数学的コミュニケーションに対する教師の意識と授業の実際
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(2) . 第42回数学教育論文発表会論文集 「課題別分科会」 【数 学 的コミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン分科会】. 数学的コミュニケーショ ンに対する教師の意識と授業の実際. 久保. 良宏. 北海道教育大学旭川校. 本稿では,数学の学習において,中 学校の教師がコミ ュ ニケ ー ショ ンする力 を ど の程度重視 しているか,また,算数・数学の授業では,数学的コミ ュ ニケ ー ショ ンが どのようになされているの かを, 調 査研究と授業分析から検討するものである。 調 査は,3つの地域の 中学校数学科教師468名 の回答を,6つの観点から分析 した。 ま た,授業分析は,数学的コミ ュ ニケー ショ ンを 5 つの 状態と 3 つの 段階に分け, これを2つの地域の小・中57名 の授業につ いて分析 した。 その結果,コミ ュ ニケ. ーショ ンする力を重視する反応率は年齢などで違いが見られた。授業分析からは, 小学校では 考えの言い換えな どの状態が見られ,コミ ュ ニケ ー ショ ンが活発化さ. れている授業では,教師は支援者的で,教師の意図は柔軟といった傾向が見られた。 また,人間形成 的目標への着 目とコミ ュ ニケ ー ショ ンへの意識には関係があり,こ れらは,数学教育における コミ ュ ニケーショ ン研究の着眼点になると思われる。 ◆ キ 」 ワ ー ド: 数学的コミ ュ ニケ ー ショ ン, 調 査研究, 授業分析, 人間形成. 1. 研究の 背景と目 的 算数・ 数 学教育 で は,表 現 する力,解釈 する. ) である(久保,1998 。 しか しなが ら,実際の授 業 を参観 し て みる と,問答 形 式 の授 業 は見 られ. 力に加え,伝え合う力,考 え合う力がこれまで. る も の の,子 ども 同 士 が考 え を自 ら 交流 し合. 本稿では,これらの力を培 う活動を数学的. 本稿では,その要因 を探る基礎的資料 を得. 以 上に強調 されている(長 崎,滝井2007な ど) 。. うと い っ た場面を見る こと は少 ない。. コ ミ ュ ニ ケ ー ショ ン と 捉 え る。 こ こ で は 子 ど. )数 学科 教 師のコミ ュ ニ ケ ー シ ョ ( 1 る た めに,. も同士の考えの交流といった相互活動が重要. ( )授業で見 られる 2 ンに対する 意識(重要度) ,. で あり,こ う した 活 動 を通 して 考 えが 統合 さ れ たり洗 練 され たり して,子 ども に と っ て 新. ( )数 学的 3 数 学的 コミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの 実際,. しい数学がつくり あげられてい くことが重要. 係,の 3 点 について明 らかにする。. コミ ュ ニケ ー ショ ンと人間 形成的目標と の関. − 76 −.
(3) . (3) 人間形成的目標との関係. 2. 研究の方法. 数学的コミ ュ ニケ ーショ ンと人間形成的 目. (1) コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 対 す る 意 識. コミ ュ ニ ケ ー ショ ンについての意識 につい. )で分 析 した授 標 と の 関係 につ い て は,ま ず( 2. ては,中学校数学科教師を対象とする調査(科 ) )の結果(久保, C ] )を再分析する。 研[基盤( 2009. 業における学習指導案の 「本時の目標」 の中. この 調 査 は, 北 海道,東 京,鹿 児 島の公 立 中. に,本 稿 で捉 え る 数 学的 コミ ュ ニケ ー シ ョ ン に関係する記述 があるか に着目する。 たと え. 学校(約 1600校)から470校を抽 出 し,平成 19. ば, 「本 時 の 目 標」 と し て 「∼ を 通 し て コ ミ ュ. 年 11月 から12月 にかけて郵送法によ っ て行 われ た。 調 査用 紙 の構 造 は,「1,勤務 する 学 校」 「ロ.回答者」 「m.数 学教育に対する 考 え 方や 数 学 の授 業」 「 IV.学校 教育 全般」 「V.自. ニケ ー ショ ンする力 を身 に つ ける」 とい っ た 記 述がある かということである。 この ような. 由記述」 の 計 60 .の質問か らな る。 調 査用紙. は 201 校から回収され(回収率約 43%) ,合計 468 名分 (北海道 233 名,東京 131 名,鹿 早島 104名)の回答が分析の対象とな っ た。 本稿 では, 上記皿 に含 まれる 「コミ ュ ニケ ー ショ ンする力 の重要度」 を,1の 「学校 の所 在地の状況」,nの 「年齢」「性別」「出 身学科」 から分析する。 m での質問は,次の通り ・である。 【A】m 〔2〕 あなたは次のような力 に つ いて,. 数学教育ではどの程度重要だと考えますか。 ③コミ ュ ニ ケ ー ショ ンする力 〔1 .と て も 重 要 2.ど ち ら か と い う と 重 要 3 .あ な まり重要で は い 4 ‐ま っ たく 重 要 で は な い〕. (2) 数学的コミ ュ ニケー シ ョ ンの 実際. .目標を重視 した指導の 現 記述は,人間形成的 れであると捉 えた。 そ してさらに,調査研 究に 立 ち 返 り, (1 )で 示 した 調 査 の 皿 に 含 ま れ る 「1時間の数学の授業の 目標」 にお ける 次の. 質問に対する結果と,前述の 【AI 皿 〔2 〕③ の結果の間に関係があるかについて検討する。 【B】 m 〔 5 〕 あなたは,「1 時間 の数学の目 標」 を考 える場合,次のこ とに つ いて どの ・よ うに考 えま すか。. ③授業目標を設定する際は,数学の目標に と どま る こと なく,人 間 形 成 に 関 連 す る 目 標にも着目す べき である。 〔1 .だ 3 .本 当 に そ う だ 2 ,だ い た い そ う .あ ま り そう で はない 4 .ま っ たく そ う で は な い〕. なお,事例的研究では,学習者の変容や民俗 学的研 究が 重要 で あ ると 考 え るが,本稿 で は,. 授業で見 られる数 学的コ ミ ュ ニケ ー ショ ン. 算 数・ 数 学の 授 業 と教 師 に 着 目 す る。 ま た,. の 実 際 に つ い て は, 2003 年 か ら 2008 年 ま で. コミュニケーショ ンでは伝達の方法は多様で. に筆者が参観 した授業の中から,ビデオカメ ラ等で授業が記録されており,複数の参観者. あるが,本稿 では主 に,他 者と の かかわり が見 えやす い 「話す・聞く」 こと に重点 を置く。. の中で行われた授業を分析の対象とした。 ( その数 は42 75時間分 , ,校 小18校,中24校). 時間分を含む)で,地 域は北海道および東京近郊である。 設置者別. (同 一 の教師 8 名 の. 2∼ 5. 3. 研 究の結果 (1) コ ミ ュ ニケー シ ョ ン に対 する意識. ① 地域別と全体の結果. では,国 立3校,公 立 37校,私 立 2校(中学のみ) である。 教師の数 は 57名(小 21名,中 36名). 地域別 と全体の 結果は,表 1 の通 りである。 な お,表 中には選択肢1 ,2の合計である 肯定. で,この中には小規模校の 教師7名(小 4名,中 3名) ,名(小 3名,中 3名) ,さらに,教育実習 生6. 的 反 応 率, 3 ,4 の合計である否定的反応率も. が 含ま れて い る。 教育 実習 生 を含 め たの は,. また,本稿で示す調査結果 では,無回答等 は. これらの授業では実習生を指導する教師の姿 勢が極めて強く 現われていたから である。・. 示 し た。表 2∼5 ,お よ び 表 8 ,9 も 同 様 で あ る。. 最大でも約 1%であり,表 中に無回答等 の 欄は 省 略 して示 した。. − 77 −.
(4) . 表1 地域別 (全体) の反応率 (%) 1. 2. 北海道. 18 .5. 233名. 肯定的. 49. 8 68.3. 13,0. ・ 51 9 1 ,. 東. 京. 131名. 鹿 早島. 4. 29 2 .. 0,9. 22,1. 34.4. 468名. 男 女別 の結果 は,表 3の通りであ る。. 表3 男女別の反応率( % ). 1 0.O. 34 .4. 1 42.3. 34.6. 64 .4 17,7. ③ 性別の結果. 否 定的 30 O .. 64 .8. 104名. 合計. 3. (たと え ば,金本,1998: 古藤 1998 )な どにも 関 , 係 してい ると 思われ る。. 男性. 1 0.O. 31.8. 66.5. 2. 3. 17,1. 46, 6. 34 .1. 369名. 34 6 .. 1 48.8. 1. 女性. 1 0.4. 63.7 20.6. 9ヲ名. 32.2. コミ ュ ニケ ー ショ ンの重要度に ついては約 / 1 3 の教師は否定的 である。 地域別 では肯定 的,否 定的 反 応率 で大き な差 は見 られないが , 「1 と ても重要 島が約 の反応 率は鹿児 % 2 2 」 . で最も高く,東京が 13%で最も低い。その要因. 4 0.5. 34 .6. 1 55,7. 23.7. 76.3. 1. 0.0. 23.7. 「1」 の反 応 率 は女性 が 約 21% 男 性 が 約 , 17%で 大き な 差 は な い が,肯 定的 反 応 率 を比 べ る と 女 性 が 約 76% 男 性 が 約 64% で こ こ に , , ,. は 5%有意水準で有意差がある。 数学教育に. 対する男女の差については,これまでの研究. に つ い て は 多面的 に検 討 する 必 要 が あ る が ,. では顕著な違い はないことが 報告され ている. 教員研修を含む教師教育などにも着目してさ. (長 崎,1998 )が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 含 め 筆 , ,. らに検討す ることが必要であると考え る。. 者の調査 のいく つ かでは違 いが見られた 。. ② 年齢別の結果. ④ 学校の所在地の状況別の結果 学校の所在地の状況を,農村漁村 住宅地 工 , , 業地域,商業地域に分けた。 本稿ではその大部 分を占めた農村漁村,住宅地の 2 つ に着 目 し. 年 齢 別 は,20 ,30 ,40,50 歳 代 の 4 つ に 分 け f た。 そ の 結 果 は 表 2 の 通 り で あ る。 ,. 表2 年齢別 の反応率 (%) 3. 4. て分析する。 その 結果 は,表 4の通り で ある 。. 25 7 .. 0,9. 表4 学校の所在地の状況別の反応率( % ). 109名. 25 7 47.7 , 73 .4. 30歳代. 21,7. 3LI I 0, O 31 .1. 1. 20歳代. 161名 40歳代 128名 50歳代 66名. 2. 1 46.O. 67.7 9.4. 51.6. 61 .O 9.1. 1 51.5. 60. 6. 26. 6. 36,7. 112名. 住宅地. 1 0.8. 37.5 36.4. 農魚村. 333名. .. 1. 2. 3. 18 .8. 48 2 .. 32 ,1. 67. O 16.8. ! 49,5. 66,3. 4 0.O. 32.1 31.5. 1. 0.6. 32,1. 農 村 漁 村 と 住 宅 地 で は,大き な 違 い は見 ら. 1 0.O. 36.4. 「1 20 歳 代が約 26%で最も高 」 の反応率は, く,30歳代が約22%,40歳代と 卸 歳代は約9% で,年 齢が 上 が る に した がつ て 反 応 率は低く な る。 ここには5%有意水準で有意差が ある。. 肯定的反応率も, 20歳代が約 73%であるのに 対 して 50歳代は約 61% である。 年齢による 違 い は,我 が 国の 教 育現 場 で数 学的 コミ ュ ー ケ ー シ ョ ンが 強調 さ れ る よ う に な っ た 時期. れない。 学校 を取り巻く 環境 は 子 ども の授業 , への 取 り 組 み に 何 らか の 関係 を持 ち こ れ に , より 教師 のコミ ュ ニケー ショ ンへの意識 にも 違 い が 見 られ る の では な い かと予 想 した が , この予想とは 異なる結果と なっ た。. ⑤ 出身学科別の結果 出身学科を,理学系数学出身,教員養成系数 学教育出身,工学系出身などの 9 つ に分 けた。 本稿では,その大部分を占めた理学系数学と. − 78 −.
(5) . 教員養成系数学教育に着目して分析する。 そ の結果は,表 5の通り である。. 表5 出身学科別の反応率( % ) ◆. 理学系 115名. 教養成 267名. 準1 1:「問題解 決 を目 指 して話 し合 う」 ,水 準 m:「よ り 洗 練 さ れ た 考 え を 目 指 して 話 し合. 1. 2. 18.3. 44 .3. 0,O 35 .7 35 ,7. う」)を設 けて検討 している。 ま た,最 近の 実 践的研 究 で は,数 学的コミ ュ ニケ ー ショ ン能力 を,「他者の考えを自分の 中 に 取り 込 み,さ ら に洗 練 さ れ た 表 現 で自 分 の. 48.7. 31.1. 考えを発信することができる」 とする研究. 62.6 18,4. 67. O. 3. 4. 1. 0,7. 31.8. 肯定的反応率は教員養成数学教育が 67%, 理学系数学が約 63%で あ り,4 ポイ ン ト の 差 が あるが,ここでは有意 な差は認 め られない。. 過去の調 査 では,数学教育専攻の教師は数学 専攻 に比 べ て,子 ども の 活動 や 話 し合い によ. る授業を重視する傾向があるとの違いが見ら れた(久 保,長 崎,富竹,1998) が,今回の調 査で はそのような顕著な違い は見られな かっ た。 (2) 数学的コミ ュ ニケー シ ョ ンの実際. )な どが ある。 (原, 2007 本稿 で は, こ う した 先 行 研 究 を参 考 に,こ れ を授 業 の場 に 当 て はめ て,数 学的 コ ミ ュ ー ケー ショ ンの 状態,段 階を表 6 のよ うにま と ) めた(久保, 2008 。 表6数学的コミ ュ ニケー シ ョ ンの状態と段階. 状態 0:授業のほとんどで外的に作用する活 動 は見 られない 状態 P: 応答の活動が見られる. 状態 Q:他者の表現を言い換え たり,他の考えを発表す る活動が見られる。. 数学的コミ ュ ニケ ー ショ ンの実際について は,コミ ュ ニ ケー シ ョ ン を授 業タイ プと の 関 )を,数 2007 係 か ら考 察 した 筆者 の研 究(久 保, 学的コミ ュ ニケ ー シ ョ ンに着目 し,また,分析 数を増や して再検討 した。. ①.授業分析の観点. 状態 R:考えの焦点化や吟味,統 学習者自ら 合 可能か を考える活動 【段階31 が 見 ら れ る。 学習者自ら 状態 S: 洗練o深化・発展にか. 授業分析では,授業 三型論(湊, 2002 な ど)や 教師の位置(古藤,1995 な ど)とい っ た先行研. 究からの示唆を受け,i)授業目標の達成度(重. 【段階11 教師の指示 【段階21. が.目 的 に. かわる活動が見られる. 向か っ て 「 状態 P の 応答」 とは,教師の問いかけに 子 どもが 答 え る 場 面 で あり,そ の 答 え は子 ども. 教科書, 子ども) , m)教師の役割(教授的, 支. の 考えによるものか教科 書な どの記述によ る ものかは 区別 していない。 状態 R の 「吟 味」. 援者的,調 整者的) v)授 業展開にお ける教師 ,i の意図(強い, 柔軟, 弱い)の 4 つ を分析の観. それが問題の解決に有効であるかを述べ合う. 視, 柔 軟, 軽 視) ,a)正 しいことの判 断(教 師,. と は, 考 えに対 しこ れ を 批 判 的 に捉 えた り,. 点と した。 これは,数 学的コミ ュ ニケ ー ショ ン. ことな どであり,「統合 可能 かを考える」 と は,. を捉える観点と しても 有効 であると考 えた。 ②数 学的コミ ュ ニケ ー ショ ンの状態と段 階 、. 多様な考えや問題の解決に有効である考えを ま とめ て共 有の 事 項と したり,ま と め られ な. 算 数 ・数 学 におい て 育 成 する力 の研 究(長 崎, 2007)では,「算数・数 学 で 考え合う力」 を. い 場合 は,そ れ を別 の 考 えと して位 置 づ け る .ことな どを指 している ま た 状態 S と は 考 。 , ,. 「算数・数学で説明する力」「算数・数学で解. えを洗練させることによ っ て無駄のない表現. 釈する力」「算数o数学で話 し合う力」 と捉え, さらにこれらの力 に 3 つの 水準(「話 し合う 力」 では,水準1:「話 し合いの輪に入る」 ,水. にま と め,こ れ を 学習 者 の共 有 した 新 しい 数 学と捉 えて,別 の 問題 の 解 決 に活用 す る こ と な どを指す。 ま た,状態 Q,R,S については, 教. 師の働きかけの有無と考えの方向性に着目し. − 79 −.
(6) . た 3つの段階を設 けた。. 考えの言い換 え(Q )や多様な考えをまと める. ③ 授業分析の視点とその結果 57 名の小々中学校の授業分析は 授業を参 ,. (R)とい っ た発言 は出されるが,そ こ には教師 の指示的発問(段階 1 ) が 見 られる。 ま た,こ. 観 した複 数 の参 観 者 によ っ て な さ れ た が,こ こ では,授 業分析 の観 点を基盤 に置 き, 「語り 始めの 言葉」 (田中, )な どを参 考に した。 2001 ま た,コミ ュ ニケ ー シ ョ ンの段 階につ いて は,. の 教 師の 指示 的発 問 で は,コミ ュ ニ ケ ー ショ いる場合もあるd一方,中学校 では段 階2(Q2 ) に 11% が 分 類 された が,こ の 中 に は,子 ども. 授業記録の教師の発問( ) S ) T ,子 どもの発言(. の 発言が問題の解決に向かわず,子どもの考. に おいて,S が連続 する場面,T が S に影響を. え が 収 束 しな い こ と も あ っ た。 こ れ に 対 し. 与 え て い な い場 面,教 師も子 ども と 同 じ次 元. て,S3に該 当 した教師(小む中ともに 1名)の授 業 では,小 学校 で は算 数 を生 み 出す こ と に 中 ,. でコミ ュ ニ ケー シ ョ ンに加 わ っ て い る場面,. ンのル ー ル づ く りのた めに意図的 になされ て. ま た,数学的コ ミ ュ ニ ケー ショ ンの収束的・発. 学校では数学を使うことに授業の目標が置か. 散的場面(久保,1998 )な どに着目 した。 なお,複 数の授 業 を参観 した 8 名の教師に. れ て い た。 ま た, S3 に Q2 を加 えた 7名 の授. 業を,授業分析の観点に照らして再分析 して. つ いて は,予想 に反 して 学年,単元 や内容,授. みる と,こ れ らの授業 で は,授 業目標 を重視 し. 業目標などによって授業の あり方に大きな違. ながらも教師の役割は支援者的 であり,授業 展開における教師の意図 は柔軟であると捉え. いが見られなか っ た。このこと から,本稿 では 1 時間 ごと ではなく,57 名の教師個々に着目 す る こ と に した。 .. 数学的 コミ ュ ニケ ー ショ ンの状態と段 階に 照 ら して分析 した結果 は,表 7 の通 り である。. 表7 授業分析の結果 小( 21名) 0 (作用なし). ‘. ることが できた。 さ らに,これに Q1 ,alの15 え を加 と 名 る ,正 しいこ と の判 断の 中に は,常 どもの存在が に子 あっ た。 (3) 人間形成的目標と の関係 ( )で分析 した授 業 で は,約 半数 の授 業 にお 2. 中( 36名). い て 学習 指 導案が 示 さ れて いた。 「本 時の 目. 2( 6%). 標」 に着 目 して再検討 したと ころ 6 つにおい , て 「∼ し合 う」 とい っ た本稿 で捉 える数 学的. P (応答). 7( 33%) . 26( 72%). (言替等:教師) Q1 (言替等:学習者) Q2 (言替等:目的)・ Q3. 9( 43%). 2( 6%). コミ ュ ニケ ー ショ ンに関係 する記述が 見 られ. 1( 5%). ( 4 1 1%). た。 さ ら に,こ の 中 の 3 つでは 「∼ を通 して ,. (焦点化等:教師) R1 (焦点化等:学習者) R2. 3( 14%). 1( 3%). ケー ショ ンそのもの を最 終的な授 業目標 と し − て設 定 しているも のが あり,この 3 名 は, ( )の 2 表 7 で は Q2 ,R1 ,S3 に該当 していた。 筆者 は. (焦点化等:目的) R3. こ れ を,人間 形 成 的 目標 を重視 し て い る 教 師. (洗練等:教師) S1 (洗練等:学習者) S2 . S3(洗練等:目的). 考 え合う力 を身に つ ける」 とい っ たコミ ュ ー. 5%) 1(. 1( 3%). 43%) 小学校では QI が 9名( ,ま た,中 学校 ではP が 26名( 72%)で最も多 い。 次いで小 学 校ではP ,中学校では Q2と続く。 中学校では,. 教師と子どもの応答 ( P) を中心に授業が進 められる傾 向 にある。 これ に 対 し小 学校 は,. の授業であると捉えた。 ( )の調査に立ち返り 本稿 2の( そこで, 1 )で 3 ,. 示した 【B】「人間形成に関連する目標にも着 目す べ き」 に対 して 「1 一本当 にそ う だ」 と回 答 し た 教 師 の,【A1「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン す る. 力」 に対する反応率について調べた。 まず,【B】の質問に対する結果(人数と反応 率)は,表 8 の通 りである。. − 80 −.
(7) . 参考文献. 表8人間形成に関する目標についての結果 1 .本当 に. そうだ 39( 8,3%). 2.だ い た い. 3.あ ま り そ. 4.ま っ たく. そうだ. うではない. そうではない. ) 221( ) ・ ) 177(37 8 47 2 27( 5 8 . . .. ) 216(46. 2%) 248(52, 9 次 に,表 8 で 「1 」 の 39 名 が, 【A1 「コ ミ ュ. ニケ ー ショ ンする力」 で は どのように回答 し ている かの結果(人数と反応 率)を調 べ た。. 【A】 の回答 39. 松)大会要項.p 47 , および,大会発表資料. . )『数 学的コミ ュ ニケー ショ ン能力 の 金本 良通( 1998 育成』 明治図書.など ) 「コミ ュ ニケ ー ショ ンを重視 した算数 1995 古藤怜( 教 育」 新 しい 算 数 研 究N 0297 .東 洋 館 出 版 社. )『コミ ュ ニケ ー ショ ンで創 る新しい算 1998 古藤怜(. 2.どちらか. 3.あまり. 4.し て. というと…. .・し、なし、. いない. ) 17(43,6) 17( 43 6 . 34( 87 2%) ‐. 成」第. 62回関東都県算数・数学研究大会静岡(浜. pp.62‐65.. その結果 は,表 9の 通り である。 B 表9【 1 rl」 の 39名に 対する にAI の回答 1 .重 視 し て いる. ) 「数 学的コミ ュ ニケ ー ショ ン能力の育 原欣嗣( 2007. 数学習』 東洋館出版社. ) 「中学校の指導における数学的コミ 久保良宏( 1998 ュ ニケ ー ショ ン活動 に関する実践的研究」 日本. ) ) 0( 5( 12 8 0 0 . . ) 5(12. 8 .. 名 の 【A1 「1 」 の反応 率は約 44%で,肯. ‐ 数学教育学会誌第80巻第 9号,pp 2 9 . . ) 「算数・数学科教 久保 良宏,長 崎栄三,富竹徹( 1998 師の出身学科による算数6数学教 育に対する態. 定的反応率は約 87%であり,人間形成的目標. 度 の 差」 日 本 科 学 教 育 学 会 年 会 論 文 集,. に着 目 して い る 教 師は,コミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン する力 を重視 する傾 向にある。 ここでのコミ ュ ニ ケー シ ョ ンす る力 は,本 稿 で 捉 える力 と 共通 す る も の で はない が,コミ ュ ニ ケー シ ョ. ンに対する教師の意識を変えるには,人間形 成に着目 していく 必要が あると考えられる。 4. まとめ 本稿 で は,数 学的 コミ ュ ニケ ー ショ ンにつ. いての教師の意識と授業の実際を,調 査研究 と授 業分析 か ら検 討 した。 そ の結果,コミ ュ. ニケ ー ショ ンする力に対する重要度は年齢 な どで違いが 見 られた。 ま た,実際の授 業で J は,ノ ・学校 と 中 学 校 で 違 い が 見 られ,数 学 的・. pp.329‐330.. ) 「算数・数 学の授業タイ プと 数学的 久保 良宏( 2007 コミ ュ ニケー ショ ン活動 との関係」第40回数学 教 育 論 文 発 表 会 論 文 集. pp.565‐570.、. ) 「中学校数学科における数学的コミ 久保良宏( 2008 ュ ニケ ー ショ ン能力の育成と授業改善」 日本数 学 教 育 学 会 誌 第 90 巻 第 9 号.pp‘ 65‐71 .. )『算 数・数学科教師の 「数学教育 に 久保良宏( 2009 対する態度」 に関する教育社会学的視座からの 研究』 科研基盤研究 (C ) 研究報告書. ) 「授業三型論に基づく 教師の数学的資 湊三郎( 2002 質」 上越数学教育学研究 第17号.pp. − 1 17 , )『算数・数学教育に対す る教師・保 長 崎栄三( 1998. コミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンが 活 発 化 さ れて い る 授. 護者の態度』 科研基盤研究B 研究報告書.. 業では,教師は支援者的で授業展開における. )『算数・数学において育成する諸能 長 崎栄三( 2007 力とその系列に関する研究』 科研特定領域研究. 教師の 意図 は 柔軟 で あり,ここ には正 しい こ、. との判 断が子 どもにも向 けられていた。 さら に,人間 形成に 着目 している 教師 はコミ ュ ー ケ ー シ ョ ンす る 力 を 重 視 す る 傾 向 に ある こ と もわ か っ た。 これ らの 結果 は,教師教 育を. 研 究 報 告 書. p.37 .. ・ ) 2007 『算数の力を育てる③ 長崎栄三,滝井章( の力』,東洋館出版社.. 算数. )『算数的表現力 を育 てる授業』 東洋 2001 田中博史(. 含め,数 学教 育 にお ける 実践面 でのコミ ュ ー ケ ー シ ョン研究の着眼点になると考える。. − 81 −. 館出版社..
(8) . 日本数学教育学会. 第4 2回数学教育論文発表会. 「課題別分科会」 発表集録 及び. 要. 項.
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