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- 281 -

社会科歴史教育における宗教学習の授業開発 一社会認識形成一

教 科 @ 領域 教育 専 攻 社会系コース

山本祐大

序 章 曹 関 の 目 的 と 方 法

本研究は

I

宗教と社会」を対象とした中学校 歴史的分野の授業を,社会認識形成を目標とし て開発することを目的としている。

『中学校学習指導要領社会編平成 2 0 年 9

月』の改訂の趣旨のひとつとして,

I

宗教に関す る学習の充多記が指摘されている。歴史的分野 において

I

社会科歴史教育」としての宗教学習 をどのように構成し実践するかは,理論的@実 践的に重要な研究熱題となろう。

これまで歴史教育における宗教学習は,宗教 的事象解説学習や生き方理解学習の授業展開が 寸投的であり,社会認識形成という目標の達成 は不十分であったと言える。

本研究では 社会科教育の基本的性格は「社 会認長哉教育」であると捉え,社会認識形成をめ ざす社会科歴史教育における宗教学習の授業開 発を行う。

1 章社会科教育の性格と歴史学習の意義 社会科教育の中{;概念は, r 社会認識を通して 市民的資質を育成する

J

教科である。この中心 概念は,社会に関する知識・理解と社会の成員 として望まれる能力・態度の育成の 2 つから成 り立っている。前者を「社会認識の形成 J と呼 び,後者を「市民的資質の育成」という。本研 究において,筆者は,社会認識形成におもむき を置き,授業開発を行っていく。

指 導 教 員 梅 津 正 美

学校で行われる歴史学習は,社会科教育の本 質を踏まえて成立しなければならない。そのた め,社会科教育としての歴史学習を,

I

社会科歴 史教育」という概念で材汗究では表記すること

とした。

2 章 先 行 す る 歴 史 教 育 に お け る 宗 教 学 習 の特質と課題

宗教的事象を取り上げた先行研授業について

2 つの類型,すなわち「宗教的事象解説学習」

と「生き方理解学習」を立て,その特質と課題 を考察した。

「宗教的事象解説学習」は,キリスト教・イ スラム教・仏教の教えや食文化の違いに着目し,

それを発表・説明することにより,各宗派の特 色に関する事項を理解していく授業である。

「生き方瑚草学習

J

は,親鷲の生き方や考え 方を生徒の生き方@考え方と対比しながら,浄 土真宗の思想とそれが示す人としての生き方

を学習する授業である。

これらの授業は,宗教的事象それ自体の学習 となっており,事象を通した社会認識形成の学 習とはなっていない課題を指摘できる。

第 3 章教育内容としての「宗教と社会の関わ り」の捉え方

「宗教と社会の関わり

J

として,社会とは,

具体的に政治領域(政策・政治制度・政治権力

(2)

- 282 - 等を含む)と文化領域(人々の生活習慣,価値 観@規範意識等を含む)により捉え,宗教と政 治,宗教と文化の関わりを視点に時代の社会の 特色と歴史の大きな流れ(時代の社会の変化)

をつかむように構成する。

「宗教と社会の関わり

J

を教育内容とする意 義について,現代社会のように価値多元的な社 会における宗教に関する学習は,時代の社会に おける宗教の位置や影響,意味を客観的に認識 するように構成することにあると考える。

4

章社会科歴史教育における宗教学習の授 業開発一社会認識形成一

目標として,能力目標に宗教と政治・文化の 関わりを視点に時代の社会の特色と変化の要因 が説明できるようになること。知識目標には,

宗教と時代の社会との関わりを視点に古代で は,政治の宗教化,文化の宗教化が行われ,中 世では,宗教の政治化宗教の文化化が行われ たことを理解し,古代から中世に至る時代の社 会の変化がわかることを定めた。

内容構成として,内容は,第

1

に,宗教とり わけ仏教に関する事象と時代の社会との関わり をつかむように構成する。社会を政治領域(政 策・政治制度・政治権力等を含む)と文化領域 (人々の生活習慣,価値観・規範意識等を含む) により捉え,宗教と政治,宗教と文化の関わり を視点に時代の社会の特色と,歴史の大きな流 れ(時代の社会の変化)をつかむように構成す る。第

2

に,宗教と社会の関わりを視点に現 代社会の特色を説明するように構成する。

授業過程は,宗教と社会の関わりを視点に,

時代の社会の変化がつかめるように,大きく

4

つのパートから構成する。

パート

I

では,学習問題を,宗教と政治@文

化はどのように関わっているかと設定し,宗教 と社会の関わりをつかむ枠組みを構築する。

パート

E

では,学習問題を,古代・中世にお ける仏教と政治・文化の関わりはどのようにな っているかと設定し,古代においては政治の宗 教化,文化の宗教化を視点にした時代の社会の 特色を,中世においては宗教の政治化・文化化 を視点にした時代の社会の特色を王朝卒する。

パート国では,学習問題を,古代から中世に かけて,仏教と政治・文化の関わり方が変化し た要因は何かと設定し,仏教を視点にした時代 の社会の変化の要因を把握する。

パート

N

では,学習問題を,現代社会におけ る,宗教と政治・文化の関わりはどのようにな っているかと設定し,宗教と社会の関わりの枠 組みを活用して,現代社会における宗教と社会 の関わりを説明する。

終章研院の成果と課題

本研究の成果は,宗教と社会を捉える枠組み として,政治の宗教化・文化の宗教化・宗教の 政治化・宗教の文化化という

4

つの概念を教育 内容とする授業開発を通して,社会認識形成を 目指す社会科歴史教育における一例を紹介でき たことである。

課題としては,第

1

に,教育内容の解釈に関 する熟琶である。本j汗究における宗教学習の定 義は,宗教と時代の社会との関わりを内容とし て捉えてきたが,歴史教育における宗教学習に ついて,内容・位置・意義について,さらなる 考察が必要である。第

2

は,授業の方法・展開 に関する課題である。本授業は,実践を通して 資料や発問のしかたの適切性について検討して いく必要があるし,学習評価の観点と方法を明 確にしなければならい。

参照

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