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中学校における教科協働型授業研究会の試み : アスペルガー障害生徒への学習意欲づけを目指して

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Academic year: 2021

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(1)中学校における教科協働型授業研究会の試み ∼アスペルカー障書生徒への学習意欲づけを目指して∼. 専  攻 特別支援教育専攻. コース 特別支援教育コーディネーター. 学籍番号M11118G 氏 名 竹内康哲 I 問題と目的. ると考え、この仮説を検証する。.  笹森(2012)は教科担当制の中学校では、支援. 皿 方法. の必要な生徒に関する情報の共有化は特に重要. 1.実施期間. であると述べている。前島(2010)は学習指導と.  201X年4月∼8月前半. の関係から中学校での教科担任制の長所を活か. 2.対象. し、生徒が学習しやすくするための組織的な取.  1)対象校. り組みによって教師同士の支援や指導の共通理.  Y町立Z中学校 第2学年教科担任 3名. 解が図られることを提案している。知識や理解.  2)対象生徒. のある教師が、各教師それぞれの実践経験を生.   中学校2年生男子 アスペルカー症候群. かすような発言の場があれば、支援の工夫につ.  3)対象学級. ながり(阪本・納富,2011)、異なる専門性を持.   第2学年B組(男子18名、女子17名). つ教師等が協力し合いながら問題解決を図る作. 3、手続き. 戦会議の必要性を示唆している(石隈,1999)。.  まず、特別な教育的二一ズがあり一斉授業で.  本研究では、筆者の実施する個別指導のなか. の学習が困難で学習意欲の低下した発達障害生. で得られる対象生徒の認知特性をフィードバッ. 徒に対して、筆者は個別指導を継続して実施し. クしつつ、異なる専門性を持っ教科担任が教科. た。個別指導では達成感や成功体験を得られる. 協働型授業研究会で情報の共有を図る。筆者は. ように、特性を考慮した指導を行った。. 特別支援教育コーディネーター的な立場でファ.  次に、対象生徒が在籍する学級の担任や教科. ジリテーションを行う。教科協働型授業研究会. 担任が参加する教科協働型授業研究会(以下、. は従来の教科ごとの授業研究会ではなく、教科. 授業研究会)を継続して実施した。授業研究会. の枠を超え特別支援教育の視点で検討する授業. では「対象生徒の特性にも考慮した授業工夫」. 研究会である。異なる専門性を持つ教科担任が. というテーマで、異なる専門性を持っ教科担任. 協働しながら授業を振り返り、コンサルテーシ. であっても特別支援教育の視点を共有し、ポジ. ョンを通してフィードバックされる中で生まれ. ティブな気づきを促がすことで授業工夫につな. る新たな気づきや今後の授業工夫がどのような. がるよう協議を進めた。また、授業研究会では、. プロセスで生まれるのか検討する。また、筆者. 授業ビデオを使用し、さらに教頭や筆者の指導. は対象生徒の認知特性を考慮した一斉授業の工. 教員が参加することで、各教科担任に適切にフ. 夫によって、発達障害生徒の学習意欲も向上す. ィードバックを行えるような配慮を行った。.

(2) 皿、結果. 2)自己効力感アンケート結果. 1.授業研究会でのコメントの変化.  対象生徒の自己効力感は、5月から7月にか.  当初の授業研究会では、参加者の発話自体が. けて3教科で上昇した。特に、社会と英語では、. 少なかった。その後の授業研究会で授業ビデオ. すべての領域において大きく上昇した(図1)。. 視聴後に、筆者は参加者に授業作りという教科 共通の視点を提示し、ポジティブな気づきが生. まれるように促した。例えばrこのような学習 は社会科の視点でいかがですか」というような 工夫を促すような発話により、プロセスを重視. 5. 倉4・ 己     ・{. 13!.  学級平均. .!、. 農・ 婁、. したことで、参加者の発話数が急増した。. 2.授業の変化. H対象生徒. 謹5月 .フ月. 1 =!.   1,,、.. 裏 0.   行動の積極性. 失敗1こ対する不安 能力の位置づけ.  第2回授業研究会後の授業では、筆者が対象.   葉萬. 生徒の特性を考慮した学習活動を提案し、各教. 図1 対象学級と生徒Aの特異的自己勃力感 英語. 科の 斉授業で取り入れられた。授業で対象生 徒は解答が分からず班の仲間に教えてもらった. lV.考察. り、活動をためらう友だちを励ますなど、友だ.  授業づくりは、学校現場において実際に体験、. ちと関わりながら積極的に授業に参加する様子. 経験しながら学んでいくことの方がはるかに多. が観察された。授業工夫のあった学習活動は、. い。教師がお互いに授業を見合い、気づいたこ. 対象生徒だけでなくクラス全体が積極的に取り. とを話し合い、授業工夫・改善していく授業研. 組む様子が観察された。また、小テストヘの取. 究は指導力を高める絶好の機会となる(独立行政. り組み姿勢にも変化があり、対象生徒だけでな. 法人国立特別支援教育総合研究所,2010)。. く学級全体の小テストの成績も向上した。.  異なる専門性を持っ複数の教科担任が発達障.  第3回授業研究会後の授業では、フラッシュ. 害のある生徒の特性を考慮し、特別支援教育の. カードや他教科で効果のあったゲーム性のある. 視点に基づいて協働しながら授業工夫の検討を. 活動を取り入れる等、さらに授業に工夫が見ら. 重ねることは、発達障害のある生徒の学習意欲. れた。対象生徒は発表場面も増えるなど授業に. を向上させることに有効であることが例えた。. 積極的に参加しており、授業中に飛び上がって.  本研究では、筆者が対象生徒の特性を考慮し. 喜ぶ場面も観察された。授業後半に行われた小. た授業工夫の提案を行い、それを教師が一斉授. テストで、対象生徒は自己最高点をとった。. 業に取り入れ、ビデオという客観的な根拠を見. 3.生徒の変化. て振り返ることで、その効果を実感することが. 1)対象生徒の困り感アンケートの変化. できた。そして「実行」「振り返り」「実感」「工.  5月から7月にかけて困り感が2項目減少し. 夫」のプロセスを繰り返し行い、ファジリデー. た。また5月には学習面の項目で上位に多くの. ターが授業工夫を促し教師が協働し合うことで、. 困り感があったが、7月には学習面の項目が後. さらにその効果を体得していくという好循環が. 退した。特に5月には学習面で、最も困り感の. 生まれたと考えられる。. 高かった「授業で先生の説明がむずかしい」と.        主任指導教員  宇野宏幸. いう項目が7月には大きく後退した。.        指導教員 宇野宏幸.

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