Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
歯科疾患の疾病構造の変化と口腔衛生
Author(s)
松久保, 隆
Journal
歯科学報, 113(4): 412-412
URL
http://hdl.handle.net/10130/3184
Right
わが国で最初の口腔衛生学の講義は奥村鶴吉教授によって大正2,3年(1913,14)に歯科学講義の1冊と して先に刊行された口腔衛生学を用いて始められた。衛生学の講義は大正11年(1922)に高野六郎教授によっ て始められた。昭和22年(1947)にはわが国の最初の口腔衛生学教室(奥村鶴吉学長,主任教授),昭和28年 (1953)には衛生学教室(奥村鶴吉主任教授)が創設され,研究活動が開始された。昭和33年(1958)には本 学に大学院が設置され,衛生学講座(上田喜一主任教授)が創設され,昭和37年(1962)には口腔衛生学講座 (奥村鶴吉記念口腔衛生学教室)が衛生学講座から独立し,竹内光春先生が主任教授に就任,昭和55年 (1980)には高江洲義矩先生が主任教授に就任した。平成2年(1990)に大学の命により衛生学講座と口腔衛 生学講座は合併し,衛生学講座(主任教授:高江洲義矩)となり,現在に至っている。 私が口腔衛生学・衛生学講座に在籍した40年間のうち特にこの10年間の変化は大きい。はじめにわが国の公 衆衛生活動の中に「歯・口腔の健康」の重要性が認識されたことがあげられる。「歯科口腔保健の推進に関す る法律」が公布され,「口腔の健康は国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たして いる」と明記された。第2次の健康日本21では,「歯・口腔の健康」は,国民の健康の推進を実現するための 基本的要素として位置づけられた。ついで,わが国の歯科疾患がこの四半世紀に疾病構造の変化ともいえるほ ど劇的に変化したことがあげられる。すなわち,乳幼児から学齢期の齲蝕が減少し,成人および高齢者の現在 歯数が急激に増加した。また,成人や高齢者においては PMTC を含む口腔の清掃が,口腔細菌数の減少や歯 周組織局所の炎症を抑制することによって,循環器疾患,糖尿病,呼吸器の感染症の予防方法のひとつとして 認識された。 この大きな変化は,第一次の健康日本21では80項目の目標設定のうち,最終段階で目標値に達していたのは 10項目で,そのうち半数が「歯の健康」に関する目標であったことに示されている。これは歯科保健医療従事 者がわが国の公衆衛生に果たした役割が如何に大きかったかを示している。この講演では,歯科疾患の疾病構 造の変化と今後の口腔衛生の課題について述べてみたい。 ≪プロフィール≫ <略 歴> 1967年 東京歯科大学入学 1973年 東京歯科大学卒業 歯学士(歯科医籍 63550) 1977年 東京歯科大学大学院歯学研究科修了(歯学博士 の学位受領) 東京歯科大学口腔衛生学講座助手 1978年 東京歯科大学口腔衛生学講座講師 1979年 東京歯科大学口腔衛生学講座助教授 1982年 アメリカ合衆国カルフォルニア大学サンフラン シスコ校(UCSF)歯学部 客員助教授(1983 年2月まで) 2001年 東京歯科大学衛生学講座主任教授 2010年 東京歯科大学図書館長 現在に至る <学会ならびに社会活動> 日本歯科医学会評議員(2005年4月−2008年3月まで) 日本口腔衛生学会評議員,理事 第56回日本口腔衛生学会総会大会長(2007年) 日本口腔衛生学会認定医・指導医(地域保健,予防歯科) 全国歯科大学口腔衛生学教授協議会会長(2008年∼2011年) 日本咀嚼学会常任理事(2012年まで) 日本全身咬合学会常任理事,理事・編集委員,指導医 第20回日本全身咬合学会総会大会長(2010年) 口腔保健用機能性食品研究会理事 日本トウースフレンドリー協会理事 <主な著書> 口腔衛生学2012(一世出版) 衛生学・公衆衛生学(医歯薬出版) 口腔保健マニュアル(南山堂) 歯を守る甘味料(TP ジャパン) 咀嚼の本―噛んで食べることの大切さ― 日本咀嚼学会 編(口腔保健協会)