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上野 千代子,渡部 洋子

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(1)

【報 告】

在宅療養支援診療所における高齢者糖尿病患者のフットケア支援の特徴

上野 千代子,渡部 洋子

京都先端科学大学 健康医療学部看護学科

Current Issues in Foot Care Support for Older Diabetic Patients Provided by Home Health Care Support Clinics

Chiyoko Ueno,Hiroko Watanabe

Department of Nursing, Faculty of Health and Medical Sciences,Kyoto University of Advanced Science

要  旨

本研究は,在宅療養支援診療所(以下,在支診)における高齢者糖尿病患者のフットケア実践の 特徴を明らかにし,今後も推進される地域包括ケアシステムの中でのフットケア支援体制に求めら れる課題を検討した.研究方法は,関係探索研究.糖尿病足病変の予防と管理項目,受診患者と専 門職との関係を比較検討し,自由記述はカテゴリ化し課題について検討した.

研究結果は,在支診の特徴として糖尿病患者数は少なくなく,足部観察の必要性が高く「定期的 な足の観察」では,月平均糖尿病患者受診患者数と糖尿病療養指導士の有無の比較において有意差 がみられた . 課題として【リスク要因に合わせた介入】,【診療と並行したケア時間の調整】,【医師・

看護師の連携・協働・役割分担】,【フットケア専任看護師の雇用】カテゴリーが抽出された . 今後,重症化リスク要因を見逃さない阻害要因を検討し,医師・看護師協働のアセスメントの標 準化の必要性が示唆された.

キーワード:在宅療養支援診療所,高齢者糖尿病患者,フットケア

Key words:Home Care Support Clinics, Elderly patients with diabetes, Foot Care

Ⅰ は じ め に

高齢社会が進展する中,糖尿病患者の平均寿命も 着実に伸び

1)

,QOL を脅かす合併症の一つに,糖尿 病神経障害と末梢血管障害が誘因となって発症する 糖尿病足病変がある。なかでも糖尿病三大合併症の 中で発生頻度が高い糖尿病性神経障害では,70 歳代 では 42%と顕著であり

2)

,感覚障害による下肢のし びれや感覚鈍麻を呈し,足潰瘍に至るなど,重症化 しやすい.このような神経障害進行例では,高齢者 自ら足の状態を医師,看護師に訴えることはまれで あり,医療従事者による定期的チェックと非潰瘍性 皮膚病変(胼胝、鶏眼、白癬症、爪病変など)の予

防的ケアが糖尿病足病変の重症化予防には重要とな る

3–5)

糖尿病患者の約65%は診療所を受診している

6)

現 況から,糖尿病足病変の重症化予防は,住み慣れた 地域にある診療所での予防的介入が「最期まで自分 の足で歩く」という生活の質の向上に資すると考え る.

過去の先行研究では,有床病院を対象とした研究 が進み,全国の日本糖尿病学会認定教育施設を対象 におこなわれた調査では,フットケア実施率は 84%

7–9)

とフットケアをおこなう医療機関は増えている.

その一方で,糖尿病足病変の重症化リスク分類が低

い患者であっても熱傷、胼胝の重症化,外傷により足

(2)

潰瘍を発症し,自己判断による中断患者も多く

10–11)

, 継続支援の難しさが課題となっている.

糖尿病患者の治療中断は合併症との進行と関連 し,合併症予防には極めて重要であり

12)

,自己中断 を防ぐための支援拠点として診療所が果たす役割は 大きい.しかし,これまで診療所を対象とした全国 調査は見当たらず,先行研究の多くは,人手不足,

時間不足,医療スタッフの知識不足,足病変の早期 発見に向けた予防強化など,フットケア支援の課題 はあげられているが

10)

,小規模調査にとどまり、そ の実態は未だ見えにくい.

今後も増え続ける高齢者糖尿病患者は,必ずしも 糖尿病専門医がいる診療所を受診するとは限らず,

外来の役割機能も変化し,医療と生活支援の充実が 推進され,予防重視型の外来支援体制が問われてい る.

また,診療所の機能も変化し,2006 年には,在宅 医療の中心的な役割を担う在宅療養支援診療所(以 下、在支診)が創設された.2018 年の診療報酬改定 では,かかりつけ医(外来+在宅)機能が推進され , 地域の介護・福祉との連携を図り,多様性に対応し た役割が求められている.

そこで本研究では,在支診の外来における高齢者 糖尿病患者のフットケア実践の特徴を明らかにし,

今後も推進される地域包括ケアシステムの中での フットケア支援体制に求められる課題について検討 する.

Ⅱ 用語の定義

本研究における「フットケア」とは,高齢者糖尿 病患者の足部に対しておこなう非潰瘍性足病変(胼 胝、鶏眼,白癬症,爪病変など)の早期発見と治癒 促進にむけた予防的ケア・予防教育から,患者自身 の継続的なセルフケア行動につなげる働きかけを示 す.

具体的には,足部の観察,アセスメント,胼胝,

鶏眼,爪きり,保湿ケア等の処置と感染管理を含む 創傷形成を予防することを目的とした足部の一連の ケア行為を示す.

Ⅲ 研究方法 1.研究デザイン

関係探索研究 2.調査対象と方法

(1)対象者

調査は「一般社団法人全国在宅療養支援診療所連 絡会」のホームページで公開されている会員リスト 854 施設(2019 年 10 月 10 日現在)のうち,調査票

未開封で返送された 47 件を除外し,807 件を対象と した.

(2)データの収集方法

郵送法による自記式質問紙調査

(3)調査手順

調査協力依頼は,在支診院長宛てに調査協力の同 意書と調査票を郵送し,調査の趣旨と方法を書面で 説明し,同意書と調査票の両方の回収をもって研究 参加の同意とみなした.本調査は無記名調査のた め,同意書と調査票は別郵送で回収し,調査期間は,

2020 年 2 月から 3 月であった.

3.調査項目

(1)在支診の概要

月平均糖尿病患者受診患者数,月平均フットケア 患者数,職員構成,看護師の専門性(糖尿病認定看 護師,糖尿病療養指導士など)を尋ねた .

(2)フットケアについて 1)糖尿病足病変の管理と予防

糖尿病足病変の管理と予防に関するプラクティカ ル・ガイドラインの 5 つの柱「足病変リスクの定期 的観察と診察」 「足病変のリスク確認」 「患者・家族・

医療従事者への教育」「適切な靴」「非潰瘍病変の治 療」を参考に,糖尿病足病変の重症化予防「定期的 な足の診察,定期的な足の観察,定期的な足の評価,

定期的なフットケア教育」4 項目について「概ねで きている」から「全くできていない」の 5 件法で尋 ねた .

2)診察の判断基準

ガイドラインにある「ハイリスク患者の識別」を 参考に,「潰瘍や切断の既往,爪足変形,知覚神経 障害,血流障害」に加え,診察前の看護師のアセス メントによる診察「看護師の求めに応じて」を尋ね た.

3)足の観察,評価,教育の介入時期と内容

「足の観察,足の評価,フットケア教育」の頻度 は,「足潰瘍発症リスク分類の検査間隔基準」

13)

を 参考に「診察の度,3 か月,半年,1 年」の 4 件法 で尋ねた.観察・評価内容は非潰瘍性皮膚病変であ る「胼胝,鶏眼,白癬症,爪病変」について大徳ら

14)

の先行研究を参考に「足全体,足趾,足趾間,皮 膚,爪,歩行状態,姿勢,靴,靴下」について尋ね た.また,他機関との連携について回答を求めた.

4)フットケアに関する課題

在支診のフットケア課題について尋ね ,「ある」と

回答された場合は , その内容を自由記述で回答を求

めた.

(3)

4.分析方法

(1)在支診の概要とフットケアに関する調査内容 の分析方法

全ての回答について記述統計後,名義変数である,

糖尿病療養指導士資格の有無とケア頻度項目である 足の観察,評価,フットケア教育について,χ

2

独 立性の検定を実施した.使用するデータの正規性の 検定は,月平均糖尿病患者受診患者数中央値と非潰 瘍性皮膚病変の重症化予防への取り組み 4 項目につ いて,また,月平均糖尿病患者受診者数中央値とケ ア頻度項目である足の観察,評価,フットケア教育 は,Shapiro-wilk 検定を実施し,すべて p≧0.05 で あったため 2 標本 t 検定による比較検討を実施した.

糖尿病療養指導士資格の有無と非潰瘍性皮膚病変 の重症化予防への取り組み 4 項目の正規性の検定で は,Shapiro-wilk検定により,重症化予防への取り組 み4項目のうち足の評価がp≧0.05であったため2標 本 t 検定による比較検討を実施した.残りの重症化 予防への取り組み 3 項目は Mann-Whitney 検定を実 施した。統計学的分析には,統計ソフト SPSSver.27 を使用し,有意水準 5%未満とした.

(2)自由記述内容の分析方法

自由記載の課題は,佐藤

15)

の質的データ分析法 を参考に文脈からフットケア課題の意味を解釈し,

コード化をおこなった.抽出されたコードから導き 出された概念を検討し,意味の類以性を集約し,サブ カテゴリー化した.サブカテゴリーの共通性を見出 し,カテゴリーを作成した.カテゴリー化にあたっ ては,真実性を確保するために,質的研究者 2 名を 交え,データと抽出されたカテゴリーが関連付けら れるのかを協議し合意を得ながら進め,確証性の確 保に努めた.

5.倫理的配慮

本研究は,京都先端科学大学研究倫理審査(番号 19-13)承認を得て実施した.

対象には,調査の趣旨,調査への協力は自由意志 に基づき回答しない場合も不利益を受けることはな いこと,記銘性の確保の方法などを書面にて説明し,

内容はすべて統計的に処理をし,診療所が特定され ることはないことを説明した.

Ⅳ 研 究 結 果

在支診 854 施設のうち,調査票未開封で返送され た 47 件を除く 807 件のうち,79 件(回収率 9.8%)

から回答を得ることができた.そのうち,白紙回答 が多かった 5 件を除外し,最終的に 74 件(有効回答 率 94%)を分析対象とした.

1.対象施設の概要

月平均糖尿病患者受診患者数は,155.8±21.3(平 均値±標準偏差)人,この中で 65 歳以上の高齢者が 占める平均割合は,74.5±32.6%であった.

職員構成は,医師常勤 2.27±2.66 人,非常勤医師 6.78±15.30 人,このうち,糖尿病専門医が所属する 在支診は 17 件(22.9%)であった.

看護師は,常勤 4.30±5.16 人,非常勤 3.14±2.73 人,専門職在職者件数は,糖尿病療養指導士が 10 件

(13.5%)であった.

2.糖尿病足病変重症化予防の状況(表 1)

糖尿病足病変の重症化予防として「医師の定期的 な診察」23 件(31.1%)「定期的な足の観察」22 件

(29.7%)が「概ねできている」と回答した.一方 で「定期的なフットケア教育」は 5 件(6.8%)と低 かった.

月平均糖尿病患者の受診患者数(月平均糖尿病患 者受診者数中央値)90 人以下と 90 人以上の群によ る糖尿病足病変の重症化予防 4 項目の平均値では,

「定期的な足の観察」との比較において有意差がみら れた(p=.021).糖尿病足病変の重症化予防 4 項目 のうち, 「定期的な観察」と糖尿病療養指導士の有無 との比較において有意差がみられた(p=.001).

表1.糖尿病足病変の重症化予防の状況 月平均糖尿病外来患者数

P 値 糖尿病療養指導士

90 人以下 90 人以上 いる いない P 値

定期的な足の観察 3.40(1.59) 3.54(1.23) 0.021 3.22(1.48) 3.57(1.31) 0.001 定期的な足の評価 3.03(1.49) 3.31(1.16) 0.078 3.44(1.50) 3.56(1.36) 0.351 定期的なフットケア教育 2.70(1.34) 2.52(1.12) 0.131 2.56(1.50) 3.21(1.31) 0.605

(医師)定期的な足の診察 3.55(1.48) 3.48(1.21) 0.101 2.75(1.16) 2.48(1.01) 0.602 t 検定  数値は平均値(標準偏差)

(4)

「定期的な医師の診察」の判断は,「爪変形」55 件

(74.3%),「血流障害」51 件(68.9%),「潰瘍や切断 の既往」44 件(59.5%)と「爪変形」が最も多かっ た.また,診察前の看護師のアセスメントによる判 断「看護師の求めに応じて」は 41 件(55.4%)と半 数をしめていた.

足の観察の頻度は「診察の度」22 件(29.7%),

「3 か 月」14 件(18.9 %),「1 年」12 件(16.2 %)

と「診察の度」が最も多かった.評価は「3 か月」

と「1 年」が 16 件(21.6%),「診察の度」が 14 件

(18.9%)であった.教育の頻度は「1 年」が 23 件

(31.1%)と最も多く,「半年」13 件(17.6%)であっ た.足の観察の頻度と月平均糖糖尿病患者の受診患 者数,糖尿病療養指導士の有無とケア頻度項目であ る足の観察,評価,フットケア教育の関連は見られ なかった。

フットケアに関連した他診療科への連携は ,「皮 膚科」61 件(82.4%)が最も多く , 次に「血管外科」

27 件(36.5%)「形成外科」23 件(31.1%)であっ た .

3.足部の観察・評価項目とケア時間

足の観察項目は,「爪」69 件(93.2%),見落とし がちな「足趾間」は 66 件(89.2%)と高く,「足趾」

と「皮膚」は 65 件(87.8%),最も低かった項目は

「靴下」4 件(5.4%)であった.足の評価項目は,

「皮膚」と「爪」が 60 件(81.1%),「足趾間」58 件

(78.4%),「足趾」56 件(75.7%)であった.

4.フットケアの課題(表 2)

フットケア「課題がある」と回答したのは 48 件

(64.9%)であった.分析の結果,抽出された課題 コード数は 17,サブカテゴリー数は 10,生成された カテゴリーは【リスク要因に合わせた介入の課題】,

【診療と並行したケア時間の調整課題】, 【医師・看護 師の連携・協働・役割分担の課題】,【フットケア専 任看護師の雇用課題】の 4 つであった.以下,カテ ゴリーは【 】,サブカテゴリーは〔 〕と示す.

1)【リスク要因に合わせた介入の課題】

このカテゴリーは,足部が悪化するリスク要因に 合わせた早期介入の際に生じる課題である.〔リス ク要因にあわせた対応ができていない〕,〔充分な設 備と場所がない〕この 2 つが抽出された.

2)【診療と並行したケア時間の調整課題】

このカテゴリーは,多忙な外来診察と並行して フットケアを展開する際に生じる課題である.〔診 療時間内に他業務と並行してケアすることができな い〕,〔ケア対象者と非対象者との対応時間の調整が 難しい〕,〔細やかなケアに時間をかけられない〕の 3 つが抽出された.

3)【医師・看護師の連携・協働・役割分担の課題】

このカテゴリーは,診療所は病院と異なり診療科 も単科であり,少人数体制による〔医師・看護師の役 割分担ができない〕,〔包括的な対応が難しい〕,〔継 続的な介入ができていない〕,この 3 つのサブカテゴ リーが抽出された.

4)【フットケア専任看護師の雇用課題】

このカテゴリーは,現外来体制では,専門職が不 在のため,今後,フットケア支援体制を整えていく 際に生じる課題である.〔フットケア専任看護師の 雇用ができない〕,〔糖尿病合併症管理料算定されな い〕この 2 つが抽出された.

Ⅴ 考   察

1.在支診における糖尿病患者数とフットケアの 特徴

特徴として,在支診における糖尿病患者数は少な くなく足部の観察の必要性が高いということであ る。月平均糖尿病患者受診者数は,在支診 155.8±

21.3 人であった.

糖尿病専門医がいる診療所(以下,DM 診療所)

における調査結果

16)

では,月平均糖尿病患者受診者 数 557.3±631.6 人と報告している.本調査による月 平均糖尿病患者受診者数は,DM 診療所患者数と比 較すると在支診受診患者の約 28%が糖尿病患者で あることがわかった.そのうち 65 歳以上の高齢者 の占める割合は 78%となっており,在支診における 高齢者糖尿病患者へのフットケアの必要性が高まっ てきていると考えられる。

また,在支診で行われている足部の重症化予防に 対するケアとして,高齢者糖尿病患者への「定期的 な足の観察」が約 30%となっている.

糖尿病・内分泌内科の各医師が日常診療で下肢の 診察率5.3%

17)

の病院外来での報告と比較すると,本 研究結果では,医療従事者による足部の観察の実施 はそれぞれ高い値が示された.病院と診療所では,

診療体制は異なるため,単純な比較はできないが,

医療者による定期的な足の診察と観察は,足病変の 異常の早期発見,重症化予防に効果があり

15)

,医師 の診察は,高齢者自身も足部を注視しなければなら ない重症化予防の認識を高める要因の一つになると 考える.

また,月平均の糖尿病受診患者数 90 人以下と 90

人以上の群における「定期的な足の観察」との比較

において有意差がみられ,患者数が多い在支診での

医療従事者による観察が多くなっており,患者数が

増えることで足の観察も増えるという当然の結果と

なっている.しかし,糖尿病治療は,個人の生活状

(5)

表 2.在宅療養支援診療所における高齢者糖尿病患者へのフットケア課題

カテゴリー サブカテゴリ― コード 生データ

リスク要因に合わせた介入の課題

リスク要因にあわせ た対応ができていな い

訴えがない患者の介

入ができていない 訴えがないと見えづらい.患者からの訴えがないと診察しな い.

リスクのある患者の

対処が難しい 糖尿病・白癬については見逃すことなく診ていきたいが難しい.

巻き爪などは対処できない.

充分な設備と場所が ない

必要な検査が十分で

きない 専門的な診察や機器が使用できない.病院のように,ABI や血 管エコー,3D-CT 等の検査は十分に施行できない.

充分な設備と場所が

ない 処置に対応する時間の捻出と用具や場所の問題.場所の問題や 患者様のプライバシーの配慮が懸念.充分な設備・場所がない.

診療と並行したケア時間の調整課題

診療時間内に他業務 と並行してケアする ことができない

他業務と並行してケ

アできる時間がない 他業務が混在しているため,ゆとりをもって時間がとれない.

限られた診療時間内でのケアと教育には困難状況にある.

外来時間内に足を診

る余裕がない 外来があるので時間的に難しく,足まで診る余裕がない.

ケア対象者と非対象 者との対応時間の調 整が難しい

本格的なケアは時間 がかかり,大勢でき ない

本格的なケアになると個人の診療所では時間がかかりすぎる.

フットケアの時間が長いので,多くの人をケアできない.

他の患者に影響する ため,手間がかかる 患者のケアはできな い

ケアに時間と手がかかり,他の患者の診療に影響してしまう.

一般外来が優先になりフットケアや DM 指導が十分に行えな い.

細やかなケアに時間 をかけられない

医師一人では細やか なケアに時間をかけ ることはできない

医師一人の診療所では,患者さんひとりひとりに時間をかけら れない.在宅往診では細やかなケアは難しい.

医師・看護師の連携・協働・役割分担の課題

医師・看護師の役割 分担ができない

マンパワー不足のた

め体制が整わない スタッフに余裕がない.マンパワー不足のため定期的な介入が できていない.

看護師のケア技術の

未習得 どのように教育すればよいか分からない.時間がかかるので,

教育には困難な状況.看護師がフットケア研修に行く.

包括的な対応が難し

い 責任範囲遵守すると

対応に限界がある 一般内科医では十分なフットケアができない.皮膚科専門医不 在による限界.不在侵襲を与えるケアへ踏み出せていない.

継続的な介入ができ ていない

継続的な指導ができ

ていない 足チェックシート等あれば,共有シートとして活用出来ればと 思う.すべての患者に継続的な指導ができない.

連携先の患者情報の

把握が難しい 訪問看護につなげる事が必要.どのようなケアの取り組みをし ているかは把握が難しい.

フットケア専任看護師の雇用課題 フットケア専任看護

師の雇用ができない

フットケア専任の看

護師が確保できない 専門看護師はなかなか配置できない.常時フットケアのために スタッフが確保できない.

フットケア専門の看

護師が雇用できない フットケアに精通した看護師さんの協力が必要,雇用等の問題 もありハードルが高い.マンパワー(人材)確保と人件費負担.

糖尿病合併症管理料

算定されない 算定条件が整わない 小規模診療所では在医師と処置が併算定できず,ほぼ持ち出し.専任の医師や看護師を配置する基準もクリアできません.

(6)

況に応じた様々な治療・療養指導が外来ではおこな われる必要があり,在支診では,限られた診療時間 の中で, 「定期的な足の観察」は確実におこなわれて いる状況が明らかになった.

本調査結果だけでの考察には限界はあるが,今後,

在支診施設規模や地域格差等を含め,さらなる検討 が必要である.

2.在支診外来におけるフットケア介入の課題 本研究で明らかになったフットケア課題【リスク 要因に合わせた介入】,【診療と並行したケア時間の 調整】,【医師・看護師の連携・協働・役割分担】,

【フットケア専任看護師の雇用】4 つについて考察す る.

糖尿病足病変重症化の【リスク要因に合わせた介 入】で抽出された〔リスクにあわせた対応ができて いない〕では,在支診では外来診療以外にも訪問診 療,訪問看護等の付属するサービスに対応する中で,

患者一人に費やす時間には制限が伴う上に, 〔充分な 設備・場所がない〕課題から,通常,糖尿病性神経 障害,血流障害など糖尿病足病変ハイリスク患者の スクリーニング検査が困難な状況が推測される.こ のため,フットケア対象者の選定が十分にできない ままに対応しているため,効率的なフットケア支援 につなげることが難しい状況が考えられる.

次に【診療と並行したケア時間の調整】では,〔診 療時間内に他業務と並行してケアすることができな い〕〔ケア対象者と非対象者との対応時間の調整が 難しい〕が抽出された.今回の調査ではケア提供者 の負担感について調査していないため要因は明らか にできないが,フットケアはその時々の皮膚変化に 応じた個別化したケアが求められ,必然的にケア時 間はかかることが推測され,特に高齢者糖尿病患者 は,糖尿病合併症管理を含めたアプローチの工夫が 必要である.

【医師・看護師の連携・協働・役割分担】では, 《マ ンパワー不足のため体制が整わない》 《看護師の技術 の未習得》が明らかになった.今回の調査では,医 師・看護師間の連携協働について調査していないが,

「定期的な足の診察」の 55.4%は,「看護師の求めに 応じて」おこなわれていたことから,診療所の小規 模体制ならではの診療環境を支える看護師の役割は 重要である.

糖尿病療養指導士は在支診の 13.5%に勤務してい るが,糖尿病療養指導士の有無とケア頻度項目であ る足の観察,評価,フットケア教育の関連は見られ なかった。しかし,糖尿病療養指導士がいなくとも 足の観察は実施できており,糖尿病患者の足病変に 対する観察はルーティン化してきているものと考

えられる.その中で,他診療科連携先として皮膚 科 82.4%が高い傾向にあることは,専門診療科に繋 ぐという適切な判断であるとも言える.フットケア の充実には,施設規模,看護体制,専門看護職の有 無が影響する可能性が報告されている

18)

. 必然的に

【フットケア専任看護師の雇用】課題はあがるが,地 域包括ケアが推進される中で,在支診として,どこ まで高齢者糖尿病患者のフットケア介入するべきな のか,在支診におけるフットケアの標準化と診療連 携の確立に向けた検討が必要である.今後,重症化 リスク要因を見逃さないためにも阻害する要因を検 討し,医師・看護師協働のアセスメントの標準化を 含めた検討が必要である.

本研究の限界

本研究では,これまで明らかにされなかった在支 診外来のフットケアの現状を明らかにできたことは 意義があると考える.しかし,調査票回収率の低さ から在支診が担うフットケアの一端を明らかにした レベルに留まった.今後,追加調査による検証を進 め在支診の役割機能を含めたフットケア介入範囲を 検討していく必要がある.

Ⅵ 結   論

本研究は,在支診外来における高齢者糖尿病患者 のフットケア介入の実態と課題を明らかにした初め ての研究である.その結果,在支診の糖尿病患者 数の中で 65 歳以上の高齢者の占める割合は 78%と なっており,高齢者糖尿病患者へのフットケアの必 要性が高まっていることが明らかになった.

また,在支診で行われている足部の重症化予防と して,「定期的な足の観察」は約 30%おこなわれて おり,病院外来と比較すると,本研究結果では,医 療従事者による足部の観察の実施は高い値を示して いた.

今後,重症化リスク要因を見逃さないためにも阻 害する要因を検討し,医師・看護師協働のアセスメ ントの標準化を含めた検討が必要である.

謝   辞

本研究の協力依頼時期が,新型コロナウィルス感 染症拡大の影響が広がり始めた時期と重なり,その 対策で大変な状況の中にも関わらず,本研究にご協 力くださいました在宅療養支援診療所の皆様に深く 感謝申し上げます.

本研究は,文部科学省:科学研究費助成事業(学 術研究助成基金助成金)(基盤研究(C)(一般)(課 題番号 17K12499)による助成を受けておこなった.

本研究における「利益相反」はない.

(7)

文   献

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18-22, 2000.

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15) 佐藤郁哉:質的データ分析法,原理・方法・実践.新 曜社,2008.

16) 上野千代子,渡部洋子:糖尿病専門医がいる一般診 療所看護師におけるフットケア介入の実態調査,第 51 回日本看護学会在宅看護学術集会抄録集,50, 2020.

17) Yusuke K, Maki K, Mari O, et al: Quality control in diabetes care using a method of statistical process control. DiabetologyInternational(5): 219–228, 2014.

18) 有藤由理 , 正木治恵,野口美和子 : 糖尿病外来におけ る看護婦の活動の実態 . 日本糖尿病教育・看護学会誌

(1342-8497)1(2)84-95, 1997.

参照

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