土壌水分恒数とその測定法に関する研究 I 遠心分離法について-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学虚学部学術報沓 24

土壌水分恒数とその測定法に関する研究

Ⅰ、遠心分離法につい 七

松 田 松 二 山 田 宣 良 Ⅰ ま え が き 近年わが国に.おいても畑地の基盤整備事業が積極的に行なわれるように・なり,その中核的位置を占める畑地かんが いの必要性はますます増大しつつある。畑地かんがいを行なう紅・際して歪要な組子の一つに・かんがいの時期ならびに かんがい水盛の決定があげられるが,これらの基準となっている土壌水分恒数(F・C,C・M・El,W・P・等)とその測 定法に.ついて:は非常に飢、まいな点が多く,これがために適正なかんがいが行なわれていない例も珍しくはない0す なわら,土壌の保水性紅よって決定されるところの極めてマクロな水分恒数であるF¶C・と,エネルギの概念を応用 して:いながらその適用には不十分な点が多いC.M.E.と,植物の生理的要素に,よって定まっているW・P・とが同一 の次元で諭しられ,それらの備に・よってかんがいの羞準が決定されていること自体問題であるンと考えざ,るをえない○ ここでは将にそれらの水分恒数(主としてC∴M.E,)の測定を行なう上で広く用いられている遠心分離法につい て,主に測定鹿理上からみた場合の問題点な対象として実験的に検討を加えてみた。 Ⅱ 遠心分療法の理由 遠心分離法では土壌試料に遠心力fを加え(厳密にいえば加速度αを加えていること紅なる)平衡状態に・達したと きの水分含有過と,fから界出されるpFとから水分恒数を決定することができるopFを求めるに・ほ,遠心力fの常 用対数をとってpFとする方法と,化学ポテンシャルの常用対数をとってpFとする方法とがあり,一般紅普及してい る遠心分離機では前者の概念に.もとづいた測定を行なうことができる。後者の概念について.ほ,Russellら(1)の論文 に.その端を見出すことができ,岩田(2)桜井ら(3)もそれを支持サ る立場から考察をすすめている。又,中村(4)は測定法自体の問 題点紅ついて諭している。 ここでは特濫化学ポテンシャル概念の適用他について考察を加 えることにする。 桜井ら(3)は図−1に示したように試料の下端紅自由水面を設 定し,熱力学的平衡が成立する条件の下紅解析を行なっているb それ曹こよれば

♂(。F)=♂(。F)+志す・旦欝

(βは水分容積率) となり,マクロな測定値からpFと水分との関係を見出すこと ができるとしている。ここで問題となるのは,彼等も論述してい るように,試料の下端に自由水面を設足していることと,水理学 的連続の存在を前提としでいることであろう。そこで本論文狂お いては試斗下端の境界条件について,ならびに.化学ポテンシャル 測定の意義について真験的に.考察を加えてみた。 m 実 験 の 方 法 遠心法に.よる測定に際してほ,ク−チリレツポを用いた従来の方 法では圧密による構造の変化が著しいことが知られており,近年 凰−・1遠心分敵法略図

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第22巻第1卑(1971) 25 はこの圧密効果を軽減するために円筒型ルソポが使用されはじめてきている。(たとえば西出(5)の論文参滑)ここでほ 容積70CCの円筒型ルツポを使用した。つぎに試料下端(脱水面)の境界条件については,自由水面の仮定紅対する妥 当性をみるため紅6種類のロ紙(東洋口紙,必1,3,4,5B,6,7)を用いた。供試試料としては,広い範囲の 粗径に対する適用性を検討するため紅,豊浦産標準砂,四国電力産プライアッレコ(ジルト賀ロ」−ム),綾歌郡産粘土 を選んだ。又,化学ポテンシャル測定上の見地から,特に.鯵透ポテンシャルの影響をみるために.,硫酸アンモニクム の1%溶液,3%溶液の脱水特性に及ばす効果紅ついて−も併せて一枚討を行なった。測定はpF2.0,2.5,3.0,3.5, 4.0についてそれぞれ1時間ずつ行ない,試料は統計的な取扱が十分可能となると考えられるだけの数(・それぞれ10個 ずつ)を供試した。 Ⅳ 実験の結果ならびに考察 1.測定結果に対する境界条件の影響 既に.論述したよう紅,従来の遠心分離法に対して化学ポテンシャルの概念が成立するために.は,遠心力の場紅おい て土柱法が行なわれたと考.え.うること,すなわち脱水面が自由水面と同一・であるとみなされる境界条件の下にあるこ とが−・つの前提となっている。従って従来の遠心分離法であるならば,脱水面(或料の下端)が圧力ゼロの状態であ れはよいのであるが,一・般の土壌の場合紅は土壌の種類匿よって境界条件が異なることが考えられる。以上の観点か らみると,従来の方法に.率いて試料の下端に二日鹿を_敷いてこいることは,境界条件の設定という点からも意義が見出さ れよう。しかしながら土壌における場合と同様なことはロ紙の場合にもいえ.るわけであっ一で,ロ紙の種類,特に.表面 の形状の如何に.よって脱水特性に.有意差を生じる可能性がある。 ■って脱水特性の比較を行なった○ − 20 30 含水比10 (%) 40 図−2 フライアッシュの脱水特性 これらの結果紅つい■で,95%の有意水準の下に・差の検定を行なったとこ.ろ,プライアッシュならびに粘土払おい て,.彪二3のロ放と彪■1,彪5Bのロ紙との間に・有意差が見出された。その他のロミ紙隙ついては有意差は見出されなか ったが,それぞれの結果は平行移動する傾向があり,境界条件の相違がマクロな測慮値紅まで影響を及ぼしているも のと考えられる。従ってロ紙の如何にかかわらず圧力ゼロの状態で脱水されて.いるという前提特設定できない。又, 砂紅おいてほいずれも有志差が見出されなかったが,これほ水分の絶対値が5%以下と小さく,測定誤差の部分がか なり大きく影響しているからであろう。

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香川大学鹿学部学術報告 26 含水此(%) 5 20 30 40 図−3 砂の脱水特性 図−4 粘土の脱水特性 次に.pFの変化に.対するロ紙相互間の差をみると,・・−・般にpF2.0∼3.0において顕著であ一り,pF値が3.0以上の場合 紅ほその差の減少がみられる。これはpf、3.0以上紅おいては水理学的連続性が失なわれ,境界条件の如何にかかわら ず土壌水分が保持されている状態であるからであろうと考えられる。 2.化学ポテンシャル測定の意義 一般紅化学ポテンシャルに影響を与える諸要因とレては,1.毛管現象 2.溶質との相互作用 3.土壌粒子と水分 子との相互作用 4.静水圧 5.外圧と外力場 6.温度をあげることができる。(2)もし遠心分離法にぃおいて化学ポチ ン1ンヤルの測定が行ないうるものであるならば,これらの要因に.ついて検討を加えなければならない。特匿2に示し た溶質との相互作用,すなわら鯵透ポチツジャルの影響の有無は非常に重要であり,寺沢(6)は化学ポテンシャルの対

:−1i←\、\、

−1ト・純水 4..0 30

、T、・

\\

2.0 ーくト 硫安1%溶液 一1ンー・硫安3%溶液 pF _∴」 40 20 30 図−5 鯵透ポテンシャルの影響

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27 第22巻舘1登(1971) 数値としてのpFは蓼透ポテンシャル紅掌って大せく変動することを示している0 ここでは一腰匿肥料として広く用いられている硫酸アンモニクムの1%溶液,3%溶液を供試し,鯵透ポテンシャ ルが遠心分離法に及ぼす影響の把握を試みた。それらの結果のう卑,特にpFの変化に対しての水分値の変動が大きい プライアッシュに溶液を添加した場合のデータを図−5紅示した0 この結果からわかるように,鯵透ポテンシャルの大小は遠心分離法による測定結果には憺とんど影響を及ぼさない0 いいかえれば従来の遠心分離法によっで疹透ポテンシャルを測定することは困難であり,その意味において化学ポテ ンシャルを測定して小るとはいい難い。従って化学ポテンシャルの測定が可能であるところの測定法と並列的紅取扱 うのは好ましくないと考えられる。又,特に・塩類が多く含まれてこいる土塊のpF一水分特性の表示に際してほ,鯵透ポ チツレ・右ルをも含んだ結果を得ることが望ましいわけであるから,例えば半透膜のロ紙を使用する等のエ夫がなされ るべきではノなかろうか。 Ⅴ 遠心分離法の適用性について 土塊水分恒数の測定紅関して従来から遠心分離法が用いられてきた主な理由は,測定が簡便で短時間に多数の測点 に.ついてのデータが得られること,技術的な巧拙に.よる差がはとんど生じないととなどであろう。しかしながらその 適周性紅ついて−は従来の認識を若干改める必要があるのではなかろうか。それらの問題点を列挙すると以下に・示すと おりである。 1.遠心分離法に.おいて.は境界条件に.よって測定値紅差異が生じる。すなわち,ロ紙の種類匪・よる有意差が見出さ れる場合があり,ロ紙の面に.おいて圧力ゼロの脱水が行なわれているとは考えがたい。従って:試料の下端に・自由 水面を仮定することは困難である。 2.pF3.0以上と以下とで脱水過程を区別しで考える必要がある。すなわちpF3.0まセは水理的紅連続な状態紅あ り,遠心力fの常用対数をとって−pFとする考え方は不適当である。特に・他の測定法に・よって得られた結果と併記 す・る場合に.は十分な検討が必要であろう。 3.遠心分離法においてトは化学ポテンシャルを測定しているわけではない。すなわち鯵透ポテンシャルを含んだ測 定が可能であるとは考えがたく,そ・の目的紅は新な配慮が必要となろう。 以上の考察ほあまり紅も微細にこだわりすぎた事柄であったかもしれない。しかし従来遠心分離法がオ−ルマイタ イな方法として無批判に広く用いられすぎていたきらいがあると考える。この方法は重力の加速度ダの1,000倍,とき に.は10,000倍以上もの加速度の下に.行なわれる「異常な」測定法であることをふまえた上で測定を行ない,例えば中 村(4〉が指摘したような弊害紅も冒が向けられてしかるべきだと考える。 今回は主として従来の遠心、分離法に対する私見を論述したわけであるが,この他にも土壌永分恒数ならびにその測 定法紅ついては数多くの問題点があり,それら紅対する明確な定義づけがなされていないと考えられるものも少なく ほない。第Ⅱ報以下龍.おいて一服次考察を加えてゆきたいと考えている。 参 考 文 献 (1)Russellet al.:SoilSci.Soc.Amer.Proc.3 (4)中村忠春:農業土木学会講演要旨,昭和42年度 (1938) (1967) (2)岩田進午:日本土壌肥料学雑誌32−11(1961) (5)西出勤:土壌物理研究2 (1965) (3)桜井他:農業土木学会講演要旨,昭和45年度 (6)寺沢四郎:日本土壌肥料学雑誌32−5(1961) (1970)

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香川大学農学部学術報告

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STUDIES ON THE SOIL MOISTURE CONSTANTS AND THEIR MEASU珠EMENT

ICentrifuging Method

MatsujiMATSUDA and NQriyoshiYAMADA

SⅦmmary

Thoughthere are many soilmoisture constants forirrigation planning,they have many problems Which aIe tO be strictly defined from the view point of soilphysics.This paper reports especially on the validity of the centrifuging method to measure・the soilmoisture constants.The re$ults provedin this experimentalresearch are;

1.The characteristics of thepF−mOisture curveis affected by the filter used.So,it doesnotalways hold tzue that the existence of free wateI・1evelis assumed at the bottom ofthe sample.

2.Since the hydrauliccontinuationisexistedinthe$amples atthe soilmoisturelevelfrom saturation to pF3.0,thelogarismic expression of centrifugal force(pF)canIlOt be suitable under these mois七山■eく:Ondition.

3.Since the ceDtrifuging method does notalways measure the soilmoisture characteristicsincluding the osmotic potential,the cqnceptionof chemicalpotentialcannot be applied to this method.

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