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テレフタル酸ヒドラジド誘導体の重金属不活性化作用と核剤作用に関する構造活性相関の研究

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(1)

愛総研・研究報告

4

号平成

14

年 51

テレフタル酸ヒドラジド誘導体の重金属不活性化作用と

核剤作用に関する構造活性相関の研究

study on the Structure-Activity Rela七ionshipfor Diacylhydrazines as The Crystal Nucleating Agent and as Metal Deactivator for Polypropylene

吉 川 俊 夫

Toshio Yoshikawa

Abstract N

N'-di-n-alkanoyl substituted terephthalic acid dihydrazides with from 2 to19 alkanoyl carbons were added to polypropylene (PP). Their crystal-nucleating activityfor PP was eva-luated by the ris巴 incrystallization temperature of PP

and their metal-deactivatng

ac-tivity was evaluated by the life time of PP when in contact with copper. The crystallization temperature and life time thus obtained were plotted against the number of carbons of the alkanoyl substituents. It was found that both plots exhibit a group of characteristic and periodic peaks. It was also found that the positions of the peaks in both plots are coin-cident. These results suggest that the hydrazides stabilize PP against copper-catalyzed oxidation not only through deactivating copper

but also七hroughpromoting the crystalliza-tion of PP.

Keywords: Crystal Nucleation,Copper Deactivator,Polypropylene,Differential Scanning Calorimeter,Aging Life,Diacyl hydrazine,Terephthalic Acid Dihydrazide

1 . はじめに ジアシルヒドラジン類が9 ポリプロピレン (PP)に 対して,従来知られている銅害防止作用だけでなく,結 晶核発生作用をも示すことを前報で報告した1・2• 3 ) こ の際,結晶核発生作用の大きいものは銅害防止作用も大 きい傾向があることがわかった. 本研究は,これら両 作用の聞にそのような関連性が生じる理由を明らかにす るためにおこなったものである. そのための対象化合 物として,テレフタル酸ジ、ヒドラジドのN,N'ージア シル置換同族体(以下ヒドラジドという. )を選んだ(

Fig.1).

これらの同族体のアシル置換基はアセチ ル基(アシル炭素数

2

)からn一ノナデカノイル基(ア シル炭素数

19

)

までの直鎖脂肪族アシル基である.同 族列を利用したのは,アシル炭素数の変化に対する両作 用の応答を比較すれば両作用の相互作用を観察できると 期待したからである. そのため,これらのヒドラジドを銅粉を含むPPに添 加してPPの結晶化温度とエージングライフを測定し9 ヒドラジドのアシル炭素数

l

こ対するフaロットを比較した .その結果,ヒドラジドの結晶核発生作用によっても

P

*愛知工業大学総合技術研究所(豊田市)

OH

n=2-19 Fig.l The homologous series of1

4-benz巴ndicarboxylic acid bis (2-n-alkanoylhydrazid巴).

P

のエージングライフが向上することがわかり,結晶核 発生作用の大きいヒドラジドが銅害防止作用も大きい傾 向を示す理由を説明することができたので報告する.

2

.

実 験

2

.

1

試料

P

P

.

酸 化 防 止 剤 {Tetrakis-[methylene-3-(3' , 5'-di-tert-butyl-4'-hydroxyphenyl)一propionatelmethane

(2)

52 愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第4号,平成14年. Vol.4.Mar.,2002 Table 1 Synthesis and property of th巴homologousseries of 1 ,4-benzenedicarboxylic acid bis (2-/l-alkanoyl)hydrazid巴 Yield Melting point N町mb針 。facyJ carbons (%) ('t;) 2 80.9 317.22 3 48.7 283.85 4 53.3 298.36 5 55.8 289.37 6 51.3 286.57 7 54.1 280.95 8 43.5 276.61 9 58.2 273.69 10 52.1 271.61 11 68.3 270.65 12 74.2 269.54 13 71.7 265.70 14 74.3 262.33 15 77.9 260.86 16 81.8 257.37 17 75.0 249.43 18 76.0 250.70 19 40.3 246.64 )および銅粉は前報1)と同じものを使用した.F i g lのヒドラジドは文献..引の方法に準じて合した.す なわち,テレフタル酸ジヒドラジドと脂肪酸クロリドの 脱塩化水素反応(モル比

1:

2

)

をジメチルアセトアミ ド/ピリジン混合溶媒中でおこない,生成物をジメチル アセトアミドで再結晶した.示差走査熱量計で融点、を測 定し,元素分析と赤外吸収スペクトル (KB r錠剤法) によって同定した. これらの結果をT

a

b 1

e

1に示

Nitrog巴日 Wave number (ν Icm -')for absorption of Calcd Found hydrazide group (%) (%) V N.1I V c=o 20.14 19.86 3256.13 1601.06 18.30 17.76 3240.10 1602.99 16.77 16.59 3188.62 1599.13 15.47 15.26 3192.48 1608.78 14.36 14.22 3205.98 1597.20 13.40 13.25 3207.91 1601.06 12.56 12.80 3188.62 ] 601.06 11.81 12.15 3186.69 1597.20 11.16 11.97 3190.55 1599.13 10.57 10.67 3190.55 1597.20 10.04 9.83 3192.48 1597.20 9.56 9.45 3186.69 1597.20 9.12 9.64 3188.62 1597.20 8.72 8.75 3184.76 1597.20 8.36 8.44 3190.55 1599.13 8.02 7.55 3188.62 1599.13 7.71 8.18 3192.48 1599.13 7.43 7.27 3192.48 1599.13

2

3

ポリプロピレンのエージングライフの測定 前報1)と同じ方法で測定した.すなわち,

2

.

2

.

で 作製したフィルムからテストピ ス (30 mmx 10m

m)

を切り抜き,

I

5

O

O

C

に加熱した熱風循環オーブン 1 中でぜい化するまでの日数を測定しエージングラ イフと成した.この際,テストピース 3枚の平均値を求 めた. した

2

4

紫外吸収スペク卜ルの測定

2

2

ポリプ口巴レンの結晶化温度の測定 前報1)と同じ方法で測定した.すなわち,酸化防止剤 (0.5%) ,銅粉 .(3. 0%)およびヒドラジド(0

5

%) (いずれも重量%)を添加したp p粉末を

19

0

'Cでプレスして厚さ

O

. 1

m mのフィルムを作製した このフィルムから直径

6mm

の円板を切り取り,示差 走査熱量計(島津DSC-50)にセットし,窒素気流 中.

1

9

0

O

c

10

分間保持したのち,冷却速度

2

. 5

'C/min.で冷却し.p pの結晶化ピーク温度 CC) を測定した園なお,同一試料についての繰返し測定値の バラツキの範囲はO. 30C以内であった. ヒドラジドのメタノ ル溶液について,紫外線吸収ス ペクトルを島津UV-1200分光計(液厚1. Ocm )を使用して測定した.

3

.

結果と考察

3

1

結晶核発生作用へのアシル炭素数の影響 所定量の酸化防止剤と銅粉のみを添加したp pの結晶 化温度は 121. 210Cであった. F i l l o nらの方 法.)を参考にし,これにヒドラジドを添加した場合の結 晶化温度の上昇によってその結晶核発生作用を評価する こととした

F

i g.

2

には.f添加したヒドラジドの アシル炭素数とp pの結晶化温度との関係を示した.ア シル炭素数が逐次培加するにしたがって.ppの結晶化

(3)

テレフタル酸ヒドラジド誘導体の重金属不活性化作用と核剤作用に関する構造活性相聞の研究 53

傾向を示す理由と思われる.

The effecl of Ihe number of acyl carbon aloms of Ihe homologs on the aging Iife of polypropyJene (Error bar designa!es slandard deviation). 60 50 40 30 自 16 18 Number01Acyl Carbon Aloms 14 12 10 自 2 20 10

Fig.3 的 ト m w 唱 ) @ C ω 一﹀且 O ﹄且ト - o ι ﹄ O @ 平 -﹂ 田 C ニ u J ﹃ 温度には周期的なピークが現れていることがわかる. このような周期性は,低級脂肪族カルボン酸の融点・ 溶解性などの物理的性質,または,アルキル基を持つ生 理活性物質の活性7)について知られており,炭素数の偶 数・奇数によって変動する交互ジグザグ型である.これ に対して

F

i g.

2

の場合は,上述のような規則正しい 交互型ではなく,周期が一定せず,むしろ次第に増加す る傾向を示しているため,周期的性質の発生の機構が上 記の諸例とは異なるものと思われる.

3

3

銅害防止作用への溶解性の影響 上述のピ クを除けば.F i g. 3のエ ジングライ フのプロットは極大値を持つベースラインを示している このべ スラインの部分は

pp

に溶解したヒドラジド の銅イオン不活性化反応(銅害防止作用)の寄与による ものと推測される.そこでヒドラジドの溶解性とアシル 炭素数との関係を調べることとした.ヒドラジドの

pp

への溶解性の測定は困難であるため,溶剤(メタノール )への溶解性で代用し,紫外線吸収スペクトルによって 測定することとした.ヒドラジドのメタノール溶液(飽 和溶液を一律に体積比で 100倍に希釈したもの)の 2

4

0

nm'

こ現れる

K

吸収帯ピークの吸光度を測定した. 同族化合物のモル吸光係数はほぼ等しいため,この場合 の吸光度測定値はヒドラジドの溶解度(モル濃度)に比 例するとしてもよい.

F

i g.

4

は吸光度をアシル炭素数に対してプロット したものである.同図は,ヒドラジドの溶解度もエ ジ ングライフと同様に極大値を持つ形状であることを示し ており,

pp

中に溶解したヒドラジドが銅害防止作用を 発揮していることを示唆している.なお.

F

i g.

3

の ベースラインでは,アシル炭素数が 6~7 付近に極大値 があるのに対して,

F i

g. 4 ではアシル炭素数が 3~

4

付近に極大値がある.この違いについて更に推論を進 めるならば,

pp

とメタノールでは極性が異なるため, 最高の溶解度を与えるヒドラジドが異なると思われる.

The effect of the number of acyl carbon aloms of the homologs on Ihe crystallization lemperature of polypropylelle.

3

2

銅害防止作用への結品核発生作用の影響 所定量の酸化防止剤のみを添加した

pp

のエージング ライフは

60 (days)

であるが,これに所定量の銅 粉を追加すると 11

(days)

に減少した.これにさ らにヒドラジドを追加するといろいろな理度にエージン グライフが回復することがみられた.そこで,前報1 • 2 • 3 Iと同樺にエージングライフによって銅害防止作用を評 {面することとした

Fi

g.

3

にはヒドラジドのアシ ル炭素数と

pp

のエージンクライフとの関係を示した.

F i

g.

3

には突起状のピーク群が現れている.これ らの各ピークの位置は

F

i g.

2

の結晶化温度のピーク の位置(アシル炭素数

=4

6

. 1

O~I し

1

3

.

5

I

8)

と合致している.このことから,ヒドラジド の結晶核発生作用によっても

pp

のエージングライフが 増加していることがわかる.銅害防止作用はエージング ライフで評価しているため,このことが,結晶核発生作 用の大きいヒドラジドが見かけ上銅害防止作用も大きい 120 127 126 125 124 ( ρ ) E ω 一 ト a o ﹄且ト一 o t p o E コ s z a E ↑ c o ニ 悶 H 一 一 一 EZ ﹂ U 123 Numbar01Acyl Carbon Aloms 14 12 10 2 Fig.2

(4)

愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第4号,平成14年, Vol.4,Mar.,2002 54 ( 1 )添加されたジアシルヒドラジンが

pp

に部分的に 溶解する.

(

2

)

p

p

に溶解したジアシルヒドラジン分子は,銅イ オンを不活性化することにより

pp

の酸化を抑制してエ ージングライフを増力日させる.

(

3

)不溶のまま結晶として残った分子は,核剤として p pの結晶化を促進することによりp pの酸化を抑制し てエージングライフを増加させる圃

(

4

)銅害防止作用は

pp

のエージングライフによって 評価されているため,核剤作用によるエ ジングライフ の増加分も銅害防止作用の増加分として評価される. たがって,見かけ上,結晶核発生作用と銅害防止作用の 聞に相関性が生じることとなる. し 2.000 1.500 1.000 0.500 c o 一 一 V コ 一 O 帥 一 OC 伺 z v u E P o g c 白 骨 N H M 岬 ω U C 咽 且 ﹂ 0 " 且︿ 5. 文 献

1JYoshikawa,T.,Kimura,K. : Materials Life,10[3]1件3

18 16 14 12 10 自 B 4 2 0.000 ー148(July 1998)

2lYoshikawa,T.,Kimura,K. : Materials Life, 11 [4]183 Numbar 01 Acyl Carbon Atoms -186(Oct.1999) 3)吉川俊夫:愛知工業大学総合技術研究所研究報告, 1 , 155-160 ( 1999) 4)宇部興産:特公昭60-16462(1985) 5)Ciba-Geigy :Ger.Offen.2,124,641 (1971) The e汀巴ctof the number of acyl carbon atoms of

the homologs on the solubility of the homologs in methanol.

Fig.4

6)Fillon,B.,Thierry,A.,Lots,B.,and Wittmann,C.:J .Therm.Anal.42,721-731 (1994) コ人 百閥 高 吉

4

.

ヒドラジドを添加したp pの結晶化温度とエージング

7)Wermuth,C.G., :"The Practice of Medicinal

ヒドラジドのメタノールへの溶解度を および,

ライフ,

Chemistry",Academic Press Limited(1996)

平成14年4月10

日)

(受理 その結果,ジアシルヒドラジン類の結晶核発 生作用と銅害防止作用が相関性を示す理由は以下のよう に説明できると思われる圃 測定した.

参照

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