【同志社大学労働法研究会】業務用パソコンを用い た就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒 処分の効力
著者 弘田 彩加, 土田 道夫
雑誌名 同志社法學
巻 60
号 8
ページ 471‑493
発行年 2009‑03‑31
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011710
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七一同志社法学 六〇巻八号 ◆同志社大学労働法研究会◆
業務用パソコンを用いた就業時間内の 私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力
全国建設工事業国民健康保険組合北海道東支部事件
平成一七年五月二六日札幌地裁判決、平成十五年 (ワ) 一八七三号、 一部却下、一部認容、一部棄却〔確定〕労働判例九二九号六六頁
弘 田 彩 加 土 田 道 夫
(四七四三)
【事実関係の概要】
⑴ 被告Yは、全国の建設工事業に従事する労働者の国民健康保険に関する事務処理を目的として昭和四五年六月一八日に設立認可された組合である全国工事業国民健康保険組合の支部である。
⑵ 原告ら(X
1・X 2職告原。るあで員の)Y告被もれずいはX
1職務職きべす揮指を員属は所のそてしと長課、を
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七二同志社法学 六〇巻八号
(四七四四)
掌理しており、原告X
2付たきてっ行を務業のどな給は、用適の険保康健に主、。
⑶ 原告X
1、﹁ういと﹂一分処件本下に以(分処次一第るす対) 被告Yは、平成一五年四月二五日、原告X
1かトンセーパ〇一の給本基間月三にらか日一月五年五一成平、し対の
減給をする懲戒処分とともに、課長職を免じ係長に降任する分限処分を行った。その理由は、﹁原告X
内ま月頃より同一五年三月頃で年の間、課員らが就業時間七四べ立て職員を指揮す一き場とにありながら、平成し 1長課、は
に職員服務規程(以下﹁規程﹂という。)に反し頻繁に私用のためのメール交信を行っているのを知りながら、これを上司に報告せず、かつ、課員らに注意することなく容認し、のみならず自らも課員らとの間で頻繁に私用のた
めの連絡、上司の職務上の命令に対する批判等を内容とするメール交信を行った。これらの行為は、規程二七条(物品の私用禁止)及び同二三条一項(職務専念義務)に違反し、かつ、課長の職務に必要な適格を欠くものである。
よって、規程四八条⑵、同四九条⑴、⑼、同条三により減給処分とし、かつ、同規程四四条⑶により分限処分を行う。﹂というものである。
⑷ 原告X
2、﹁ういと﹂二分処件本下に以(分処次一第るす対。)
被告Yは、平成一五年四月二五日、原告X
2かのトンセーパ〇一給本基間月三にらか日一月五年五一成平、し対減
給をする懲戒処分を行った。その理由は、﹁原告X
利ッイをーャジンセメスのーフヤくな可ントに職をれこし対に員のー他、えうたしル許ンソパるいてれさ置配にコ 2七よ頃月、年四一成平同りは一五年三月頃での間、業務用ま
用した会話に参加するよう勧誘して職場内で徒に私語を楽しむための組織作りを行い、のみならず、チャットを利用して勤務時間中に外部の者との私的連絡や会話を行い、また、電子メールを使用して就業時間内に頻繁に職員間
で私用のためのメール交信を行っていた。これらの行為は、規程二七条(物品の私用禁止)及び同二三条一項(職
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七三同志社法学 六〇巻八号 務専念義務)に違反する。よって、規程四八条⑵、同四九条⑴、⑼、同条三により減給処分を行う。﹂というものである。
⑸ 原告X
1、﹁ういと﹂分処次二第下に以(分処次二第るす対。)
被告Yは、平成一五年九月九日、原告X
1一トンセーパ〇一の給本基間月からにか日一月〇一年五一成平、し対の
減給をする懲戒処分を行った。その理由は、原告X
命出コイボを議会し退トを室議会にちうッしな(の司上び及令法条た五程規、が為行いたも分数てし始開を議会経 1六日三月、年五一成平職、が員の配置転換関する会議中、に 令に従う義務)に抵触し、同四八条一号及び二号の懲戒の理由にあたる、というものである。⑹ 原告X
2、﹁ういと﹂分処次三第下に以(分処次三第るす対。)
被告Yは、平成一六年八月二四日、原告X
Xっをする懲戒処分を行た減。その理由は、原告給 2・ら対し、平成一六年九月一日か一五か月間基本給三のトンセにパー
2日承の司上に内間時業就の〇が二月七年六一成平〕一、〔諾
なく当支部事務室内において私的文書をプリントアウトし、〔二〕同月一四日から同月二〇日までの間、上司の承諾なく、当支部の業務用備品であるプリンターを用いて、私用のため多数回にわたり文書をプリントアウトし、同
じく当支部の業務用備品であるファックスを用いて私用のため多数回にわたり文書を外部に送信した行為が、〔一〕
につき規程二三条一項ないし労働契約に基づく職務専念義務に違反し、〔二〕につき同二七条二項に基づく私的利用禁止義務に違反する、というものである。
⑺ そこで、原告らは、本件処分一、本件処分二、第二次処分、第三次処分について無効確認を求めたほか、原告Ⅹ一は、本件処分一につき処分前の課長の地位にあることの確認及び減給三か月の賃金控除分の支払等、第二次処分に
つき減給一か月の賃金控除分の支払及び慰謝料一〇〇万円の支払、原告X
2きの月か三給減つはに二分処件本、賃
(四七四五)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七四同志社法学 六〇巻八号
金控除分の支払、第三次処分につき減給一か月の賃金控除分の支払及び慰謝料五〇万円の支払を求めた。
【判旨】請求一部認容
1.争点⑴(確認の利益)について
⑴ 本件各処分の無効確認請求について
の限いなは益利の認確、りいいなで合場るあが益実るとう認処そは求請認確効無の分各べ件本のら告原、ろこときす確 ﹁その数多に礎基を為行の、三は力効の為行律法の去第過をを力効のそ等るせさじ生係を関律法な雑複でん込き巻者ような場合ではなく、また、原告らは本件各処分の結果生じた金銭的不利益につきその支払いを併せて請求していることからすると、本件各処分の無効確認請求は確認の利益を欠くものとして不適法というべきであって、いずれも訴え却
下とするのが相当である。﹂
⑵ 原告X
1
の課長たる地位確認請求について
﹁求在の法律関係の確認をめ、るという形式ではあっ現は原に告が降任処分前の地位あてることの確認請求についても実際は過去の当該処分の効力が争点となっている上、被告と原告X
求にが権求請労就者め働労、くなでか認ら明も請認確のそ、てれしらかとこいならも労しず必は位地の上約契働しいな 1の労し働契約が存続とており、当該処分付着の
は、特段の理由がない限り不適法と解するのが相当である。⋮⋮現在も原告X
Xこ告原、はと 1にる課長たる地位すあ認確をがこると 1く効適切とは言い難(て被告は、本判決確定有しのい法律的地位の危険なしと不安を除去する方法後
速やかに⋮⋮原告X
1る告原、。)るあできべすに発を令辞てめ改し対X
1的のそきつに益利不銭が金るよに分処任降支
(四七四六)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七五同志社法学 六〇巻八号 払いを併せて請求していることからすると、現在原告X
。﹂りて不適法というべきであ、と訴え却下とすべきであるしの 1確課長の地位にあることのがも請求は、確認の利益を欠く認 2次ていつに力効の分処一.第のら告原(⑵点争)
⑵ 本件処分一について
イ
﹁な勤務場所を離れてはら定ない。﹂と定めているとの所ま﹁ず、規程二三条一項は職に員は執務時間中みだりこ
ろ、⋮⋮同条項はその趣旨が職務専念義務にあるとしても、その文言上は執務時間中の離席を禁じたものに過ぎないから、この文言を離れて職務専念義務一般というように広く解釈して懲戒処分を課すことは、懲戒処分が労働者に対する
制裁罰であり、罪刑法定主義の見地からも、⋮⋮許されないものというべきであって、執務時間内に私的なメール交信を行った行為を二三条一項に違反するものということはできない。﹂
ウ
Xの公私混同を禁止したもとし解されるところ、原告て ﹁て職たの用私を品物は員﹁用は項二条七二程規、にめいは次ならない。﹂と定めてりと、職場規律・企業秩序お
1殆との実事定認記上、はどのがそちうの信交ルーメたっ行お
り私的なメール交信であり、被告の備品であるパソコンを私用のため用いたものであるから、同条項に違反することは
明らかである。⋮⋮そこで、さらに⋮⋮減給処分が懲戒権の濫用に当たるかについてみるに、〔原告X
告連であり、内容的にも業務関の時ものが少なくないこと、被間短八過七か月間で二も回にぎはず、一回の所要時間約 1ルーメ的私の
Yの事務局では、業務用パソコンの取扱規則等の定めがない上、以前に私的利用に対して注意や警告がなされたことはなく、B局長や管理職のCも私的利用をしていたこと、被告Yが言う交信の回数の多寡は信頼性に乏しいこと、原告X
1障約に﹁被告は、業務に支の働きたさない限りにおいて協労がと加入している地域労組被た告との間で締結されてい、
(四七四七)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七六同志社法学 六〇巻八号
組合に事務用品の使用、電話、複写機、ファックスの使用などを認める。﹂との定めがあり、第一次処分当時その効力
が存続していたこと、労基法九一条にいう﹁一回の額﹂とは一回の処分事案についての減給額という意味であって、処分事由ごとに一回につきとの意味ではないと解するべきであるところ、原告X
1労違条一九法基はに分処給減るす対反
にあたること、にかんがみると〕、原告X
1言として無効とわ濫ざるを得ない用のに給対する⋮⋮減処権分は⋮⋮懲戒。﹂
エ さらに、規程四四条⑶は、降任又は免職処分事由として、﹁前二号に規定する場合のほか、その職務に必要な適
格性を欠く場合﹂と規定しており、﹁前二号﹂とは勤務成績不良の場合及び心身障害による職務遂行に支障がある場合であり、適格性の欠如もこれらと同程度の場合であることが予定されているところ⋮⋮私的メール交信の事案のみをも
って降任処分を課 (ママ)するのは重すぎる処分というべきである。したがって、原告X
。﹂とるあできべうい 1分は、に⋮無効処任降⋮⋮るす対⋮ ﹁仮に原告X
と働るす更変を⋮⋮件条労合び及雇解の員合組は部場は東合。﹂るす定決で上の意方、双し議協と合組に前事支﹁⋮⋮ 1降該、もてしとるす当に任⑶本四四程規が分処条の件約、りおてれさ結締が協分働労⋮⋮は時当の一処
の定めがあったところ、原告X
。﹂、続手な要重しいなて遵しとるす反にめ定不守約効るれさ解とるなと無にてしと用濫利権るよの協労は分処働 1、と告被と合組いはて合つに任降⋮⋮のの意い任降⋮⋮、らかなのいてれさ定決で上
⑶ 本件処分二について
イ
。戒を規定したものとして懲処義分をすることは許されない務 ﹁と一を務義念専務職を項条定三二程規、は告被、ず規し主お張するが、上記のまりた同条項が職務専念のもと ウ 原告X
2員行為であり、他の職にしチャットの利用を誘た用の業⋮⋮行為はいずれも務利用パソコンを私的にっ
(四七四八)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七七同志社法学 六〇巻八号 たことのほか就業時間内の外部者とのチャット交信などその行為は悪質であり、職場規律・企業秩序の点からも軽視できないものであるから、規程二七条二項(物品の私用禁止)に該当するというべきである。﹂
﹁しかしながら、原告X
かの以、上いながめ定等に則規扱取のンコソパ前私務告なはとこたれさなが警的や意注てし対に用利用業はで局務事、 2、〔チやルーメ的私分は二ッ処件本るす対ャにトいのY告被、とこなのえいはとい多が頻度
ったこと、交信記録の調査方法の公正性に疑問があること、X
2に対する減給処分は、原告X
。﹂の照らして〕、懲戒権濫情用として無効であるに事反違のどなとこるたあに諸 1条一九法基労くじ同と 3.争点⑶(原告X
1のいつに)力効分に処次二第るす対て
⑴ ﹁
原告X
X為いならなはてしを行と権越い従に令命の。﹂の務を告原、〔にるす討検か定うどかるす触抵にめ上 1のボのもたしトッコイをし議会⋮⋮が為行⋮⋮とて職す司上、てった当にる行規遂を務職﹁の条五程の
1はB局長の
許可は得ていないが、一応の理由を述べて退席する旨断り会議室を出ていること、その際B局長は会議室に留まるように指示はしていないこと、会議の目的である人事異動についての説明はほぼ済ませていたことからすると、原
告X
1る告原。〔いなきではとこういとすの反にめ定の条五程規〕、が為行X
1にと職理管、は度の態や容内言発し
ての適格性に疑いを生じさせるものがあるとしても、人事異動を現実に阻止する行動に出たわけではなく、上司の職務上の命令に反したものとは認められないから〕、原告X
1規分処いなかづ基に程⋮に⋮は分処次二第るす対と
して無効であるというべきである。﹂
(四七四九)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七八同志社法学 六〇巻八号
4.争点⑷(原告X
2のいつに)力効分に処次三第るす対て
⑵ ﹁
原告X
ト反リプの品備②、るす違タに務義念専務職が為ンーた書ウアトンリプを稿原述及陳記上でスクッァフび行しトウ 2対、⋮に内間時業就①はす由⋮の分処次三第る事に〔述アトンリプを稿原書陳件〕の定予出提で訟訴本
し、又は送信した行為が物品の私用禁止にあたるというものである。
まず、被告は、①の職務専念義務の根拠として規程二三条一項ないし労働契約を挙げるが、上記のとおりそれをも
って懲戒処分することはできない。
次に、②に関し、〔原告X
2ウ稿をプリントアトのし、備品のファ原枚はー備品のプリンタで六三回にわたり計ッ
クスで二回にわたり計二七枚の原稿を外部に送信したが、〕上記陳述書原稿は⋮⋮あくまで私的な文書であり、同
文書を被告の備品であるプリンターやファックスを利用してプリントアウトしたり送信したりすることは備品の私用に当たるのであって、⋮⋮原告X
2す禁止)に該当る私ことは否定し用のの程⋮⋮行為が規二品七条二項(物が
たい。﹂
﹁
そこで、原告X
2、〔につき検討するに私い的利用の殆どが勤かなにが対する第三次処分懲ら戒権の濫用に当た務
時間外であったこと、短時間の私用であり、使用回数も少ないこと、原告X
いに労働協約において被告Yは組合対りし事務機器の利用を認める取扱、あ労は組合にとって組が合活動の側面働 2るす属所、がるあはで為行的人個の をしていたこと、第三次処分による減給額が労基法九一条違反であることなどに照らすと〕、第三次処分の減給処分を課 (ママ)すことは、⋮⋮懲戒権の濫用として無効である。﹂
(四七五〇)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四七九同志社法学 六〇巻八号
5利いつに)害損しいな益不.たっ被のら告原(⑸点争て 実っ的論結は分処各件本た行はが告被、ろことるいてに無求た事は分処のられこ、がっ効あはでのもるれさ断判とめを ﹁りれさ損毀を用信・誉名よだに分処各件本、はら告甚原払、支の料謝慰し対に告被ていしとたっ被を痛苦的神精し
上及び法律上の根拠を明らかに欠いたものとまではいえないばかりか、本件各処分よって被告らが被った不利益は本件各処分が無効と判断され、経済的不利益の救済がなされることによって、一応の回復がはかられたと見ることができ、
被告が原告らに対しそれを超えてさらに慰謝料の支払をなすべき特段の事情は窺えないことから、原告らの慰謝料の請求は認めることができない。﹂
【検討】結論賛成、判旨の理由付けに疑問
1.本判決・事案の特徴 本件は、被告Yの職員である原告らが、就業時間内に業務用パソコンを用い私的メールを行ったこと等を理由として
数度の懲戒処分に付されたことから、各処分の無効確認及び懲戒処分により減給された賃金控除分の支払い等を求めた事案である。
そもそも懲戒の有効性の判断は、二段階の適法性審査に服する (
判濫断され、次いで権利用がの有無が判断される ( 性。にすなわち、第一次的就当業規則上の懲戒事由該 1)
害職侵権理管設施と反違務義念専務はに的法、はルーメ的私、たま。 2)
の二点で問題となりうる行為である (
が戒かるす当該に由事懲かの上則規業就ため定否が権に分処戒懲に次、は合検場るす当該、れさ討を理設施は又務義管 。メ懲るよにルーて的私、処っがたし戒性分合念専務職ずま、場のるれわ争が効有 3)
権利濫用になるか否かが検討されることとなる。
(四七五一)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八〇同志社法学 六〇巻八号
私的メールによる懲戒処分が争われた従来の裁判例には、私的利用の頻度が低いため職務専念義務に違反したとは言 えないとして、懲戒事由該当性が否定されている事案がある (
戒的ーメ的私、はに論の結、もつつめ認ル頻反情懲とるす慮考を事度の等とこい低がを違る程ことか規ら二七条二項の 本、は決判。し対にれそ務業私用パソコンを用に使ってい 4)
権の濫用により本件処分一・二は無効となると判示している。つまり、懲戒事由該当性は形式的に認め、実質的な判断を懲戒権濫用の段階で行っている。
以上から、本判決は、私的メールについての一般論を示すのではなく、具体的適用の部分で、回数等の実態を懲戒権濫用の判断に反映させることにより、物品使用禁止の規程違反すなわち施設管理権侵害を容易に認めつつも、結論とし
て懲戒処分を無効とした点に特徴があると言える。
2.争点⑴(確認の利益)について
⑴ 確認の利益について
確認の利益は、原告の権利または法律的地位に不安が現に存在し、かつ不安を除去する方法として原告・被告間でその訴訟物たる権利または法律関係の存否の判決をすることが有効適切である場合に認められ (、その判断は次の各視点か 5)
ら行われる。
第一は、原告・被告間の具体的紛争の解決にとって、確認訴訟・確認判決という手段が有効・適切であるか、第二に、 確認対象として選んだ訴訟物が、原被告間の紛争解決にとって有効・適切か、第三に、原被告間の紛争が確認判決によって即時に解決しなければならないほど切迫した成熟したものかの各点が考えられる (
点にの二第、一第特、はで件本。 6)
が問題となる。まず、第一の点に関しては、給付の訴えが可能であるのに、その請求権自体を確認することの利益は原
(四七五二)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八一同志社法学 六〇巻八号 則として認められない (
法関過去の事実または過去のか律係らの確認は原則として許されない、 ( もるあでのる。関事民、はてしに訟点の二第、に次訴はかのはを整調・決解争現紛の上律法の在 7)
実次事の去過はに合場の、に的外例、しかし。 8)
または過去の法律関係の確認の利益が認められるとされている。一つ目は、﹁現在の権利または法律関係の個別的な確定が必ずしも紛争の抜本的解決をもたらさず、かえって、それらの権利または法律関係の基礎にある過去の基本的な法
律関係を確定することが、現に存する紛争の直接かつ抜本的な解決のためもっとも適切かつ必要と認められる場合 (
とも保護すべき場合であるにかっかわらず、その保護手段てよ原告、二つ目は、現在のにのあ法律的地位を民事訴訟り ﹂で 9)
して、過去の事実または法律関係の存否を確認すること以外に有効・適切な手段が見当たらない場合 (
である。 10)
⑵ 本判決の検討
以上をもとに、まず、判旨1認効確認請求が確のの利益を有さない無分.す⑴について検討る処に、判旨は本件各理
由として、過去の法律行為の効力についての確認請求であり確認の実益がない点、本件各処分の結果生じた金銭的不利益につき給付請求を併せて請求している点、の二点を指摘している。前述のとおり、過去の法律関係の確認は原則とし
て許されず、給付の訴えが可能である場合には確認の利益は認められないのが原則である。本件各処分の無効確認は正
にこの場合に当たり、例外に該当する事情も見受けられないことから、判旨
1.⑴は妥当と言える。 次に、判旨
1る告原は旨判、にす.討検ていつに⑵X
1認てしと由理いなが益利の確のに求請認確の位地るた長課、
①現在の法律関係の確認を求める形式ではあるが実際は過去の処分の効力が争点となっている点、②労働契約がなお存続しているため、当該処分の付着しない労働契約上の地位が必ずしも明らかではなく、労働者に就労請求権が認められ
ない点、③降任処分後に機構改革が行われたため、現在も原告X
1を原、はとこるす認確とがこるあに位地るた長課告
(四七五三)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八二同志社法学 六〇巻八号
X
1任とはいい難い点、④降処適分による金銭的不利益切効のし法律的地位の危険ない不有安を除去する方法としてに
つきその支払を併せて請求している点を指摘している。
評者は①③④は妥当と解するため判旨の結論は支持するが、②に関しては疑問である。そこで以下、各点を検討する
にあたり、確認の利益を否定する理由として重要度がより高いと考えるものから順に検討する。
まず、④について、東京アメリカンクラブ事件(東京地判平一一・一一・二六労判七七八号四〇頁)では、職種変更
に伴う賃金減額措置の無効を理由とした、減額前賃金額の支払請求権を有する雇用契約上の地位確認請求につき、以下のように述べ、確認の利益を否定している。すなわち、同判決は、﹁地位確認を求める部分については、現在(口頭弁
論終結時)の法律関係を確定させることを目的とするところ、⋮⋮将来の給付を求める訴えとの関係でいえば、先決問題として、地位確認を求めることは有効な手段となるとしても、そうではない本件においては、本件減額措置の効力を
争って現在(口頭弁論終結時)までの差額賃金の支払を求めることによって、本件紛争の抜本的かつ確定的な解決を図ることができる以上、地位確認を求めることは、最も有効かつ直接的な紛争解決方法とはいえないから、このような訴
えは確認の利益を欠くものといわざるをえず、不適法として却下を免れない。﹂と判示している。それを踏まえ本件をみると、本件では将来にわたる金銭の給付が請求されているのではなく、本判決確定時までの金銭的不利益について支
払が求められている。前掲東京アメリカンクラブ事件の立場に依るならば、かかる場合には、金銭の支払請求を以て紛争の抜本的解決を図ることが可能であるから、確認判決という手段が有効適切とは言えない。よって、この点につき判
旨の指摘は妥当と考える。
次に①について、前述のとおり、過去の事実または過去の法律関係の確認は原則として許されていないところ、本件
の地位確認請求は正に過去の法律関係の確認を求めるものであり、また、例外に該当する事情も見受けられないことか
(四七五四)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八三同志社法学 六〇巻八号 ら、判旨は妥当と解する。さらに、③に関しては、被告Yにおいて機構改革が実施され、X
考地れている。そうである以上、位め確認は実質的に無意味であるとら認合くと統がされてななのってしまったこと課 1他、が課たいてし属所が
えられるため、この点の判旨の判断も妥当と言える。以上のことから、評者は、確認の利益が否定されるべきと解する。
しかし、②については疑問が残る。まず、原告X
1地なはでから明もしず必が位のの上約契働労いなし着付の分処い ことは、被告Yが機構改革を行ったことからも是認できる。けれども、就労請求権すなわち現実の就労を求める権利 (
働では論理の飛躍と言うべきあるる。思うに、判旨は、労のすたと定されるために、課長る地位の確認の利益を欠く否 が 11)
者が就労請求権を有さないが故に、課長たる地位の確認判決を下したとしても、実際に就労することができない可能性があることを想定し、このように判示したのであろう。しかし、役職に就くということは、賃金に関わる重要な労働条
件である。それ故、現実の就労が叶わない場合が存するからといって、それが確認の利益を否定する理由に直結するとは認め難い。本件の場合は、労働者の就労請求権が否定されるからではなく、金銭の支払請求が同時になされており、
かつ、過去の法的関係の確認であること、さらには地位確認が実質的に無意味であるという点にこそ、確認の利益を否定する根拠があると言えよう。
3次ていつに力効の分処一.第のら告原(⑵点争)
⑴ 私的メールに関する学説・裁判例の状況
私的メールはその発信中、職務それ自体に従事していないため、原則として労働義務違反の評価を免れない行為である (用はで利用する点で施私設管理権の侵害るをな施。また、会社の設)(ネットワークと 12)(
。しかし、実際は、個人がパ 13)
スワードを用い、他の者のアクセスが排除され、使用に当たっては個人の裁量が広範に認められる等、個人使用が前提
(四七五五)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八四同志社法学 六〇巻八号
となっているという特質から、一定程度の私的メールであれば使用者が黙認しているのが現状である (
。そこで、学説で 14)
は、日常の社会生活を営む上で必要な範囲内で行う私用メールについてまで労働義務違反と考えるべきではないとするのが多数説である (
。 15)
また、裁判例においても、F社Z事業部(電子メール)事件(東京地判平一三・一二・三労判八二六号七六頁)が﹁勤労者として社会生活を送る以上、日常の社会生活を営む上で通常必要な外部との連絡の着信先として会社の電話装置を
用いることが許容されるのはもちろんのこと、さらに、会社における職務の遂行の妨げとならず、会社の経済的負担も極めて軽微なものである場合には、これらの外部からの連絡に適宜即応するために必要かつ合理的な限度の範囲内にお
いて、会社の電話装置を発信に用いることも社会通念上許容されていると解するべき﹂であって、それは会社のネットワークシステムを利用した私的メールにも妥当すると説示しており、実態を踏まえた柔軟な判断を示している。また、
﹁職務の遂行の妨げ﹂と﹁会社の経済的負担﹂という前掲F社Z事業部(電子メール)事件で挙げられた二点によって私的メールの職務専念義務違反性を判断した裁判例として、グレイワールドワイド事件(東京地判平一五・九・二九労
判八七〇号八三頁)が挙げられる。同判決は、﹁労働者は、労働契約上の義務として就業時間中は職務に専念すべき義務を負っているが、労働者といえども個人として社会生活を送っている以上、就業時間中に外部と連絡をとることが一
切許されないわけではなく、就業規則等に特段の定めがない限り、職務遂行の支障とならず、使用者に過度の経済的負担をかけないなど社会通念上相当と認められる限度で使用者のパソコン等を利用して私用メールを送受信しても上記職
務専念義務に違反するものではないと考えられる。﹂としている。その上で、具体的事案への当てはめにおいて、私的メールの頻度が一日に二通程度であったことから、﹁それによって原告が職務遂行に支障を来したとか被告に過度の経
済的負担をかけたとは認められず、社会通念上相当な範囲内にとどまるというべきであるから⋮⋮原告が職務専念義務
(四七五六)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八五同志社法学 六〇巻八号 に違反したということはできない。﹂と判断している。すなわち、これら裁判例の﹁社会通念上許容されている﹂や﹁社会通念上相当と認められる限度﹂等という文言は、私的メールには本来的に許されるべき範囲が存在することを前提と
しているが故の表現と考えられる。
それらに対して、以下の三裁判例では、私的メールの実態を踏まえ柔軟に判断する姿勢は示されていない。まず、日
経クイック情報(電子メール)事件(東京地判平一四・二・二六労判八二五号五〇頁)は、﹁私用メールは、⋮⋮送信者がその間職務専念義務に違反し、かつ、私用で会社の施設を使用するという企業秩序違反行為を行うことになること
はもちろん、⋮⋮受信者の就労を阻害することにもなる。﹂と述べており、如何なる私的メールであれ職務専念義務違反、企業秩序侵害に該当すると解しているようである。また、モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド事件(東京地
判平一六・八・二六労判八八一号五六頁)も、労働者が使用者のメールアカウントを利用して、知人等に訴訟を提起した旨通知した行為につき、﹁〔同〕訴訟は⋮⋮飽くまで〔労働者〕の個人的な訴訟であるから、⋮⋮かかる行為は、限ら
れた私的目的を除いて業務以外の情報通信システムの利用を禁じた行為規範⋮⋮に違反するものであり〔使用者〕の懲戒権が及ぶ﹂と説示し、私的利用の禁止規定違反により懲戒権が及ぶか否かにつき、私的メールの目的以外の実態は考
慮していない。さらに、日本システムワープ事件(東京地判平一六・九・一〇労判八八六号八九頁)は、社内に私的メ
ール禁止規定があったという事案において、原告労働者が行った二回の私的メールにつき、﹁就業規則三六条は、社員が遵守すべき服務規律の一として﹁原則、仕事中は使用電話、私用メールはしないこと﹂を挙げており⋮⋮原告のメー
ル送信行為は、この服務規律に反するものである﹂と判示し、わずか二回の私的メールでさえ就業規則違反と判断している。もっとも、前掲モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド事件及び日本システムワープ事件では、前掲日経
クイック情報(電子メール)事件のように、私的メールに関する一般的な法的評価は示されていない。しかし、私的メ
(四七五七)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八六同志社法学 六〇巻八号
ールがあったことから直ちに規定違反を肯定している点は、基本的に全ての私的メールが職務専念義務違反、企業秩序
侵害に該当すると解していることの徴表と考えることができるのである。
本判決では、前述のように私的メールについての一般論は示されていない。しかし、具体的判断において、私的メー
ルの存在があったことから直ちに施設管理権を定めた就業規則違反を認め、懲戒事由該当性を形式的に判断している。そのことから、本件は、事案としては職務専念義務違反ではなく施設管理権侵害が問題となったものであるが、立場と
してはこれら後者の三裁判例に一例を加えたものであると言うことができる。
⑵ 本判決の検討(判旨
2
.⑵ウ、⑶ウについて)
以上をもとに本判決をみるに、多数説及び前掲F社Z事業部(電子メール)事件、グレイワールドワイド事件と、本
判決及び前掲日経クイック情報(電子メール)事件、モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド事件、日本システムワープ事件との決定的な相違点は、前者が社会通念上相当な範囲内の私的メールであれば許容するという前提を採っ
ているのに対し、後者はそのような立場を採用していない点にあると言える。懲戒事由該当性を形式的に認め、実質的な判断を全て懲戒権濫用の段階で行おうとする本判決の特徴は、いかなる私的メールであっても施設管理権侵害に当た
るという立場を採ったことに依るものと考えられる。
しかし、評者は本判決のかかる立場には疑問を感じる。社会的にみても、業務用パソコンの使用に、ある程度個人の
裁量が認められている以上は、社会通念上相当な範囲内の私的メールならば許容されてしかるべきである。また、法的にみても、労働者と雖も一個人として尊重されるべき人間である以上、私的メールを完全に禁ずる措置は、憲法一三条
に由来する人格権すなわち人格の自由な展開の保障を目的とした権利 (
約れ契働労、にらさ。るらえ考とるが繋に害侵の 16)
(四七五八)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八七同志社法学 六〇巻八号 関係は、労働者の人格や自由に対する法的配慮を要請される関係であるため、企業秩序による規制もそれに対する行きすぎた支配や拘束は許されない (
当業観点からも、就規界則上の懲戒事由該の限ののれ故、使用者企。業秩序維持権限そ 17)
性の判断に際しては、その合理的限定解釈が求められるのである。以上に鑑みると、社会通念上相当と認められる範囲内の私的メールである限りは、法的にも施設管理権侵害の評価を免れ、懲戒事由該当性が否定されると解するのが相当
である。
また、かかる見解は、主張立証責任の観点からも、労働者の保護に資するものであって適切である。すなわち、懲戒 事由該当性については使用者が主張立証責任を負っている (
のでなし証立張主をま限とこたいてし脱いりをさるなととこるれ定懲否が性当該由事戒逸囲が上範社会通念許容される 解くづ基に働見るかか、、と者使用者は労たの私的メールめ 18)
である。一方、いかなる私的メールであれ懲戒事由該当性を認めると解すると、使用者は私的メールの存在のみを主張立証すればそれで足り、翻って労働者が私的メールの回数が少なかったという事実を懲戒権の濫用を基礎づける事実と
して主張立証すべきこととなる。懲戒権の濫用は、規範的要件としてその主張立証責任が労使に分属する (
な、証しなければならないためそ張の点で労働者の負担が大きく立主が権次的には労働者を戒懲濫用を基礎づける事実 と一、えいは 19)
ることに変わりはない。それ故、懲戒処分が労働者に大きな不利益を課すものであって、その法的利益を侵害する可能
性 (
。るえ考と す事由該当性自体を否定場る立懲の方が妥当である戒て者いすることに鑑みると、評のがように、私的メールにつ存 20)
以上から、原告X
と要っあで間時短も間時所この回一、とこたっかたとかのこたっかなくな少がも、の連関務業もに的容内なし回で八二 1私裁の権戒懲が所判、的はて濫つにルーメいの用、間月か七約が数回ちのうの実事ため認で階段
に鑑みると、社会通念上相当な範囲内と言えるため規程二七条二項には該当しないと解する。また、原告X
2について
(四七五九)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八八同志社法学 六〇巻八号
も、私的メールやチャットの頻度が多いとはいえないと認められていることから、X
1同様に規程二七条二項に該当す
るものではないと解する。したがって、判旨
。対るあで 2の性⑵ウ⑶ウ反はに分部ため認を当結該由.戒懲、がるす成賛はに論事 なお、前述のとおり、評者としては、本件処分一及び二は懲戒事由該当性が否定されて無効となると解するが、仮に判旨の構成に沿ったとして、判旨
2えても検討を加るつこととする。そいに.け⑵ウ、⑶ウにおる断懲戒権濫用の判の
点につき判旨は、①私的利用を禁じる規定がなく、私的利用の実態について注意や警告がなされていなかったこと、②全従業員から漏れなく保存記録を公平に提出させたのかどうかは不明であることや、一部の従業員にのみ抜き打ち的に
チェックを行ったことなど、調査方法に公正性の点で問題が多く、原告らの交信の多寡は信頼性に乏しいこと、③労働協約に﹁Yは、業務に支障のきたさない限りにおいて、組合に事務用品の使用、電話、複写機、ファックスの使用など
を認める。﹂との定めがあること、④Xらに対する減給処分が労基法九一条違反にあたることの四点を指摘し懲戒権の濫用と判断している。
まず、①につき、評者は前述の通り私的メールには本来的に許されるべき一定の範囲が存し、それは私的利用の禁止規定や事前注意があった場合にも変わるものではないと解する。しかし、逆に禁止規定等が存在しない場合には、それ
を使用者側の過失と捉えて濫用の判断をより厳しくすべきと考える。よって、判旨の①の指摘は妥当と言える。次に、②について判旨は、一部の者には抜き打ち的に、他の者には事前告知し行ったチェックは公正性に問題があるとするが、
評者は、他の従業員への調査態様をその者自身への懲戒処分の効力に過度に酌量すべきではないと考える。すなわち、その者の行為が懲戒事由に該当することは事実なのであるから、調査に違法性があった等、明らかに公正性を欠くよう
な極端な場合でない限りは、それを懲戒権の濫用の考慮要素とすることには疑問である。続いて、③については、本件
(四七六〇)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四八九同志社法学 六〇巻八号 労働協約の定めは、組合活動を目的とした組合員の物品使用を認める規定であると解されるため、本件における原告らの私的メールへは適用されないと考える。よって、同規定を懲戒権濫用の要素とする判旨は相当ではない。最後に④に つき、まず、労基法九一条に違反した就業規則ないし労働協約は、当該部分それ自体無効と解すべきとされている (
様場にのみ法律違反があった合運であるが、かかる場合も同用の、際件は、それとは異なり規定そのものではなく、実 。本 21)
に当該処分自体を無効と解すべきであろう。すなわち、労基法九一条違反は懲戒処分を直ちに無効ならしめる原因であると言えるため、懲戒権濫用の考慮要素とした判旨は是認しがたい。もっとも、以上を踏まえると、本件処分一及び二
は、そもそも懲戒事由該当性を判断するまでもなく労基法九一条違反により直ちに無効と解されることとなる。しかし、本評釈では、私的メールを理由とした懲戒処分の効力が最も重要な検討事項であるため、あくまで判旨の構成に沿い検
討を進めたことを付言しておく。
さらに続けて、判旨は原告X
1、された場合にも組肯合との協議を定定がの、降任処分につき仮性に懲戒事由該当め
た労働協約に反する、ないし重要な手続不遵守による権利濫用として無効になることにも言及している。この点につき、協約上の手続条項に違反して行われた懲戒処分の効力に関しては理論構成に対立がみられる。一方は、組合との協議を
定めた条項が、労組法一六条にいう﹁労働条件その他労働者の待遇に関する基準﹂に該当するとして規範的効力を認め、
それら条項違反の懲戒処分を無効と説く見解 (
で条な要重は反違項議続協、らいるのか手不るな解見るす解とるに遵用濫利権てしと守あ ( 権てる。他方は、懲戒等については利で濫用法理による法規制が確立しあ 22)
である。学説・裁判例の趨勢 23)
は前者である (
。無に降任処分を効論と判示している的結の。れさ記併が解見、方双はで旨判 24)
(四七六一)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四九〇同志社法学 六〇巻八号
4.争点⑶(原告X
1のいつに)力効分に処次二第るす対て 争点⑶では、原告X
1な告原、ずま、でこそ。るいてっとに題問が力効の分処次二第るす対X
い席に、会議を退席する際一応退すみる旨断った上で会議室を出てるて規にた行為がい程五条該席当するか否かにつし 1退を議会のY告被が
ること、それに対しB局長は会議室に留まるよう指示しなかったことが認められている。かかる事実を踏まえると、原告X
1を命令に従い越権行為し上てはならない。﹂に違反の務が行、規程五条﹁職務を遂す職るに当たって、上司のし
たとは評価できない。よって、判旨
3当判、おな。るあで妥.はていつに論結の⑵旨
疑に法九一条違反が権利濫用の評価影労響を及ぼすとした点に関しては基、な、りされているが評断者は前述のとおが 3判の用濫権戒懲、ていおに⑶.
問を有する。
5.争点⑷(原告X
2効判(ていつに)力のに分処次三第るす対旨
4.⑵の②について) 争点⑷では、原告X
2原る。同処分の因てとなった原告いっに処対する第三次分なの効力が問題とX
こをたこと、業務用ファックス用トいて私的な文書を送信したしウ用てプリンターをアい私務的な文書をプリント用 2業、は為行の
と、である。それについて、判旨は、物品の私用を禁じた規程二七条二項に該当することを認めた上で、使用回数が少ないこと、使用時間が短いこと、原告X
2の合活動として側も面があるため組ての属行為は同人所のっ労働組合にと組
合に事務機器の利用を認める労働協約の定めが適用されること、減給額が労基法九一条に違反すること等に照らして、結論的には懲戒権の濫用により無効と判断している。すなわち、争点⑵と同様に、懲戒事由該当性は形式的に認めた上
で、懲戒権濫用の段階で実質的な判断を行っている。そこで、まず、判旨の判断枠組みの妥当性から検討する。判旨
2持、使用者の企業秩序維権る限は無制限のものではながあ.私の検討において述べた見でと根本的には同様の考えい
(四七六二)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四九一同志社法学 六〇巻八号 ため、就業規則の懲戒事由該当性には合理的限定解釈が求められる。また、懲戒処分の特別の制裁罰としての性質等に鑑みると、多様な考慮要素によって判断が左右されうる懲戒権の濫用ではなく、その前段階で実質的な判断を行うこと
には重要な意味がある。
以上をもとに判旨を検討するに、原告X
2少らめ認がとこたっあでのもいなにの用物品の私的利はも回数・時間とれ
ている。その点を考慮すると、原告X
2の判、てっよ。るす解といなはでもの七行為は規程二条る二項に違反す旨
旨で判、おな。るあ成賛はに論結の⑵ 4. 4前るが、評者は述てのとおり、労いれ.戒において、懲権さ濫用の判断がな基
法九一条違反が権利濫用の評価に影響を及ぼすとした点に関しては疑問を有する。
6利いつに)害損しいな益不.たっ被のら告原(⑸点争て 本件において原告らは、各処分により名誉・信用を毀損され甚だしい精神的苦痛を被ったとして慰謝料の支払いを請
求している。それにつき裁判所は、原告らが被った不利益は、本件各処分が無効と判断され経済的不利益の救済がなされることによって一応の回復がはかられたとして慰謝料請求を棄却している。
本件と同様に、懲戒処分により名誉・信用が毀損されたことを理由とする慰謝料請求がなされた過去の裁判例を見て
みるに、海外漁業協力財団事件(東京地判平一六・五・一四労判八七八号四九頁)は次のように説示している。すなわち、同判決は、﹁本訴訟において、本件懲戒処分が無効と判断され、これに伴い、昇給の是正等がなされれば、原告の
名誉・信用は回復し、その感情も慰謝されるといえるから、他に特段の事情も認められない本件においては、慰謝料請求については理由がないといわざるを得ない。﹂と判示し、特段の事情がない限り、懲戒処分が無効と判断され金銭の
給付判決が出されたことによって、原告の不利益は慰謝されることを示した。
(四七六三)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四九二同志社法学 六〇巻八号
名誉とは、品性、徳行、名声、信用、その他の人格的価値について社会から受ける客観的評価 (
のことである。前掲海 25)
外漁業協力財団事件でも示された通り、懲戒処分が行われた場合、懲戒処分が無効と判断されて経済的不利益が慰謝したことにより、原則的にはその者に対する客観的評価も回復すると考えてよいであろう。また、本件及び前掲海外漁業
協力財団事件に言う﹁特段の事情﹂とは、使用者が懲戒処分に加えて労働者の対面を汚すような言動を行った等の事情が存する場合であると考えられるところ、本件ではそのような事情も特に見受けられない。以上のことから、判旨
5.
は妥当と言えよう。
(
( 1土、頁九八一)年八〇〇二堂田) 弘﹄(説概法働労﹃夫道文
( 。るれらえ考と た立法化しりものであ理、を権法用濫法戒懲の上法例判は条同前の判いなはとこるでが異差に断の施性効有の分処戒懲で後、行本もともっ 2な事に後行施法同、がるあで件のお前お行施法約契働労は件本、以) いに。るなととこるれさ断判りよ条て五一法同は性効有の分処戒懲、は
( 3土閣頁六九)年八〇〇二、斐田) ﹄(法約契働労﹃夫道有
( 4グ判・九・二九労八一七〇号八三頁五平レイイワールドワド) 事件・東京地判
( 二頁九三一)年七〇〇 5法有訟法講義〔第二版補訂版〕﹄(斐事閣、訟訴事民新﹃司幸堂新訴民〔年第三版〕﹄(弘文堂、二〇〇四)新二四九頁、中野貞) 郎ほか﹃一 6) 新堂・前掲注(
( 5)二四九頁
7) 新堂・前掲注(
( 5)二五〇頁
8) 新堂・前掲注(
( 5)二五三頁
( 9最集頁四六八号七巻四二民大) 一・七・五四昭判五 10) 新堂・前掲注(
( 5)二五四頁
11) 土田・前掲注(
( 1)五七頁
12) 土田・前掲注(
3)九六頁
(四七六四)
業務用パソコンを用いた就業時間内の私的メール交信等を理由とする懲戒処分の効力四九三同志社法学 六〇巻八号 ( 13) 土田・前掲注(
( 3)九六頁
( 14砂労る法的問題﹂判め八二七号三六頁ぐを押の以久子﹁従業員電) 子メール私的利用 15) 土田・前掲注(
3)九六頁、砂押・前掲注(
( 14)三六頁
( 16見〇新世社、二〇七法年)一八五頁﹄(為佳債男﹃基本講義権) 各論Ⅱ潮不法行
( 17菅堂頁一六三)年八〇〇二、文野) 〕﹄(版八第〔法働労﹃夫和弘
18) 土田・前掲注(
( 3)四三四頁
( 19山、頁二九一、頁七三)年八〇〇二社川係隆一﹃雇用関法) 〔第四版〕﹄(新世
20) 土田・前掲注(
( 3)四三四頁
( 21厚〇〕﹄(労務行政、二〇新五年)八九四頁版訂生局労働省労働基準編) ﹃労働基準法下〔改 22) 西谷敏﹃労働組合法〔第
( 2〕﹄(有斐閣、二〇版六年)三五六頁〇 23) 菅野・前掲注(
( 17)三五八頁以下
24) 菅野・前掲注(
( 17)三五八頁
25) 潮見・前掲注(
16)一七八頁
(四七六五)