責任についての考察
一騰
亮 太 郎
内部統制 (internal control)又は内部統制 システム (internal control systeml が最近企業経営の重要な課題 となっていると 特 に大和鋸行ニュー ヨーク支店損失事件の株主代表訴訟において2000年9月 20日大阪地方裁判所が経営者に厳 しい判決 (以下大和銀行代表訴訟第一審判決)の を下 したことか ら,内 部統制 システムの構築 と実施 によるリスク管理やこれに 係 る経営者の責任が注 目されている。 また, どのように内部統制 システムを設 覇 営屍皆R管 景蜜暑言督号属霧吾 '監 視義務 を果た したことになるのか,が 検 またバ ブル崩壊以来多 くの不祥事や経営破綻 を経験 した日本企業が現在取 り 組 んでいることは道法経営である。道法経営のための コンプライアンス ・プロ 紅)ム の策定 と実施 も内部統制又 は内部統制 システムの課題であるとされてい る。 内部統制又 は内部統制 システムは企業経営の適法性の確保や経営監視の手段
としてと
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持
ること
ができるので, コ
ーポレート・ガバナンスとも関係力
ざ
ある
ものである。 本稿 は,(1)内 部統制 システム と取締役 の責任 に関する大和銀行代表訴訟 第一審判決の問題点,(2)1996年 米国デラウェア州の株主代表訴訟の判例で あるIn re Caremark lnternational,Inc.の要点,(3)内 部統制 システムに係 わる取締役 の注意義務,監 視義務の基準,(4)内 部統制 システムの構築 と実 施 についての取締役 の義務,(5)内 部統制 システムの有効性 についての取締 役 の責任,に ついて順 にとりあげて検討する。最後 に結びにかえて企業経営の あるべ き姿 についてふれる。内部統制システムと取締役 の
カロ166 冨 田光彦教授退官記念論文集 (第334号 ) I 本 稿 における問題点 大和銀行代表訴訟第一審判決 について本稿 として問題 と思 われる点 を列挙 し て,本 稿で とりあげる問題点の所在 を明 らかに してお きたい。 大和銀行代表訴訟第一審判決 については,次 の ような問題点 を指摘すること 力ざで きる。 会社 に損失が発生 した原因を,後 知恵 をもって内部統制 システムの不 備,不 適切 さにおいている。取締役 に,損 失発生 を防止する有効 なリ スク管理体制並 びに法令道守体制の構築 を解怠 した責任が,あ るとし 6 ) てい る。 そ こにお い て は,取 締役 の注意義務 ,監 視義務 の違反,任 務解 怠 とな る基準 が示 されてい ない。 取締役 の注意義務 ,監 視義務 の内容 と して,取 締役 は リス ク管理体制 7) 並 びに法令遵守の社内体制 を整備 し構築する義務がある,と している。 内部統制 システムの構築は取締役の義務であるとしているのであるが, 善管注意義務 の内容 をなす としているだけで注意義務,監 視義務 の履 行 との係 りを明 らかに していない。 リスク管理体制並 びに法令道守体制は,リ スク発生 (損失の発生,リ スクの顕在化又 は現実化)や 法令違反の発生 を防止するのに効果のあ 働 る有効 な もので なければな らない,と してい る。 この判決 は取締役 に内部統制 シス テムの フェイルセ イ フ的 な結果 の有 効性 の責任 を課 してい る ものであ る。 以上三つの問題点は互いに相関連する。問題の本質はいずれ も取締役の責任 に係 わる ものであ り側面 を異 にする ものである。いずれの論点 も, 会 社 に対す る損害の結果 を取締役の責任 ( 個人責任) に 帰するものである。以下 これ ら三 つの問題点 を論 じることによ り内部統制 システムの法的意義 を検討 したい と思 (3)
ヽ つ 内部統制 システム と取締役の責任 についての考察 167 II in re Caremark internationalにつ いて 米 国 デ ラ ウ エ ア 州 の 最 近 の株 主 代 表 訴 訟 判 例 で あ る I n r e C a r e m a r k 9 ) Internadonalを先ず検討 して本稿 における問題点 を見て行 きたい。
(1)こ の判例 を検討す る前 にGraham v.Allis Chalmers Mfg.Cざ│こ触 れな ければな らない。Allis Chalmers社事件 の判例 は1963年の ものであるが, 内部統制 システム と取締役 の監視義務の判例 としては リーデイングケー スである。 Allis Chalmers社は電気製品の製造販売業 を営 む従業員数三万人の大 会社であったが,価 格協定 と談合 を行 った として連邦反 トラス ト法違反 で同社 と4人 の従業員 (取締役でない)が 起訴 された直後 に,同 社の取 締役が株主か ら代表訴訟の提起 を受 けた ものである。株主の主張は,同 社は以前か ら一度ならず反 トラス ト法違反で当局 と同意審決 をしてお り, 今回の違反は従業員の違法行為 を監視する取締役の重大な不注意 (grOss inattendOn)であ り,取 締役の注意義務 には監視の内部 システム構築の 義務 を含 む,と い うものであった。 株 主 の主張 を認めないAllis―Chalmers事 件 のデ ラウェア州最高裁判決 1 1 ) の要点 は次 の通 りであ る。 (a)取 締役 の注 意 の基準 は,同 様 の状 況 にお ける通常人 の注意 であ る。 (b)取 締役 が従 業員 の監視 について責任 が あ る場合 は,従 業員 の違法行 為 につ いての明 白な危険信号 を意図的 に又 は不注意で無視す るな ど, 取締 役 に故 意又 は重大 な過失 が あ る場合 であ る。 (c)取 締役 は,何 かが起 っていて違法行為 の嫌疑 を抱 くこ とになる まで は,部 下 の正直 と無欠 を信頼 して もよいのであ り,何 かが起 こって い て もなお取締役 が何 も しない な らば,そ の場合 は取締役 に責任が 出て来よう。 しか し,そ のような嫌疑の理由がない場合は,嫌 疑を 抱 く必要がないような違法行為 までを探索するための社内防諜シス
1 6 8 冨 田光彦教授退官記念論文集 (第334号) テム を設 置 して作動 させ る義務 は, 取 締役 にはない。 リーデイングケ ース と言 って もこの判 決 は3 0 年以上前 の ものであ り,最 近 は 1 2 ) この判決は広 く支持 されるもの とはなっていない。この判決の示す基準 を超 え てむ しろ内部統制 システムや コンプライアンス ・プログラムを重視する立場 に 向か ってい る。それ はIn re Caremark lnternational判決 の示す立場 で もあ る。
(2)In re Caremark lnternadonal判 決 はデ ラウェア州衡平法裁判所 の第 一審判決であるが,Allls―Chalmers社 判決 とは異 なる新 しい基準 を示 した重要な判決である。 Caremark lnternational社は従業員数約七千人のニュー ヨーク証券取 引所上場会社であ り,医 療,医 療サービス,薬 処方 を行 う診療所であっ た。メデイケア,メ デイケイ ド健康保険サービス も提供 していた。輸血, 血友病,HIV/エ イズ等の診療 を専 門分野 として,医 師,病 院,診 療所 等 と専 門分野 について種 々の開発 ,コ ンサル契約 をして種々の名 目で支 払い を していた。 事件 は,そ の ような支払いが,メ デイケア,メ デイケイ ド健康保険 を利用 す る患者の紹介 について紹介料 の支払いを禁止する連邦法Anti―Referral Payments Actに 違反す る,医 師等への違法 な紹介料の支払いであると して,刑 事責任 を問われ同社が起訴 された ものである。 起訴後株主か ら取締役 に対 して代表訴訟が提起 されたのであるが,株 主 の主張 は取締役 は従業員の行動 を監視する注意義務 を怠 ったこと,違 法 行為 を防止す る是正措置 をとることを怠 ったこと,そ のため会社 に多額 の損害が発生 したこと,で ある。 この株主代表訴訟 中にCaremark社 は当局 と司法取引 を行 い,多 額の罰 金過料 の支払い とコンプライアンス ・プログラムを徹底する確約 をもっ て,司 法取引により刑事事件 は解決 した。そこで代表訴訟の原告株主は 代表訴訟 を和解す ることに し,和 解条件の承認 を求めたのが本件判決で ある。 この判決は前半の意見表明 と後半の本論である和解条件の承認で
内部統制システムと取締役の責任についての考察 169 構成 されている。
(3)In re Caremark lnternational判決 中,前 半のAllen判事の意見表明は, 取締役の監視義務の基準 と内部統制 システムについての意見表明である。 Alttn判事 は,Alhs―Chalmers判決 を,1996年 の今 日においては,不 正行 為の嫌疑の根拠が存在 しない場合 に取締役が コンプライアンスを含む内 部統制 システムの存在 を確かめる義務 はない と,広 く解釈することは相 当でない とする。 また,Allis―Chalmers判決が示 した注意義務の基準 を, 不正行為の嫌疑の根拠 となる事実が存在 しない場合部下の業務執行 につ いてその無欠 と正直 を信 じて疑 わなかった とい うことだけでは取締役 ど盈 f縁 撫竹]、 皆号 馬下の違法行為 について責任 を問われることはない, そ してAllen判事 の意見 として,不 正行為の嫌疑の根拠が存在 しない場 合,会 社業務 を監視する取締役の監視義務の解怠 について,取 締役 に責 任が発生す る場合 は二つのケースがあるとする。 (a)第 一 のケース は取締役 の経営判断や決定が 「情報の裏付 けが ない
(1l advised)」
場合や「
「
過失ある」(“
negligent")」
場合である告
このケースの場合,経 営判断が誠実Gn good faith)に
又は妥当に
(rationally)検討 され た プ ロセス の産物 な らば,経 営判 断の原則 に よ り取締役 は保護 され る こ とを明 らか にす る。 そ の場合 ,取 締役 が注意義務 を果 た してい るか どうか について,司 法判断は経営判断のプロセスについて行 うのであって,決 して経営 判断の内容には立ち入 らないとする。後知恵の司法判断をしないた 1 5 ) めであるとする。 取締役の注意義務履行 についての基準 は,経 営判断や決定のプロセ ス に係 る取締役の誠実性(good faith)と妥 当性(rationahty)であ る。 取締役が適切な判断をするために情報を得る誠実な努力 を実際に行っ たか どうかである。経営判断の原則 は,プ ロセス重視であ り,全 て の誠実になされた取締役の決定を尊重するものとして知 られている,冨 田光彦 教授 退 官 記 念 論 文 集 ( 第3 3 4 号) 1 6 ) とされている。 ( b ) 第 二のケースは取締役の監視義務の不作為, 又 は配慮のない任務解 1 7 ) 怠 (uncOnsidered failure)から損失が発生する場合である。 A l l l s ―C h a l m e r s 判決 とは異 な り今 日においては,取 締役 (会)に は 会社 の情報 を合理的に把握する義務がある とす る。取締役の注意義 務履行の基準 は,会 社の法令遵守 と業務執行 について,経 営陣 と取 締役(会)が情報 に裏付 け られた判断CnfOrmed judgments)がで きる 様 に,正 確 な情報 をタイム リーに提供する合理的に設定 された情報 報告 システムCnformatiOn and repordng systems)が社 内に存在 し
1 8 ) てい る こ とを点検 し確 かめ る こ と, で あ る とす る。 1 9 ) この情報報告 シス テム設定 の詳細 は経営判 断の問題 であ る とす る。 従 って,取 締役 の義務 には,取 締役 会が適切 と判 断す る社 内情報報 告 システムが存 在 してい る こ とを誠実 に点検 し確認す る義務(a duty to attempt in good faith to assure that a corporate information and reporting system, which the board concludes is adequate,
2 0 ) exists)が含 まれる, とする。
しか し,取 締役の責任が出て くるようなこの義務の違反 を認定する ため には,取 締役が監視義務の履行 を持続的又 はシステマテイック に解怠する場合(a sustained or systematic failure of the board to exercise oversight),例えば,合 理的な社内情報報告 システムの存 在 の点検確認 を全 く怠 るような場合,で あることを要するとしてい 2 1 ) る 。 In re Caremark lnternational判決 の後半の部分が本案の和解条件 の 承認である。 この後半部分 は拘束力ある判例 として意義がある。 この事件の株主代表訴訟の和解条件 は承認 されたわけであるが,そ の承 認の理 由は,被 告取締役が誠実 に社内情報報告 システムを設定 し実施 し ていたことが認定 されてお り監視義務履行の解怠はない, とされた もの (4)
内部統制 システム と取締役の責任 についての考察 171 である。 内部統制システムの存在 とその実施によって監視義務解怠の取締役の責
任が否定されたことに,この判決の意義があると
田 内 部統制 システムに係 わる取締役の注意義務,監 視義務の基準について 取締役 はその職務執行 について善管注意義務 を負担 している (商法254条3 項,民 法644条)。また,取 締役が同僚の取締役或いは従業員の業務執行 につい て監督,監 視 をする監視義務 を負 っていることについては,判 例 ・学説 ともに 2 3 ) 認めている ところである。 大和銀行代表訴訟第一審判決 もこの ような取締役の注意義務,監 視義務の違 反,解 怠 にについての取締役の責任 を問題 とした ものである。この場合内部統 制 システムの構築 と運用 との係 わ りにおいて取締役の責任の生 じる注意義務, 監視義務の違反,解 怠の基準が問題 となる。 ( 1 ) 経 営判断の当否が争 われた判例 において善管注意義務の注意 (注意の程 度)の 基準 については,判 例 はい くつかの基準 を示 してお リー定 してい ない。 「企業経営人 としての合理的な選択」 (福岡県魚市場事件昭55.10.8 福 岡高裁判決 判 例時報1012号119頁), 「企業経営者 としての注意」 (セメダイン ・セメダイン通商株主代表訴 訟事件平 2.2.8東 京地裁判決 資 料版商事法務144号121頁,大 和銀 行代表訴訟第一審判決 金 融 ・商事判例1101号46頁), 「当該会社の属する業界における通常の経営者の有すべ き知見及び経験」 ( 野村證券事件平1 0 . 5 . 1 4 東 京地裁判決 金 融 ・商事判例1似3号12頁, ニ ッポ ン放送事件平10.9.24東 京地裁判決 資 料版商事法務175号291 頁), 「同様 の状況 にある通常 の取締役 に要求 される程度の注意」 (野村護券 事件平1 2 . 7 . 7 最 高裁判決河合裁判官補足意見 金 融 ・商事判例1105 号1 1 頁) ,冨田光彦教授退官記念論文集 (第334号) 「取締役 に要求 される通常の注意」 (日本航空電子工業事件平 8.6.20 東京地裁判決 金 融 ・商事判例1000号50頁), 「通常の企業人 として期待 される程度の注意」 (中京銀行事件平 9。 1. 20名古屋地裁判決 判 例 タイムス946号115頁)等 上記の注意の基準 は経営判断の意思決定の過程のみならず内容 について も適用 されている。福 岡県魚市場事件,セ メダイン事件,野 村護券事件, 2 4 ) 中京銀行事件,大 和銀行事件等である。判例 は,経 営判断の当否 を判定 す るにあたつて,善 管注意義務違反 となるい くつかの基準 を示 してお り, 一定の基準が明 らかにな りつつある。 野村護券事件,ニ ッポン放送事件 においては,前 提 となる事実調査や事 実の認識 について,「通常の経営者」の注意 をもって不注意 な誤 りがな い とい う注意義務の基準 を示 している。事実の調査や事実の認識は,意 思決定の過程 についてなのか,内 容 についてなのか不明確である。 しか し,意 思決定の 「内容」や 「過程」 とは区別 しているところか らみて, 意思決定のための準備段階か ら意思決定の過程 にいたる注意義務の基準 を示 した もの と理解で きる。 「企業経営人 としての合理的な選択」の基準 は,問 題 となっている当該 経営判断の過程 について も内容 について も,裁 判官 による経営判断の当 否判定の基準 として用いることがで きる もの と評価で きる。同様 の状況 における同業の企業経営人であれば妥当であろう。 しか し 「通常の経営者」「通常の取締役」 「通常の企業人」の基準 につい ては,こ れをもって経営判断の当否 を判定す ると,結 果か ら当否 を判定 す る後知恵の判定 となる虞れがある。 「通常人の注意」 は過失の基準である。この基準 を用いるとすれば損失 に至 った経営判断は,損 失が発生 した結果か ら,通 常人の注意 を欠いた 不注意 な決定や措置であつた,或 いは通常人の注意 をもってすれば損失 発生 は予見で きた し,又 損失発生 を防止で きる措置があつた し,そ れを 講 じるべ きであったのに,そ れを怠 った,と い う判定 になって しまうも
( 3 ) 内部統制 システム と取締役 の責任 についての考察 173 2 5 ) の と思 わ れ る 。 司法判断が経営判断の内容 に立 ち入った事例 はかな り多い。福 岡県魚市 場事件の福 岡高裁判決,中 京銀行事件の名古屋地裁判決などである。こ れ らの判例 は当該経営判断の内容 を不合理でない と判定 し取締役の責任 を否定 している。 しか し,日 本サ ンライズ損害賠償株主代表訴訟の平 5. 9.21東 京地裁判決 (判例 タイムス827号47頁)及 び東京都観光汽船事 件株 主代表訴訟の平 7.10.26東 京地裁判決 (判例時報1549号125頁) は,経 営半J断の内容が著 しく不合理であると判定 して,取 締役の責任 を 認めている。 しか し,野 村證券事件の二つの東京地裁判決 (平5.9.16判 決,平 10. 5。 14)が 注意義務履行の基準 を,不 注意な誤 りのない事実認識,意 思 決定の過程 の合理性 (平成 5.9.16判 決),不 注意 な誤 りのない事実 調査 や事実認識,当 該行為の 目的の妥当性,行 為の選択決定の合理性, 経営判断の過 嘱P合 理性 (平10.5.14判 決)に おいている点に,注 目 す るべ きである。 平 5。 9.16判 決 によれば,「取締役 の経営判断が問題 となった場合, 取締役 であればその ときどの ような経営判断 をすべ きであったかをまず 考 えた うえ,こ れ との対比 によって実際 に行 われた取締役の判断の当否 を決定す ることは相当でない。む しろ,裁 判所 としては,実 際に行われ た経営判断その ものを対象 として,そ の前提 となった事実の認識につい て不注意な誤 りがなかったか どうか,ま たその事実に基 く意思決定の過 程が通常の企業人 として著 しく不合理 な ものでなかったか どうか とぃう 観点か ら審査 を行 うべ きであ り,そ の結果,前 提 となった事実認識に不 注意 な誤 りがあ り又 は意思決定の過程が著 しく不合理であった と認め ら れる場合 には,取 締役の経営判断は許容 された範囲を逸脱 したもの とな ろ81辞締役 の注意義務又 は忠実義務 に違反するもの と解するのが相当で ある。」 引用 した判 旨は注意義務履行の基準 を示 した もの として評価で きるもの
冨 田光彦教授退官記念論文集 ( 第3 3 4 号) であるが,「通常の企業人 として」 は 「同様 の状況 にある同様 の (又は 同業の)企 業人 (又は経営者)」 とす るべ きもの と考 える。後知恵の判 断 とな らないためであるが,引 用文の前段 は後知恵の判定 を否定 した も の として評価で きる。 他 の判例 は 「経営判断の内容が著 しく不合理」であることも注意義務違 反の基準 としているのであるが,経 営判断の内容の司法判断は結果か ら 判定す る後知恵の判断 となる虞れがある。 また,「会社 に損失が発生 した場合その結果 だけで直ちに取締役の責任 を問 うべ きでない」 とい う判例が,上 記の福 岡県魚市場事件の福 岡高裁 判決 をは じめ野村護券事件 の東京地裁判決 な どにおいて有力 となってい 2 7 ) る。 経営 判 断 の当否 につ い ての司法判 断 は,損 失発 生 の結果 か ら判定 す るの で はな く,具 体 的事案 にお ける当該経営判 断の諸事情 を総合勘案 して判 定 す るべ きであ る, とい うのであ る。 次 に,経 営判 断の当否 と係 りの ない取締役 の監視義務履行 の基準 につい 2 8 ) ては,ヤ クル ト本社株主代表訴訟の東京地裁判決に注 目したい。 この事件 は,デ リバ テイブ取引か ら発生 した巨額損失の処置 について, 取締役 の監視義務違反が問われた ものであるが, 「ヤ クル ト本社 におい ては,デ リバテイブ取引や損失の発生の状況 に応 じて,一 応の管理体制 をとって きたことが認め られるものであるか ら,前 記の ような巨額損失 発生の事実 とこのことか ら伺われる本件デリバテイブ取引の危険性 といっ た事実のみか ら,デ リバ テイブ取引 による損失の発生 を結果的に防止で きなかったか らといって,こ のことだけか ら,こ れを取締役会 を構成す る各取締役がその業務監視義務 に違反 したことを裏付 ける事実があると 評価することはで きない」 として, 取 締役 に業務監視義務違反の責任 を 2 9 ) 認 め なか つた もので あ る。 この判決 が示 した取締役 の監視義務履行 の基準 は,当 該取引や損失 の発 生 とその状 況 に応 じて社 内管理体制 を設定 し実施 す るこ と, で あ る。 (4)
内部統制 システム と取締役 の責任 についての考察 この判決の趣 旨か ら,実 際に損失が発生 していな くて も (又は具体的な 損失発生 となる事情がな くて も)社 内管理体制 を設定 し実施 してお くこ と,も 取締役 の監視義務履行の基準であると考 えられる。 また,社 内管理体制が損失発生 を防止で きず損失が発生 して しまった と して も,損 失発生の結果だけでは直ちに,取 締役の監視義務不履行の基 準 とはな らない,と しているものである。 取引や損失発生 に対応 して,或 いは取引や損失発生 に対応で きるように, 内部統制 システムを設定 し実施 してお くことを,取 締役の監視義務履行 の基準 として示 した ところに,こ の判決の意義がある。 この判決 は,取 締役 の監視義務履行の基準 を示 した リーデイングケース として高 く評価 されるべ きもの と考 える。
(6)ア メリカ法菅協会の会社法委員会 (the committee on Corporate Laws of Business Section of the American Bar Association)が1984年の模 範会社法 (the Model Business Corporation Act)を改定 して1998年改
3 0 ) 定法 を採択 している。 模範会社法の1998年改定法 は本稿 の問題点 について示唆 に富む ものであ るので,こ こで簡単 に触れてお きたい と思 う。 1 9 9 8 年改 定 法 は,1984年 法 の 8。 30条 取締役 の ため の一般 的基準 ( G e n e r a l S t a n d a r d s f o r D i r e c t o r s ) を改定 して,改 定 8.30条 取締 役 のための行動基準 (Standards of Conduct for Directors)と新規定 の 8。 31条 取締 役 の ため の責任 基準 (Standards of Liability for
3 1 ) D i r e c t o r s ) とした ものであ る。 改定 8 。 3 0 条の重 要 な点 は, 注 意 の基準 ( s t a n d a r d O f c a r e ) を全 面 的 に改定 した点 にあ る。 1 9 8 4 年法 8 . 3 0 条 ( a ) ( 2 ) 項 「同様 の立場 にあ る通常程 度 に思慮 深 い者が類似 の状 況 にお いて用 い る ような注意 を もって」 ( w i t h t h e c a r e an ordinarily prudent person in a like position wOuld exercise und― e r s i m i l a r c i r c u m s t a n c e s ) を次 の よ うに改 定 した。
1 7 6 冨 田光彦教授退官記念論文集 (第334号)
1998年法 8。 30条 (b)「 取締役 会又 はその委員会 の構 成員 は,意 思 決 定機 能 に関連 して情報 を取得 す る或 い は監視機 能 の履行 に注力 す る にあ た り,同 様 の立場 にあ る者が類似 の状況 において適切 であ る と合理 的 に
信 じるであろう注意をもって, 自 分の義務を遂行するものとする。
」
(The mettbers of the board of directors or a committee of the board, 、vhen becorning informed in connection 、 vith their decision―rnaking function or devoting attention to their oversight function, shall discharge their duties with the care that a person in a like position would reasonably believe appropriate under simllar circumstances.)従来の基準である 「通常程度に思慮深い者の注意」は本来不法行為の概 念であるため, 注 意義務違反を過失 と認定されるおそれがある。そこで 3 2 ) 不法行為 と一線 を画 して新 しい基準 に改めた ものである。 次 に,1998年法 8.31条 は 8。 30条の注意義務履行の行為基準 に対応 し て,取 締役 の責任 (個人責任)が 出て くる注意義務違反の具体的な基準 を示 した ものである。例 えば信義 (good faith)の欠如,情 報 (infOrma t i o n ) の欠如 ,客 観性 欠如 ,独 立性 の欠如 ,監 視注力 の持続 的な解怠 3 3 ) (sustained inattention)等である。 取締役 (会)の 監視義務 については,注 意義務 (duty of care)に替 え て,監 視注力義務 (duty of attention)が導入 されている。 Ⅳ 内 部統制 システム構築 と取締役の義務 について 社内 リス ク管理体制や コンプライア ンス体制 を含 む内部統制 システムを構築 し実施す ることが,取 締役の義務であるか どうかについて,こ こで検討 したい と思 う。 ここでい う取締役の義務 は,こ れに違反すると相当因果関係のある会 社 の損害 について,責 任 (個人責任)が でて くる義務である。 取締役 の注意義務履行,監 視義務履行の基準 については前項ですでに見て き た通 りであるが,こ の行動の基準か ら,違 反すると責任がでて くる取締役の義 務 を明 らかにす ることがで きる もの と考 える。
内部統制システムと取締役の責任についての考察 177 (1)経 営判断の当否 に係 る注意義務違反 について 具体的な内部統制 システムの設定,構 築 に当っては,取 締役 に経営判断 や決定が伴 うことになる。内部統制 システムの詳細 (具体的なシステム の設定 とその範囲,内 容,組 織,配 置,権 限,社 内ルール等)は 経営判 断の問題 だか らである。 経営判断にあた り取締役の呆たすべ き注意義務 は,前 提 となる事実の調 査,認 識,把 握 に不注意な誤 りのないこと,意 思決定 をする過程が著 し く不合理でないこと,で ある。 誠実 に,前 提事実 を調査 し,情 報 を収集 し,よ く検討することが求め ら れる。必要あれば,弁 護士,会 計士 など専 門家の意見 も聴取することで ある。 また,同 様の状況 にある同業の内部統制 システムの内容や運用状況 を参 3 4 ) 照することも求められよう。 取締役がこれらのことをした上で行った経営判断や決定は,経 営判断の 3 5 ) 原則によって護 られることになろう。 判定に当っては,注 意義務違反を問われる当該取締役の意思決定につい て,誠 実性はもちろんのこと,会 社のためとの確信性,注 意が適切であ
るとの確信性についても,審査されることになろう告
内部統制 システム設定は経営判断の産物である。或 る内部統制 システム の当否が問題 となった場合,そ の内部統制 システムを決定 した経営判断 の意思決定 にいたる過程或いは意思決定のプロセスについての合理性, 妥当性 の判定 は上記の基準 によ り判定することが可能である。当該経営 判断の前提 となる事実の調査,認 識,把 握 に不注意な誤 りがあるか,又 は意思決定の過程が著 しく不合理であるならば,取 締役 は注意義務 を呆 た していない もの と判定 されることになろう。 (2)経 営判断の当否 に係 らない注意義務 (監視義務)違 反 について 取引上の尋常でない リスク発生成いは社内の不正行為や法令違反の事実 が顕在化 しているか又はそれが明白に予測可能な状態であるのに,取 締冨田光彦教授退官記念論文集 ( 第3 3 4 号) 役 が何 も しない場 合 , 取 締役 の注意義務 ( 監視義務 ) 違 反 とな り, 取 締 役 の個 人責任 が生 じる こ とは明 らかで あ る。 その場 合 , 当 該取締役 が担 当す る業務 の範 囲 に よ り責任 の濃淡 が 出て くる こ と も明 らかであ る。 次 に前述 の ヤ クル ト本社 事件 に よれ ば, 平 素か ら社 内管理体制 ( 内部統 制 シス テ ム) を 設定 し実施 してい る こ とが業務監視義務 の履行 であ る と いう。正確に言えば,取 締役は,会 社が平素から社内管理体制 (内部統 制システム)を 設定 し実施 しているようにする, ということである。会 社が会社 として平素から社内管理体制 (内部統制システム)を 設定 し実 施 していれば,取 締役は注意義務 (監視義務)を 果たしていると言える 3 7 ) のである。 問題 は社 内管理体制 (内部統制 システム)を ,平 素か ら日常的に構築す ることが取締役の義務であるのか どうか, とい うことである。平素か ら 取締役が内部統制 システムを構築 して実施 しておかなければ,取 締役 は 注意義務 (監視義務)に 違反 してお り,任 務解怠であ り,義 務違反であ る として責任 を問われるのか どうか, とい うことである。
前述 のIn re Caremark lnternational判決 によれば,社 内に情報報告 シ ステム (内部統制 システム)が 存在 していることを点検 し確認する義務 が,取 締役の義務 としてあるとい う。そ してこの点検確認 を持続的に解 怠 した りす る と,義 務違反 として取締役の個人責任が生 じることになる とい う。 この場合誤解 してはならないことは,取 締役の義務 として具体 的な内部統制 システムを構築 し実施する義務がある, とはされていない ことである。具体的内部統制 システムを構築 し実施することが,取 締役 3 8 ) の義務であるとされているわけではないのである。 蓋 し取締役 に内部統制 システムを構築 し実施する義務があって,そ の義 務 を履行す ることによ り監視義務 を履行す るのではない。取締役 に監視 義務があって監視義務 を履行す るためにその方法乃至 は手段 として取締 役 は内部統制 システムを用いるのである。 以上の こと並 びに内部統制 システムをもって監視義務 を履行するとい う
(3) 内部統制システムと取締役の責任についての考察 179 目的か ら して,内 部統制 シス テム についての具体 的 な取締役 の義務 をま とめ る と次 の通 りであ る。 これ らはすべ て善 良 なる管理者 と しての注意 義務 (監視義務 )か ら由来す る ものであ る。 これ らはいず れ も動 的 な行 為債務 で あ る。 (a)内 部統 制 シス テムの存在 につ いて点検 し確認す るこ と (b)内 部統 制 シス テムの内容 について定期 に又折 にふれて見直 しを し uptodateに維持 す る こ と (c)内 部統 制 シス テムが作動 してい る こ とを定期 に又折 にふ れて点検 し確 認す るこ と (d)内 部統 制 シス テム を利用 し活用す る こ と等 。 取締役 が これ らいず れかの義務又 は全 ての義務 に違反又 は解怠 した場 合 ,直 ち に義務違反 の責任 が生 じるのか,持 続 的,継 続 的 な義務違反 の 場合 に責任 が生 じるのか,な どの点 については明 らかで ない。具体 的 な 事 案 につ いての判例 の蓄積 を待 たなければな らない。 また前項 の注意義 務履行 ,監 視義務履行 の基準 について も,判 例 (特に上級 審)の 蓄積 が 望 まれ る。 この項 の最後 に内部 統 制 につ い て の ア イゼ ンバ ー グ教授 (ALI原 理 の Chief Reporter)の 意見 を紹介す る。 アイゼ ンバ ー グ教授 は先 ず 内部統 制一般 と具体 的内部統制 シス テム とを区別す る。以下 アイゼ ンバ ー グ教 授 の意見 の要点 をまとめ る と次 の通 りであ る告 (a)取 締 役 会 は具体 的 内部統制 システム を構築 し実施す るこ とはで き ない。 具体 的 内部統制 システムの構 築 (design)は 取締役 会の能力 を超 えている。 また,具 体的内部統制 システムの実施 (administration) も取締役 会 の能力 を超 えてい る し,そ のための経営資源 を持 ち合
1 8 0 冨 田光彦教授退官記念論文集 (第334号) わせていない。 (b)し か し,取 締役会は内部統制 システムの構築 と実施 について重要 な一般的役割 を担 っている。 内部統制 システムの構築 についての取締役会の役割 は,善 管注意 義務 (due care)を用 いて,内 部統制 システムが存在 してお り, それが適切であ り,有 効であることを,点 検 し確かめることであ る。 (c)取 締役会の責任 は,具 体的内部統制 システムが完壁 なものであ り 決 して失敗 しない ことを点検 し確認すること,で はない。 従 って,具 体的内部統制 システムが失敗 して も,そ のことで直ち に取締役会が責務 を果た していない とは言えないのである。 (d)更 に,取 締役会 は想定で きるあ らゆる全ての内部統制 システムが 設定 されていることを確認する必要はないのである。 (e)或 る具体 的内部統制 システムを設定す るべ きか どうかを決定す る 場合,そ のシステムの範囲 と輪郭,シ ステムを設定 しなかった場 合 に発生す る リス ク等 は,シ ステム構築のコス トとの兼ね合いで 決定す ることになろう。 尚,ALI原 理 によれば,内 部統制の適切性 (adequacy)は 取締役会の監 査委員会 (Audit Committee)が 考慮 (consider)するべ きもの とされ ている (ALI Principles Sec.3A.031gl参照)。ここでいう考慮 (condder) とは,単 に思慮するだけでな く,よ く検討する, とい う意味である。 し か し,ALI原 理 は取締役 (会)に 内部統制 システムを構築 し実施する義 務がある とは規定 していないのである。 V 内 部統制 システムの有効性 についての取締役の責任 内部統制 システムの有効性 にいついて取締役会が一般的な責任 を担 っている ことは確かであろう。 ここでの問題 は,そ の有効性 についての責任 は具体的に
内部統制システムと取締役の責任についての考察 181 は どの ようなものであるのか,そ の責任の範囲はどこまでなのか,と いうこと である。内部統制 システムの有効性 を検討する場合 どうして もCOSO Repo!? を参照 しなければならない。以下COSO Reportを参照 して内部統制の有効性 に 係 わる取締役の責任 を検討する。 (1)COSO Reportは 内部統制 システムを次の様 に定義する。 「内部統制 は,以 下の範疇 に分け られる目的の達成 に関 して合理的な保 証 を提供す ることを意図 した,事 業体の取締役会,経 営者,お よびその 他 の構成員 によって遂行 されるプロセスである。 ・業務の有効性 と効率性 ・財務報告の信頼性 ・関連法規の道守 内部統制はプロセスである。内部統制 は目的を達成するための一手段で あ り,そ れ 自体が 目的ではない。 内部統制が事業体の経営者 と取締役会 に対 して提供すると期待 されるも のは,合 理的な保証であって,絶 対的な保証ではない。」)
COSO Rcportは 内部統制の構成要素(components)として次の五つの要 素 を掲 げる。 この五つの要素は相互 に相関連するもので,内 部統制 システムは五つ全
ての構成要素を備えなければならないとすると
・統制環境(人間と業務 を遂行する環境) ・リスクの評価 (リスクの把握 と対処) ・統制活動 (統制上の方針 と手続の確立及びその実施) ・情報 と伝達 (情報 システムと伝達 システム) 。監視活動 (全プロセスの監視)COSO Reportは 内部統制の有効性 (effectiveness)について次のように 規定する。
「取締役会 と経営者が,以 下のことについて合理的な保証 を得 る場合 に は,内 部統制 は統制 目的の三つの範疇それぞれにおいて,有 効であると
冨田光彦教授退官記念論文集 (第334号) 判 断す る こ とが で きる。 ・取締役会 と経営者が事業体 の業務 目的が どの程度達成 されている か を理解 してい る こ と。 ・公表財務諸表が信頼 し得 る方法で作成 されていること。 4 3 ) 。関連法規が遵守 されていること。」 次 に,取 締役会 と経営者の行 う内部統制 システムの有効性判定の基準 に ついては,「内部統制の五つの構成要素が存在 し,そ れ らが有効 に機能 しているか どうかを評定することによって行 われる主観的判断である。 内部統制の構成要素が有効 に機能 しては じめて,一 つ または複数の範疇 の統制 目的が達成 されていることについての合理的な保証が提供 される ことになる。か くして,構 成要素は,内 部統制の有効性の判断基準で も 4 4 ) ある」 とされている。 ここで言 う 「合理的な保証」(reasonable assurance)の意味するところ は,「いかに適切に設計 ・運用 されている内部統制であっても,そ れが できることは,事 業体の目的が達成 されていることについて,経 営者 と 取締役会に合理的な保証を提供するにす ぎない。事業体の統制目的がど の程度達成 されるかは,す べて内部統制システムの固有の限界によって 4 5 ) 影響 を受 け る」 か らで あ る, とされ る。 固有 の 限界 ( i n h e r e n t h m i t a t i o n s ) とは,人 間の判 断 の誤 り,内 部統 制 の一時 的 な故 障, 経 営者 に よる内部統制 システムの無視 , 複 数 の人間 4 6 ) の共謀行為,費 用対効果への配慮,の 五項 目がある。 COSO Reportの 言 う通 り,内 部統制の有効性 についての取締役会 と経 営者の善管注意義務 は 「合理的な保証」 にある。内部統制 システムの合 理的な設定,合 理的な運用 にあるとい うのである。内部統制 システムの 設定 において も,そ の運用 において も,そ こには固有の限界が存在する のであるか らか ら,完 全 に有効 なもの,絶 対的な保証はあ り得 ない,と い うのである。 もし,不 正の発生や リスクの発生 を完全 に防止するのに効果のあるフェ
(3) 内部統制システムと取締役の責任についての考察 183 イルセイフ的に有効 な内部統制 システムを構築 して実施す る義務が,取 締役会 と経営者 にあるのだ とすれば,そ れは不可能 を強いることになろ う。善管注意義務が,そ の ように完全 な内部統制の有効性 を確保する義 務 を取締役会 と経営者 に課 している,と 言 うことはで きないのである。 以上の ことか ら,内 部統制の有効性 についての取締役の善管注意義務 を 総括すると次の通 りになる。 「社内に内部統制システムの五つの構成要素が設定されていて, そ れが 会社業務の有効性 と効率性, 財 務報告の信頼性, 並 びに法令の道守につ いて合理的な保証 を提供 していることを,点 検 し確かめること」,で あ 4 7 ) る。 具体 的 には,金 融検査 マニ ュアル な どを参照 して合理 的 に内部統制 シス
テムが構築されて運用されていることを,定期に又折にふれて点検し確
認す ることである。取締役が この義務 に違反 した場合,直 ちに義務違反 の責任が生 じるのか,持 続的,継 続的に違反 した場合,或 いは意図的又 は構造的に解怠 した場合 に責任が発生するのかの点 について も,具 体的 4 8 ) な事例 についての判例 を待 たなければならない。 内部統制 システムは取締役会 と経営者が 目的を達成するための手段乃至 は道具 として意義がある。会社 として内部統制 システムを合理的に設定, 実施 し取締役がそれを用いることによ り,取 締役 は監視義務 を果たすの である。 固 よ り完全無欠の内部統制 システムはあ り得 ない。内部統制 システムを 構築 し実施 していて も会社 に損失 は発生す る し,社 内の不正や法令違反 は根絶で きない。会社に損失が発生 しても,又 不正行為や法令違反があつ て も,そ の事実だけで直ちに取締役 の監視義務違反 として取締役の責任 を問い得 ないことは,前 述 した通 りである。 このように内部統制 システムの構築 と実施 にかかわる取締役の善管注意 義務 は,目 的を達成するための動的な行為債務であって目的 (結果)を 達成す る債務ではない。 また合理的な内部統制 システムの構築 と実施が(4) 冨田光彦教授退官記念論文集 (第334号) 取締役 の善管 注意義務 (監視義務 )履 行 の証 か しであ り不履行 に対 す る 抗 弁 とな るのであ る。 最近 の判例 は遵法経営 を当然 と してい るのであ るが,道 法経営 のため に は有効 な コ ンプ ライア ンス体制 や コ ンプ ライア ンス ・プログラムの設定 4 9 ) と実施が必要だ と言われる。 この ような道法経営 を心掛けていれば,有 効 な内部統制 システムが経営者 と取締役 にとり個人責任の防護 となるこ
とは,ヤ クル ト本社事件やIn re Caremark lnternadonal事件 で見 て き た とお りである。 また,よ く知 られているように米国では有効 なコンプライアンス ・プロ グラムの策定 と実施が企業法人の刑事責任 を軽減す るインセ ンテイブ と なっている。企業法人が法令違反の刑事責任 に問われた場合 に,有 効 な コンプライアンス ・プログラムの策定 と実施 によって量刑が減額 される 5 0 ) というものである。 この場合内部統制システムたるコンプライアンス ・プログラムの 「有効 5 1 ) 性」の基準 は前述 して来た もの とは異 なるが, 内 部統制 システムを設定 し実施す ることの重要性 は何 ら変わるところはないのである。 Ⅵ あ るべ き企業経営の姿について一― 結び 内部統制又 は内部統制 システムは目的達成のための手段乃至 は道具であるか ら,会 社経営や企業統治のあ り方その ものを規定するものではない。企業経営 や統治のあ り方が定 まり経営監視 の仕組みが決定 された ときには,内 部統制 シ ステムが構築 されて実施 されるべ きである。 またコンプライアンス経営 は,内 部統制 システムによって支 えられて確実な ものにされるべ きである。 このよう に有効で適切 な内部統制 システムの構築 と実施 により,企 業経営のあるべ き姿 5 2 ) が形成 されて行 くもの と考 える。 わが国は次期の商法改正 により新 しい経営監視モデルの導入が視野 に入って きている (中間要綱試案)。経営陣による業務執行並 びに取締役会の経営陣に 対す る監視機能 も,内 部統制 システムの構築 と実施 によって裏付 けられて確か
内部統制 システム と取締役 の責任 についての考察 1 8 5 な もの とされよう。 有効で適切 な内部統制 システムによって支 えられた経営が企業経営のあるベ き姿 になるもの と言 えよう。 1) 「 内部統制」又 は 「内部統制 システム」 は同義語 として用 い られる。下記の COSO Reportにおいて両者 は相前後 して用い られてお り同義語 とされている。 両者 を強 いて区別す る とすれば,「内部統制」 は内部統制の一般乃至 は全般 を意味 し, 「内部統制 システム」 は具体 的乃至 は個別的な内部統制 システムを意味す るもの と言 えよ う。本稿 では特 に区別 しない限 り 「内部統制」 と 「内部統制 システム」 は同 じことを意味 す る もの として用 いる。 具体 的 には企業 内の リス ク管理体制,法 令遵守体制の構築,整 備,実 施,運 用 などの こ とを意味 している。 文献 として次 を掲 げてお く。
Internal Control ― Integrated Framework, 1992, 1994 by the Com■littee of Sponsor― ing Organization of the Treadway Commission(COSO)Two― volume editiOn 1994
(本稿 において COSO Reportと呼ぶ) トレッ ドウエ イ委員会組織委員会 「内部統制の統合的枠組み 理 論編」「同 ツ ール編」 鳥羽至英,八 日進二,高 田微文共訳 (白桃書房)(こ れは1992年版COSO Reportの邦訳で ある。本稿 において本書 を 「共訳 内部統制の統合的枠組み」 と呼ぶ。) 平成 11年 7月 1日 金 融監督庁 (金融庁)「金融検査 マニ ュアル (預金等受入金融機関 に係 る検査 マニュアル)」(以下金融検査 マニュアル) 平成 6年 3月 23日 日本公認会計士協会 「監査基準委員会報告書第 4号 (中間報告)「内 音悟統制」」 平成12年12月 8日 産 業構造審議会総合部会新成長政策小委員会 「企業法制分科会報告 書 ∼21世紀 の企業経営 のための会社法制の整備 ∼」 内部統制 システムの法的意義 を扱 った学説 として 神崎克郎 「会社 の法令遵守 と取締役 の責任」法曹時報34巻 4号 1頁 吉本健 一 「日本航空電子工業の株主代表訴訟第一審判決」商事法務 1562号40頁 川浜昇 「独禁法道守 プログラムの法的位置づ け」商法 ・経済法の諸問題 :川 又 良也先生 還暦記念543頁 (商事法研究会 1997) 伊勢田道仁 「会社の内部統制 システムと取締役の監視義務」金沢法学42巻 1号 55頁 (1999)
186 冨 田光彦教授退官記念論文集 (第334号 ) 2)平 成12.9。 20大 阪地裁第10民事部判決 金 融 ・商事判例1101号 3頁 ,判 例時報1721号 3頁 ,判 例 タイムス1047号86頁 3)拙 稿 「大和銀行 ニュー ヨー ク支店損失事件株主代表訴訟第一審判決一 内部統制 と取締役 の責任」彦根論叢331号 125頁 4)野 村修也 「内部統制 とコンプライアンス (法令遵守部門)」法学セ ミナー537号44頁 ,金 融機 関 コンプライア ンス研 究会編 「金融機関コンプライアンス ・ハ ン ドブ ック」金融財政 事情研究会等 5)末 永敏和 「コーポ レー ト・ガバナ ンス と会社法J中 央経済社,川 村正幸 「コーポ レー ト ・ガバナ ンス論 と株主総会の役割」商事法務1478号 2頁 等 6)大 和銀行代表訴訟第一審判決 第 三 当 裁判所の判断の うち 「6 リ スク管理体制の状 況 (総括)7 被 告等 の任務解怠 の有無」 の部分 を参照。金融 ・商事判例 1101号38-41頁 7)大 和銀行代表訴訟第一審判決 第 三 当 裁判所の判断の うち 「 三 争 点 1(内 部統制 システムの構築 に関す る任務解怠行為の有無)1 リ ス ク管理 2 ニ ュー ヨーク支店 に おける リス ク管理」の部分 を参照。金融 ・商事判夕jl101号34,35頁 8)同 上 7)を 参照。
9)In re caremark lnternational lnc. Derivative Litigation, Consolidated Civil Action No.13670 Court of Chancely of Delaware,689A.2d959(Del.Ch.1996);1996 Del.
Ch.Lexis 125
10)Graham v.Allis Chalmers Manufacturing Company,Suprette Court of Delaware, 188A.2d125(Del.1963), 1963 DelⅢ Lexis 127;41 Del.Ch.78(Del.1963) 11)Graham,188A.2d at 130
12)The American Law lnstitute,Principles of Corporate Governance:Analysis and R e c o m m e n d a t i o n s ( 1 9 9 2 ) ( 本稿 においてⅢA L I P r i n c i p l e s ‖又 は 「A L I 原理」 と呼ぶ) S e c . 4 . 01 corlment c at 164 67,E.NorIIlan Veas(汀,An Economic Rationale for」 udicial Deci slon making in Corporate Law.53 BUS.LAヽ V.681,691-692(1998)を 参貝“。
13)In re Caremark lnternational lnc.Derivative Litigation,689A.2d at 969 14)Id. at 967 1 5 ) I d . 又 n 1 6 も 参照 。A l l e n 判事 は過失理論 を批判 してい る。取締役 ( 会) の注意義務 ( B o a r d a t t e n t i v e n e s s ) の司法審査 には 「過失」 とい う用語 は適 当でない とす る。 また 想定上の 「合理 的人間 ( r e a s o n a b l e p e r s o n ) 」の基準 を否危 している。 16)Id, at 967, 968 1 7 ) I d . a t 9 6 8 ‖2 . L i a b i l i t y f o r ね1 l u r e t o m o n i t o r H 以下
内部統制 システム と取締役 の責任 についての考察 1 8 7 19)Id.at 967,n16,970 Aronson v.Lewis,473A.2d805(1984)等 を,1用 している。 20)Id. at 970
2 1 ) I d . a t 9 7 1 この点は本案の部分であ り判例 としての効力がある。 22)Id.at 970 111 ANALYSIS OF THIRD AMENDED COMPLAINT AND SETTLEM一
ENT;at 972 The Consideration For Release of Claimコ ンプライア ンス体制強化の 確約が請求棄却 の対価 となっている点 に注 目す るべ きである。 23)新 版注釈会社法 (6)商 法第266条 近 藤光男注釈279-285頁 及び商法第266ノ 3条 龍 田 飾 注釈315-317頁 ,最 判昭48.5。 22(民 集27.5.655),最 判昭45。 3.26(判 例 時報590号75頁 ) 24)経 営判断が失敗 (損失や不正の発生)の 結果 にな り後 日経営判断の当否が争われた場合 で,内 部統制 システムの設定或いは運用 についての経営判断の是非が争われた事例 は今の ところ見当た らない。大和銀行 ニュー ヨーク支店損失事件 は リスク管理体制の不備や不適 切が問題 となっているのであるが, リスク管理体制 を決定 した経営判断の当店は問題 となっ ていない。 25)商 法266条 1項 5号 の法令違反 と善管注意義務 との関係 については多 くの学説がある。 最近 の学説 は布井千博 「取締役 に よる経営上 の判 断 と注意義務 に関す る一考察」 (久保欣 哉先生古稀記念論文集397頁 中 央経済社2000)を 参照。 商法266条 1項 5号 によ り注意義務違反 について取締役 の会社 に対す る責任 を問 う場合, 先ず債務不履行 があ り,次 にその債務不履行 について故意過失 を要す るもの とされる (昭 51,3.23最 高裁判決 金 融 ・商事判例503号 14頁 ,平 12.7.7野 村護券事件最高裁判 決河合裁判官補足意見 金 融 ,商 事判例 1105号 10頁 )。 ここでの債務不履行 は任務解怠 で ある。判例 は任務解怠 か ら直ちに取締役 の責任 を認定す る。判例 は注意義務違反の任務解 怠 を過失 と等 しい もの と扱 っている と言 えよう。或 いは注意義務違反 は債務不履行 と過失 とが競合す る もの となっている と言 える。大和銀行代表訴訟第一審判決, 日本サ ンライズ 事件判決,東 京都観光汽船事件判決等。 又,要 件の異 なる商法266条 ノ 3の ケースは注意義務違反か ら直 ちに取締役の第三者 に 対 す る責任 を認定 している。商法266条 ノ 3の 多 くのケースは小規模 同族会社 の名 目的取 締役 の第三者 に対 す る責任 を問 うものであ る。商法266条 ノ 3の 判例 は注意義務違反 を重 大 な過失 として扱 っている。最判昭44.11.26(民 集23.11.2150),福 岡高裁平11.5. 14判決 (判例 タイムス1026号254頁 )等 。 26)平 5。 9.16東 京地裁判決 判 例 時報1469号30頁 ,金 融 。商事判例928号21頁 。平10. 5,14判 決 判 例時報1650号 153-154頁 ,金 融 ・商事判例1043号 12-13頁 26・1)判 例時報1469号30頁 ,金 融 ・商事判例928号21頁
1 8 8 冨 田光彦教授退官記念論文集 ( 第3 3 4 号) 2 7 ) 福 岡県魚市場事件福 岡高裁判決 ( 判例時報1 0 1 2 号1 1 7 頁, 1 2 0 頁 ) , 野 村講券事件最高裁 判決河合裁判官補足意見 ( 金融 ・商事判例 1 1 0 5 号1 0 頁) , 同 事件平 5 . 9 . 1 6 東 京地裁判 決 ( 判例 時報 1 4 6 9 号2 5 頁, 3 0 頁 ) , 中 京銀行事件名古屋地裁判決 ( 判例 タイムス9 4 6 号1 0 8 頁, 1 1 5 頁 ) 2 8 ) ヤ クル ト本社事件平1 3 . 1 9 1 8 東 京地裁判決 金 融 ・商事判例1 1 1 9 号4 3 頁 2 9 ) 同 上 5 6 頁
30)The ComIIlittee on Corporate Laws,‖Changes in the MIodel Business Corporation Act Pertaining to the Standards of Liability for 正)irectors――Final Adoption‖, 53 BUS. LAW,813(1998)
31)R.Franklin Balotti and」 oseph Hinsey IV,‖ Director Care,Conduct,and Liability: The Model Business Corporation Act Solution‖,56 BUS.LAW。 35(20(洵);‖APPENDIX MIodel Business Corporation Act Section 8,30 Standards of Conduct for Directors, Section 8.31 Standards of Liability for Directors‖, id, at 59-61
3 2 ) S e e n 3 1 s u p r a B a l o t t i a n d H i n s e y , i d . a t 4 1 4 5 因み に1 9 9 2 年のA L I P r i n c i p l e s S e c . 4 . 0 1 ( a ) は従来 の M B C A S e c . 8 . 3 0 と基本的に同 じである。
33)Balotti and Hinsey,id.at 51-55
34)判 例 (福岡県魚市場事件福 岡高裁判決 など)及 び1998年MBCA8.30を 参照 して 「通常人」 を削除 した。 ここでは 「同様 の状況 にある同業の取締役の注意」 としてお く。
35)当 該経営判断が半J例の示す注意義務履行の基準 を満た していれば,我 が国において も経 営判断の原則 は適用 され よう。アメリカにおける経営判断の原則 (business judgment ttle)
の実体的要件 については ALI Principles Sec.4,01(c)参照。 ま た前掲注19)も参照。
36)1998年MBCA8.30(a)lb)Standards of Conduct for Directorsを参照。主観 的要素であ る。 37)前 掲注28)。 このヤ クル ト本社事件 は,業 務執行 に関与 していない取締役が同僚 の取締 役 の業務執行 を監視す る業務監視義務 を争点 としている。別訴 にて代表取締役や業務執行 取締役 の責任が争 われている。代 表取締役 や業務執行取締役 の業務執行 については,部 下 の業務執行 を信頼す ること (信頼の抗弁)と 監視すること (監視義務)が 争点 となる。 自己の業務執行又 は経営判断,決 定 については当該取締役 自らが善管注意義務 を負 う。 同僚 や部下の業務執行 については取締役 自らが監視す ることは到底不可能 (特に大会社 に おいて)で あるか ら内部統制 システムが必要 となるものである。 また,取 締役 自らの業務 執行 や経営判断 にあたって も善管注意義務 を履行す るために内部統制 システムを用 いるこ とが必要 となろう。 38)前 掲注18)20)21)参 照。
内部統制 システム と取締役 の責任 についての考察 189 39)ふ江eivin A.Eisenberg,‖Corporate Governance:The Board of Directors and lnternal
Control,‖19 Cardozo L.Rev。237,250-251(1997)ア イゼ ンバ ーグ教授 の意見 は,経 営 陣 と取締役会の機能分化 ,取 締役会 による経営監視 を前提 としている。因みに取締役会は 社外取締役 が多数 となることが想定 されている。
40)前 掲注 1)参 照。
BISの バ ーゼ ル銀行監督委員会がCOSO Reportを 参照 してBasel Framework(銀 行組 織 における内部管理体制 の フレームワーク)を 作成 し, 日本の金融監督庁がバーゼル ・フ レームワークを参照 して金融検査 マニュアルを作成 している。証券検査マニュアル (平13 年 6月 14日)も 保険検査 マニュアル (平12年 6月 20日)も 金融検査 マニュアル と枠組みは 同 じである。 この ことか ら日本の金融機関,証 券会社,保 険会社 をは じめ,こ れ らのマニュ アル を参照 している一般事業会社 もその内部統制 システム をすべ てCOSO Reportに よっ ているこ とになる。 この ようにCOSO Reportは 重要性が高 く参照す る意義がある もので ある。 内部統制 システムの具体 的実施例 については例 えば 「アメ リカ ンファミリー生命の内部 管理態勢」NBL724号 31頁等 を参照。
41)1994年 版COSO Report Framework at 13,「共訳内部統制の統合的枠組み」枠組み篇18 頁
42)1994年 版COSO Report Framework at l併 18,「共訳 内部統制の統合的枠組み」枠組み 篇23-24頁
43)1994年 版COSO Report Framework at 20,「共訳 内部統制の統合的枠組み」枠組み篇28 頁
44)1994年 版COSO Report Framework at 20,「共訳内部統制の統合的枠組み」枠組み篇29 頁
45)1994年 版COSO Report Framework at 15,「共訳内部統制の統合的枠組み」枠組み篇21 頁
46)1994年 版COSO Report Framework at 79-82,「共訳 内部統制の統合的枠組み」枠組み 篇131-138頁
47)See n39 supra, Eisenberg, id.at 251
48)米 国の公開上場会社 はThe Foreign Corrupt Practices Act of 1977並びにThe Securities Exchange Act of 1934によって内部会計統制 (internal accounting controls)の策定 と
維持 が法律上義務付 け られてお り (義務 の名宛人 は会社),そ の基準 は 「合理的 な保証」
(reasonable assurance)に ある (15U,SeC.78mlb)(2)(B))。
1 9 0 冨 田光彦教授退官記念論文集 ( 第3 3 4 号) Ltd., 567 Fo Supp. 724(1983)at 751, 760 を 老豪月官。
尚, 内 部統制 は内部会計統制か ら経営監視や遵法 プログラム等会社の業務全般 にまで拡 大 したのであるが, そ れが法律上義務付 け られているわけではない。
4 9 ) 長 谷川俊明 「戦略的企業法務」経済法令研 究会等
50)The Federa1 0rganizational Sentencing Guidelines,erective November l,1991,The United States Sentencing Commission,Guidelines単 Ianual(U.S.S.G.)8C2.5(fl‖Effective Prograrn to Prevent and Detect Violation of Lamメf
51)U.S.S.G.8Al.2 comment n3(k)
52)Corporate Directoゴs Guide Book,49 BUS.LAヽV.1243,1251(1994)これはGood Corporate P r a c t i c e と言 われる。