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看護技術のエビデンスの探求

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Academic year: 2021

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看護技術のエビデンスの探究

た み 子

は じ め に 看護活動には看護を提供するための手段としての看護 技術が必要不可欠である. しかし, 看護実践の基盤であ る看護技術は, 今日なお, 経験的な技として成り立って 来た部 から脱皮し切れていない部 があることを否め ない. その理由は, 方法の根拠および実践の効果に関し て普遍的な意味づけがなされないままに, 殆ど従来の方 法が踏襲されてきていることがあげられる. 私は長年の看護学教育において基礎技術教育を担当し てきた中で, 経験的知識に基づくことは決して意味のな いことではなく, 科学的な裏付けが不十 としても, そ の方法や効果については経験的に有効であるからこそ, 現在臨床で活用されているものであると えている. そ の視点から, 看護の日常的ケアの中で多くの心身への効 果を期待して行われる清潔ケアの中の清拭技術に関する 研究をおこない, 方法の有効性を検証するとともに, 清 潔ケアに含まれる要素の各々の心身への効果を明らかに することに取り組んできたので, その経緯と看護の可能 性について記す. 清拭技術の方法に関する疑問から 清拭技術は清潔を保つことのみならず, 局所及び全身 の循環促進効果も期待されて行われる. 基礎技術教育で は, 従来から特に四肢は末梢静脈還流の促進という目的 で末梢から中枢方向へ, 腹部は腸管蠕動促進のために腸 管の走行に って拭くというようにいわれてきている. このことは, 私どもが, 拭くことによる循環促進効果が どれだけあるのかということに疑問をもち研究として取 り組む まで, 拭き方の根拠とされて疑問を持たれたこ とはなかった. 解剖学的に えて, また運動などが少ない状態の場合, 拭くことによる物理的な力で静脈還流は促進されるであ ろうということは納得できるが, どの程度の圧力でどの ように効果が異なるのかというように科学的な視点でそ の根拠の確かさを えることは全くなかったのである. ゆえに, 提供する清拭技術に循環促進効果があるつもり で行っていても, どうすればより効果が期待できるのか ということは明らかではなく, そのための方法を検討す ることも意識化していなかったと思われる. また, 技術 教育では, 清拭の基本方法として教えるので, どのよう な状態のひとにも同じ方法が行われることになることに 関しても疑問が生じ, 個別に必要なケアを効果的に効率 的に提供して目的を達成するためには, 清拭技術の要素 を 析し, 要素毎の効果を科学的に検討する必要性があ ると えた. 清拭技術の要素と心身への効果 清拭技術に含まれる要素には, 湯温を用いることから 温度,拭くことによる摩擦力 (圧力)の大きさと方向があ る. 末梢から中枢, 中枢から末梢, 往復の 3種類の拭く方 向と温度による末梢皮膚血流量への影響を検討した結 果, 拭く方向は 3種間において相違が認められなかった が, 温度の影響は血管を拡張させ皮膚血流量に影響する ことが認められた. しかし, 拭く方向によって心地よさ に違いがあるようだという発見があった. また, 拭くこ との影響は短時間であるが温度は長時間効果が持続する ことが明らかとなった. 従来拭く方向のみを静脈還流への効果としていたが, 327 Kitakanto Med J 2008;58:327∼328 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 平成20年6月6日 受付 論文別刷請求先 〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 田たみ子

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皮膚血流量への影響は温度の効果が大であることが示さ れたことから, 拭く方向のみならず清拭技術に含まれる 各要素について, 各々の効果を生理的・心理的の両面か ら検討することの必要性が示された. 清潔ケアの効果については, 入浴時の状況から湯温の 影響と自律神経系や循環器系への効果などの報告 が なされている. 清拭の拭き方に関する報告 も行われて きた. また, 私も異なる圧力・温度, 年齢や性別による効 果の違いについて皮膚血流量, 自立神経系の活動への影 響について検討を続けている. また, これらの研究への 取り組みは, 看護技術教育における教育内容の見直しと 教員の看護技術に対する え方への影響が少なからず あったと感じている. お わ り に 清拭技術の要素の生理的効果と併せて, 心地よさとい う視点も, 看護技術の評価に大切なことである. 生理的 に効果が示された方法であったとしても, そのケアを受 けたときに不快や苦痛を伴うものであっては良い結果を 生むことは期待できない. 受け入れられてこそ有効性が 発揮できるものでもある. 看護技術の効果は生理的な客 観的評価と主観的感覚等の心理的評価の両側面から 慮 することも大切な視点である. 根拠に基づく看護実践 (EBN) の重要性が認識されて いる現在, 看護実践の根拠となる科学的な裏づけとなる 研究成果の重要性と必要性が高まってきている. 看護技 術に確かな意味を持たせ, 看護を受ける人々がもってい る生命力を高め, 康増進・疾病の回復に寄与する意義 ある看護を実践するためのエビデンスとなる成果を目指 して研究を進めたいと えている. 参 文 献 1) 田たみ子 : 清拭への援助技術 循環を促す清拭の技術 科学的知識, Nursing Today 5, 28-31, 1995.

2) Miwa C., et al: Human Cardiovascular Responses to a 60-min Bath at 40℃, Environmental Medicine. 38(1). 77-80, 1994. 3) 楊 隆哉,藤原孝之 : 入浴が及ぼす生理心理作用Ⅰ.脳波 の周波数解析, 日本看護研究学会雑誌 19(3), 43-50, 1996. 4) 中村久美子, 今留 忍 他 : 清拭時の摩擦方向が四肢の 循環に及ぼす影響について, 月刊ナーシング, 20(9), 148-153, 2000. 5) 須藤小百合, 青木 他 : 圧力の異なる末梢温湯清拭 が皮膚血流反応に及ぼす影響, 看護研究学会雑誌, 31(1). 121-128, 2008. 看護技術のエビデンスの探究 328

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