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社会環境工学科4年内野宏樹 担当教員:田中尚人・星野裕司

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Academic year: 2021

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熊本大学エ学部附属ものづくり創造融合エ学教育センター平成20年度年次報告書

桜町地区の再開発事業を契機とした地域住民との協働によるまちづくりの実践的提案

社会環境工学科4年内野宏樹 担当教員:田中尚人・星野裕司

1.実施概要

桜町地区は2015年を目標に交通センター周辺再開 発、桜の馬場の合同庁舎移転などが計画されており、

中心市街地活性化という視点でも、熊本市の要に当た る重要なまちづくり地区である。また、地域住民のま ちづくりへの意欲も高い。本プロジェクトは、学生と 協働したまちづくりを模索しながら、実践的な提案を 作り上げていくことを目的として取り組んだ。

このプロジェクトは2008年4月から活動しており、

桜町地区の全体計画を提案するグループと、坪井)||右 岸の遊歩道計画を提案する2つのグループで進めた。

主要メンバーである学部生は、土木と建築で構成され ており、違う分野とのコラボレーションやグループワ ークよりデザイン能力を養っている。さらに、学生と 桜町地区の住民によるワークショップを行い、学生の プレゼンテーション能力の向上や大学と地域との連携 を図った゜具体的には、桜町地区にとって重点個所で あり、住民からの要望も強い交通センター周辺の再開 発計画と、行幸橋から船場橋までの坪井川右岸の遊歩 道計画を中心に、桜町の全体計画を提案した。各チー ムが11月までに計画図と模型による提案を完成させ、

その後ブラッシュアップを進め住民の方々への成果発 表会を開催した。さらに1月末にはくまもと阪神にお いて合同展示会を行った。

2.桜橋・船場橋間の坪井川散策路デザイン提案 対象地は坪井川のうち、桜町や新町と接している桜 橋から船場橋の区間とした。この区間には遊歩道が左 岸側の一部に整備されている以外は歩行空間が整備さ れておらず、地域住民からも水辺を活かした散策路の 設置やアクセスの向上が望まれている。そこで対象地 の現地調査や統計調査を行い、散策路のデザイン提案 を行った。

コンセプトやデザインを決定する過程で、自分たち による調査の他に地域住民とのワークショップを開催 したり、まちづくり勉強会に参加するなどして、地域 住民とともにデザインを考える作業を行い、坪井川の 空間について再認識するきっかけづくりを心がけた

(写真-1)。その結果、地域住民と学生の意思が共有 された状態でデザインをまとめることができた。コン セプトは「思い出になる城下町の水辺」とし、地域住 民に対して寛いでもらうと同時に、回遊性が向上する ような提案を行った。具体的なデザインとしては、以

下の提案を行った。

(1)桜橋付近右岸でのアクセスを可能にするために、

洪水流への抵抗を考慮したスリット式の階段を設け、

右岸側の回遊性を向上させた。

(2)石垣の残る右岸側を散策路として整備し、桜の 植樹による憩いの空間の創出や、熊本城の見えを活か

した景観の向上を提案した。

(3)現在ある古城堀端の空間を活かし、また河川改 修で損なわれた親水,性を向上させるため、飛び石によ

る空間整備を行うことで晴天時に水辺へ降りられるよ うな空間を創出した。

(4)現在左岸側の桜橋から緑地手前までしか続いて いない散策路を、船場橋橋詰両岸の階段整備とともに 船場橋まで延長することで、回遊性を向上させた。

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写真-1地域住民とのワークショップの様子

3.桜町・花畑地区再開発への提案

交通センターでは2015年の開業を目標とする再開 発構想があり、交通結節機能の改善だけではなく桜町 地区の拠点性の向上や熊本城のシンボル性を活かした 整備が求められている。そこで、桜町と辛島町を含む 交通センター周辺について街路や土地利用を含めた計 画と具体的な整備の検討をし、新たな「顔」づくりの 提案を行った。

コンセプトを決定するために現地調査と統計調査を 行った。その後4つのグループに別れそれぞれのデザ イン提案を検討した。デザインの過程では地域住民と の意見交換会を行い、模型の製作を中心にエスキスを 繰り返し提案を完成させた。具体的な提案は以下の4 つである(図-1、写真-2)。

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(2)

熊本大学エ学部附属ものづくり創造融合エ学教育センター平成20年度年次報告書

(1)SuperComplex

「賑わいのある施設」をコンセプトに、交通センタ ーや市電停留所、商業施設の機能を集約した複合施設 を中心に、周辺を庭や城下町として整備した。それぞ れのつながりを意識するとともに、屋上緑化を取り入 れ、熊本城からの見えを活かした複合施設としている。

(2)みどりの辻

人々が行き交う「辻」をコンセプトとし、交通セン ターを地下化することにより緑に溢れた空間を創出し た。商業施設やホテルなどを離して配することにより、

現在は建物によって妨げられている空間を周辺からの 人が行き交う辻として機能させた。

(3)桜町劇場

桜町の景観を活かし日常的に楽しめる空間とするた めに「劇場」をコンセプトとした。対象範囲全体を劇 場と見立て熊本城からの見えを活かした空間をつくり だすとともに、そこを利用する人が風景を楽しめるよ

うな仕掛けを盛り込んだ空間づくりを行った。

(4)Sak11rRmachiRoad

「繋ぐ道」をコンセプトに、現在都市機能がばらば らに配されている対象地を、道沿いに位置付け都市機 能を明確化し繋ぐことを提案した。4つの道をシンボ ルロード、交通ロード、川沿いロード、住居ロードと 位置づけ、道を軸に空間整備を行った。

5.地域との交流

上記2,3のような提案を完成させ、現地で合同の 提案発表会を行った(写真-3)。デザインの過程で住 民と蓄積した議論をある成果として発表することで、

地域住民にとっても地元を見つめ直す機会になること を狙った。それと同時に学生は大学内の演習にとどま らず現地に足を運ぶことにより、プレゼンテーション 能力や柔軟な提案を行う力を身につけることができた。

また提案発表会をきっかけに、2009年1月27日か ら2月1日の期間でくまもと阪神において合同展示会 を開催することができた(図-2)。地域から積極的に このような提案を受けたことは、大学がまちづくりに 関わっていく上での一つの事例となったであろう。

写真-3提案発表会の様子

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図-1桜町再開発のデザイン提案ポスター

図一2くまもと阪神での展示会を伝える新聞記事

(2009年1月28日熊本日日新聞朝刊)

謝辞:本プロジェクトにあたり桜町地区の皆様はじめ まちづくり関係者の皆様には多大なご協力を頂きまし た。記して感謝の意を表します。

写真-2模型を用いたデザイン検討の様子

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