Vol. 11. (1974)
論
0 0 3 9 1 S r の D e c a yScheme I c 関する研究
一一 r ‑ r 角 度 相 関 の 測 定 一 一
堀 部 治 , 水 本 良 彦 , 河 村 光 i 専*
R e s e a r c h e s f o r t h e D e c a y Scheme 0 / 9 1 S r 一
γ‑γ angularcorrelation measurementーBy Osamu HORIBE, Yoshihiko MIZUMOTO and Mitsuhiro KAWAMURA*
(Received September 2, 1974)
As a part of researches for the decay scherrie of 91Sr, 620 KeVγ‑926KeVγangular correlation was measured with a 25cc coaxial type Ge(Li) detector (fixed counter) and a 3" x 3" NaI(Tl) detector (movable counter) to assigi1 the spin and parity of 1546 KeV excited level of 91Y. From these measurements, the spin and parity were assigned to be 5/2一.
I . 緒 論
91Srのdecayscheme lζ関する研究はAmes),l et al.とKnight,et a12).によって報告されている。
前者は1953年β‑spectrometerとNaI(Tl)検出器 による βおよび、γspectrumの測定からなってお り,後者は1969年 Ge(Li)検出器による γ‑singles と NaI(Tl)‑NaI(Tl)検 出 器 に よ る coincidence spectrumの測定からなっている,乙れらの報告の中 91yの各準位のspinとparityのassignmentは, 前者は基底準位(g.s.)に対し 91Srのg.S.のspin が5/2+(shell model prediction)と91Srのg.s. から 91Yの g.s.えの β‑transitionが.d1
=
1/2 (yes) typeである乙とから 91Yのg.s.のspinは 1/2ーとし,更に,第一励起準位のisomericsta.teか らg.s.えのtransitionγの内部転換がM 4である ことからこの準位に対しspin9/2+をassignしてい る。次に,後者では前者のこれらの結果は充分確立さ れたものとして g.S.とisomericstate に対して 夫々2/1‑と9/2+を与え,他方,乙れらと共に其の他 の励起準位に対しては 89Y(t, p), 92Zr (d, 3He)およ 発京都府立大学物理教室び92Zr(t,α)反応の研究結果と更に, β,γ‑transition intensityから矛盾のないspinとparityを推論し ている。
斯様なわけで,吾々は91Yの準位のspinとparity を直接決定するため,若干の7線の内部転換係数を測 定し3),併せてcascadeγ聞の角度相関分布の測定か らspinとparityの測定を行った。 しかしながら,
実際の測定は多くの制約のため,極く一部の測定lζ限 られ, 1546KeV準位から 926KeV準位に, そして 926KeVからg.s.lとtransitionする所の 620KeV γと926KeVγ のcascade間 の 角 度 分 布 を 測 定
し,解析した。
I I . 実 験
(1)線 源94Zr(n,α) 91Srから得られる線源強度は実際問題 として余り強くなく, KUR (京大原子炉)の照射孔 を利用し,化学分離から得られる強度は高々数μCiで あった。従って,半減期の短い乙とと長時間測定の必 要性から更に 1桁高い強度を必要とする。そ乙で吾々 は核分裂生成物から Srを化学分離して得られたもの
‑ 13‑
を線源、として用いた。とれにより線源強度は数10jlCi 程度で分離の際加えた caJ;rier約20mgのシユウ酸 ストロンチウム粉末結l日とし,小さなアクリル円筒容 器の中で 3mm世x6mmの線源形状となし密封し使 用した。
(2) 測定装置
可動検出器は 3"x 3" NaI (Tl)で, 926KeVγ 線 の 光 電 ピ ー ク を そ の 半 値 巾 で 選 択 す る 様 single channel analizer (SCA)を通し,との出力を.slow coincidenceの入力とした。他方,固定検出器はGe (Li)で検出信号のーァ部は linearsignalとして hp 社の 1024ch.MCA (多重波高分析機)にfeedし, 他の一部はfastcoincidenceの時間信号とじて用い た。即ち, time pick‑off (TPO), timepick‑off control (TPOC), delay line (DL)を通してfast
近畿大学原子力研究所年報 coincidence iこ入る。 slowcomCldence出方Iぼlhp‑ 1024ch. MCAの同期信号とな竹 Ge(L,i.)検出!器から のlinear入力と同期させる。 fastcoincidenceの 分解時‑問は 2‑r=10011secとして用いた。
可動検出器は goniometerの回転アームに固定さ れ, 4ケ所の位置にて順次自動的に所望の測定時間繰 返し測定されるべ各測定位置における coincidence spectrumはhp‑l024ch. MCAの memoryを4 分割し,夫々に割り当てstoreされる。尚これと同時 に,各位置における.SC人出力はscalerで計数され,
各測定1ffiとprinterに記録される。 goniometerの 制御系と本測定系を Fig. 1 と( blockdiagramで 万す。
本装置は使用開始前6OCO線源を用いて角度相関分 布を測定し
1
護能チェックを行った後用いた。t l ) l
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‑‑‑i l
Fig. 1. Bloclz diagram of the set‑up for γ一γangularcorrelation measurement.
m . 測定結果と解析
(1) 測定結果
実験は2回にわたり実施した。固定検出需に対する 可動検出器の測定位置は A,B,C,Dとすると夫々次 の角度位置である。
実験1. A二194.50,B:::152.250, Cご110.20, D =71. 50
実験 2. A =207.30, B =165.050, C =122.750, D二83.950"
各位置での測定時間は5分で 34回と24回であった。
線源はgoniometerの回転中心に合う様setされ,
Ge(Li)と NaI(Tl}検出器までの距離は夫々 5.2cm
と7.3c111セ,夫々前面にはアクリル板 (5m111厚) を置いた。
得られたcoincidencespectrumの一例を207.30 位置におけるものを Fig.21ζ示し,尚この挿入図に は 620KeVγ‑peakについて各測定位置にて得られ たもりを示してあlる。
620KeVγ‑peak
o
net' countは測定peakarea より background count (B KG) と chance coincidence count (ch. c)を引く必要があり,そ のためには先つ、 peak市とし七は BKGを考える場 合裾の所が問題となる。 こ の 場 合lとは所調S字形の BKGを用いず,直線で近似し,その代り裾のpeakを 狭くとった。次{ζch.cは926keVγと全くcascade‑ 14‑
Vo1. 11. (1974)
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Fig. 2. A coincidence spectrum at 207.30 and the 620 KeV peak at cach position. 関係のない1024Ke V r‑peal王の countを利用し,
相対強度の割合で補正して求め,差し引いた。尚これ らnetcount ,ま各位置における SCAcountで規準 化した。
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Fig.3. (1) Angular correlation measured for the 620KeV‑926KeV cascade γ‑rays and the fitting curve.
(2) 角度相関係数 AZ2.A44の決定 角度相関分布 W(o) は
W(o)ご 1十AZ2P2(COS 0)十A44P~(cos 0)
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Fig.3. (2) Angular correlation measured for the 620KeV‑926KeV carcade r‑rays and the fitting curve.
‑ 15‑
‑0.6
‑0.4
5 , ~, 1 τ乙(1十2)一(2)一2,‑, 2
‑0.4 ‑0.2
亡 に 1
t (
1+ 2)号(
2)2 :¥11‑0.2 O
~
2'‑ ‑'2'‑'2 ( 1十2)立(2)1│‑0.6 ‑0.4 ‑0.2
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4
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A 44 0.4
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0.4 A:.'~
5 , ~, 1 τ(2+ 2'‑'‑'2'‑'2 3) 一 (2)~
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A 44 0.2
‑0.6 5 /" , ,,¥ 5 , ~, 1 す (2‑13)τ(2 )τ
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A ::~
‑().25
Fig. 4. Parametric plots of the anglllar correlation coefficients A22' A44 for variolls transition modes of cascade, parameter is mixing ratio.
A 22
A ~::
0.3
AII
0.2
O
‑0.2
ー0.4
'iol. 11. (1974) の形で与えられる。
上記の測定結果をもとに分布が上式で与えられる様 最小二乗fitting5)Iとより AEPとArpを求め更に 両検出器の有限の大きさに対する補正を行って, A22, A44 Iと対し次の値を得た。
A22二 0:20土0.02 A44二 0.005土0.06 および A22二 0.20土0.04 A44二0.005土0.09 両結果は共に非常によい一致を与えており, Fig. 3, (1), (2)に角度相関分布の測定点と fittingcurve を示す。
(3) 1546 Ke 'i levelのspinとparity 620Ke'iγ線に対する内部転換係数の測定3)から多 重度はM1又はE2を与える,従って, 926KeVの準 位のspinを
3
とするならば 1546Ke'i準位の spin3 5 、7
としては一一およひーが最も可能な値となる。2' 2 4Od‑.U ' 2 そこでここでは三(1
+
2)互(22'‑<.> /2' 2 )+,~(2 十 3) 立
2 ‑'(2,..)+互(1十/ 2' 2 '-~ , ~/ 2)互(22 ‑''‑J / )よ,互(22' 2 ‑'~ 十3), v / 互2 ‑(2)'~ / よ,2け 5((")¥1 . .h 、7(("),....¥5((")¥1 ム(1十2)~( 2 ' 2)‑/ ー お よ ひ 一(22 .‑̲. ‑ 2' ‑ ‑/
+
3)一(2)2 ' ‑/ ー の2 transition modeをとり上げmixingratioをδとしてA22,A44の値をδをparameterとして理論的 に計算し,これらと実験から求めた A22,A44との比 較からtransitionmodeの決定を行った。即ち,そ のためには理論計算から得た A22,A44を夫々 x,y 軸として δをparameterとした曲線を上記6つの transition mode に対し求め,実験から求めた(A22, A44)点をこれらの平面上に plotした, その結果を Fig.41乙示す。理論と実験の結果が最もよく合致する の は 互(1
+
2)豆(2'‑'2 2)‑4‑で d=.Oである。それ故,1546KeV準位のspinとしては
2
をassignした。尚parityは620KeVγの内部転換係数の測定3)から parity changeは"no"で926KeV準位のそれと 同ーとなる。結局 1546KeV準位の
y
は3
とassignし7こ。
I V 考 察
Fig.4から明らかな如く ,
‑ ' b (
1十2)互(2 )‑k‑な2'~ ‑'2'‑'2 るmodeに対してA22,A44の実験から得られた値は 誤差範囲内で考慮の余地はあるが,しかし, 1546KeV 準 位 を 含 む 内ansitionのintensityから
2
の可能性は小さい2)という所から除外した。
926KeVのγーtransitionに対しては内部転換係数 の測定結果3)とKnight,et al.の報告2)からE2pure と考えられ,互(2)4 とじて解析した。2' ‑, 2
線源の大きさに対する補正はその大きさが 3mm掛× 6mmである所から無視した。検出器の大きさに対する 補正は25cccoaxial Ge(Li)に対してはQ2=0.9496, Q4=0.817を用い6),NaI(Tl)に対してはSiegbahn のtextから引用した7)~
2固にわたる角度相関実験結果は互に良好な一致を 与えており,更にとれまでに実施せる 900と1800の 角度相関測定から, その anisotropyは K(1800)j K(900)=1. 227土0.013を得ており, 乙の値は丁度今 回の2回の測定から得られた fitting curveから算 出した anisotropy,1. 280土0.052,1. 286土0.080と 良い一致をなしている。
斯様な所から吾々は 1546KeV準位の J1rassign‑ m出 を
2
ーとした。尚, ω K e'iγの多重度はM1=99.7弘 E2=0務 と 考 え ら れ る 。 と の ド
3
はKnight,et al. 2)の結論と一致している。
91Srのdecay1こともなう 91Yの 励 起 準 位 間 の γ‑transitionでは多くの強い γ線は殆ど49.7分の isomeric state 1ζ落ちるため, γ一γcoincidenceの 測定は半減期の短かい乙と,線源製作の困難なことと 併せてcount数の統計を良くする乙とは困難である。
幸い620KeVγと926Ke'iγとのcoincidenceは比 較的大きく,又他のγ線の影響を受けない好条件の測 定である。尚, 620KeVγ以外に,他のγ線の干渉を 受けないγ線としては1054.6KeVと1280KeVγ線 があるが前者のcoincidencecountは更に統計が悪
く充分な解析は不可能であった。 しかし 1280KeV
r
については今回の測定では coincidence spectrum のchannel数が256chで1280KeVrをcoverする 乙とが出来なかったが,既に実施している90。と1800 の角度相関分布測定からその見通しは充分あると思わ れる。
謝 辞
本実験で用いた線源は京大原子エネルギー研の西研 究室から硫酸ストロンチウムとして提供されたものを 吾々の所で化学分離して線源とせるもので同研究室に 対し深く感謝すると共に特に同研究室藤原先生には直 接お世話になり重ねて御礼申し上げます。
尚,測定をはじめ,全研究を通じて色々お世話にな
ワ'
った京大原子炉第四部門の核物理関係の方々に深く感 謝致します。
尚,吾々の研究室の学生諸君に協力を賜ったことを 附記し併せて感謝する次第です。
本研究は京大原子炉実験所の共同利用研究の延長と して実施せるものであります。
参 考 文 献
1) D. P. Ames, M. E. Bunker, M. 1. Langer and B. M. Sorensen, P. R. 91 ('53) 68. 2) ]. D. Knight, O. E.
J
ohnson, A. B. Tucknerand ]. E. Soleck ,iNuc.1 Phys. A 130 ('69) 433.
j[散大学原子力研究所年報 3)水本良彦,堀部治,河村光│寺,近世大学原子力研
究所年報,第11号 ('74)5.
4)堀部治,田中浩史, 71<.本良彦,近畿大学理工学部 研究報告第9号('74)95.
5) M. E. Rose, P. R. 91 ('53) 610. 6)京大原子炉第4部 門 瀬 尾 氏 私 信
7) K. Siegbahn, Alpha‑, Beta‑and Gamma‑
Ray Spectroscopy Vo1. 2, North‑Holland Pub1ishing Co. 1965.
‑ 18‑