Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
歯周病におけるPCR-Invader 法を用いた唾液中の歯周病
原菌の検出
Author(s)
佐々木, 脩浩; 佐々木, 紀子; 廣瀬, 立剛; 廣瀬, 邦子;
西村, 優; 小林, 史卓; 太田, 亮輔
Journal
歯科学報, 112(2): 158-158
URL
http://hdl.handle.net/10130/2713
Right
目的:歯周病・インプラント歯周炎は宿主因子,環 境因子および歯周病原菌により引き起こされる慢性 炎症性疾患であり,歯周病原菌の検出は歯周炎の診 断および治療の効果判定に有用である。今回,我々 はインプラント治療を予定している歯周病患者を対 象とし,その歯周病原菌レベルを解析する目的で唾 液中に含まれる歯周病原菌の検出と定量を試みた。 方法:平成19年3月26日より平成24年3月31日の間 に,インフォームドコンセントを得た患者78名(男 性21名,女性57名)を対象とした。内訳は7mm 以 上の歯周ポケットを有する慢性歯周炎患者28名(平 均年齢59.5歳),6mm 以下の歯周ポケットを有す る慢性歯周炎患者39名(平均年齢56.0歳),健常な 歯周組織を有する対象者11名(平均年齢58.2歳)で あった。被験者の残存歯数,プロービングデプス, プラークインデックス,プロービング時の出血歯面 数(BOP)等の歯周炎の指標を測定すると共に, 喫煙累計本数についても調査した。被験者の刺激唾 液中の歯周病原菌の菌量は,株式会社ビー・エム・ エ ル に 外 注 し て PCR-Invader 法 を 用 い て6菌 種 Aggregatibacter actinomycetemcomitans, Porphy-romonas gingivalis(P. g.),Tannerella forsythia (T. f.),Treponema denticola, Prevotella
interme-dia, Fusobacterium nucleatum について行った。
成績:7mm 以上の歯周ポケットを有する患者群で は P. g.および T. f.の占める割合(0.27%)が6mm 以下の歯周ポケットを有する患者群(0.03%)およ び健常者(0.03%)に比べ非常に高かった。歯周病 患者のうち,7mm 以上の歯周ポケットを有する患 者群では6mm 以下の歯周ポケットを有する患者群 に 比 べ,統 計 学 的 に 有 意 に BOP,プ ラ ー ク イ ン デックスの値および喫煙累計本数が高かった。 考察:唾液中の P. g.および T. f.の占める割合は歯 周炎の状態と関連し,これらの菌種の検出は歯周炎 のリスク判定に有用であることが示唆された。さら に,インプラント周囲炎のリスクの点からも,イン プラント治療以前に検査を行う必要があると考えら れた。 目的:近年,インプラント治療は欠損補綴の一手段 としての地位を確立し,広く用いられている。しか し,インプラント体は生体にとって非自己であり, 上皮を貫通し外界と交通をした環境を形成するた め,細菌や外来性物質に対する防御機構が弱く,慢 性的に炎症を来たすことから,インプラント周囲上 皮への影響が問題となっている。口腔粘膜上皮から 由来するインプラント周囲上皮の病理組織学的な報 告は数多くなされているが,分子生物学的な検討に 関しては少ない。そこで今回我々は,ゲノムレベル で遺伝子発現の比較が行えるマイクロアレイ法を用 いて,インプラント周囲上皮の遺伝子の発現変化を 検討し,インプラントが口腔粘膜上皮に及ぼす影響 を明らかにする事を目的とした。 方法:4週齢の雄性 S-D 系ラットを用い,上顎両 側第一大臼歯を全身麻酔下にて抜歯し,右側にのみ 直径1.3mm 長さ4mm のチタン製インプラントを 埋入した。4週後に実体顕微鏡下にてインプラント 周囲上皮(PIE 群)及び,反対側の抜歯窩治癒後の
口腔粘膜上皮(OE 群)を採取し,total RNA を抽 出した。One-Cycle 法にて cDNA を合成し,aRNA 精製,fragmentationの後にGeneChipⓇ
; Rat Genome 230 2.0 Array と hybridization を行った。GeneChip の洗浄・染色を行い,スキャニング後,GeneSpring GX にてデータの解析を行った。 成績および考察:シグナル強度比が Fold 値3.0以上 の遺伝子を未解析のものも含めて検索した結果, PIE 群に発現上昇したものが296個であったのに対 して,OE 群では29個であった。PIE 群で発現上昇 した遺伝子には上皮の構成成分であるケラチンに関 する遺伝子の他に,炎症・免疫に関与する IgG-2 a (Fold 値99.6),Cxcl9(16.6)が み ら れ た。こ の ことから口腔粘膜上皮と比較して,インプラント周 囲上皮は炎症や免疫などの生体反応によって様々な 遺伝子発現の上昇が惹起されていることが示唆され る。今後は RT-PCR 法,免疫組織化学染色などを 用いて,これらの遺伝子の局在や定量を行なってい く予定である。