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新製品の開発(第5報)--製造物責任法と製品開発

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(1)新 製 品 の 開 発(第5報(1)) 一製造物責任法 と製品開発一. 岩. 村. 淳. 一・. ¶⊥. は じめ に. 0自. 製造物責任 法について. 00. 製 品 開発. 4. おわ りに. keywords. 製造物 責任法, 開 発 危 険,科 学 ・技 術 知 識 ・水 準,開 発 危 険 ・抗 弁,予 見 可 能性. 1.は. じめ に. 製 造 物 責 任 法 は平 成6年6月24日 して,平 成6年7月1日. の 公布 閣 議 を 経 て,平 成6年 法 律 第85号 と. に交 付 され た 。. 本 法 の 交 付 を 受 け て,平 成6年8月,経. 済企 画庁 企 画 庁 国 民 生 活 局 消 費 者 行. 政 第 一 課,法 務 省 民 事 局 参 事 官 室,厚 生 省 大 臣 官 房 政 策 課,農 林 水 産 省 食 品 流 通 局 消 費 経 済 課,通 商 産 業 省 産 業 政 策 局 消 費 経 済課,運 輸 省 運 輸 政 策 局 消 費 者 行 政 課,建 設 省 大 臣 官 房 政 策 課 が 執 筆 ・編 集 し,製 造 物 責任 法 の 解 説 を 公 表 し た 。 そ の 中 で,本 法 の 直 接 の 目的 と して,製 造 物 の 欠 陥 に よ り被 害 が 生 じた 場 (1)第4報:岩. 村 淳 一,近 畿 大 学 短 大 論 集 第26巻 第2号R21∼39(1994,3)..

(2) 合 に お け る 「被 害 者 の 保 護 」 を 挙 げ,さ. らに これ に よ っ て達 成 さ れ る こ とが 期. 待 され る 目的 と して 「国 民 生 活 の 安 定 向上 と国 民 経 済 の 健 全 な発 展 に寄 与 す る こ とを 掲 げ て い る。 本稿 で は,本 法 と開 発 リス ク との 関 係 を 明 らか に し,製 品 開発 に 於 る危 険 管 理 に つ い て 考 察 した。. 2.製. 造 物 責 任 法 につ い て. 製 造 物 責 任 法 は 第 一 条(目 義,製. 造 業 者 等 の 定 義,第. 囲,第. 四条(免. 的)第. 三 条(製. 二 条(定. 義),製. 造 物 責 任),製. 責 事 由),開 発 危 険 の 抗 弁,部 六 条(民 法 の 適 用)か. 造 物 の 定 義,欠. 造 物 責 任,損. 陥 の定. 害賠 償 の範. 品 ・原 材 料 製 造 業 者 の抗 弁,第. 五 条(期. 間 の 制 限),第. ら構 成 さ れ て い る。 本 講 で は,. 6省1庁. に よ る解 説 の 要 約 を 下 記 に 示 し,製 品 開 発 との 関 係 につ い て 考 察 す. る。. 2.1第. 一 条(目. 的). この 法 律 は,製 造 物 の欠 陥 に よ り人 の生 命 身 体 又 は 財 産 に 係 る被 害 が 生 じた 場 合 にお け る製 造 業 者 等 の損 害 賠 償 の 責任 に つ い て 定 め る こ と によ り,被 害 者 の 保 護 を 図 り,も っ て 国民 生 活 の安 定 向上 と国 民経 済 の 健 全 な 発 展 に寄 与 す る こ とを 目的 とす る。. 2.1.1趣. 旨. 本 状 は,本 法 の 直接 の 目的 と して,製 造 物 の 欠 陥 に よ り被 害 が 生 じた場 合 に お け る 「被 害 者 の保 護 」 を あ げ,さ. らに これ に よ って 達 成 され る こ とが 期 待 さ. れ る 目 的 と して,「 国 民 生 活 の 安 定 向 上 と 国民 経 済 の 健 全 な 発 展 に 寄 与 す る こ と」 を 掲 げて い る 。 一94.

(3) 新製品の開発(第5報) 2.2第. 二 条(定 義). この 法 律 にお いて 「製 造 物 」 とは,製 造 又 は加 工 され た動 産 を 言 う。. 2こ. の 法 律 にお いて 「欠 陥 」 とは,当 該 製 造 物 の特 性,そ. の通 常 予 見 され. る使 用 形 態,そ の 製 造 業 者 等 が 当該 製 造 物 を 引 き渡 した 時期 そ の他 の 当該 製 造 物 に 係 る事 情 を 考 慮 して 当該 製 造 物 が 通 常 有 す べ き安 全 性 を欠 い て い る こ とを い う。 3こ. の 法 律 にお いて 「製 造 業 者 等 」 とは,次 の いず れ か に該 当す る者 を い. う。 一. 当 該 製 造 物 を業 と して 製 造 ,加 工 又 は輸 入 した 者(「 以 下 単 に 「製 造 業者 」 とい う)。. 二. 自 ら当 該 製 造 物 の 製 造 業 者 と して 当 該 製 造 物 に そ の 氏 名,商 号,商 標 そ の 他 の 表 示(以. 下 「氏 名 等 の 表 」 と い う。)を した者 又 は 当該 製 造 物. に そ の 製 造 業 者 と誤 認 され るよ うな 氏 名 等 の 表 示 を した 者 三. 前 号 に掲 げ る者 の ほか,当 該 製 造 物 の 製 造,加 工,輸 入 又 は販 売 に係 る形 態 そ の他 の 事 情 か らみ て,当 該 製 造 物 に そ の 実 質 的 な 製 造 業 者 と認 め る こ とが で き る氏 名 等 の 表 示 を した 者. 2.2.1製 2.2,1.1趣. 造 物 の 定 義(第1項) 旨. 製 造 物 責 任 は,科 学 技 術 が進 歩 す る 中 で,大 量 生 産 ・大 量 消 費 され る工 業 的 製 品 にっ い て,消 費者 の安 全 性 が,製 品 の 製造 業 者 に 依 存 す る度 合 い が 高 ま っ て き た と い う背 景 の も と,製 品 関 連 事 故 に っ い て の 損 害 賠 償 責 任 原 則 を 「過 失 」 か ら 「欠 陥 」 に転 換 す る もの で あ る。 この よ うな 背 景. 沿 革 を 踏 まえ,本. 法 は,基 本 的 に,人 為 的 な操 作 や処 理 が な され 引 き渡 され た動 産 を 対 象 と した もの で あ る。 一95一.

(4) 2.2.2欠. 陥 の 定 義(第2項). 2.2.2.1趣. 旨. 本 法 に お け る欠 陥 と は,広 義 の 蝦 疵(民 法570条. の暇疵担保責 任にお け る. 蝦 疵)に 含 ま れ るが,安 全 性 とか か わ る損 害 を 生 じな い よ うな単 な る品 質 の綴 疵 が,本 法 の対 象 とは な らな い 。. 2,2,3製. 造 業 者 等 の 定 義(第3項). 2.2.3.1趣. 旨. 製 造 物 責 任 は,現 代 社 会 に お け る大 量 生 産 ・大 量 消 費 と い う現 象 に伴 う被 害 者 の救 済 を 目的 と して い る もの で あ り,ま た,信 頼 責 任,危 険 責 任,報 償 責 任 な どが 全 体 と して過 失 責 任 か ら欠 陥 責 任 へ の 転 換 の 根 拠 と され て い る こ とを勘 案 す る と,そ の 責任 主体 の範 囲 に つ い て は,業 と して 製 造,加 工 も し くは輸 入 した者 又 は製 造 物 に 一定 の 表 示 を した 者 を 含 め る こ とが 適 当 で あ る。. 2.3第. 三 条(製 造 物 責 任). 製 造 業 者 な ど は,そ の 製造,加. 工,輸 入 又 は 前 条 第 三 項 第 二 号 若 し くは第 三. 号 の 氏 名 等 の表 示 を した 製造 物 で あ って,そ の 引 き渡 した もの の 欠 陥 に よ り他 人 の 生 命,身 体 又 は 財産 を侵 害 した と きは,こ れ に よ って 生 じた 損 害 を賠 償 す る責 め に任 ず る 。 た だ し,そ の損 害 が 当 該 製 造 物 に っ い て の み 生 じた と きは, こ の限 りで な い 。. 2.3.1製 2,3.1.1趣. 造物責 任 旨. 本 条 は,製 造 業者 等 が 負 う製 造 物 責 任 の 責 任 根 拠 規 定 で あ り,故 意 又 は過 失 を責 任 要 件 とす る不 法 行 為(民. 法709条)の. る損 害 賠償 責任 を 規 定 した もの で あ る。 一96一. 特 則 と して 欠 陥 を責 任 要 件 と す.

(5) 新製 品の開発(第5報) 2.3.2損. 害賠償の範囲. 2.3.2.1趣. 旨. 本 法 に 基 づ く損 害 賠 償 請 求 権 は 損 害 の 発 生 を 当 然 に要 件 とす る も の で あ る が,そ. の範 囲 に つ い て は,基 本 的 に は不 法 行 為 責 任 で 採 用 され て い る相 当因 果. 関 係 に よ り判 断 され る。 た だ し,い わ ゆ る 「拡 大 損 害 」 が 発 生 して い な い 場 合 の製 造 物 自体 の 損 害 は,本 法 の 賠 償 責 任 の 対 象 と して い な い 。 2.4第. 四条(免. 責 事 由). 前 条 の 場 合 に お い て,製 造 業 者 等 は 次 の 各 号 に掲 げ る事 項 を 証 明 した と き は,同 条 に規 定 す る賠 償 の責 め に任 じな い 。 一. 当該 製 造 物 を そ の製 造 業 者 等 が 引 き渡 した 時 に お け る科 学 又 は技 術 に 関 す る知 見 に よ って は,当 該 製 造 物 に そ の欠 陥 が あ る こ とを認 識 す る こ とが で き なか っ た こ と。. 二. 当 該 製 造 物 が 他 の製 造 物 の部 品 又 は原 材 料 と して使 用 され た場 合 に お いて,そ の 欠 陥 が 専 ら当該 他 の製 造 物 の製 造 業 者 が 行 った設 計 に関 す る 支 持 に従 っ た こ と に よ り生 じ,か っ,そ の 欠 陥 が 生 じた こ と につ き過 失 が な い こ と。. 2.4.1本 本 条 は,第3条. 条の趣 旨 に 基 づ き製 造 業 者 等 が 製 造 物 責 任 を 負 う場 合 に,当 該 製 造 業. 者 が 一 定 の 事情 を 立 証 す る こ とに よ って,第3条. に規 定 す る賠 償 の 責 め を 免 ず. る趣 旨 で あ り,民 法 そ の 他 の 法律 に よ って 生 じた 損 害 賠 償 責 任 にっ いて まで 効 力 が 及 ぶ もの で は な い 。 具 体 的 に は,い わ ゆ る 「開 発危 険 の 抗弁 」及 び いわ ゆ る 「部 品 ・原 材 料 製 造 業 者 の 抗 弁 」 の2っ を規 定 して い る。. 一97一.

(6) 2.4.2開. 発 危 険 の抗 弁(第1号). 2.4.2.1趣. 旨. 開 発 危 険 と は,製. 品 を 流 通 に 置 い た 時 点 に お け る 科 学 ・技 術 知 識 の 水 準 に. よ って は,そ こ に内 在 す る欠 陥 を発 見 す る こ とが不 可 能 な 危 険 を い う。 この よ うな 開 発 危 険 にっ いて ま で製 造 業 者 等 が 責 任 を負 う こ と とす る と,研 究 ・開 発 及 び技 術 開 発 が 阻 害 され,ひ. いて は消 費 者 の実 質 的 な利 益 を損 な う こ とに な り. か ね な い こ とか ら,当 該 欠 陥 が 開 発 危 険 に相 当す る こ とを製 造 業 者 等 が 立 証 し た と き製 造 業 者 等 を 免 責 す る開 発 危 険 の 抗 弁 が 必 要 で あ る。 ま た,開 発危 険 を 抗 弁 と して 明 示 す る こ と に よ り,高 度 な科 学 ・技 術 知 識 に係 る予 見可 能 性 に 関 す る証 明 責 任 が 製 造 業 者 等 に 帰 す る こ とが 明 らか に な り,審 理 の迅 速 化 に 資 す る と考 え られ る。 な お,諸 外 国 に お い て も多 くの 国 で 開 発 危 険 の 抗 弁 が 認 め られ て い る。. 2.4,3部 2.4.3.1趣. 品 ・原 材 料 製 造 業 者 の 抗 弁(第2号) 旨. 製 造 物 責 任 が 当該 製 造 物 の 欠 陥 の 存 在 に 着 目 して 損 害 賠 償 責 任 を 認 め る もの で あ る以 上 製 品 ・原 材 料 とい え ど も,欠 陥 が 存 在 した場 合 に は,そ の 製 造 業 者 は損 害 賠 償 責 任 を 負 う こ とと な る。 しか し,① その 部 品 ・原 材 料 が 組 み込 ま れ るる他 の 製 造 物 の 製 造 業 者 が 行 う 設 計 に関 す る指 示 に従 わ ざ る を得 ず,そ. れ ゆ え に 欠 陥 が 生 じる と い う ケー スが. あ り得 る こ と,② 指 示 に従 っ た部 品 ・原材 料製 造 業 者 に っ い て は,指 示 を した 製 造 業 者 と同 程 度 の 欠 陥 の 回 避 可 能 性,ひ. い て は帰 責性 を 問 う こ とは 適 当 で は. な く,公 平 性 を 欠 く もの と考 え られ る。 この た め,か か る部 品 ・原 材 料 製 造 業 者 にっ い て は,そ の 欠 陥 が これ らを 組 み込 ん だ他 の 製 造 物 の 製 造 業 者 が 行 った設 計 に 関す る指 示 の み に 起 因 す る もの で あ り,そ の 欠 陥 の 発 生 にっ いて 過 失 が な か った こと を 証 明 した と き は,政 策 一98一.

(7) 新製品の開発(第5報) 的 観 点 か ら,そ の責 任 を 免 責 す る こ と と した もの で あ る。. 2.5第. 五 条(期. 間 の制 限). 第 三 条 に規 定 す る損 害 賠 償 の請 求 権 は,被 害 者 又 は そ の法 定 代 理 人 が損 害 及 び 賠 償 義 務 社 を 知 っ た時 か ら三 年 間行 わ な い と き は,時 効 に よ って消 滅 す る。 そ の 製造 業 者 等 が 当 該 製 造 物 を 引 き渡 した時 か ら十 年 を経 過 した とき も,同 様 とす る。. 2前. 項 後 段 の期 間 は,身 体 に 蓄 積 した 場 合 に人 の 健 康 を 害 す る こ とと な る. 物 質 に よ る損 害 又 は 一 定 の 潜 伏 期 間 が 経過 した 後 に症 状 が 現 れ る損 害 につ い て は,そ の 損 害 が 生 じた 時 か ら起算 す る。. 2.5.1趣. 旨. 本 条 は,法 的 安 定 性 の確 保 の必 要 性 等 を勘 案 し,一 定 の期 間 の 経 過 に よ り, 第3条 に 基 づ く被 害 者 の 損 害 賠 償 請 求 権 を 制 限 す る趣 旨で あ る。. 2.6第. 六 条(民 法 の 適 用). 製造 物 の 欠 陥 によ る製 造 業 者 等 の 損 害 賠 償 の 責 任 につ いて は,こ の法 律 の 規 定 に よ るほ か,民 法(明 示 二 十 九 年 法 律 第 八 十 九 号)の 規 定 に よ る 。. 2.6,1趣. 旨. 本 条 は,本 法 が 過 失 責 任 主 義 に 基 づ く民 法 の 不 法 行 為 責 任 制 度 に加 え て,新 た に欠 陥 を 責任 原 因 とす る不 法 行 為 責 任 制 度 で あ る製 造 物 責 任 制 度 を導 入 す る もので あ って,民 法 の 不 法 行 為 責 任 制 度 の 特 則 とな る もの で あ り,本 法 に特 段 の 定 め が な い 事項 に つ い て は,民 法 の 規 定 が 適 用 され る こ とを 明 らか に して い るQ -99一.

(8) 民 法 の 規 定 に よ る と ころ と な る規 定 の 例 と して は,① 過 失 相 殺(民 条2項),②. 複 数 の 責 任 主 体 の 関 係(民. 法722条1項,417条)な. 2.7附 1こ. 法719条),③. 法722. 損 害 賠 償 の 方 法(民. どが あ る。. 則(施 行 期 日等) の 法 律 は,公 布 の 日か ら起 算 して一 年 を経 過 した 日か ら施 行 し,こ の. 法律 の 施 行 後 に そ の 製 造 業 者 等 が 引 き渡 した製 造 物 にっ い て適 用 す る。. 2.7。1施 (1)「. 行 期 日等(第1項) この 法 律 は,公 布 の 日か ら起 算 して一 年 を経 過 した 日か ら施 行 し」. の意義 附 則 第1項 に お いて は,本 法 の施 行 期 日を公 布 の 日か ら起 算 して 一 年 を 経 過 した 日か ら施 行 し,こ の法 律 の施 行 後 に製 造 業 者 等 が 引 き渡 した 製 造物 に つ い て 適 用 す る こ とを 規 定 して い る。 周 知 ・対 応 準 備 期 間 にっ い て は,製 造 物 責 任 とい う概 念 が我 が 国 で は 全 く新 しい もの で あ る こ と,裁 判 規 範 の み な らず 行 為 規 範 と して も機能 す る もの で あ り,社 会 一 般 に広 範 な影 響 を与 え る もの で あ る こ とか ら,早 い段 階 か ら関 係 者 に 新 しい制 度 の 内容 の 周 知 及 び対 応 準 備 の た め の期 間 を 示 す とい う観 点 か ら, 期 間 を 法 律 の 附 則 で 確 定 す る とと もに,そ の期 間 を1年 これ に よ り,本 法 は平 成7年7月1日 6省1庁. か ら施 行 さ れ る こ とに な る。. に よ る解 説 中 の趣 旨 は上 記 の通 りで あ る。. 一100一. と した もの で あ る。.

(9) 新製品の 開発(第5報) 3.製. 品 開発. 3.1テ. レ ビ出火 訴 訟. 3.1.1事. 件 の概 要. 1986年 か ら1987年6月. まで に約84,000台 生 産 され た松 下 電 器 制TH-21SI型. の21型 カ ラー テ レ ビが 出火 。 原 告 は大 阪 府 八 尾 市 の建 設 会 社,太 子 建 設 工 業株 式 会 社(畑 本. 登 社 長)。1988年3月8日15時50分. 頃 に 火 災 が 発 生,同 社 事 務. 所 約40平 方 メ ー トル を 全 焼 した 。 同 テ レ ビは同 社 の代 表 者 の友 人 か ら寄 贈 され た もの で 購 入 して8ヶ 月 しか 経 過 して いな か っ た。 火 災 の発 生 時 に は主 電 源が コ ンセ ン トよ りONの. 状 態 に あ るが リモ ー トコ ン トロー ル 映像 ・音 声 を 切 っ. た状 態 で,受 像 状 態 に はな か った 。 同 テ レ ビが 設 置 され た応 接 室 の隣 接 の 部 屋 で 執 務 して い た 社 長 が 応 接 室 よ り,異 常 な 物 の は じけ る様 な音 を 察 し,応 接 室 の 様 子 を 確 認 した と こ ろ,テ. レ ビ本 体 後 部 よ り黒 煙 の 発 生 を 認 め119番 に 通 報. し,直 後 電 源 コー ドを コ ンセ ン トよ り引 き抜 き電 源 をOFFに,そ. の 時 コ ンセ. ン トは熱 を帯 び て は い な か った。 当 社 員 は そ の 時,念 の た め ブ レカ ーを 切 り重 要 書 類 等 を 携 帯 の上,屋. 外 に避 難 した 。 テ レビ は全 く原 形 を と どめ ず,テ. レビ. 設 置 の 床 カ ーペ ッ トに は深 く焼 け た 部分 は な か った 。 か か る結 果 か ら 「テ レ ビ の 欠 陥 に よ る 出火 が 原 因 で事 務 所 が 全 焼 した 」 と して,テ. レ ビ製 造 元 の 松 下 電. 機 産 業 を 相 手 に,製 造 物 責 任 を問 い約730万 円 の 損 害 賠 償 を 求 め た。. 3.1.2判 1944年3月29日. 例 の概 要 大阪地方裁判所水野. 武 裁 判 長 は,家 電 等 の工 業 製 品 の 製. 造 物 責任 に っ い て 「製 品 の欠 陥 が 認 め られれ ば,製 造 者 の過 失 が 推 定 され る」 との 初 判 断 を 示 した うえ で,判 決 は まず,火 災 の原 因 に っ い て,目 撃 証 言 や, 焼 け跡 の状 況,他 の 原 因 を否 定 す る消 防 署 の 報 告 書 な ど か ら 「火 災 は テ レ ビ本 体 の発 火 に よ る」 と認 定 。 「不 正 に使 っ た た め電 源 コー ドか ら火 が 出 た 」 との 一101一.

(10) 松 下 側 の 主 張 を退 け た 。 次 に,テ. レ ビの よ うな規 格化 され た 工 業 製 品 の 製 造物 責 任 っ い て,利 用 方 法. に 問題 が な い場 合,「 社 会 通 念 上,製 品 に要 求 され る安 全 性 を 欠 き,相 当 に危 険 な ら欠 陥 が あ る と い うべ き」 で,「 欠 陥 が 立 証 され れ ば,製 造 業 者 に過 失 が あ っ た と推 定 で き る」 と した 。 ま た,水 野 裁 判 長 は 「利 用者 は そ れ以 上,欠 陥 原 因 な ど具 体 的 内 容 を 解 明 す る責 任 は負 わず,製 造 者 が 責任 を 免 れ るに は この 推 定 を 覆 す 必 要 が あ る 」 と述 べ た。 そ の うえ で,問 題 の テ レ ビが 購 入 か ら約 八 ヵ月 後 に通 常 の 利 用 で 発 火 した こ とか ら 「テ レ ビに は 欠 陥 が 認 め られ る」 と判 断 。 「松 下 側 が 原 因 を 解 明 して いな い以 上,欠 陥 の あ る製 品 を 流 通 させ た過 失 が 推 定 さ れ る」 と結 論 付 け,約440万. 3.2今. 年 の 支払 を命 じた。. 後 の 開 発 に お け る対 応. 本 法 で は,第 四 条 免 責 事 由で 企 業 が 製 品 を 出 荷 す る際. そ の時 点 で の科 学 ・. 技 術 水 準 で は 欠 陥 の 予 測 が 困 難 と立 証 され れ ば 免 責 と な る 「開発 危 険 の抗 弁 」 「部 品 ・原 材 料 製 造 業 者 の 抗 弁 」 を認 め る一 方 で,大 阪 地 方 裁 判 所 は2.2で 挙 げ た製 造 物 の 定 義 を 踏 まえ 「製 造 の 欠 陥 が 認 め られ れ ば,製 造 者 の過 失 が 推 定 され る」 判 断 は 「本 法 か よ り企 業 寄 り」 と い う批 判,消 費 者 救 済 の実 効性 の 向上 か ら,特 に 「推 定 規 定 」 にっ いて 証 明 負 担 軽 減 の た め の 判例 とな る。. 3.3水. 処 理 メ ー カ ーの 対 応. 市 場 に は,浄. 水 器,整. 水 器,高. 度 水 処 理 装 置 な ど約130種 以 上 の 商 品 が 出. 回 って い る。 警 備 補 償 会 社 セ コ ム(東 京)の. 「セ コ ム安 全 水 ホ ー ム ユ ニ ッ ト」. で つ く られ た 試 飲 用 の 「セ コ ム安 全 水 」 に は規 制 値 以 上 の 一 般 細 菌*D約1万 個 以 上 が 検 出 され た こ と(朝. 日新 聞,1994,3,17),又,商 102一. 品 テ ス トした ほ.

(11) 新製品の開発(第5報) とん ど の浄 水 器,イ オ ン整 水 器 で,使 用 開 始 後 ま もな く水 道 水 の 水 質 基 準 を 超 え る雑 菌 が 繁 殖 す る こ と が 分 か った と 国 民 生 活 セ ンタ ー(東 京 都 港 区)発 表 (1994,11,7)。1994年9月20日. に不 渡 り を 出 し,事 実 上 倒 産 した ジ ャニ ッ. ク ス(神 奈 川 県 厚 木 市)。 同 社 は ア ル カ リイ オ ン整 水 器 を主 力 製 品 と して 急 成 長 を な し,1993年 度 に は77億 円 を売 り上 げ,店 頭 公 開 を計 画 ま で した企 業 で あ る。 負 債 総 額 は56億 円和 議 で再 建 を 目指 して い る 。 アル カ リイオ ン整 水 器 は,器 内 に カ ル シ ウム源 で あ る グ リセ ロ リ ン酸 カ ル シ ウ ムあ る い は乳 酸 カ ル シウ ム(食 品添 加 物)な 水 を 通 して,更. ど を容 器 に入 れ て設 置 し,水 道. に通 電 す る こと に よ り食 品添 加 物 が 電 気 分 解 を受 け て酸 性水 と. ア ル カ リ性 水 を 生 成 す る。 ア ル カ リ性 水 は飲 む と,不 足 気 味 な カ ル シ ウ ムの 摂 取 が 出 来,体 質 改 善,胃 腸 へ の制 酸 効 果 が あ り,酸 性 水 は非 飲 用 で ア ス トリゼ ン効 果 が あ る と して 化 粧 水 や ま な板 な ど の殺 菌 に使 え る と云 う謳 い文 句 で 販 売 され て い た 。 ち な み に 日本 人 の1日 の カ ル シ ウム 摂 取 目標 は800mgが 望 ま しい こ と。 制 酸 効 果 が 期 待 出来 る量 は1日204以. 上 飲 用 す る。 一 方,日 本 で 肌 に良. い と云 わ れ る温 泉 の ほ とん ど は弱 アル カ リ性 温 泉 で,酸 性 温 泉 は皮 膚 病 の 治 療 な どに 有 効 と され,謳. い文 句 と は若 干 異 な る。. この様 な トラ ブル,一 般 細 菌 の 問 題,効 用 の 問 題 な ど は少 し科 学 を 勉 強 す れ ば 充分 理 解 で き る事 で もあ る し,当 該 分 野 の 専 門 家 あ る い は研 究 者 で あれ ば 充 分 予見 され る こ とで もあ る。 現 時 点 で は一 般 細 菌 で あ る た め即 座 に健 康 を 害 す る とは考 え に くい が,た か ったが,そ 第 三 条,第. また ま,汚 染 が 一 般 細 菌 で あ った ため 事 故 と は な らな. れ が病 原性 細 菌 例 え ば 大 腸 菌 等 で あ れ ば 明 らか に本 条,第 二 条,. 四条 な どに抵 触 す る と考 え られ る。. しか し,最 近,同 様 な 商 品 が 改 善 され る こ と もな く広 告 で ア ピー ル して い る。 か か る行 為 は消 費者 に対 す る背信 行 為 で もあ る。 メー カー は 目前 の 利 益 の み を 追 求 す るの で は な く,本 条第 一条 の 目的 に 合致 した 製 品 造 りを 目指 す べ き で あ る。 一103一.

(12) 4.お. わ りに. 今 回,テ. レ ビの 出 火 事 故,浄 水 器,ア. ル カ リイ オ ン整 水 器 の一 般 細 菌 汚 染,. 効 用 の 不確 定 さな ど につ いて 検 討 したが,特. に,浄 水 器 ア ル カ リイ オ ン整 水 器. に つ い て は,一 般 細 菌 で はな く病 原 性 細 菌 の 場 合 で あれ ば,明. らか に製 造 物 責. 任 法 に抵 触 す る。 後 者 にっ いて は設 計 の 段 階 か ら改 善 努 力 し,よ り完 成 度 の 高 い製 品 を 製造 す べ きで あ る。. *1)水. 道 法 で は一 般 細 菌 は100個 以 下/1ml中,大 定 め られ て い る。. 腸 菌 群 は 検 出 され て は い け な い と.

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