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〈研究ノート〉カーストとジェンダーの複合差別/交差性⑵ インドにおけるダリット女性の国際運動

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カーストとジェンダーの複合差別/交差性⑵

インドにおけるダリット女性の国際運動

近畿大学人権問題研究所准教授

 熊 本 理 抄

1.ダリット運動の国際化と国連活動

1.1.ダリット運動におけるカーストとジェンダーの複合差別/交差性への注目  本稿では、2000 年代に入り国連と国際社会を、活動と権利獲得の舞台とし ていくインドのダリット女性解放運動について概観する。  ダリット女性が解放運動や労働運動のリーダーとして登場するのは、1920 年代~ 1930 年代のことである。これらリーダーが政治運動にも関与するよ うになり、政治に対するダリット女性リーダーの意識が高まっていく。また 1930 年代、ソーシャルワーカーによるダリット女性の支援が始まる。1940 年 代には、ダリット女性の大規模な集会が組織された。  こうした運動を蓄積しながら 1990 年代に、ダリット女性の自立的組織 All India Dalit Women’s Rights Forum や National Federation of Dalit Women が誕生する。背景には、インドのフェミニズムがカーストに基づく差 別を不可視化していることへのダリット女性の意識化と、ダリット女性による ダリット運動とフェミニズムへの批判があった。支配カースト、ダリット男性、 フェミニストに対する闘いの始まりである。

 2000 年代になると、ダリット問題にとりくむ市民団体 National Campaign on Dalit Human Rights(NCDHR)が「ダリット女性」を活動の主要課題と する。NCDHR は、ダリット女性の問題にとりくむダリット女性によるプラッ トフォーム All India Dalit Mahila Adhilar Manch(AIDMAM)を立ち上げ ●研究ノート

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る。その活動内容と目的は、アドボカシー(政策提言)の議題にダリット女性 の視点を導入すること、アドボカシーや意思決定へのダリット女性の参加を促 進すること、アドボカシーにおけるダリット女性のキャパシティ・ビルディン グをはかること、ダリット女性のリーダーシップと政治参加を推進すること、 である。  ダリット女性に対するリーダーシップ・トレーニングのなかでも、国際人権 に関するトレーニング・プログラムが重視される。ダリット運動は、国と地域 の共通性と個別性を明らかにしながら、国連、国際レベル、アジア地域レベル、 国内レベルといった多様なレベルでの活動とネットワークを促進させている。 そのなかでもダリット女性の運動は、急速かつ積極的に国内外におけるアド ボカシー活動を展開する。例えば、ソーシャルメディアを駆使し、また Black Lives Matter のとりくみに学ぶため、アフリカン・アメリカン女性との交流 も行う。 1.2.実態の可視化  1990 年代のダリット女性の運動は、実態を可視化することに焦点の一つを当 てた。きっかけは、ニューヨークに本部を置く国際人権 NGO、Human Rights Watch(HRW)が 1999 年に発行したBroken People: Caste Violence against India’s“Untouchables”だった。その後、暴力、残虐行為、司法へのアクセス、 手作業による屎尿処理、経済的権利、政治参加といったテーマに関する調査や 分析をダリット女性が独自に行ってきた。国連の枠組みを活用しながら、自国 の実態についての分析を重ねた。調査実施、全国会議開催等のとりくみは表1 のとおりである。  これら実態調査等の特徴として、以下の点が挙げられる。1)英語での調 査報告をウェブに掲載しているなど第三者による入手とチェックが容易であ り、また他のマイノリティ運動が参考にできること、2)インドの団体と、

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る。その活動内容と目的は、アドボカシー(政策提言)の議題にダリット女性 の視点を導入すること、アドボカシーや意思決定へのダリット女性の参加を促 進すること、アドボカシーにおけるダリット女性のキャパシティ・ビルディン グをはかること、ダリット女性のリーダーシップと政治参加を推進すること、 である。  ダリット女性に対するリーダーシップ・トレーニングのなかでも、国際人権 に関するトレーニング・プログラムが重視される。ダリット運動は、国と地域 の共通性と個別性を明らかにしながら、国連、国際レベル、アジア地域レベル、 国内レベルといった多様なレベルでの活動とネットワークを促進させている。 そのなかでもダリット女性の運動は、急速かつ積極的に国内外におけるアド ボカシー活動を展開する。例えば、ソーシャルメディアを駆使し、また Black Lives Matter のとりくみに学ぶため、アフリカン・アメリカン女性との交流 も行う。 1.2.実態の可視化  1990 年代のダリット女性の運動は、実態を可視化することに焦点の一つを当 てた。きっかけは、ニューヨークに本部を置く国際人権 NGO、Human Rights Watch(HRW)が 1999 年に発行したBroken People: Caste Violence against India’s“Untouchables”だった。その後、暴力、残虐行為、司法へのアクセス、 手作業による屎尿処理、経済的権利、政治参加といったテーマに関する調査や 分析をダリット女性が独自に行ってきた。国連の枠組みを活用しながら、自国 の実態についての分析を重ねた。調査実施、全国会議開催等のとりくみは表1 のとおりである。  これら実態調査等の特徴として、以下の点が挙げられる。1)英語での調 査報告をウェブに掲載しているなど第三者による入手とチェックが容易であ り、また他のマイノリティ運動が参考にできること、2)インドの団体と、

HRW、Minority Rights Group(MRG)、Amnesty International といった 国際人権 NGO との連携により発信力と影響力を有すること、3)国際会議、 公聴会、法廷、マーチやデモといった可視化の機会が多様に設定されているこ と、4)メディア、SNS、映像等を活用していること、5)国際会議への特別 報告者等国連関係者の関与を重視していること、である。 表1 ダリット女性による実態の可視化 1999 年~ 2005 年 NCDHR、NFDW、IDEAS 共同による、ダリット女性 への暴力に関する調査 ・政府、研究者、市民団体等による二次データの量的分 析(1999 年~) ・500 人のダリット女性に対し暴力に関するインタビュー (2003 年~ 2005 年) ・12 形態の暴力と、暴力被害のあとの救済措置につい て調査・分析 → 2006 年に公表 2000 年 女性に対する暴力に関する全国公聴会(NCDHR) 2004 年~ 2009 年 ダリット女性と司法へのアクセスに関する調査(MRG の 協力、Dr. Ambedkar Sheti Vikas Va Sansodhan Sanstha) 2006 年 ダリットに対する暴力に関する全国会議

2006 年 ダリット女性の権利に関するハーグ会議(Justitia et Pax Netherlands,     Cordaid, CMC Mensen met een Missie の共催、IDSN、NCDHR など

多数のダリット女性団体による協力)

    ※ 特別報告者(職業と世系、現代的人種主義)の参加・スピーチ 2009 年 パンチャヤットにおけるダリット女性の政治参加に関する調査報

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2010 年 メディアへの働きかけ「世界の『不可触女性』に対する暴力撤廃 を呼びかける活動家」(IDSN)→ 2011 年頃から、ダリット女性に 関する報道をメディアが行う 2011 年 ダリット女性に対するジェンダーに基づく暴力および司法へのアク セスに関するレポート(Navsarjan Trust) 2011 年 ダリット女性に対する残虐行為と司法へのアクセスに関するレポー ト(EVIDENCE) 2011 年 カーストに基づく差別撤廃のためのグッドプラクティスと戦略に関 する国際協議(IDSN) 2012 年 ショートフィルム「ダリット女性」作成(IDSN) 2013 年 女性に対する暴力に関する全国法廷を開催(AIDMAM) 2013 年 手作業による屎尿作業に従事する女性たち数千人が全国から集結し、 2カ月に及ぶデモの実施 2014 年 ダリット女性の自尊心をテーマにしたマーチ(AIDMAM) 2014 年 ダリット女性によるアメリカとヨーロッパでのマーチとキャンペーン 2014 年 Twitter によるキャンペーン(IDSN)

2014 年 NCDHR が、Benchmarking the Draft UN Principles and Guidelines on the Elimination of(Caste)Discrimination based on Work and Descentを作成

・「原則と指針案」および関連する国際人権法に基づき、ダリット の状況をテーマ別に検証 ・ダリット、インドの国内法、政府スキームなど基本的な情報 ・ダリット女性に関する独立した項目設定とともに、すべてのテー マについてジェンダー視点による分析 2014 年 HRW が手作業による屎尿処理とカースト差別に関する報告書を 発表

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2010 年 メディアへの働きかけ「世界の『不可触女性』に対する暴力撤廃 を呼びかける活動家」(IDSN)→ 2011 年頃から、ダリット女性に 関する報道をメディアが行う 2011 年 ダリット女性に対するジェンダーに基づく暴力および司法へのアク セスに関するレポート(Navsarjan Trust) 2011 年 ダリット女性に対する残虐行為と司法へのアクセスに関するレポー ト(EVIDENCE) 2011 年 カーストに基づく差別撤廃のためのグッドプラクティスと戦略に関 する国際協議(IDSN) 2012 年 ショートフィルム「ダリット女性」作成(IDSN) 2013 年 女性に対する暴力に関する全国法廷を開催(AIDMAM) 2013 年 手作業による屎尿作業に従事する女性たち数千人が全国から集結し、 2カ月に及ぶデモの実施 2014 年 ダリット女性の自尊心をテーマにしたマーチ(AIDMAM) 2014 年 ダリット女性によるアメリカとヨーロッパでのマーチとキャンペーン 2014 年 Twitter によるキャンペーン(IDSN)

2014 年 NCDHR が、Benchmarking the Draft UN Principles and Guidelines on the Elimination of(Caste)Discrimination based on Work and Descentを作成

・「原則と指針案」および関連する国際人権法に基づき、ダリット の状況をテーマ別に検証 ・ダリット、インドの国内法、政府スキームなど基本的な情報 ・ダリット女性に関する独立した項目設定とともに、すべてのテー マについてジェンダー視点による分析 2014 年 HRW が手作業による屎尿処理とカースト差別に関する報告書を 発表 1.3.国連等へのロビーイング・情報提供  実態調査の実施とともに、ダリット女性の運動は国連を積極的に活用してき た。それは、特別報告者や国連女性の地位委員会(CSW)への情報提供、条 約機関の一般的勧告の活用、ILO へのロビーイング、国連機関や各国政府と のサイドイベント、国連機関との共同プロジェクト、人権条約機関への NGO レポート提出などを含む。テーマは、暴力、司法へのアクセス、強制労働・ 債務労働を中心とする。情報提供には、具体的事例、法的根拠、政府統計や NGO による独自調査がある。人権条約機関の審査では、ダリット団体以外の 多くの NGO がダリット女性に言及したレポートを提出する。国連機関以外に も、欧州議会へのロビーイングや、民主主義および人権のための欧州機構、世 界女性サミット等でのアピールも行っている。国連人権高等弁務官は、2013 年の人権理事会サイドイベントで、「不可触性は、カーストとジェンダーに基 づく差別が交差することで、より増大する」というメッセージを発した。さら に 2014 年の人権理事会サイドイベントでは、「カーストの影響を受けるコミュ ニティの女性・女子に対する暴力に関する人権高等弁務官声明」を発した。

2014 年 IDSN が、Dalit Women Fight!を公表

2015 年 暴力と虐待、および司法のアクセスに関するマーチ(AIDMAM) 2015 年 HRW と Amnesty International の年次報告書で、ダリット女性に

対するカーストに基づく暴力、レイプがとりあげられる 2016 年 ダリット女性の権利と自尊に関するマーチ(AIDMAM)

2016 年 ADRF, FEDO, UNWomen が、Dalit Women in South Asia: Access to Economic Rightsを公表

発表年不詳 ADRF が、Towards a Unifying Global Identity: A Framework on Discrimination Based on Work and Descent, Including Caste

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 以下、表2は国連等へのロビーイング・情報提供について、表3は人権条約 機関に提出した NGO レポートでダリット女性に言及している団体について、 表4はダリット女性に関する人権理事会サイドイベントについてまとめている。 表2 国連等へのロビーイング・情報提供 2000 年 NCDHR、IMADR、HRW、MRG、FIDH などによる人権小委員 会への提案 →人権小委員会での決議 2006 年 欧州議会および欧州委員会ではじめて、IDSN 主催によるラウンド テーブルでダリット女性が発言 2006 年 UNDP と NCDHR の共同プロジェクト「ダリット女性の司法への アクセス」が開始 2007 年 女性に対する暴力に関する特別報告者へのレポート(AIDMAM) 2011 年 ダリット女性に対する暴力と政府の調査非実施に関して、CSW に 情報提供(Navsarjan Trust) 2011 年 屎尿処理にダリット女性が多く従事している実態について、ILO へ のロビーイング(IDSN) 2012 年 法と実務における女性差別の問題に関する作業部会に情報提供 (IDSN) 2012 年 女性に対する暴力に関する特別報告者に情報提供(AIDMAM) 2013 年 欧州議会が、インドの女性に対する暴力に関する決議を採択し、そ のなかでダリット女性に対する性暴力を含む暴力が広まっているこ とへの深い懸念を表明 2013 年 女性に対する暴力に関する特別報告者に情報提供(NGO の共同) 2013 年 「司法へのアクセス」に関する CEDAW の議論に情報提供(IDSN、 MRG、NCDHR、AIDMAM)

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 以下、表2は国連等へのロビーイング・情報提供について、表3は人権条約 機関に提出した NGO レポートでダリット女性に言及している団体について、 表4はダリット女性に関する人権理事会サイドイベントについてまとめている。 表2 国連等へのロビーイング・情報提供 2000 年 NCDHR、IMADR、HRW、MRG、FIDH などによる人権小委員 会への提案 →人権小委員会での決議 2006 年 欧州議会および欧州委員会ではじめて、IDSN 主催によるラウンド テーブルでダリット女性が発言 2006 年 UNDP と NCDHR の共同プロジェクト「ダリット女性の司法への アクセス」が開始 2007 年 女性に対する暴力に関する特別報告者へのレポート(AIDMAM) 2011 年 ダリット女性に対する暴力と政府の調査非実施に関して、CSW に 情報提供(Navsarjan Trust) 2011 年 屎尿処理にダリット女性が多く従事している実態について、ILO へ のロビーイング(IDSN) 2012 年 法と実務における女性差別の問題に関する作業部会に情報提供 (IDSN) 2012 年 女性に対する暴力に関する特別報告者に情報提供(AIDMAM) 2013 年 欧州議会が、インドの女性に対する暴力に関する決議を採択し、そ のなかでダリット女性に対する性暴力を含む暴力が広まっているこ とへの深い懸念を表明 2013 年 女性に対する暴力に関する特別報告者に情報提供(NGO の共同) 2013 年 「司法へのアクセス」に関する CEDAW の議論に情報提供(IDSN、 MRG、NCDHR、AIDMAM) 表3 人権条約機関への NGO レポート 2013 年 UN Women 南アジアが女性に対する暴力撤廃キャンペーンを開始 2014 年 民主主義および人権のための欧州機構でダリット女性が発言 2014 年 世界女性サミットでのアピール 2015 年 暴力、教育のアクセスの欠如、経済的ディスエンパワメントについ て、CSW に情報提供(IDSN) 2015 年 法と実務における女性差別の問題に関する作業部会への NGO 共同 声明(Navsarjan Trust, IDSN)

人種差別撤廃委員会(CERD)インド政府報告書審査への NGO レポート (2007 年)

 Center for Human Rights and Global Justice and Human Rights Watch  Matoshri Ramabai Centre

 National Campaign on Dalit Human Rights

 National Network for Human Rights Treaty Monitoring in India  Dalit Network Netherlands

 Tamil Nadu Women’s Forum

女性差別撤廃委員会(CEDAW)インド政府報告書審査への NGO レポート (2014 年)

 Amnesty International

 Center for Reproductive Rights & HRLN  FIAN India

 Franciscans International and VIVAT International  Human Rights Watch

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表4 人権理事会サイドイベント

2.ダリット女性はなにを問題にしてきたか

2.1.ダリット男性とは異なる程度と態様の差別実態  では、実態の可視化や国連等へのロビーイングにより、ダリット女性はなに を問題にしてきたのか。第一に、ダリット男性とは異なる程度と態様のダリッ ト女性の差別実態を明らかにすることである。ダリット男性との比較に焦点を 当てると、サービスへのアクセス、雇用機会、賃金、司法へのアクセス、教育、 健康、識字、土地、開発プログラム、手作業による屎尿処理、HIV/AIDS と  2013 年 人権理事会サイドイベント「ダリット女性:ジェンダーとカー   ストに基づく複数の交差する差別と暴力の撤廃に向けて協働を」(OHCHR、 IDSN、IMADR、HRW、MRG)  2014 年 人権理事会サイドイベント「カーストに基づいた女性に対する   暴力:カーストに基づく暴力と差別との闘いにおける国連の役割」(OHCHR、

IDSN、HRW、IMADR、MRG、Franciscan International、Asian Forum for Human Rights and Development)

 2015 年 人権理事会サイドイベント「カーストとジェンダーに基づく強制   労働と債務労働」(OHCHR、IDSN、HRW、IMADR、MRG、Anti-Slavery

International, Franciscan International)

 Equality Now, Shaheen Women’s Resource and Welfare Association, Apne Aap Women Worldwide

 The National Alliance of Women  WILPF India

 National Campaign on Dalit Human Rights  Navsarjan Trust, AIDMAM and IDSN

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表4 人権理事会サイドイベント

2.ダリット女性はなにを問題にしてきたか

2.1.ダリット男性とは異なる程度と態様の差別実態  では、実態の可視化や国連等へのロビーイングにより、ダリット女性はなに を問題にしてきたのか。第一に、ダリット男性とは異なる程度と態様のダリッ ト女性の差別実態を明らかにすることである。ダリット男性との比較に焦点を 当てると、サービスへのアクセス、雇用機会、賃金、司法へのアクセス、教育、 健康、識字、土地、開発プログラム、手作業による屎尿処理、HIV/AIDS と  2013 年 人権理事会サイドイベント「ダリット女性:ジェンダーとカー   ストに基づく複数の交差する差別と暴力の撤廃に向けて協働を」(OHCHR、 IDSN、IMADR、HRW、MRG)  2014 年 人権理事会サイドイベント「カーストに基づいた女性に対する   暴力:カーストに基づく暴力と差別との闘いにおける国連の役割」(OHCHR、

IDSN、HRW、IMADR、MRG、Franciscan International、Asian Forum for Human Rights and Development)

 2015 年 人権理事会サイドイベント「カーストとジェンダーに基づく強制   労働と債務労働」(OHCHR、IDSN、HRW、IMADR、MRG、Anti-Slavery

International, Franciscan International)

 Equality Now, Shaheen Women’s Resource and Welfare Association, Apne Aap Women Worldwide

 The National Alliance of Women  WILPF India

 National Campaign on Dalit Human Rights  Navsarjan Trust, AIDMAM and IDSN

いったテーマが浮かび上がる。全国女性との比較に焦点を当てると、レイプの 有罪判決、学校からの排除、初等教育の中退、識字、日給といったテーマが浮 かび上がる。  ダリット女性の差別実態を明らかにするため、データの必要性を訴え続けて きた。政府統計は、ジェンダー別、カースト別になっており、ダリット女性の 実態が見えない。例えば、政府機関の雇用における指定カーストの留保政策に 関して、ジェンダー報告はない。女性に対する暴力に関する情報はカースト別 になっていない。全国農村雇用保障法に基づき実施される失業対策事業に関し てダリット女性のデータがない。ダリット女性に関するデータは全国平均との 比較のみで、非ダリット女性、ダリット男性、非ダリット男性との比較分析が できない。カースト差別、不可触性(untouchability)、暴力に関する政府文 書は、ダリットを一つの集団とするため、世系、職業、ジェンダーが交差する ことにより生じるダリット女性の経験が見えない。既存のデータに関する問題 性を、ダリット女性は指摘している。コミュニティ、世帯、集団の一括データ でなく、そのなかの交差的差別の実態を把握するためには、細分化されたデー タ、複合差別の視点に立ったデータが必要だという指摘である。 2.2.ダリット女性の問題を訴えるための明確なテーマ設定  第二に、ダリット女性は、国際的な活動として、あるいは国連に対するロ ビーイングとして、テーマを明確に設定しながらダリット女性の問題を訴えて きた。問題の中心に据えてきたテーマが、「女性に対する暴力」「女性に対する 残虐行為」「司法へのアクセス」「手作業での屎尿処理」「経済的権利」である。 2.2.1.女性に対する暴力  カースト/ジェンダーに細分化されて政府から発表される唯一の犯罪データ は、レイプである。インド政府発表によると、ダリット女性に対するレイプや

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暴力事件が増加している。  ダリット女性は、ダリット女性に対する暴力を、「複合した暴力」、「標的と される暴力」、「懲罰・報復としての暴力」に分類して議論する。カーストとジェ ンダーの交差がもたらす暴力には、性暴力、強制売春、デヴァダシ、レイプ、 児童婚がある。ダリット女性に対する暴力は、カースト差別によって引き起こ され強化されるとともに、ジェンダー不平等の結果と捉えられる。  カースト制度(不浄、不可触性、社会的排除)、貧困(土地なし、日雇労働、 資源へのアクセスの否定、経済的地位、職業)、ジェンダー(家父長制、暴 力)が複合してダリット女性に対する暴力が生起する。この暴力を分析する ためには、構造的抑圧、社会関係、制度、慣行をインターセクショナリティ (intersectionality、交差性)の視点から分析する必要がある。ダリット女性は、 カースト・階級・ジェンダーの交差と、暴力、不可触性、浄―不浄、家父長制 との関係を分析する。  異カースト間結婚においては、支配カーストの夫とその家族から DV を被 り、ダリット男性との結婚においては、ダリットコミュニティにおけるジェン ダーに基づいた暴力を被る。ダリット男性にとっての貧困、日々の緊張、生存 のための闘い、生活手段の欠如等、生活のあらゆる領域におけるカースト抑圧 が、家庭のなかでの女性に対する暴力となって向けられる。男性が、カースト に服従し、ディスエンパワーされ、地位と権威を剥奪されていることが、女性 に対する家庭内での暴力を引き起こす。「暴力の文化」への同化である。カー ストヒエラルキーの底辺に置かれ、ディスエンパワーされたダリット男性の力 の誇示が、ジェンダーヒエラルキーの底辺に置かれた女性に対する暴力として あらわれる。支配カーストによる女性に対する暴力および不処罰による支配が 強化された結果、コミュニティ全体が無力化され恐怖を与えられる。そうした 状況を生きるダリット男性からのダリット女性に対する暴力を、複合性/交差 性の視点からダリット女性は読み解こうとする。

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暴力事件が増加している。  ダリット女性は、ダリット女性に対する暴力を、「複合した暴力」、「標的と される暴力」、「懲罰・報復としての暴力」に分類して議論する。カーストとジェ ンダーの交差がもたらす暴力には、性暴力、強制売春、デヴァダシ、レイプ、 児童婚がある。ダリット女性に対する暴力は、カースト差別によって引き起こ され強化されるとともに、ジェンダー不平等の結果と捉えられる。  カースト制度(不浄、不可触性、社会的排除)、貧困(土地なし、日雇労働、 資源へのアクセスの否定、経済的地位、職業)、ジェンダー(家父長制、暴 力)が複合してダリット女性に対する暴力が生起する。この暴力を分析する ためには、構造的抑圧、社会関係、制度、慣行をインターセクショナリティ (intersectionality、交差性)の視点から分析する必要がある。ダリット女性は、 カースト・階級・ジェンダーの交差と、暴力、不可触性、浄―不浄、家父長制 との関係を分析する。  異カースト間結婚においては、支配カーストの夫とその家族から DV を被 り、ダリット男性との結婚においては、ダリットコミュニティにおけるジェン ダーに基づいた暴力を被る。ダリット男性にとっての貧困、日々の緊張、生存 のための闘い、生活手段の欠如等、生活のあらゆる領域におけるカースト抑圧 が、家庭のなかでの女性に対する暴力となって向けられる。男性が、カースト に服従し、ディスエンパワーされ、地位と権威を剥奪されていることが、女性 に対する家庭内での暴力を引き起こす。「暴力の文化」への同化である。カー ストヒエラルキーの底辺に置かれ、ディスエンパワーされたダリット男性の力 の誇示が、ジェンダーヒエラルキーの底辺に置かれた女性に対する暴力として あらわれる。支配カーストによる女性に対する暴力および不処罰による支配が 強化された結果、コミュニティ全体が無力化され恐怖を与えられる。そうした 状況を生きるダリット男性からのダリット女性に対する暴力を、複合性/交差 性の視点からダリット女性は読み解こうとする。  カースト・階級・ジェンダーが複合/交差し、差別が強化されたものとして あらわれる暴力は、カースト・階級・ジェンダー規範を強化する手段でもある。 ダリット女性に対する暴力は処罰されないため、標的にされる。またダリット 女性に対する暴力は、ダリットコミュニティ全体に対する抑圧の手段として用 いられる。基本的人権を主張すると、支配カーストからの暴力にさらされる。 コミュニティの名誉という家父長的概念の維持を正当化するために、支配カー スト、地主、警察は、女性を標的とした暴力を実行する。ダリットコミュニティ 全体への抑圧や罰として機能し、カースト規範に従うよう押しつける、こうし た暴力は、カースト規範/秩序を維持し強化するための暴力であり、カースト 規範/秩序を逸脱する者に対する罰、侮辱、教訓、報復、力の誇示としての暴 力である。女性がその暴力の標的となる。女性が権利主張したり政治参加した りすればするほど、コミュニティ全体を沈黙させるための、女性を標的とする 暴力は「バックラッシュ暴力」とも呼ばれる。支配コミュニティからのバック ラッシュとしての暴力は増加しており、ダリット女性がまず標的にされる。  女性に対する暴力は、コミュニティ全体を沈黙させるための道具として用い られる。加害者や警察による妨害・恐怖・脅迫により、ダリット女性は暴力被 害について語らず、メディアは報道せず、法執行機関は登録せず、ダリット家 族とコミュニティは隠蔽する。これら沈黙を通して、カーストと家父長制をダ リットコミュニティの住民は深く内面化していく。不処罰と沈黙の文化、集団 的な恐怖と暴力の正当化により、ダリットコミュニティも、名誉や恥、暴力や イデオロギーを内面化していく。それは、支配カーストによる暴力であり、国 家による暴力である。暴力を禁止する法の実効性の問題、司法へのアクセスの 否定、法的救済の欠如、警察と司法の問題、医療関係者の問題、法と実施の ギャップなどが背景にある。

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2.2.2.女性に対する残虐行為  女性に対する残虐行為を調査し被害者を支援する市民団体 EVIDENCE に よると、ダリット女性に対する残虐行為は、構造的なカーストと家父長制が複 合し、1)ジェンダーに基づく残虐行為(レイプ)、2)経済権へのアクセス の否定、3)民主主義やリーダーシップへのアクセスの否定(地方自治政治の リーダーへの残虐行為)といったあらわれ方をする。ダリット女性には、地方 議会での留保が与えられているが、留保枠を得る結果、暴力を受ける。ダリッ ト女性に対する残虐行為の 70 %は、ダリット女性が権利を主張し、カースト とジェンダー規範に異議申し立てをしたことによる。その暴力の加害者・加担 者は、司法関係者、医療関係者、メディア、支配カースト女性、支配カースト 男性、そしてダリット男性である。 2.2.3.司法へのアクセス  ダリット運動にとって、司法へのアクセスは重要な運動テーマである。ダ リット女性に対する犯罪や性暴力が不処罰とされてきたからだ。ダリット女性 自身も、妨害、恐怖、脅迫、不信等を理由に、それら犯罪や暴力について警察 に報告しない。経済的貧困や法知識の欠如も理由となる。警察や裁判所による ダリット女性への偏見もある。司法にアクセスする権利を求めるダリット運動 は、支配カーストへの挑戦、国家への挑戦と捉えられる。  司法にアクセスする権利を求める具体的活動には、データ収集や調査、立 法・救済・予防措置の要求、加害者の不処罰文化の撤廃、タスクフォースの設 置、捜査機関におけるガイドライン策定、ベストプラクティスの共有、警察や 司法関係者へのトレーニングとモニタリング、被害者の救済と社会復帰、法的 支援、意識化キャンペーン、ダリット女性の司法プロセスにおける参加促進、 意思決定への参画、コミュニティ内のジェンダー差別解消を含む。

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2.2.2.女性に対する残虐行為  女性に対する残虐行為を調査し被害者を支援する市民団体 EVIDENCE に よると、ダリット女性に対する残虐行為は、構造的なカーストと家父長制が複 合し、1)ジェンダーに基づく残虐行為(レイプ)、2)経済権へのアクセス の否定、3)民主主義やリーダーシップへのアクセスの否定(地方自治政治の リーダーへの残虐行為)といったあらわれ方をする。ダリット女性には、地方 議会での留保が与えられているが、留保枠を得る結果、暴力を受ける。ダリッ ト女性に対する残虐行為の 70 %は、ダリット女性が権利を主張し、カースト とジェンダー規範に異議申し立てをしたことによる。その暴力の加害者・加担 者は、司法関係者、医療関係者、メディア、支配カースト女性、支配カースト 男性、そしてダリット男性である。 2.2.3.司法へのアクセス  ダリット運動にとって、司法へのアクセスは重要な運動テーマである。ダ リット女性に対する犯罪や性暴力が不処罰とされてきたからだ。ダリット女性 自身も、妨害、恐怖、脅迫、不信等を理由に、それら犯罪や暴力について警察 に報告しない。経済的貧困や法知識の欠如も理由となる。警察や裁判所による ダリット女性への偏見もある。司法にアクセスする権利を求めるダリット運動 は、支配カーストへの挑戦、国家への挑戦と捉えられる。  司法にアクセスする権利を求める具体的活動には、データ収集や調査、立 法・救済・予防措置の要求、加害者の不処罰文化の撤廃、タスクフォースの設 置、捜査機関におけるガイドライン策定、ベストプラクティスの共有、警察や 司法関係者へのトレーニングとモニタリング、被害者の救済と社会復帰、法的 支援、意識化キャンペーン、ダリット女性の司法プロセスにおける参加促進、 意思決定への参画、コミュニティ内のジェンダー差別解消を含む。 2.2.4.手作業での屎尿処理  ダリットは、手作業での屎尿処理など非人間的な仕事に強制的に就かされて いる。手作業での屎尿処理に関しては8割~9割が女性であり、カーストに よって継承されている。健康や債務などの問題を抱えるが、法に基づくスキー ムが機能していない。 2.2.5.経済的権利(土地権、教育、高等教育、雇用・スキル)  土地所有は女性にとって、夫や家族への依存を減じエンパワメントをもたら すとともに、自身の経済的アイデンティティをもたらす。生活を支えるだけで なく、女性に地位と意思決定権を与える。ダリット女性においては、土地を持 たないことや中退率や非識字率が高いことなどを原因とする貧困と暴力の相互 関連が指摘されている。高等教育は、高い教育費、稼得収入の機会の損失、高 価なダウリ(結婚持参金)の要求による貧困の多発、家族のあり方への影響な どが生じ、ダリット女性の結婚にとって支障とみなされる。ダリット女性の多 くは、日当や賃金労働として農業に従事するか、女性向けの仕事あるいはダ リット向けの仕事にアクセスするかしか選択肢がない。その多くが、「不浄」 な仕事とみなされる。  ダリット女性の運動では、経済的権利の獲得と向上のために、さまざまな段 階でのトレーニングが提供される。第一段階は基本的段階である経済的アクセ スで、食料、水、健康へのアクセスなど政府によって提供されるべきものであ る。これは生存のためのものでエンパワメントではない。第二段階は、知識の エンパワメントで、基本的な教育スキルを指す。第三段階は、雇用につながる スキルで、雇用に活かせる職業訓練、起業、生産、自信、資本、ケイパビリティ、 資産構築、住居、お金、貯蓄、産業を含む。第四段階は、政治的エンパワメン トで、力関係の再構築を指す。そして最終段階である第五段階は、社会的包摂 (social inclusion)および社会変革である。

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おわりに

 これまでダリット女性の位置は、フェミニズムや女性解放運動のなかで「追 加」するだけであった。フェミニズムとダリット解放運動への批判を展開して きたダリット女性解放運動は、より批判的で重要な提起を行っている。個別事 件への緊急対応のみならず、根源的な不平等、周縁化、構造的差別への挑戦と いった視点が、複合差別/交差性分析を重視する視点からもたらされた。国内 法政策に複合差別/交差性の視点を盛り込むとともに、データ収集、調査、分 析、特別措置に至るまで、一貫して複合差別/交差性の視点を重視してきた。 調査は、行動や政策提言につながるアクション・リサーチやアドボカシー・リ サーチを採り入れ、その方法論は他国のマイノリティ運動にとって学ぶべきも のが多い。近年は、偏見、ステレオタイプ、社会規範、認識、態度、信念、思 考などの側面から、複合差別/交差性の視点に立った人権教育の重要性が謳わ れている。  しかし、法と実施のギャップは大きい。証拠収集、調査、ロビーイング、ア ドボカシーを駆使し法律の制定や改正に運動団体が重要な役割を果たしたこと により、法律や政策は、ある。しかし依然として、ダリット女性は暴力にさら され日常的な恐怖のなかで生きている。制定・改正された法が実態を改善すべ く実施効力を有しないのである。  不処罰や司法の正義に対する闘い、権利主張やエンパワメントに対するバッ クラッシュが悪化している。教育や意識化によりエンパワメントされたダリッ ト女性が権利を主張すればするほど、カーストと家父長制への挑戦とみなさ れ、暴力が激化する。ダリット女性がその暴力の標的にされる。だからこそ、 グローバルな連帯を求める声が強い。構造的な不可触性、カースト、ジェン ダー、家父長制が複合して生起する暴力に関して、国際的な協働のキャンペー ン、研究、アドボカシー、協議を進める必要があろう。同時に、カーストとジェ ンダーの複合差別を被る女性たちがどのように意識化、組織化したか、この組

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おわりに

 これまでダリット女性の位置は、フェミニズムや女性解放運動のなかで「追 加」するだけであった。フェミニズムとダリット解放運動への批判を展開して きたダリット女性解放運動は、より批判的で重要な提起を行っている。個別事 件への緊急対応のみならず、根源的な不平等、周縁化、構造的差別への挑戦と いった視点が、複合差別/交差性分析を重視する視点からもたらされた。国内 法政策に複合差別/交差性の視点を盛り込むとともに、データ収集、調査、分 析、特別措置に至るまで、一貫して複合差別/交差性の視点を重視してきた。 調査は、行動や政策提言につながるアクション・リサーチやアドボカシー・リ サーチを採り入れ、その方法論は他国のマイノリティ運動にとって学ぶべきも のが多い。近年は、偏見、ステレオタイプ、社会規範、認識、態度、信念、思 考などの側面から、複合差別/交差性の視点に立った人権教育の重要性が謳わ れている。  しかし、法と実施のギャップは大きい。証拠収集、調査、ロビーイング、ア ドボカシーを駆使し法律の制定や改正に運動団体が重要な役割を果たしたこと により、法律や政策は、ある。しかし依然として、ダリット女性は暴力にさら され日常的な恐怖のなかで生きている。制定・改正された法が実態を改善すべ く実施効力を有しないのである。  不処罰や司法の正義に対する闘い、権利主張やエンパワメントに対するバッ クラッシュが悪化している。教育や意識化によりエンパワメントされたダリッ ト女性が権利を主張すればするほど、カーストと家父長制への挑戦とみなさ れ、暴力が激化する。ダリット女性がその暴力の標的にされる。だからこそ、 グローバルな連帯を求める声が強い。構造的な不可触性、カースト、ジェン ダー、家父長制が複合して生起する暴力に関して、国際的な協働のキャンペー ン、研究、アドボカシー、協議を進める必要があろう。同時に、カーストとジェ ンダーの複合差別を被る女性たちがどのように意識化、組織化したか、この組 織を権利要求に使ったのか、差別に対する対応や運動に焦点化したグローバル な連帯が求められる。  本稿では、2000 年代に入り国連と国際社会を、活動と権利獲得の舞台とし ていくインドのダリット女性解放運動について概観した。これら国際的な運動 を生み出し支えてきたのは、コミュニティレベルにおける女性たちの運動であ る。どのようなリーダーを生み出してきたのか、生死をかけてダリットの女性 がどのように運動をし続けてきたのか、そのなかでどれだけの妨害が起こり犠 牲が払われてきたのか、生存権と尊厳を求めたダリット女性運動とはいかなる ものか、コミュニティレベルにおけるダリット女性運動の歴史と現状は別稿で 論じる。 【参考文献】

International Dalit Solidarity Network(IDSN)発行の Annual Report Irudayam S. J., Aloysius, Jayshree P. Mangubhai and Joel G. Lee, 2011,

Dalit Women Speak Out: Caste, Class and Gender Violence in India, Zubaan.

参照

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