博士(理学) 西 尾 英 昭
学
位
論
文
題
名
Mg0
−Graphite
系 セ ラ ミ ッ タ の 高 温 変 質 に 関 す る 鉱 物 学 的 研 究学 位 論 文 内 容 の 要 旨
Mg0
―Graphite
系 セ う ミ ッ ク の 変 質 は 、 内 部 で の 鉱 物 相 の 変 化 , 稼 動 面 に お け る ス ラ グ と の 高 温 化 学 反 応 が 主 で あ り 、 そ れ に よ っ て セ ラ ミ ッ ク は 損 傷 す る 。 従 っ て 、 変 質 機 構 を 明 ら か に す る の に 鉱 物 学 的 手 法 は 非 常 に 有 効 で あ る 。 以 上 の 立 場 か ら1650
℃ 以 上 の 高 温 で 操 業 さ れ る 製 鋼 転 炉 で 使 用 さ れ たMg0
−Graphite
系 セ ラ ミ ッ タ を 回 収 し 、 そ の 変 質 に つ い て 鉱 物 学 的 手 法 を 用 い て 研 究 し た 。Mg0
亠G
ルphite
系 セ ラ ミ ッ ク が 製 鋼 転 炉 で 使 用 さ れ る と 、 大 き く 分 け て 次 の2
っ の 変 質 が 進 行 す る 。@
セ ラ ミ ッ タ 内 部 で は 稼 働 面 の 温 度 に 応 じ た 温 度 勾 配 が 生 じ 、 各 々 の 部 位 で 温 度 に
応 じ た 変 質 が 進 み 、 鉱 物 組 成 , 組 織 が 未 使 用 時 に 比 し て 大 き く 異 な っ て く る 。
@
稼 働 面 で の 、 ス ラ グ と の 高 温 下 で の 化 学 反 応 。
こ れ ら の 変 質 に 関 し て 、 本 論 文 は 次 の よ う な 諸 点 を 明 ら か に し て い る 。
1
.セ ラ ミ ッ ク 内 部 で の 変 質
未 使 用 時 の
Mg0
→Graphite
セ ラ ミ ッ ク の 鉱 物 組 成 は 、Periclase
,Graphite Forsterite
,Aluminium
で あ る の に 対 し 、 使 用 後 の 鉱 物 組 成 は 複 雑 に 変 化 し て い る 。 す な わ ち 、 低 温 側 で はAluminium
の 変 質 に よ りSpinel
,Al4C3
が 生 成 さ れ て い る 。AI4C3
は800
℃ 以 上 で 生 成 し 、1000
℃ 以 上 の 加 熱 で 急 速 に 生 成 さ れ る 。 そ の 生 成 は 、AI
と 隣 接 し たGraphite
の 表 面 で 核 形 成 が 行 わ れ 、layer by layer
の 層 成 長 を 行 う 。 生 成 さ れ たAl4C3
はIntergrowth
し 強 度 発 現 の 原 因 と な る 。 し か し 、 稼 働 面 か ら 約lmm
内 部 付 近 で はGraphite
が 滅 少 し 、 更 にAl4C3
も 減 少 し て い る 。 そ し て 、AIN
が 生 成 し て く る 。 高 温 の 部 位 で は 、Mg0
+C
→Nlg +CD
の 反 応 が 進 む た め 、Graphite
量 が 滅 少 す る 。 一 方、Al4C3
‑70
は 、 窒 素 の 存 在 下 で
Al4C3+CO
+N2‑ Al203+2AIN
+4C
の 反 応 に よ りAIN
ヘ 変 化 す る 。 こ れ ら の 反 応 は 熱 力 学 的 に 証 明 さ れ る 。稼 働 面 か ら
500
〜700
皿m
は 、Perictase
の 層 に 覆 わ れ て い る 。Periclase
屈 は 、 内 部 で 発 生 し たMg
蒸 気 が 炉 内 の 酸 索 あ る い はS
]ag
中 のFe
―oxide
と 結 合 し て 形 成 さ れ る こ とは既に明らかにされているが、本論文ではPericlase の背面側からも形成されることを 明らかにした。
Pe riclase
層 の 背 面 部 のEPMA
に よ る 元 素 分 析 結 果 に よ る と 、Periclase
の 背 面 部 に はMg0
を 主 と し 少 量 のSioz
,Al20s
,C
を 伴 う 微 小 鉱 物 の 集 合 層 が 形 成 き れ て い る 。 こ れ ら の 鉱 物 相 の う ちMg0
は 、 転 炉 の 使 用 条 件 で 急 激 に 温 度 が 下 が っ た 時Mg+CO‑ Mg0
+C
と し てMg0
をPericlase
層 背 面 に 析 出 し た も の で あ る 。 ま た 、Si02
やAl203
も 同 様 に 内 部 で ガ ス 化 し たSi0
やAlz0
がSioz
.Al203
化 し て 析 出 し た も の で あ る 。 こ れ ら は 稼 働 面 か ら 拡 散 さ れ るFe
−oxide
に よ り 粒 成 長 を 行 い 、Mg0
はPericlase
層 と な り 、Si02
,Al203は 粒 成 長 し たPericlase
の 粒 界 に 封 鎖 さ れ る 。 な お 、Mg0
とC
の 反 応 に 関 し てMg0
とGraphite
の 不 均 一 反 応 モ デ ル を 想 定 し 、 温 度 と 重 量 変 化 率 の 関 係 を 調 査 し 、 極 め て 良 い 一 致 を み た 。 こ の こ と か ら 、Mg0
とGraphlte
の 反 応 は 初 期 に 化 学 反 応 律 速 で 進 行 し 、 時 間 の進行と共に反応生成ガスのセラミック内部から表面への拡散が律速になってくること が明らかになった。
2 . 稼働面での変質
稼 働 面 は 一 般 に
Periclase
層 で 覆 わ れ て い る た め 、 そ の 変 質 は 主 にPericlase
とslag
の 高 温 化 学 反 応 に よ る 変 質 で あ る 。sIag
とPericlase
の 化 学 反 応 に よ り 、 セ ぅ ミ ッ ク 表 面 に は 反 応 眉 が 形 成 さ れ る 。 こ れ ら の 反 応 層 はEPMA
に よ る 分 折 の 結 果 、 主 に 次 の よ う な 相 組 成 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。a . Silicate
b . Periclase CzS‑C2 F‑CF, . C2S‑CzF‑Ca P. . C2S‑C3P‑ C3 V, . C MS (Mg, Mn, Fe) O‑ (Mg, Mn, Fe) O‑Fe2 0a ‑C4 AF
本 論 文 で は
C2S
―c3v
系 に お い てC7VS2
の 存 在 の 可 能 性 を 示 し た 。MF
―C,AF
系 に お い てC4AF が10 %まで、又 C3P 一C3V 系において C3P がO 〜 10 %の領域で固溶することを明らか
にした。
Periclase 層 が 何 ら か の 原 因 で 剥 が れ た 場 合 、 Mg0 タ リ ン カ ー と Graphite が ス ラ グと 直 接 接 触 す る 。 M g00 リ ン カ ー と 接 触 し た 部 位 はPericlase の 場 合 と 同 様 に 変 質 す る。
Graphite と 接 し た 部 位 で は 、 ス ラ グ が Ca0 ー Si02 系 の 場 合 、Graphile はス ラ グ に 対 し高 い 接 触 角 を 有 す る た め 直 接 接 触 せ ず 、 は じ ぃ て し ま う 。 ス ラ グ に CaO‑FezOn 系 成 分 が 固 溶 す る と 、 接 触 角 が 低 下 し て 濡 れ 易 く な る 。Fez03 が 20X 以 上 固 溶 す る と 、 Graphite は Fe203 を 還 元 し 金 属 Fe を 生 成 す る 。
本 論 文 が 明 ら か に し たMg0 − Graphite 系 セ ラ ミ ッ ク の 変 質 過 程 を 、 第 1 図 に ま と めて 示 す 。
ス ラ グ唐
M宮O厩
嚢董 層 原 セ うミ ッ ケ屠
反 応 麕 背 部
Magnesio‑ferrite
(Mg.Fe.Gfn)0 (Fe.AJ.跏 )tOi ‑ ;lericlaseP ‑ ‑‑‑ Periclase
t,lagnesio‑wustiLe Farsterite ̲ ̲
― ニ Aluiinirm
‑'‑ Forslerite
IFe‑orida ;
ILln‑axide !
, 伽g, Fe,舳)q
i, l
Mg,^1,Si,Caklt‑
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l onticellite ‑.
G lass ‑̲̲̲̲
Ca0
'.‑ aianticeiiite
‑.‑ Glass
Ca0
I ti
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Ca0
Sioz ¥lgo
Sioz Al,0, Ti07
j C,S‑CtF‑C,V‑C,AF‑atS l.̲
‑ F Jrsterite ‑
」 !; ! ; :| ごI vto,
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G
m ticellite
l ass
P z0*
B 203
F e‑oxide
P:O,
B,O,
Fe‑oride
(Mg, Fe)0 (AI. Fe, Jiln) zOa rb一
じ 土J ::: Graphite
一 ^ 冖 一 ー ―−R
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! 相 互 反
―SpineL亅
第 1 園 Mg0 ― CraPhiLe 系 セ ラ ミ ッ ク ス の 変 質 プ 口 セ ス
72
以
上
学 位 論 文 審 査 の 要 旨
主 査 教 授 副 査 教 授 副 査 助 教 授 副 査 講 師
針谷 宥
小平紘平 (工学研 究科)
菊 地 武 三 浦 裕 行
HgO‑Graphite
系 セ ぅ ミ ツク は 近 年 開 発き れ た耐火 物で、 従来の 耐火 物が酸 化体と し、使 用 温度 よ り も 高 温で 処 理後 実使 用ぎれ るのに 対し本 セラミ ツク 強酸化 物・非 酸化物 の
複合 体であり約200 ゜C の熱処理の みで1600 °C 以上の高温で使 用きれる。このため 1gO ‑ Graphite 系セうミツ クの高温における変質は`従 来の耐火物とは著しく異な っているこ と が考 えられる。し かしこの高温変質に開する研 究は、近年開発された材料 であること も あっ て非常におく れている。申請者はこの変賀 機構を鉱物学的観点から明 らかにする こと を試みた。
1) 鉱 物相の変化
HgO‑Graphite 系セラミツウは 、温度勾配に応じて穫々の鉱物栢や複雑な固溶体形成が 推定 きれる。金属AI を添加した本 セぅミツクでは、Spinel , Al4 C3 ,AIN の生成を明らか に した 。 Al C3 は 800 ゜C 以上 にな る部 位で 、 気孔 周縁 にlayer bylayer に 成長 し、六 角板 状の多結晶集合体として形成 されている。AlN は1200 °C 以上の部位で気孔中に存在す る窒 素と直接反応し、気孔内壁に 針状結晶として生成してい る。またAIN は窒素の存在下 でAIAC3 の分解によっても形成ぎ れる。このようなァルミニウ ム蕨化物、窒化物の生成は 本 セぅ ミ ツク の強 度に 1 要 な影 響を も って いる こと を 明らかにした。またPericlase − F'orsterite ,Monticellj te ,やOicalcium‑silicate のような変質鉱物を同定し、内部では 非酸 化鉱物と酸化鉱物の共生を認 めた。
2 ) Peri clase 暦の形成
拡 散 が 律 速 と な る こ と を 実 験 的 に 確 か め た 。
Hg
ガ ス が ス ラ グ 中 の 鉄 酸 化 物 と 反 応 しPer iclase
層 を 形 成 す る こ と は 良 く 知 ら れ て い た 。 し か し 更 に 継 続 し て 発 生 す るHg
ガ ス の 挙 動 に つ い て は 未 知 で あ っ た 。 本 論 文 で は 温 度 変 動 に よ り 逆 反 応 、 す な わ ちFlg+CO Hg0
十C
反 応 が 起 こ りHgo
の 徽 結 晶 とC
の 集 合 体 が 形 成 さ れ る こ と を 明 ら か に し た 。 こ のPericlase
層 の 生 成 は 本 セ ラ ミ ツ ク の 童 要 な 特 性 で あ る 。3
)Periclase
層 と ス ラ グ と の 反 応Periclase
層 と ス ラ グ が 按 触 す る と 双 方 の 成 分 問 で 高 温 化 学 反 応 が 進 行 し 、 複 雑 な 固 溶 体 が 形 成 ぎ れ る 。 本 論 文 で はc2s‑c3v
系 に お い てC7 VS2
の 生 成 `MF‑CiAF'
系 でC4 AF
組 成 が0‑10Z
圃 溶しえること、C3P‑C3V 系に おいて両端成分からモれぞれ10; の領域まで固 溶体が形成きれること
を 見 い だ し 、 複 雑 な 固 溶 体 形 成 に つ い て の 過 程 を 明 ら か に し た 。 こ れ ら の 圃 溶 体 は 一 般 に 系 の 融 点 を 低 下 さ せ る た め 、 量 、 貿 と も に 詳 細 な 検 討 が 必 要 で あ り 本 論 文 は 化 学 的 ` 鉱 物 掌 的 に 多 く の 新 し い 知 見 を え て い る 。