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2次元プラズモンの光学励起によるテラヘルツ電磁波放射に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

2次元プラズモンの光学励起によるテラヘルツ電磁

波放射に関する研究

著者

金子 真也

学位授与機関

Tohoku University

(2)

修士学位論文

論文題目

2 次元プラズモンの光学励起による

テラヘルツ電磁波放射に関する研究

東北大学大学院工学研究科

電気・通信工学専攻

尾辻・末光研究室 博士前期課程2年

A6TM2017

金子真也

平成

20 年 2 月 20 日

(3)

第一章 序論...4 1.1 研究の背景...4 1.2 研究の目的...5 1.3 本論文の構成 ...6 第二章 電界効果トランジスタにおけるプラズモン共鳴...7 2.1 プラズモン共鳴...7 2.2 プラズモン共鳴効果の物理...8 2.2.1 FETチャネル中の 2 次元電子プラズマ...8 2.2.2 ソース端短絡/ドレイン端開放におけるプラズマ不安定性 ...9 2.2.3 照射テラヘルツ波の吸収条件 ... 12 2.2.4 テラヘルツ波吸収による励起プラズモン共鳴強度 ... 13 2.3 2 次元プラズモンのバンド間光学励起 ... 16 第三章 プラズモン共鳴型エミッター... 18 3.1 プラズモン共鳴型エミッターの構造と動作... 18 3.2 特性周波数... 23 第四章 電気光学サンプリングによるテラヘルツ電磁波計測... 26 4.1 ポンプ・プローブ法による時間分解計測 ... 26 4.2 電気光学サンプリング (EOS) ... 27 4.2.1 測定原理... 27 4.2.2 反射型EOS (REOS) ... 28 4.2.3 測定感度... 29 第五章 実験... 33 5.1 実験系の構築 ... 33 5.1.1 直流電流電圧特性 ... 33 5.1.2 光応答特性測定系 ... 33 5.1.3 REOS測定系 ... 34 5.2 試料の準備... 35 5.2.1 プラズモン共鳴型シングルヘテロエミッター ... 35 5.2.2 プラズモン共鳴型ダブルヘテロエミッター ... 36 5.3 結果と考察... 37 5.3.1 直流電流電圧特性... 37 5.3.2 光応答特性... 38 5.3.3 REOS計測... 40 第六章 結論... 50 謝辞... 51

(4)

参考文献... 52 付録A: 試作デバイスリスト... 55

(5)

第一章 序論

1.1 研究の背景 我々の周りには携帯電話や電子レンジ、インターネット、テレビ等の電磁波を利用した 製品・サービスが広く普及しており、それらは我々の日常生活に不可欠なものとなってい る。電磁波は一般に 3THz を境に低周波側を電波、高周波側を光波と分類されている。図 1.1 に見られるように様々な周波数帯で応用製品が実用化されている中、数百 GHz~数十 THz における周波数帯、いわゆるテラヘルツ帯領域では応用開発が立ち遅れているため、 この領域はTHz ギャップと呼ばれている。図 1.2、1.3[1]に見られるように量子カスケード レーザー[2]や共鳴トンネルダイオード[3]等のCW光源、パラメトリック発振[4]や光伝導スイ ッチ[5]等のパルス光源等いくつかのテラヘルツ光源が実用化されているものの、取り扱いが 容易で安価な光源がないことがこのTHz ギャップの主たる要因であると考えられる。 図1.1:周波数分類表 テラヘルツ帯電磁波はX線に代わる被曝危険性のない医療用生態計測システム[6]、テラヘ ルツ帯に指紋スペクトルを有する禁止薬物の探知・検出システム[7]、超高速・広帯域情報通 信などへの応用が挙げられ、広い応用分野[6-9]を持つことから、多くの期待がよせられてい る。特に通信分野への応用を進めていく上では小型集積化が可能でかつ周波数可変な光源 が望ましい。 小型光源の周波数拡大の研究開発は、半導体電子デバイスによる周波数向上と、半導体 フォトニックデバイスによる周波数低減によって進められてきた。電波側の立場において は、電子デバイスの微細化、すなわち電流の担い手であるキャリアの走行距離(すなわちゲ ート長)の短縮化とキャリア速度の向上によって高速化・高周波化を進めて来た。しかしな がら量子力学的限界により更なる性能向上は困難となっている。またキャリア速度を決め

(6)

る要因となる材料系の新たな開発も容易ではないことから、テラヘルツ帯での出力強度の 向上が困難であると考えられている。一方、光波側の立場においても、周波数を赤外線よ りも低周波化しようとするとテラヘルツ波のフォトンエネルギーが室温に相当するフォノ ンエネルギーよりも低くなってしまい、コヒーレントなレーザー発振が困難になるため、 テラヘルツ波の発生・検出が困難とされている。 キャリア走行型の半導体デバイスの高速化・高周波化の限界を打破し、テラヘルツ波光 源を実現するための新しい手法として、Dyakonov と Shur は電界効果型トランジスタ (FET)の 2 次元電子チャネル中におけるプラズモン共鳴現象を用いたテラヘルツ放射・検出 を提案した。[10-12]このプラズモン共鳴現象は、FET のゲート長、電子濃度を変調すること により共鳴周波数を変調することができ、現状の半導体加工技術を活用することで、共鳴 周波数は容易に数THz を超えることができる。そのため、周波数可変なテラヘルツ帯電磁 波光源としての動作が可能である。しかしながらこのプラズモン共鳴自体は非放射モード であるため、電磁波として放射するためには何らかのモード変換機構が必要になる。そこ で本研究室では非放射モードを放射モードに変換する機構を持つ素子として、二重回折格 子型ゲートを有するプラズモン共鳴型エミッターを提案・試作した。このプラズモン共鳴 型は周波数可変かつ小型集積化が可能であるので将来の超高速・超広帯域通信をはじめと する様々な分野への応用が期待される。 図1.2:テラヘルツ帯 CW 光源[1] 1.3:テラヘルツ帯パルス光源[1] 1.2 研究の目的 様々な応用が期待されているテラヘルツ帯電磁波の新たなる光源として、本論文では電 界効果型トランジスタ中における 2 次元電子プラズモン共鳴現象によるテラヘルツ波帯電 磁波放射について注目し、検討する。本研究室では放射効率の向上を考え、高電子移動度 トランジスタ(HEMT : High Electron Mobility Transistor)をベースとする新たなデバイス として、上述のプラズモン共鳴型エミッターを提案し、設計・試作した。プラズモン共鳴

(7)

型エミッターにおいては、ゲートバイアスを制御することにより放射するテラヘルツ帯電 磁波の周波数を変化させることができ、かつ集積可能なため、様々なテラヘルツ帯電磁波 応用への光源デバイスとして大きな可能性を秘めている。試作デバイスの電磁波放射特性 評価を通して、提案するプラズモン共鳴型エミッターの動作特性ならびに素子構造の有効 性を検証することが課題となっている。そこで本論文では、電気光学結晶を用いた超高速 時 間 分 解 能 を 持 つ 反 射 型 電 気 光 学 サ ン プ リ ン グ(Reflective Electro Optic Sampling, REOS)を用いて本研究室で試作したプラズモン共鳴型エミッターによるテラヘルツ帯電磁 波の時間領域での測定を行い、フーリエ変換によるスペクトル解析を通じて放射特性の評 価・検討を行う。 1.3 本論文の構成 第一章では、本研究の背景と意義、目的について先行研究等を紹介しながら述べる。 第二章では、一般的なFET におけるプラズモン共鳴の発生原理、そして共鳴特性について 述べる。 第三章では、本研究の測定対象であるプラズモン共鳴型エミッターについて構造・動作原 理、特性周波数等について述べる。 第四章では、本研究に用いる時間領域測定法である電気光学サンプリングについて述べる。 第五章では、実験結果とその考察について述べる。 第六章では、本研究の結論を述べる。

(8)

第二章 電界効果トランジスタにおけるプラズモン共鳴

2.1 プラズモン共鳴 図2.1 は一般的な FET の断面構造を示したものである。U0は実行ゲートバイアス、L は チャネル長、Vds は直流ドレイン・ソース間電位差である。電子走行層(チャネル内)に電子 が高濃度に閉じ込められた状態では、電子群は流体としての振る舞いが顕著になる。この ような場合、電子群をプラズマ流体として考えることができる。理想的には電荷はシート 状に分布することから、とくに2 次元電子プラズマと呼ばれている。2 次元電子プラズマに 何らかの要因で電荷の偏りが生じた場合、プラズマに振動、すなわち波が発生し、位相を 持って伝わるようになる。これを電子プラズマ波といい、ちょうど水の流れの上に立つ波 が伝播するように、電子流体のドリフト流上をプラズマ波が伝播する。 図2.1:FET 上でのプラズモン共鳴動作 仮に図2.1 に示すようにソース端に U0cosωt のテラヘルツ波入力を与えた場合、テラヘル ツ波は電磁波であるので、ソース端でわずかに電子プラズマの中性条件が崩れることにな る。すると、照射光の周波数 ω に依存したプラズマ波が励起される。このプラズマ波がソ ース・ドレイン間で定義される共振器に定在波として存在する状態、すなわち、波数の離 散化に伴いエネルギーが離散化(量子化)された状態をプラズモンと呼ぶ。例として、3 次共 鳴に相当する奇数定在波が生じた場合の模式図を図2.2 に示す。FET がソース端接地/ド レイン端開放の条件にある場合、基本共鳴、3 次共鳴、5 次共鳴といった奇数次のプラズモ ン共鳴状態において、直流ドレイン・ソース間電位差VdsΔU だけ変調される。

(9)

図2.2:プラズモン共鳴状態(3 次共鳴に相当) 端的に言えば、ソース端に ω が共鳴周波数となるような U0cosωt のテラヘルツ波を照射 することでプラズモン共鳴が励起され、直流ドレイン・ソース間電位差Vdsに直流変調成分 ΔU が出現する。つまり、これを用いてテラヘルツ波の検出を行うことができる。また、テ ラヘルツ帯で生じるプラズモン共鳴振動を信号源として利用することで、テラヘルツ波の 放出を行うこともできる。以降、チャネル内でプラズモン共鳴を励起させた場合のトラン ジスタ動作を、通常のキャリア走行型動作を区別する意味でプラズモン共鳴動作を呼ぶこ とにする。 2.2 プラズモン共鳴効果の物理[10-12] 2.2.1 FETチャネル中の 2 次元電子プラズマ ゲート・チャネル間距離がチャネル長L に比べて十分に短い場合、チャネル長方向(ソー ス・ドレイン方向:x 方向)のポテンシャル分布はチャネル厚方向(ゲート・チャネル方向:z 方向)に比べて十分に緩やかである。そのような条件下ではチャネルのゲート接合面におけ る2 次元電子濃度 nsは(2.1)式で与えられる

ed

x

U

e

x

CU

n

s

=

(

)

=

ε

(

)

(2.1) ここで、e は素電荷、C はゲート・チャネル間容量、U(x)は実効ゲート・チャネル間電位差、 d はゲート・チャネル間距離、ε は誘電率である。FET チャネル中の 2 次元電子濃度 nsが 1011~1012 cm-2程度になると、平均電子間距離(約 10 nm)は電子の平均自由行程を大幅に下 回る。これは、電子同士が常に衝突し合っているような状態である。すると、電子群はプ ラズマ流体としての性質を示し始め、流体力学方程式による挙動の記述が可能になる。通 常、チャネル厚はチャネル長・チャネル幅に対し無視できるほど小さな値をとる。従って、 電子プラズマはチャネル長・チャネル幅方向のみの次元を有する 2 次元電子プラズマとし て考えることができる。

(10)

2 次元電子流体についてチャネル長方向(x 方向)の 1 次元運動方程式を立てると、以下の ようになる。

+

=

=

x

v

v

t

v

m

dt

dv

m

v

m

x

x

U

e

e e e

τ

)

(

(Euler の方程式) (2.2)

0

)

)

(

(

)

(

=

+

x

v

x

U

t

x

U

(連続の方程式) (2.3) ここで、meは電子有効質量、v は電子速度、τ は運動量緩和時間である。(2.2)式の mev/τ の 項は、摩擦(フォノン散乱、不純物散乱、電子間散乱等)による抵抗力を表す。 2.2.2 ソース端短絡/ドレイン端開放におけるプラズマ不安定性 ソース端短絡/ドレイン端開放条件においてプラズマ波が共振器境界にて反射する場合、 不安定性が生じて波動振幅が増大することがある。本項では、その条件について議論する。 FET がソース短絡/ドレイン開放条件に設定され、一定のドレインバイアス電流(一定の 電子ドリフト速度v0)、並びにゲートバイアス電圧 U0のみが与えられている状態を考える。 まず、(2.2)、(2.3)式の解として以下の線形結合解を仮定する。

)

exp(

1 0

v

i

t

v

v

=

+

ω

(2.4)

)

exp(

1 0

U

i

t

U

U

=

+

ω

(2.5) ここで、v は電子の局所ドリフト速度、U はチャネル内の局所ポテンシャルである。ソース 端短絡/ドレイン端開放条件を考慮すると、ソース端(x = 0)、ドレイン端(x = L)において 0

)

0

(

x

U

U

=

=

(2.6)

0

)

(

x

= L

=

j

(2.7) という境界条件が与えられる。j は電流密度である。(2.4)、(2.5)式を(2.2)、(2.3)式に代入し、 (2.6)、(2.7)式の境界条件を適用するとω に関して以下のような式が求められる。(計算の簡 単化のため、τ = ∞とした。)

Ls

v

s

2

2 0 2

=

ω

(2.8) 0 0 2 0 2

ln

2

s

v

v

s

Ls

v

s

+

=

′′

ω

(2.9) ここで、ω’ はω の実部、ω” はω の虚部、s は

(11)

ε

e s e

m

d

n

e

m

eU

s

2 0

=

=

(2.10) で与えられるプラズマ波速度である。 図2.3:チャネルにおけるプラズマ波挙動 図2.3 は、チャネルにおけるプラズマ波伝播を示した模式図である。ドリフト速度 v0で ドレイン方向へ流れる電子流体上を、波速s のプラズマ波が伝播している様子を示している。 プラズマ波の進行成分、ドレイン端における反射後の後退成分をそれぞれ電流 jforward(ω)、 jbackward(ω)で表すと、

)

)(

(

)

(

e

n

s

v

0

j

forward

ω

=

Δ

forward

ω

+

(2.11)

)

)(

(

)

(

e

n

s

v

0

j

backward

ω

=

Δ

backward

ω

(2.12) である。Δnforward、Δnbackward はそれぞれ進行波、後退波の濃度振幅であり、プラズマ波振幅 に相当する。ドレイン端における反射前後で電流量は保存される。これを考慮すれば、ド レイン端における振幅反射係数:Δnbackward /Δnforwardは 0 0

v

s

v

s

n

n

forward backward

+

=

Δ

Δ

(2.13) となる。 ソース端(短絡(固定端):反射係数 = -1)、ドレイン端(開放:反射係数 = (s+v0)/(s-v0)) それぞれにおける反射係数を考慮して、時間t の間に得られる多重反射によるドレイン端で のトータルの重畳波成分を求めてみる。往復の伝搬時間を Tcycle、プラズマ波振幅の初期値 をfinitとすると、 t i t init t i i init t i init t i T t init

e

f

e

f

e

f

e

e

v

s

v

s

f

cycle ω ω ω ω ω ω′ − − ′+ ′′ ′′ − ′ −

⎟⎟

⎜⎜

+

/ ( ) 0 0 (2.14) となる。s と v0の大小関係によって波の増幅(不安定)/減衰(安定)が定まることがわかる。 いま、ω”を不安定指数δとして再定義し、s と v0の大小関係を示すパラメータとしてマッハ

(12)

Mp = v0/s を導入すると、不安定性が生じる条件は(2.9)式を用いて以下のように表現でき る。 図2.4:不安定指数δ のマッハ数Mp依存性

0

1

1

ln

)

1

(

2

2

>

+

=

′′

p p p

M

M

M

s

L

ω

δ

(2.15) 不安定指数δ をマッハ数Mpに対しプロットしたものを図 2.4 に示す。図より、波の増幅条 件は、

s

v

s

v

<

<

<

0

,

0

0

(2.16) となる。通常、FET 中の電子ドリフト速度は高々107 cm/s、プラズマ波速度は 108 cm/s 程 度である。よって、(2.16)式の第一式は容易に実現できる。第二式はソース・ドレイン境界 条件を反転した場合に相当する。この場合は、|v0|> s である必要があり、成立は困難であ る。 以上から、ソース端短絡/ドレイン端開放の条件下では、プラズマ不安定性がプラズマ 波、そしてプラズモン共鳴の増幅現象をもたらすことがわかる。これをプラズモンの自励 発振と呼ぶ。ただし、外力による摩擦((2.2)式の散乱項 mev / τ)により一方的な無限増幅とは ならないことに注意が必要である。 また、以上の議論から自明であるように、ソース端短絡(反射係数 = -1)/ドレイン端短 絡(反射係数 = -1)条件、ソース端開放(反射係数 = (s-v0)/(s+v0))/ドレイン端開放(反射 係数 = (s+v0)/(s-v0))条件といった対称境界条件下では反射係数が 1 以上になることはない。 従って、共鳴振動を生じうる可能性はあるが共鳴発振を得ることは困難になる

(13)

2.2.3 照射テラヘルツ波の吸収条件 図2.5:伝導帯のサブバンド化 図2.1 に示したように、FET チャネルに外部からテラヘルツ波を照射することでプラズマ 波振動:プラズモン励起を行う場合について考える。プラズモンをテラヘルツ波でコヒー レントに励起するためには、伝導バンドにおけるサブバンド間遷移を用いる手法が一般的 である。 電子を 2 次元チャネルにチャネル厚方向に閉じ込めている場合を考える。電子は、クロ ーニッヒ・ペニィの矩形量子井戸に閉じ込められたような状態となる。このとき、井戸厚 dchが電子の平均自由行程LMFPに比べて十分短ければ、縮退していたエネルギーレベルは更 に離散化する。図2.5 に示すように、伝導バンドが離散してサブバンドが形成される。サブ バンド相互間のエネルギーギャップは、伝導帯下端・価電子帯上端間のエネルギーバンド ギャップEgに対し十分小さな値を取る。 無限障壁高の矩形量子井戸では、伝導体最下端から第l サブバンドまでのエネルギーは 2 2 2 2

2

m

d

l

E

ch e l

h

π

=

(2.17) で表される(El << Eg)。ここで、h はプランク定数、dchはチャネル厚(ここでは量子井戸厚に 相当)である。サブバンド形成のための量子化条件(井戸厚 dch <<電子の平均自由行程 LMFP) は以下に示す通りである。 e B th MFP ch

k

Tm

e

v

L

d

<<

=

τ

=

μ

2

(2.18) ここで、vthは熱速度、μ は電子移動度、kBはボルツマン定数、T は絶対温度である。 サブバンド間遷移以外のプラズモン励起メカニズムとしては、光整流効果を用いたもの や光励起電子によるバンド間直接光学励起などが挙げられる。

(14)

2.2.4 テラヘルツ波吸収による励起プラズモン共鳴強度 ソース端短絡/ドレイン端開放条件下における照射テラヘルツ波吸収によるプラズモン 共鳴励起について考える。 FET がソース端短絡/ドレイン端開放条件に設定され、ゲートバイアス電圧 U0のみが 与えられ、ソース端に振幅 Ua、角速度ω のテラヘルツ波が照射されている状態を考える。 まず、(2.2)、(2.3)式の解として(2.4)、(2.5)式と同様の以下の線形結合解を仮定する。

L

+

+

+

=

v

v

1

(

ω

)

v

2

(

2

ω

)

v

(2.19)

L

+

+

+

=

U

U

(

ω

)

U

(

2

ω

)

U

1 2 (2.20) ここで、ソース端(x = 0)における照射テラヘルツ波吸収、ドレイン端(x = L)における開放条 件を考慮すると、

t

U

U

x

U

(

=

0

)

=

0

+

a

cos

ω

(2.21)

0

)

(

x

= L

=

j

(2.22) という境界条件が与えられる。UaUoに比して十分小さい場合、(2.2)、(2.3)式は DC(直流) 成分、Ua成分、Ua2成分、Ua3成分・・・についての重ね合わせとして近似でき、クロスターム は無視できる。例えばUa成分について(2.2)、(2.3)式を求めると、

0

1 1 1

=

+

+

τ

v

x

u

t

v

(2.23)

0

1 2 1

=

+

x

v

s

t

u

(2.24) となる。ここで、u1 = eU1/mes はプラズマ波速度である。(2.23)、(2.24)式が u1 = v1 = 0 以 外の有意な解を持つためには変数u1、v1に対する係数行列式が0 とならねばならない。u1、 v1が波数k、角周波数ω の時空間繰り返し信号を解に持つと想定し、

,

)

exp(

)

,

(

1

x

t

A

ikx

i

t

u

=

ω

(2.25)

)

exp(

)

,

(

1

x

t

B

ikx

i

t

v

=

ω

(2.26) を(2.25)、(2.26)式に代入して得られる永年方程式を解くと、以下のように k とω の分散関 係式を得る。

ωτ

ω

i

s

k

k

=

±

0

=

±

1

+

(2.27) (2.23)、(2.24)式より、u1,v1 の一般解は以下のように表される。 t i x ik x ik

C

e

e

e

C

u

=

(

0

+

− 0

)

−ω 2 1 1 (2.28) t i x ik x ik

C

e

e

e

C

s

k

v

=

ω

(

0

− 0

)

−ω 2 1 2 0 1 (2.29) 未定係数C1、C2を、境界条件を考慮して求める。境界条件(2.21)、(2.22)式より、ソース端、

(15)

ドレイン端それぞれにおけるu、v の成分が以下のように定まる。

t

U

m

e

u

a e

ω

cos

)

0

(

1

=

(2.30)

0

)

(

1

L

=

v

(2.31) (2.28)~(2.31)式から、C1、C2は以下のように求められる。

,

1

2 0 1 ikL a

e

u

C

+

=

(2.32) L ik a

e

u

C

0 2 2

1

+

=

(2.33) 以上で、u、v のω成分が求められた。 次に、照射テラヘルツ波が吸収されるという事象が、デバイス内の各種直流ポテンシャ ルにどのような影響を与えるかを検証する。ここで、ω 成分の吸収により、直流ドレイン・ ソース間電位差が変調されると仮定する。もしこれが真実であれば、プラズモン共鳴の発 現を直流ドレイン・ソース間電位差の増加という形で簡便に観測可能である。 直流成分は(2.19)、(2.20)式におけるu-、-vである。ωの高調波成分のうち、時間平均で非零 の値を持つのはω2の成分であるから

2

1

)

2

cos

1

(

2

1

2

cos

2

2 0 2 0 2

=

+

=

ω π ω π

ω

π

ω

ω

π

ω

dt

t

tdt

(2.34) 2 a

U

v

,

u

U

0

U

a2 (2.35) となる。従って、直流成分について求めるためにはUa2(ω 2)の成分について方程式を立てれ ばよいことがわかる。直流成分を求めることは、定常状態での解を求めることを意味する。 そこで、時間微分の項を零(∂/∂t = 0)として求めることにする。(2.2)式、(2.3)式において Ua2 に関する項を抽出すると、次の式を得る。

0

2

2 1

=

+

⎟⎟

⎜⎜

+

τ

v

v

u

dx

d

(2.36)

(

s

2

v

+

u

1

v

1

=

0

dx

d

)

(2.37) ここで、<>は時間平均を表している。いま、境界条件 0

)

0

(

U

m

e

u

e

=

,

v

(

L

)

=

0

(2.38) を考慮して、ソース・ドレイン間の直流電位差変動分Δu を求める。(2.36)式を x について 0

(16)

からL まで積分し、かつ(2.31)式を考慮すると、

=

=

Δ

u

u

L

u

v

L

v

dx

0 2 1

1

)

0

(

2

1

)

0

(

)

(

τ

(2.39) となる。更に(2.37)式より 2 1 1

s

v

u

v

=

(2.40) が得られる。したがって、Δu を u1とv1で表すことができる。Dyakonov によれば

)

,

(

4

1

0 2 0 0

U

F

U

U

U

U

a

ω

⎟⎟

⎜⎜

=

Δ

(2.41)

)

'

(

cos

)

''

(

sinh

)

'

2

cos(

1

1

)

,

(

0 2 0 2 0 0

L

k

L

k

L

k

U

F

+

+

+

=

β

β

ω

(2.42)

( )

2

1

2

ωτ

ωτ

β

+

=

(2.43)

(

)

1/2 1/2 2 2 0 0

2

1

1

)

(

'

+

+

=

ω

ω

τ

U

s

k

(2.44)

(

)

1/2 1/2 2 2 0 0

2

1

1

)

(

''

+

=

ω

ω

τ

U

s

k

(2.45)

となる。ただし、ΔU = meΔu/e である。(2.41)式の ΔU/U0は、直流ドレイン・ソース間電

位差の変動分を実効ゲートバイアスU0で規格化したものあり、吸収されたテラヘルツ波の

電圧振幅Uaからポテンシャル変動分ΔU への変換効率が与えられる。よって、Ua2/(4U0)を 定数とする、感度関数F(ω,U0)を変換効率の関数・プラズモン共鳴強度の関数として有意な ものとして扱うことができる。更に、プラズモン共鳴を利用したエミッション/フォトミ キシングでは、出力テラヘルツ波強度は量子効率を介してΔU に依存する。量子効率の定量 的な見積もりは困難であるが、F(ω,U0)を用いることで定性的なテラヘルツ波出力特性を得 ることは可能である。(2.42)式において、

e

=

1

.

6

×

10

−19[C]、

m

=

0

.

068

×

(

9

.

11

×

10

−31

)

[kg]、

55

.

0

=

μ

[ ]、 、

L

とし、f=2.0、2.5、3.0 [THz]とした場合の F(ω,U0)を図 2.6 に示す。

s

V

m

2

/

τ

=

m

μ

/e

=

2

.

13

×

10

−13

[

s

]

=

0

.

1

×

10

−6

[

m

]

(17)

F ( ω ,U0 )[a.u] f=3.0[THz] f=2.5[THz] f=2.0[THz] U0[V] 図2.6 共鳴強度の U0依存性 2.3 2 次元プラズモンのバンド間光学励起 ある周波数の電磁波を半導体に照射することを考える。その電磁波のフォトンエネルギ ーがバンドギャップエネルギー以上のとき、価電子帯の電子はフォトンエネルギーを吸収 し、伝導電子帯へと励起される。価電子帯には電子の抜けた穴、ホールが生成する。この 過程を光励起といい、伝導電子帯に励起された電子を光励起電子、その光励起電子による 電流を光励起電流という。 テラヘルツ差周波励起として、発振周波数f1,f2の2 つの半導体レーザーを FET の 2 次元 電子チャネルに照射している状況を考える。光励起電子は図2.7 に示すように、縦方向の強 い電界によって直ちにチャネルに注入される。チャネルには周波数 f1の成分による光励起 電子と周波数 f2 の成分による光励起電子の両方が流れ込むことになる。すると、チャネル 内2 次元電子群にはそれらのビート成分である∆f=|f2-f1|の周波数で濃度変化が起きる。こ の濃度変化により2 次元電子群に差周波数∆f のプラズモン共鳴振動が誘起される。一方、 光励起ホールは空間に広がり、下部のヘテロ接合面に集まり、ソース端に向かってドリフ トする。この一連の流れがフォトボルタイック(光起電力)効果をうみ、光励起電流を増やす。 フォトボルタイック(光起電力)効果はそれ自身ではプラズモン励起には一切関与しないが、 2 次元電子濃度が増えるため、共鳴特性に影響をあたえる。これが、バンド間光励起電子を 介したプラズモン共鳴のバンド間光学励起のメカニズムである。実キャリアである光励起 電子・ホールの発生を伴い、プラズモン共鳴特性を決定する 2 次元電子濃度が変調される ため、それらの光励起キャリアがプラズモン共鳴効果に及ぼす影響を考慮する必要がある。

(18)

図2.7 プラズモン共鳴型エミッターのエネルギーバンド図 実キャリアによる共鳴の励起効率はフォノンを介したポラリトン・プラズモン励起に比 して非常に高い。プラズモン共鳴振動の差周波テラヘルツ励起においてバンド間光学共鳴 励起のメカニズムが有効になる場合、ポラリトン・プラズモン励起による共鳴励振成分よ りもバンド間光学励起による共鳴励振成分のほうが支配的になる。本研究では、ポラリト ン・プラズモン励起による共鳴励振成分はバンド間光学励起による共鳴励振成分に比して 十分弱いと考え、その効果については考えないものとする。

(19)

第三章 プラズモン共鳴型エミッター

3.1 プラズモン共鳴型エミッターの構造と動作 これまで多くのグループでFET におけるプラズモン共鳴を信号源としたテラヘルツ帯電 磁波(以降テラヘルツ波)光源の研究開発が進められてきた。しかしながら、多くの研究成果 が報告されているものの、共通して挙げられる問題がある。非常に微弱なテラヘルツ波放 射しか得られないという問題である。 プラズモンはチャネル内2 次元電子の疎密波であり、振幅方向が FET のチャネル長方向 (ソース・ドレイン方向)と一致する縦波である。つまり、電磁波非放射モードにある。これ を空間伝播する“テラヘルツ波”にするためには、何らかのモード変換機構、いわゆるア ンテナ機構が必要である。通常のFET 構造のままでは、モード変換機構が存在しないため にテラヘルツ波のデバイス外への放射は困難であると考えられる。 モード変換効率を改善する構造としてOtsuji らにより、二重回折格子ゲートを有するプ ラズモン共鳴型エミッターが提案されている[13]。本プラズモン共鳴型エミッターは、周波 数の異なる入力2光波からその差分周波数に相当する出力光を得る、いわゆるフォトミキ サーとしての機能を有する。同時に、1 光波入力や直流ドレイン電流によるプラズマ不安定 性の増幅によっても原理上テラヘルツ光出力が可能であることから、機能を総称する意味 でエミッターと呼ぶ。図3.1 に提案されたプラズモン共鳴型エミッターのデバイス構造を示 す。本デバイスはHEMT 型材料構造をベースとしている。また、FET におけるテラヘルツ 波放射効率を向上するため、大きく2つの特殊構造が導入されている。 図3.1:テラヘルツ帯 2 次元プラズモン共鳴型エミッターの構造

(20)

図3.2:周期プラズモン領域近傍のエネルギーバンド図 第一の特殊構造は、入れ子型回折格子ゲート構造である。ゲート電極を櫛状にエッチン グ加工し、奇数番の櫛(以下 G1)と偶数番の櫛(以下 G2)を各々共通化してある。ゲート電極 直下には一様な2 次元電子走行層(2 次元電子チャネル)が存在しているが、G1、G2 に異な るバイアスを印加することで、電子濃度格差による周期的なプラズモン共振器列が形成さ れる。このプラズモン共振器列に励起光が照射されると、プラズモン共鳴振動が生じる。 周期プラズモンと格子型ゲート電極の電気的結合により、この共鳴振動は空間伝播テラヘ ルツ波へとモード変換される。 図3.2~3.4 を用いて、この動作原理を詳しく説明する。図 3.2 は、プラズモン共鳴型エ ミッターの周期プラズモン領域におけるエネルギーバンド図(ソース・ドレイン方向)である。 ドレイン側に正電圧を印加し、G1 バイアス Vg1G2 バイアス Vg2より低く設定した状態を 示している。デバイス厚み方向のエネルギーバンド図は図2.7 に示したものと同様である。 この場合、G1 直下のチャネル(以下 G1 チャネル)が低電子濃度状態となる一方、G2 直下の チャネル(以下 G2 チャネル)には非常に高濃度に電子群が閉じ込められる。結果として、G1 チャネル、G2 チャネル間には 1~10kV/cm オーダーの強電界が生じる。ここに単一励起光 が照射されると、主に空席エネルギー準位が多数存在するG1 チャネルにて、多光子過程の バンド間光学励起による光励起電子が生じる。この光励起電子群はG1 チャネル・G2 チャ ネル間電界により直ちに隣接するG2 チャネルに注入される。この過程で、G1 チャネル側 では光励起電子の流出により、またG2 チャネル側では光励起電子の流入により、それぞれ 独立してプラズモンが励起される。これを基に、G1 チャネル・G2 チャネルにおいて、そ

(21)

れぞれの共振器寸法、電子濃度等により定まる周波数でプラズモン共鳴が生じる。これを、 プラズモン共鳴型エミッターの自励発振動作と呼ぶ。一方、励起光がテラヘルツ帯の差分 周波数Δf を持つレーザー2光波 f0、f0+Δf である場合、2 次元電子群はΔf 成分(ビート成分) による濃度変調を受ける。この場合、プラズモン共鳴型エミッターではプラズモン共鳴の Δf 発振が自励発振とともに誘発される。すなわち、本デバイスにおける 2 光波共鳴励起で は、Δf 発振、自励発振が同時に生じうる。自励発振は、G1 チャネルから G2 チャネルへの 電子注入さえあれば理論上実現できる。従って、例えば直流ドレイン電流のみによるプラ ズモン共鳴励起も可能である。これを利用すれば、本素子構造を入力光の不要なテラヘル ツ帯発振器として利用できる可能性がある。一方、Δf 発振は、レーザー2 光波の差分周波数 Δf を抽出する動作、いわゆるフォトミキシング動作である。自励発振に比べてΔf 発振が優 勢となる場合には、自励発振がΔf 発振に引き込まれるいわゆる注入動機発振に至るものと 見込まれる。 続いて必要なのは、非常に大きい波数を持つ縦波プラズモンから横波の放射可能な波数 を持つテラヘルツ電磁波への変換である。波数変換のメカニズムを図3.3、3.4 に示す。 図3.3 プラズモン領域からの電界放射

(22)

図3.4 波数ベクトルによる概説図(参考) 図 3.3、3.4 は、格子型ゲート電極・周期プラズモン近傍領域を模式的に示したものであ る。ソース・ドレイン方向にx 軸、格子型ゲート平面に対して垂直方向(デバイス内部方向)z 軸をとり、格子ゲート平面を z = 0、周期プラズモン平面を z = d とする。x 方向に振動 する周期プラズモンを分布電流源としてMaxwell の方程式を解けば、文献[14]によると周 期プラズモンから放射されるx 方向の電界成分 Ex,GTHz(z) は以下のように与えられる。

=

<

+

=

<

)

exp(

)

(

)

(

)

exp(

)

(

)

0

(

, ,

z

D

z

E

z

d

z

A

z

E

z

G G THz G x G G THz G x

κ

κ

(3.1) ここで、AGはデバイス外部(z 軸負方向)への放射電界強度振幅、DGはデバイス内部(z 軸正方向)への放射電界強度振幅である。κGは z 軸に沿う波数ベクトルであり、次式で与 えられる。 2 2 2

c

G

m G

ε

ω

κ

=

(3.2) cは光速である。Gは周期構造の存在により量子化されたプラズモンの波数であり、次式で 与えられる。

a

m

G

=

2

π

(3.3) 単一プラズモンはプラズモン共振器長W で定まる波数を有する。プラズモンが周期配置 されている場合には、周期:a のプラズモン回折格子面には(周期プラズモン間カップリン グの漏れ電界により)回折格子の周期で定まる波数G(m = 1, 2, …)のプラズモンモードが生 じる。しかし、プラズモンの縦波振動の存在のためにその振動成分は微弱なものとなる。 また、m が 1 以上であるため、a が空間伝播テラヘルツ波の波長より十分短いことから(3.2) 式の根号内は正となり結果的にκGも正となる。この場合、(3.1)式より、Ex,GTHz(z) は周期プ ラズモン領域から離れるに伴い指数関数的に減少する。いわゆるエバネッセント波である。 以上より、単純な周期プラズモン領域のみからは有意なテラヘルツ波放射を得ることはで

(23)

きない。 一方、プラズモンの縦波振動が含まれないプラズモン平面外では、G(m = 0)なる成分 を生むことができる。しかし、空間場だけではその強度はやはり極めて微弱である。そこ で、プラズモン平面極近傍のエバネッセントな結合か可能な場所に回折格子ゲート電極を 配することにより、その格子ゲート面内にG(m = 0)なる波数の電場を形成する。この場 合、(3.2)式の根号内は負となり、κGは虚数となる。すなわち(3.1)式において exp 部は位相 項となり、デバイス外部方向・内部方向ともに波数 |κG| の有意なテラヘルツ波放射が得ら れることになる。放射電磁波への変換効率は、次節で説明するが回折格子媒質の導電率、 格子幅/格子周期間隔で定まるフィリングパラメータ等に依存する。(プラズモンの波数と 放射電磁波の波数との間の位相整合条件を便宜的に表すとすると、図3.4 のようになる。プ ラズモン間結合による波数ベクトルを kpl、プラズモン・格子ゲート間結合による波数ベク トルをkglとしている。空間伝播テラヘルツ波の波数と一致する任意の合成成分がモード変 換によりデバイス外部へ電磁波として取り出される。) 本共鳴エミッターが有するもうひとつの特殊構造は、縦型共振器構造である。半絶縁性 バルク基板の側面部を低誘電率クラッド材で被覆し、基板裏面にITO(Indium Tin Oxide) 等の透明金属によるテラヘルツ帯ミラーを形成することによって放射テラヘルツ波に対す る縦型共振器を形成する。これにより、半導体レーザーのように内部共振を得、信号源で あるプラズモン共鳴振動を再帰的に励振することでテラヘルツ波の増幅機構が実現できる。 基板内部が共振器として働く必要があるため、プラズモン領域・ITO ミラー間の距離は放 射テラヘルツ波の(2l-1)/4 波長(l:自然数)に設定する。 以上を踏まえ、本共鳴型エミッターの動作を図3.5 にまとめる。1波/2波のコヒーレン トな直線偏光波(偏光軸はソース・ドレイン方向)を、透明金属ミラーの下面より励起光とし て入射する(図 3.5①)。入れ子型の回折格子ゲート構造に対応して離散化された周期プラズ モン領域では、励起された光励起電子がプラズモン領域に注入され、1波入力の場合は各 共振器により定まる自励発振周波数、2波入力の場合はこれに加え入射光の差分周波数Δf の周波数でプラズモン共鳴が励起される(プラズモン共鳴のバンド間光学励起)。単一領域に おけるプラズモン共鳴が、2 次元平面内に離散周期的にコヒーレントに励振されることにな る(図 3.5②)。格子ゲート電極と周期プラズモンそのものによる電気結合により、プラズモ ンは直ちに空間伝播テラヘルツ波へ変換される(図 3.5③)。ここで、回折格子ゲート平面は 表面プラズモンの影響を無視すれば金属メッシュフィルターであり直線偏光波は完全透過 となるが、表面プラズモンの影響により周波数帯によっては電磁波反射特性を有する。し たがって、放射テラヘルツ波にとっては、周期プラズモン領域とデバイス裏面の透明金属 ミラーの間で縦方向に共振器が構成されたことになる。この共振器の定在波条件に放射テ

(24)

波成分が重畳され、これが更なるプラズモン共鳴の励起につながり、プラズモン共鳴から テラヘルツ波放射への正帰還に至る(図 3.5④)。2 次元プラズモン領域と透明金属ミラーの 間で構成される縦型共振器の共振器長は半絶縁性バルク層の厚みによって固定化されるた め、誘電率が一定値の周波数領域では共鳴周波数は固定化される。しかし、2 次元プラズモ ン領域の反射率が十分に高くないために縦型共振器のQ 値は高くないことから、プラズモ ン共鳴周波数近傍の比較的広範囲で放射電磁波の増幅効果が得られる。 図3.5 プラズモン共鳴型エミッターの動作(フォトミキシング動作時) 3.2 特性周波数 プラズモン共鳴型エミッターのテラヘルツ波放射特性は、当然ながらそのデバイス構造 に強く依存する。したがって、その放射特性を各種デバイスパラメータにより規格化でき れば、設計に大変有益である。本論分では、プラズモン共鳴型エミッター設計のキーとな るパラメータとして、4種類の“特性周波数”と呼ばれるパラメータに注目する。

(25)

図3.6:共鳴型エミッター構造内の特性周波数 共鳴エミッターに利用したような回折格子アンテナ構造では、その放射強度やモード変 換効率/利得を最大にする周波数:特性周波数が定まっている。この特性周波数は、回折 格子の材料、構造寸法等により決定される。本論文で取り上げる共鳴エミッター構造には、 図6.5 に示すように少なくとも3種類の回折格子構造が存在しており、(i)ゲート電極の特性 周波数ωp1、(ii)2 次元プラズモン領域の特性周波数ωp2、(iii)その接続領域の特性周波数ωp3 を考慮しなければならない。Mikhailov によると、これらの特性周波数ωpXは以下の式で与 えられる[14]

⎟⎟

⎜⎜

X X X pX pX

a

L

η

ω

ω

2 2 (3.4) ここで、X は{1:ゲート電極、2:2 次元プラズモン領域、3:接続領域}を示す添字、ω'pX はプラズモン周波数である。ηXは周期構造によるωpXの摂動係数であり、周期間隔aX、単一 周期構造の幅(共振器長)LXにより定まる回折格子充填率LX/aXに依存する。ゲート電極の 特性周波数ωp1のように、アンゲーテッドな(電極誘引されたものではない)プラズモンに 関しては、ω'pXは以下の式で与えられる。 X X sX X pX

m

n

e

L

l

ε

ω

2

2

(3.5) nsXは電子濃度、mXは電子有効質量、ε は誘電率である。nsXは、導電率σXに直接関係するパ ラメータである。一方、2 次元プラズモン領域の特性周波数ωp2、接続領域の特性周波数ωp3 のように、ゲーテッドな(電極誘引された)プラズモンに関しては、ω'pXは以下の式で与え られる。 X X sX X pX

m

d

n

e

L

l

ε

ω

2

2

(3.6)

(26)

ここで、d はゲート電極・プラズモン領域間距離である。v0 = 0 の場合の(2.22)式は、(3.6) 式に他ならない。アンゲーテッドなプラズモンでは周波数が単一周期構造の幅L の-1/2 乗 に比例するのに対し、ゲーテッドなプラズモンではL の-1 乗に比例することはとくに注意 が必要である。 また、前節で議論したように、縦型共振器構造の基本共振周波数ωLも共鳴エミッター内 に存在する重要な特性周波数のひとつである。ωLは、以下の式で与えられる。 bulk c c bulk L

L

c

L

v

ε

π

π

ω

2

4

2

=

=

(3.7) ここで、vbulkは縦型共振機構中の放射テラヘルツ波伝搬速度、Lcは縦型共振器長、c は光速、 εbulkは縦型共振器内(基板内)の誘電率である。以上、ωp1、ωp2、ωp3、ωL の4パラメータ が重要な特性周波数である。 ωp1とωLは、デバイス作成後は原則的に変更することができない固定パラメータである。 共鳴エミッターの構造設計時には、目的の動作周波数(=プラズモン共鳴周波数~ωp2)と ωp1、ωLが極力一致するように回折格子寸法(単一プラズモン領域長ならびに周期性)、縦 型共振器長を設定する必要がある。ωp2とωp1が同程度である場合、この領域を通過する電 磁波のエネルギーは表面プラズモンからのエネルギー供給を受けて増幅されることが期待 される[14]。また、ωp2ωLが同程度である場合、縦型共振器の働きによりプラズモン共鳴周 波数を挟む比較的広い周波数領域に渡り、高い電磁波放射効率を実現できると考えられる。 また、チャネル領域へプラズモンを閉じ込めるためには、チャネル領域と両脇の接続領 域間に急峻な電子濃度差を与え、共振器境界を明瞭に定義する必要がある。(3.6)式から、 電子濃度差を与えることはすなわち特性周波数に格差を付けることに相当する。したがっ て、ωp3はωp2から大きく離調しなければならない。 GaAs 系、 InP 系等の化合物半導体ヘテロ接合構造と集積加工プロセスで実現可能な デバイス・プロセスパラメータとして、2 次元プラズモン領域の電子濃度 ns2、プラズモン 共振器長L2、共振器周期a2、そして縦型共振器長Lcをそれぞれ1012 cm-2、0.1~1 μm、1 μm、 10 μm のオーダーに設定することで、テラヘルツ帯で動作可能なプラズモン共鳴エミッタ ーを実現することが可能である。

(27)

第四章 電気光学サンプリングによるテラヘルツ電磁波計測

4.1 ポンプ・プローブ法による時間分解計測 デバイスからの放射電磁波の測定には時間領域・周波数領域の 2 通りの測定方法が挙 げられる。本研究では時間領域における測定方法を採用する。時間分解過渡応答の測定法 としてはポンプ・プローブ法と呼ばれる計測手法が一般的である。 ポンプ・プローブ法について簡単に説明する。ポンプ・プローブ法では被測定素子を光 学励起するためのレーザパルス:ポンプ光(Pump Beam)と、被測定素子の過渡応答をサン プリングするためのレーザパルス:プローブ光(Probe Beam)を用意する。これらはファイ バーレーザより出力されたレーザパルスを光カプラで2つに分岐することにより得られる。 2 つのレーザパルスは、光ファイバ、空気中の光路を伝播して測定素子にて再び空間的にカ ップルするように設計する。両方の光路長を等しく(光路伝播時間が同じ)することにより、 測定素子部分にてカップルする 2 つのレーザパルスは、ファイバーレーザより出力された 時と同じものとなる。同じレーザパルスで光学励起とサンプリングをすることで、ファイ バーレーザの出力に時間揺らぎ(ジッター)を相殺でき、安定したタイミングでサンプリング が実現できる。ポンプ光とプローブ光に相対的時間差をつけるために、どちらか一方の光 路に光遅延装置を設置する。本システムでは光遅延装置をプローブ光路側に設置する。 図4.1 ポンプ・プローブ法

(28)

4.2 電気光学サンプリング (EOS)

4.2.1 測定原理

本研究でのデバイスからの過渡応答特性の測定には電気光学サンプリング(EOS : Electro Optic Sampling) [15]を用いる。電気光学サンプリングにはCdTe、GaAs などの電気 光学結晶と呼ばれる結晶を用いる。電気光学結晶は印加される電界により屈折率が変化す る効果:電気光学効果を持つ。この電気光学結晶を用いた被測定信号の過渡応答測定の原 理について述べる。 図4.2 電気光学サンプリング 図4.3 被測定信号 図4.3 に示すような信号を測定することを考える。被測定信号が電気光学結晶内を通過す るとき、被測定信号の電界強度に応じて電気光学結晶の屈折率が変化する。例としてある 時刻tnにおける被測定信号の電界強度Etnの測定について述べる。電気光学結晶に電界強度 Etn が印加されたとき、電気光学結晶の屈折率が変化する。この屈折率が変化した電気光学

(29)

結晶に直線偏光に調整されたサンプリングパルス(プローブ光)を通過させる。するとプロー ブ光は電気光学結晶の屈折率変化を受け、偏光方向が変化して電気光学結晶から出てくる ことになる。偏光方向の変化の度合は電界強度Etnに比例するため、偏光方向の変化を検出 することで被測定信号のある時刻tnにおける電界強度Etnを測定することが可能となる。次 にプローブ光の走行時間に Δt だけの時間遅延を設けることで、tnΔt の時刻における電界 強度E tn+Δtを同様に測定することが可能となる。この一連の操作を繰り返し行うことにより、 デバイスからの全過渡応答を測定することが可能となる。 4.2.2 反射型EOS (REOS) 電気光学サンプリングの中でも特に時間分解能の向上に有用な反射型電気光学サンプリ ング(REOS : Reflective Electro Optic Sampling) [16]について説明する。REOS の大きな特 徴は電気光学結晶の反射率の変化を利用する点にある。屈折率と反射率の関係は以下の式 で表される。

(

)

(

)

2 2 20 1 2 2 20 1

)

(

)

(

ex ex

V

n

n

n

V

n

n

n

R

δ

δ

+

+

=

(4.1) ここで δn2(Vex)は電気光学結晶に印加されたときに生じる屈折率の変化を表す。被測定信号 の電界により反射率が変化した電気光学結晶にサンプリング光が照射されて反射したとき、 サンプリング光は反射率の変化を受けて偏光方向が変化することになる。これを検出する ことによりデバイスの過渡応答を計測することが可能となる。 CdTe 60° Si 被測定素子 プローブ(検出)光 (フェムト秒パルス) ポンプ(励起)光 (フェムト秒パルス) 60° Si 被測定信号 CdTe 被測定素子 プローブ(検出)光 (フェムト秒パルス) ポンプ(励起)光 (フェムト秒パルス) 被測定信号 図4.4 反射型電気光学サンプリング

(30)

図4.4 に示す概略図によって REOS 測定を簡単に述べる。基本的な原理は EOS 測定の原 理と同様である。被測定素子にポンプ光としてフェムト秒パルスを照射する。すると被測 定素子はポンプ光を受け、電磁波を放射する。電気光学結晶はこの放射電磁波の電界強度 に応じて屈折率、すなわち反射率が変化する。この反射率が変化した電気光学結晶の表面 をプローブ光が反射することにより、プローブ光の偏光方向は初期の偏光方向から変調さ れることになる。この偏光変化の度合を検出することで放射電磁波の電界強度を検出する ことが可能となる。 4.2.3 測定感度 電気光学サンプリングの測定感度は、電気光学結晶の特性(電気光学係数)、屈折率、結晶 の厚みによって決まる。EOS における測定感度の向上は結晶の厚みを変えることにより容 易に実現できる。しかし、REOS では結晶表面で光を反射させて計測するため、結晶の厚 みによる測定感度の向上は不可能である。REOS の測定感度は電気光学結晶の特性に強く 依存する。今回EO センサーに用いる CdTe(テルル化カドミウム)は一般的な電気光学結晶 の中で、優れた電気光学定数を有する。

REOS に CdTe を用いた場合の測定感度について検討する。REOS の測定感度はプロー ブ光の反射率の変化に依存する。プローブ光を電気光学結晶に対して垂直入射した場合に ついて考える。このとき、電界は電気光学結晶の表面に存在しているとする。プローブ光 を垂直入射した場合の反射率R(吸収係数を無視)は以下のように表される。 2 0 2 0

)

1

(

)

1

(

+

=

n

n

R

(4.2) 電気光学効果による結晶の屈折率の変化をΔneoとすると、電気光学効果による反射率の変 化ΔR は以下のように表される。

( )

R

n

n

eo

R

=

Δ

Δ

(

)

(

)

n

eo

n

n

Δ

+

=

3 0 0

1

1

4

(4.3) よって、REOS による信号の変化量はΔR/R0によって表される。 eo

n

n

R

R

Δ

=

Δ

1

4

2 0 0 (4.4) ここで、CdTe 結晶を用いた REOS における信号変化量ΔR/R0について検討する。プローブ 光を結晶軸に対して偏光軸を 45 度ずらして入射した場合のΔneoは式(3.5)となる。詳細は 3.3.1 に示す。 3 0 41

1

2

eo y

n

n r

Δ

= −

E

(4.5) レーザ光の強度比ΔR/R0

(31)

3 0 41 2 0 0

2

1

y

n

R

r E

R

n

Δ

= −

(4.6) 式(4.6) よ り 、 屈 折 率 n0=2.84, 電 気 光 学 定 数 r41=4.50 [10-12m/V], PWT の 電 界 応 答 Ex=100[V/m]のとき、ΔR/R0=2.92×10-9となる。ここで、参考にした[17]の文献ではΔR/R0 ~10-7で電界応答の観測に成功している。PWT の電界応答はこれまでのプラズモン共鳴観 測の実験の結果から推測される値である。計測対象であるフォトミキサーの放射電磁波は PWT の電界応答よりも一桁以上強いことが予想される。ゆえに、CdTe 結晶を用いた REOS において、フォトミキサーの放射電磁波を計測可能な測定感度が期待できる。 REOS の測定感度について、高感度の検出が可能な透過型 EOS と比較検討する。まず、 EOS の測定感度について以下に示す。EOS では電気光学効果による屈折率変化によって、 レーザ光の位相変化が生じる。このレーザの偏光軸が受ける光学的位相差をリターデイシ ョン

ΔΓ

と呼び、式(4.7)で表される。

2

eo

L

n

π

λ

ΔΓ =

Δ

(4.7) CdTe 結晶におけるリターデイション

ΔΓ

は(4.7)に(4.5)を代入することで得られる。 3 0 41

(

y

L n r E

π

λ

ΔΓ = −

)

(4.8) このレーザ光の位相変化は強度比T(平均出力強度 I/平均入力強度 I0)として式(4.9) のよう に置き換えることができる[18]。 2 0 0

2

E

I

=

⎛ Γ

=

=

2

sin

2

2 2 0 2

E

dt

E

I

out

[

2 0 0

1

sin

1 cos(

)

2

2

I

T

I

Γ

⎛ ⎞

=

=

⎜ ⎟

=

Γ + ΔΓ

⎝ ⎠

]

(4.9) 式(4.9)を T‐

ΔΓ

について図示すると図4.5 となる。

(32)

図4.5 透過度とリターデイション

ΔΓ

の関係 図4.4 より分かるように、強度比 T は

ΔΓ

に関する周期関数となる。また、スタティック・ リターデイション により、電界E がなくても透過光量が存在する。検光子の前に補償板 (波長板)をおくことで を調節できる。T=0.5 となる A 点に持っていくと電界Eの変化に 対してTの変化量は最大となる。測定感度として、REOS の強度比ΔR/R0と透過型EOS の 強度比T を比較する。透過型 EOS の結晶厚は L=100μm、1mm とする。測定感度の比較を 表4.1 に示す。EOS の強度比は最大となるように式(3.8)の 0

Γ

0

Γ

0

Γ

=π/2 とした場合のT=0.5 か らの変化量である。 表4.1 測定感度の比較① 計算式 強度比 REOS 3 0 41 2 0 0

2

1

y

n

R

r E

R

n

Δ

=

2.92×10-9 透過型EOS (結晶厚 L:100μm) 1.04×10-6 透過型EOS (結晶厚 L:1mm) 3 0 41

(

)

1

1 cos(

L n r E

y

)

0.5

T

=

π

+

π

2

2

λ

1.04×10-5 0 41

n

r

[10-12m/V] y

E

[V/m]

λ

[nm] パラメータ 2.84 4.5 100 1550 REOS の測定感度を 1 としたときの透過型 EOS の測定感度を表 4.2 に示す。

(33)

表4.2 測定感度の比較② REOS 透過型EOS (結晶厚 L:100μm) 透過型EOS (結晶厚 L:1mm) 測定感度 1 358 3580 表4.2 より、REOS の測定感度は透過型 EOS における結晶厚が 100μm の場合と比べて、2 桁以下の感度である。また、透過型EOS は結晶厚を大きくすることによって、感度は線形 に増加していく。一方、REOS では結晶厚による感度の向上は望めないことから、高い測 定感度を得ることは難しい。REOS において測定感度の向上を図るには、電気光学結晶に は屈折率n、電気光学定数 r が大きなものが望ましい。

(34)

第五章 実験

5.1 実験系の構築 5.1.1 直流電流電圧特性 図5.1 直流電流電圧特性測定系 デバイスの直流電流電圧特性の測定には図5.1 の測定系を用いる。被測定素子のゲートバ イアスVg1Vg2、ドレインバイアスVdsはそれぞれソースメータにより印加する。 5.1.2 光応答特性測定系 図5.2 光応答特性測定系 デバイスの光応答特性の測定の際には、直流電流電圧特性で用いるソースメータに加え、 励起用のレーザーとして1.5μ帯の半導体レーザーを用いる(図 5.2)。デバイス裏面から励起 光を照射すると、プラズモン共鳴が励起され、直流ソース・ドレイン間ポテンシャルΔU が

図 2.2 :プラズモン共鳴状態 (3 次共鳴に相当 )  端的に言えば、ソース端に ω が共鳴周波数となるような U 0 cosωt のテラヘルツ波を照射 することでプラズモン共鳴が励起され、直流ドレイン・ソース間電位差 V ds に直流変調成分 ΔU が出現する。つまり、これを用いてテラヘルツ波の検出を行うことができる。また、テ ラヘルツ帯で生じるプラズモン共鳴振動を信号源として利用することで、テラヘルツ波の 放出を行うこともできる。以降、チャネル内でプラズモン共鳴を励起させた場合のトラン ジスタ動作を
図 2.7  プラズモン共鳴型エミッターのエネルギーバンド図  実キャリアによる共鳴の励起効率はフォノンを介したポラリトン・プラズモン励起に比 して非常に高い。プラズモン共鳴振動の差周波テラヘルツ励起においてバンド間光学共鳴 励起のメカニズムが有効になる場合、ポラリトン・プラズモン励起による共鳴励振成分よ りもバンド間光学励起による共鳴励振成分のほうが支配的になる。本研究では、ポラリト ン・プラズモン励起による共鳴励振成分はバンド間光学励起による共鳴励振成分に比して 十分弱いと考え、その効果については考えな
図 3.2 :周期プラズモン領域近傍のエネルギーバンド図   第一の特殊構造は、入れ子型回折格子ゲート構造である。ゲート電極を櫛状にエッチン グ加工し、奇数番の櫛(以下 G1)と偶数番の櫛(以下 G2)を各々共通化してある。ゲート電極 直下には一様な 2 次元電子走行層 (2 次元電子チャネル ) が存在しているが、 G1 、 G2 に異な るバイアスを印加することで、電子濃度格差による周期的なプラズモン共振器列が形成さ れる。このプラズモン共振器列に励起光が照射されると、プラズモン共鳴振動が生じる。 周期
図 3.4   波数ベクトルによる概説図 ( 参考 )  図 3.3、3.4 は、格子型ゲート電極・周期プラズモン近傍領域を模式的に示したものであ る。ソース・ドレイン方向に x 軸、格子型ゲート平面に対して垂直方向(デバイス内部方向) に z 軸をとり、格子ゲート平面を z = 0、周期プラズモン平面を z = d とする。x 方向に振動 する周期プラズモンを分布電流源として Maxwell の方程式を解けば、文献[14]によると周 期プラズモンから放射される x 方向の電界成分 E x,G THz (z
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参照

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