、臨床的に注目すべきQTc間隔の閾値として、測定値450msec、480msec、500msecを超える延長、ベース ラインからの変化量30msec、60msecを超える延長を設定した。500msecを超える延長は特に懸念されるべき基準値とされている。 c: 国内用量反応試験のデータにおいて、2週時のデータがない場合は4週時のデータを使用、2週時および4週時両方にデータがある場合は2週時のデー タを採用する。 d:投与終了8週時のデータまたはそれ以前に投与終了した場合はその最終観察時として採用された時点のデータを採用する。

(26)
(27)

<国内長期投与試験(CYP2C19遺伝子型別のQTcF間隔)> 本剤投与例(10~20mg/日)の各観察時期のスクリーニング期開始時からの変化量の平均値は、 CYP2C19遺伝子型PMでは2.6~15.4msecであり、国内用量反応2試験併合成績の変化量の平均値を大 きく上回りませんでした。また、CYP2C19遺伝子型PMでQTcF間隔の測定値が500msecを超えた症例、 あるいは変化量が60msecを超えた症例は認められませんでした。 国内長期投与試験におけるCYP2C19遺伝子型別のQTcF間隔の要約統計量 分類 変数 観察時期 例数 平均値 標準偏差 最小値 中央値 最大値 p値c PMa 測定値 スクリーニング時 18 381.29 20.292 333.6 383.80 422.7 (msec) 2週時 17 386.67 18.979 347.4 387.20 420.1 8週時 14 388.74 24.103 341.9 396.10 421.3 24週時 13 394.74 25.348 341.8 399.40 421.2 52週時 11 392.45 24.603 348.7 388.10 429.8 最終観察時d 18 394.88 22.281 348.7 395.90 429.8 変化量 2週時 17 2.57 14.753 -22.5 8.20 26.5 0.459 (msec) 8週時 14 7.40 18.317 -20.8 7.35 35.3 0.168 24週時 13 14.41 20.165 -24.9 12.20 50.5 0.010 52週時 11 15.43 17.812 -5.6 17.20 42.9 0.032 最終観察時d 18 13.59 19.134 -13.1 14.15 50.5 0.012 EMb 測定値 スクリーニング時 69 387.62 22.855 317.4 390.70 433.5 (msec) 2週時 69 390.01 23.594 334.8 392.50 453.7 8週時 67 394.04 25.039 333.4 393.50 454.7 24週時 62 395.13 29.980 326.1 394.95 520.9 52週時 52 389.85 24.812 323.8 391.05 442.1 最終観察時d 69 392.98 29.281 323.8 393.50 520.9 変化量 2週時 69 2.39 13.151 -21.2 4.00 29.3 0.159 (msec) 8週時 67 5.84 16.765 -32.0 3.90 56.8 0.009 24週時 62 6.61 20.075 -29.6 6.30 95.4 0.021 52週時 52 3.76 15.671 -26.5 3.50 40.6 0.144 最終観察時d 69 5.36 19.523 -27.2 3.70 95.4 0.065 a:変異型アリルをホモまたは複合ヘテロ接合体(*2/2、2/3および3/3)として有する被験者をPMとした。 b:野生型アリルのホモ(*1/1)または野生型アリルと変異型アリルのヘテロ接合体(1/2および1/3)として有する被験者をEMとした。 c:Wilcoxon 1標本検定(変化量に関する群内の前後比較) d:観察期のうち、最終の観察時点として採用された時点 国内長期投与試験におけるCYP2C19遺伝子型a別のQTcF間隔の閾値bを超えた症例 CYP2C19遺伝子型a PM EM 測定値450msecを超えた症例の割合 0.0(0) 4.3(3) 測定値480msecを超えた症例の割合 0.0(0) 1.4(1) 測定値500msecを超えた症例の割合 0.0(0) 1.4(1c 変化量30msecを超えた症例の割合 33.3(6) 10.1(7) 変化量60msecを超えた症例の割合 0.0(0) 1.4(1c 発現率(%)(発現例数) a: 変異型アリルをホモまたは複合ヘテロ接合体(*2/2、2/3および3/3)として有する被験者をPM、それ以外の被験者をEM(1/1、1/2およ び*1/3)とした。 b: ICHガイドライン(E14)に記載されている、臨床的に注目すべきQTc間隔の閾値として、測定値450msec、480msec、500msecを超える延長、ベース

(28)
(29)

< 海外の市販後データベースを用いた「QT間隔延長」あるいは「torsades de pointes」の有害事象の発現 状況の分析結果> 2005年9月30日までの海外市販後データ(本剤に曝露した5060万人)を用いて、「QT」および「心室性 不整脈および心停止」に該当する症例について検索しました。 「QT」および「心室性不整脈および心停止」に該当した症例は28例であり、そのうち「QT」は25例、「心 室性不整脈および心停止」は9例(うち6例は「QT」と重複)でした。 「QT」の25例のうち、本剤の治療用量での発現は20例、過量投与での発現は5例でしたが、発現時期、 併用薬の影響、既往などの観点から、症例ごとに本剤との関連性を検討した結果、いずれの症例も、 本剤との関連性が示唆されない、または、情報不足のため本剤と明確な関連性があるとまではいえな い、あるいは本剤単独で引き起こされたとは考えにくい症例でした。 「心室性不整脈および心停止」の9例のうち、本剤の治療用量での発現は8例、過量投与での発現は1 例でした。症例ごとに本剤との関連性を検討した結果、上記9例のうち7例は、既往、合併症、併用薬 の影響が強く、本剤投与の関与は否定されました。他2例のうち、1例は徐脈、心室性期外収縮を引き 起こすことが報告されている筋緊張緩和剤の併用例、他の1例は抗うつ剤、抗精神病剤、抗てんかん 剤の多剤過量投与例で、本剤投与単独で引き起こされる事象とは考えられませんでした。 また、2010年8月までの海外市販後データ(本剤に曝露した約2億3千万人以上)を用いた分析では torsades de pointesは15件で、torsades de pointesの発現率は1500万あたり約1例と推定されました。

さらに、FDAのAdverse Event Reporting Systemデータベース(2003年12月31日までのデータ、本 剤の累積処方総数1640万件)を用いて、心室性不整脈に関連する事象について検索しました。本剤の 心室性不整脈に関連する有害事象の発現率は低く、他の抗うつ薬と同様でした。また、torsades de pointes、心室細動および心室性頻脈の累計報告頻度を検討した結果も同様でした。

以上、海外の市販後データの評価結果から、本剤は治療用量、過量投与を問わずQT間隔延長ある いはtorsades de pointesのリスクを増大させないと結論付けられました。

(30)

26

【使用上の注意】

1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(1) 著明な徐脈等の不整脈又はその既往歴のある患者、QT延長を起こすことが知られている

薬剤を投与中の患者、うっ血性心不全、低カリウム血症の患者[本剤の投与によりQTが

延長する可能性がある。]

(「重要な基本的注意」の項参照)

(31)

(1)  海外で実施された綿密なQT試験(Thorough QT試験a)において、本剤10mg/日投与時のQTcNi 間隔の変化量(平均値)は-2.9~3.7msec、プラセボ群との変化量の差の両側90%信頼区間の上限値 (6.8msec)が事前に設定した基準値である10msecを超えなかったため、本剤10mg/日はQTcNib延長 作用陰性cと考えられました。一方、承認用量を超えた本剤30mg/日投与時のQTcNi間隔の変化量 (平均値)は3.7~9.7msecで、プラセボ群との変化量の差の両側90%信頼区間の上限値(13.9msec) が10msecを超えたことから、本剤30mg/日はQTcNib延長作用陽性cと考えられました。  国内用量反応2試験併合成績において、QTcFd間隔の変化量の平均値(最終観察時)は、本剤10mg 投与群では2.3msec、本剤20mg投与群では6.1msecで、いずれも10msecを超えませんでした。ま た、本剤10mg投与群、本剤20mg投与群のいずれにおいても臨床的に問題となるQT延長(測定値が 500msec超または変化量が60msecを超えた症例)は認められませんでした。  国内長期投与試験において、QTcFd間隔の変化量の平均値は、2週時2.4msec、8週時6.1msec、24 週時8.0msec、52週時5.8msec、最終観察時7.1msecでした。  一方、ICHガイドライン(E14:非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜 在的可能性に関する臨床的評価e)には、QT/QTc間隔を延長する医薬品の添付文書の記載では、催 不整脈リスクを増大させることが知られている病態のリスト(例えば、うっ血性心不全、QT延長 症候群、低カリウム血症)の記載を配慮することが望ましいとされていることから、不整脈又はそ の既往歴のある患者、QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者、うっ血性心不全、 低カリウム血症の患者に本剤を投与する場合には慎重に投与するよう注意喚起を設定しました。  また、2012年6月5日付の厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知(指示)に基づき、著明な徐脈 等を引き起こしている患者では、torsades de pointes等の重篤な不整脈を起こすことが知られてい ることから、「著明な徐脈等」を追記しました。  以下に、海外Thorough QT試験の成績を示します。 a: 通常は、健康成人を対象に実施され、医薬品開発の後期に、目標とする患者集団において、QT/QTc間隔の延長作用を入念 に調べる必要があるか否かを決定するために用いられる試験です。薬剤に催不整脈性があることを示すことを目的とした試 験ではありません。Thorough QT試験では、QT/QTc間隔の延長の検出力の信頼性を高めるために、陽性対照として、規制 当局が関心をもつ基準値であるQT/QTc間隔の平均値を5msec変化させる効果を有する薬剤を用い、本剤のThorough QT試 験では陽性対照として、モキシフロキサシンを用いました。 b: 本試験では、個別の被験者データを用いた心拍数補正法(QTcNi)を使用しました。ICHガイドラインでは広範囲の心拍数に ついてのQT間隔測定値が被験者別に多く得られる場合、この補正法が適しているとされています。 c:ICHガイドライン(E14)の綿密なQT試験(Thorough QT試験:QT/QTc評価試験)の解釈を以下に抜粋します。 d:Fridericia補正法によるQT間隔データ e:厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知 薬食審査発1023第1号(平成21年10月23日付) QT/QTc評価試験が陰性とは、その薬剤のQTc間隔への時間を一致させた平均効果の最大値に対する95%片側信頼区間 の上限が10msecを下回る場合を指す。この定義は、被験薬のQT/QTc間隔への作用の平均がおよそ5msecを超えない(平 均QT/QTc間隔の延長が5msec前後、あるいはそれ未満の薬剤は、torsades de pointesを引き起こさないようである)こと を合理的に保証するために選択されている。時間を一致させた差の最大値がこの基準値を超える場合、試験結果は陽性 とされる。試験結果が陽性であれば、その後の医薬品の開発段階における評価方法には影響を与えるが、この試験結果 はその薬剤が催不整脈性であることを意味するものではない。

(32)
(33)

<海外Thorough QT試験> 海外の健康成人において、モキシフロキサシンを対照薬としたランダム化プラセボ対照二重盲検 3期クロスオーバー法によるThorough QT試験を実施しました。本剤の評価時の投与量は10mg/日、 30mg/日(承認用量を超えた用量)とし、10mg/日を9日間投与した後、20mg/日を4日間、30mg/日を9 日間投与しました。プラセボ群は22日間投与しました。主要エンドポイントは、QTcNi間隔の投与前 からの変化量(ΔQTcNi間隔)についてのプラセボ投与時との差(ΔΔQTcNi間隔)としました。 本剤10mg投与時(9日目、107例)のΔQTcNi間隔(平均値)は-2.9~3.7msec、ΔΔQTcNi間隔(平均値) の最大値は、投与後3時間の4.7msec(両側90%信頼区間の下限値, 上限値:2.6, 6.8)で、両側90%信 頼区間の上限値6.8msecが治験実施計画書で規定した値である10msecを超えなかったことから、本剤 10mgはQTcNi延長作用陰性と考えられました。 一方、本剤30mg投与時(22日目、105例)のΔQTcNi間隔(平均値)は3.7~9.7msec、ΔΔQTcNi間隔 (平均値)の最大値は投与後3時間の11.8msec(両側90%信頼区間の下限値, 上限値:9.7, 13.9)で、両側 90%信頼区間の上限値13.9msecが10msecを超えたことから、本剤30mgはQTcNi延長作用陽性と考え られました。また、QTc間隔の変化量と本剤の血漿中濃度に統計学的に有意な相関関係が認められま した。 海外Thorough QT試験における本剤投与時のΔQTcNi間隔およびΔΔQTcNi間隔 投与薬剤 投与後の経過時間 ΔQTcNi間隔の平均値(msec) ΔΔQTcNi間隔の平均値 (両側90%信頼区間) (msec) 本剤10mg 0時間(投与前) -1.9 3.7(1.6, 5.8) 2時間 -2.9 3.1(1.0, 5.2) 3時間 1.4 4.7(2.6, 6.8) 4時間 3.7 4.7(2.6, 6.7) 5時間 3.7 3.9(1.8, 6.0) 7時間 2.6 4.6(2.6, 6.7) 12時間 2.1 2.7(0.6, 4.8) 23時間 2.3 3.8(1.7, 5.9) 本剤30mg 0時間(投与前) -0.5 5.7(3.6, 7.8) 2時間 3.7 9.1(7.0, 11.2) 3時間 8.7 11.8(9.7, 13.9) 4時間 9.7 10.6(8.5, 12.7) 5時間 8.6 8.4(6.3, 10.5) 7時間 8.3 9.9(7.8, 12.0) 12時間 5.0 7.6(5.5, 9.7) 23時間 6.7 7.2(5.0, 9.3)

(34)

30

1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(続き)

(2) 肝機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがあ

る。]

(「薬物動態」の項参照)

(35)

(2)本剤は主として肝臓で代謝されます。 肝機能障害のある患者に本剤を投与する場合には、クリアランスの低下を考慮して慎重に投与し てください。 <肝機能障害患者における本剤の薬物動態試験(海外データ)>  本剤20mgを軽度~中等度(Child-Pugh分類*のAあるいはB)の肝機能障害患者8例に単回経口投与し たとき、肝機能障害の程度に応じてAUCが上昇し、軽度、中等度の肝機能障害患者におけるAUCは、 健康成人のそれぞれ1.37倍、1.61倍でした。一方、Cmaxおよびtmaxに関しては健康成人、軽度肝機能障 害患者および中等度肝機能障害患者で明確な差は認められませんでした。 本剤20mg単回経口投与時における血清中エスシタロプラム薬物動態パラメータ(海外データ)

投与群 (ng/mL)Cmax (hr)tmax (ng・hr/mL)AUC0-∞ (hr)t1/2 (L/hr)CL/Fa (L/hr)CLRb

健康成人 25.3±4.2 2.3±0.5 857±224 36.3±11.3 24.8±6.0 4.4±1.5 軽度肝機能障害患者 20.3±4.4 2.4±0.7 1318±802 63.3±32.2 20.0±11.0 3.9±1.4 中等度肝機能障害患者 23.8±6.6 1.8±0.5 1429±520 66.4±25.8 16.1±6.7 3.6±1.8 平均値±標準偏差(8例)を示した a:経口投与時の全身クリアランス b:腎クリアランス 本剤20mg単回経口投与時における血清中エスシタロプラムのAUCおよびCmaxの比較(海外データ) 比較対象 AUC0-∞ Cmax 軽度肝機能障害 vs 健康成人 1.37±0.21(0.15) 0.79±0.12(0.06) 中等度肝機能障害 vs 健康成人 1.61±0.21(0.04) 0.92±0.12(0.49) 各パラメータの対数変換値の差の平均値±標準誤差の真数、( )内はANOVA法によるp値を示した *Child-Pugh分類:臨床的な肝機能の評価の指標であり、グレードA ~ Cに分類される 評点 1点 2点 3点 血清アルブミン(g/dL) >3.5 2.8−3.5 <2.8 血清ビリルビン(mg/dL) <2 2−3 >3 腹水 なし 少量(コントロール可) 中等度−高度 プロトロンビン時間(秒) またはPT-INR <4 <1.7 4−6 1.8−2.3 >6 >2.3 肝性脳症 なし 1度・2度 3度・4度 総合評価(合計点):グレードA:5−6点、グレードB:7−9点、グレードC:10−15点

(36)

32

1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(続き)

(3) 高度の腎機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそ

れがある。]

(「薬物動態」の項参照)

(37)

(3) 海外で実施した腎機能障害のある患者(糸球体濾過量:10~53mL/min)を対象とした本剤のラセミ 体であるシタロプラムの薬物動態試験において、シタロプラムのAUCおよびt1/2は、健康成人に比 しそれぞれ1.24倍、1.35倍高値を示しました。直線回帰分析の結果、腎機能が1/5に低下した場合 においても、推定された経口投与時の全身クリアランスの低下は約33%でした。また、本剤の腎 臓からの未変化体の排泄は比較的少ないこと、本剤の海外市販後の報告から、腎機能障害患者に 本剤を投与した場合に特筆すべき有害事象は発現しないと考えられたことから、軽度~中等度の 腎機能障害患者には特別な注意は必要ないと考えました。しかし、高度の腎機能障害患者につい ては、適切な臨床試験は実施しておらず、血中濃度が上昇するおそれがあると考えられます。 したがって、高度の腎機能障害のある患者に本剤を投与する場合には、クリアランスの低下を考 慮して慎重に投与してください。 <腎機能障害患者におけるシタロプラムの薬物動態試験(海外データ)>  本剤のラセミ体であるシタロプラム20mgを腎機能が低下(糸球体濾過量:10~53mL/min)した患者 7例に単回経口投与したとき、健康成人と比較してt1/2は1.35倍延長し、AUC(投与量で補正)は1.24倍 に上昇しましたが、Cmax(投与量で補正)、tmaxおよびVz/Fはほぼ同程度でした。 シタロプラム20mg*単回経口投与時における血清中シタロプラム薬物動態パラメータ(海外データ) 投与群 (mg)用量 Cmax (ng/mL) tmax (hr) AUC0-∞ (ng・hr/mL) t1/2 (hr) CL/Fa (L/hr) Vz/Fb (L) 腎機能障害患者 20 19.1±4.5 3.5±1.5 1032±253 49.5±13.2 20.4±4.8 1409±315 健康成人 (20)40 39.6±7.1 (19.8±3.6) 3.8±1.5 1660±306 (830±153) 36.8±3.7 24.6±4.2 1298±152 p値c 0.71 0.66 0.04 0.04 0.052 0.41 平均値±標準偏差(腎機能障害患者7例、健康成人12例)を示した *: 腎機能障害患者対象試験はシタロプラム20mg、健康成人対象試験はシタロプラム40mgを単回経口投与した。健康成人における血清中シタロプラム の薬物動態パラメータには10~60mgの間で線形性が認められている。したがって、用量に比例して増加するCmax、AUC0-∞については、健康成人に シタロプラム40mgを投与した時のパラメータを補正(1/2倍)して算出した値を腎機能障害患者との比較に使用した。( )内の値は、補正(1/2倍)した Cmax、AUC0-∞の値を示している。 a:経口投与時の全身クリアランス b:経口投与時の最終相分布容積 c:腎機能障害患者 vs 健康成人:t検定により算出した。

(38)

34

1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(続き)

(4) 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図が

あらわれることがある。]

(5) 躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]

(6) 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状が増悪することがある。]

(7) 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状が増悪することがある。]

(8) てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣発作を起こすことがある。]

(39)

(4)抗うつ剤共通の注意事項です* 本剤の国内外の臨床試験において本剤投与群で認められた自殺念慮、自殺企図等の自殺関連事象 の発現率はプラセボ群と大きな差は認められておりませんが、うつ病は自殺(自殺関連事象)の リスクを伴っていると考えられています。 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者は、他の患者に比べ自殺念慮、自 殺企図があらわれることがありますので、本剤を投与する場合には、十分に観察を行い慎重に投 与してください。 *厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知 薬食安発第0113002号(平成18年1月13日付) (5),(6),(7)抗うつ剤共通の注意事項です。 2009年、SSRI等の他害行為との因果関係が否定できない副作用報告について検討が行われ、副作 用報告の多くが、躁うつ病、統合失調症、アルコール依存症やパーソナリティー障害を有しており、 SSRI等の投与による症状の発現あるいは併存障害の進展によって他害行為が発現したことが疑わ れました。その結果、躁うつ病、脳の器質的障害または統合失調症の素因のある患者、衝動性が 高い併存障害を有する患者に対して、慎重に投与する必要があると評価されました*。なお、本剤 の国内外の臨床試験成績および公表文献から、本剤の他害行為の発現状況は他のSSRI、SNRIと 大きく異ならないと考えられます。 (5) 躁うつ病患者に本剤を投与する場合には、躁転、自殺企図があらわれることがありますので、 十分に観察を行い慎重に投与してください。 (6) 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者に本剤を投与する場合には、精神症状を増悪 させることがありますので、慎重に投与してください。 (7) 衝動性が高い併存障害を有する患者に本剤を投与する場合には、精神症状を増悪させることが ありますので、慎重に投与してください。 *厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知 薬食安発第0508001号(平成21年5月8日付) (8) 本剤の国内臨床試験において、てんかん等の痙攣性疾患患者への投与例はありませんが、海外市 販後において、重篤な痙攣をきたした症例が報告されていることから記載しました。 てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者に本剤を投与する場合には、痙攣発作を 起こすことがありますので、慎重に投与してください。

(40)

36

1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(続き)

(9) 出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患者[出

血傾向が増強するおそれがある。]

(10)高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

(11)小児(「小児等への投与」の項参照)

(41)

(9) 本剤の国内外の臨床試験における出血関連の有害事象について検討した結果、出血関連の有害事 象の発現率は低頻度であり、いずれにおいても、発現率はプラセボ群と差がありませんでした。 しかし、血小板の凝集には血小板内のセロトニンが関与しており、SSRIが血小板へのセロトニ ン取り込みを阻害することにより血小板凝集能を低下させ、出血傾向が起こると考えられてお り、出血傾向又は出血性素因のある患者において、出血傾向が増強されるおそれがあります(本 解説書52頁「3.相互作用(2)併用注意」参照)。 したがって、出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患 者に本剤を投与する場合には慎重に投与してください。 (10)「高齢者への投与」の項(本解説書66頁)を参照してください。 (11)「小児等への投与」の項(本解説書70頁)を参照してください。

(42)

38

2. 重要な基本的注意

(1) うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患

者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深

く観察すること。

(2) 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジ

ア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係

は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は

自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深

く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々

に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

(3) 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回

分の処方日数を最小限にとどめること。

(4) 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪

化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指

導すること。

(5) 眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等

危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。

(43)

(1)抗うつ剤共通の注意事項です* 国内外の臨床試験において、本剤投与群で認められた自殺念慮、自殺企図等の自殺関連事象の発 現率はプラセボ群と大きな差は認められておりませんが、うつ病は自殺(自殺関連事象)のリスク を伴っていると考えられています。 したがって、症状の悪化、自殺行動、行動の変化等について、注意深く観察してください。特に、 本剤の投与開始早期あるいは投与量の変更時(増量時、減量時)は、患者の状態及び病態の変化を 注意深く観察してください。 *厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知 薬食安発第0508001号(平成21年5月8日付) (2)抗うつ剤共通の注意事項です* 抗うつ剤の治療により、不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝 動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されています。また、こ れらの症状と基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為の関連性は明らかではありませ んが、これらの症状は自殺関連事象等の前駆症状と考えられています。 したがって、これらの症状の増悪が観察された場合には、本剤の投与量を徐々に減量し、中止す るなど適切な処置を行うようにしてください。 *厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知 薬食安発第0508001号(平成21年5月8日付) (3)抗うつ剤共通の注意事項です* 自殺目的の過量服用のリスクを少なくするため、患者ごとに適切な投与管理を行うとともに、本 剤の処方量は、最小限にするようにしてください。 *厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知 薬食安発第0113002号(平成18年1月13日付) (4)抗うつ剤共通の注意事項です* 患者の家族や保護者に対し、患者の状態を注意深く観察すること、処方医と緊密に連絡をとりあ うように説明してください。また、自殺念慮、自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変 化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について説明を行い、これらの症状が認められた場合 には、直ちに医師に連絡するように説明してください。 *厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知 薬食安発第0508001号(平成21年5月8日付) (5) 海外で実施された薬力学試験において、本剤は自動車運転能、精神運動能、認知能のいずれに対 しても影響を示しませんでした。しかしながら、国内外の臨床試験において、傾眠、浮動性めま い等の副作用が発現しており、判断力および操作技術の低下の可能性が否定できないことから、 本剤の投与中は自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意するよう説明してくだ さい。

(44)

40

2. 重要な基本的注意(続き)

(6) 投与中止(突然の中止)により、不安、焦燥、興奮、浮動性めまい、錯感覚、頭痛及び悪

心等があらわれることが報告されている。投与を中止する場合には、突然の中止を避け、

患者の状態を観察しながら徐々に減量すること。

(7) 本剤投与によりQT延長がみられていることから、心血管系障害を有する患者に対しては、

本剤の投与を開始する前に心血管系の状態に注意を払うこと。

参照

関連したドキュメント

がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断さ

HORS

 医薬品医療機器等法(以下「法」という。)第 14 条第1項に規定する医薬品

「橋中心髄鞘崩壊症」は、学術的に汎用されている用語である「浸透圧性脱髄症候群」に変更し、11.1.4 を参照先 に追記しました。また、 8.22 及び 9.1.3 も同様に変更しました。その他、

問 238−239 ₁₀ 月 ₁₄ 日(月曜日)に小学校において、₅₀ 名の児童が発熱・嘔吐・下痢

【ご注意点】 ・カタログの中からお好みの商品を1点お 選びいただき、同封のハガキに記載のお

MPの提出にあたり用いる別紙様式1については、本通知の適用から1年間は 経過措置期間として、 「医薬品リスク管理計画の策定について」 (平成 24 年4月

在宅医療 注射 画像診断 その他の行為 検査